JP4222807B2 - 食用硬化油脂の製造方法 - Google Patents

食用硬化油脂の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油脂中のジアシルグリセロールを選択的に硬化してなる食用硬化油脂製造方法に関する。本発明により得られる食用硬化油脂(以下、本発明の食用硬化油脂ともいう)は、硬化ジアシルグリセロールを多く含みながら、融点が低いものであり、ショートニング、マーガリン、ホイップクリーム、ファットスプレッド等の食用油脂、食用乳化油脂の原料等として有用である。
【0002】
【従来の技術】
油脂の硬化とは、油脂の水素添加とも言い、油脂中の不飽和脂肪酸中の不飽和結合に水素を付加し、飽和結合に変える反応である。
油脂の硬化は、油脂の酸化安定性を高めること、および/または、油脂の固体脂含量(SFC)を増し、油脂の物性を調節することを目的として行われている。通常、油脂の硬化は、原料油脂を攪拌下、ニッケル、銅―クロム、銅―ニッケル等の化学触媒を用い、反応温度が140〜220℃、水素分圧が1.0×105 Pa(常圧)(760mmHg)〜1.0×106 Pa(10気圧)(7600mmHg)の条件下で行なわれている(例えば、特許文献1を参照)。そして、これらの条件を適当に選択することで、トリエン、ジエン、モノエンの水素化速度の比(脂肪酸選択性)と位置異性体や幾何異性体の生成量を調節できることが知られている。
【0003】
油脂は、その主成分であるトリアシルグリセロール(TAG)以外にジアシルグリセロール(DAG)を含む。油脂中のジアシルグリセロール含量は、油脂の種類や、精製加工の程度によって変化するが、通常1〜15重量%の範囲にある。
油脂中のジアシルグリセロールはトリアシルグリセロールが分解して脂肪酸が1分子解離したものであるため、通常、ジアシルグリセロールの脂肪酸組成は原料油脂の脂肪酸組成に近似しており、原料油脂とほぼ同等のヨウ素価を示す。そのため、ジアシルグリセロールは、通常、不飽和脂肪酸を含有し、従って油脂同様に硬化させることによって、その酸化安定性や物性の改良が可能である。
これらの硬化ジアシルグリセロールを得る方法としては、例えば、飽和脂肪酸とグリセリンとをエステル化する方法や、硬化油とグリセリンとの混合物を触媒、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の存在下でエステル交換反応させ、必要に応じ、分子蒸留またはケイ酸カラムクロマトグラフィー法による濃縮も行なわれる方法等がある(例えば、特許文献2を参照)。しかし、これらの方法は操作が煩雑で、かつコストも高かった。
【0004】
油脂中のジアシルグリセロールを選択的に硬化してなる硬化油脂の製造方法は、知られていない。そのため、ジアシルグリセロールを含有する油脂を硬化すると、油脂中のジアシルグリセロールと油脂の主成分のトリアシルグリセロールが同時に硬化されるため、例えば硬化ジアシルグリセロールを多く含み、且つ融点の低い油脂というような油脂を得るのは不可能であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平1−95794号公報
【特許文献2】
特公平7−40873号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、油脂中のジアシルグリセロールを選択的に硬化してなる食用硬化油脂およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、意外にも反応温度と水素圧力を、ニッケル触媒による油脂の硬化工程では通常行われない低温度、低圧力にすることにより、原料油脂中のジアシルグリセロールが選択的に硬化されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の食用硬化油脂の製造方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
