JP4224908B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロパイプ欠陥が閉塞された炭化珪素(SiC)単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
SiC単結晶を種結晶として、改良レーリー法(昇華法)にてSiC単結晶を製造する際、マイクロパイプ欠陥(中空貫通欠陥)と呼ばれる直径サブμm乃至数μmの中空貫通孔が略成長方向に沿って伸長し、成長結晶中に内在される。マイクロパイプ欠陥はデバイスの電気的特性に悪影響を与えるため、マイクロパイプ欠陥があるSiC単結晶はデバイス形成用の基板に適さない。このため、マイクロパイプ欠陥を低減することが重要な課題となっている。
【0003】
マイクロパイプ欠陥の低減方法として、米国特許第5,679,153号明細書や特許第2804860号公報や特許第2876122号公報に示される方法が提案されている。
【0004】
米国特許第5,679,153号明細書に示される方法は、シリコン中のSiC溶融を用いた液相エピタキシー法によって結晶成長させると、エピタキシャル成長途中でマイクロパイプ欠陥が閉塞されていくことを利用して、マイクロパイプ欠陥を有する種結晶(欠陥密度:50〜400cm-2)上にマイクロパイプ欠陥が低減されたエピタキシャル層(欠陥密度:0〜50cm-2)を成長させている。
【0005】
特許第2804860号公報に示される方法は、種結晶の成長面として(0001)面に垂直な面を使用することによって、アルカリエッチングに際し、六角形エッチピットが全く観察されない単結晶、つまりマイクロパイプ欠陥が存在しない単結晶を種結晶上に成長させている。
【0006】
特許第2876122号公報に示されている方法は、α(六方晶)−SiC単結晶基板(種結晶)の表面に、熱化学的蒸着(CVD)法によりβ(立方晶)−SiCもしくはα−SiCの多結晶膜の成膜と、それによって得られた複合体に対する熱処理とを複数回繰り返すことにより、複数層のβ−SiCもしくはα−SiC多結晶膜をα−SiC単結晶基板(種結晶)の結晶軸と同一方位に配向(ある種の固相エピタキシャル成長)させることによって、種結晶上にマイクロパイプ欠陥などの結晶欠陥のない高品質、かつ、高膜厚の単結晶SiCを成長させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した3つの方法は共に、種結晶上に新たな単結晶を成長させ、その成長層においてマイクロパイプ欠陥を低減するようにしている。
【0008】
このため、第1の方法では、マイクロパイプ欠陥が無い部分を得るために、液相エピタキシー法にて20〜75μm以上のエピタキシャル層を成長させなければならず、また、その範囲以下では、依然としてマイクロパイプ欠陥が存在するという問題がある。また、このように形成されたエピタキシャル層を種結晶として、再び昇華法によって単結晶成長を行うと、マイクロパイプ欠陥が閉塞された部分が薄いことから、その閉塞された部分が昇華して再びマイクロパイプ欠陥の開口部を生じる可能性があり、種結晶の試料調整や昇華法成長条件の適正化が困難であるという問題もある。
【0009】
一方、第2の方法では、マイクロパイプ欠陥の発生を抑制する点では効果があるが、成長させた単結晶に新たな積層欠陥が導入されるため、基板の電気的特性に異方性を生じ、電子デバイス用基板としては適さないという問題がある。
【0010】
