JP4228094B2 - 発泡性ポリオレフィン樹脂パウダー組成物およびその発泡成形体 - Google Patents

発泡性ポリオレフィン樹脂パウダー組成物およびその発泡成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末成形に使用可能な発泡性ポリオレフィン樹脂パウダー組成物、この組成物を発泡成形してなる発泡成形体およびその製造方法に関する。
【0002】
さらに詳細には、表面が平滑かつセルが均一で、高発泡倍率の発泡成形体が粉末成形法で得られる発泡性ポリオレフィン樹脂パウダー組成物、この組成物を発泡成形して得られる発泡成形体に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、ポリオレフィン樹脂の発泡体の製造方法については種々の方法が知られており、例えば、ポリオレフィン樹脂に熱分解型発泡剤を混合して成形した後、電離性放射線を照射して架橋させるとともに加熱して発泡させる方法、ポリオレフィン樹脂に熱分解型発泡剤と発泡剤の分解温度より低い分解温度を有する有機化酸化物を混合して成形した後、これを加熱して有機過酸化物を分解させて架橋し、ついで発泡剤を分解させて発泡させる方法がある。しかしながら、いずれの方法も自動車のインストルメンタルパネル、ヘッドレスト、アームレスト用の発泡成形体といった異形で、非常に複雑な形状を持った発泡成形体を簡単な成形操作で製造することが困難であり、また、これら成形体は架橋発泡体であるために、真空成形、熱プレス成形等の熱成形により加工することが困難であり、樹脂を再生利用することも困難であった。このような問題を解決するために、ポリオレフィン樹脂に熱分解型発泡剤を混合し、押出成形を行うことも行われている。しかしながら、高圧法で製造される低密度ポリエチレン(LDPE)を使用した場合でも発泡倍率が2倍程度のものしか得られず、また、シャープなエッジやオーバーハングを有する複雑な形状のものができないために、その利用分野が大幅に制限されているのが現状である。
【0004】
このような問題を解決する方法として、粉末成形法を使用した発泡体の成形が検討されている。粉末成形法とは、粉末樹脂を常温または加熱された成形用金型へ供給し、金型内面へ付着、溶融させ、樹脂皮膜を形成させて、加熱、冷却、離型して成形品とする方法である。この方法には、静置した金型を加熱して成形する静置法や、金型を回転、揺動して成形する回転法、揺動法がある。また、供給する粉末樹脂も金型一杯に満たす方法や製品重量と同じか過剰量を用いる方法がある。これらの方法により、従来より未発泡のヘッドレスト、アームレスト、インストルメントパネル等の自動車内装用の表皮材が製造されている。
【0005】
この方法を利用して、発泡剤をあらかじめ練り込んだ高圧法LDPEを用いて発泡成形を行った場合には、賦形時のせん断がほとんどかからないため、使用する樹脂の分子量を下げて高流動性を付与する必要があるが、製品強度が低下するという問題があった。また、加熱炉を使用した常圧発泡法では、粘度の温度依存性が大きいためにガス抜けが生じ、高倍率での発泡が困難であった。一方、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体は、直鎖状の分子構造を有しており、マグネシウムとチタンを含有する固体触媒成分および有機アルミニウム化合物からなるチーグラー型触媒、あるいはシクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物、これと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および/または有機金属化合物からなる触媒で重合される直鎖状ポリエチレンとして知られている。このような直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、高圧法LDPEと比較して破断強度が優れており、同じメルトフローレート(以下MFRと略す)のLDPEに比べ、低せん断領域の溶融せん断粘度が低く、温度の粘度依存性も小さいといった特徴がある。しかしながら、従来使用されていた直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は分岐度分布が存在し、分子量分布もある程度広いことから、同様の方法で粉体発泡成形を行うと未溶融部の多発による表面肌荒れが生じ、また発泡倍率にもばらつきが生じ、実用に耐えないものとなっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような課題の解決、すなわち賦形時の圧力およびせん断力がほとんどかからない状態でも高流動性を保ち、かつ発泡倍率が3倍を越え、発泡セルが均一で、表面が均一な発泡成形体を得る組成物について鋭意検討した結果、粉末成形法により成型品の残留歪みやそりがなく、シャープなエッジやオーバーハングを有している複雑な形状の高倍率の発泡成形体を製造できる組成物を見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の分子量分布と分岐度分布を有する直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体をゲルが生成しない特定の範囲でラジカル開始剤と反応させたものと発泡剤からなる組成物を粉砕して粉体とし、それを粉体成形することにより上記の課題を解決できることを見い出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンを共重合させて得られる、密度が0.850〜0.980g/cm3の範囲で、GPCより求められる分子量分布が3以下で、JIS