JP4221801B2 - 複合繊維、混繊糸および織編物 - Google Patents

複合繊維、混繊糸および織編物 Download PDF

Info

Publication number
JP4221801B2
JP4221801B2 JP02530599A JP2530599A JP4221801B2 JP 4221801 B2 JP4221801 B2 JP 4221801B2 JP 02530599 A JP02530599 A JP 02530599A JP 2530599 A JP2530599 A JP 2530599A JP 4221801 B2 JP4221801 B2 JP 4221801B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
composite fiber
island
sea
woven
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP02530599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000226734A (ja
Inventor
正幸 佐藤
義高 荒西
洋 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP02530599A priority Critical patent/JP4221801B2/ja
Publication of JP2000226734A publication Critical patent/JP2000226734A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4221801B2 publication Critical patent/JP4221801B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分割処理によって脂肪族ポリエステル極細糸を製造することができる海島型の複合繊維、混繊糸および織編物に関し、更に詳しくは、本発明は、風合い、特にソフト感に優れ、且つ発色性が良好であり、更に生分解性を有する脂肪族ポリエステル極細糸を製造することができる海島型の複合繊維、混繊糸および織編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリエチレンテレフタレートからなる単糸繊度が0.01〜1dtexのポリエステル極細糸は、ピーチ調織編物やワイピングクロスに用いられている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレートからなる極細糸は屈折率が約1.6と高いため極細糸にした際の発色性が十分でなく、特に濃色での発色性が劣るため商品展開に制限があったり、またポリマー自体のヤング率が高いため十分なソフト感を付与することができなかった。
【0003】
一方、近年特に環境問題が社会問題になってきているが、ポリエチレンテレフタレートに代表される芳香族ポリエステルは耐久性が極めて高く、自然環境中で容易に分解しないため廃棄に際しては焼却処理を行わない限り、半永久的に残存してしまうという欠点がある。この問題を解決するために近年、生分解性繊維について種々提案されている。
【0004】
例えば、特開平7−11517号公報および特開平8−158154号公報には、直接紡糸による脂肪族ポリエステル繊維の製造について提案されているが、これらはいずれも不織布用途を狙った、単糸繊度が2dtex以上の太い単糸繊度を有する生分解性繊維に関するものであり、いずれの場合においても衣料用途でのソフト感と発色性を付与することはできなかった。
【0005】
また、特開平9−41223号公報には、結晶性の異なる2種の生分解性重合体を用いた分解型複合繊維について開示されている。しかしながら、この提案も不織布用途を狙ったものであり、得られる繊維の単糸繊度は分割後においても2〜3dtexレベルのものであり、また物理的に分割するため分割の均一性が劣るものであり、やはり衣料用途でのソフト感と発色性を付与することはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術では達成できなかった、衣料用織編物とした際にソフト感と発色性に優れ、更に生分解性を有する脂肪族ポリエステル極細糸を製造するための複合繊維、混繊糸および織編物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、熱水可溶性ポリエステルを海成分とし、融点が130℃以上の脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステルを島成分とする海島型の複合繊維であって、海成分/島成分の複合比率が10/90〜50/50であり、かつ該海成分を除去した後の島成分の単糸繊度が0.01〜1dtexであることを特徴とする複合繊維によって達成できる。
【0008】
本発明においては、次の好ましい態様を包含している。
【0009】
(a) 島成分数が3〜100であること。
【0010】
(b) 脂肪族ポリエステルがL−乳酸を主成分とするポリエステルであること。
【0011】
