JP4226090B2 - 抄紙方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄紙方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、歩留り、ろ水性、搾水性、紙力が向上し難い塩類濃度の高いパルプスラリーの抄紙に際して、ろ水性、搾水性、歩留り、紙力増強効果を顕著に向上することができる抄紙方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製紙工業は、用水を大量に使用するので、典型的な用水型産業と言われている。使用される用水の用途は多岐にわたるが、使用量の多いのは、原料、半製品、製品が直接触れる用水であり、この水質の良否と使用量の多寡によって、製品の品質が影響される。しかし、わが国では、産業の発展と生活様式の変化に伴い、水資源は貴重になって、大量の新水の使用が制約を受けるようになってきた。
製紙工場では、これまで大量の水を抄紙工程に用いて紙の生産が行われていたが、節水対策に伴い、抄紙機のクローズド化が進んできた。また、塩類濃度の高い地下水の利用を余儀なくされる場合も生じてきた。クローズド化により循環水の塩類濃度が濃縮されたり、塩類濃度の高い用水を用いた場合には、従来の歩留り向上剤や紙力増強剤では、薬剤効果が劣り、十分な歩留りや紙力増強が見られなくなってきている。
このために、電気伝導率が2,000μS/cm以上であるような塩類濃度が高いパルプスラリーを用いても、ろ水性と搾水性が良好であり、歩留り率が高く、強度の大きい製品が得られる抄紙方法が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塩類濃度の高いパルプスラリーからの抄紙に際して、ろ水性、搾水性、歩留り、紙力増強効果を顕著に向上することができる抄紙方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アミジン単位又はアミン単位を有する特定の構造のカチオン性ポリマーが、塩類濃度の高いパルプスラリーの抄紙において、凝集性を顕著に向上し、紙力の増強にも有効であることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)電気伝導率が , 100〜11 , 200μS/cmである塩類濃度の高いパルプスラリーを抄紙する際に、一般式[1]及び/又は一般式[2]で示されるアミジン単位を有するカチオン性ポリマーを添加することを特徴とする抄紙方法、
【化3】
Figure 0004226090
(ただし、式中、R1及びR2は水素又はメチル基でありX-は塩形成アニオン基である。)、及び、
(2)電気伝導率が , 100〜11 , 200μS/cmである塩類濃度の高いパルプスラリーを抄紙する際に、一般式[3]及び/又は一般式[4]で示されるアミン単位40〜80モル%を有するカチオン性ポリマーを添加することを特徴とする抄紙方法、
【化4】
Figure 0004226090
(ただし、式中、R3は水素又はメチル基であり、Y-は塩形成アニオン基である。)、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の抄紙方法は、電気伝導率が2,000μS/cm以上である塩類濃度の高いパルプスラリーの抄紙に適用することができる。このように塩類濃度が高いパルプスラリーは、従来の歩留り向上剤や紙力増強剤を用いた抄紙方法では、凝集性、搾水性、紙力増強効果などが悪く、プレス脱水処理や製品の高品質化が困難とされている。電気伝導率が2,000μS/cm以上である塩類濃度の高いパルプスラリーの抄紙としては、例えば、クローズド化されたマシンを用いる抄紙や、塩類濃度の高い地下水を利用する工場のマシンにおける抄紙などを挙げることができる。
本発明方法においては、電気伝導率が2,000μS/cmである塩類濃度の高いパルプスラリーを抄紙する際に、一般式[1]及び/又は一般式[2]で示されるアミジン単位を有するカチオン性ポリマー、あるいは、一般式[3]及び/又は一般式[4]で示されるアミン単位を有するカチオン性ポリマーを添加する。
【化5】
Figure 0004226090
ただし、一般式[1]及び一般式[2]において、R1及びR2は水素又はメチル基であり、X-は塩形成アニオン基である。また、一般式[3]及び一般式[4]において、R3は水素又はメチル基であり、Y-は塩形成アニオン基である。
【0006】
