JP4228605B2 - 改変型還元酵素、その遺伝子及びそれらの利用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、還元反応、特にβケト酸の還元反応等に利用可能な改変型還元酵素、その遺伝子及びそれらの利用に関するものである。
本発明は耐熱性の変異型還元酵素、これを生産するために必要な遺伝子及び遺伝子を含むベクター、そのベクターを含む形質転換体、さらにその形質転換体を用いた変異型還元酵素の生産法に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
還元酵素は、基質を還元する触媒能を有し、近年、例えば医農薬の有効成分となる化合物やその中間体、特に光学活性である化合物やその中間体等を製造する為の有機合成反応に利用されている。
光学活性である化合物やその中間体等を製造する為に工業的に利用される還元酵素としては、還元反応における反応生成物の光学純度が高いこと又は基質の絶対立体配置に対する当該酵素の認識性が高いことや、温度・pH・溶媒・圧力等に対する安定性が高いことが望ましい。中でも温度に対する還元酵素の安定性、即ち熱安定性が高いと、反応温度を高くすることができ、反応速度を高めかつ反応中の当該還元酵素の失活を軽減することが可能となる。そこで、反応時間の短縮および反応効率の向上を図るうえで熱安定性に優れた還元酵素が切望されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
このような状況下で、本発明者らは、遺伝子の部位特異的変異導入技術を用いて、鋭意検討を行った結果、野生型のアミノ酸配列においてある特定のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列を有する改変型還元酵素が優れた熱安定性を示すことを見いだし、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
1.配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目及び271番目のアミノ酸のうち少なくとも1個が他のアミノ酸に置換されていること以外には配列番号1で示されるアミノ酸配列と同等なアミノ酸配列を有し、かつ、基質を還元する能力を有することを特徴とする酵素(以下、本発明還元酵素と記すこともある。);
2.配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されていること以外には配列番号1で示されるアミノ酸配列と同等なアミノ酸配列を有し、かつ、基質を還元する能力を有することを特徴とする酵素;
3.配列番号1で示されるアミノ酸配列における271番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されていること以外には配列番号1で示されるアミノ酸配列と同等なアミノ酸配列を有し、かつ、基質を還元する能力を有することを特徴とする酵素;
4.配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目及び271番目のアミノ酸が、同じ又は異なって、他のアミノ酸に置換されていること以外には配列番号1で示されるアミノ酸配列と同等なアミノ酸配列を有し、かつ、基質を還元する能力を有することを特徴とする酵素;
5.245番目のアミノ酸に代わる他のアミノ酸が、アルギニンであることを特徴とする前項2又は4記載の酵素;
6.271番目のアミノ酸に代わる他のアミノ酸が、アスパラギン酸であることを特徴とする前項3又は4記載の酵素;
7.下記のいずれかの1つのアミノ酸配列を有することを特徴とする酵素
<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目のアミノ酸がアルギニンに置換されていること以外には配列番号1で示されるアミノ酸配列と同等なアミノ酸配列
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列における271番目のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されていること以外には配列番号1で示されるアミノ酸配列と同等なアミノ酸配列
(c)配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目のアミノ酸がアルギニンに、271番目のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されていること以外には配列番号1で示されるアミノ酸配列と同等なアミノ酸配列;
8.前項1記載の酵素が有するアミノ酸配列をコードする塩基配列を有することを特徴とするポリヌクレオチド;
9.前項8記載のポリヌクレオチドを含有することを特徴とするベクター。
10.前項8記載のポリヌクレオチド又は請求項9記載のベクターを保有することを特徴とする形質転換体;
11.前項9記載のベクターが、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸又は酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドをさらに含有することを特徴とするベクター;
12.前項10記載の形質転換体が、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸又は酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドをさらに保有することを特徴とする形質転換体;
13.4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルに前項10又は12記載の形質転換体又はその処理物を作用させることを特徴とする(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法;
14.酵素の改変方法であって、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素が触媒として機能する還元反応における当該酵素の熱安定性を向上させるために、当該酵素が有するアミノ酸配列における245番目及び271番目のアミノ酸のうち少なくとも1個を他のアミノ酸に置換する工程を含有すること特徴とする方法;
15.改変型酵素遺伝子の製造方法であって、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列において、配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目及び271番目のアミノ酸のうち少なくとも1個に対応するコドンを他のアミノ酸に対応するコドンに置換する工程を含有すること特徴とする方法;等を提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、さらに詳細に本発明を説明する。
配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する還元酵素(以下、野生型還元酵素と記す。)は、ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)IFO4631株(財団法人 発酵研究所(www.ifo.or.jp)から入手可能)由来の還元酵素である。当該還元酵素および本発明還元酵素の還元酵素活性(即ち、基質を還元する能力)は、これらの還元酵素を例えば4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル、NADPHと混合して30℃で保温し、遊離するNADP+量を反応液の340nmにおける吸光度を指標に定量することにより測定することができる。本発明において、「熱安定性」とは、例えば、45℃で7時間の保温処理を行った後の活性の残存率が、同様に処理した野生型還元酵素の活性残存率よりも高いことを意味する。
【0005】