(c) 単糸繊度が2〜6dtexである熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸と上記複合繊維とが混繊されてな混繊糸。
【0012】
(d) 熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸の沸騰水収縮率(SW)と複合繊維の沸騰水収縮率(SWA)が、次式SWA+5≦SWB≦SWA+25(%)を満足すること。
【0013】
(e) 上記複合繊維及び/又は上記混繊糸を少なくとも一部に用いた織編物。
【0014】
(f) 上記複合繊維及び/又は上記混繊糸を少なくとも一部に用いて製織編後、熱水処理することによって得られる、単糸繊度が0.01〜1dtexである融点が 130℃以上の脂肪族ポリエステル極細糸を含有する織編物。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明の複合繊維は、海島型の複合繊維であって、島成分が脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステルより形成されていることが必要である。島成分を脂肪族ポリエステルを主体としたポリエステルで形成することによって、本発明の目的であるソフト感、発色性と生分解性を向上させることができるのである。ここで脂肪族ポリエステルを主体とするとは、島成分の80重量%以上が脂肪族ポリエステルから形成されていることを意味している。
【0017】
本発明においては、複合繊維の島成分を形成する脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステルの融点が130℃以上であることが必要である。融点が130℃未満であると、染色加工工程において繊維が融着一体化してしまうため極細化の効果が発現できずソフト感が得られないと共に摩擦加熱時に溶融欠点が生じるなど、製品の品位も著しく悪化する。脂肪族ポリエステルの融点は好ましくは150℃以上であり、さらに好ましくは170℃以上である。ここで融点とはDSC測定によって得られた溶融ピークのピーク温度を意味する。
【0018】
本発明では、このような脂肪族ポリエステルを用いることによって、芳香族ポリエステルとは異なり、良好なソフト感を呈する。この良好なソフト感は、脂肪族ポリエステル糸のヤング率が芳香族ポリエステル糸のヤング率に比べ、明確に低いことに起因している。
【0019】
本発明で用いられる脂肪族ポリエステルは、DSC測定で得られる溶融ピークのピーク温度が130℃以上であれば特段の制約はなく、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートバリレート、およびこれらのブレンド物、変性物等を用いることができる。中でも本発明の目的とするソフト性、発色性および生分解性を向上するための融点、ヤング率、屈折率などの特性のバランスを考慮すると、ポリ乳酸が最も好ましい。ポリ乳酸としてはL−乳酸を主成分とするポリエステルであることが好ましい。L−乳酸を主成分とするとは、構成成分の60重量%以上がL−乳酸からなっていることを意味し、40重量%を超えない範囲でD−乳酸を含有するポリエステルであってもよい。強度等の繊維物性を向上するためにはポリ乳酸の分子量は高いほど好ましく、通常少なくとも5万、好ましくは少なくとも10万、より好ましくは10〜30万である。
【0020】
また、溶融粘度を低減させるため、ポリカプロラクトンやポリブチレンサクシネートのようなポリマーを内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用いることができる。さらには、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤、着色顔料等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて添加することができる。
【0021】
一方、本発明の複合繊維の海成分を形成する熱水可溶性ポリエステルとしては、熱水溶解性を有することが必要である。通常、ポリエチレンテレフタレートからなる極細糸を海島型の複合繊維から製造する場合、海成分としてアルカリ溶解性の高い改質ポリエステルを使用することが一般的であるが、島成分に脂肪族ポリエステルを用いた海島型複合繊維をアルカリ溶液によって分割処理すると、脂肪族ポリエステルのアルカリ溶液による分解性が高いため、分割処理と同時に島成分の脂肪族ポリエステルの分解も起こってしまい、物性的に劣った極細糸しか得られないばかりか、場合によっては島成分の脂肪族ポリエステルの分解が先に進行してしまうため極細糸を得ることすら困難となるのである。
【0022】
この島成分の脂肪族ポリエステルの分解を抑制するためには、海成分として用いられる重合体の特性として熱水溶解性が必要となる。本発明でいう熱水溶解性とは、95℃の熱水に60分間浸した際に完全に熱水中に溶解することを意味するものであり、熱水可溶性ポリエステルを海成分とした複合繊維とすることによって、織編物加工工程で一般的な精練工程において、海成分を溶解除去し、複合繊維中の島成分を各々に完全に分割できるのである。
【0023】