一般式[1]及び一般式[2]で示されるアミジン単位を有するカチオン性ポリマーは、N−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミドとアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを共重合し、得られたコポリマーを加水分解及びアミジン化することによって得ることができる。N−ビニルカルボン酸アミドとしては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルブチルアミド、N−ビニルバレルアミドなどを挙げることができる。N−イソプロペニルカルボン酸アミドとしては、例えば、N−イソプロペニルホルムアミド、N−イソプロペニルアセトアミド、N−イソプロペニルプロピオンアミド、N−イソプロペニルブチルアミド、N−イソプロペニルバレルアミドなどを挙げることができる。また、必要に応じて、N−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミド及びアクリロニトリル又はメタクリロニトリルと共重合可能な他のモノマーを共重合することができる。
本発明において、必要に応じて、一般式[1]又は一般式[2]で示されるアミジン単位を有するカチオン性ポリマーに共重合することができるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの三級塩又は四級アンモニウム塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの三級塩又は四級アンモニウム塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、アリルアミンなどを挙げることができる。
【0007】
N−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミドとアクリロニトリル又はメタクリロニトリルとを共重合する方法には特に制限はなく、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などを選ぶことができる。例えば、使用するモノマーも生成するコポリマーも水溶性であれば、水溶液重合が可能であり、モノマーを水に溶解し、雰囲気を不活性ガスで置換し、所定温度まで昇温したのち、重合開始剤を添加することにより、重合を進めてコポリマーを得ることができる。また、使用するモノマーの水への溶解度が小さいときは、懸濁重合、乳化重合などを用いることができる。乳化重合においては、水中にモノマー、乳化剤、重合開始剤などを加え、不活性ガス雰囲気中で、撹拌下に加熱することにより重合を進め、コポリマーを得ることができる。水溶液重合により得られたコポリマーは、そのまま水溶液の状態で、あるいは、水媒体から単離したのち、加水分解及びアミジン化反応に供することができる。使用する重合開始剤には特に制限はなく、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などを挙げることができるが、アゾ系化合物を特に好適に使用することができる。
N−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミドとアクリロニトリル又はメタクリロニトリルのコポリマーの水溶液又は水分散液を、酸又はアルカリの存在下に加熱することにより、コポリマー中の酸アミド単位を加水分解してアミン単位とし、さらにアミン単位と隣接するニトリル単位との反応により一般式[1]又は一般式[2]で示されるアミジン単位を生成するアミジン化反応を行うことができる。コポリマーの構造と目的とする加水分解率及びアミジン化率に応じて、反応条件を適宜選択することができる。通常は上記のコポリマーを5〜80重量%の水溶液又は水分散液とし、酸又はアルカリを加えて40〜100℃に加熱することにより加水分解及びアミジン化反応を行うことができる。
【0008】
酸による加水分解及びアミジン化反応を行うことにより、得られるカチオン性ポリマーのアミノ基はアンモニウム塩を形成し、一般式[1]で示されるアミジン単位となる。加水分解に使用する酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸などを挙げることができ、一般式[1]におけるX-は、Cl-、NO3 -、HSO4 -、CH3COO-などとなる。アルカリによる加水分解及びアミジン化反応を行うことにより、得られるカチオン性ポリマーは遊離のアミノ基を有し、一般式[2]で示されるアミジン単位となる。加水分解に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができる。