本発明還元酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子(以下、本発明遺伝子と記す。)を取得するには、まず、野生型還元酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子(以下、野生型遺伝子と記す。)を取得するとよい。野生型遺伝子とは、例えば、配列番号2に示される塩基配列を有する遺伝子であり、例えばJ.Sambrook、E.F.Fritsch、T.Maniatis著;モレキュラー クローニング 第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリングハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年、等に記載の通常の遺伝子工学的手法に準じてペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)IFO4631株から取得することができる。即ち、ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)IFO4631株から「新 細胞工学実験プロトコール」(東京大学医科学研究所制癌研究部編、秀潤社、1993年)に記載された方法に準じてcDNAライブラリーを調製し、調製されたcDNAライブラリーを鋳型として、かつ適切なプライマーを用いてPCRを行うことにより、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号2で示される塩基配列を有するDNA等を増幅して本還元酵素遺伝子を調製する。
ここでペニシリウム・シトリナム由来のcDNAライブラリーを鋳型として、かつ配列番号3に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いてPCRを行う場合には、配列番号2で示される塩基配列からなるDNAを増幅して本還元酵素遺伝子を調製することになる。
本発明において野生型還元酵素が有するアミノ酸配列と同等なアミノ酸配列とは、配列番号1で示されるアミノ酸配列又は当該配列において数個のアミノ酸が欠失、付加又は置換されてなる実質的に同一なアミノ酸配列(即ち、等価配列)を意味している。ここで「置換」としては、野生型還元酵素の疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴等の類似した性質を有するアミノ酸への置換があげられ、このような置換としては、例えば、▲1▼グリシン、アラニン;▲2▼バリン、イソロイシン、ロイシン;▲3▼アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、▲4▼セリン、スレオニン;▲5▼リジン、アルギニン;▲6▼フェニルアラニン、チロシンのグループ内での置換があげられる。
【0006】
野生型遺伝子に部位特異的変異を導入することによって、本発明遺伝子を調製することができる。部位特異的変異導入法としては、例えば、 Olfert Landt ら(Gene 96 125-128 1990)、Smithら(Genetic Engineering 3 1 Setlow,J.and Hollaender,A Plenum:New York)、Vlasukら(Experimental Manipulation of Gene Expression,Inouye,M.:Academic Press,New York)、Hos.N.Huntら(Gene 77 51 1989)の方法やMutan-Express Km(宝酒造社製)やTaKaRa La PCR in vitro Mutagenesis Kit(宝酒造社製)の市販キットの利用等があげられる。
【0007】
例えば、Olfert Landtら(Gene 96 125-128 1990)の方法を用いて、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてその245番目のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されているアミノ酸配列をコードする本発明遺伝子を調製するには、まず、配列番号2で示される塩基配列を有する野生型遺伝子が組み込まれたベクターDNAを、例えばJ.sambrook、E.F.Fritsch、T.Maniatis著;モレキュラー クローニング 第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年、等に記載の方法に準じて調製する。次いで、得られたベクターDNAを鋳型にして、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されているアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号5で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド)を片側のプライマーとして用い、配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをもう一方の側のプライマーとして用いて、PCR法によるDNA断片の増幅を行うとよい。ここで、PCR反応の条件としては、例えば、94℃にて5分間保温した後、94℃にて1分間、次いで50℃にて2分間、さらに75℃にて3分間保温する処理を20サイクル行い、最後に75℃で8分間保温する。このようにして増幅されたDNA断片を、精製した後、配列番号2で示される塩基配列を有する野生型遺伝子が組み込まれたベクターDNAと配列番号3で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを加え、PCR法により、DNA断片の増幅を行うとよい。このようにして得られたDNA断片を、例えば制限酵素NcoIおよびXbaIで消化し、同様の制限酵素消化を行った野生型還元酵素遺伝子を含むベクターDNAとライゲーション反応を行うことにより、目的とする本発明遺伝子を得ることができる。
245番目のアミノ酸に代わる他のアミノ酸としては、アルギニン等があげられる。
【0008】
また例えば、Olfert Landtら(Gene 96 125-128 1990)の方法を用いて、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてその271番目のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されているアミノ酸配列をコードする本発明遺伝子を調製するには、まず、配列番号2で示される塩基配列を有する野生型遺伝子が組み込まれたベクターDNAを、例えばJ.sambrook、E.F.Fritsch、T.Maniatis著;モレキュラー クローニング 第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年、等に記載の方法に準じて調製する。次いで、得られたベクターDNAを鋳型にして、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列における271番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されているアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号7で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド)を片側のプライマーとして用い、配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをもう一方の側のプライマーとして用いて、PCR法によるDNA断片の増幅を行うとよい。ここで、PCR反応の条件としては、例えば、94℃にて5分間保温した後、94℃にて1分間、次いで50℃にて2分間、さらに75℃にて3分間保温する処理を20サイクル行い、最後に75℃で8分間保温する。このようにして増幅されたDNA断片を、精製した後、配列番号2で示される塩基配列を有する野生型遺伝子が組み込まれたベクターDNAと配列番号3で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを加え、PCR法により、DNA断片の増幅を行うとよい。このようにして得られたDNA断片を、例えば制限酵素NcoIおよびXbaIで消化し、同様の制限酵素消化を行った野生型還元酵素遺伝子を含むベクターDNAとライゲーション反応を行うことにより、目的とする本発明遺伝子を得ることができる。
271番目のアミノ酸に代わる他のアミノ酸としては、アスパラギン酸等があげられる。
【0009】
もちろん本発明還元酵素では.配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目のアミノ酸と271番目のアミノ酸との両者が、同じ又は異なって、他のアミノ酸に置換されていてもよい。
【0010】
本発明遺伝子の具体的な例としては、
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目のアミノ酸がアルギニンに置換されていること以外には配列番号1で示されるアミノ酸配列と同等なアミノ酸配列を有する酵素;