本発明で用いられる熱水可溶性ポリエステルとしては、特開平1−272820号公報、特開昭61−296120号公報、特開昭63−165516号公報および特開昭63−159520号公報等に記載されているような、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびイソフタル酸を特定量共重合した共重合ポリエステル、5−ナトリウムイソフタル酸、イソフタル酸およびポリアルキレングリコールもしくはその誘導体を特定量共重合した共重合ポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、イソフタル酸および脂肪族ジカルボン酸を特定量共重合した共重合ポリエステルなどが挙げられる。
【0024】
本発明の複合繊維の海成分/島成分の複合比率は、複合形態の安定性、製糸性および生産性の点から10/90〜50/50であることが必要である。海成分の複合比率が10%未満の場合は、複合異常が発生し分割性不良を起こしたり、複合形態が正常であっても海成分の溶解不良による分割性不良を生じ、本発明の目的であるソフト感を得ることができない。逆に海成分の複合比率が50%を超えると、生産性が低下すると共に、織編物とした際に「ふかつき」が生じ、反発感のない織編物となってしまう。本発明において、好ましい複合繊維の海成分/島成分の複合比率は15/85〜40/60である。
【0025】
また、本発明の複合繊維においては、海成分を除去した後の島成分の単糸繊度は、ソフト感と発色性を両立するために0.01〜1dtexであることが必要である。島成分の単糸繊度を0.01〜1dtexとすることによって、本発明の目的とするソフト感と発色性、さらには製糸安定性を付与することができるのである。単糸繊度が0.01dtex未満になると、ソフト感は向上するが十分な発色性を得ることができないのである。逆に単糸繊度が1dtexを超えると、発色性および製糸性は良好であるが単糸繊度が太くなることによってソフト感の低下を招くのである。本発明において、単糸繊度の好ましい範囲は0.05〜0.8dtexである。
なお、複合繊維の断面形状は、丸断面の他、扁平、中空および三角等の異形断面であってもよい。また、繊維表面は海成分で完全に覆われていても、島成分が一部露出していてもかまわない。更に海成分を除去した後の島成分の断面形状についても丸断面の他、扁平または三角等の異形断面であってもよい。
【0026】
本発明の複合繊維においては、製糸性とソフト感を両立するために単繊維内の島成分数が3〜100であることが好ましい。島成分数が3個未満では、本発明のソフト感を得るために必要な島成分の単糸繊度0.01〜1dtexを得るために複合繊維の単糸繊度を小さくする必要があり、複合繊維の細繊度化によって製糸性が悪化する場合がある。また島成分数が100個を超えると、本発明のソフト感を得るために必要な島成分の単糸繊度0.01〜1dtexを得ることは容易となるが、口金構造が複雑になるため複合異常等によって製糸性が悪化する場合がある。製糸性とソフト感を両立するためのより好ましい単繊維内の島成分数の範囲は6〜80である。
【0027】
本発明の複合繊維は、単独糸として織編物等の布帛の製造に使用することができるが、他のマルチフィラメント糸との混繊糸としても使用することもできる。混繊糸として使用する場合には、布帛の張り・腰、反発感を向上するために単糸繊度が2〜6dtexである熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸と混繊することが好ましい。なお、本発明の複合繊維の海成分を除去して得られる脂肪族ポリエステル極細糸の単糸繊度と、熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸の単糸繊度との比が大きくなりすぎると、染色性差の違いによって織編物にした際に「いらつき」が発生し、製品品位を低下させることがあるので、複合繊維の海成分を除去して得られる脂肪族ポリエステル極細糸と熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸との単糸繊度の比は100倍以下が好ましい。
【0028】
本発明の複合繊維と混繊する他のマルチフィラメント糸を形成する熱可塑性重合体としては、複合繊維の海成分を除去して得られる脂肪族ポリエステル極細糸を形成する脂肪族ポリエステルであっても良いし、他のポリエステルやポリアミド等であってもかまわない。他のポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどが挙げられ、またポリアミドとしてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などが挙げられる。いずれの場合も15モル%以下の共重合成分を含んでいても良い。
【0029】
混繊糸として使用する場合には、ふくらみ感、ソフト感および反発感を向上するために、単糸繊度の大きい熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸を複合繊維より高収縮化させておくことが好ましく、熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸の沸騰水収縮率(SWB)と複合繊維の沸騰水収縮率(SWA)が、SWA+5≦SWB≦SWA+25(%)を満足することが好ましい。