本発明において、カチオン性ポリマー中の一般式[1]又は一般式[2]で示されるアミジン単位は、コポリマー中の全構造単位の35〜95モル%であることが好ましく、40〜80モル%であることがより好ましい。本発明に用いるアミジン単位を有するカチオン性コポリマーは、高分子量であることが好ましく、分子量の指標となる1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が1dl/g以上であることが好ましく、3dl/g以上であることがより好ましい。
【0009】
一般式[3]又は一般式[4]で示されるアミン単位を有するカチオン性ポリマーは、N−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミドを重合し、得られたポリマーを加水分解することによって得ることができる。N−ビニルカルボン酸アミドとしては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルブチルアミド、N−ビニルバレルアミドなどを挙げることができる。N−イソプロペニルカルボン酸アミドとしては、例えば、N−イソプロペニルホルムアミド、N−イソプロペニルアセトアミド、N−イソプロペニルプロピオンアミド、N−イソプロペニルブチルアミド、N−イソプロペニルバレルアミドなどを挙げることができる。また、必要に応じて、N−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミドと共重合可能な他のモノマーを共重合することができる。
本発明において、必要に応じて、一般式[3]又は一般式[4]で示されるアミン単位を有するカチオン性ポリマーに共重合することができるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの三級塩又は四級アンモニウム塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの三級塩又は四級アンモニウム塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、アリルアミンなどを挙げることができる。
【0010】
N−ビニルカルボン酸アミド又はN−イソプロペニルカルボン酸アミドを重合する方法には特に制限はなく、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などを選ぶことができる。得られたポリマーの水溶液又は水分散液を酸又はアルカリの存在下に加熱することにより、酸アミド単位を加水分解して一般式[3]又は一般式[4]で示されるアミン単位とすることができる。通常は上記のポリマーを5〜80重量%の水溶液又は水分散液とし、酸又はアルカリを加えて40〜100℃に加熱することにより加水分解を行うことができる。酸による加水分解の場合には、得られるカチオン性ポリマーのアミノ基はアンモニウム塩を形成し、一般式[3]で示されるアミン単位となる。加水分解に使用する酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸などを挙げることができ、一般式[3]におけるY-は、Cl-、NO3 -、HSO4 -、CH3COO-などとなる。アルカリによる加水分解を行うことにより、得られるカチオン性ポリマーは遊離のアミノ基を有し、一般式[4]で示されるアミン単位となる。加水分解に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができる。
本発明に用いるアミン単位を有するカチオン性ポリマーにおいて、一般式[3]又は一般式[4]で示されるアミン単位は、ポリマー中の全構造単位の10〜95モル%であることが好ましく、40〜80モル%であることがより好ましい。アミン単位を有するカチオン性ポリマーは、高分子量であることが好ましく、分子量の指標となる1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が1dl/g以上であることが好ましく、3dl/g以上であることがより好ましい。
【0011】
本発明において、一般式[1]又は一般式[2]で示されるアミジン単位を有するカチオン性ポリマー及び一般式[3]又は一般式[4]で示されるアミン単位を有するカチオン性ポリマーは、1種類を単独で使用することができ、あるいは、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明において、一般式[1]又は一般式[2]で示されるアミジン単位を有するカチオン性ポリマー及び一般式[3]又は一般式[4]で示されるアミン単位を有するカチオン性ポリマーは、加水分解とアミジン化又は加水分解を終了した水溶液のまま、あるいは濃縮又は希釈して、パルプスラリーに添加することができ、さらには、カチオン性ポリマーの水溶液をアセトンなどの有機溶媒と混合し、カチオン性ポリマーを沈殿せしめたのち、分離、乾燥して粉末化し、あるいはエマルジョンなどとしてパルプスラリーに添加することもできる。
