JP4066528B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス用の基板として用いられる炭化珪素単結晶を製造する方法に関し、詳しくは、マイクロパイプ欠陥を修復した炭化珪素単結晶基板から欠陥の少ない炭化珪素単結晶を得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素単結晶を製造するための方法の1つに昇華法(改良レーリー法)がある。昇華法は、黒鉛るつぼの上部に種結晶を、下部に原料粉末を配置し、原料粉末の昇華ガスを種結晶上で再結晶させて、炭化珪素単結晶を成長させるものである。ところが、昇華法により成長させた炭化珪素単結晶には、マイクロパイプ欠陥と呼ばれる中空貫通欠陥が発生しやすい。このような炭化珪素単結晶から基板を切り出すと、マイクロパイプ欠陥を有する炭化珪素単結晶基板となり、その後のデバイス作製等において、大きな障害となる場合がある。
【0003】
そこで、炭化珪素単結晶基板のマイクロパイプ欠陥を閉塞する方法が種々提案されているが、多くは、マイクロパイプ欠陥を有する炭化珪素単結晶基板上に欠陥を低減した炭化珪素単結晶膜を形成する方法に関するもの(例えば米国特許第5679153号)で、炭化珪素単結晶基板内部のマイクロパイプ欠陥を実質的に消失させるものではなかった。上記方法には、るつぼ内でシリコン中へのSiC溶融を用いた液相エピタキシー法(LPE)によって結晶成長させると、マイクロパイプ欠陥密度が低減された炭化珪素単結晶膜が形成でき、そのマイクロパイプ欠陥密度が低減された炭化珪素単結晶膜を、昇華法の種結晶として使用することが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法では、図4のように、マイクロパイプ欠陥2aがない部分を得るために、液相エピタキシー法にて、炭化珪素単結晶基板1上に20〜75μm以上のエピタキシャル層3bを成長させなければならず、また、その範囲以下では、依然としてマイクロパイプ欠陥2aが存在するという問題がある。また、このようにして形成されたエピタキシャル層3bを種結晶として、再び昇華法によって単結晶成長を行うと、その表面が十分平滑でないため、再びマイクロパイプ欠陥2aを誘発する危惧がある。そこで、その表面部分を研磨などの表面加工処理により平滑にする必要がある。しかしながら、マイクロパイプ欠陥2aが閉塞された部分が薄いことから、加工処理に多大な労力を費やすばかりか、その後、昇華法成長時に、その閉塞された部分が昇華して再びマイクロパイプ欠陥2aの開口部を生じる可能性があり、昇華法成長条件の適正化が困難であるという問題がある。さらに、マイクロパイプ欠陥2aの閉塞工程と昇華法成長の二つの工程を独立に行わなければならず、製造工程が複雑になる問題があった。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、加工の手間を省き、より簡単な工程で、マイクロパイプ欠陥のない炭化珪素単結晶を得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の方法は、マイクロパイプ欠陥を有する炭化珪素単結晶基板の表面に、炭化珪素被覆層を形成する第1工程と、炭化珪素粉末の存在下で熱処理を行って上記マイクロパイプ欠陥の少なくとも上記炭化珪素被覆層側の端部を閉塞する第2工程と、上記炭化珪素被覆層を熱エッチングにより除去して、上記炭化珪素単結晶基板のマイクロパイプ欠陥が閉塞された表面を露出する第3工程と、該表面上に炭化珪素単結晶を成長させる第4工程とからなる。第2工程の熱処理の条件は、上記炭化珪素粉末の温度を2100〜2400℃、上記炭化珪素単結晶基板を上記炭化珪素粉末より低い温度とし、雰囲気ガスの圧力を300〜760Torrとする。
【0007】