【0030】
なお、沸騰水収縮率の測定は以下の方法で行う。
混繊糸を本発明の複合繊維と単糸繊度の大きい熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸に分離した後かせ取りし、0.09cN/dtexの荷重下で試料長L0を測定した後、無荷重の状態で15分間、沸騰水中で処理を行う。処理後、風乾し、0.09cN/dtexの荷重下で試料長L1を測定し、次式で算出する。
【0031】
沸騰水収縮率(SW)(%)=[(L0−L1)/L0]×100
混繊糸として用いる場合の複合繊維と熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸との混繊比率は、40:60〜80:20の範囲が張り・腰、反発感向上の点から好ましい。
【0032】
本発明の複合繊維の製造には、例えば、特公昭44−18369号公報の第1図に示されているような多数の芯鞘複合流を形成し、これらの芯鞘複合流を一つの吐出孔に導入して海島型の複合繊維とする方法や、特公昭49−81613号公報の第10図に示されているような放射状スリットと該放射状スリットの間に設けた別のポリマ流入孔によって複合させることによって海成分が放射状の連続層を形成した海島型の複合繊維とする方法などが好適な一例として使用できる。
【0033】
本発明の複合繊維を製糸するにあたっては、紡糸および延伸工程を連続して行う方法、未延伸糸として一旦巻き取った後、延伸する方法または高速製糸法等何れのプロセスにも適用できる。更に必要に応じて、仮撚や空気交絡等の糸加工を施しても良い。
【0034】
また、本発明の複合繊維を用いた混繊糸を製造する方法としては、従来より知られている後混繊方式、紡糸混繊方式のいずれの方法によって製造しても良い。
【0035】
また、本発明の複合繊維及び/又は混繊糸は、熱水処理することによって海成分を除去でき、単糸繊度が0.01〜1dtexである融点が130℃以上の脂肪族ポリエステル極細糸を得ることができ、、極細糸によるソフト感と発色性、ピーチタッチ感を発現させることができる。このようなソフト感と発色性、ピーチタッチ感を発現させるためには本発明の複合繊維及び/又は混繊糸を織編物の少なくとも一部に用いることによって得ることができる。更に織編物の張り・腰や反発感、ふくらみ感を向上するためには混繊糸を使用することが好ましい。また熱水処理による海成分除去工程は、製織編工程の通過性の点から、製織編後に行うことが好ましい。海成分の除去によって、島成分からなる脂肪族ポリエステル極細糸を含んだソフト感と発色性に優れ、ピーチタッチ感のある織編物が得られる。
【0036】
なお織編物を製造する場合においては、織編機、織編組織等については何等制約することはなく、少なくとも一部に用いることによって、本発明の目的とする、ソフト感と発色性を有する良好な織編物を製造することができる。
【0037】
本発明の織編物は、そのソフト感と発色性の点から、衣料用途に特に好ましく用いられる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法で求めた。
【0039】
A.融点
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計(DSC−7)を用いて、昇温速度15℃/分の条件で測定し、得られた溶融ピークのピーク温度を融点とした。
【0040】
B.溶融粘度
東洋製機(株)社製キャピログラフを用いて260℃における剪断速度と溶融粘度との関係を測定した。測定にはL/D=10/1(mm)のダイを使用し、剪断速度1000sec-1の時の粘度をもってその試料の溶融粘度とした。なお、ポリブチレンサクシネートについては190℃にて測定した。
【0041】
C.風合い特性(ソフト性、発色性、反発感、ふくらみ感)
各項目とも、試料を基準試料との一対比較による官能試験を実施し、4段階評価した。そしてそれらを総合評価して、「極めて優れている」は◎、「優れている」は○、「普通」は△、「劣っている」は×で表した。なお、基準試料には海成分溶解除去後の島成分繊度が0.05dtexのポリエチレンテレフタレート(PET)からなるPET系複合繊維を試料と同様に製織、アルカリ減量加工を施したものを用い、これを「劣っている ×」とした。
【0042】
D.断面複合状態安定性
複合繊維を熱水で1hr処理して海成分を溶解除去後、厚さ5μmにカットし、分割状態を観察した。
【0043】
◎:分割異常は全くなし
○:分割異常の島成分数が全体の5%未満
△:分割異常の島成分数が全体の5%以上10%未満
×:分割異常の島成分数が全体の10%以上
E.製糸性
紡糸時間2時間における糸切れ回数から製糸性を3段階評価した。
【0044】
○:糸切れ無し
△:糸切れ若干有り(1〜3回)
×:糸切れ多発
E.延伸性
2kg巻きパーンを5本作製する際の延伸糸切れ回数から延伸性を3段階評価した。
【0045】
○:糸切れ無し
△:糸切れ若干有り(1〜3回)
×:糸切れ多発
[実施例1〜3および比較例1、2]