K 7210条件4による190℃,2160gでのメルトフローレートが10g/10分を越えて40g/10分以下である直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体であり、動的粘弾性の周波数依存性から得られる貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)の値が一致する周波数(fc)からfc/10までの周波数領域におけるG’の傾きS(S=ΔlogG’/Δlogfc)が0.7<S<0.9であり、160〜220℃の範囲で求めた流動の活性化エネルギーΔHが35〜50kJ/molである樹脂と熱分解型発泡剤からなることを特徴とする発泡性ポリオレフィン樹脂パウダー組成物、それよりなる発泡成形体およびその製造方法に関する。
【0009】
GPCより求められる分子量分布が3を越えると低分子量成分が増加し、製品の粘着性が増加して製品不良となるばかりでなく、高分子量成分も増加するため流動性が低下し、表面荒れが生じ好ましくない。また、JIS K 7210条件4による190℃,2160gでのメルトフローレートが10g/10分以下であると樹脂の粘度が高く、粉体成形が困難となる。また、メルトフローレートが40g/10分を越えると発泡成形体の物性が低下し、好ましくない。
【0010】
また、動的粘弾性の周波数依存性から得られる貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)の値が一致する周波数(fc)からfc/10までの周波数領域におけるG’の傾きS(S=ΔlogG’/Δlogfc)が0.7以下であると流動性が低下し、製品表面に荒れが発生して使用不可能となり、発泡時の収縮が大きく高発泡が困難となる。また、0.9以上であると発泡時にガスが抜けて発泡成形が困難となる。
【0011】
一方、流動の活性化エネルギーが50kJ/molを越えると溶融時の粘度の温度依存性が大きく、良好な発泡状態を有する製品が得られる成形加工温度範囲が非常に狭くなる。また、流動の活性化エネルギーが35kJ/mol未満であると発泡時にガスを保持できずに破泡する。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明に使用される直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とは、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体であって、密度が0.850〜0.980g/cm3、GPCより求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下、JIS K 7210条件4に従って、190℃,2160gの荷重下に測定されたメルトフローレート(MFR)が10g/10分を越えて40g/10分以下のものである。
【0014】
本発明でいう分子量分布(Mw/Mn)は、具体的には以下のごとく求める。
【0015】
ウオーターズ社製 150C ALC/GPC(カラム:東ソー製 GMHHR−H(S)、溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン)を使用して、GPC法により、MwおよびMnを測定し、Mw/Mnを算出した。なお、東ソー製標準ポリスチレンを用いて、ユニバーサルキャリブレーション法によりカラム溶出体積は校正した。
【0016】
このような直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、以下に例示するような公報に開示されている方法によって製造することができる。
【0017】
特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開平3−163088号公報、特開昭61−296008号公報、特開昭63−22804号公報、特開昭58−19309号公報、特願昭60−00862号公報、特開昭63−61010号公報、特開昭63−152608号公報、特開昭63−264606号公報、特開昭63−280703号公報、特開昭64−6003号公報、特開平1−95110号公報、特開平3−62806号公報、特開平1−259004号公報、特開昭64−45406号公報、特開昭60−106808号公報、特開昭60−137911号公報、特開昭61−296008号公報、特許公表63−501369号公報、特開昭61−221207号公報、特開平2−22307号公報、特開平2−173110号公報、特開平2−302410号公報、特開平1−129003号公報、特開平1−210404号公報、特開平3−66710号公報、特開平3−70710号公報、特開平1−207248号公報、特開昭63−222177号公報、特開昭63−222178号公報、特開昭63−222179号公報、特開平1−12407号公報、特開平1−301704号公報、特開平1−319489号公報、特開平3−74412号公報、特開昭61−264010号公報、特開平1−275609号公報、特開昭63−251405号公報、特開昭64−74202号公報、特開平2−41303号公報、特開平131488号公報、特開平3−56508号公報、特開平3−70708号公報、特開平3−70709号公報などが挙げられる。
【0018】