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列における271番目のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されていること以外には配列番号1で示されるアミノ酸配列と同等なアミノ酸配列を有する酵素;
(c)配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目のアミノ酸がアルギニンに、271番目のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されていること以外には配列番号1で示されるアミノ酸配列と同等なアミノ酸配列を有する酵素;
等をあげることができる。
【0011】
このようにして調製された本発明遺伝子を用いて、通常の遺伝子工学的方法に準じ、本発明還元酵素を大量に製造し、取得することができる。具体的には、例えば、本発明遺伝子を微生物等の宿主細胞中で発現させることのできるベクターを調製し、これを宿主細胞に導入して宿主細胞を形質転換させることにより形質転換体を作製する。次に作製された形質転換体微生物を通常の細胞培養方法に従い培養すればよい。
上記のようなベクターは、本発明遺伝子が導入される宿主細胞において利用可能なベクター(以下、基本ベクターと記す。)、例えば、宿主細胞中で複製可能な遺伝情報を含み、自立的に増殖でき、宿主細胞からの単離、精製が可能であり、検出可能なマーカーをもつベクター、に通常の遺伝子工学的手法に準じて組み込むことにより構築することができる。
ここで「基本ベクター」としては、具体的には大腸菌を宿主細胞とする場合には、例えば、ベクターpUC119(宝酒造社製)やファージミドpBluescriptII(Stratagene社製)等をあげることができる。出芽酵母を宿主細胞とする場合には、ベクターpGBT9、pGAD424、pACT2(Clontech社製)等をあげることができる。また、哺乳類動物細胞を宿主細胞とする場合には、pRc/RSV、pRc/CMV(Invitrogen社製)等のベクター、ウシパピローマウイルスベクターpBPV(アマシャムファルマシアバイオテク社製)もしくはEBウイルスベクターpCEP4(Invitrogen社製)等のウイルス由来の自律複製起点を含むベクター、ワクシニアウイルス等のウイルス等をあげることができる。さらに、昆虫類動物細胞を宿主細胞とする場合には、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスをあげることができる。
自律複製起点を含むベクター、例えば、上記の酵母用ベクターpACT2や、ウシパピローマウイルスベクターpBPV、EBウイルスベクターpCEP4等を用いて本発明ベクターを構築すると、当該ベクターは宿主細胞に導入された際にエピソームとして細胞内に保持される。
【0012】
尚、本発明ベクターは、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸又は酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドをさらに含有してもよい。このような本発明ベクターを用いることにより、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸又は酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドをさらに保有する本発明形質転換体を作製することもできる。
【0013】
本発明遺伝子の上流に、宿主細胞で機能可能なプロモーターを機能可能な形で結合させ、これを上述のような基本ベクターに組み込むことにより、本発明遺伝子を宿主細胞で発現させることの可能な本発明ベクターを構築することができる。ここで、「機能可能な形で結合させる」とは、本発明遺伝子が導入される宿主細胞において、プロモーターの制御下に本発明遺伝子が発現されるように、当該プロモーターと本発明遺伝子とを結合させることを意味する。宿主細胞で機能可能なプロモーターとしては、導入される宿主細胞内でプロモーター活性を示すDNAをあげることができる。例えば、宿主細胞が大腸菌である場合には、大腸菌のラクトースオペロンのプロモーター(lacP)、トリプトファンオペロンのプロモーター(trpP)、アルギニンオペロンのプロモーター(argP)、ガラクトースオペロンのプロモーター(galP)、tacプロモーター、T7プロモーター、T3プロモーター、λファージのプロモーター(λ-pL、λ-pR)等をあげることができ、宿主細胞が動物細胞や***酵母である場合には、例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス(SV40)の初期又は後期プロモーター、マウス乳頭腫ウイルス(MMTV)プロモーター等をあげることができる。宿主細胞が出芽酵母である場合には、ADH1プロモーター(尚、ADH1プロモーターは、例えば、ADH1プロモーター及び同ターミネーターを保持する酵母発現ベクターpAAH5 〔Washington Research Fundation から入手可能、Ammerer ら、Method in Enzymology、101 part(p.192-201)〕から通常の遺伝子工学的方法により調製することができる。ADH1プロモーターは、Washington Research Fundation の米国特許出願第299,733 に含まれており、米国において、工業的、商業目的で使用する場合は、権利者からの権利許諾を必要とする。)等あげることができる。
また、宿主細胞において機能するプロモーターをあらかじめ保有する基本ベクターを使用する場合には、前記プロモーターと本発明遺伝子とが機能可能な形で結合するように、前記プロモーターの下流に本発明遺伝子を挿入すればよい。例えば、前述のベクターpRc/RSV、pRc/CMV等には、動物細胞で機能可能なプロモーターの下流にクローニング部位が設けられている。当該クローニング部位に本発明遺伝子を挿入することによって得られるベクターを動物細胞へ導入することにより、当該動物細胞において本発明遺伝子を発現させることができる。これらのベクターにはあらかじめSV40の自律複製起点(ori)が組み込まれているため、oriを欠失したSV40ゲノムで形質転換された培養細胞、例えば、COS細胞等に当該ベクターを導入すると、細胞内でベクターのコピー数が非常に増大し、結果として当該ベクターに組み込まれた本発明遺伝子を大量発現させることもできる。また前述の酵母用ベクターpACT2はADH1プロモーターを有しており、当該ベクター又はその誘導体のADH1プロモーターの下流に本発明遺伝子を挿入すれば、本発明遺伝子を、例えば、CG1945(Clontech社製)等の出芽酵母内で大量発現させることが可能な本発明ベクターが構築できる。
【0014】
宿主細胞としては、例えば、微生物の場合には、真核生物および原核生物のいずれも用いることができ、例えば大腸菌等をあげることができる。該宿主細胞に、通常の遺伝子工学的方法により上記の本発明ベクターを導入し宿主細胞を形質転換することができる。
本発明ベクターを宿主細胞へ導入する方法としては、宿主細胞に応じた通常の導入方法を適用することができる。例えば、大腸菌を宿主細胞とする場合には、J.Sambrook, E.F.Frisch, T.Maniatis著;「 モレキュラー・クローニング 第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory発行、1989年)等に記載される塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法等の通常の方法を用いることができる。また、哺乳類動物細胞又は昆虫類動物細胞を宿主細胞とする場合には、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法又はリポフェクション法等の一般的な遺伝子導入法に準じて前記細胞に導入することができる。酵母を宿主細胞とする場合には、例えば、リチウム法を基にしたYeast transformation kit(Clontech社製)などを用いて導入することができる。尚、ウイルスをベクターとして用いる場合には、上述のように一般的な遺伝子導入法によりウイルスのゲノムを宿主細胞に導入できるほか、本発明遺伝子の挿入されたウイルスのゲノムを含有するウイルス粒子を、宿主細胞へ感染させることによっても、当該ウイルスのゲノムを宿主細胞に導入することができる。