島成分として融点172℃、260℃、1000sec-1における溶融粘度が1250poiseであるポリL−乳酸(重量平均分子量 17万、L体比率100%)を用い、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸10.0モル%、およびイソフタル酸35モル%を共重合した熱水溶解性ポリエステルを用い、島成分数70、ホール数10の海島型複合用口金を用いて、複合紡糸機にて複合比率を表1のように変更して紡糸温度260℃、引き取り速度1200m/分で巻き取った。続いて、得られた未延伸糸を通常のホットロール−ホットロール系延伸機を用いて、延伸温度80℃、熱セット温度120℃で延伸糸の伸度が35%となるように延伸倍率を合わせて延伸を行い、50dtex-10filのマルチフィラメント延伸糸(複合繊維)を得た。得られたマルチフィラメント延伸糸の糸物性を表1に示す。
【0046】
得られたマルチフィラメント延伸糸を2本合糸した後、これを200t/mの甘撚を施し、経糸および緯糸に使用して平織物を製織し、95℃の熱水で精練と同時に海成分を溶解除去した後、135℃で乾熱セットを行ない、更に80℃の炭酸ソーダ2.5%水溶液で10分間処理(減量加工)し、次いで湿熱120℃で染色、乾熱140℃で仕上げセットを行った。得られた織物特性について評価した結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0004221801
実施例1および2では複合状態安定性、製糸性および延伸性が非常に良好であり、また得られた織物は従来にない良好なソフト感を有し、発色性が非常に良好なものであった。
【0048】
実施例3では、複合状態安定性、製糸性および延伸性が非常に良好であり、従来にない良好なソフト感であったが、海成分除去後の単糸繊度が0.04dtexとやや細いため、実施例1に比較すると発色性が若干劣っていた。
【0049】
一方比較例1は、海成分の複合比率が5%と低いため海成分を溶解除去しても島成分が完全に分割していない複合異常が観察され、この複合異常が発生することによりソフト感に劣る織物しか得られなかった。
【0050】
また比較例2では、海成分の複合比率が55%と高いため、製糸性と延伸性が若干劣ると共に、海成分除去によって繊維間の空隙が大きく形成されることによって、ふかついたタッチの織物しか得られなかった。
【0051】
[実施例4〜7および比較例3、4]
島成分数を表2のように変更した、ホール数24の海島複合用口金を用いて複合比率を30/70とした他は、実施例1と同様の方法で紡糸を行い、引き取り速度1500m/分で巻き取った。得られた未延伸糸を実施例1と同様の方法で延伸を行い、50dtex-24filのマルチフィラメント延伸糸(複合繊維)を得た。得られたマルチフィラメント延伸糸の糸物性を表2に示す。
【0052】
得られたマルチフィラメント延伸糸を実施例1と同様の方法で製織、加工を行い、得られた織物特性について評価した結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
Figure 0004221801
実施例4および5では、複合状態安定性、製糸性および延伸性が非常に良好であり、また得られた織物は従来にない良好なソフト感を有し、発色性が非常に良好なものであった。
【0054】
実施例6は、複合状態安定性、製糸性および延伸性が非常に良好であり、従来にない良好なソフト感を有するものであったが、海成分除去後の単糸繊度が0.04dtexとやや細いため発色性が実施例5に比較すると若干劣っていた。
【0055】
実施例7では、島成分数が90とやや多いため、海成分を溶解除去しても島成分が完全に分割していない複合異常が若干観察され、また製糸性と延伸性も若干劣るものであったが、得られた織物は従来にない良好なソフト感を有し、発色性が非常に良好なものであった。
【0056】
一方比較例3では、海成分を溶解除去後島成分の単糸繊度が1.40dtexと太いため、発色性は良好であったがソフト感に劣る織物しか得られなかった。
【0057】
また比較例4では、島成分数が150と多いため、海成分を溶解除去しても島成分が完全に分割していない複合異常が観察され、また製糸性と延伸性も若干劣るものであった。更に得られた織物は従来にないソフト感を有していたが、島成分単糸繊度が0.009dtexと細すぎるため発色性が劣るものであった。
【0058】
[実施例8〜12]
実施例1に用いたポリL−乳酸チップを使用し、通常の紡糸機にて紡糸温度260℃で延伸糸の繊度構成が表3となるように紡糸口金、吐出量を変更し、2000m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。続いて、得られた未延伸糸を通常のホットロール−ホットロール系延伸機を用いて延伸温度80℃、熱セット温度70℃で延伸糸の伸度が35%となるように延伸倍率を合わせて延伸を行い、延伸糸(熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸)を得た。但し、実施例14では熱セット温度を100℃として延伸を行った。得られた延伸糸の糸物性を表3に示す。
【0059】
次いで、このようにして得られた延伸糸と、実施例1で得られたマルチフィラメント延伸糸(複合繊維)とを空気交絡処理して、混繊糸を得た。
【0060】