ジアシルグリセロールを含有する油脂を原料油脂として、金属触媒としてニッケルを使用し、反応温度を80〜100℃かつ水素分圧を1.0×10 4 〜2.5×10 4 で水素添加して、原料油脂および原料油脂中に含まれるジアシルグリセロールのヨウ素価をそれぞれA0、B0とし、硬化油脂および硬化油脂中に含まれるジアシルグリセロールのヨウ素価をそれぞれA1、B1としたとき、ln(B1/B0)/ln(A1/A0)が6以上である食用硬化油脂を製造することを特徴とする食用硬化油脂の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態について詳細に説明する。
先ず本発明で使用される原料油脂について詳述する。
油脂は、通常、ジアシルグリセロールを1〜15重量%含有しており、本発明においては、ジアシルグリセロールを含有する油脂であれば起源や精製度、加工度は問わず問題なく使用できるが、ジアシルグリセロールを4重量%以上含有する油脂を使用することが望ましい。
ジアシルグリセロールを4重量%以上含有する油脂を使用することにより、酸化安定性や物性の改良が顕著となり、本発明の硬化油脂の広範な食用油脂への適用が可能となる。
【0012】
ジアシルグリセロールを4重量%以上含有する油脂としては、例えば綿実油、米糠油、パーム油、サル脂、シア脂、マンゴー核油、コクム脂、モーラ脂等の植物性油脂ならびにこれらを水素添加、分別およびエステル交換から選択される一または二以上の処理を施した加工油脂があげられ、なかでも特にパーム油がジアシルグリセロール含量が高いため、特に好適に使用できる。パーム油のジアシルグリセロール含量は4〜12重量%程度である。
【0013】
また、パーム油をアセトン等の極性溶媒で分別した低融点部や、パーム油をヘキサン等の非極性溶媒で分別した高融点部、パーム油をウインタリング等の分別操作で得られた低融点部の油脂等はさらに多くのジアシルグリセロールを含む。もちろん、ジアシルグリセロールを4重量%未満しか含有しない油脂、例えば、パーム核油、ヤシ油、コーン油、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂および動物油脂ならびにこれらを水素添加、分別およびエステル交換から選択される一または二以上の処理を施した加工油脂については、上記ジアシルグリセロールを4重量%以上含有する油脂と混合、あるいは上記ジアシルグリセロールを含有する油脂より分離して得たジアシルグリセロールを添加、また、分別やエステル交換等の、配合や精製加工によりジアシルグリセロール含量を4重量%以上に高めて使用することができる。
【0014】
次に本発明で用いられる金属触媒について述べる。
本発明で用いられる金属触媒は、ニッケルである
上記ニッケル触媒としては、特に限定されるものではなく、湿式還元ニッケル触媒、乾式還元ニッケル触媒等を使用することができる。その添加量は好ましくは原料油脂100重量部あたり、0.005〜0.5重量部であるが、特に限定されるものではない。
【0015】
次に水素添加の際の反応条件について述べる。
先にも述べたとおり、通常の水素添加は、原料油脂を攪拌下、ニッケル、銅―クロム、銅―ニッケル等の化学触媒を用い、反応温度が140〜220℃、水素分圧が1.0×105 Pa〜1.0×106 Paの条件下で行なわれている。実際には反応速度や収率、安定性の面から反応温度が180〜200℃で、水素分圧が1.0×105 Pa〜2.0×105 Paの条件下で行なわれている場合が多い。
【0016】
本発明は、上記の通常の水素添加条件に比べてはるかに低い反応温度、水素分圧とすることにより、ジアシルグリセロールを優先的、選択的に硬化した油脂が得られる。具体的には金属触媒としてニッケルを使用した場合、反応温度を80〜100℃かつ水素分圧を1.0×10 4 〜2.5×10 4 Paで水素添加する。