他方、第3の方法では、α−SiC単結晶基板(種結晶)の表面にCVD法でβ−SiCもしくはα−SiC多結晶膜を形成するため、結晶粒界を内在したSiC複合体が得られる。この複合体を熱処理し、種結晶上に固相エピタキシャル成長させると、β−SiCもしくはα−SiC多結晶膜中の結晶子が派生成長(over growth)して明確な結晶粒界は熱処理とともに減少していくが、上記結晶粒界や不均一相変態に伴う結晶境界などにおける内部歪みを原因とした結晶欠陥が導入される危惧がある。こうした欠陥はキャリアのトラップ源となるため電子デバイス用基板としては適さないという問題がある。また、実用基板の厚さにするために、成膜工程と熱処理工程と表面平滑工程を数回繰り返す必要があるため、製造コストが高くなるという問題もある。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされ、新たな成長層においてマイクロパイプ欠陥の発生、継承を抑制するのではなく、炭化珪素単結晶に存在しているマイクロパイプ欠陥を炭化珪素単結晶の内部で閉塞させることができるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明者らは、マイクロパイプ欠陥を有する炭化珪素単結晶からなる炭化珪素基板結晶を被覆した状態で熱処理を施すことにより、マイクロパイプ欠陥を炭化珪素基板結晶の内部で閉塞させることができることを見出した。
【0013】
しかしながら、気相、液相を問わず、通常のエピタキシャル成長によって炭化珪素基板結晶に被覆層を形成すると、炭化珪素基板結晶の結晶情報が引き継がれ、マイクロパイプ欠陥が被覆層で覆われない場合がある。このような場合、マイクロパイプ欠陥は、後の熱処理によって閉塞されなくなるため、マイクロパイプ欠陥を確実に被覆しておく必要がある。
【0014】
こうした観点から、多結晶を炭化珪素基板結晶の表面に堆積させると、炭化珪素基板結晶の結晶性とは無関係に被覆層が形成されることを見出した。
【0015】
そこで、請求項1に記載の発明では、マイクロパイプ欠陥(1a)を含有する炭化珪素基板結晶(1)の表面に炭化珪素多結晶(3)を堆積させてマイクロパイプ欠陥を被覆する工程と、炭化珪素多結晶で被覆された炭化珪素基板結晶に熱処理を施すことによってマイクロパイプ欠陥を炭化珪素基板結晶内で閉塞させる工程と、を含み炭化珪素多結晶を堆積させる工程を液相成長により行うことを特徴としている。
【0016】
このように、炭化珪素基板結晶の表面に炭化珪素多結晶を堆積させることによって、マイクロパイプ欠陥が確実に被覆され、その後の熱処理によってマイクロパイプ欠陥が確実に炭化珪素基板結晶内で閉塞されるようにできる。具体的には、炭化珪素多結晶を堆積させる工程を液相成長にて行うことができる。
【0018】
請求項に記載の発明においては、マイクロパイプ欠陥(1a)を含有する炭化珪素基板結晶(1)の表面に被覆層(4)を形成する工程と、被覆層を形成した炭化珪素基板結晶に炭化珪素多結晶(3)を堆積させることにより、炭化珪素多結晶でマイクロパイプ欠陥を被覆する工程と、炭化珪素多結晶で被覆された炭化珪素基板結晶に熱処理を施すことによってマイクロパイプ欠陥を炭化珪素基板結晶内で閉塞させる工程と、を含み、被覆層を炭素で構成することを特徴としている。
【0019】
このように、炭化珪素基板結晶の表面に被覆層を形成したのち、被覆層を形成した炭化珪素基板結晶に炭化珪素多結晶を形成するようにすれば、被覆層を核として炭化珪素多結晶を形成することができる。このように炭化珪素多結晶で被覆した炭化珪素基板結晶に対して熱処理を行うことにより、請求項1と同様の効果を得ることができる。具体的には、被覆層を炭素で構成することができる。
【0020】
また、請求項3もしくは4に示すように、炭化珪素多結晶を堆積させる工程液相成長にて行うことができる。
【0021】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態を適用した炭化珪素単結晶の製造工程を示す。以下、図1に基づいて炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。
【0023】
まず、図1(a)に示すように、マイクロパイプ欠陥1aを有する炭化珪素単結晶からなる炭化珪素基板結晶1を用意する。そして、この炭化珪素基板結晶1の表面に、図1(b)に示すように、炭化珪素粒子、珪素粒子、及び炭素粒子のうち少なくとも1つを含む粒子2を塗布する。この粒子2としては、例えば粒径が数μm〜サブμmのものが選択される。
