JP4223709B2 - 圧力検出装置用パッケージの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力を検出するための圧力検出装置に使用される圧力検出装置用パッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧力を検出するための圧力検出装置として静電容量型の圧力検出装置が知られている。この静電容量型の圧力検出装置は、例えば図2に断面図で示すように、セラミックス材料や樹脂材料から成る配線基板21上に、静電容量型の感圧素子22と、パッケージ28に収容された演算用の半導体素子29とを備えている。感圧素子22は、例えばセラミックス材料等の電気絶縁材料から成り、上面中央部に静電容量形成用の一方の電極23が被着された凹部を有する絶縁基体24と、この絶縁基体24の上面に絶縁基体24との間に密閉空間を形成するようにして可撓な状態で接合されており、下面に静電容量形成用の他方の電極25が被着された絶縁板26と、各静電容量形成用の電極23・25をそれぞれ外部に電気的に接続するための外部リード端子27とから構成されており、外部の圧力に応じて絶縁板26が撓むことにより各静電容量形成用の電極23・25間に形成される静電容量が変化する。そして、この静電容量の変化を演算用の半導体素子29により演算処理することにより外部の圧力を検出することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の圧力検出装置によると、感圧素子22と半導体素子29とを配線基板21上に個別に実装していることから、圧力検出装置が大型化してしまうとともに圧力検出用の電極23・25と半導体素子29との間の配線が長いものとなり、この長い配線間に不要な静電容量が形成されるため感度が低いという問題点を有していた。
【0004】
そこで、本願出願人は、先に特願2000-178618において、一方の主面に半導体素子が搭載される搭載部を有するセラミックス材料から成る絶縁基体と、この絶縁基体の表面および内部に配設されており、半導体素子の各電極が電気的に接続される複数の配線導体と、絶縁基体の他方の主面の中央部に被着されており、配線導体の一つに電気的に接続された静電容量形成用の第一電極と、絶縁基体の他方の主面に、この主面の中央部との間に密閉空間を形成するように可撓な状態で接合されたセラミックス材料から成る絶縁板と、この絶縁板の内側主面に第一電極に対向して被着されており、配線導体の他の一つに電気的に接続された静電容量形成用の第二電極とを具備する圧力検出装置用パッケージを提案した。この圧力検出装置用パッケージによると、一方の主面に半導体素子が搭載される搭載部を有する絶縁基体の他方の主面に静電容量形成用の第一電極を設けるとともに、この第一電極に対向する静電容量形成用の第二電極を内側面に有する絶縁板を、絶縁基体の他方の主面との間に密閉空間を形成するようにして可撓な状態で接合させたことから、半導体素子を収容するパッケージに感圧素子が一体に形成され、その結果、圧力検出装置を小型とすることができるとともに圧力検出用の電極と半導体素子とを接続する配線を短いものとして、これらの配線間に発生する不要な静電容量を小さなものとすることができる。なお、この特願2000-178618で提案した圧力検出装置用パッケージにおいては、例えば絶縁基体の他方の主面の外周部にセラミックスや金属から成る枠体を第一電極を取り囲むようにして設けておき、この枠体上に第二電極の外周部を厚みが50μm程度の銀−銅ろうを介してろう付けすることにより絶縁板が絶縁基体に接合されていた。
【0005】
しかしながら、この特願2000-178618で提案した圧力検出装置用パッケージによると、絶縁基体と絶縁板とを接合する銀−銅ろうから成るろう材は大きな応力により塑性変形を起こしやすいことから、絶縁板に外部の圧力が長期間にわたり大きく印加された場合、絶縁板が撓むことにより発生する応力が絶縁基体と絶縁板とを接合する厚みが50μm程度のろう材の内周縁部に作用してろう材に大きな塑性変形が発生してしまい、その結果、圧力の印加が解除されても絶縁板が元の位置に完全には戻らず、そのため外部の圧力を正確に検出することができなくなってしまうという問題点を有していた。
【0006】