本発明方法において、塩類濃度の高いパルプスラリーに添加する一般式[1]及び/又は一般式[2]で示されるアミジン単位を有するカチオン性ポリマー並びに一般式[3]及び/又は一般式[4]で示されるアミン単位を有するカチオン性ポリマーの添加量には特に制限はないが、通常はパルプに対して0.005〜0.5重量%となるように添加することが好ましい。
本発明方法においては、必要に応じて、一般式[1]及び/又は一般式[2]で示されるアミジン単位を有するカチオン性ポリマー、あるいは、一般式[3]及び/又は一般式[4]で示されるアミン単位を有するカチオン性ポリマーに、他のカチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、アニオン性ポリマーなどを組み合わせて添加することができる。他のカチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、アニオン性ポリマーなどは、アミジン単位又はアミン単位を有するカチオン性ポリマーと別々にパルプスラリーに添加することができ、あるいは、他のカチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、アニオン性ポリマーなどをアミジン単位又はアミン単位を有するカチオン性ポリマーに加えて混合1液型の薬剤として添加することができる。また、これらのポリマーと、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、スルファミン酸などの脱水処理に悪影響を及ぼさない他の成分を併用することもできる。さらに、任意の公知の無機添加剤や有機性の添加剤を併用することもできる。併用する無機添加剤としては、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸鉄などを挙げることができる。
【0012】
本発明方法において、アミジン単位又はアミン単位を有するカチオン性ポリマーが、塩類濃度の高いパルプスラリーを抄紙するに際して、優れた凝集性、搾水性、紙力増強効果を発揮する作用機構の詳細は明らかではないが、以下のように考えられる。すなわち、本発明方法に使用するカチオン性ポリマーのカチオン基はいずれも一級アミンであり、従来のカチオン性歩留り向上剤とは異なっている。このため、本発明方法に用いるカチオン性ポリマーは、従来のカチオン性製紙用添加剤と異なり、パルプのアニオン基に対して強い引力を有する。そのため、本発明方法に用いるカチオン性ポリマーは、塩類濃度の高いパルプスラリー中においても十分にパルプスラリー中のパルプのアニオン基と反応し、その結果、優れた凝集性、搾水性、紙力増強効果を発揮するものと考えられる。さらに、一般式[1]及び/又は一般式[2]で示されるアミジン単位を有するカチオン性ポリマーは、アミジン環などの疎水性基も強く影響し、塩類濃度の高いパルプスラリー中で主鎖が収縮するに伴って、パルプを凝集させるものと考えられる。
【0013】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例において用いたポリマーを第1表に示す。
【0014】
【表1】
Figure 0004226090
【0015】
実施例及び比較例においては、製紙工場において採取したライナA用のパルプスラリー及びこれに塩化ナトリウムを添加した試料3点を用いた。ライナA用のパルプスラリーは、SS0.8重量%、pH6.7、ゼータ電位−6.3mV、電気伝導率1,020μS/cmであった(試料1)。また、塩化ナトリウムを添加した試料の電気伝導率は、それぞれ2,100μS/cm(試料2)、5,400μS/cm(試料3)及び11,200μS/cm(試料4)とした。各試料の電気伝導率を、第2表に示す。
【0016】
【表2】
Figure 0004226090
【0017】
また、評価は下記の方法に従って行った。
(1)ろ水試験及び搾水試験
パルプスラリー180mlを容量300mlのポリビーカーにとり、カチオン性ポリマーの0.1重量%水溶液を添加し、タービン羽根を備えた撹拌機を用いて、250rpmで20秒間撹拌を行い、パルプスラリーを凝集させる。