このように、上記炭化珪素単結晶基板の表面を上記炭化珪素被覆層で被覆した後、熱処理を行うことにより、上記炭化珪素単結晶基板内のマイクロパイプ欠陥を閉塞することができる。このメカニズムは必ずしも明らかではないが、第1工程で形成される上記炭化珪素被覆層にはマイクロパイプ欠陥特有の結晶歪みが存在しない。従って、第2工程で上記炭化珪素単結晶基板と上記炭化珪素被覆層の界面を起点として、マイクロパイプ欠陥内の端部で結晶化が促進されるものが推定される。その後、上記炭化珪素被覆層を熱エッチングにより除去すると、マイクロパイプ欠陥が閉塞された炭化珪素単結晶基板の表面を露出することができ、これを種結晶として、その上にマイクロパイプ欠陥がない炭化珪素単結晶を成長させることができる。本発明では、上記炭化珪素被覆層の除去を熱エッチングにより行っているので、第2工程後、同一装置内で処理を行うことができ、さらに引き続き、第4工程で炭化珪素単結晶を成長させることができるので、製造工程が簡略化できる。
【0008】
請求項2の方法では、マイクロパイプ欠陥を有する炭化珪素単結晶基板の表面に、炭化珪素被覆層を形成する第1工程と、炭化珪素粉末の昇華ガスを供給して上記炭化珪素被覆層上に炭化珪素結晶を成長させて、上記マイクロパイプ欠陥の少なくとも上記炭化珪素被覆層側の端部を閉塞する第2工程と、上記炭化珪素結晶および上記炭化珪素被覆層を熱エッチングにより除去し、上記炭化珪素単結晶基板のマイクロパイプ欠陥が閉塞された表面を露出する第3工程と、該表面上に炭化珪素単結晶を成長させる第4工程とを有する。第2工程の結晶成長の条件は、上記炭化珪素粉末の温度を2100〜2400℃、上記炭化珪素単結晶基板を上記炭化珪素粉末より低い温度とし、雰囲気ガスの圧力を1〜300Torrとする。
【0009】
このように、上記炭化珪素単結晶基板上に上記炭化珪素被覆層を形成した後、その上に炭化珪素結晶を成長させると同時に、上記炭化珪素単結晶基板内のマイクロパイプ欠陥を閉塞することもできる。そして、第3工程で、成長した上記炭化珪素結晶と上記炭化珪素被覆層を熱エッチングにより除去し、第4工程で、再度、炭化珪素単結晶を成長させることにより、マイクロパイプ欠陥のない高品位の炭化珪素単結晶を容易に得ることができる。
【0010】
請求項3の方法では、上記請求項1、2の方法において、上記第1工程後、炭化珪素被覆層を形成した炭化珪素単結晶基板を、上記炭化珪素被覆層が形成されていない面側が接合面となるように台座に固定して、該台座を炭化珪素の原料粉末を収容した容器に装着し、この状態で、上記第2工程から上記第4工程までを連続的に行う。
【0011】
具体的には、このようにして上記炭化珪素単結晶基板を容器内に固定しておけば、上記第2工程から上記第4工程を、同一容器内で、連続して行うことができる。
【0012】
請求項4の方法のように、上記炭化珪素被覆層は、立方晶炭化珪素単結晶層または六方晶炭化珪素単結晶層が好適に使用される。また、請求項5の方法のように、上記炭化珪素単結晶基板は、4Hまたは6H炭化珪素単結晶基板を使用することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明方法を図面に基づいて説明する。図1(a)は、マイクロパイプ欠陥を有する炭化珪素単結晶から切り出された、貫通するマイクロパイプ欠陥2aを有する炭化珪素単結晶基板1である。炭化珪素単結晶基板1の厚さは、少なくとも100μm以上、例えば、0.5〜1mm程度とし、比較的厚い方が、変形や破損等の可能性が小さいので好ましい。本発明では、まず、図1(b)に示す第1工程において、炭化珪素単結晶基板1の上面に、炭化珪素単結晶層よりなる炭化珪素被覆層3aを積層形成する。炭化珪素被覆層3aの形成方法は、特に制限されず、通常、CVD法(化学的気相蒸着法)等の気相成長法や、液相エピタキシャル法等の液相成長法を用いることができる。好ましくは、CVD法を用いると、膜厚の制御がしやすいので、後述する第3工程において熱エッチングする際に、エッチング除去する膜の厚さが分かりやすい利点がある。
【0014】