反応温度が120℃を超えたり、あるいは、水素分圧1.0×105 Paを超える圧であると、選択的にジアシルグリセロールに水素添加されず、本発明のジアシルグリセロールを選択的に硬化した油脂が得られなくなってしまう。
【0017】
次にジアシルグリセロールの選択的硬化の指標である、ジアシルグリセロール選択性値について述べる。
ジアシルグリセロール選択性値とは、ジアシルグリセロールの水素添加速度/油脂全体の水素添加速度の値のことであり、以下の式で表した。
ジアシルグリセロール選択性値=ln(B1/B0)/ln(A1/A0)
A0:原料油脂(硬化前の油脂全体)のヨウ素価
B0:原料油脂中に含まれるジアシルグリセロールのヨウ素価
A1:硬化油脂(硬化後の油脂全体)のヨウ素価
B1:硬化油脂中に含まれるジアシルグリセロールのヨウ素価
【0018】
本発明の食用硬化油脂は、ジアシルグリセロール選択性値が、6以上、好ましくは6〜12である。
なお、本発明者らが、油脂の通常の硬化におけるジアシルグリセロール選択性値を実際に調べたところ、通常の硬化条件、例えばニッケル触媒:0.05〜0.5%、温度:120〜220℃、水素分圧:1.0×105 Pa以上5.0×105 Pa以下、メチオニン:0〜500ppmでは、ジアシルグリセロール選択性値は0〜4の範囲に留まる。
【0019】
本発明では、反応温度と水素圧力を、従来のニッケル触媒による硬化工程では通常行われない程度まで下げることで、ジアシルグリセロール選択性を飛躍的に高め得る。具体的には反応温度を80〜100℃とし、かつ水素圧力を水素分圧として1.0×10 4 〜2.5×10 4 Paとすることで、ジアシルグリセロール選択性値は6以上に高まり、ジアシルグリセロール選択的硬化油脂を得るに至った。
【0020】
次に反応に用いる機械装置について述べる。
硬化の際の攪拌は、通常の硬化条件と同様に十分に行われていることが望ましい。
また、反応機は通常使われているもので良く、例えばデッドエンド型、ループ型のいずれでも良好に実施することができ、上記温度条件、水素分圧とすることで、本発明のジアシルグリセロール選択硬化油脂を得ることができる。
【0021】
また、本発明において、得られた硬化油脂の全脂肪酸中のステアリン酸含量が15重量%未満であり、かつ、ジアシルグリセロールの脂肪酸中のステアリン酸含量が15重量%以上であることが好ましく、これにより、より広範な食用油脂や食用乳化油脂に使用することが可能となる。硬化油脂の全脂肪酸中のステアリン酸含量が15重量%以上であると、食用油脂や食用乳化油脂に使用した場合、口溶けが悪く、また、選択的硬化の意味が薄れてしまう。また、ジアシルグリセロールの脂肪酸中のステアリン酸含量が15重量%未満であると、ジアシルグリセロールの硬化度が低く、食用油脂や食用乳化油脂に使用した場合、改良効果が少なくなってしまう。
【0022】
また、本発明の食用硬化油脂は、SFCが20℃で10以上55以下、30℃で1以上35以下であることが好ましく、さらに好ましくはSFCが20℃で10以上30以下、30℃で1以上20以下であり、これにより、さらに広範な食用油脂や食用乳化油脂に使用することが可能となる。食用硬化油脂のSFCが上記範囲の上限超であると、食用油脂や食用乳化油脂に使用した場合、口溶けが悪く、また、選択的硬化の意味が薄れてしまう。また、反対に上記範囲の下限未満であると、やわらかすぎて、広範な食用油脂、食用乳化油脂への適用が困難となる。
【0023】
また、本発明の食用硬化油脂をさらに異性化水素添加することで、上記ジアシルグリセロール選択性値をほぼ維持したまま、硬化油脂の硬さを高めることもできる。
上記異性化水素添加は、被毒物質含有触媒、または上記触媒に加え被毒物質を用いることによりなされる。これらの被毒物質含有触媒および被毒物質としては、特に制限されるものでなく、例えば、上記被毒物質含有触媒としては、イオウ被毒ニッケル触媒等が挙げられ、また上記被毒物質としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チアミン硝酸塩、含硫アミノ酸(メチオニン、システイン等)等が挙げられる。上記被毒物質含有触媒および上記被毒物質の被毒物質としての使用量は、油脂に対して、好ましくは50〜1000ppm、より好ましくは100〜500ppmである。また、反応温度は160〜250℃、水素分圧は1.0×104 Pa〜5.0×105 Paが好ましい。
