JP4216750B2 - ポリエステルまたはポリウレタンからなるポリマーおよび光学フィルム - Google Patents

ポリエステルまたはポリウレタンからなるポリマーおよび光学フィルム Download PDF

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Description

本発明は耐熱性、光学特性および力学特性に優れた新規なポリマーを用いて形成された光学フィルム、および該光学フィルムを用いた表示品位に優れた画像表示装置に関する。
近年、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」という)等のフラットパネルディスプレイ分野において、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、基板をガラスからプラスチックに置き換えることが検討されている。特に、携帯電話や、電子手帳、ラップトップ型パソコンなど携帯情報端末などの移動型情報通信機器用表示装置では、プラスチック基板に対する強い要望がある。
上記プラスチック基板は導電性を有することが必要である。そこで、近年、プラスチックフィルム上に、酸化インジウム、酸化錫、或いは錫−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜を透明導電層として設けた透明導電性基板を表示素子の電極基板として用いることが検討されている。
この目的で使用される透明導電性基板としては、耐熱性の非晶ポリマー、例えば変性ポリカーボネート(変性PC)(例えば、特許文献1参照)、ポリエーテルスルホン(PES)(例えば、特許文献2参照)、シクロオレフィンコポリマー(例えば、特許文献3参照)からなる基板上に透明導電層とガスバリア層とを積層したものが知られている。
しかし、上記の耐熱性プラスチックを用いても、十分な耐熱性を有するプラスチック基板は得られなかった。すなわち、これら耐熱性プラスチックを用いたプラスチック基板にガスバリア層および導電層を形成した後、配向膜などの付与のため150℃以上の温度に曝すと、導電性およびガスバリア性が大きく低下してしまうという問題があった。
また、近年における基材フィルムに対しては、アクティブマトリクス型画像素子作製時のTFTを設置する場合に、さらに高いレベルの耐熱性が要求されている。例えば、特許文献4には、SiH4を含むガスをプラズマ分解することにより300℃またはそれ以下の温度で多結晶シリコン膜を形成する方法が記載されている。また特許文献5には、エネルギービームを照射して高分子基板上にアモルファスシリコンと多結晶シリコンが混合された半導体層を形成する方法が記載されている。また特許文献6には、熱的バッファ層を設け、パルスレーザビームを照射してプラスチック基板上に多結晶シリコン半導体層を形成する方法が記載されている。
上記特許文献4〜6に示されるように、300℃以下でTFT用多結晶シリコン膜を形成する方法は種々提案されているが、構成や装置が複雑であるため高コストとなり、300〜350℃以上の耐熱性がプラスチック基板に要求される。
このようなニーズから耐熱性を有するポリマーからなるプラスチック基板がこれまでにいくつか開発されている。例えば、特許文献7には、脂肪族テトラカルボン酸無水物から誘導されるポリイミドを用いた薄膜トランジスタ基板が記載されている。特許文献7の実施例に記載されているポリイミドフィルムは、ガラス転移温度(以下「Tg」という)315℃、全光線透過率85%と耐熱性と透明性に優れている。しかし、原料となる脂肪族テトラカルボン酸無水物が高コストであり、さらに高沸点溶媒を用いた高温での製膜が必要であるため製造法上好ましくないという欠点があった。
また、特許文献8および9には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下「ビスフェノールフルオレン」とも称する)とイソフタル酸およびテレフタル酸から誘導されるポリエステルフィルムに関する記載がある。また特許文献10には、アルキル置換されたビスフェノールフルオレンとイソフタル酸およびテレフタル酸から誘導されるポリエステルフィルムに関する記載がある。これらのアルキル置換または無置換のビスフェノールフルオレンとイソフタル酸およびテレフタル酸から誘導されるポリエステルは安価な原料から合成可能であり、かつTgが300℃付近である。さらに特許文献10には、ジクロロメタン、シクロヘキサノンなどの低沸点溶剤を用いて透明性、破断伸びに優れた柔軟なフィルムが記載されている。しかし、これらのポリマーは、アクティブマトリクス型画像素子作製時のTFT設置工程に対しては必ずしも十分な耐熱性を有しているとはいえず、またプラスチック基板に求められる力学特性の要求に対してもさらなる改良が望まれていた。
また、特許文献11には、ジアリールアセチレンで末端封止されたポリイミド、ポリイミドオリゴマーが記載されている。該ポリイミドは、低分子量体であるため良好な溶解性が得られる一方で、製膜後の加熱によるアルキニル基の架橋反応により、耐熱性および力学特性を向上できる。しかしポリマーの着色において光学フィルム用途としては好ましくないという欠点があった。
以上説明したように、透明性、耐熱性、力学特性のすべての特性を満足するポリマー、および該ポリマーで形成されている光学フィルムの開発が強く望まれていた。
特開2000−227603号公報(請求項7、[0009]〜[0019]) 特開2000−284717号公報([0010]、[0021]〜[0027]) 特開2001−150584号公報([0027]〜[0039]) 特開平7−81919号公報(請求項3、[0016]〜[0020]) 特表平10−512104号公報(第14〜22頁、図1、図7) 特開平11−102867号公報(請求項1〜10、[0036]) 特開2003−168800号公報(特許請求の範囲) 特開昭57−192432号公報(特許請求の範囲) 特開平3−28222号公報(特許請求の範囲) WO99/18141号公報(クレーム部分) 米国特許第5138028号明細書(クレーム部分)