次いで、プラスチックワイヤを敷いたろ過器に凝集させたパルプスラリーを注ぎ込み、10秒後のろ水量を測定する。さらに、上部のパルプスラリーの含水率が90重量%になるまで吸引し、その湿紙を2枚のプラスチックワイヤで挟み、3kg/cm2の圧力をかけて60秒間プレスし、プレス後の含水率を測定する。
(2)歩留り試験
パルプスラリー2リットルをダイナミック・リテンション・テスター(DRT)にとり、カチオン性ポリマーの0.1重量%水溶液を加え、1,000rpmで20秒間撹拌したのち、コックを開く。ワイヤを通って流出するろ液の最初の200mlを採取し、そのうちの100mlをはかりとってそのSSを測定し、歩留り率を算出する。
(3)破裂強さ試験
JIS P 8209に従って調製した坪量約170g/m2の手すき紙について、JIS P 8131に従って、ミューレン高圧形試験機により比破裂強さ(kgf/cm2・m2/g)を測定する。
実施例1
各試料に、ポリマーA(N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルのモル比5:5のコポリマーの加水分解物、アミジン単位60モル%)を濃度が150mg/kgSSになるように添加して、ろ水試験、搾水試験及び歩留り試験を行った。10秒後のろ水量は、試料1が42.0ml、試料2が53.0ml、試料3が61.0ml、試料4が65.0mlであった。プレス後の含水率は、試料1が52.7重量%、試料2が53.3重量%、試料3が52.7重量%、試料4が51.0重量%であった。歩留り率は、試料1が66.2重量%、試料2が68.2重量%、試料3が74.1重量%、試料4が79.4重量%であった。
実施例2
各試料に、ポリマーB(ポリ−N−ビニルホルムアミドの加水分解物、アミン単位50モル%)を濃度が150mg/kgSSになるように添加して、ろ水試験、搾水試験及び歩留り試験を行った。
比較例1
各試料に、ポリマーD(ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル四級化物とアクリルアミドのモル比2:8のコポリマー)を濃度が150mg/kgSSになるように添加して、ろ水試験、搾水試験及び歩留り試験を行った。
10秒後のろ水量は、試料1が48.0ml、試料2が43.0ml、試料3が41.0ml、試料4が32.0mlであった。プレス後の含水率は、試料1が53.9重量%、試料2が54.1重量%、試料3が55.0重量%、試料4が52.5重量%であった。歩留り率は、試料1が66.2重量%、試料2が64.8重量%、試料3が63.0重量%、試料4が62.9重量%であった。
比較例2
各試料に、ポリマーE(ポリアクリルアミド)を濃度が150mg/kgSSになるように添加して、ろ水試験、搾水試験及び歩留り試験を行った。
比較例3
各試料に、ポリマーF(ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化ベンジル四級化物とアクリルアミドのモル比15:85のコポリマー)を濃度が150mg/kgSSになるように添加して、ろ水試験、搾水試験及び歩留り試験を行った。比較例4
各試料に、カチオン性ポリマーを添加することなく、ろ水試験、搾水試験及び歩留り試験を行った。
実施例1〜2及び比較例1〜4のろ水試験の結果を第3表に、搾水試験の結果を第4表に、歩留り試験の結果を第5表に示す。
【0018】
【表3】
Figure 0004226090
【0019】
【表4】
Figure 0004226090
【0020】
【表5】
Figure 0004226090
【0021】
ろ水試験においては、第3表に見られるように、ポリマーDを用いた比較例1とポリマーEを用いた比較例2では、試料の電気伝導率が高くなるほど10秒後のろ水量が少なく、ポリマーFを用いた比較例3では、10秒後のろ水量は試料の電気伝導率に影響されずほぼ一定であるのに対して、アミジン単位を有するポリマーAを用いた実施例1とアミン単位を有するポリマーBを用いた実施例2では、試料の電気伝導率が高くなるほど10秒後のろ水量が顕著に増大し、塩類濃度の高いパルプスラリーほどろ水性が向上するという特異な現象が認められる。第4表の搾水試験の結果には、ろ水試験ほどの明瞭な傾向は現れていないが、ポリマーD、E、Fを用いた比較例1、2、3よりも、アミジン単位を有するポリマーAを用いた実施例1とアミン単位を有するポリマーBを用いた実施例2の方がプレス後の含水率が低く、本発明方法は、搾水性の向上にも有効であることが分かる。