なお、上記異性化水素添加は、硬化油脂を得た後、別途異性化水素添加しても良いし、ジアシルグリセロール選択的条件で硬化した後、引き続き、上記被毒物質を添加し、反応温度を200℃程度まで上げさらに硬化を継続しても良い。
得られた異性化水素添加油脂のジアシルグリセロール選択性値は、異性化水素添加前に比較して低下するが、ここで、ジアシルグリセロール選択性値が3以上であることが好ましい。
【0024】
本発明の食用硬化油脂は、ショートニング、マーガリン、ホイップクリーム、ファットスプレッド等の食用油脂、食用乳化油脂の原料として広範に使用することができる。特に、本発明の食用硬化油脂は、従来条件で硬化した場合に比べて、ジアシルグリセロール中の飽和脂肪酸含量が同一の場合、硬化油脂の融点が低く、より広範な用途に使用することができる。
また、さらに、本発明の食用硬化油脂は、飽和脂肪酸含量の高いジアシルグリセロールを食用油脂に添加混合するのに比べ、コスト的にも手間的にも優位性がある。
【0025】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない
【0026】
{ジアシルグリセロールの分取方法}
試料0.2gをヘキサン10mlに溶解し、シリカゲルカラム〔Sep−pakカートリッジ(シリカ);ウォータース社製〕に供給し、ヘキサン/ジエチルエーテル(容積比95:5)30mlで洗浄後、ヘキサン/ジエチルエーテル(容積比70:30)30mlでジアシルグリセロール画分を溶出した。さらに、この画分にヘキサン30mlを追加し、7%含水フロリジル30gを充填したカラムに供給し、ヘキサン/ジエチルエーテル(容積比75:25)150mlで洗浄後、ヘキサン/ジエチルエーテル(容積比50:50)150mlでジアシルグリセロール画分を溶出し、エバポレーターで溶剤除去後、脂肪酸組成を測定した。
脂肪酸組成の測定は、基準油脂分析法に則り実施し、ヨウ素価の測定は、AOCS分析法Cd 1c−85記載の方法により算出した。なお、その計算式は以下のとおりである。
ヨウ素価=(パルミトオレイン酸含有%×0.950)+(オレイン酸含量%×0.860)+(リノール酸含量%×1.732)+(リノレン酸含量%×2.616)+(ガドレン酸含量%×0.785)+(エルカ酸含量%×0.723)
また、SFCの測定方法については、以下の方法によって測定した。
配合油を60℃に30分保持し、油脂を完全に融解し、そして0℃に30分保持して固化させた。さらに25℃に30分保持し、テンパリングを行い、その後、0℃に30分保持した。これを逐次SFCの10℃、20℃、30℃の各測定温度に30分づつ保持後、SFCを測定した。
【0027】
実施例1
25Lの密閉反応器に、ヨウ素価54.6、ジアシルグリセロール含量6.8重量%、ジアシルグリセロールのヨウ素価59.9の、パームオレインを15kgおよびニッケル触媒SO−550(堺化学(株)製)(ニッケル含量20重量%)を15g投入し、反応温度:100℃、水素分圧:2.5×104 Paで8時間硬化反応を行った。この間の水素添加量は53Lであった。
得られた硬化油脂について、上記SFC測定法によりSFC値を測定した。また、上記ジアシルグリセロールの分取方法により、ジアシルグリセロールを分取し、上記脂肪酸組成測定法により、硬化油脂全体、およびジアシルグリセロールの脂肪酸組成を測定し、その数値を用いて、上記ヨウ素価計算式より硬化油脂全体のヨウ素価、およびジアシルグリセロールのヨウ素価を算出した。さらに、そのヨウ素価からジアシルグリセロール選択性値を上記計算法により求めた。これらの分析によって得られた分析値を表1に示す。