【0024】
この粒子2を塗布した炭化珪素基板結晶1を黒鉛るつぼ内に入れ、熱処理行う。これにより、図1(c)に示すように、粒子2を核として、炭化珪素基板結晶1の表面に炭化珪素多結晶3が形成される。
【0025】
このように形成される炭化珪素多結晶3には、炭化珪素単結晶で構成された炭化珪素基板結晶1の結晶形が承継されないため、炭化珪素基板結晶1に形成されていたマイクロパイプ欠陥1aも継承されず、炭化珪素多結晶3によってマイクロパイプ欠陥1aを確実に被覆することができる。
【0026】
そして、このように炭化珪素多結晶3によってマイクロパイプ欠陥1aが被覆された炭化珪素基板結晶1を炭化珪素や珪素の粉末に埋め込み、炭化珪素基板結晶1の表面からの炭化を抑制しつつ加熱処理を行う。
【0027】
これにより、炭化珪素基板結晶1に形成されていたマイクロパイプ欠陥1aが閉塞され閉塞孔1bとなる。
【0028】
このようにマイクロパイプ欠陥1aが閉塞されるメカニズムについては、以下のように推測される。
【0029】
マイクロパイプ欠陥は大きなバーガースベクトルを有するらせん転位芯が、大きな弾性歪みエネルギーを緩和するために中空貫通孔になったものと考えられている(F.C.Frank.Acta.Cryst.4(1951)497参照)。
【0030】
マイクロパイプ欠陥1aの閉塞現象は上記マイクロパイプ欠陥1aのメカニズムとは逆の現象が起きていると推定される。マイクロパイプ欠陥1aの閉塞推定モデルを図2を用いて説明する。
【0031】
マイクロパイプ欠陥1aを含む炭化珪素基板結晶1を炭化珪素多結晶3で被覆している場合について考える(図2(a))。この状態で図1に示した熱処理装置内に配置し、適当な温度・圧力条件にて熱処理を行うと、その温度における平衡蒸気圧を保つために、マイクロパイプ欠陥1aの周辺、3C−SiC膜及び蓋体のグラファイトから、Si、SiC2 、Si2 C等の蒸気種が図中の矢印のように昇華する。(図2(b))。
【0032】
その後、現在まだ理由は明らかでないが、閉塞箇所の透過電子顕微鏡観察結果から、炭化珪素多結晶3との界面において、大きなバーガースベクトルを有するらせん転位(Super Screw Dislocation)から形成されるマイクロパイプ欠陥が分解されて、1c(6H−SiCの場合、c=1.5nmで、cは単位格子のc軸長に対応する。)以下のバーガースベクトルを有する数本のらせん転位の集合体(積層欠陥、刃状転位を含む)となるとともに、中空孔にSiCが析出したと推定される。
【0033】
なぜなら、その箇所においては、表面を有する中空孔であるよりSiCが析出した方が、表面を形成していることによる表面エネルギー不利が解消され、さらに、環境相(気相)の分子が結晶中に組み込まれることによる自由エネルギーの低下が、SiCの析出によって生じる結晶中の歪みエネルギーによる損失を上回るため、全系として自由エネルギーの利得がある。このため、昇華−再析出(/再配列)が進行したと推定される(図2(c)(d))。
【0034】
本実施形態のように、マイクロパイプ欠陥1aを有する炭化珪素基板結晶1の少なくとも一方の面を被覆して熱処理を行うことがマイクロパイプ欠陥1a(らせん転位)のバーガースベクトルを分解する役目を果たし、結果的にマイクロパイプ欠陥1aが閉塞される効果を奏したと推定される。
【0035】
このように、マイクロパイプ欠陥1aを完全に被覆したのち、炭化珪素多結晶3を炭化珪素や珪素の粉末で埋め込んで、炭化珪素基板結晶1が表面から炭化することを抑制しながら熱処理を行うと、図1(d)に示すように、炭化珪素基板結晶1に形成されていたマイクロパイプ欠陥1aが閉塞され閉塞孔1bとなる。
【0036】