このような直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、(a)遷移金属化合物、(b)イオン化化合物および/または(c)有機アルミニウム化合物からなるオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンとα−オレフィンを共重合させる方法によって製造することができる。
【0019】
上記触媒を用いて、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンを共重合させ、直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体を製造する条件を以下に述べる。
【0020】
炭素数3〜12のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどを挙げることができる。
【0021】
重合方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、塊状重合法、高圧重合法、気相重合法等が挙げられる。
【0022】
本発明においては、上記の方法で製造された直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体に、ラジカル発生剤を添加し、ラジカル発生剤を分解して反応させたものを使用する。
【0023】
本発明で用いるラジカル発生剤としては、有機過酸化物、例えばハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類などが好ましく、中でも1分半減期を与える分解温度が90℃を越えるものが好適である。
【0024】
具体的な例示として、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ(t−ブチル)パーオキサイド、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(t−ブチル)パーオキシフタレート等が挙げられる。
【0025】
反応させる方法は、如何様な手段を採用しても良いが、具体的な例を示すと以下のような方法が挙げられる。
【0026】
1)重合終了後、上記共重合体をペレット化する時点でラジカル発生剤を同時にフィードして溶融押出反応させる。
【0027】
2)ラジカル発生剤を大量に含んだマスターバッチをあらかじめ作っておき、そのマスターバッチと上記共重合体ペレットをブレンドして押し出し、反応させる。
【0028】
このような方法で得られた直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体に酸化防止剤を添加して、さらに溶融混練させる。
【0029】
溶融混練させる方法としては、いかなる手段を採用しても良いが、具体的な例を示すと以下のような方法が挙げられる。
【0030】
1)押出機、バンバリーミキサー、ロールミル等の混練機を使用して、上記重合体に酸化防止剤を添加する。
【0031】
2)酸化防止剤を大量に含んだマスターバッチをあらかじめ作っておき、そのマスターバッチと上記共重合体ペレットを溶融混練する。
【0032】
使用される酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤および燐系酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、モノフェノール系、チオビスフェノール系、トリスフェノール系等の酸化防止剤が挙げられ、さらに具体的に例示すると、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)アニリノ)−1,3,5−トリアジン(例えば、日本チバガイギー(株)より商品名イルガノックス565として市販されている。)、オクタデシル−3−(3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、日本チバガイギー(株)より商品名イルガノックス1076として市販されている)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート(例えば、日本チバガイギー(株)より商品名イルガノックス3114として市販されている。)などが挙げられ、これらは単独または2以上の混合物として用いられる。また、燐系酸化防止剤を具体的に例示すると、トリス(2,4−ジ(t−ブチル)フェニル)フォスファイト(例えば、日本チバガイギー(株)より商品名イルガフォス168として市販されている。)、テトラキス(2,4−ジ(t−ブチル)フェニル)−4,4’−ビフェニレンフォスフォナイト(例えば、日本チバガイギー(株)より商品名イルガフォス P−EPQ FFとして市販されている)、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト(例えば、旭電化(株)より商品名MARK 1178として市販されている。)などが挙げられ、単独またはこれらの混合物として用いられる。
【0033】