炭化珪素被覆層3aの結晶形は特に限定されないが、例えば、炭化珪素単結晶基板1の結晶形が6H−SiCまたは4H−SiCである場合には、立方晶SiC(3C−SiC)、六方晶SiC(例えば6H−SiC)が適しており、貫通マイクロパイプ欠陥2aの開口部の閉塞に有効である。炭化珪素被覆層3aの厚さは、通常、数10nm〜数mmの範囲で選択することができるが、マイクロパイプ欠陥閉塞のための熱処理条件の自由度と製造コストを考慮すると、数μm〜数100μmの範囲で選択することが好ましい。
【0015】
次に、図1(c)に示すように、第2工程で、炭化珪素被覆層3aを積層形成した炭化珪素単結晶基板1の熱処理を行う。図2は、この工程で使用する単結晶成長装置4の概略断面図で、上端が開口する容器としての黒鉛製のるつぼ4aと、その上端開口部に覆着される黒鉛製の蓋体4bを有している。るつぼ4aの底部には、原料となる炭化珪素粉末7が収容されており、この炭化珪素粉末5に対向する蓋体4bの下面は、基板固定用の台座4cとなっている。この台座4cに、炭化珪素被覆層3aを積層した炭化珪素単結晶基板1を、炭化珪素単結晶基板1側が接合面となるように、接着剤6を介して貼り付け、るつぼ4aに装着した後、これを図略の加熱器で加熱する。加熱器は、例えば、グラファイト製の抵抗発熱体をるつぼ4aの外周を取り囲むように配置してなり、これによりるつぼ4a内の炭化珪素単結晶基板1や炭化珪素粉末7の温度を調整することが可能である。また、加熱手段としては、従来周知の高周波加熱方式も採用することができる。単結晶成長装置4は、また、雰囲気ガスの導入や排気を制御する手段を備えており、るつぼ4a内の雰囲気および圧力を調整することができる。
【0016】
具体的には、炭化珪素粉末7の温度を2100〜2400℃の範囲で選択し、炭化珪素単結晶基板1がこれより低い温度になるように制御する。雰囲気はアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気とし、圧力は、通常、300〜760Torr、例えば圧力500Torrとする。この時、図1(c)のように、炭化珪素単結晶基板1内の貫通マイクロパイプ欠陥2aが、炭化珪素被覆層3a側から埋まっていき、一端側が閉塞したマイクロパイプ欠陥2bとなる。ここで、マイクロパイプ欠陥2aは処理時間に応じて閉塞していくので、炭化珪素被覆層3a側の端部が完全に閉塞するのに十分な時間、通常、12時間以上、熱処理を行うのがよい。
【0017】
この第2工程で、マイクロパイプ欠陥2aが閉塞されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、次のように推定される。すなわち、マイクロパイプ欠陥2aは大きなバーガースペクトルを有するらせん転位芯が、大きな弾性歪みエネルギーを緩和するために中空孔となったものと考えられており、第1工程で炭化珪素被覆層3aを形成すると、このマイクロパイプ欠陥2aの発生原因となる結晶歪みが被覆層3aによって緩和され、さらに、第2工程で、炭化珪素単結晶基板1のマイクロパイプ欠陥2a周辺、炭化珪素被覆層3a、および蓋体4bの黒鉛からの昇華ガス(Si、C、SiC2 、Si2 C)を供給することで、マイクロパイプ欠陥2a内が飽和状態となり、理由は明らかではないが、炭化珪素単結晶基板1と炭化珪素被覆層3aの界面を起点にして、弾性歪みが緩和されることによって、マイクロパイプ欠陥2aの端部で結晶化が促進されるものと考えられる。
【0018】
第3工程では、図1(d)に示すように、閉塞マイクロパイプ欠陥2bを有する炭化珪素単結晶基板1上の、炭化珪素被覆層3aを熱エッチングにより除去する。この第3工程は、第2工程に引き続いて行うことができ、るつぼ4a内の炭化珪素被覆層3aの温度を上昇させて、昇華可能な温度、通常、2100〜2400℃となるように調整する。雰囲気はアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、圧力は1Torr以下とする。この際、炭化珪素粉末7より炭化珪素被覆層3aの温度が高くなるようにして、昇華しやすくするとよく、炭化珪素被覆層3aの厚みによって処理時間は1〜12時間程度とする。これにより、炭化珪素被覆層3aを昇華除去して、マイクロパイプ欠陥を閉塞した炭化珪素単結晶基板1の表面を露出させることができる。