本発明形質転換体を選抜するには、例えば、本発明ベクターと同時にマーカー遺伝子が導入された宿主細胞を、マーカー遺伝子の性質に応じた方法によって培養すればよい。例えば、マーカー遺伝子が、宿主細胞に致死活性を示す選抜薬剤に対する薬剤耐性を付与する遺伝子である場合には、当該選抜薬剤が添加された培地を用いて、本発明ベクターが導入された宿主細胞を培養すればよい。薬剤耐性を付与する遺伝子と選抜薬剤との組み合わせとしては、例えば、ネオマイシン耐性付与遺伝子とネオマイシンとの組み合わせ、ハイグロマイシン耐性付与遺伝子とハイグロマイシンとの組み合わせ、ブラストサイジンS耐性付与遺伝子とブラストサイジンSとの組み合わせ等をあげることができる。また、マーカー遺伝子が宿主細胞の栄養要求性を相補する遺伝子である場合には、当該栄養要求性に対応する栄養素を含まない最少培地を用いて、本発明ベクターが導入された細胞を培養すればよい。また本発明遺伝子を宿主細胞で発現させることが可能な本発明ベクターを導入した場合には、本発明還元酵素の酵素活性に基づく検出方法を用いることもできる。
本発明遺伝子が宿主細胞の染色体内に位置する本発明形質転換体を取得するには、例えば、まず本発明ベクターとマーカー遺伝子を有するベクターとを制限酵素等で消化することにより直鎖状にした後、これらを前述の方法で宿主細胞に導入する。次いで当該細胞を通常数週間培養した後、導入されたマーカー遺伝子の発現量に基づき目的とする形質転換体を選抜し取得すればよい。また、例えば、まず上記のような選抜薬剤を付与する遺伝子をマーカー遺伝子として有する本発明ベクターを前述の方法によって宿主細胞に導入する。次いで当該細胞を選抜薬剤が添加された培地で数週間以上継代培養した後、コロニー状に生き残った選抜薬剤耐性クローンを純化培養することにより、本発明遺伝子が宿主細胞の染色体に導入されてなる本発明形質転換体を選抜し取得することもできる。導入された本発明遺伝子が宿主細胞の染色体に組み込まれたことを確認するには、当該細胞のゲノムDNAを通常の遺伝子工学的方法に準じて調製し、調製されたゲノムDNAから、導入された本発明遺伝子の部分塩基配列を有するDNAをプライマーやプローブとしたPCR、サザンハイブリダイゼーション等の方法を利用して、前記本発明遺伝子の存在を検出すればよい。当該形質転換体は、凍結保存が可能であり必要に応じて起眠して使用することができるので、実験毎の形質転換体作製の手間を省くことができ、また、あらかじめ性質や取扱い条件の確認された形質転換体を用いて試験を実施することが可能となる。
【0015】
このようにして得られる本発明遺伝子を含有するベクターを保有する形質転換体(以下、本発明形質転換体と記すこともある。)の培養は通常の細胞培養方法によって行うことができる。
例えば、本発明形質転換体が微生物である場合には、当該形質転換体は、一般微生物における通常の培養に使用される炭素源や窒素源、有機ないし無機塩等を適宜含む各種の培地を用いて培養することができる。例えば、炭素源としては、グルコース、フルクトース、シュクロース、デキストリン等の糖類、グリセロール、ソルビトール等の糖アルコール、フマル酸、クエン酸等の有機酸等があげられる。これら炭素源の培地への添加量は通常0.1〜10%程度とするとよい。窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩、フマル酸アンモニム、クエン酸アンモニウム等の有機酸のアンモニウム塩、肉エキス、酵母エキス、麦芽エキス、大豆粉、コーンステイープリカー、綿実粉、乾燥酵母、カゼイン加水分解物等の天然有機窒素源又はアミノ酸類等があげられる。このうち有機窒素源は、多くの場合、炭素源と兼用することができる。窒素源の添加量は通常0.1〜10%程度とするとよい。また無機塩類としては、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のリン酸アルカリ金属塩、塩化カリウム、塩化ナトリウム等の塩化アルカリ金属塩、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄等の硫酸金属塩等をあげることができ、その添加量は通常0.001〜1%程度とするとよい。
尚、あらかじめ培地中に原料となる基質を少量添加しておくと、本発明に関する形質転換体の能力を高めることができる。添加する基質の量は、通常0.001%程度以上、好ましくは0.1〜1%程度がよい。
培養は、一般微生物における通常の方法に準じて行い、固体培養、液体培養(旋回式振とう培養、往復式振とう培養、ジャーファーメンター(JarFermenter)培養、タンク培養等)等が可能である。特に、ジャーファーメンターを用いる場合、無菌空気を導入する必要があり、通常、培養液量の約0.1〜約2倍/分の通気条件を用いる。培養温度及び培地のpHは、微生物が生育する範囲から適宜選ぶことができ、例えば、約15℃〜約40℃の培養温度にて、pHが約6〜約8の培地で培養することが好ましい。培養時間は、種々の培養条件によって異なるが、通常約1日間〜約5日間が望ましい。温度シフト型やIPTG誘導型等の誘導型のプロモーターを有する発現ベクターを用いた場合には、誘導時間は1日間以内が好ましく、通常数時間である。
また、上記形質転換体が哺乳類、昆虫類等の動物細胞である場合には、当該形質転換体は一般の培養細胞における通常の培養に使用される培地を用いて培養することができる。選抜薬剤を利用して当該形質転換体を作製した場合には、当該選抜薬剤の存在下に培養することが好ましい。哺乳類動物細胞の場合には、例えば、終濃度が10%となるようFBSが添加されたDMEM培地(ニッスイ社製等)を用いて37℃、5%CO2存在下等の条件で数日毎に新しい培養液に交換しながら培養すればよい。細胞がコンフルエントになるまで増殖したら、例えば、0.25(w/v)程度となるようトリプシンが添加されたPBS溶液を加えて個々の細胞に分散させ、数倍に希釈して新しいシャーレに播種し培養を続ける。昆虫類動物細胞の場合も同様に、例えば、10%(v/v)FBS及び2%(w/v)Yeastlateを含むGrace's medium等の昆虫細胞用培養液を用いて培養温度25℃から35℃で培養すればよい。この際、Sf21細胞等のシャーレからはがれやすい細胞の場合には、トリプシン液を用いずピペッテイングにより分散させ継代培養を行なうことができる。また、バキュロウイルス等のウイルスベクターを含む形質転換体の場合には、培養時間は細胞質効果が現れて細胞が死滅する前、例えば、ウイルス感染後72時間までとすることが好ましい。
このようにして調製された本発明還元酵素を産生する本発明形質転換体又はその処理物は、基質を還元するバイオリアクターとして、例えば医農薬の有効生物となる化合物(例えば、4−ハロ−3−オキソ酪酸エステル等)やその中間体、特に光学活性である化合物やその中間体等を製造する為の有機合成反応に利用することが可能である。
本発明形質転換体の処理物としては、前記のようにして培養することにより得られた本発明形質転換体の培養物、例えば、本発明形質転換体自体や本発明形質転換体を含有する培養液、又は、例えば、物理的殺菌法(加熱、乾燥、冷凍、光線、超音波、ろ過、通電)や、化学薬品を用いる殺菌法(アルカリ、酸、ハロゲン、酸化剤、硫黄、ホウ素、砒素、金属、アルコール、フェノール、アミン、サルファイド、エーテル、アルデヒド、ケトン、シアン、抗生物質)等により死菌化処理を施した死菌化細胞、凍結乾燥細胞、アセトン乾燥細胞、細胞摩砕物、細胞の自己消化物、細胞の超音波処理物、細胞抽出物、粗精製酵素、精製酵素、若しくは、それら処理物を、例えば、ポリアクリルアミド法、含硫多糖ゲル法(例えばカラギーナンゲル法)、アルギン酸ゲル法、寒天ゲル等の公知方法により固定化した不溶物等の処理物をあげることができる。
【0016】
このように、本発明形質転換体を培養して得られる培養物から本発明還元酵素を採取・精製し、これらをエンザイムリアクターとして利用することもできる。本発明形質転換体の培養物からの還元酵素の採取・精製は、蛋白質の通常の抽出・単離・精製の方法を適宜組み合わせて実施すれば良く、例えば、培養終了後、本発明形質転換体の培養物を遠心分離等で集め、破砕または溶菌せしめ、イオン交換,疎水,ゲルろ過等の各種クロマトグラフィーを用いた工程を組み合わせて本発明還元酵素を採取・精製すればよいし、さらに上述のように、本発明形質転換体、本発明還元酵素を適当な担体に固定化しリアクターとして利用してもよい。
【0017】
本発明形質転換体又はその処理物を4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルに作用させることにより、例えば、(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルを製造することができる。
【0018】
上記の4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルは、一般式 化1