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の第1の目的は、優れた透明性、耐熱性および力学特性を併有する光学部品用途に適したポリマー(以下、「本発明のポリマー」ということがある)を用いて形成された、優れた透明性、耐熱性および力学特性を併有する光学フィルムを提供することにある。また、本発明の第の目的は、前記光学フィルムを用いた表示品位に優れた画像表示装置を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、ポリマーの構造を種々検討した結果、所定の構造を有するポリマーであれば、透明性、耐熱性および力学特性のいずれも満足することを見出した。さらにこのポリマーで形成された光学フィルム、および該光学フィルムを用いた画像表示素子が優れた透明性、耐熱性および力学特性を示すことを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の上記目的は、以下の手段によって達成される。
(1)アルキニル基及び下記一般式(2)で示される化学構造を繰り返し単位中に含むポ リエステルからなるポリマーで形成された光学フィルム
Figure 0004216750
一般式(2)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結されている。
(2)一般式(2)が下記一般式(6)で示される(1)に記載の光学フィルム
Figure 0004216750
一般式(6)中、R61およびR62は、それぞれ水素原子または置換基を表し、それぞれが連結して環を形成してもよい。また、jおよびkは、それぞれ、1〜4の整数を表す。
(3)重量平均分子量が5,000〜300,000である(1)または(2)に記載の光学フィルム
)全光線透過率が80%以上である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光学フィルム。
)少なくとも片面にガスバリア層が積層されている(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光学フィルム。
)少なくとも片面に透明導電層が積層されている(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光学フィルム。
)(1)〜(6)のいずれか項に記載の光学フィルムを用いた画像表示装置。
発明によれば、ガスバリア層、透明導電層を積層可能な、優れた耐熱性、光学特性および力学特性を併有する光学フィルムを提供できる。さらに、本発明の画像表示素子は、前記光学フィルムを用いる。これにより本発明によれば、表示品位に優れた画像表示装置を提供できる。
以下に本発明のポリマー、光学フィルムおよび画像表示素子について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
[本発明のポリマー]
本発明のポリマーは、アルキニルと、一般式(2)で表される化学構造を、それぞれ、繰り返し単位中に含むポリエステルで構成されている。
上記アルキニル基は、ポリエステル側鎖に置換されていてもよく、さらに複数置換されていてもよい。ポリエステル鎖中に存在する複数のアルキニル基が置換されている場合、これらのアルキニル基は互いに同じであっても異なっていてもよい。本発明においては、特にポリエステル鎖の末端にアルキニル基が置換された形態が好ましい。
側鎖にアルキニル基を有するポリエステルはアルキニル基含有モノマー(例えば、アルキニル基含有ジオール、アルキニル基含有ジカルボン酸、アルキニル基含有ジアミン等)を用いて重縮合を行うことによって合成できる。また、末端にアルキニル基を有するポリエステルはアルキニル基含有末端封止剤(例えば、アルキニル基含有モノアルコール、アルキニル基含有モノカルボン酸、アルキニル基含有モノアミン等)の存在下で重合を行うことによって合成できる。
上記アルキニル基の導入量を増やすことにより、ポリエステルの耐熱性および力学特性を向上させることができる反面、アルキニル基の導入量が多すぎると、硬化収縮が問題になる場合がある。アルキニル基の最適な導入量は、ポリエステルの構造によって区々であるが、一般的にはポリエステル中に導入されるアルキニル基の量は、1×10-4〜10mmol/gであることが好ましく、1×10-3〜2mmol/gであることがより好ましく1×10-2〜1mmol/gであることが特に好ましい。
本発明のポリマーは、一般式(2)で表わされるカルド構造を有する。これらの構造を有するので、本発明のポリマーは、高耐熱性、高弾性率および高引張破壊応力を示し、製造プロセスにおいて種々の加熱操作が要求され、かつ屈曲させても破壊しにくい性能が要求される有機EL素子等の基板材料として好適である。
Figure 0004216750
一般式(2)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結されている。
般式(2)で表されるカルド構造を有する樹脂の好ましい例として、下記一般式(6)で表されるフルオレン構造を繰り返し単位中に含むポリマーが挙げられる。
Figure 0004216750
一般式(6)中、R61、R62は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、それぞれが連結して環を形成してもよい。また、jおよびkは1〜4の整数を表す。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基である。R61およびR62のより好ましい例は、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはフェニル基である。
上記一般式(2)で表される化学構造を繰り返し単位中に含むポリエステルは、上記一般式(2)で表される化学構造を有するビスフェノール化合物から誘導されるポリエステルであることが好ましい。
以下に本発明に有用なアルキニル基含有ポリマーの好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0004216750
本発明に用いられるアルキニル基含有ポリエステルは、単独で用いてもよく、複数種混合して用いてもよい。また、ホモポリマーであってもよく、複数種構造を組み合わせたコポリマーであってもよい。般式(2)で表される化学構造を繰り返し単位として有するポリエステルにおいても、これらの化学構造を含まない公知のモノマーをコモノマーとして用いることにより溶解性、透明性の観点で改良される場合が多く好ましい。
本発明のポリマーの好ましい分子量は、重量平均分子量で1,000〜500,000であり、より好ましくは5,000〜300,000であり、特に好ましくは10,000〜200,000である。分子量が1,000以上あれば、フィルム成形が難しくなったり、力学特性が低下したりすることはないため好ましい。また分子量が500,000以下であれば、合成上分子量をコントロールでき、また適度な粘度の溶液が得られ、取り扱いが容易であるため好ましい。なお、分子量は対応する粘度を目安にできる。
本発明のポリマーが上記ポリエステルからなる場合、ポリエステルはビスフェノール化合物とジカルボン酸もしくはこれらの誘導体を重縮合させて得ることができる。この際、アルキニル基を有するビスフェノールまたはジカルボン酸もしくはこれらの誘導体を用いるか、もしくは前記したアルキニル基含有末端封止剤の共存下で重縮合反応を行う。
重縮合方法としては、ビスフェノールジアセテートとジカルボン酸を反応させ脱酢酸を行う溶融重縮合法、ビスフェノールとジカルボン酸ジベンゾエートを反応させ脱フェノールを行う溶融重縮合法、ジカルボン酸クロライドとビスフェノールを有機塩基の存在下、ポリマーが可溶となる有機溶媒系で反応させる脱塩酸均一重合法、ジカルボン酸クロライドとビスフェノールをアルカリ水溶液と水非混和性有機溶媒の2相系で反応させる界面重縮合法などの公知の方法を利用できる。ポリエステルがTg300℃以上となる場合、溶融重縮合は困難となるが、特開平7−188405号公報に記載されているように高沸点可塑剤を併用することにより、反応温度300℃程度での重合を可能にする方法も知られている。
上記ポリエステルは、上記のいずれの合成法によっても合成できるが、特に界面重縮合法を用いることが簡便であり好ましい。界面重縮合反応においては、アルカリ水溶液に溶解させたビスフェノール化合物と水非混和性有機溶媒(代表的にはジクロロメタンなど)に溶解させたジカルボン酸クロライドを短時間で混合する方法が一般的であるが、ビスフェノール化合物のアルカリ水溶液に対する溶解度が低い場合がある。また、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライドのように、水非混和性有機溶媒に対する溶解度が低いジカルボンクロライドの場合、公知の方法ではポリエステルを合成できないことがある。このような場合、予め水、水非混和性有機溶媒、ビスフェノール化合物、ジカルボン酸クロライドをスラリー状混合撹拌しておき、高濃度のアルカリ水溶液を徐々に添加していく方法が高分子量化に有効である。
上記ポリエステルの分子量を調節する方法としては、上記した製造方法によらず、重合時に一官能の物質を添加して行える。分子量調節剤として用いられる一官能物質としては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノールなどの一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートなどの一価酸クロライド類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどの一価のアルコール類、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸などの一価のカルボン酸などを用いることができるが、本発明においては特に前記のアルキニル基含有末端封止剤を用いることが好ましい。
上記ポリエステルのカルボキシル価は300μmol/g以下であることが好ましく、さらに好ましくは30μmol/g以下であり、特に好ましくは10μmol/g以下である。カルボキシル価が300μmol/g以下であれば、耐アーク放電性や誘電率など電気特性に影響を与えことなく、また溶剤に溶解して調製したポリマー溶液の保存安定性に影響を与えることなく、さらに溶液キャスト法により得られるキャストフィルムの表面特性に影響を与え難いため好ましい。樹脂のカルボキシル価は、電位差滴定装置を利用した中和滴定など公知の方法で測定することができる。
本発明のポリマー中の残留アルカリ金属量およびハロゲン量は、50ppm以下であることが好ましく、特に好ましくは10ppm以下である。残留アルカリ金属量およびハロゲン量が50ppm以下であれば、上述した電気特性が低下することもなく、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与え、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こすことはないため好ましい。ポリマー中の残留アルカリ金属量およびハロゲン量は、イオンクロマトグラフ分析法、原子吸光法、プラズマ発光分光分析法など公知の方法を利用して定量できる。
また、本発明のポリマー中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒の量は、200ppm未満であることが好ましく、より好ましくは100ppm未満である。残留する触媒量が200ppm未満であれば、上述した電気特性が低下することなく、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与えることもなく、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能が低下することもないので好ましい。ポリマー中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒はHPLC、ガスクロマトグラフ法などを利用して定量できる。
さらに本発明のポリマー中に残留するフェノールモノマー、ジカルボン酸、ジカルボンサンクロライド、ジアミン、ジイソシアネート等のモノマー由来の残存成分の量は3000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。残留するモノマー成分の量が3000ppm以下であれば、上述した電気特性が低下することもなく、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与えたり、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こしたりすることもないため好ましい。例えば、残留モノマー成分が上記範囲内であれば、フィルム上に透明導電膜を形成する場合に、成膜時の加熱やプラズマの影響により、残留モノマー成分由来のガスが発生したり、熱分解等が生じることもなく、また透明導電膜中に結晶粒塊が生じたり、「抜け」と呼ばれるようなコーティングされない部分が生じ、透明導電膜の低抵抗化が阻害されることもなく好ましい。ポリマーおよびそのフィルム中に残留するモノマー量は、HPLCや核磁気共鳴法など公知の方法で分析できる。
[本発明の光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、上記本発明のポリマーで形成される。本発明のポリマーをフィルムまたはシート形状に成形する方法としては、公知の方法が採用できるが、溶液流延法が好ましい方法として挙げられる。
溶液流延法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、米国特許2367603号、米国特許2492078号、米国特許2492977号、米国特許2492978号、米国特許2607704号、米国特許2739069号、米国特許2739070号、英国特許640731号、英国特許736892号の各明細書、特公昭45−4554号、特公昭49−5614号、特開昭60−176834号、特開昭60−203430号、特開昭62−115035号の各公報に記載がある。溶液流延法にて製造する製造装置の例としては、特開2002−189126号公報の段落[0061]〜[0068]に記載の製造装置、図1および図2などが例として挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
溶液流延法においては、前記ポリマーを溶媒に溶解する。使用する溶媒は前記ポリマーを溶解するものであればいずれの溶媒を用いても構わないが、特に25℃において固形分濃度10質量%以上溶解できる溶媒が好ましい。また、使用する溶媒の沸点は200℃以下のものが好ましく、さらに好ましくは150℃以下のものである。沸点が高い場合、溶媒の乾燥が不十分となり、フィルム中に残存するおそれがある。また、本発明に用いられるポリマーの溶解性を損なわない範囲で貧溶媒を混合することも可能で、この場合、溶液流延後の剥ぎ取りや乾燥速度の観点で有利になる場合がある。
本発明で用いられる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、アセトン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、溶媒は2種以上を混合して用いてもよく、乾燥性と溶解性の両立の観点からむしろ混合溶媒が好ましい。また、混合溶媒とすることで、本発明の光学フィルムの透明性を向上させることができる場合もあり好ましい。
溶液流延に用いる溶液中のポリマー濃度は、5〜60質量%、好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。ポリマー濃度が5〜60質量%であれば、適度な粘度が得られ厚さの調整がしやすく、また製膜性が良好であるため、ムラが小さい。また、溶液流延前に必要に応じて濾過することにより、本発明の光学フィルムの透過率やフィルム内の不純物を低減させることができる。
溶液流延する方法は特に限定されないが、バーコーター、Tダイ、バー付Tダイ、ドクターブレード、ロールコート、ダイコート等を用いて平板またはロール上に流延できる。
溶媒を乾燥する温度は、使用する溶媒の沸点によって異なるが、2段階に分けて乾燥することが好ましい。これによって、光学的に等方性を有したポリマーフィルムを得ることができる。第一段階としては30〜100℃で溶媒の濃度が10質量%以下、好ましくは5質量%以下になるまで乾燥する。次いで、第二段階として平板またはロールからフィルムを剥がし、60℃以上からポリマーのTgまでの範囲で乾燥する。
平板またはロールからフィルムを剥がす場合、第一段階の乾燥終了直後に剥がしてもよく、あるいは一旦冷却してから剥がしてもよい。
本発明の光学フィルムは、加熱乾燥が不足すれば残留溶媒量が多く、また極度に加熱しすぎるとポリマーの熱分解を引き起こし、残留するモノマー量が多くなる。さらに急激な加熱乾燥は含有溶媒の急速な気化を生じ、フィルムに気泡等の欠陥を生じさせる。本発明の光学フィルム中に残留する溶媒量は2000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることが特に好ましい。残留する溶媒量が2000ppm以下であれば、フィルム表面の特性が悪化することなく、表面処理等に悪影響を及ぼしたり、導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こしたりすることはないため好ましい。本発明のポリマーフィルム中に残留する溶媒量は、ガスクロマトグラフ法など公知の方法を利用して定量できる。
本発明の光学フィルムは、回転ドラムまたはバンド上への溶液流延、剥ぎ取り、乾燥を連続的に行い、ロール状に巻取り製造する方法が好ましい。このように、本発明の光学フィルムを機械的に搬送する場合など、フィルムの力学強度が高いことが好ましい。好ましい力学強度は、搬送装置に依存するため一概にいえないが、目安としてフィルムの引張試験から得られる破断応力および破断伸度を用いることができる。好ましい破断応力は、50MPa以上であり、より好ましくは80MPa以上であり、さらに好ましくは100MPa以上である。破断伸度は、サンプル作製条件などによっても変動し得るが、好ましくは5%以上であり、より好ましくは10%以上であり、さらに好ましくは15%以上である。
本発明の光学フィルムは、延伸されていてもよい。延伸により耐折強度など機械的強度が改善され、取扱性が向上する利点がある。特に延伸方向のオリエンテーションリリースストレス(ASTMD1504、以下ORSと略記する)が0.3〜3GPaであるものは機械的強度が改善され好ましい。ORSは延伸フィルムまたはシートに内在している延伸により生じた内部応力である。
延伸は、公知の方法が使用できるが、本発明のポリマーが300℃以上のTgを有する場合、単なる加熱のみでの延伸は難しいため、溶媒を含んだ状態での延伸することが好ましい。この場合、乾燥途中過程で延伸を行うことが好ましく、例えば、溶媒を含んだ状態のTgより10℃高い温度から50℃高い温度までの間の温度で、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法により延伸できる。延伸倍率は1.1〜3.5倍、好ましくは1.1〜2.0倍が用いられる。
本発明の光学フィルムを形成する本発明のポリマーは1種類だけであっても2種類以上が混合されていてもよい。また本発明の効果を損なわない範囲で上記ポリエステル以外のポリマーを含んでいてもよい。また、耐溶剤性、耐熱性、力学強度などの観点から架橋樹脂を添加してもよい。架橋樹脂の種類としては熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができる。
熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。その他、架橋方法としては、共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物を用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する系も特に制限なく使用できる。但し、このような系は製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。
一方、1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤として市販もされている。市販されているブロックタイプ硬化剤として、三井武田ケミカル(株)製B−882N、日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2513(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製サイメル303(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1のようなブロック化カルボン酸も知られている。
Figure 0004216750
放射線硬化樹脂としては、ラジカル硬化性樹脂とカチオン硬化性樹脂とに大別される。ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては、分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な例として分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が用いられる。ラジカル硬化性樹脂の代表的な硬化方法として、電子線を照射する方法、紫外線を照射する方法が挙げられる。通常、紫外線を照射する方法においては紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤を添加する。なお、加熱によりラジカルを発生する重合開始剤を添加すれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。
カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として紫外線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基などの開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
本発明の光学フィルムにおいて上記で挙げた熱硬化性樹脂および放射線硬化樹脂のそれぞれ複数種を混合して用いてもよく、熱硬化性樹脂と放射線硬化樹脂を併用してもよい。また、架橋性樹脂と架橋性基を有さないポリマーと混合して用いてもよい。
本発明の光学フィルムには、金属の酸化物および/または金属の複合酸化物、ならびにゾルゲル反応により得た金属酸化物を含有できる。この場合、上記で挙げた架橋樹脂と同様に耐熱性、耐溶剤性を付与できる。さらに必要により本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、染顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機微粒子、剥離促進剤、レベリング剤、および潤滑剤などの樹脂改質剤を添加してもよい。
本発明の光学フィルムの厚みは、特に規定されないが30〜700μmであることが好ましく、より好ましくは40〜200μmであり、さらに好ましくは50〜150μmである。また、本発明の光学フィルムのヘイズは、3%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。また、本発明の光学フィルムの全光線透過率は70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。
本発明の光学フィルムの耐熱温度は高い方が好ましく、DSC測定によるTgを目安にできる。この場合、好ましいTgは250℃以上であり、より好ましくは300℃以上であり、特に好ましくは330℃以上である。なお、本発明の光学フィルムを本発明のポリマーのみを用いて溶液流延法により作製する場合、乾燥が十分であれば、用いたポリマーのTgと光学フィルムのガラス転移温度の差はほとんどなく、測定誤差範囲内である。
本発明の光学フィルムの表面には用途に応じて他の層、あるいは部品との密着性を高めるためにフィルム基板表面上にケン化、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理等の処理を行うことができる。さらに、フィルム表面に接着層、アンカー層を設けてもよい。また、表面平滑化のため平滑化層、耐傷性付与のためのハードコート層、耐光性を高めるための紫外線吸収層、フィルムの搬送性を改良させるための表面粗面化層など目的に応じて種々の公知の機能性層を付与することができる。
本発明の光学フィルムは透明導電層を形成できる。透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも透明性、導電性および機械的特性の点から、金属酸化物膜であることが好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムおよび酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
これら透明導電層の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよいが、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法などが適しており、特許第3400324号、特開2002−322561号、特開2002−361774号各公報記載の方法を用いて成膜することができる。中でも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点からはスパッタリング法で透明導電層を形成することが好ましい。
スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法の好ましい真空度は0.133mPa〜6.65Paであり、より好ましくは0.665mPa〜1.33Paである。このような透明導電層を設ける前に、プラズマ処理(逆スパッタ)、コロナ処理のように基材フィルムに表面処理を加えることが好ましい。また透明導電層を設けている間に50〜200℃に昇温してもよい。
透明導電層の膜厚は、20〜500nmであることが好ましく、より好ましくは50〜300nmであることが好ましい。
透明導電層の25℃60%RH(relative humidity)で測定した表面電気抵抗は、0.1〜200Ω/□であることが好ましく、より好ましくは0.1〜100Ω/□であり、さらに好ましくは0.5〜60Ω/□以下である。また、透明導電層の光透過性は80%以上であることが好ましく、より好ましくは83%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。