得られた混繊糸を経糸に使用し、緯糸には実施例1のマルチフィラメント延伸糸を2本合糸したものを使用して、実施例1と同様の方法で製織、加工を行った。得られた織物特性について評価した結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
Figure 0004221801
実施例8およぴ9で得られた織物は、ソフト感と発色性に優れ、また反発感とふくらみ感にも優れた、従来にない良好な風合いを有するものであった。
【0062】
実施例10および11では、従来にないソフト感を有するとともに発色性に優れ、かつふくらみ感にも優れた織物が得られたが、実施例10では、混繊した繊維の単糸繊度が若干細かったため反発感にやや劣るものであった。また実施例11では、逆に混繊した繊維の単糸繊度が若干太かったためやや粗硬感を感じ、また混繊した繊維の単糸繊度比が大きいため若干の「いらつき」が発生していた。
【0063】
実施例12ではソフト感と発色性に優れ、また反発感にも優れた、従来にない風合いを有する織物が得られたが、収縮率差が若干小さいためふくらみ感はやや不足していた。
【0064】
[実施例13および14]
30dtex-12fil、沸騰水収縮率23.3%のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸、および30dtex-12fil、沸騰水収縮率35.1%のイソフタル酸15.0モル%および2,2ビス{4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパンを7.1モル%共重合したポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸と、実施例1で得られたマルチフィラメント延伸糸(複合繊維)を実施例8と同様の方法でそれぞれ混繊し、製織、加工した。得られた織物特性について評価した結果を表4に示す。
【0065】
【表4】
Figure 0004221801
実施例13で得られた織物は、ソフト感と発色性に優れ、また反発感とふくらみ感にも優れた、従来にない風合いを有するものであった。
【0066】
実施例14では、ソフト感と発色性に優れ、また反発感にも優れた、従来にない風合いを有する織物が得られたが、収縮率差が大きいためややふかついた織物となった。
【0067】
[実施例15、16]
実施例10において、実施例1のマルチフィラメント延伸糸(複合繊維)と混繊するための延伸糸(熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸)として、表5に示す繊度構成となるように吐出量を変更して実施例12と同様に紡糸、延伸を行い、延伸糸を得た。この延伸糸を実施例12と同様の方法で混繊し、製織し、加工を行った。得られた織物特性について評価した結果を表5に示す。
【0068】
【表5】
Figure 0004221801
実施例15で得られた織物は、ソフト感と発色性に優れ、また反発感とふくらみ感にも優れた、従来にない風合いを有するものであった。
【0069】
一方、実施例16では、発色性に優れ、また反発感とふくらみ感にも優れた、従来にない良好な風合いを有していたが、複合繊維の混繊比率がやや低いため複合繊維の海成分溶解除去することによって得られる脂肪族ポリエステル極細糸によるソフト感発現効果が若干劣るものであった。
【0070】
[実施例17]
実施例9において混繊糸を作製する際に、実施例1で得られたマルチフィラメント延伸糸(複合繊維)を2本供給して空気交絡処理を行い、混繊糸を得た。
【0071】
得られた混繊糸を用いて実施例9と同様の方法で製織、加工を行った。得られた織物特性について評価した結果を表5に示す。
【0072】
実施例17では、ソフト感と発色性に優れ、またふくらみ感にも優れた、従来にない風合いを有していたが、複合繊維の混繊比率がやや高いため、反発感を向上するために混繊した単糸繊度の太い延伸糸(熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸)の効果が若干劣るものであった。
【0073】
[比較例5]
島成分として融点112℃、190℃、1000sec-1における溶融粘度が780poiseであるポリブチレンサクシネートチップを用いた以外は実施例1と同様の方法で紡糸、延伸を行い、マルチフィラメント延伸糸(複合繊維)を得た。なお、延伸条件は延伸温度70℃、熱セット温度90℃で行った。
【0074】
得られたマルチフィラメント延伸糸を染色温度100℃、乾熱セット温度を100℃として実施例1と同様の方法で製織、加工を行い織物を得た。得られた織物は、単繊維同士が融着を起こしており、ソフト感が得られず、また染色温度も低温でしか染色できないため発色性も著しく劣るものであった。
【0075】
【発明の効果】
本発明は、熱水可溶性ポリエステルを海成分とし、融点が130℃以上の脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステルを島成分とした海島型の複合繊維であって、海成分/島成分の複合比率が10/90〜50/50であり、かつ海成分を除去した後の島成分の単糸繊度が0.01〜1dtexである複合繊維と混繊糸であり、この複合繊維を用いることによってソフト感と発色性に優れ、更に生分解性を有する織編物を得ることができる。