【化1】
で示されるエステル(式中、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、Rはアルキル基、アリール基またはそれらの置換体を表す。)である。尚、一般式 化1で示されるエステルにおけるRとしてのアルキル基は、炭素原子1〜8個の低級アルキル基であることが好ましい。
具体的には、4−クロロ−3−オキソ酪酸メチル、4−クロロ−3−オキソ酪酸エチル、4−クロロ−3−オキソ酪酸プロピル、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル、4−ブロモ−3−オキソ酪酸エチル、4−ブロモ−3−オキソ酪酸プロピル及び4−ブロモ−3−オキソ酪酸オクチル等をあげることができる。
【0019】
反応は、通常、水及び還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下、NADPHと記す。)の存在下に行われる。この際に用いられる水は、緩衝水溶液であってもよい。当該緩衝水溶液に用いられる緩衝剤としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム水溶液、酢酸カリウム等の酢酸アルカリ金属塩及びこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
上記方法においては、水に加えて有機溶媒を共存させることもできる。共存させることができる有機溶媒としては、例えば、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロプルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル類、トルエン、ヘキサン、シクロへヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類ジメチルスルホキシド等の有機硫黄化合物、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類及びこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
上記方法における反応は、例えば、水、NADPH、及び4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルを、本発明形質転換体又はその処理物とともに、必要によりさらに有機溶媒等を含有した状態で、攪拌、振盪等により混合することにより行われる。
【0022】
上記方法における反応時のpHは適宜選択することができるが、通常pH3〜10の範囲である。また反応温度は適宜選択することができるが、原料及び生成物の安定性、反応速度の点から通常0〜60℃の範囲である。
【0023】
反応の終点は、例えば、反応液中の4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルの量を液体クロマトグラフィー等により追跡することにより決めることができる。
反応時間は適宜選択することができるが、通常0.5時間から10日間の範囲である。
【0024】
反応液からの(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの回収は、一般に知られている任意の方法で行えばよい。
例えば、反応液の有機溶媒抽出操作、濃縮操作等の後処理を、必要によりカラムクロマトグラフィー、蒸留等を組み合わせて、行なうことにより精製する方法が挙げられる。
【0025】
さらに本発明は、酵素の改変方法であって、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素が触媒として機能する還元反応における反応生成物の光学純度又は基質の絶対立体配置に対する当該酵素の認識性を向上させるために、当該酵素が有するアミノ酸配列における245番目及び271番目のアミノ酸のうち少なくとも1個を他のアミノ酸に置換する工程を含有すること特徴とする方法や、改変型酵素遺伝子の製造方法であって、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列において、配列番号1で示されるアミノ酸配列における245目及び271番目のアミノ酸のうち少なくとも1個に対応するコドンを他のアミノ酸に対応するコドンに置換する工程を含有すること特徴とする方法も含む。
【0026】
【実施例】
以下、製造例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0027】
【実施例】
以下、製造例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0028】
実施例1 (鋳型DNAである野生型還元酵素の遺伝子の調製)
(1−1)cDNAライブラリーの調製
500mlフラスコに培地(水にポテト・デキストロース・ブロース(ベクトン・ディッキンソン社製)を24g/Lの割合で溶解したもの)100mlを入れ、121℃で15分間滅菌した。このようにして調製された培地に、前記組成の液体培地中で予め培養(30℃、48時間、振盪培養)されたペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)IFO4631株(財団法人 発酵研究所(www.ifo.or.jp)から入手可能)の培養液0.5mlを接種し、これを30℃で72時間振盪培養した。
培養後、得られた培養液を遠心分離(8000xg、10分)することにより、沈殿として菌体を回収した。回収された菌体を20mMリン酸1カリウム−リン酸2カリウムバッファー(pH7.0)50mlで3回洗浄することにより、約1.0gの洗浄菌体を得た。
このようにして得られた洗浄菌体からチオシアン酸グアニジンフェノールクロロホルム法を用いて全RNAを調製した。調製された全RNAから、Oligotex(dT)30-Super(宝酒造社製)を用いてpoly(A)を有するRNAを得た。
cDNAライブラリーの作製は、Gubler and Hoffman法に基づいて実施した。まず、上記のようにして得られたpoly(A)を有するRNA、Oligo(dT)18-リンカープライマー((含XhoIサイト)宝酒造社製)、RAV-2 Rtase及びSuperScriptII Rtaseを用いて一本鎖cDNAを調製した。調製された一本鎖cDNA(を含む前記反応液)にE. coli DNA polymerase、E. coli Rnase/E. coli DNA Ligase Mixture及びT4 DNA Polymeraseを加えることにより、二本鎖cDNAの合成及び当該二本鎖cDNAの平滑末端化処理を行った。
このようにして得られた二本鎖cDNAとEcoRI-NotI-BamHIアダプター(宝酒造社製)とのライゲーションを行った。ライゲーション後に得られたDNAを、以下の順で、リン酸化処理、XhoIでの切断処理、スピンカラム(宝酒造社製)を用いる低分子量DNAの除去処理及びλZapII(EcoRI-XhoI切断)とのライゲーションした後、in vitro packaging kit (STRATAGENE社製)を用いてパッケージングすることにより、cDNAライブラリー(以下、cDNAライブラリー(A)と記すこともある。)を調製した。
【0029】
(1−2)野生型還元酵素の遺伝子を含有するベクターの調製(ベクターpTrcRPcの構築)
配列番号3で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号4で示されるオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて、前記(1−1)で調製されたcDNAライブラリーを鋳型にして下記反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0030】
[反応液組成]
cDNAライブラリー原液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl2) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0031】
[反応条件]
上記組成の反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持した。
【0032】
PCR反応液を精製して得られたPCR増幅DNA断片に2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加えることにより、当該DNA断片を2重消化させた。次いで得られたDNA断片を精製した。