実施例1によって得られた硬化油脂のジアシルグリセロール選択性値は7.9であり、SFCは20℃で15.7、30℃で6.3であり、全脂肪酸中のステアリン酸含量は7.0重量%であり、ジアシルグリセロールの脂肪酸中のステアリン酸含量は29.1重量%であった。
【0028】
実施例2
1.5Lの密閉反応器に、ヨウ素価63.5、ジアシルグリセロール含量7.5重量%、ジアシルグリセロールのヨウ素価64.5の、パームオレインを15kgおよびニッケル触媒SO−550(堺化学(株)製)(ニッケル含量20重量%)を15g投入し、反応温度:100℃、水素分圧:2.5×104 Paで12時間硬化反応を行った。この間の水素添加量は53Lであった。
得られた硬化油脂について、上記SFC測定法によりSFC値を測定した。また、上記ジアシルグリセロールの分取方法により、ジアシルグリセロールを分取し、上記脂肪酸組成測定法により、硬化油脂全体、およびジアシルグリセロールの脂肪酸組成を測定し、その数値を用いて、上記ヨウ素価計算式より硬化油脂全体のヨウ素価、およびジアシルグリセロールのヨウ素価を算出した。さらに、そのヨウ素価からジアシルグリセロール選択性値を上記計算法により求めた。これらの分析によって得られた分析値を表1に示す。
実施例2によって得られた硬化油脂のジアシルグリセロール選択性値は6.8であり、SFCは20℃で17.3、30℃で3.4であり、全脂肪酸中のステアリン酸含量は6.9重量%であり、ジアシルグリセロールの脂肪酸中のステアリン酸含量は28.3重量%であった。
【0029】
実施例3
1.5Lの密閉反応器に、ヨウ素価63.5、ジアシルグリセロール含量7.5重量%、ジアシルグリセロールのヨウ素価64.5の、パームオレインを15kgおよびニッケル触媒SO−550(堺化学(株)製)(ニッケル含量20重量%)を15g投入し、反応温度:100℃、水素分圧:2.5×104 Paで12時間硬化反応を行った。この間の水素添加量は53Lであり、得られた硬化油脂のジアシルグリセロール選択性値は6.8であった。硬化反応後、さらにメチオニン;3g(200ppm)を添加し、反応温度:200℃、水素分圧:2.0×105 Paで2時間異性化水素添加反応を行った。この間の水素添加量は16Lであった。
得られた異性化水素添加油脂について、上記SFC測定法によりSFC値を測定した。また、上記ジアシルグリセロールの分取方法により、ジアシルグリセロールを分取し、上記脂肪酸組成測定法により、異性化水素添加油脂全体、およびジアシルグリセロールの脂肪酸組成を測定し、その数値を用いて、上記ヨウ素価計算式より異性化水素添加油脂全体のヨウ素価、およびジアシルグリセロールのヨウ素価を算出した。さらに、そのヨウ素価からジアシルグリセロール選択性値を上記計算法により求めた。これらの分析によって得られた分析値を表1に示す。
実施例3によって得られた異性化水素添加油脂のジアシルグリセロール選択性値は3.6であり、SFCは20℃で21.9、30℃で10.0であり、全脂肪酸中のステアリン酸含量は7.0重量%であり、ジアシルグリセロールの脂肪酸中のステアリン酸含量は27.3重量%であった。
【0030】
実施例4
25Lの密閉反応器に、ヨウ素価54.6、ジアシルグリセロール含量6.8重量%、ジアシルグリセロールのヨウ素価59.9の、パームオレインを15kgおよびニッケル触媒SO−550(堺化学(株)製)(ニッケル含量20重量%)を15g投入し、反応温度:80℃、水素分圧:1.0×104 Paで14時間硬化反応を行った。この間の水素添加量は50Lであった。
得られた硬化油脂について、上記SFC測定法によりSFC値を測定した。また、上記ジアシルグリセロールの分取方法により、ジアシルグリセロールを分取し、上記脂肪酸組成測定法により、硬化油脂全体、およびジアシルグリセロールの脂肪酸組成を測定し、その数値を用いて、上記ヨウ素価計算式より硬化油脂全体のヨウ素価、およびジアシルグリセロールのヨウ素価を算出した。さらに、そのヨウ素価からジアシルグリセロール選択性値を上記計算法により求めた。これらの分析によって得られた分析値を表1に示す。