そして、このようにマイクロパイプ欠陥1aを閉塞孔1bとした炭化珪素基板結晶1に対して、炭化珪素多結晶3及び炭素4を除去し、炭化珪素基板結晶1を表出させると、マイクロパイプ欠陥1aがすべて閉塞された炭化珪素単結晶を得ることができる。
【0037】
以上のように、炭化珪素基板結晶1の表面に被覆層として炭化珪素多結晶3を成長させることにより、被覆層がマイクロパイプ欠陥1aを引き継ぐことによってマイクロパイプ欠陥1aの被覆が不完全になるおそれがなくなり、その後の処理によって完全にマイクロパイプ欠陥1aを閉塞することができる。
【0038】
こうしてマイクロパイプ欠陥1aが閉塞孔1bとされた炭化珪素基板結晶1をデバイス基板として用いることにより、高性能なデバイスが作成できる。また、マイクロパイプ欠陥1aが閉塞された炭化珪素基板結晶1を種結晶として用いることにより、マイクロパイプ欠陥1aのない高品質な結晶を新たに作成することが可能である。
【0039】
(第2実施形態)
上記実施形態では、炭化珪素多結晶3を形成するための核を形成するために、炭化珪素基板結晶1の表面に炭素材料、珪素材料、炭化珪素材料が混合された粒子2を塗布しているが、本実施形態の方法によって多結晶成長のための核を形成しても良い。
【0040】
図3に、本実施形態におけるマイクロパイプ欠陥1aの閉塞工程を示す。
【0041】
まず、図3(a)に示すように、マイクロパイプ欠陥1aが含まれた炭化珪素基板結晶1を用意する。そして、図3(b)に示すように、炭化珪素基板結晶1の表面を炭素4で被覆する。例えば、炭素4を蒸着することによって、炭化珪素基板結晶1の表面を被覆する。
【0042】
この後、図3(c)に示すように、炭素4を核として炭化珪素多結晶3を成長させる。例えば、炭素4で被覆された炭化珪素基板結晶1をシリコン(Si)粉末と共に黒鉛るつぼ内に入れて加熱処理を行ったのち、炭化珪素基板結晶1に付着したシリコンをフッ酸と硝酸の混酸によって溶かし、炭化珪素基板結晶1を取り出すと、炭素4の表面にシリコン融液中で液相成長した炭化珪素多結晶3を堆積させることができる。これによりマイクロパイプ欠陥1aを炭化珪素多結晶3で完全に被覆することができる。
【0043】
そして、図3(d)、(e)で示した第1実施形態の図1(d)、(e)に示す工程と同様の工程を施すと、第1実施形態と同様マイクロパイプ欠陥1aがすべて閉塞された炭化珪素単結晶を得ることができる。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
(第3実施形態)
上記第1、第2実施形態では、炭化珪素基板結晶1に炭化珪素多結晶3を形成する工程と、マイクロパイプ欠陥1aを閉塞する工程における熱処理を別々に行っているが、これらを1つの工程で行ってもよい。このようにしても第1、第2実施形態と同様にマイクロパイプ欠陥1aがすべて閉塞された炭化珪素単結晶を得ることができ、第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
(他の実施形態)
上記第2実施形態では、炭素4の形成に蒸着を用いたが、それ以外の方法、例えば、有機物の炭化、炭素粒子の塗布、炭化珪素基板結晶1自身の炭化によって行っても差し支えない。
【0046】
また、第1、第2実施形態では、炭化珪素多結晶3を形成させる核となる被覆層として、炭素層、炭化珪素粉末、炭素粉末、珪素粉末を例示したが、それ以外の物質、例えば、高融点金属、窒化珪素等のセラミックを用いても良い。
【0047】
また、第2実施形態では、炭化珪素多結晶3の形成方法として、液相成長を例示したが、固相法や気相法によって行っても良い。また、炭化珪素単結晶の結晶多形は、6H、4H、15R等のいずれでも適応可能であり、さらに、基板結晶1の面方位も問わない。
【0048】
【実施例】
以下、上記各実施形態に基づく実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例は、第1実施形態に対する実験結果を示している。