歩留り試験においては、第5表に見られるように、ポリマーDを用いた比較例1とポリマーEを用いた比較例2では、試料の電気伝導率が高くなるほど歩留り率が低くなり、ポリマーFを用いた比較例3では、歩留り率は試料の電気伝導率に影響されずほぼ一定であるのに対して、アミジン単位を有するポリマーAを用いた実施例1とアミン単位を有するポリマーBを用いた実施例2では、試料の電気伝導率が高くなるほど歩留り率が顕著に増大し、塩類濃度の高いパルプスラリーほど歩留りが向上するという特異な現象が認められる。
実施例3
各試料に、ポリマーA(N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルのモル比5:5のコポリマーの加水分解物、アミジン単位60モル%)を濃度が1,000mg/kgSSになるように添加し、手すき紙を調製して破裂強さ試験を行った。比破裂強さは、試料1から得られた紙が1.95kgf/cm2・m2/g、試料2から得られた紙が1.99kgf/cm2・m2/g、試料3から得られた紙が2.21kgf/cm2・m2/g、試料4から得られた紙が1.98kgf/cm2・m2/gであった。
実施例4
各試料に、ポリマーC(ポリ−N−ビニルホルムアミドの加水分解物、アミン単位50モル%)を濃度が1,000mg/kgSSになるように添加し、手すき紙を調製して破裂強さ試験を行った。
比較例5
各試料に、ポリマーG(ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル四級化物とアクリルアミドのモル比2:8のコポリマー)を濃度が1,000mg/kgSSになるように添加し、手すき紙を調製して破裂強さ試験を行った。
比破裂強さは、試料1から得られた紙が1.95kgf/cm2・m2/g、試料2から得られた紙が1.90kgf/cm2・m2/g、試料3から得られた紙が1.80kgf/cm2・m2/g、試料4から得られた紙が1.78kgf/cm2・m2/gであった。
比較例6
各試料に、ポリマーH(ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル四級化物とアクリルアミドのモル比1:9のコポリマー)を濃度が1,000mg/kgSSになるように添加し、手すき紙を調製して破裂強さ試験を行った。
比較例7
各試料に、ポリマーI(ポリアクリルアミドのホフマン分解物)を濃度が1,000mg/kgSSになるように添加し、手すき紙を調製して破裂強さ試験を行った。
比較例8
各試料に、カチオン性ポリマーを添加することなく、手すき紙を調製して破裂強さ試験を行った。
実施例3〜4及び比較例5〜8の結果を、第6表に示す。
【0022】
【表6】
Figure 0004226090
【0023】
第6表に見られるように、ポリマーGを用いた比較例5、ポリマーHを用いた比較例6及びポリマーIを用いた比較例7では、試料の電気伝導率が高くなるほど調製した手すき紙の比破裂強さが低くなっているのに対して、アミジン単位を有するポリマーAを用いた実施例3とアミン単位を有するポリマーCを用いた実施例4では、試料の電気伝導率が高い方が概して比破裂強さが高く、特に電気伝導率が5,400μS/cmの試料3から得られた手すき紙の比破裂強さが顕著に高いという特異な現象が認められる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の抄紙方法によれば、電気伝導率が2,000μS/cm以上の塩類濃度の高いパルプスラリーを抄紙するに際し、ろ水性と搾水性に優れ、歩留りが向上し、紙力増強効果が大きいなどの優れた効果がもたらされ、製品の高品質化と生産性の向上が可能となる。特に、本発明方法は、電気伝導率が低いパルプスラリーよりも、電気伝導率が高いパルプスラリーの方がより良好な結果が得られる点に特徴を有する。

Claims (2)

  1. 電気伝導率が , 100〜11 , 200μS/cmである塩類濃度の高いパルプスラリーを抄紙する際に、一般式[1]及び/又は一般式[2]で示されるアミジン単位を有するカチオン性ポリマーを添加することを特徴とする抄紙方法。
    Figure 0004226090
    (ただし、式中、R1及びR2は水素又はメチル基でありX-は塩形成アニオン基である。)
  2. 電気伝導率が , 100〜11 , 200μS/cmである塩類濃度の高いパルプスラリーを抄紙する際に、一般式[3]及び/又は一般式[4]で示されるアミン単位40〜80モル%を有するカチオン性ポリマーを添加することを特徴とする抄紙方法。
    Figure 0004226090
    (ただし、式中、R3は水素又はメチル基であり、Y-は塩形成アニオン基である。)
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