【0019】
なお、上記第2工程の熱処理工程では、系内の昇華ガスの量が少ないので炭化珪素被覆層3a上に炭化珪素結晶はほとんど成長しないが、条件により、数μm程度の炭化珪素結晶が成長することもある。この場合には、第3工程の熱エッチングにより、成長した炭化珪素結晶を炭化珪素被覆層3aとともに除去する。
【0020】
第4工程では、このようにして露出させた炭化珪素単結晶基板1は、マイクロパイプ欠陥が表面に露出していないので、これを種結晶として用いることで、良質の炭化珪素単結晶を得ることができる。この第4工程は、第3工程に引き続いて行うことが可能で、図1(e)に示すように、炭化珪素単結晶基板1上に、炭化珪素単結晶5bが成長する。結晶成長の条件は、第2工程と同様であり、炭化珪素粉末7を2100〜2400℃、炭化珪素単結晶基板1がこれより低い温度になるように制御し、例えば、アルゴンガス雰囲気中、圧力0.1〜数10Torrで、結晶成長を行えばよい。
【0021】
第4工程で得られた炭化珪素結晶5bは、図1(e)のように、マイクロパイプ欠陥を有しない良質な単結晶であり、例えば半導体デバイス用の基板として最適である。また、成長時間を長くして長尺化することができるので、高品位の基板を多数切り出すことができる。また、マイクロパイプ欠陥2aの閉塞後、炭化珪素被覆層3aを熱エッチングで除去しているので、従来のように、研磨等、加工の手間がかからず、しかも、第2工程から第4工程までを同一装置内で、連続的に行うことができるので、製造工程が簡略化できる。
【0022】
第3図に本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態では、第1の工程において、貫通マイクロパイプ欠陥2aを有する炭化珪素単結晶基板1の上面に、例えば炭化珪素単結晶よりなる炭化珪素被覆層3aを形成した後(図3(a)、(b))、第2工程において、炭化珪素被覆層3aの上面に炭化珪素結晶を成長させ、その過程で、貫通マイクロパイプ欠陥2aを閉塞する(図3(c))。この結晶成長の工程は、熱処理する場合より、雰囲気圧力が低くなるように調整する以外は、上記第1の実施の形態の第2工程と同じであり、図2の単結晶成長装置4の台座4cに炭化珪素単結晶基板1を固定し、炭化珪素粉末7の温度を2100〜2400℃、炭化珪素単結晶基板1をこれより低い温度に調整する。雰囲気はアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気とし、圧力は、通常、300Torr以下、例えば圧力1Torrで12時間以上、結晶成長を行う。
【0023】
この時、系内の昇華ガスの量が第1の実施の形態より多くなるので、図1(c)のように、炭化珪素被覆層3a上に、例えば炭化珪素単結晶よりなる炭化珪素結晶5aが成長する。そして、炭化珪素結晶5aが成長するのと同時に、炭化珪素単結晶基板1内の貫通マイクロパイプ欠陥2aが、炭化珪素被覆層3a側から埋まっていき、一端側が閉塞したマイクロパイプ欠陥2bとなる。なお、第2工程において、炭化珪素被覆層3a上に成長する炭化珪素結晶5aは、図1(c)のように、多数のマイクロパイプ欠陥2aを有するものとなる。
【0024】
その後、同様にして、熱エッチングを行って、炭化珪素被覆層3aと炭化珪素結晶5aを昇華除去し(図3(d))、マイクロパイプ欠陥を修復した炭化珪素単結晶基板1を露出させて、さらに結晶成長を行うことで、マイクロパイプ欠陥のない炭化珪素単結晶5bを得ることができる(図3(e))。
【0025】
【実施例】
(実施例1)