【0049】
マイクロパイプ欠陥1aを含有する6H多形の炭化珪素単結晶からなる炭化珪素基板結晶1(厚さ1mm、マイクロパイプ欠陥密度100/cm2)を用意した。この炭化珪素基板結晶1の表面に、炭化珪素粒子、珪素粒子及び炭素粒子を混合した粒子2(粒径:数μmからサブμm)に埋め込んだのち、これを黒鉛るつぼ内で熱処理した。ことのきの熱処理条件は、アルゴン(Ar)雰囲気にて、温度を1400〜2000℃、圧力を6.65×104Pa(500Torr)、加熱時間を6時間とした。
【0050】
この加熱によって、炭化珪素基板結晶1の表面に炭化珪素多結晶3が成長した。この炭化珪素多結晶3には、炭化珪素基板結晶1に形成されていたマイクロパイプ欠陥1aから伸長した孔が全く観察されず、マイクロパイプ欠陥1aの端が完全に炭化珪素多結晶3によって被覆されていた。
【0051】
この炭化珪素多結晶3で被覆された炭化珪素基板結晶1を炭化珪素や珪素の粉末に埋め込んで、炭化珪素基板結晶1の表面からの炭化を抑制しつつ加熱処理を行った。このときの加熱処理の熱処理条件は、アルゴン雰囲気にて、温度を2400℃、圧力を6.65×104Pa、加熱時間を24時間とした。
【0052】
その後、炭化珪素多結晶3で被覆された炭化珪素基板結晶1を炭化珪素多結晶3の表面から加工除去し、炭化珪素基板結晶1を表出させた。そして、炭化珪素基板結晶1の表面を顕微鏡によって観察した。その結果、炭化珪素基板結晶1の表面に開口したマイクロパイプ欠陥1aは全く存在せず、最初に存在していたマイクロパイプ欠陥1aがすべて閉塞され、閉塞孔7となっていたことが明らかになった。
【0053】
(実施例2)
本実施例は、第2実施形態に対する実験結果を示している。
【0054】
マイクロパイプ欠陥1aを含有する6H多形の炭化珪素単結晶からなる炭化珪素基板結晶1(厚さ1mm、マイクロパイプ欠陥密度100/cm2)を用意した。この炭化珪素基板結晶1の表面に、炭素4を約50nmの厚さ蒸着したのち、シリコン粉末と共に炭化珪素基板結晶1を黒鉛るつぼ内に入れ、加熱した。この時の熱処理条件は、アルゴン(Ar)雰囲気にて、温度を1800〜2200℃、圧力を6.65×104Pa、加熱時間を6時間とした。
【0055】
この加熱処理の後、シリコンをフッ酸と硝酸の混酸によって溶かし、炭化珪素基板結晶1を取り出した。その結果、シリコン融液中で炭素4を核として炭化珪素多結晶3が成長しており、炭化珪素基板結晶1に対して片側約50μmの炭化珪素多結晶3が堆積していた。この炭化珪素多結晶3には、炭化珪素基板結晶1に形成されていたマイクロパイプ欠陥1aから伸長した孔が全く観察されず、マイクロパイプ欠陥1aの端が完全に炭化珪素多結晶3によって被覆されていた。
【0056】
この炭化珪素多結晶3で被覆された炭化珪素基板結晶1を炭化珪素や珪素の粉末に埋め込んで、炭化珪素基板結晶1の表面からの炭化を抑制しつつ加熱処理を行った。このときの加熱処理の熱処理条件は、アルゴン雰囲気にて、温度を2400℃、圧力を6.55×104Pa、加熱時間を24時間とした。
【0057】
その後、炭化珪素多結晶3で被覆された炭化珪素基板結晶1に対して、炭化珪素多結晶3の表面から100μmを加工除去し、炭化珪素基板結晶1を表出させた。そして、炭化珪素基板結晶1の表面を顕微鏡によって観察した。その結果、炭化珪素基板結晶1の表面に開口したマイクロパイプ欠陥1aは全く存在せず、最初に存在していたマイクロパイプ欠陥1aがすべて閉塞され、閉塞孔7となっていたことが明らかになった。
【0058】
(実施例3)
本実施例は、第3実施形態に対する実験結果を示している。
【0059】
マイクロパイプ欠陥1aを含有する6H多形の炭化珪素単結晶からなる炭化珪素基板結晶1(厚さ1mm、マイクロパイプ欠陥密度100/cm2)を用意した。この炭化珪素基板結晶1の表面に、炭素4を約50nmの厚さ蒸着したのち、シリコン粉末と共に炭化珪素基板結晶1を黒鉛るつぼ内に入れ、加熱した。この時の熱処理条件は、アルゴン(Ar)雰囲気にて、温度を2400℃、圧力を6.65×104Pa、加熱時間を30時間とした。