本発明は、かかる上述の問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は外部の圧力を長期間にわたり正確に検出することが可能な圧力検出装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧力検出装置用パッケージの製造方法は、内部および表面に複数のメタライズ配線導体を有するとともに一方の主面に半導体素子が搭載される搭載部を、他方の主面に前記メタライズ配線導体の一つに電気的に接続された静電容量形成用の第一メタライズ電極および該第一メタライズ電極を取り囲み、前記メタライズ配線導体の他の一つに電気的に接続された枠状の第一接合用メタライズ層を有するセラミック基体を準備する工程と、一方の主面の外周部に枠状の突起部を有するとともに、該突起部で囲まれた一方の主面に前記第一メタライズ電極に対向する静電容量形成用の第二メタライズ電極および前記突起部上に前記第二メタライズ電極に電気的に接続され、かつ前記第一接合用メタライズ層にろう材を介してろう付けされた枠状の第二接合用メタライズ層を有し、前記セラミック基体の前記他方の主面との間に密閉空間を形成するように可撓な状態で前記セラミック基体に接合されるセラミック板を準備する工程と、前記セラミック基体の前記第一接合用メタライズ層と前記セラミック板の前記第二接合用メタライズ層とを当接させる工程と、前記第一接合用メタライズ層または前記第二接合用メタライズ層の外周部に接触するようにろう材を配置する工程と、前記第一接合用メタライズ層と前記第二接合用メタライズ層とを圧接しながら前記ろう材を溶融させる工程と、前記第一接合用メタライズ層と前記第二接合用メタライズ層との間に前記溶融したろう材を浸透させ、前記第一接合用メタライズ層と前記第二接合用メタライズ層とをろう付けする工程とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の圧力検出装置用パッケージの製造方法によれば、セラミック基体とセラミック板とを接合するろう材の厚みを薄くすることができ、セラミック板に外部の圧力が長期間にわたり大きく印加されたとしても、ろう材の塑性変形量を極めて小さなものとすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付の図面を基に詳細に説明する。図1は、本発明の圧力検出装置用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図であり、図中、1はセラミック基体、2はセラミック板、3は半導体素子である。
【0010】
セラミック基体1は、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・ガラス−セラミックス等のセラミックス材料から成る積層体であり、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化マグネシウム・酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤を添加混合して泥漿状となすとともに、これを従来周知のドクタブレード法を採用してシート状に成形することにより複数枚のセラミックグリーンシートを得、しかる後、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工・積層加工・切断加工を施すことによりセラミック基体1用の生セラミック成形体を得るとともに、この生セラミック成形体を約1600℃の温度で焼成することにより製作される。
【0011】
セラミック基体1は、その下面中央部に半導体素子3を収容するための凹部1aが形成されており、これにより半導体素子3を収容する容器として機能する。そして、この凹部1aの底面中央部が半導体素子3が搭載される搭載部1bとなっており、この搭載部1bに半導体素子3を搭載するとともに凹部1a内に例えばエポキシ樹脂等の樹脂製封止材4を充填することにより半導体素子3が封止される。なお、この例では半導体素子3は樹脂製封止材4を凹部1a内に充填することにより封止されるが、半導体素子3はセラミック基体1の下面に金属やセラミックスから成る蓋体を凹部1aを塞ぐように接合させることにより封止されてもよい。
【0012】
また、搭載部1bには半導体素子3の各電極に接続される複数のメタライズ配線導体5が導出しており、このメタライズ配線導体5と半導体素子3の各電極を半田バンプ6等の導電性材料から成る導電性接合部材を介して接合することにより半導体素子3の各電極と各メタライズ配線導体5とが電気的に接続されるとともに半導体素子3が搭載部1bに固定される。なお、この例では、半導体素子3の電極とメタライズ配線導体5とは半田バンプ6を介して接続されるが、半導体素子3の電極とメタライズ配線導体5とはボンディングワイヤ等の他の種類の電気的接続手段により接続されてもよい。
【0013】
メタライズ配線導体5は、半導体素子3の各電極を外部電気回路および後述する第一メタライズ電極7・第二メタライズ電極9に電気的に接続するための導電路として機能し、その一部はセラミック基体1の外周下面に導出し、別の一部は第一メタライズ電極7・第二メタライズ電極9に電気的に接続されている。そして、半導体素子3の各電極をこれらのメタライズ配線導体5に導電性接合材を介して電気的に接続するとともに半導体素子3を樹脂製封止材4で封止した後、メタライズ配線導体5のセラミック基体1外周下面に導出した部位を外部電気回路基板の配線導体に半田等の導電性接合材を介して接合することにより、内部に収容する半導体素子3が外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0014】
