JP4228166B2 - 疲労強度の優れた継目無銅合金管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱交換器の伝熱管、冷媒配管、灯油用配管、消防設備用配管、コントロール銅管、四方弁、氷蓄熱用銅管、ショウケース用銅管などあらゆる用途に用いられる継目無銅合金管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱交換器の伝熱管として燐脱酸銅からなる継目無銅管が用いられていたが、近年、ろう付け時の結晶粒の粗大化を阻止するために、燐脱酸銅にFeを添加して結晶粒が粗大化しにくくした銅合金管が用いられている。この従来の燐脱酸銅にFeを必須成分として含有する疲労強度の優れた銅合金管として、例えば、Fe:0.005〜0.8%、P:0.01〜0.026%、Zr:0.005〜0.3%、O2 :3〜30ppm を含み、残部:Cuからなる組成の銅合金管(特公昭58−39900号公報参照)、およびFe:0.01〜1.0%、Cr,Si,Mn,As,Ni,Coのうち1種または2種以上:0.005〜0.6%、P、Ca,Mgのうち1種または2種以上:0.004〜0.04%を含み、残部:Cuからなる組成の銅合金管(特開昭52−156718公報参照)などが知られている。
【0003】
しかし、熱交換器用熱媒体としてオゾン層破壊のないHFC系フロンが使用されるようになると、HFC系フロンを熱交換器の熱媒体として使用した場合の凝縮圧力を一層大きくする必要があるところから、さらに一層優れた高強度の銅合金管が求められてきた。これらの要求に対して、質量%で、Co:0.03〜0.15%、P:0.02〜0.05%を含有し、残りがCuおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物として含まれる酸素含有量を50ppm 以下に規制した組成の銅合金からなる継目無銅合金管が提案されている(特開2000−1728参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、省資源化の問題から銅合金管の肉厚を可能な限り薄くし、さらにその銅合金管を組み込んだ装置を一層長期間使用しようとする気運が高まっており、これらの要求を満たすために、過酷な内圧および外部からの振動などの繰り返し負荷に対して長期間耐えることのできる疲労強度の一層優れた継目無銅合金管が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、従来よりも疲労強度の一層優れた継目無銅合金管を得るべく研究を行った結果、
(イ)質量%で、Co:0.03〜0.15%、P:0.02〜0.05%(ただし、Co/P:4以下)を含有し、残りがCuおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物として含まれる酸素含有量を50ppm 以下に組成を調整し、さらに適切な加工熱処理を加えて発生する組織内の再結晶粒を平均粒径:20μm以下に調整し、さらにこの再結晶粒内に微細な析出物を均一に析出させた組織を有するようにすると、疲労強度が一層向上する、
(ロ)前記再結晶粒内に均一に分散した微細な析出物は、1〜30nmの微細な析出物であることが一層好ましい、という知見を得たのである。
【0006】
この発明は、かかる知見にもとづいてなされたものであって、
(1)質量%で、Co:0.03〜0.15%、P:0.02〜0.05%をCo/P:4以下となるように含有し、残りがCuおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物として含まれる酸素含有量を50ppm 以下に調整した組成を有し、さらに、平均粒径:20μm以下の再結晶粒を有し、該再結晶粒内に1〜30nmの微細な析出物が均一に分散した組織を有する疲労強度の優れた継目無銅合金管、に特徴を有するものである。
【0007】
この発明の疲労強度の優れた継目無銅合金管を製造するには、まず、通常の電気銅、無酸素銅、タフピッチ銅、燐脱酸銅、高級銅スクラップなどを還元雰囲気中で溶解して酸素:50ppm 以下の低酸素銅溶湯を作製し、得られた低酸素銅溶湯にCo地金およびCu−P母合金を添加したのち鋳造して円柱状鋳塊を製造する。
【0008】
この円柱状鋳塊を850℃〜950℃に加熱し、水中押出し加工を施し、さらに冷間加工したのち、通常よりも高温の570〜670℃に15〜120分間保持する条件で焼鈍し、それにより十分に再結晶化させると共に該再結晶粒内に析出する析出物の粒径を調整する。
【0009】
つぎに、この発明の疲労強度の優れた継目無銅合金管を構成する銅合金の成分組成、再結晶粒径および析出物の粒径を上記の如く限定した理由について説明する。
【0010】
[I]成分組成
(a) Co