上記図1に示したようにして、実際に炭化珪素単結晶を成長させる実験を行った。ここでは、貫通するマイクロパイプ欠陥2aを有する炭化珪素単結晶基板1として、結晶形が6H−SiC、厚さが300μmのものを使用した(図1(a))。図1(b)に示す第1工程において、基板温度1380℃、成長時間9時間、圧力150Torrの条件で、CVD法により炭化珪素単結晶基板1の上面に、立方晶炭化珪素単結晶膜よりなる炭化珪素被覆層3aを4μmの厚さで形成した。次に、図2に示す黒鉛るつぼを使用し、図1(c)に示す第2工程において、基板温度2230℃、原料温度2250℃、処理時間6時間、圧力500Torrの条件で、熱処理を行ったところ、炭化珪素被覆層3a上に数μmの炭化珪素単結晶が形成された。また、これに先立って同一条件で熱処理を行い、熱処理によって、マイクロパイプ欠陥2aが炭化珪素被覆層3a側から閉塞することを、断面顕微鏡観察により確認した。
【0026】
引き続き、第3工程において、基板温度2250℃、原料温度2230℃、エッチング時間1時間、圧力0.5Torrの条件で熱エッチングにより炭化珪素被覆層3aおよびその上の炭化珪素単結晶を昇華除去した(図1(d))。なお、この作業に先立って、上記条件にて熱エッチングを行うと、約2mm強程度、炭化珪素単結晶層を除去できること、さらに、マイクロパイプ欠陥2aの表面開口部を生じないことを確認した。次いで、図1(e)に示す第4工程において、基板温度2230℃、原料温度2250℃、成長時間24時間、圧力1Torrの条件で、昇華法により結晶成長を行い、炭化珪素単結晶5bを10mm成長させた。得られた炭化珪素単結晶5bは、結晶形が6H−SiCであり、マイクロパイプ欠陥がなく、良質の単結晶であった。
【0027】
(実施例2)
上記図3に示したようにして、実際に炭化珪素単結晶を成長させる実験を行った。ここでは、貫通するマイクロパイプ欠陥2aを有する炭化珪素単結晶基板1として、結晶形が6H−SiC、厚さが300μmのものを使用した(図1(a))。図3(b)に示す第1工程において、基板温度1380℃、成長時間9時間、圧力150Torrの条件で、CVD法により炭化珪素単結晶基板1の上面に、立方晶炭化珪素単結晶膜よりなる炭化珪素被覆層3aを4μmの厚さで形成した。次に、図2に示す黒鉛るつぼを使用し、図3(c)に示す第2工程において、基板温度2230℃、原料温度2250℃、処理時間6時間、圧力1Torrの条件で、昇華法により結晶成長を行い、炭化珪素単結晶5aを2.5mm成長させた。また、これに先立って、上記条件にて結晶成長を行うと、マイクロパイプ欠陥2aが炭化珪素被覆層3a側から閉塞することを、断面顕微鏡観察により確認した。
【0028】
引き続き、第3工程において、基板温度2250℃、原料温度2230℃、エッチング時間1時間、圧力0.5Torrの条件で熱エッチングを行い、炭化珪素被覆層3aおよびその上の炭化珪素単結晶5aを昇華除去した(図3(d))。なお、この作業に先立って、上記条件にて熱エッチングを行うと、約2mm強程度、炭化珪素単結晶層を除去できること、さらに、マイクロパイプ欠陥2aの表面開口部を生じないことを確認した。次いで、図3(e)に示す第4工程において、基板温度2230℃、原料温度2250℃、成長時間24時間、圧力1Torrの条件で、昇華法により結晶成長を行い、炭化珪素単結晶5bを10mm成長させた。得られた炭化珪素単結晶5bは、結晶形が6H−SiCであり、マイクロパイプ欠陥がなく、良質の単結晶であった。
(比較例)