Claims (6)

  1. 熱水可溶性ポリエステルを海成分とし、融点が130℃以上の脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステルを島成分とする海島型の複合繊維であって、海成分/島成分の複合比率が10/90〜50/50であり、かつ該海成分を除去した後の島成分の単糸繊度が0.01〜1dtexであることを特徴とする複合繊維。
  2. 島成分数が3〜100であることを特徴とする請求項1記載の複合繊維。
  3. 脂肪族ポリエステルがL−乳酸を主成分とするポリエステルであることを特徴とする請求項1又は2記載の複合繊維。
  4. 単糸繊度が2〜6dtexである熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸と請求項1〜3のいずれか1項に記載した複合繊維とが混繊されてなることを特徴とする混繊糸。
  5. 熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸の沸騰水収縮率(SW)と複合繊維の沸騰水収縮率(SWA)が、次式SWA+5≦SWB≦SWA+25(%)を満足することを特徴とする請求項4記載の混繊糸。
  6. 請求項1〜3に記載の複合繊維及び/又は請求項4または5記載の混繊糸を少なくとも一部に用いてなる織編物
JP02530599A 1999-02-02 1999-02-02 複合繊維、混繊糸および織編物 Expired - Fee Related JP4221801B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02530599A JP4221801B2 (ja) 1999-02-02 1999-02-02 複合繊維、混繊糸および織編物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02530599A JP4221801B2 (ja) 1999-02-02 1999-02-02 複合繊維、混繊糸および織編物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000226734A JP2000226734A (ja) 2000-08-15
JP4221801B2 true JP4221801B2 (ja) 2009-02-12