実施例4によって得られた硬化油脂のジアシルグリセロール選択性値は8.2であり、SFCは20℃で14.9、30℃で6.5であり、全脂肪酸中のステアリン酸含量は7.1重量%であり、ジアシルグリセロールの脂肪酸中のステアリン酸含量は27.2重量%であった。
【0031】
比較例1
1.5Lの密閉反応器に、ヨウ素価63.5、ジアシルグリセロール含量7.5重量%、ジアシルグリセロールのヨウ素価64.5の、パームオレインを15kgおよびニッケル触媒SO−550(堺化学(株)製)(ニッケル含量20重量%)を15g投入し、反応温度:160℃、水素分圧:1.0×105 Paで0.5時間硬化反応を行った。この間の水素添加量は189Lであった。
得られた硬化油脂について、上記SFC測定法によりSFC値を測定した。また、上記ジアシルグリセロールの分取方法により、ジアシルグリセロールを分取し、上記脂肪酸組成測定法により、硬化油脂全体、およびジアシルグリセロールの脂肪酸組成を測定し、その数値を用いて、上記ヨウ素価計算式より硬化油脂全体のヨウ素価、およびジアシルグリセロールのヨウ素価を算出した。さらに、そのヨウ素価からジアシルグリセロール選択性値を上記計算法により求めた。これらの分析によって得られた分析値を表1に示す。
比較例1によって得られた硬化油脂のジアシルグリセロール選択性値は1.3であり、SFCは20℃で47.3、30℃で22.6であり、全脂肪酸中のステアリン酸含量は7.1重量%であり、ジアシルグリセロールの脂肪酸中のステアリン酸含量は12.6重量%であった。
実施例1または2に比べ、通常の硬化条件である比較例1では、硬化油脂全体のステアリン酸含量は同一であるにもかかわらず、ジアシルグリセロールのステアリン酸含量が低く、また、硬化油脂のSFCは20℃、30℃とも値が高く、大変硬い油脂であることがわかる。
【0032】
【表1】
Figure 0004222807
【0033】
【発明の効果】
本発明の食用硬化油脂は、油脂中のジアシルグリセロールを選択的に硬化してなるものであり、広範な食用油脂、食用乳化油脂の製造に使用できる。また、油脂に別途ジアシルグリセロールを添加したものに比べ、低コストで同様の効果を得ることができる。

Claims (6)

  1. ジアシルグリセロールを含有する油脂を原料油脂として、金属触媒としてニッケルを使用し、反応温度を80〜100℃かつ水素分圧を1.0×10 4 〜2.5×10 4 Paで水素添加して、原料油脂および原料油脂中に含まれるジアシルグリセロールのヨウ素価をそれぞれA0、B0とし、硬化油脂および硬化油脂中に含まれるジアシルグリセロールのヨウ素価をそれぞれA1、B1としたとき、ln(B1/B0)/ln(A1/A0)が6以上である食用硬化油脂を製造することを特徴とする食用硬化油脂の製造方法。
  2. 原料油脂のジアシルグリセロール含量が4重量%以上である請求項1記載の食用硬化油脂の製造方法。
  3. 原料油脂がパーム由来である請求項1または2記載の食用硬化油脂の製造方法。
  4. 得られる食用硬化油脂を構成する全脂肪酸中のステアリン酸含量が15重量%未満であり、かつ、ジアシルグリセロールの脂肪酸中のステアリン酸含量が15重量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の食用硬化油脂の製造方法。
  5. 得られる食用硬化油脂のSFCが20℃で10以上55以下、30℃で1以上35以下である請求項1〜4のいずれかに記載の食用硬化油脂の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られた食用硬化油脂に対し、さらに異性化水素添加を行なうことを特徴とする食用異性化水素添加油脂の製造方法。
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