一方、ベクターpTrc99A(Pharmacia製)を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加えることにより、当該ベクターを2重消化させた。次いで消化されたDNA断片を精製した。
このようにして精製して得られた2種類のDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションした。得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。得られた形質転換体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いて野生型還元酵素の遺伝子を含有するベクター(以下、ベクターpTrcRPcと記すこともある。)を取り出した。
【0033】
実施例2 (補酵素再生酵素の遺伝子の調製)
(2−1)酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等を還元型に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を調製するための準備
500mlフラスコにLB培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、1%塩化ナトリウム)100mlを入れ、121℃で15分間滅菌した。このようにして調製された培地に、前記組成の液体培地で予め培養(30℃、48時間、振盪培養)されたBacillus megaterium IFO12108株の培養液0.3mlを接種し、これを30℃で10時間振盪培養した。
培養後、得られた培養液を遠心分離(8000×g、10分、4℃)することにより、沈殿として菌体を回収した。回収された菌体を50mMリン酸1カリウム−リン酸2カリウムバッファー(pH7.0)30mlで3回洗浄することにより、約0.4gの洗浄菌体を得た。
このようにして得られた洗浄菌体からQiagen Genomic Tip (Qiagen社製)を用いて、それに付属するマニュアルに記載される方法に従って染色体DNAを精製した。
【0034】
(2−2)酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等を還元型に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子の調製(ベクターpTrcGDH12の構築)
The Journal of Biological Chemistry Vol.264, No.11, 6381-6385(1989)に記載された公知のBacillus megaterium IWG3由来のグルコース脱水素酵素のアミノ酸配列に基づいて配列番号8で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(NcoI含む)と配列番号9で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(BamHI含む)とを合成する。
配列番号8で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(NcoI含む)と配列番号9で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(BamHI含む)とをプライマーに用いて、前記(2−1)で精製された染色体DNAを鋳型にして実施例1(1−2)に記載させる反応液組成、反応条件でPCRを行う。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)PCR反応液を精製して得られるPCR増幅DNA断片に2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加えることにより、当該DNA断片を2重消化させる。次いで得られたDNA断片を精製する。
一方、ベクターpTrc99A(Pharmacia製)を2種類の制限酵素(NcoI及びBamHI)を加えることにより、当該ベクターを2重消化させる。次いで消化されたDNA断片を精製する。
このようにして精製して得られる2種類のDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションする。得られるライゲーション液でE.coli HB101株を形質転換する。得られる形質転換体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いて酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等を還元型に変換する能力を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子を含有するベクター(以下、ベクターpTrcGDH12と記すこともある。)を取り出す。
【0035】
実施例3 (本発明遺伝子の作製:部位特異的変異の導入)
(3−1) 部位特異的変異導入操作
配列番号2で示される塩基配列を基にして、245番目、271番目のアミノ酸をそれぞれ他のアミノ酸に変換するための変異プライマーとして、配列番号5、7に示すように、各アミノ酸に対応する各種合成オリゴヌクレオチド(変異プライマー)を合成した。
配列番号5、7で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて前記(1−2)で精製されたベクターpTrcRPcを鋳型にして以下の反応液組成、反応条件でPCRを行った(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)。得られたPCR反応液をPCR反応液(A)と記す。また、配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号11で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて前記(1−2)で精製されたベクターpTrcRPcを鋳型にして以下の反応液組成、反応条件でPCRを行った(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)。得られたPCR反応液をPCR反応液(B)と記す。
【0036】
[反応液組成]
pTrcRPcベクター溶液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0037】
[PCR反応条件]
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、94℃(0.5分間)-55℃(2分間)-72℃(1.5分間)のサイクルを25回行った後、4℃で保存した。
【0038】
PCR反応液(A)及びPCR反応液(B)をそれぞれ精製した後、2種類のPCR増幅DNA断片を混合し、熱変性させた。熱変性後、徐々に冷却し、アニーリングさせた。これにenz.expandHiFiを加えてヘテロ2本鎖を完成させて、さらに配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして加えてPCRを以下の反応条件で行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0039】
[PCR反応条件]
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、94℃(0.5分間)-55℃(2分間)-72℃(1.5分間)のサイクルを10回行った後、4℃で保存した。
【0040】
PCR反応液を精製した後、2種類の制限酵素(NcoIとPstI)を加えることにより、当該PCR増幅断片を2重消化させた。次いで消化されたDNA断片を精製した。
一方、ベクターベクターpTrc99Aに2種類の制限酵素(NcoIとPstI)を加えることにより、当該ベクターを2重消化させた。次いで消化されたDNA断片を精製した。
このようにして精製して得られた2種類のDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションした。得られたライゲーション液でE.coli HB101を形質転換した。
(3−2) 変異体のスクリーニング
(3−1)で得られた形質転換体からベクターを抽出した後、ダイデオキシ法により変異箇所の塩基配列を決定し、設計どおりの変異が導入されていることを確認した。以上、(3−1)及び(3−2)の操作を245番目のリジンの変異体及び271番目のアスパラギンの変異体について同様に行うことにより、それぞれの変異体プラスミド(本発明ベクターK245R、N271D)の形質転換体を取得した。