Family

ID=12162316

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02530599A Expired - Fee Related JP4221801B2 (ja) 1999-02-02 1999-02-02 複合繊維、混繊糸および織編物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4221801B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011058123A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Teijin Fibers Ltd ポリ乳酸極細繊維の製造方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100408562B1 (ko) * 2001-05-23 2003-12-06 주식회사 코오롱 기모 편물용 해도형 복합섬유
JP5616022B2 (ja) * 2009-01-06 2014-10-29 帝人株式会社
JP2011058124A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Teijin Fibers Ltd ポリ乳酸極細繊維
KR102090390B1 (ko) * 2018-08-16 2020-03-17 도레이첨단소재 주식회사 폴리에스테르계 혼섬사 및 이를 통해 구현된 비침방지성 통풍원단

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011058123A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Teijin Fibers Ltd ポリ乳酸極細繊維の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000226734A (ja) 2000-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007262610A (ja) 混繊糸
JP2011012367A (ja) 軽量性に優れた布帛および繊維製品
JP5356771B2 (ja) グローブ用布帛および繊維製品
JP2001348735A (ja) 海島型複合繊維および混繊糸
JP4221801B2 (ja) 複合繊維、混繊糸および織編物
JP2012193476A (ja) ポリエステル極細繊維
JP5692993B2 (ja) 丸編地および衣料
JP2009167565A (ja) ストレッチ性編地およびその製造方法および繊維製品
JP5216970B2 (ja) ポリエステル編地およびその製造方法および繊維製品
JP2000220032A (ja) 極細ポリエステルマルチフィラメント糸、混繊糸および織編物
JP2016172945A (ja) 凹凸表面を有する極細ポリエステル繊維ならびに海島型複合繊維
JP2002180333A (ja) 潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維およびその製造方法
JP2009161883A (ja) 布帛の製造方法および布帛および繊維製品
JP5495286B2 (ja) 有毛編物の製造方法および有毛編物および繊維製品
JP5642981B2 (ja) オーガンジー用ポリエステルモノフィラメントの製造方法
JP2010053502A (ja) 立毛布帛および立毛布帛製品
JP5495290B2 (ja) 衣料側地および衣料品
JP4506314B2 (ja) 極細糸
JP4370629B2 (ja) ポリエステル系混繊糸および織編物
JP4708851B2 (ja) ポリ乳酸繊維編織物とその製造方法
JP3484514B2 (ja) 抗ピル性を有する布帛
WO2022154035A1 (ja) 海島型複合マルチフィラメントおよび極細マルチフィラメントならびに極細繊維構造体
JP4556290B2 (ja) 脂肪族ポリエステル系繊維含有繊維構造物の製造方法
JPH10266029A (ja) ポリエステル収縮差混繊糸
JP2009084747A (ja) ポリマーアロイ繊維撚り糸およびそれからなる織編物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080414

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080507

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080707

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080805

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080930

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081028

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081110

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121128

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121128

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131128

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees