JP4220227B2 - 配線基板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器のための配線基板および配線基板の製造方法に関し、特に、半導体集積回路装置に用いられるような微細な配線パターンを施すのに好適な配線基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の配線基板の製造方法に、絶縁性基板上に導電層を一様に形成し、この導電層の導電路を除く不要部分をレーザ光の照射により、溶融して除去する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、基板上に、露光により親水化が可能なシランカップリング剤のような処理剤を塗布し、選択露光による露光部分の表面エネルギーを高めることによりこの露光部分に親水性を付与し、これにより、基板上に親水性領域および疎水性領域からなるパターンを形成し、このパターンを形成する両領域のいずれか一方の領域に金属化合物を含む親水性溶液あるいは疎水性溶液を選択的に付着させた後、金属化合物を析出させることにより、基板面との間に大きな段差のない導電路を形成する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
さらに、基板上に、凹凸組織を有する下地層、光分解活性を有する中間層および疎水性を与える表面層を順次積層し、選択的な光照射により、疎水性を示す表層をその下の中間層の光分解活性を利用して部分的に分解し、分解された領域を親水性領域とし、この親水性領域と残存する表層からなる疎水性領域との間の濡れ性の差を水に対する接触角差が80度以上とすることにより、パターン上への堆積物の選択性を向上させるパターン形成方法がある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
さらに、含フッ素アクリレートのような表面層を部分的に加熱することにより、加熱部分に親水性を付与し、これにより、同一材料面で液体に対する接触角が異なる親水性領域および疎水性領域を形成する方法がある(例えば特許文献4参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−204918号公報
【特許文献2】
特開平7−326235号公報
【特許文献3】
特開2001−129474号公報
【特許文献4】
特許第2796575号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、レーザ光を用いて不要な金属層部分を除去するとき、レーザ照射を受ける金属層の熱伝導によって熱の拡散が生じることから、精巧な微細パターンを形成する上で不利である。また、不要部の残査が生じるため、資源の有効活用および製造コストの削減の点で不利である。
【0008】
特許文献2に記載の方法では、基板上に形成される導電路の厚さ寸法の低減により、導電路による段差問題が解消されることから、フォトグラフィでのデフォーカスを解消することができる反面、パターンの微細化に伴う導電路の電気抵抗の増大を解消することに問題が残る。また、光学的処理により表面エネルギーを高めることのみによって親水性を与える方法では、導電材料を厚く塗ることに問題が生じ、導電路の低抵抗化は容易ではない。
【0009】
また、特許文献3に記載の方法では、親水性領域と疎水性領域との間の濡れ性の差を接触角差が80度以上にすることにより、パターン上への堆積物の選択性を向上させることができるが、基板上に、凹凸組織を有する下地層、光分解活性を有する中間層および疎水性を与える表面層を順次積層する必要があり、また親水性領域の形成のために、表面層を除去してこの表面層と材料を異にする下地層を部分的に露出させる必要があるので、製造工程が煩雑化する。
【0010】
また、特許文献4に記載の方法では、表面層を部分的に加熱することにより、加熱部分の組成を変えることなく親水性を付与することができ、表面層の表面エネルギー差により親水性領域および疎水性領域を形成することができるが、このような表面エネルギー差のみによっては、特許文献2に記載の方法におけると同様、導電路の低抵抗化のために導電材料を厚く塗ることは容易ではない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、精巧な微細配線パターンを比較的容易に形成できる配線基板およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、比較的製造が容易でありかつ導電部の低抵抗化が容易な配線基板およびその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、配線基板の製造方法であって、面の粗さを部分的に増大させることが可能な表面層を絶縁性基板上に形成する表面層形成工程と、表面層の選択された領域に面粗さが他の領域の面粗さよりも大きくかつ当該他の領域と同一材料からなる粗面領域を部分的に形成する粗面形成工程と、表面層のうちの粗面領域と該粗面領域を除く他の領域との面粗さの差に基づいて両領域のいずれか一方に導電部のための導電材料を付着させる付着工程とを含み、前記粗面形成工程は、前記表面層の選択された領域への集中的な熱エネルギーの付与により行われ、前記表面層は、熱エネルギーの付与に先立ち、親水性を発現させるための親水性処理を受け、この親水性処理後に、選択された領域に熱エネルギーが付与され、この熱エネルギーの付与により形成される前記粗面領域が疎水性領域として機能し、前記他の領域が親水性領域として機能することを特徴とする。
【0014】
請求項1に記載の方法では、表面形成工程で、絶縁性基板上に表面層が形成され、粗面形成工程で、表面層に例えばレーザ光を照射することにより、部分的に熱エネルギーが集中的に付与され、集中的に熱エネルギーを付与された領域の面粗さが増大される。この粗面形成工程で、面粗さが増大された粗面領域と、該粗面領域を除く面粗さが増大されない他の領域とからなるパターンが形成される。
【0015】
本発明では、基本的には、この粗面領域と他の領域との面の粗さによる撥水性すなわち濡れ性の差を利用して導電路のような導電部を構成するための導電材料を選択的に付着させる。
【0016】
導電材料は、例えば導電粒子を含む溶液あるいはその粘性流体として、両領域に供給される。例えば親水性溶液あるいはその粘性流体が用いられたとき、導電材料は、粗面領域の撥水性よりも低い撥水性、すなわち親水性を示す前記他の領域に選択的に付着される。これに代えて、例えば疎水性溶液あるいはその粘性流体が用いられたとき、導電材料は、疎水性領域として機能し撥水性を示す粗面領域に選択的に付着される。
【0017】
用いられる導電材料が親水性であるかあるいは疎水性であるかに応じて、親水性領域および疎水性領域のいずれか一方の領域上に導電材料が付着され、この導電材料により導電路のような導電部が形成される。
【0018】
この導電材料として、例えば焼成により導通性を示す導電材料を用いることができる。この場合、所定領域に付着された導電材料が焼成工程で焼成されることにより、導電路等の導電部が形成される。
【0019】
従って、請求項1に記載の方法によれば、基板上に表面層を形成し、形成された表面層の選択された領域に、例えば単に、部分的に集中的な加熱処理を施すことにより、熱拡散の影響を受けることなく濡れ性の異なる親水性領域および疎水性領域からなる微細なパターンを形成することができ、この面の粗さに基づく濡れ性の差を利用してパターン上の所定領域に導電材料を付着させ、この導電材料により導電部を形成することにより、比較的容易かつ安価に精巧な微細配線パターンを有する配線基板を残査を排出することなく形成することが可能となる。
【0020】
また、疎水性領域である粗面領域の面の粗さの増大に伴って、疎水性領域および親水性領域間の濡れ性の差を増大させることができる。この大きな濡れ性の差を利用して、例えば疎水性領域から弾かれた導電材料を親水性領域上に供給することができるので、配線基板上の親水性領域上に比較的多量の導電材料を供給することができ、この導電材料を所定領域である親水性領域上に厚く付着させることが可能となることから、この導電材料によって形成される導電路のような導電部の電気抵抗の低減化を図ることが可能となる。
また、選択された領域への集中的な熱エネルギーの付与によって表面層を荒らすことにより、比較的容易に疎水性領域を形成することができる。
粗面形成工程で用いる熱エネルギー付与手段として、前記したレーザ光の他、集中的に高エネルギーを付与することが可能なその他の電磁線あるいは電子線等の粒子線のような放射線を用いることができる。さらに、所望パターンに沿って加熱領域が形成されしかもこの加熱領域の面の粗さが他の領域それよりも大きな、加熱板のような加熱手段を前記基板上に形成された表面層に押し当てることにより、この表面層に他の領域よりも面の粗さが大きな粗面領域を部分的に形成することができる。
さらに、表面層が予め親水性処理を受けることにより、面の粗さが増大されて形成される粗面領域すなわち疎水性領域と、この粗面領域を除く他の領域である親水性領域との間での濡れ性の差が増大される。この濡れ性の差の増大によって、疎水性領域および親水性領域からなるパターンに選択的に付着される導電材料をより厚く付着させることが可能となる。
【0021】
前記した面の粗さは、例えば算術平均粗さRaで現すことができる。この算術平均粗さRaは、従来よく知られているように、表面に沿って得られる粗さ曲線からその平均線方向に基準長さLだけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定された粗さ曲線までの偏差の絶対値を合計し、この合計値を基準長さLで除することにより求められる平均値である。この算術平均粗さRaの表示方法によれば、粗面領域のそれは、例えば100〜150nmを示し、他の領域のそれは例えば50〜80nmを示す。
【0022】
請求項2に記載の方法は、配線基板の製造方法であって、面の粗さを部分的に増大させることが可能な表面層を基板上に形成する表面層形成工程と、前記表面層の選択された領域に面の粗さが他の領域の面粗さよりも大きくかつ当該他の領域と同一材料からなる粗面領域を部分的に形成する粗面形成工程と、表面層のうちの前記粗面領域と該粗面領域を除く他の領域との面粗さの差に基づいて両領域のいずれか一方に導電部のための導電材料を付着させる付着工程と、導電材料が前記表面層の前記一方の領域に付着された前記基板を原版として、絶縁性基板上に、導電材料を転写する転写工程とを含み、前記粗面形成工程は、前記表面層の選択された領域への集中的な熱エネルギーの付与により行われ、前記表面層は、熱エネルギーの付与に先立ち、親水性を発現させるための親水性処理を受け、この親水性処理後に、選択された領域に熱エネルギーが付与され、この熱エネルギーの付与により形成される前記粗面領域が疎水性領域として機能し、前記他の領域が親水性領域として機能することを特徴とする。
【0023】
請求項2に記載の方法では、請求項1に記載の方法におけると同様な粗面領域形成工程で形成されるパターンは、配線基板のための絶縁性基板上に直接的に形成されることはない。面粗さが増大された粗面領域と該粗面領域を除く面粗さが増大されない他の領域とからなるパターンは、原版の基板上に形成される。この原版の基板上に形成されたパターン上に導電材料が選択的に付着された後、導電材料が配線基板のための絶縁性基板上に転写される。
【0024】
従って、請求項2に記載の方法では、配線基板の絶縁性基板に表面層を形成する必要がないことから、例えば表面層を形成することができず、それ故、この表面層上に面の粗さが大きな疎水性領域およびこの疎水性領域を除く親水性領域を形成することが不可能な絶縁性基板材料にも、前記原版からの導電材料の転写により、導電材料による導電部を形成することが可能となる。これにより、絶縁性基板の材質に拘わらず、比較的容易かつ安価に、精巧な微細配線パターンを有する配線基板を形成することが可能となる。
【0025】
また、原版を使用することにより、複数の電気絶縁性基板上に同一の配線パターンの転写が可能となることから、安価に多数の同一配線基板を形成することができる。
また、選択された領域への集中的な熱エネルギーの付与によって表面層を荒らすことにより、比較的容易に疎水性領域を形成することができる。
粗面形成工程で用いる熱エネルギー付与手段として、前記したレーザ光の他、集中的に高エネルギーを付与することが可能なその他の電磁線あるいは電子線等の粒子線のような放射線を用いることができる。さらに、所望パターンに沿って加熱領域が形成されしかもこの加熱領域の面の粗さが他の領域それよりも大きな、加熱板のような加熱手段を前記基板上に形成された表面層に押し当てることにより、この表面層に他の領域よりも面の粗さが大きな粗面領域を部分的に形成することができる。
さらに、表面層が予め親水性処理を受けることにより、面の粗さが増大されて形成される粗面領域すなわち疎水性領域と、この粗面領域を除く他の領域である親水性領域との間での濡れ性の差が増大される。この濡れ性の差の増大によって、疎水性領域および親水性領域からなるパターンに選択的に付着される導電材料をより厚く付着させることが可能となる。
【0030】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の製造方法において、選択された領域への熱エネルギーの付与により、表面層の選択された領域が溶融し、これにより、当該領域の表面自由エネルギーが低下することを特徴とする。
【0031】
表面層は、親水性処理を受けた後、熱エネルギーを付与された部分的の面の粗さが増大する。また、溶融されることによって溶融領域の表面自由エネルギーが低下する。表面自由エネルギーの低下は、この低下部分を親水性から疎水性に変化させる。従って、親水性領域および疎水性領域間の濡れ性の差は、前記した面の粗さの差に加えて、表面自由エネルギーの差が寄与することとなり、疎水性領域と、この疎水性領域を除く他の領域である親水性領域との間での濡れ性の差がさらに増大される。この濡れ性の差の増大によって、疎水性領域および親水性領域からなるパターンに選択的に付着される導電材料をさらに厚く付着させることが可能となる。
【0032】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の製造方法において、表面層が加熱温度に応じて後退接触角が異なる材料、すなわち含フッ素アクリレートのような、加熱処理によってその加熱温度に応じた後退接触角に接触角を変化させる材料で形成され、該表面層への熱エネルギーの付与は、レーザ照射で行われることを特徴とする。
【0033】
表面層に含フッ素アクリレートが用いられる場合、含フッ素アクリレートを基板上に塗布した後、この含フッ素アクリレート層の表面を例えばグリセリンに浸し、所定の温度で加熱処理し、その後乾燥させることにより、含フッ素アクリレートに親水性を付与することができる。この親水性を与えられた表面層にレーザ光を照射することにより、照射を受けた領域の表面を荒すことができ、さらに、照射を受けた領域を溶融することができ、照射を受けた領域の表面自由エネルギーを低下させることができる。この照射を受けた領域は、表面自由エネルギーの低下により親水性から疎水性に変化することから、前記したように、親水性領域および疎水性領域間の面の粗さに加えて該両領域の表面自由エネルギーの差が、濡れ性の差を増大させる。
【0034】
従って、表面層に含フッ素アクリレートを用い、熱エネルギー付与手段としてレーザを用いることにより、比較的容易に親水性領域および疎水性領域間の濡れ性の差を増大させることができ、この大きな濡れ性の差によって、疎水性領域および親水性領域からなるパターンに選択的に付着される導電材料をさらに厚く付着させることが可能となる。
【0035】
含フッ素アクリレート材料として、ダイキン工業社製の撥水撥油剤「TG−702」、「TG−602」、「ダイフリーMS−443」または「ダイフリーMS−743」、住友3M社製の撥水撥油剤「フロラードFC−720」等の撥水撥油剤または大阪有機社製モノマー「ビスコース17F」と1−1−1トリクロロエタノールとの重合体あるいはこれと同様な重合体を用いることができる。
【0036】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の製造方法において、導電材料の焼成により前記導電部が形成され、前記付着工程が導電材料の焼成に先立って、複数回行われることを特徴とする。導電材料の付着工程を複数回繰り返すことにより、前記基板上に導電材料を重ね塗りすることができ、導電材料の厚さを増大させ、これにより導電部の断面形状の増大を図ることができるので、導電部の低抵抗化に有効となる。この重ね塗りのために、導電材料としてチクソ性(thixotropy:揺変性)を有する、すなわち、粘性の高い導電材料を用いることが望ましい。このような導電材料は、例えば100nm以下の粒径を有する、いわゆるナノ粒子の金属粒子及び有機材料を含む導電性ペーストがある。この導電性ペーストの一例として、ドータイトXA−9029(藤倉化成製)が挙げられる。
【0037】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の製造方法において、導電材料の付着工程は、塗布用ローラを用いて行われることを特徴とする。導電材料の付着にローラを用いることにより、粗面領域からなる疎水性領域と粗面領域以外の他の領域からなる親水性領域との両領域のいずれか一方の領域の全域にほぼ均等な厚さで導電材料を付着させることができる。
【0038】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の製造方法において、導電材料の付着工程は、塗布用スキージを用いて行われることを特徴とする。スキージは、ローラを用いた塗布に適用し得ない程に低い粘度を示す導電材料の付着に適する。このような低粘度の導電材料に、導電性を示す100nm以下の粒径を有するいわゆるナノ粒子を溶剤に分散させた溶液系のものがある。このような溶液系の導電材料をパターンが形成された表面層に均一に分散させるように供給しても、親水性領域および疎水性領域の濡れ性の差違により導電材料を一方の領域上に、一応、選択的に供給することができる。しかしながら、微細パターンでは、パターン上の導電路のような導電部の密集度あるいはその幅寸法の大小によって隣接する導電路との間に不要な導電材料が残存する虞があり、この残存する不要な導電材料は短絡問題を引き起こす。
【0039】
スキージによれば、このような微細パターンであっても、短絡問題を引き起こす不要な部分に残留しようとする溶液系の導電材料を適切に排出させながら、この導電材料を所望の適正箇所に適正な厚みでもって付着させることができる。
【0040】
請求項8に記載の発明は、請求項1又は2に記載の製造方法において、導電材料の付着工程後、表面層に形成された粗面領域および前記他の領域により形成されたパターンを陽パターンとして、該陽パターンの反転により形成された陰パターンを有する表面層が設けられた陰パターン基板の前記陰パターンを、前記陽パターンに重ね合わせて該陽パターンの前記粗面領域または他の領域に残存する不要な導電材料を除去することを特徴とする。
【0041】
請求項8に記載の発明では、陰パターン基板の陰パターンを前記陽パターンに重ね合わせることにより、短絡の原因となる不要な残存導電材料を確実に除去することができる。
【0042】
請求項9に記載の発明は、請求項2に記載の製造方法において、導電材料の前記原版から前記絶縁性基板上への導電材料の転写は、中間転写体を経て行われることを特徴とする。原版から複数の中間転写体への導電材料の付着工程と、該各中間転写体からそれぞれの絶縁性基板への導電材料の転写工程とを相互に分離して両工程を分業化させることが可能となることから、配線基板の効率的な形成が可能となる。また、中間転写体を例えば円筒状とすることにより、平板状の絶縁性基板の他、筐体のような3次元の形態の絶縁性基板上あるいは弧状に反った絶縁性基板面上にも、円筒状の中間転写体を経て導電材料を転写することが可能となるので、このような複雑な形状の絶縁性基板面上にも導電路を容易に形成することが可能となる。
【0043】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の製造方法において、中間転写体から前記絶縁性基板上への導電材料の転写中に前記原版への導電材料の付着が行われることを特徴とする。中間転写体から前記絶縁性基板上への導電材料の転写工程と、前記原版への導電材料の付着工程とを同時に並行させることができ、これにより、転写工程および付着工程を流れ作業でそれぞれを中断させることなく連続的に遂行させることができるので、多数の配線基板を一層効率的に形成することができる。
【0044】
請求項11に記載の発明は、請求項2に記載の製造方法において、導電材料が絶縁性基板への転写後に該絶縁性基板上で焼成され、これにより絶縁性基板上に導電部が形成されることを特徴とする。導電材料がチクソ性を有するものでは、絶縁性基板上に転写後、これを焼成する方法が最適であり、絶縁性基板上に微細かつ精巧な導電部を適正に形成することができる。
【0045】
請求項12に記載の発明は、請求項2に記載の製造方法において、導電材料が絶縁性基板への転写前、原版の前記基板上で焼成され、この焼成により形成された導電部が接着剤を介して前記絶縁性基板上に固着されることを特徴とする。導電材料として、前記したような低粘度を示す溶液系のものが用いられるとき、原版の基板上で焼成して該基板上に予め導電部を形成し、この導電部を絶縁性基板上に接着剤を介して固着する。この基板上での焼成により、低粘度の導電材料の迅速な固化が図られ、その変形が阻止される。この基板上に形成された導電部は接着剤を介して絶縁性基板上に固着されることにより、該絶縁性基板上の所望の箇所に適正な厚みをもった精巧な導電部が形成される。
【0046】
請求項13に記載の発明は、請求項2に記載の製造方法において、付着工程およびその後の転写工程の反復により絶縁性基板上へ重ね合わせによって堆積された導電材料が焼成され、これにより導電部が形成されることを特徴とする。この繰り返し転写による重ね塗りにより、たとえ一回の転写による導電材料の厚さが小さい場合であっても、転写の繰り返し回数に応じて厚さが増大する導電部を形成することができ、これにより低抵抗の導電部を有する配線基板を形成することができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に沿って詳細に説明する。
【0061】
〈実施の形態1〉
図1は、本発明に係る配線基板の製造方法を模式的に示す。図1に示す例では、絶縁性基板10として、PET(Polyethylene therephtalate:ポリエチレン・テレフタレート)フィルム(100mm×100mm×0.1mm)が用いられた。図1(a)に示すように、表面層形成工程で、PETフィルム10上に表面層11が形成される。この表面層11は、含フッ素アクリレート(ダイキン工業社製TG−702)をフレオン113で希釈したものを絶縁性基板10の一方の面の全域に均一な厚さ寸法で塗布した後、乾燥させることにより、形成される。その後、表面層11すなわち絶縁性基板10の表面は、親水処理を受ける。
【0062】
親水処理工程では、表面層11が形成された絶縁性基板10が90℃のグリセリン中に30秒間浸される。この親水処理後、親水処理を受けた表面層11を有する絶縁性基板10は流水により洗浄され、エアガンからの空気により乾燥される。親水処理工程により、絶縁性基板10の表面である表面層11には、親水性が付与され、これにより絶縁性基板10の表面、すなわち、表面層11の全域が親水性領域となる。
【0063】
この親水性を付与された表面層11は、加熱によって溶融すると、その溶融部分は、表面自由エネルギーを低下させることにより、疎水性を示す。また、レーザ光のような強い熱エネルギーを集中的に受けると、表面が荒らされる。
【0064】
このような性質を示す表面層11を得るための含フッ素アクリレート材料として、他に、ダイキン工業社製の撥水撥油剤「TG−602」、「ダイフリーMS−443」または「ダイフリーMS−743」、住友3M社製の撥水撥油剤「フロラードFC−720」等の撥水撥油剤または大阪有機社製モノマー「ビスコース17F」と1−1−1トリクロロエタノールとの重合体あるいはこれと同様な重合体を用いることができる。
【0065】
全域が親水性領域となった表面層11には、粗面形成工程で、疎水性領域および親水性領域から成るパターンが施される。この粗面形成工程では、図1(b)に示すように、レーザ光源12からのレーザ光が用いられた。レーザ光源12として半導体レーザ(松下電子工業社製 LN9830)が用いられた。半導体レーザ12から例えば30mWで波長830nmのビーム光12aが出力され、このビーム光12aの走査によって、線幅が20μm、50μm、100μmの帯状領域がレーザ光の照射を受けた。
【0066】
表面層11のうち、このレーザビーム光12aの照射を受けた領域11aは、溶融することにより表面自由エネルギーを低下させることから、前記したように疎水性に変化する。また、レーザビーム光12aの照射を受けた領域11aは、この集中的な熱エネルギーにより、その表面を荒らされる。他方、レーザビーム光12aの照射を受けない領域11bは、親水性を保持する。その結果、粗面形成工程では、絶縁性基板10の表面である表面層11に、疎水性を示す疎水性領域11aと、親水性を示す親水性領域11bとから成るパターンが形成される。
【0067】
このパターンが施された表面層11の疎水性領域11aと親水性領域11bとにおけるそれぞれの粗面の粗さが、AMF(原子間力顕微鏡)を用いて測定された。この測定では、50μm幅の疎水性領域11aと、50μm幅の親水性領域11bのそれぞれについて、それぞれの伸長方向と直角な幅方向での3カ所についての測定結果から、算術平均粗さRaが求められた。親水性領域11bの算術平均粗さRaは、50〜80nmであり、疎水性領域11aの算術平均粗さRaは、100〜150nmであり、レーザビーム光12aにより集中的な熱エネルギーの照射を受けた疎水性領域11aが親水性領域11bに比較して大きく荒らされている。
【0068】
前記した疎水性領域11aと親水性領域11bとにおける面の荒れの差が、レーザビーム光12aによる集中的な熱エネルギーによるものであることを以下の測定により確認した。
【0069】
親水処理を受けた表面層11を有する試料Aと、試料Aと同一条件で親水処理を受けた表面層11にオーブンを用いて均一な熱エネルギーを付与し、これにより全域が疎水化された表面層11を有する試料Bとを用意し、両試料A、Bの面粗さRaを測定した。親水処理を受けた後の表面層11を有する試料Aの面粗さRaは50〜80nmであった。また、親水処理後の均一な熱エネルギーの付与により疎水性を与えられた表面層11を有する試料Bの面粗さRaは、50〜80nmであり、両者間に差は認められなかった。これは、親水処理を受けた後の表面層11に単に均一な熱エネルギーを付与した場合、表面層11はその表面自由エネルギーの低下により疎水性に変化するが、面の形態は変化しないことを意味する。
【0070】
従って、レーザビーム光12aの照射を受けた疎水性領域11aの面の大きな荒れは、レーザビーム光12aによる集中的な熱エネルギーの付与によるものと考えられる。
【0071】
前記した疎水性領域11aおよび親水性領域11bにおける表面自由エネルギーの差は、両領域11a、11bの濡れ性に差を与えるが、さらに、面の粗さの差が濡れ性の差を大きくする。
【0072】
この面の粗さの差によって濡れ性に大きな差が与えられた疎水性領域11aおよび親水性領域11bからなるパターンが施された表面層11には、付着工程で例えば親水性を示す導電材料が供給される。
【0073】
図1(c)に示す例では、導電材料13として、例えばドータイトXA−9024(藤倉化成製)のような導電性ペーストが用いられた。また、付着手段として、一般版画用のブタジエンゴムからなるローラ14が用いられた。このゴムローラ14にペースト状の導電材料13を付着させた状態で、ゴムローラ14が絶縁性基板10の表面層11を転動されると、親水性を示す導電材料13は、疎水性領域11a上で弾かれることから、親水性領域11b上に選択的に付着する。
【0074】
表面層11の親水性領域11b上に選択的に付着された導電材料13は、図1(d)に示すような焼成工程を受けることにより、絶縁性基板10上に焼き付けられ、これにより絶縁性基板10上に親水性領域11bに沿った導電部13が形成される。
【0075】
図1(d)の例では、焼成工程の焼成手段としてオーブン15が用いられ、絶縁性基板10上の導電材料13は、150℃で30分間の焼成を受けた。この焼成により、導電材料13中に含まれた粒径が100nm以下の金属あるいは金属化合物からなる導電性ナノ粒子が相互に融着し、絶縁性基板10上に固着され、その結果、該絶縁性基板上に導電路のような導電部13が形成される。これにより、絶縁性基板10と、該絶縁性基板上に固着された導電部13とを有する配線基板16が形成される。
【0076】
導電材料13は、導電性粒子を含む種々のペースト状導電材料を用いることができるが、導電性粒子として酸化してもその抵抗値を大きく増大させることがなく、従って、酸化による劣化を生じ難い銀粒子を含むものを用いることが望ましい。
【0077】
付着工程では、表面層11の疎水性領域11a上に一時的に供給された導電材料が、疎水性領域11aからその撥水性によって弾き出される。この疎水性領域11aから弾き出された一部の導電材料13が親水性領域11b上に堆積することから、表面層11の親水性領域11b上に付着する導電材料13の量は、両領域11a、11bの濡れ性の差が大きいほど増大する。疎水性領域11aでは、レーザビーム光12aの照射により面が荒らされていることから、両領域11a、11bの濡れ性の差は、該両領域の表面自由エネルギーの差と、面の粗さの差とが関与し、従って、疎水性領域11aの面の粗さを増大させるほど、両領域11a、11bの濡れ性の差を大きくすることができ、その結果、親水性領域11b上に堆積して付着される導電材料13の厚さ寸法を増大することができる。
【0078】
実施の形態1の例では、親水性領域11b上に付着される導電材料13の厚さ寸法を増大させ、その焼成によって、最終的に20μmの線幅、1μmの厚さ寸法の導電部13を形成することができた。この導電部13の比抵抗は、ミリオームメータ(HP4338A ヒューレット・パッカード社製)を用いた4端子法の測定によれば、2.5×10-5Ω・cmであった。
【0079】
本発明の前記した製造方法では、絶縁性基板10の親水処理を受けた表面層11上に、レーザビーム光12aを照射することにより、表面層11の照射を受けた部分(11a)を表面自由エネルギーの低下により疎水性に変えることができ、また、この疎水性領域11aの表面を荒らすことができる。この疎水性領域11aと親水性領域11bとの間の表面自由エネルギーの差および面の粗さの差に応じた大きな濡れ性の差により、一方の領域である親水性領域11bに対応して1μmのような大きな厚さ寸法を有し、2.5×10-5Ω・cmのような低い比抵抗を示す導電部13を有する配線基板16を形成することができる。また、表面層11上にレーザビーム光12aを照射することにより、親水性領域11bの照射部分を疎水性に変えて親水性領域11b中に疎水性領域11aをの形成することができると同時に、この疎水性領域11aの表面を荒らすことができるので、作業工程の簡素化を図ることができる。
【0080】
本発明に係る前記方法によって形成された配線基板16では、レーザビーム光12aに照射によって親水性を示す表面層11に部分的に親水性の疎水性領域11aが形成される。この疎水性領域11aは、表面層11から絶縁性基板10を露出させるように表面層11を部分的に除去して形成されるものではない。従って、配線基板16の疎水性領域11aは、この疎水性領域11aを除く他の領域である親水性領域11bと同一材料の表面層11で形成されている。
【0081】
また、配線基板16の絶縁性基板10上の表面層11の面の形態は、焼成工程後も保持されることから、導電部13下の表面層11の面の粗さは、他の領域のそれよりも荒い状態で保持される。
【0082】
図2は、面粗さを異にする疎水性領域11aおよび親水性領域11bから成るパターンを有する絶縁性基板10上に、スキージを用いて導電材料13を付着させる例を示す。
【0083】
図2(a)に示すように、例えばファインスフィアSVE102−50(日本ペイント製)のようなエタノール溶媒を用いた低粘度の溶液状の導電材料13が前記したと同様なPETフィルムからなる絶縁性基板10の表面である表面層11上に供給される。この導電材料13は、前記したと同様なナノ粒子の金属あるいは金属化合物から成る導電性粒子が含まれている。
【0084】
導電材料13の表面層11上への供給後、図2(b)に示すように、スキージ17を用いて、そのエッジが絶縁性基板10の表面層11からほぼ5μmの間隔をおくように、絶縁性基板10に平行に走査された。スキージ17は、例えばステンレスのような金属で形成することができる。
【0085】
スキージ17の走査後、前記したように、表面層11の疎水性領域11aと親水性領域11bとの濡れ性の差により、導電材料13は一方の領域である親水性領域11b上に選択的に付着され、その後、図1(d)に示したと同様なオーブン15を用いて、150℃、30分間の焼成を受けた。この焼成工程により、配線幅が20μm、厚さ寸法0.6μmの導電部13を有する配線基板が形成された。
【0086】
絶縁性基板10の表面層11上への導電材料の供給手法として、例えば図3に示すように、低粘度の導電材料13を噴霧するスプレー18を用いることができる。
【0087】
この場合、図3に示すように、前記したと同様な面粗さを異にする疎水性領域11aおよび親水性領域11bからなるパターンを有する絶縁性基板10が、そのパターン面を下方に向けて保持された状態で、このパターン面の下方から、スプレー18から噴霧された低粘度の導電材料13が絶縁性基板10の表面層11のほぼ全域に均等に吹き付けられる。
【0088】
親水性領域11bに吹き付けられた導電材料13は、それ自体の表面張力と、親水性領域11bの自由表面エネルギーおよび親水性領域11bの面の粗さによって決まる表面層11自体の表面張力との関係で、疎水性領域11aに保持される。他方、疎水性領域11aに吹き付けられた導電材料13は、疎水性領域11aの撥水性によって弾かれて濡れ広がらないことから、疎水性領域11aに付着せず、落下する。その結果、絶縁性基板10の表面である表面層11のうち、親水性領域11bに選択的に導電材料13を付着させることができる。
【0089】
スプレー18として家庭用洗剤に用いられている霧吹きが使用され、導電材料13として、低粘度を示す前記したファインスフィアSVE102−50(日本ペイント製)が用いられた。付着工程後、オーブン15を用いた200℃、30分間の焼成工程により、良好な導電部を有する配線基板を得ることができた。
【0090】
図4および図5は、表面層11への導電材料の付着工程に毛細管現象を利用した例を示す。図4に示すように、面粗さを異にする疎水性領域11aおよび親水性領域11bが形成された前記したと同様な表面層11を有する絶縁性基板10が用いられている。両領域11a、11bは、絶縁性基板10上で該基板の幅方向に交互に配列され、それぞれが絶縁性基板10の長手方向へ平行に伸長する。図4には、省略されているが、図5に明確に示すように、ジグとして平坦な補助板19が絶縁性基板10の表面層11から微細な一様な間隙tをおいて表面層11を覆うように、該表面層上に保持される。補助板19が保持された状態で、低粘度を示す導電材料13が帯状に伸長する親水性領域11bの一端側から表面層11上に供給されると、毛細管現象により、表面層11と補助板19との間隙tに沿って導電材料13が案内される。間隙t内に案内された導電材料13は、疎水性領域11aの撥水性のために該疎水性領域から弾かれる。これに対し、親水性領域11bはその濡れ性により導電材料13を付着させる。その結果、導電材料13は、親水性領域11bに沿って案内され、該親水性領域上に選択的に付着されることとなる。
【0091】
補助板19としてガラス板(70mm×100mm×1mm)が用いられ、このガラス板に疎水性を与えるためにその表面にシリコーン樹脂膜が形成された。このガラス板19の疎水性表面と表面層11との間隙tが約10μmに設定された状態で、前記したファインスフィアSVE102−50(日本ペイント製)からなる導電材料13が供給された。補助板19と表面層11との間に供給された導電材料13はオーブン15で150℃、30分間の焼成を受けることにより、絶縁性基板10上の親水性領域11b上で硬化し、固着された。この焼成工程後、補助板19が絶縁性基板10の表面層11上から剥がされ、これにより良好な配線部を有する配線基板を形成することができた。
【0092】
毛細管現象を利用する前記した付着工程は、補助板19と絶縁性基板10との間に導電材料13を封じ込めることが可能である。従って、エタノールのような揮発性溶媒を有する導電材料を用いる場合、そのガス成分を封じ込めることができ、これにより作業環境を良好に保持できるので、この毛細管現象を利用した付着方法を採用することが望ましい。
【0093】
図6は、導電材料の付着工程として、浸漬手法を用いる例を示す。
【0094】
相互に面粗さを異にする疎水性領域11aおよび親水性領域11bからなる前記したと同様なパターンが施された表面層11を有する絶縁性基板10は、導電材料13の浴槽20に浸された後、図中符号16′で示されるように、浴槽20から引き上げられる。この引き上げによって、濡れ性の差によって、表面層11の疎水性領域11aからは導電材料13は弾かれて落下するが、親水性領域11b上の導電材料13は、親水性領域11b上に保持される。これにより、導電材料13は選択的に親水性領域11b上に付着され、その後の前記したと同様なオーブン15により200℃、30分間の焼成処理により、良好な導電性を示す導電部13を有する配線基板16が形成された。
【0095】
この浸漬法に限らず、低粘度の導電材料の付着工程によって、焼成工程前に不要な導電材料13が疎水性領域11aに残留するとき、エアーの吹きつけによってこの不要な残留分を除去することができる。また、これとは逆に、スポンジのような吸水性を有する吸引部材によって不要な残留分を吸い取ることができる。
【0096】
他方、ペースト状の高粘度の導電材料が用いられた場合、疎水性領域11a上の不要な残留分は、粘着手段を用いて除去することができる。
【0097】
この粘着手段として、例えば粘着テープ(ナイスタック、ニチバン株式会社製)を用いることができる。この粘着テープを用いることにより、100μm幅の疎水性領域11aと100μm幅の親水性領域11bとからなる連続パターンの疎水性領域11a上に、焼成工程前に残留する不要な導電材料を確実に除去することができ、短絡を生じることのない良好な配線基板を得ることができた。
【0098】
さらに他の粘着手段として、図7に示すような陰パターン基板10′を用いることができる。
【0099】
図7(a)に示すように、疎水性領域11aおよび親水性領域11bからなる表面層11が設けられ絶縁性基板10上に導電材料13が供給されたとき、疎水性領域11a上の不要な導電材料13を確実に除去するために用いられる陰パターン基板10′は、図7(b)に示すように、例えば、絶縁性基板10と同様なPETからなる陰パターン基板10′と、該基板上に形成された表面層11′とを備える。表面層11′は絶縁性基板10の表面層11と同様な材料からなり、表面層11′には、絶縁性基板10上の表面層11の陽パターンを反転した陰パターンが施されている。すなわち、パターン基板10′の表面層11′には、絶縁性基板10の疎水性領域11aに対応してこれと反対の性質を示す親水性領域11b′が形成され、絶縁性基板10の親水性領域11bに対応してこれと反対の性質を示す疎水性領域11a′が形成されている。
【0100】
PETからなる絶縁性基板10上に、例えばそれぞれが200μm幅の疎水性領域11aおよび親水性領域11bが交互に配列されている場合、陰パターン基板10′では、それぞれが200μm幅の親水性領域11b′および疎水性領域11a′が交互に配列されて形成される。導電材料13として、絶縁性基板10の表面層11上に例えばドータイトXA−9024(藤倉化成製)のような導電性ペーストがローラで供給された後、図7(b)に示すように、絶縁性基板10上の疎水性領域11aおよび親水性領域11bに陰パターン基板10′の親水性領域11b′および疎水性領域11a′をそれぞれ対向させて絶縁性基板10の表面層11および陰パターン基板10′の表面層11′が重ね合わされる。
【0101】
この陽パターンを有する絶縁性基板10と陰パターン基板10′との重ね合わせにより、絶縁性基板10の親水性領域11b上に付着された導電材料13は、陰パターン基板10′の対向する疎水性領域11a′に移ることはないが、絶縁性基板10上の疎水性領域11aに残存する導電材料13は、陰パターン基板10′の対向する親水性領域11b′に移る。その結果、絶縁性基板10上の親水性領域11b上の導電材料13に影響を与えることなく、疎水性領域11a上に残存する不要な導電材料13を確実に除去することができ、前記したと同様な絶縁性基板10上の導電材料13の焼成により、隣接する導電部13間の抵抗をpAメータ(4140B ヒューレット・パッカード社製)で測定したところ、100MΩ以上の高い抵抗値を示す配線基板16を得ることができた。
【0102】
〈実施の形態2〉
図8は、前記したと同様な疎水性領域および親水性領域からなるパターンを有する表面層が設けられた基板を導電材料の転写用原版として用いた例を示す。
【0103】
原版110は、図8(a)に示すように、前記した例におけると同様な例えばPET材料からなる基板10Aと、該基板上に形成された含フッ素アクリレートからなる表面層11とを備える。表面層11は前記したと同様な親水性処理を受けた後、レーザビーム光(12a)の照射を受ける。これにより、表面層11には、表面が荒らされ、さらに疎水性を付与された疎水性領域11aと、該疎水性領域よりも高い濡れ性を示す親水性領域11bとからなるパターンが形成される。
【0104】
基板10Aの表面層11上へ水溶性の低粘度導電材料である例えばファインスフィアSVW102−50(日本ペイント社製)を滴下した後、導電材料がスキージを用いて塗り拡げられる。このスキージを用いた導電材料の供給により、疎水性領域11aおよび親水性領域11bの両濡れ性の差に基づいて選択的に、その親水性領域11b上に導電材料13が付着されると、転写工程で、図8(a)に示すように、配線基板用の絶縁性基板として用いられる石英ガラス板(100mm×100mm×1mm)が例えば押圧ローラ21を用いて原版110の表面層11に押圧される。
【0105】
この石英ガラス板10の押圧により、基板10A上の親水性領域11b上の導電材料13が絶縁性基板である石英ガラス板10に転写され、その後、図8(b)に示すように、オーブン15を用いた200℃、30分間の焼成により、石英ガラス板10上に導電材料13からなる導電部が形成される。これにより、幅50μm、厚さ寸法0.6μmの低抵抗を示す導電部を有する石英ガラス基板からなる配線基板を得ることができた。
【0106】
原版110を用いる方法では、該原版上に形成される疎水性領域11aおよび親水性領域11bの粗面粗さの差を利用して導電材料を選択された一方の領域11aまたは11bに厚く堆積することができる。この導電材料が絶縁性基板10上に転写され、その焼成により、低抵抗の導電部が形成される。従って、導電部を形成すべき絶縁性基板10上に表面層11を形成する必要がないことから、面の粗さが異なる疎水性領域11aおよび親水性領域11bを形成するための表面層11を形成できない基板材料に、あるいは、疎水性領域11aおよび親水性領域11bを直接表面に形成することができない絶縁性基板材料にも、低抵抗を示す導電部を形成することが可能となる。
【0107】
導電材料がチクソ性を有するものでは、この導電材料の絶縁性基板10への転写後に該絶縁性基板上で焼成することが望ましく、これにより絶縁性基板19上に微細かつ精巧な導電部を適正に形成することができる。
【0108】
他方、導電材料として、前記したような低粘度を示す溶液系のものが用いられるとき、原版110の基板10A上で導電材料13焼成することにより、該基板上に予め導電部13を形成し、この導電部13を絶縁性基板10上に接着剤を介して固着することが望ましい。これにより、導電材料13がたとえ低粘度のものであっても、絶縁性基板10上の所望の箇所に適正な厚みをもった精巧な導電部13を形成することができる。
【0109】
いずれの場合であって、必要に応じて、それぞれの転写工程を反復することができる。この転写工程の反復により、絶縁性基板10上の導電材料あるいは導電部13が重ね合わせにより順次厚さを増すことから、より厚さ寸法の大きな、従って、この厚さ寸法の増大に応じた低抵抗を示す導電部が設けられた配線基板16を形成することができる。
【0110】
〈実施の形態3〉
さらに、原版110から直接的に絶縁性基板10上に導電材料13を転写することに代えて、図9に示すように、原版110からブランケットのような中間転写体を経て絶縁性基板10上に導電材料13を転写することができる。
【0111】
図9(a)に示すように、原版110の基板10A上に形成された含フッ素アクリレートからなる表面層11には、前記したと同様な疎水性領域11aおよび親水性領域11bが形成されており、例えばドータイトXA−9024(藤倉化成製)のような導電性ペーストがローラ14を用いて親水性領域11b上に選択的に供給される。
【0112】
原版110上の親水性領域11bに付着された導電材料13を転写するための中間体として、弾性を有する例えばニトリルゴム(NBR)からなるブランケット22を用いることができる。ブランケット22は、前記したような押圧ローラ21(図示せず)を用いて表面層11に押圧され、これにより原版110上の導電材料13は、図9(b)に示すように、ブランケット22上に写し取られる。
【0113】
転写工程でブランケット22上に写し取られた導電材料13は、前記したと同様な押圧ローラ21(図示せず)を用いて、図9(c)に示すように例えばガラス板(100mm×100mm×1mm)からなる絶縁性基板10上に、さらに転写される。絶縁性基板10上の導電材料13は、前記したと同様なオーブン15を用いて、150℃、30分間の焼成を受けることにより、絶縁性基板10上で良好な導電性を示す。
【0114】
複数の中間転写体22を用いることにより、原版110から各中間転写体22への導電材料13の付着工程と、該各中間転写体22からそれぞれの絶縁性基板10への導電材料13の転写工程とを相互に分離して両工程を分業化させることが可能となることから、配線基板16の効率的な形成が可能となる。
【0115】
また、図9に示す例では、中間転写体として平板上のブランケット22の例を示したが、中間転写体を例えば円筒状とすることにより、平板状の絶縁性基板の他、筐体のような3次元の形態の絶縁性基板上あるいは弧状に反った絶縁性基板面上にも、円筒状の中間転写体を経て導電材料を転写することが可能となるので、このような複雑な形状の絶縁性基板面上にも導電路を容易に形成することが可能となる。
【0116】
さらに、中間転写体22上の導電材料13を絶縁性基板10上に転写する転写工程中に、原版110の表面層11上へ導電材料13を供給する付着工程を行なうことにより、絶縁性基板10への転写工程と、原版110への導電材料13の付着工程とを同時に並行させることができる。これにより、転写工程および付着工程を流れ作業でそれぞれを中断させることなく連続的に遂行させることができるので、多数の配線基板16を一層効率的に形成することができる。
【0117】
また、原版110からブランケット22に導電材料13を転写するとき、導電材料13のブランケット22に対する付着力が、原版110の親水性領域11bに対する付着力よりも小さいと、原版110からブランケット22に導電材料13を確実に転写することができない。このような場合、図10に示すように、親水性を示す導電材料13を原版110の親水性領域11bに代えて疎水性領域11aに部分的に付着させることにより、この疎水性領域11a上の導電材料13を確実にブランケット22に転写させることができる。
【0118】
前記したところでは、導電材料13として、いずれも親水性を示す導電材料を用いた例に沿って本発明を説明したが、これに代えて、疎水性を示す導電材料を用いることができる。この疎水性導電材料が表面層11に供給されると、表面層11の両領域11aおよび11bの濡れ性の差により、疎水性導電材料は選択的に両領域11a、11bのうちの疎水性領域11aに付着される。
【0119】
また、前記したところでは、基板10または10A上に、含フッ素アクリレートからなる表面層11を形成した例を示したが、表面層として、集中的な熱エネルギーの付与により表面粗さを増大させることができる種々の材料を適用することができる。
【0120】
また、基板10、10Aの表面に面の粗さの異なる領域を形成することができるものでは、表面層11を形成することなく、基板10、10Aの表面に直接に疎水性領域11aおよび親水性領域11bを形成することができる。
【0121】
しかしながら、含フッ素アクリレートからなる表面層11では、前記したように予めこれを親水処理した後、集中的な熱エネルギーを付与することにより、集中的な熱エネルギーを受けた部分的が表面粗さを増大させることに加えて、疎水性を付与される。このため、熱照射のような粗面形成工程により、面の粗さの差および表面自由エネルギーの差により、疎水性領域11aと親水性領域11bとの間に大きな濡れ性の差を与えることができるので、この濡れ性の差によって所望の選択領域により厚く導電材料13を堆積させることができることから、より低抵抗の導電部13を形成する上で、含フッ素アクリレートからなる表面層11を用いることが望ましい。
【0122】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、絶縁性基板上の表面層の所望箇所の面の粗さを増大させることにより、面の粗さによる濡れ性に基づいて選択的に付着される導電材料の厚みを増大させることができるので、比較的単純な工程により、残差を生じることなく低抵抗の導電部を有する配線基板を形成することができる。
また、集中的な熱エネルギーの付与によって表面層を部分的に荒らすことにより、比較的容易に疎水性領域を形成することができる。
さらに、表面層に予め親水性処理を施すことにより、この親水性領域と、面の粗さを増大させた疎水性領域との間の濡れ性を増大させることができるので、この濡れ性の差を利用して導電材料を選択された所定の領域上に、より厚く付着させることができ、導電部の一層の低抵抗化を図ることが可能となる。
【0123】
請求項2に記載の発明によれば、原版から導電材料を絶縁性基板上に転写することにより、親水性領域および疎水性領域あるいはこれら両領域のための表面層を形成することができない絶縁性基板上に低抵抗の導電部を形成することが可能となるので、絶縁性基板の材質等の選択について自由度が高まる。
また、集中的な熱エネルギーの付与によって表面層を部分的に荒らすことにより、比較的容易に疎水性領域を形成することができる。
さらに、表面層に予め親水性処理を施すことにより、この親水性領域と、面の粗さを増大させた疎水性領域との間の濡れ性を増大させることができるので、この濡れ性の差を利用して導電材料を選択された所定の領域上に、より厚く付着させることができ、導電部の一層の低抵抗化を図ることが可能となる。
【0126】
請求項3に記載の発明によれば、親水性領域および疎水性領域間の濡れ性の差は、該両領域の面の粗さの差に加えて、それらの表面自由エネルギーの差が寄与するので、さらに増大される。従って、この濡れ性の差の増大に応じて、疎水性領域および親水性領域からなるパターンに選択的に付着される導電材料をさらに厚く付着させることが可能となる。
【0127】
請求項4に記載の発明によれば、レーザ光を用いて表面層の面粗さを部分的に増大させると共に、当該部分に疎水性を与えることができるので、比較的容易に濡れ性の差が大きな親水性領域および疎水性領域からなる微細なパターンを精巧に形成することができる。従って、低抵抗の導電部を有する微細パターンの配線基板を比較的容易に形成することができる。
【0128】
請求項5に記載の発明によれば、導電材料の重ね塗りによって厚さ寸法の大きな導電部を形成することができ、この導電部の低抵抗化を図ることができる。
【0129】
請求項6に記載の発明によれば、導電材料の付着工程でローラを用いることにより、比較的粘度の高い導電材料をほぼ均等な厚さで前記基板上の所定領域に付着させることができる。
【0130】
請求項7に記載の発明によれば、導電材料の付着工程でスキージを用いることにより、溶液系の低粘度を示す導電材料を、前記基板上の所定領域以外の領域に不要に残留させることなく、所定領域上に適正に付着させることができる。
【0131】
請求項8に記載の発明によれば、所望の陽パターンを反転させた陰パターンが形成された陰パターン基板を用いて前記基板上の所定領域以外の領域に残存する不要な導電材料を確実に除去することができるので、この残存導電材料による短絡を生じることのない配線基板を形成することができる。
【0132】
請求項9に記載の発明によれば、中間転写体を用いることにより、効率的な配線基板の形成が可能となり、この中間転写体を円筒状とすることにより、3次元のような複雑な形状の基板上に導電部を形成することができる。
【0133】
請求項10に記載の発明によれば、原版への導電材料の付着工程と、絶縁性基板上への導電材料の転写工程とを流れ作業でそれぞれを中断させることなく連続的に遂行させることができるので、多数の配線基板を一層の効率的に形成することができる。
【0134】
請求項11に記載の発明によれば、導電材料が転写を受けた絶縁性基板上で焼成されることから、チクソ性を有する導電材料により絶縁性基板上に微細かつ精巧な導電部を適正に形成することができる。
【0135】
請求項12に記載の発明によれば、原版の基板上での導電材料の焼成により予め導電部が形成され、この導電部が絶縁性基板上に接着剤を介して固着されることから、低粘度を示す溶液系の導電材料であっても、縁性基板上の所望の箇所に適正な厚みをもった精巧な導電部を形成することができる。
【0136】
請求項13に記載の発明によれば、繰り返し転写による導電材料の重ね合わせにより、転写の繰り返し回数に応じて厚さが増大する導電部を形成することができので、低抵抗の導電部を有する配線基板を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る配線基板の製造方法の第1の実施の形態を模式的に示す工程図である。
【図2】本発明に係る配線基板の導電材料の他の付着方法を示す模式図である。
【図3】本発明に係る配線基板の導電材料のさらに他の付着方法を示す模式図である。
【図4】本発明に係る配線基板の導電材料のさらに他の付着方法を示す平面図である。
【図5】図4に示した線V−Vに沿って得られた断面図である。
【図6】本発明に係る配線基板の導電材料のさらに他の付着方法を示す模式図である。
【図7】本発明に係る配線基板の導電材料の他のさらに他の付着方法を示す模式図である。
【図8】本発明に係る配線基板の製造方法の第2の実施の形態を模式的に示す工程図である。
【図9】本発明に係る配線基板の製造方法の第3の実施の形態を模式的に示す工程図である。
【図10】原版体の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
10 絶縁性基板
11 表面層
11a 疎水性領域
11b 親水性領域
12 レーザ光源
13 導電材料
16 配線基板
Claims (13)
- 面の粗さを部分的に増大させることが可能な表面層を絶縁性基板上に形成する表面層形成工程と、
前記表面層の選択された領域に面粗さが他の領域の面粗さよりも大きくかつ当該他の領域と同一材料からなる粗面領域を部分的に形成する粗面形成工程と、
前記表面層のうちの前記粗面領域と該粗面領域を除く他の領域との面粗さの差に基づいて両領域のいずれか一方に導電部のための導電材料を付着させる付着工程とを含み、
前記粗面形成工程は、前記表面層の選択された領域への集中的な熱エネルギーの付与により行われ、
前記表面層は、熱エネルギーの付与に先立ち、親水性を発現させるための親水性処理を受け、この親水性処理後に、選択された領域に熱エネルギーが付与され、この熱エネルギーの付与により形成される前記粗面領域が疎水性領域として機能し、前記他の領域が親水性領域として機能する、配線基板の製造方法。 - 面の粗さを部分的に増大させることが可能な表面層を基板上に形成する表面層形成工程と、
前記表面層の選択された領域に面粗さが他の領域の面粗さよりも大きくかつ当該他の領域と同一材料からなる粗面領域を部分的に形成する粗面形成工程と、
前記表面層のうちの前記粗面領域と該粗面領域を除く他の領域との面粗さの差に基づいて両領域のいずれか一方に導電部のための導電材料を付着させる付着工程と、
前記導電材料が前記表面層の前記一方の領域に付着された前記基板を原版として、絶縁性基板上に、前記導電材料を転写する転写工程とを含み、
前記粗面形成工程は、前記表面層の選択された領域への集中的な熱エネルギーの付与により行われ、
前記表面層は、熱エネルギーの付与に先立ち、親水性を発現させるための親水性処理を受け、この親水性処理後に、選択された領域に熱エネルギーが付与され、この熱エネルギーの付与により形成される前記粗面領域が疎水性領域として機能し、前記他の領域が親水性領域として機能する、配線基板の製造方法。 - 選択された領域への熱エネルギーの付与により、前記表面層の選択された領域が溶融し、これにより、当該領域の表面自由エネルギーが低下する請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記表面層は加熱温度に応じて後退接触角が異なる材料で形成され、該表面層への集中的な熱エネルギーの付与は、レーザ照射で行われる請求項3に記載の製造方法。
- 前記導電材料の焼成により前記導電部が形成され、前記付着工程は、前記導電材料の焼成に先立って、複数回行われる請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記付着工程は、ローラを用いて行われる請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記付着工程は、スキージを用いて行われる請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記付着工程後、前記表面層の前記粗面領域および前記他の領域により形成されたパターンを陽パターンとして、該陽パターンの反転により形成される陰パターンを有する表面層が設けられた陰パターン基板の前記陰パターンを、前記陽パターンに重ね合わせて該陽パターンの前記粗面領域または他の領域に残存する不要な導電材料を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記原版から前記絶縁性基板上への導電材料の転写は、中間転写体を経て行われる請求項2に記載の製造方法。
- 前記中間転写体から前記絶縁性基板上への導電材料の転写中に前記原版への導電材料の付着が行われる請求項9に記載の製造方法。
- 前記導電材料は、前記絶縁性基板への転写後、該絶縁性基板上で焼成され、これにより前記絶縁性基板上に導電部が形成される請求項2に記載の製造方法。
- 前記導電材料は、前記絶縁性基板への転写前、前記原版の前記基板上で焼成され、この焼成により形成された導電部が接着剤を介して前記絶縁性基板上に固着される請求項2に記載の製造方法。
- 前記付着工程およびその後の前記転写工程の反復により前記絶縁性基板上へ重ね合わせによって堆積された導電材料が焼成され、これにより導電部が形成される請求項2に記載の製造方法。
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