また、本発明に用いる熱分解型発泡剤は、樹脂の加熱溶融時に分解してガスを発生するものであれば特に制限はなく、一般の有機系または無機系の化学発泡剤が使用できる。具体的には、アゾジカルボンアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、ジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼン−1,3−スルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルフォニルヒドラジド、ジフェニルオキシド−4,4’−ジスルフォニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルフォニルヒドラジド)、パラトルエンスルフォニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルフタルアミド等のニトロソ化合物、テレフタルアジド、p−t−ブチルベンズアジド等のアジド化合物、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等の炭酸化合物が挙げられ、これらの少なくとも一種が用いられる。この中でもアゾジカルボンアミドおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)が好ましいが、特に4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)が好ましい。
【0034】
本発明に用いる熱分解型発泡剤は、その分解温度が通常120〜200℃のものであり、120〜180℃のものが好ましい。
【0035】
また、熱分解型発泡剤の分解温度を低下させる目的で、発泡促進剤または発泡助剤を用いることもできる。発泡促進剤または発泡助剤としては、例えば、亜鉛華、硝酸亜鉛、フタル酸鉛、炭酸鉛、三塩化リン酸塩、三塩基性硫酸鉛等の無機塩、亜鉛脂肪酸石鹸、鉛脂肪酸石鹸、カドミウム脂肪酸石鹸等の金属石鹸、ほう酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸等の酸類、尿素、エタノールアミン、グルコースおよびグリセリン等が挙げられる。
【0036】
一方、熱分解型発泡剤の分解温度を上げる目的で、発泡抑制剤を用いることもできる。発泡抑制剤としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等の有機酸、ステアロイルクロリド、フタロイルクロリド等のハロゲン化有機酸、ハイドロキノン等の多価アルコール、脂肪酸アミン、アミド、オキシム、イソシアネート等の含有機硫黄化合物、亜リン酸塩化物等のリン酸塩、ジブチルスズマレート、塩化スズ、硫酸スズ等のスズ化合物、その他ヘキサクロロペンタジエン等が挙げられる。
【0037】
なお、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の任意成分を添加することができる。他の任意成分としては、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム、エチレン・ブテン共重合体ゴム等のエチレン系共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、タルク、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム等の充填剤、難燃剤、各種の顔料などを配合することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明の発泡性ポリオレフィン樹脂パウダー組成物は、賦形時のせん断がほとんどない状態でも高流動性を示し、直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の優れた物性を維持したまま、3倍以上の発泡倍率が得られる。また、本発明の発泡成形体は、残留歪みやそりがなく、シャープなエッジやオーバーハングを持った複雑な形状をした、発泡セルが均一で、表面状態の良好なものであり、各種容器、家電外装材、自動車内装材等に使用可能である。また、各種熱可塑性エラストマーとの多層化も可能であり、皮シボ模様付きのドアライナー、インストロメントパネル、アームレスト等の高級感のある自動車内装材にも使用可能である。
【0039】
【実施例】
以下、本発明について実施例により説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、流動の活性化エネルギーΔHは、下記の方法により測定した。
【0040】
(動的粘弾性の測定)
非共振型強制振動法に基づく測定装置である粘弾性測定アナライザー DVE−V4(レオロジ(株))を使用し、スリット型冶具を用いて、測定周波数0.16〜400Hz、測定温度は160℃、190℃、220℃の各温度で動的粘弾性の周波数依存性を測定し、190℃を基準温度として貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)のマスターカーブを作成した。なお、歪みは1%以下の線形領域で測定した。
【0041】
この測定において、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)を測定した。
【0042】
(流動の活性化エネルギー)
測定温度160〜220℃の範囲で、シフトファクター(aT)の温度依存性の曲線から活性化エネルギーを求めた。
【0043】
(発泡成形体の外観)
発泡成形体を目視により観察し、下記のように評価した。
【0044】
○:厚みのムラがなく、均一に発泡している。
【0045】
△:厚みのムラが若干あるが、ほぼ均一に発泡している。
【0046】
×:厚みのムラが大きく、不均一に発泡している。
【0047】
(発泡成形体セルの状態)
○:セルが均一である。
【0048】
△:セルがやや不均一である。
【0049】
×:セルが不均一である。
【0050】
(発泡倍率)
発泡倍率は、次式により算出した。
【0051】
発泡倍率=非発泡成形体の密度/発泡成形体の密度
参考例1
溶媒として脂肪族系炭化水素(IPソルベント1620(出光石油化学社製))600mlと1−ヘキセン 100mlを攪拌装置を備えた1lのステンレス製反応器に加え、反応器の温度を140℃に設定した。そして、この反応器に圧力が20kg/cm2となるようにエチレンを供給し、備え付けの攪拌装置を1500rpmの回転数で稼働した。触媒として、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド 0.25μmol、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 0.3μmol、トリイソプロピルアルミニウム62.5μmolを前記反応器に供給した。
【0052】
エチレンを供給することによって、反応器内圧力を20kg/cm2に保ち、重合温度を180℃に設定して10分間攪拌し、共重合反応を行った。得られた重合体を減圧下、50℃で10時間乾燥した。その結果、30gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が得られた。得られたポリマーは、密度が0.900g/cm3、MFRが20g/10分、GPCによるMw/Mnは1.8であった。
【0053】
参考例2
重合温度を200℃に設定した以外は、参考例1に従って行った。得られたポリマーは、密度が0.900g/cm3、MFRが30g/10分、GPCによるMw/Mnは1.8であった。
【0054】
実施例1
参考例1で得られた密度が0.900g/cm3、MFRが20g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.8であるエチレン・1−ヘキセン共重合体ペレットに、ラジカル発生剤としてパーブチル−P(1分半減期を与える分解温度176℃)を100ppm添加し、240℃で溶融混練してペレット化した。上記の物性値は、反応の前後でほとんど変化が見られなかった。
【0055】
このペレットに、酸化防止剤としてイルガノックス1076を2000ppmとPEP−Qを500ppm添加し、240℃で溶融混練してペレット化した。この時のペレットの物性を表にまとめた。
【0056】
この樹脂100重量部に対して、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド) 8重量部を添加し、2軸押出機で溶融混練してペレット化した後、ターボミルを用いて機械粉砕して発泡性ポリオレフィン樹脂パウダーを作成した。このパウダーの99重量%が、タイラー標準篩の32メッシュ篩を通過した。
【0057】
250℃のギヤオーブン中でニッケル製平板金型を加熱した。金型の表面温度が200℃になった時、上記粉末成型用発泡性ポリオレフィン樹脂パウダーを10秒間ふりかけた。過剰のパウダーを排出した後、この金型を180℃のギヤオーブンに入れ、90秒間加熱し、組成物を発泡させた。つぎに金型をギアオーブンから取り出し、水冷して発泡成形体を金型から取り出した。発泡成形体の評価結果を表にまとめた。
【0058】
実施例2
参考例2で得られた密度が0.900g/cm3、MFRが30g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.8であるエチレン・1−ヘキセン共重合体ペレットに、ラジカル発生剤としてパーブチル−P(1分半減期を与える分解温度176℃)を100ppm添加し、240℃で溶融混練してペレット化した。上記の物性値は、反応の前後でほとんど変化が見られなかった。
【0059】
このペレットに、酸化防止剤としてイルガノックス1076を2000ppmとPEP−Qを500ppm添加し、240℃で溶融混練してペレット化した。この時のペレットの物性を表にまとめた。
【0060】
この樹脂100重量部に対して、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド) 8重量部を添加し、2軸押出機で溶融混練してペレット化した後、ターボミルを用いて機械粉砕して発泡性ポリオレフィン樹脂パウダーを作成した。このパウダーの99重量%が、タイラー標準篩の32メッシュ篩を通過した。
【0061】
250℃のギヤオーブン中でニッケル製平板金型を加熱した。金型の表面温度が200℃になった時、上記粉末成型用発泡性ポリオレフィン樹脂パウダーを10秒間ふりかけた。過剰のパウダーを排出した後、この金型を180℃のギヤオーブンに入れ、90秒間加熱し、組成物を発泡させた。つぎに金型をギアオーブンから取り出し、水冷して発泡成形体を金型から取り出した。発泡成形体の評価結果を表にまとめた。
【0062】
比較例1
参考例1で得られた密度が0.900g/cm3、MFRが20g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.8であるエチレン・1−ヘキセン共重合体ペレットに、酸化防止剤としてイルガノックス1076を2000ppmとPEP−Qを500ppm添加し、240℃で溶融混練してペレット化した。このペレットの物性を表にまとめた。
【0063】
この樹脂100重量部に対して、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド) 8重量部を添加し、2軸押出機で溶融混練してペレット化した後、ターボミルを用いて機械粉砕して発泡性ポリオレフィン樹脂パウダーを作成した。このパウダーの99重量%が、タイラー標準篩の32メッシュ篩を通過した。
【0064】
250℃のギヤオーブン中でニッケル製平板金型を加熱した。金型の表面温度が200℃になった時、上記粉末成型用発泡性ポリオレフィン樹脂パウダーを10秒間ふりかけた。過剰のパウダーを排出した後、この金型を180℃のギヤオーブンに入れ、90秒間加熱し、組成物を発泡させた。つぎに金型をギアオーブンから取り出し、水冷して発泡成形体を金型から取り出した。発泡成形体の評価結果を表にまとめた。
【0065】
比較例2
チーグラー型触媒を用いて重合された、密度が0.900g/cm3、MFRが20g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=5であるエチレン・1−ヘキセン共重合体ペレットに、ラジカル発生剤としてパーブチル−P(1分半減期を与える分解温度176℃)を100ppm添加し、240℃で溶融混練してペレット化した。上記の物性値は、反応の前後でほとんど変化が見られなかった。
【0066】
このペレットに、酸化防止剤としてイルガノックス1076を2000ppmとPEP−Qを500ppm添加し、240℃で溶融混練してペレット化した。この時のペレットの物性を表にまとめた。
【0067】
この樹脂100重量部に対して、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド) 8重量部を添加し、2軸押出機で溶融混練してペレット化した後、ターボミルを用いて機械粉砕して発泡性ポリオレフィン樹脂パウダーを作成した。このパウダーの99重量%が、タイラー標準篩の32メッシュ篩を通過した。
【0068】
250℃のギヤオーブン中でニッケル製平板金型を加熱した。金型の表面温度が200℃になった時、上記粉末成型用発泡性ポリオレフィン樹脂パウダーを10秒間ふりかけた。過剰のパウダーを排出した後、この金型を180℃のギヤオーブンに入れ、90秒間加熱し、組成物を発泡させた。つぎに金型をギアオーブンから取り出し、水冷して発泡成形体を金型から取り出した。発泡成形体の評価結果を表にまとめた。
【0069】
比較例3
幾何拘束触媒(コンストレインド・ジオメトリー・キャタリスト)を用いて重合され、主鎖に長鎖分岐が選択的に導入された、密度が0.900g/cm3、MFRが8g/10分、GPCによる分子量分布(Mw/Mn)=1.9であるエチレン・1−オクテン共重合体ペレット(ダウケミカル製 アフィニティーPT1450)を使用した。このペレットの物性を表にまとめた。
【0070】
この樹脂100重量部に対して、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド) 8重量部を添加し、2軸押出機で溶融混練してペレット化した後、ターボミルを用いて機械粉砕して発泡性ポリオレフィン樹脂パウダーを作成した。このパウダーの99重量%が、タイラー標準篩の32メッシュ篩を通過した。
【0071】
250℃のギヤオーブン中でニッケル製平板金型を加熱した。金型の表面温度が200℃になった時、上記粉末成型用発泡性ポリオレフィン樹脂パウダーを10秒間ふりかけた。過剰のパウダーを排出した後、この金型を180℃のギヤオーブンに入れ、90秒間加熱し、組成物を発泡させた。つぎに金型をギアオーブンから取り出し、水冷して発泡成形体を金型から取り出した。発泡成形体の評価結果を表にまとめた。
【0072】
【表1】
Figure 0004228094

Claims (4)

  1. (A)下記(a)〜(e)の特性を有し、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンからなる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体100重量部と(B)熱分解型発泡剤1〜20重量部からなる発泡性ポリオレフィン樹脂パウダー組成物。
    (a)GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)より求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下、
    (b)密度が0.850〜0.980g/cm
    (c)190℃,2160gの荷重で測定したメルトフローレートが10g/10分を越えて40g/10分以下、
    (d)動的粘弾性の周波数依存性から得られる貯蔵弾性率
    (G’)と損失弾性率(G’’)の値が一致する周波数(fc)からfc/10までの周波数領域におけるG’の傾きS(S=ΔlogG’/Δlogfc)が0.7<S<0.9、
    (e)160〜220℃の範囲で求めた流動の活性化エネルギーΔHが35〜50kJ/mol。
  2. (B)熱分解型発泡剤がアゾ化合物またはスルホニルヒドラジド化合物であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリオレフィン樹脂パウダー組成物。
  3. 請求項1または2に記載の発泡性ポリオレフィン樹脂パウダー組成物を発泡成形して得られる発泡成形体。
  4. 請求項1または2に記載の発泡性ポリオレフィン樹脂パウダー組成物を粉末成形機で成形し、加熱発泡させることを特徴とする発泡成形体の製造方法。
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