このようなメタライズ配線導体5は、タングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤等を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用してセラミック基体1用のセラミックグリーンシートに所定のパターンに印刷塗布し、これをセラミック基体1用の生セラミック成形体とともに焼成することによってセラミック基体1の内部および表面に所定のパターンに形成される。なお、メタライズ配線導体5の表面には、メタライズ配線導体5が酸化腐食するのを防止するとともにメタライズ配線導体5と半田等の導電性接合材との接合を良好なものとするために、通常であれば、厚みが1〜10μm程度のニッケルめっき層と厚みが0.1〜3μm程度の金めっき層とが順次被着されている。
【0015】
また、セラミック基体1の上面中央部には静電容量形成用の第一メタライズ電極7が被着されている。この第一メタライズ電極7は、後述する第二メタライズ電極9とともに感圧素子用の静電容量を形成するためのものであり、例えば略円形のパターンに形成されている。そして、この第一メタライズ電極7にはメタライズ配線導体5の一つ5aが接続されており、それによりこのメタライズ配線導体5aに半導体素子3の電極を半田バンプ6等の導電性接合材を介して接続すると半導体素子3の電極と第一メタライズ電極7とが電気的に接続されるようになっている。
【0016】
このような第一メタライズ電極7は、厚みが10〜50μm程度のタングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用してセラミック基体1用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し、これをセラミック基体1用の生セラミック成形体とともに焼成することによってセラミック基体1の上面中央部に所定のパターンに形成される。なお、第一メタライズ電極7の表面には、第一メタライズ電極7が酸化腐食するのを防止するために、通常であれば、厚みが1〜10μm程度のニッケルめっき層が被着されている。
【0017】
また、セラミック基体1の上面外周部には第一メタライズ電極7を取り囲む略円形や略八角形の枠状の第一接合用メタライズ層8が被着されている。第一接合用メタライズ層8は、セラミック基体1にセラミック板2を接合するための下地金属として機能し、この第一接合用メタライズ層8には下面に第二メタライズ電極9およびこの第二メタライズ電極9に電気的に接続された第二接合用メタライズ層10を有するセラミック板2が第二接合用メタライズ層10と第一接合用メタライズ層8とを銀−銅ろう等のろう材11を介してろう付けすることにより接合されている。
【0018】
この第一接合用メタライズ層8にはメタライズ配線導体5の一つ5bが接続されており、それによりこのメタライズ配線導体5bに半導体素子3の電極を半田バンプ6等の導電性接合材を介して電気的に接続すると、半導体素子3の電極と第二メタライズ電極9とが電気的に接続されるようになっている。
【0019】
このような第一接合用メタライズ層8は、タングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用してセラミック基体1用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し、これをセラミック基体1用の生セラミック成形体とともに焼成することによってセラミック基体1の上面外周部に枠状の所定のパターンに形成される。
【0020】
なお、第一接合用メタライズ層8の表面には、第一接合用メタライズ層8が酸化腐食するのを防止するとともに第一接合用メタライズ層8とろう材11との接合を強固なものとするために、通常であれば、厚みが1〜10μm程度のニッケルめっき層が被着されている。
【0021】
また、セラミック基体1の上面に取着されたセラミック板2は、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・ガラス−セラミックス等のセラミックス材料から成る略四角または略八角あるいは円形等の略平板であり、その内側主面の外周部に枠状の突起部2aを有している。そして、外部の圧力に応じてその中央部がセラミック基体1側に撓むいわゆる圧力検出用のダイアフラムとして機能する。
【0022】