【0041】
実施例4 (多重変異型本発明遺伝子の作製)
(4−1) 部位特異的変異導入操作
配列番号7で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて前記(3−2)で精製されたベクターK245Rを鋳型にして以下の反応液組成、反応条件でPCRを行う(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)。得られたPCR反応液をPCR反応液(C)と記す。また、配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号11で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて前記(3−2)で精製されたベクターK245Rを鋳型にして以下の反応液組成、反応条件でPCRを行う(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)。得られたPCR反応液をPCR反応液(D)と記す。
【0042】
[反応液組成]
鋳型ベクター溶液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0043】
[PCR反応条件]
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、94℃(0.5分間)-55℃(2分間)-72℃(1.5分間)のサイクルを25回行った後、4℃で保存する。
【0044】
PCR反応液(C)及びPCR反応液(D)をそれぞれ精製した後、2種類のPCR増幅DNA断片を混合し、熱変性させる。熱変性後、徐々に冷却し、アニーリングさせる。これにenz.expandHiFiを加えてヘテロ2本鎖を完成させて、さらに配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして加えてPCRを以下の反応条件で行う。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High
Fidelity PCR Systemを使用)
【0045】
[PCR反応条件]
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、94℃(0.5分間)-55℃(2分間)-72℃(1.5分間)のサイクルを10回行った後、4℃で保存する。
【0046】
PCR反応液を精製した後、2種類の制限酵素(NcoIとPstI)を加えることにより、当該PCR増幅断片を2重消化させる。次いで消化されたDNA断片を精製する。
一方、ベクターベクターpTrc99Aに2種類の制限酵素(NcoIとPstI)を加えることにより、当該ベクターを2重消化させる。次いで消化されたDNA断片を精製する。
このようにして精製して得られた2種類のDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションする。得られたライゲーション液でE.coli HB101を形質転換する。
(4−2) 変異体のスクリーニング
(4−1)で得られた形質転換体からベクターを抽出した後、ダイデオキシ法により変異箇所の塩基配列を決定し、設計どおりの変異が導入されていることを確認し、多重変異型ベクター(多重変異型本発明ベクターK245RN271D)の形質転換体を取得する。
【0047】
実施例5 本発明遺伝子及び補酵素再生酵素の遺伝子を保有する形質転換体の調製(ベクターpTrcGK245R、pTrcGN271Dの構築)
配列番号2で示される塩基配列(野生型還元酵素の遺伝子が有する塩基配列)を基にして配列番号12で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(BamHI含む)と配列番号13で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(PstI含む)とを合成した。
配列番号12で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(BamHI含む)と配列番号13で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(PstI含む)とをプライマーに用いて、前記(3−2)、(4−2)で精製された変異型還元酵素遺伝子を含むベクターDNAを鋳型にして以下の反応液組成、反応条件でPCRを行った。(ロシュ・ダイアグノスティック社製のExpand High Fidelity PCR Systemを使用)
【0048】
[反応液組成]
ベクター液 1μl
dNTP(各2.5mM-mix) 0.4μl
プライマー(20pmol/μl) 各0.75μl
10xbuffer(with MgCl) 5μl
enz.expandHiFi (3.5x103U/ml) 0.375μl
超純水 41.725μl
【0049】
[PCR反応条件]
上記組成に反応液が入った容器をPERKIN ELMER−GeneAmp PCR System2400にセットし、97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)-55℃(0.5分間)-72℃(2.5分間)のサイクルを20回、さらに72℃で7分間保持した。
【0050】
PCR反応液を精製して得られたPCR増幅DNA断片に2種類の制限酵素(BamHI及びXbaI)を加えることにより、当該DNA断片を2重消化させた。次いで得られたDNA断片を精製した。
一方、pTrcGDH12ベクターDNAを2種類の制限酵素(BamHI及びXbaI)を加えることにより、当該ベクターを2重消化させた。次いで消化されたDNA断片を精製した。
このようにして精製して得られた2種類のDNA断片を混合し、T4 DNAリガーゼでライゲーションした。得られたライゲーション液でE.coli DH5αを形質転換した。得られた形質転換体からQIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen社製)を用いて野生型または変異型還元酵素遺伝子を含有するベクター(以下、ベクターpTrcGK245R、pTrcGN271D、pTrcGK245RN271Dと記すこともある。)を取り出した。
【0051】
実施例6 (本発明酵素の熱安定性)
実施例3又は実施例4で得られた3種類の形質転換体を0.1mMのIPTG及び50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(100ml)に接種し、これを30℃で12時間振盪培養した。培養後、得られた培養液を遠心分離(8000×g、10分)することにより、沈殿として湿菌体を回収した。回収された湿菌体約0.4gに20mlの0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)を加え、ガラスビーズを用い破砕した。破砕液を遠心分離(12000×g、10分)することにより、上清液を粗酵素液とした。
粗酵素液のタンパク濃度が0.05mg/mlになるように調製した検液を45℃で7時間保温した後、本発明還元酵素の残存活性を測定した。活性測定には基質として4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチルを用いた。具体的には、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル1.56mg、粗酵素液100μl、NADPH0.208mg、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)0.9mlを混合した。当該混合物を30℃で保温し、減少するNADPH量を220nmの吸光度の減少として測定した。還元酵素活性は1分間に1μmolのNADPHを酸化させる酵素量を1ユニットとした。その結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
ここで、例えば「N245D」とは、245番目のアスパラギン(N)がアスパラギン酸(D)に置換されてなる本発明還元酵素を表している。
【0054】
実施例7(本発明形質転換体の調製及び還元反応)
ベクターpTrcRN271D又はpTrcRK245Rを用いてE.coli HB101を形質転換する。得られた形質転換体を0.1mMのIPTG及び50μg/mlのアンピシリンを含有する滅菌LB培地(100ml)に接種し、これを30℃で12時間振盪培養する。培養後、得られた培養液を遠心分離(8000×g、10分)することにより、沈殿として湿菌体を回収した。回収された湿菌体約0.4gを得る。