Coは燐脱酸銅素地に固溶あるいは燐化合物相を形成し、素材の耐力および疲労強度を向上させる成分であるが、Co含有量が0.15%を越えると粗大晶出物が残留し、疲労強度および加工性が低下するので好ましくなく、一方、Co含有量が0.03%未満では所望の効果が得られない。したがって、Co含有量は0.03〜0.15%の範囲となるようにそれぞれ定めた。Co含有量の一層好ましい範囲は0.04〜0.12%である。
【0011】
(b) P
PはCoと共存することにより結晶粒を微細化し、もって耐力および疲労強度を向上させる作用があるが、その含有量が0.05%を越えると析出物が粗大化するので好ましくなく、一方、その含有量が0.02%未満では所望の効果が得られない。したがってPの含有量は0.02〜0.05%に定めた。P含有量の一層好ましい範囲は0.025〜0.045%である。
【0012】
(c) Co/P
この発明の銅合金に含まれるCoとPは、Co:0.03〜0.15%、P:0.02〜0.05%でかつCoとPの比(Co/P)は4以下であることが疲労強度および加工性を一層向上させるために必要であり、Co/Pは1.5〜3の範囲内にあることが一層好ましい。
【0013】
(d) 酸素
酸素は、不可避不純物として含まれているが、50ppm を越えて含有すると粗大な酸化物が形成され、強度および加工性を害するので好ましくない。従って、酸素含有量は50ppm 以下(好ましくは10ppm 以下)に定めた。
【0014】
[II] 再結晶粒径および析出物径
(e)再結晶粒径
冷間加工後の焼鈍により得られる再結晶粒は、微細なほど好ましく、その大きさは平均粒径が20μmを越えると疲労特性が低下するので好ましくない。したがって、焼鈍により得られる再結晶粒の平均粒径は20μm以下に定めた。一層好ましい範囲は10μm以下である。
【0015】
(f)析出物径
前記焼鈍により得られる再結晶粒内に均一分散している析出物が1nm未満の微細な析出物であると疲労強度の向上効果が十分でなく、一方、平均粒径が30nmを越えるようになると、かえって疲労強度が低下するので好ましくない。したがって、再結晶粒内に均一分散している析出物の平均粒径を1〜30nmに定めた。一層好ましい範囲は1〜10nmである。
【0016】
【発明の実施の形態】
原料として電気銅を用意し、電気銅を還元雰囲気中で溶解して酸素:50ppm 以下の低酸素銅溶湯を作製し、得られた低酸素銅溶湯にCoおよびCu−15%P母合金を添加したのち鋳型に鋳込んで直径:320mm、長さ:710mの寸法を有し、表1に示される成分組成の円柱状鋳塊を製造した。
【0017】
この円柱状銅合金鋳塊をビレットヒータにより、温度:900℃、10分間保持の条件で加熱したのち、水中押出し加工することにより溶体化処理と同時に直径:100mm、厚さ:10mmの寸法を有する素管を作製した。
【0018】
かかる溶体化処理した素管をさらに冷間加工することにより外径:12.7mm、肉厚:0.7mmの寸法を有する継目無銅合金管に成形し、得られた継目無銅合金管をさらに光揮焼鈍炉に装入し、表1に示される条件で焼鈍し、本発明疲労強度の優れた銅合金管(以下、本発明管という)1〜6および比較銅合金管(以下、比較管という)を製造した。
【0019】
これら本発明管1〜6および比較管1〜3の断面をそれぞれ光学顕微鏡で観察することにより再結晶粒の平均粒径を測定し、さらにTEM(透過型電子顕微鏡)により再結晶粒内に析出した析出物の平均粒径を測定し、その結果を表1に示した。
【0020】
さらに、これら本発明管1〜6および比較管1〜3にそれぞれ120MPaの引張−圧縮公称応力を油圧式サーボパルサーにより1×108回繰り返し負荷し、破断した時の繰り返し回数を測定し、その結果を表1に示すことにより疲労強度を評価した。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
表1に示される結果から、本発明管1〜6に対して120MPaの引張−圧縮公称応力を1×108回繰り返し負荷しても破断することが無かったが、比較管1〜3はいずれも1×107回未満の繰り返し負荷で破断しているところから、本発明管1〜6は比較管1〜3に比較して疲労強度が優れていることが分かり、したがって、この発明の銅合金管を高い繰り返し負荷のかかる部分の配管として一層長期間使用できることが分かる。
Claims (1)
- 質量%で、Co:0.03〜0.15%、P:0.02〜0.05%をCo/P:4以下となるように含有し、残りがCuおよび不可避不純物からなり、前記不可避不純物として含まれる酸素含有量を50ppm 以下に調整した組成を有し、さらに、
平均粒径:20μm以下の再結晶粒を有し、該再結晶粒内に1〜30nmの微細な析出物が均一に分散した組織を有することを特徴とする疲労強度の優れた継目無銅合金管。
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