なお、セラミック板2は、その中央部の厚みが0.01mm未満では、その機械的強度が小さいものとなってしまうため、これに大きな外部圧力が印加された場合に破壊されてしまう危険性が大きなものとなり、他方、中央部の厚みが5mmを超えると、小さな圧力では撓みにくくなり、圧力検出用のダイアフラムとしては不適となってしまう。したがって、セラミック板2の中央部の厚みは0.01〜5mmの範囲が好ましい。また、突起部2aの高さが0.01mm未満では、セラミック基体1とセラミック板2との間に形成される隙間が狭いものとなりすぎて、セラミック板2に圧力が印加された際に第一メタライズ電極7と第二メタライズ電極9とが接触してしまう危険性が大きなものとなり、他方、突起部2aの高さが5mmを超えると、第一メタライズ電極7と第二メタライズ電極9との間に形成される静電容量が小さなものとなって感圧素子の感度が低くなってしまう。したがって、突起部2aの高さは0.01〜5mmの範囲が好ましい。
【0023】
このようなセラミック板2は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化マグネシウム・酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤を添加混合して泥漿状となすとともに、これを従来周知のドクタブレード法を採用してシート状に成形することによりセラミックグリーンシートを得、しかる後、このセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工や切断加工を施すことによりセラミック板2用の生セラミック成形体を得るとともに、この生セラミック成形体を約1600℃の温度で焼成することにより製作される。
【0024】
また、セラミック板2の下面にはその中央部に第一メタライズ電極7と対向する静電容量形成用の第二メタライズ電極9が被着されている。この第二メタライズ電極9は、前述の第一メタライズ電極7とともに感圧素子用の静電容量を形成するためのものであり、例えば略円形のパターンに形成されている。
【0025】
このような第二メタライズ電極9は、厚みが10〜50μm程度のタングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用してセラミック板2用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し、これをセラミック板2用の生セラミック成形体とともに焼成することによってセラミック板2の下面中央部に所定のパターンに形成される。なお、第二メタライズ電極9の表面には、第二メタライズ電極9が酸化腐食するのを防止するために、通常であれば、厚みが1〜10μm程度のニッケルめっき層が被着されている。
【0026】
さらに、セラミック板2の突起部2a下面には第二メタライズ電極9に電気的に接続された略円形や略八角形の枠状の第二接合用メタライズ層10が被着されている。この第二接合用メタライズ層10は、セラミック板2をセラミック基体1に接合するための接合用下地金属層として機能し、第二接合用メタライズ層10と第一接合用メタライズ層8とを銀−銅ろう等のろう材11を介してろう付けすることによりセラミック基体1とセラミック板2とが接合されるとともに第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10とが電気的に接続され、同時にセラミック基体1とセラミック板2との間に密閉空間が形成される。
【0027】
このとき、第一メタライズ電極7と第二メタライズ電極9とは、セラミック基体1とセラミック板2との間に形成された密閉空間を挟んで対向しており、これらの間には、第一メタライズ電極7や第二メタライズ電極9の面積および第一メタライズ電極7と第二メタライズ電極9との間隔に応じて所定の静電容量が形成される。そして、セラミック板2の上面に外部の圧力が印加されると、その圧力に応じてセラミック板2がセラミック基体1側に撓んで第一メタライズ電極7と第二メタライズ電極9との間隔が変わり、それにより第一メタライズ電極7と第二メタライズ電極9との間の静電容量が変化するので、外部の圧力の変化を静電容量の変化として感知する感圧素子として機能する。そして、この静電容量の変化を凹部1a内に収容した半導体素子3にメタライズ配線導体5a・5bを介して伝達し、これを半導体素子3で演算処理することによって外部の圧力の大きさを知ることができる。
【0028】
なお、第二接合用メタライズ層10は、厚みが10〜50μm程度のタングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用してセラミック板2用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し、これをセラミック板2用の生セラミック成形体とともに焼成することによってセラミック板2の突起部2a下面に所定のパターンに形成される。また、第二接合用メタライズ層10の表面には、第二接合用メタライズ層10が酸化腐食するのを防止するとともに第二接合用メタライズ層10とろう材11との接合を良好とするために、通常であれば、厚みが1〜10μm程度のニッケルめっき層が被着されている。