4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル300mg、前記の湿菌体0.4g、NADP+9mg、グルコース750mg、グルコース脱水素酵素(天野製薬製)1.2mg、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)15ml及び酢酸ブチル15mlを混合した。当該混合物を30℃で7時間攪拌する。尚、攪拌中は反応液のpHが6.5±0.2となるように2M炭酸ナトリウム水溶液を徐々に加える。攪拌終了後、反応液を遠心分離(1000×g、5分)することにより、有機層を回収する。当該有機層を下記条件でガスクロマトグラフィーによる含量分析に供試する。また下記条件で上記の有機層中の4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルの光学純度を測定する。さらに当該有機層を濃縮することにより、粗(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルを得る。
【0055】
(含量分析条件)
カラム:HR−20M(0.53mm×30m、1μm)(信和化工社製)
カラム温度:120℃(5分)→3℃/分→150℃(5分)→10℃/分→200℃(5分)
キャリアーガス:ヘリウム(流量:20ml/分)
検出器:FID
【0056】
(光学純度測定条件)
カラム:G-TA(0.25mm×30m、0.125μm)(アステック社製)
カラム温度:110℃(20分)→5℃/分→180℃(1分)
キャリアーガス:ヘリウム(流量:1ml/分)
検出器:FID
スプリット比:1/50
尚、反応生成物の絶対立体配置は(S)−4−ブロモ−3−ヒドロキシ酪酸メチルの標品と比較することにより決定する。
【0057】
実施例9 (形質転換体による本発明還元酵素の生産)
実施例3又は実施例4で得られた3種類の形質転換体を0.1mMのIPTG及び100μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地(50mL)に接種し、これを30℃で12時間振盪培養した。培養後、得られた培養液を遠心分離(8000xg、10分)することにより、沈殿として菌体を回収した。その一部(培養液5μl相当)をSDS−PAGEに供したところ、4種すべてのサンプルにおいて、野生型還元酵素の分子量に相当する位置に蛋白質が主バンドとして認められた。
【0058】
実施例10 (本発明還元酵素の精製)
実施例9に記載された方法で培養を行った形質転換体3種類を各々超音波破砕(20KHz、15分、4℃)した後、遠心分離(100000xg、60分、4℃)を行い、その上清を得る。得られた超遠心上清150mlに硫酸アンモニウムをその濃度が1.5Mになるまで徐々に加える。これを疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム[Hi-LoadPhenyl(26/10)(アマシャムファルマシアバイオテク社製)][1.5M硫酸アンモニウムを含むBIS−TRIS−PROPANEバッファー(20mM、pH7.0)で平衡化したもの]に展着し、硫酸アンモニウムを溶解したBIS−TRIS−PROPANEバッファー(硫酸アンモニウム濃度1.5M→0.6Mの濃度勾配)を移動層として目的酵素を溶出する。溶出画分の酵素活性の測定は還元酵素の基質である4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルを用いて行う。
具体的には、溶出画分を含む0.1mlの溶出液に、4−ブロモ−3−オキソ酪酸メチル(1.56mg/ml)及びNADPH(0.226mg/ml)を溶解したリン酸緩衝液(20mM,pH7.0)0.9mlを加え、30℃で保温し、340nmの吸光度の増加を測定する。還元酵素活性のある画分を集め、当該画分を脱塩し、Tris−HCl緩衝液(20mM、pH7.7)に置換する。これをイオン交換クロマトグラフィーカラム[Hi-Load Q Sepharose(16/10)(アマシャムファルマシアバイオテク社製)][Tris−HCl緩衝液(20mM、pH7.7)で平衡化したもの]に展着し、塩化ナトリウムを溶解したTris−HCl緩衝液(塩化ナトリウム濃度0→0.5Mの濃度勾配)を移動層として目的酵素を溶出させる。還元酵素活性のある画分を集め、精製還元酵素を得る。
【0059】
【発明の効果】
本発明により、医農薬の有効成分となる化合物やその中間体、特に光学活性である化合物やその中間体等を製造する為の有機合成反応に利用され得る還元酵素であって、光学純度が高い反応生成物を製造することに優れた還元酵素が提供可能となる。
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配列番号3
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号4
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号5
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号6
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号7
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配列番号8
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配列番号9
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配列番号10
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号11
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号12
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号13
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0060】
【配列表】
Claims (7)
- 1)配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目のアミノ酸がアルギニンに置換されているアミノ酸配列を有し、かつ、基質を還元する能力を有することを特徴とする酵素、
2)配列番号1で示されるアミノ酸配列における271番目のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されているアミノ酸配列を有し、かつ、基質を還元する能力を有することを特徴とする酵素、または
3)配列番号1で示されるアミノ酸配列における245番目のアミノ酸がアルギニンに置換され、271番目のアミノ酸が、アスパラギン酸に置換されているアミノ酸配列を有し、かつ、基質を還元する能力を有することを特徴とする酵素。 - 請求項1に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド。
- 請求項2に記載のポリヌクレオチドを含有することを特徴とするベクター。
- 請求項2記載のポリヌクレオチド又は請求項3記載のベクターを保有することを特徴とする形質転換体。
- 請求項3に記載のベクターが、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸又は酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドをさらに含有することを特徴とするベクター。
- 請求項4に記載の形質転換体が、酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸又は酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを還元型に変換する能力を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドをさらに保有することを特徴とする形質転換体。
- 4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルに請求項4または6に記載の形質転換体又はその処理物を作用させることを特徴とする(S)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法。
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