比較のため、本発明の第2工程(熱処理または結晶成長の工程)を行わずに、炭化珪素被覆層3a上に、炭化珪素単結晶を成長させる実験を行った。実施例1、2で用いたのと同じ、貫通するマイクロパイプ欠陥2aを有する炭化珪素単結晶基板1(結晶形6H−SiC、厚さ300μm)を使用し、基板温度1380℃、成長時間9時間、圧力150Torrの条件で、CVD法により炭化珪素単結晶基板1の上面に、立方晶炭化珪素単結晶膜よりなる炭化珪素被覆層3aを4μmの厚さで形成した。次いで、図2に示す黒鉛るつぼを使用し、基板温度2230℃、原料温度2250℃、成長時間24時間、圧力1Torrの条件で、昇華法により結晶成長を行ったところ、炭化珪素単結晶が10mm成長した。ここで、断面顕微鏡観察により、炭化珪素単結晶基板1内のマイクロパイプ欠陥2aは、炭化珪素被覆層3a側から閉塞していることが確認されたが、炭化珪素被覆層3a上に成長した炭化珪素単結晶には、マイクロパイプ欠陥が新たに多数発生していることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(e)は本発明の第1の実施の形態における炭化珪素単結晶の製造工程を示す図である。
【図2】図2は単結晶成長装置の全体概略断面図である。
【図3】図3(a)〜(e)は本発明の第2の実施の形態における炭化珪素単結晶の製造工程を示す図である。
【図4】図4は従来の炭化珪素単結晶の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1 炭化珪素単結晶基板
2a 貫通マイクロパイプ欠陥
2b 閉塞マイクロパイプ欠陥
3a 炭化珪素被覆層
4 単結晶成長装置
4a 黒鉛るつぼ(容器)
4b 蓋体
4c 黒鉛台座(台座)
5a、5b 炭化珪素単結晶
6 接着剤
7 炭化珪素粉末
Claims (5)
- マイクロパイプ欠陥を有する炭化珪素単結晶基板の表面に、炭化珪素被覆層を形成する第1工程と、炭化珪素粉末の存在下で熱処理を行って上記マイクロパイプ欠陥の少なくとも上記炭化珪素被覆層側の端部を閉塞する第2工程と、上記炭化珪素被覆層を熱エッチングにより除去して、上記炭化珪素単結晶基板のマイクロパイプ欠陥が閉塞された表面を露出する第3工程と、該表面上に炭化珪素単結晶を成長させる第4工程とからなり、第2工程の熱処理の条件は、上記炭化珪素粉末の温度を2100〜2400℃、上記炭化珪素単結晶基板を上記炭化珪素粉末より低い温度とし、雰囲気ガスの圧力を300〜760Torrとすることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
- マイクロパイプ欠陥を有する炭化珪素単結晶基板の表面に、炭化珪素被覆層を形成する第1工程と、炭化珪素粉末の昇華ガスを供給して上記炭化珪素被覆層上に炭化珪素結晶を成長させて、上記マイクロパイプ欠陥の少なくとも上記炭化珪素被覆層側の端部を閉塞する第2工程と、上記炭化珪素結晶および上記炭化珪素被覆層を熱エッチングにより除去し、上記炭化珪素単結晶基板のマイクロパイプ欠陥が閉塞された表面を露出する第3工程と、該表面上に炭化珪素単結晶を成長させる第4工程とからなり、第2工程の結晶成長の条件は、上記炭化珪素粉末の温度を2100〜2400℃、上記炭化珪素単結晶基板を上記炭化珪素粉末より低い温度とし、雰囲気ガスの圧力を1〜300Torrとすることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
- 上記第1工程後、炭化珪素被覆層を形成した炭化珪素単結晶基板を、上記炭化珪素被覆層が形成されていない側が接合面となるように台座に固定して、該台座を炭化珪素の原料粉末を収容した容器に装着し、この状態で、上記第2工程から上記第4工程までの工程を連続的に行う請求項1または2記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 上記炭化珪素被覆層が立方晶炭化珪素単結晶層または六方晶炭化珪素単結晶層である請求項1ないし3のいずれか記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 上記炭化珪素単結晶基板が、4Hまたは6H炭化珪素単結晶基板である請求項1ないし4のいずれか記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
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