【0029】
さらに、本発明においては、第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10とをろう付けするろう材11の厚みを5〜30μmとしている。そして、そのことが重要である。このように、第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10とをろう付けするろう材11の厚みを5〜30μmと薄くしたことから、セラミック板2が外部の圧力により大きく撓んだとしても、ろう材11が大きく塑性変形することはない。したがって、本発明の圧力検出装置用パッケージによれば、外部の圧力を長期間にわたり正確に検出することが可能な圧力検出装置を提供することができる。
【0030】
なお、第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10とをろう付けするろう材11の厚みが5μm未満の場合、第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10とをろう材11を介して強固かつ気密性高くろう付けすることが困難となる傾向にあり、他方、30μmを超えると、セラミック板2に外部の圧力が大きく印加された場合に、ろう材11に大きな塑性変形が発生して外部の圧力を長期間にわたり正確に検出することができなくなる危険性が大きなものとなる。したがって、第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10とをろう付けするろう材11の厚みは5〜30μmの範囲に特定される。
【0031】
また、第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10とを厚みが5〜30μmのろう材11を介して接合するには、第一接合用メタライズ層8および第二接合用メタライズ層10の表面に予め1〜10μm程度の厚みのニッケルめっき層をそれぞれ被着させておき、次に、第一接合用メタライズ層上に第二接合用メタライズ層10が当接するにようにしてセラミック基体1とセラミック板2とを圧接するとともに、厚みが10〜200μm程度の銀−銅ろうから成るろう材箔を第一接合用メタライズ層および/または第二接合用メタライズ層の外周部に接触するようにして配置し、これらを還元雰囲気中、約850℃の温度に加熱してろう材箔を溶融させて第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10との間にろう材を浸透させてろう付けする方法が採用される。
【0032】
このように、第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10とを圧接するとともにろう材箔を第一接合用メタライズ層8および/または第二接合用メタライズ層10の外周部に接触するようにして配置し、これを溶融させて第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10との間にろう材を浸透させてろう付けすることから、第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10とを厚みが5〜30μmと薄いろう材11を介してろう付けすることができる。
【0033】
このとき、第一接合用メタライズ層8および第二接合用メタライズ層10は、それぞれの内周がセラミック板2の突起部2aの内周から0.05mm以上外側に位置していることが好ましい。第一接合用メタライズ層8および第二接合用メタライズ層10のそれぞれの内周が突起部2aの内周から0.05mm以上外側に位置することから、セラミック板2が外部の圧力により大きく撓んだとしても、その撓みにより発生する応力は、突起部2aの内周の根元付近に大きく集中し、ろう材11の内周縁部に大きく作用することが有効に防止される。したがって、ろう材11に塑性変形が発生することをより有効に防止することができる。また、第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10とを銀−銅ろう等のろう材11を介してろう付けする際にろう材11が第二メタライズ電極9に流れ出ることが有効に防止することができる。
【0034】
なお、第一接合用メタライズ層8および第二接合用メタライズ層10は、それぞれの内周が突起部2aの内周から0.05mm未満外側に位置している場合、セラミック板2が外部の圧力により大きく撓んだ際に発生する応力がろう材11の内周縁部に大きく印加されて、ろう材11に塑性変形が発生する危険性が大きくなるとともに、その応力が突起部2aの内周側面と下面との間の角部に大きく印加されてセラミック板2にクラックや欠けが発生する危険性が大きくなる。同時に、突起部2aの厚みが例えば0.05mm以下と薄い場合に第一接合用メタライズ層8と第二接合用メタライズ層10とをろう材11を介してろう付けする際に、ろう材11が第二メタライズ電極9上に流れ出る危険性が大きなものとなる。したがって、第一接合用メタライズ層8および第二接合用メタライズ層10の内周は突起部2aの内周から0.05mm以上外側に位置することが好ましい。
【0035】
このように、本発明の圧力検出装置用パッケージによれば、一方の主面に半導体素子3が搭載されるセラミック基体1の他方の主面に、静電容量形成用の第一メタライズ電極7を設けるとともにこの第一メタライズ電極7に対向する静電容量形成用の第二メタライズ電極9を内側面に有するセラミック板2をセラミック基体1との間に密閉空間を形成するように可撓な状態で接合させたことから、半導体素子3を収容する容器と感圧素子とが一体となり、その結果、圧力検出装置を小型化することができる。また、静電容量形成用の第一メタライズ電極7および第二メタライズ電極9を、セラミック基体1に設けたメタライズ配線導体5a・5bを介して半導体素子3に接続することから、第一メタライズ電極7および第二メタライズ電極9を短い距離で半導体素子3に接続することができ、その結果、これらのメタライズ配線導体5a・5b間に発生する不要な静電容量を小さなものとして感度の高い圧力検出装置を提供することができる。
【0036】
かくして、上述の圧力検出装置用パッケージによれば、搭載部1bに半導体素子3を搭載するとともに半導体素子3の各電極とメタライズ配線導体5とを電気的に接続し、しかる後、半導体素子3を封止することによって小型でかつ感度が高い圧力検出装置となる。
【0037】
なお、本発明は、上述の実施の形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であることはいうまでもない。
【0038】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の圧力検出装置用パッケージの製造方法によれば、セラミック基体とセラミック板とを接合するろう材の厚みを薄くすることができ、セラミック板に外部の圧力が長期間にわたり大きく印加されたとしても、ろう材の塑性変形量を極めて小さなものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧力検出装置用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】従来の圧力検出装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・セラミック基体
2・・・・・セラミック板
2a・・・・突起部
3・・・・・半導体素子
7・・・・・第一メタライズ電極
8・・・・・第一接合用メタライズ層
9・・・・・第二メタライズ電極
10・・・・・第二接合用メタライズ層
11・・・・・ろう材
Claims (1)
- 内部および表面に複数のメタライズ配線導体を有するとともに一方の主面に半導体素子が搭載される搭載部を、他方の主面に前記メタライズ配線導体の一つに電気的に接続された静電容量形成用の第一メタライズ電極および該第一メタライズ電極を取り囲み、前記メタライズ配線導体の他の一つに電気的に接続された枠状の第一接合用メタライズ層を有するセラミック基体を準備する工程と、
一方の主面の外周部に枠状の突起部を有するとともに、該突起部で囲まれた一方の主面に前記第一メタライズ電極に対向する静電容量形成用の第二メタライズ電極および前記突起部上に前記第二メタライズ電極に電気的に接続され、かつ前記第一接合用メタライズ層にろう材を介してろう付けされた枠状の第二接合用メタライズ層を有し、前記セラミック基体の前記他方の主面との間に密閉空間を形成するように可撓な状態で前記セラミック基体に接合されるセラミック板を準備する工程と、
前記セラミック基体の前記第一接合用メタライズ層と前記セラミック板の前記第二接合用メタライズ層とを当接させる工程と、
前記第一接合用メタライズ層または前記第二接合用メタライズ層の外周部に接触するようにろう材を配置する工程と、
前記第一接合用メタライズ層と前記第二接合用メタライズ層とを圧接しながら前記ろう材を溶融させる工程と、
前記第一接合用メタライズ層と前記第二接合用メタライズ層との間に前記溶融したろう材を浸透させ、前記第一接合用メタライズ層と前記第二接合用メタライズ層とをろう付けする工程と
を具備することを特徴とする圧力検出装置用パッケージの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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