【0060】
この加熱処理の後、シリコンをフッ酸と硝酸の混酸によって溶かし、炭化珪素基板結晶1を取り出した。その結果、シリコン融液中で炭素4を核として炭化珪素多結晶3が成長しており、炭化珪素基板結晶1に対して片側約250μmの炭化珪素多結晶3が堆積していた。
【0061】
この炭化珪素多結晶3で被覆された炭化珪素基板結晶1に対して、炭化珪素多結晶3の表面から約300μmを加工除去し、炭化珪素基板結晶1を表出させた。そして、炭化珪素基板結晶1の表面を顕微鏡によって観察した。その結果、炭化珪素基板結晶1の表面に開口したマイクロパイプ欠陥1aは全く存在せず、最初に存在していたマイクロパイプ欠陥1aがすべて閉塞され、閉塞孔7となっていたことが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における炭化珪素単結晶の製造工程を示す図である。
【図2】マイクロパイプ欠陥1aの閉塞のメカニズムを説明するための図である。
【図3】本発明の第2実施形態における炭化珪素単結晶の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1…炭化珪素基板結晶、1a…マイクロパイプ欠陥、1b…閉塞孔、
2…核としての粒子、3…炭化珪素多結晶、4…炭素。

Claims (5)

  1. マイクロパイプ欠陥(1a)を含有する炭化珪素基板結晶(1)の表面に炭化珪素多結晶(3)を堆積させて前記マイクロパイプ欠陥を被覆する工程と、
    前記炭化珪素多結晶で被覆された前記炭化珪素基板結晶に熱処理を施すことによって前記マイクロパイプ欠陥を前記炭化珪素基板結晶内で閉塞させる工程と、を含
    前記炭化珪素多結晶を堆積させる工程を液相成長により行うことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. マイクロパイプ欠陥(1a)を含有する炭化珪素基板結晶(1)の表面に被覆層(4)を形成する工程と、
    前記被覆層を形成した前記炭化珪素基板結晶に炭化珪素多結晶(3)を堆積させることにより、前記炭化珪素多結晶で前記マイクロパイプ欠陥を被覆する工程と、
    前記炭化珪素多結晶で被覆された前記炭化珪素基板結晶に熱処理を施すことによって前記マイクロパイプ欠陥を前記炭化珪素基板結晶内で閉塞させる工程と、を含み、
    前記被覆層を炭素で構成することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記炭化珪素多結晶を堆積させる工程は、液相成長によることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. マイクロパイプ欠陥(1a)を含有する炭化珪素基板結晶(1)の表面に被覆層(4)を形成する工程と、
    前記被覆層を形成した前記炭化珪素基板結晶に炭化珪素多結晶(3)を堆積させることにより、前記炭化珪素多結晶で前記マイクロパイプ欠陥を被覆する工程と、
    前記炭化珪素多結晶で被覆された前記炭化珪素基板結晶に熱処理を施すことによって前記マイクロパイプ欠陥を前記炭化珪素基板結晶内で閉塞させる工程と、を含み、
    前記炭化珪素多結晶を堆積させる工程は、液相成長によることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 請求項1乃至のいずれか一つに記載の炭化珪素単結晶製造方法を用いて製造された、マイクロパイプ欠陥が閉塞された閉塞孔を有する炭化珪素基板結晶を種結晶として、該種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
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