本発明の光学フィルムは、ガス透過性を抑制するために、ガスバリア層を設けることも好ましい。好ましいガスバリア層としては、例えば珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウムおよびタンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物が良好である。これら無機のガスバリア層は例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製することができる。中でも、特に優れたガスバリア性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。またガスバリア層を設けている間に50〜200℃に昇温してもよい。
ガスバリア層の膜厚は、10〜300nmであることが好ましく、より好ましくは30〜200nmであることが好ましい。
ガスバリア層は、透明導電層と同じ側または反対側いずれに形成してもよいが、反対側に形成することが好ましい。
ガスバリア層を形成した本発明の光学フィルムのガスバリア性は、40℃90%RHで測定した水蒸気透過度が5g/m2・day以下であることが好ましく、1g/m2・day以下であることがより好ましく、0.5g/m2・day以下であることがさらに好ましい。また、40℃90%RHで測定した酸素透過度は、1ml/m2・day・atm以下であることが好ましく、0.7ml/m2・day・atm以下であることがより好ましく、0.5ml/m2・day・atm以下であることがさらに好ましい。
ガスバリア性を向上させる目的で、ガスバリア層と隣接して欠陥補償層を設けるのが特に望ましい。欠陥補償層としては、(1)米国特許第6171663号明細書、特開2003−94572号公報記載のようにゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層を利用する方法、(2)米国特許第6413645号、同第64163645号明細書記載のように有機物層を利用する方法等が挙げられる。有機物層は、前記明細書に記載されているように有機物モノマーを真空下で蒸着後、紫外線または電子線で硬化させる方法、または有機物モノマーを塗布した後、加熱、電子線、紫外線等で硬化させる方法により作製することができる。塗布方式で作製する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
[画像表示素子]
本発明の光学フィルムは、薄膜トランジスタ(TFT)表示素子用基板として用いることができる。TFTアレイの作製方法としては、特表平10−512104号公報に記載の方法等が挙げられる。さらにこれらの基板は、カラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。カラーフィルターはいかなる方法で作製されていてもよいが、好ましくはフォトリソグラフィー手法で作製されていることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、必要に応じて各種機能層を設けた上で画像表示装置に用いることができる。ここで、画像表示装置は特に限定されず、従来知られているものを用いることができる。また、本発明の光学フィルムを用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製できる。フラットパネルディスプレイとしては、液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代替する基板として用いることができる。さらに、本発明の光学フィルムは、太陽電池、タッチパネルなどの用途にも利用可能である。タッチパネルは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のものに応用することができる。
本発明の光学フィルムを液晶表示用途などに使用する場合には、光学的均一性を達成するために非晶性ポリマーであることが好ましい。また、複屈折が小さい方が好ましく、特に面内レタデーション(Re)が50nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下、さらに好ましくは15nm以下である。本発明のポリマーのみを用いて複屈折の小さい光学フィルムを得るためには、溶液流延時の溶媒および乾燥条件を適宜調節することで可能となる。また、必要に応じて延伸して調節することもできる。さらに、レタデーション(Re)およびその波長分散を制御する目的で、固有複屈折の符号が異なる樹脂を組み合わせたり、波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂を組み合わせたりすることができる。また、本発明の光学フィルムはレターデーション(Re)の制御を行ったり、ガス透過性や力学特性の改良を行ったりする目的で、異種樹脂の積層等を好適に用いることができる。また、公知の位相差板を併用して位相差補償を行うこともできる。
反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなる。このうち本発明の光学フィルムは、光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板としての利用が好ましく、さらには透明性の観点から透明電極および配向膜付上基板として使用することが好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなる。このうち本発明の光学フィルムは、光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板としての利用が好ましく、透明電極および配向膜付基板として使用することが好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
液晶セルは特に限定されないが、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−P1ane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crysta1)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optica1ly Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の偏光光学フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
液晶セルは、特開平2−176625号公報、特公平7−69536号公報、MVA(SID97,Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845)、SID99,Digest of tech. Papers(予稿集)30(1999)206、特開平11−258605号公報、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14)、PVA(Asia Display 98,Proc. of the 18th Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383)、Para−A(LCD/PDP Iternational`99)、DDVA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838)、EOC(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319)、PSHA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081)、RFFMH(Asia Display 98, Proc.of the 18th Inter. Display res. Conf. (予稿集)(1998)375)、HMD(SID98, Digest of tech. Papers (予稿集)29(1998)702)、特開平10−123478号公報、国際公開W098/48320号公報、特許第3022477号公報、および国際公開WO00/65384号公報等に記載されている。
本発明の光学フィルムは、必要に応じてガスバリア層、TFTを設け、透明電極付基板として有機EL表示用途に使用できる。
有機EL表示素子としての具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
本発明の光学フィルムが使用できる有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2〜40ボルト)、または直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
これら発光素子の駆動については、特開平2−148687号、特開平6−301355号、特開平5−29080号、特開平7−134558号、特開平8−234685号、特開平8−241047号の各公報、米国特許5828429号、同6023308号各明細書、日本特許第2784615号公報等に記載の方法を利用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1] 例示化合物の合成
参考合成例1)例示化合物P−1の合成
JFEケミカル(株)製BPFL(商品名)をアセトニトリルで2回再結晶を行い、70℃、3時間の加熱真空乾燥を行った後、以下の原料として使用した。得られたBPFLにはアセトニトリルが9.4質量%含まれていた以外にはHPLC分析では不純物は観測されなかった。
上記で得られたアセトニトリルを含むBPFL7.43g(19.2mmol)、4−フェニルエチニルフェノール304.11mg(1.6mmol)、テトラブチルアンモニウムクロライド278mg(1.0mmol)、ハイドロサルファイトナトリウム0.06g、ジクロロメタン37.5ml、2M(2N)水酸化ナトリウム水溶液21.0ml(42mmol)、水79mlを攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中300rpmで撹拌した。30分後、テレフタル酸2.03g(10mmol)およびイソフタル酸2.03g(10mmol)を粉体のまま投入し、ジクロロメタン57.5mlで洗い流した。その後、6時間撹拌を継続し、ジクロロメタン100mlを添加し、有機相を分離した。さらに0.1M(0.1N)塩酸水溶液100mlを添加し、有機相を洗浄した。さらに水100mlで3回洗浄を行った後、分離した有機相を、激しく撹拌した2Lのメタノール中に約15分間かけて投入した。得られた白色沈殿を濾取し、40℃、12時間加熱乾燥後、減圧下で70℃、3時間乾燥し、例示化合物P−1を8.94g得た。
得られたP−1の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量14000であった。また、DSCで測定したTgは281℃であった。
FT-IR(日本分光(株)製 V−550)により、2221cm-1(アルキニル基)、
1738cm-1(エステルカルボニル基)、2900〜3100cm-1(芳香環)を確認した。
P−1
Figure 0004216750
ここで、Aは下記のとおりである。
Figure 0004216750
(合成例2)例示化合物P−17の合成
参考合成例1に従って精製したJFEケミカル(株)製BPFL(商品名)(アセトニトリル9.4質量%含有)7.74g(20.0mmol)、テトラブチルアンモニウムクロライド278mg(1.0mmol)、ハイドロサルファイトナトリウム0.06g、ジクロロメタン37.5ml、2M(2N)水酸化ナトリウム水溶液21.0ml(42mmol)、水79mlを攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中300rpmで撹拌した。30分後、特開2002−201158号公報の実施例2に記載された方法に従って合成した5−(2−フェニルエチニル)イソフタル酸二塩化物6.06g(20.0mmol)を粉体のまま投入し、ジクロロメタン86.3mlで洗い流した。その後、6時間撹拌を継続し、ジクロロメタン100mlを添加し、有機相を分離した。さらに0.1M(0.1N)塩酸水溶液100mlを添加し、有機相を洗浄した。さらに水100mlで3回洗浄を行った後、分離した有機相を、激しく撹拌した2Lのメタノール中に約15分間かけて投入した。得られた白色沈殿を濾取し、40℃、12時間加熱乾燥後、減圧下、70℃で3時間乾燥し、例示化合物P−17を9.50g得た。
得られたP−17の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量20000であった。また、DSCで測定したTgは295℃であった。
FT−IR(日本分光(株)製 V−550)により、2220cm-1(アルキニル基)、1738cm-1(エステルカルボニル基)、2900〜3100cm-1(芳香環)を確認した。
参考合成例3)例示化合物P−22の合成
参考合成例1のBPFLの代わりに等モル量の下記スピロビインダンM−1(開昭62−10030号公報の実施例1に記載された方法で合成)を用い、さらに4−フェニルエチニルフェノールの代わりに等モル量の4−エチニルフェノールを用いたこと以外は、参考合成例1と同様にして合成を行うことにより、P−22を合成した。
得られたP−22の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量は12000であった。また、DSCで測定したTgは269℃であった。
Figure 0004216750
P−22
Figure 0004216750
ここで、MおよびAはそれぞれ下記のとおりである。
Figure 0004216750
参考合成例4)例示化合物P−23の合成
参考合成例1のBPFLの代わりに、等モル量の下記スピロビクロマンM−2(Journal of Chemical Society,111巻,4953ページ(1989年)に記載の方法で合成)を用い、さらに4−フェニルエチニルフェノールの代わりに等モル量のアリルアルコールを用いたこと以外は参考合成例1と同様にして合成を行うことにより、P−23を合成した。
得られたP−23の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量は14000であった。また、DSCで測定したTgは262℃であった。
Figure 0004216750
P−23
Figure 0004216750
ここで、MおよびAはそれぞれ下記のとおりである。
Figure 0004216750
参考合成例5)例示化合物P−35の合成
ピペラジン5.69g、4−エチニルフェノール1.05g、テトラブチルアンモニウムクロライド0.92g、ジクロロメタン223ml、水248mlを攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中300rpmで撹拌した。30分後、テトラメチルスピロビインダンジオール(上記M−1)からトリホスゲンを用いて合成したビスクロロホルメート体(以降INBCとも称する)28.6gをジクロロメタン74mlに溶解した溶液と、2M(2N)水酸化ナトリウム水溶液69mlを13mlの水で希釈した溶液を1時間かけて同時に別々の滴下装置を用いて滴下し、滴下終了後、16.5mlの水およびジクロロメタンでそれぞれ洗い流した。その後、3時間撹拌を継続し、ジクロロメタン100mlを添加し、有機相を分離した。さらに12M(12N)塩酸水0.66mlを水250mlで希釈した溶液を添加し、有機相を洗浄した。さらに水250mlで2回洗浄を行った後、分離した有機相にジクロロメタン100mlを添加し、希釈した後、激しく撹拌した2.5Lのメタノール中に1時間かけて投入した。メタノール中、得られた白色沈殿を濾取し、40℃、12時間加熱乾燥後、減圧下、70℃で3時間乾燥し、P−35を24.5g得た。
得られたP−35の分子量をGPC(クロロホルム溶媒)で測定した結果、重量平均分子量は15000であった。また、DSCで測定したTgは268℃であった。
FT−IR(日本分光(株)製 V−550)により、2120cm-1(アルキニル基)、1680cm-1(ウレタンカルボニル基)、2900〜3100cm-1(芳香環)を確認した。
P−35
Figure 0004216750
ここで、MおよびAはそれぞれ下記のとおりである。
Figure 0004216750
参考合成例6)例示化合物P−15の合成
4−フェニルエチニルフェノールの代わりに3,4−エポキシシクロヘキシルメタノールを用いた以外は参考合成例1と同様にして例示化合物P−15を得た。
得られたP−35の分子量をGPC(クロロホルム溶媒)で測定した結果、重量平均分子量は16000であった。また、DSCで測定したTgは285℃であった。
P−15
Figure 0004216750
ここで、Aは下記のとおりである。
Figure 0004216750
参考合成例7)例示化合物P−40の合成
参考合成例1のBPFLの代わりに、ビスフェノールA(アルドリッチ社製)を用い、4−フェニルエチニルフェノールの代わりに等モル量の2−ヒドロキシエチルメタクリレートを用いたこと以外は参考合成例1と同様の方法で合成を行うことにより、P−40を合成した。
得られたP−40の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量は15000であった。また、DSCで測定したTgは215℃であった。
本発明の他の化合物も上記と同様にして合成できる。
Figure 0004216750
(比較化合物X−1の合成)
特開昭57−192432号公報の実施例1に記載された合成法に準じて下記構造を含む比較化合物X−1を合成した。
得られたX−1の分子量とTgを測定した結果、重量平均分子量は30000であり、Tgは293℃であった。
Figure 0004216750
(比較化合物X−2の合成)
参考合成例1において、4−フェニルエチニルフェノールの代わりにtert−ブチルフェノールを用いた以外は、参考合成例1と同様の方法により下記構造を含む比較化合物X−2を合成した。
得られたX−2の分子量とTgを測定した結果、重量平均分子量は14000であり、Tgは288℃であった。
Figure 0004216750
(比較化合物X−3の合成)
BPFLの代わりにビスフェノールAを用いた以外は比較化合物X−1と同様にして下記構造を含む比較化合物X−3を合成した。
得られたX−3の分子量とTgを測定した結果、重量平均分子量は14000であり、Tgは215℃であった。
Figure 0004216750
[特性値の測定方法]
上記の各合成例により合成したポリマーの特性値は下記の測定方法により測定した。
<重量平均分子量>
テトラヒドロフランを溶媒とするポリスチレン換算GPC測定により、ポリスチレンの分子量標準品と比較し求めた(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)。
<ガラス転移温度(Tg)>
DSC(窒素中、昇温温度10℃/分)により測定した(セイコー(株)製、DSC6200)。
<フィルムの厚さ>
ダイヤル式厚さゲージにより測定した(アンリツ(株)製、K402B)。
<フィルムの全光線透過率>
日本分光製ヘイズメーターで測定した。
<フィルムの力学特性>
フィルムサンプル(1.0cm×5.0cm片)を作製し、引張速度3mm/分の条件下、テンシロン(東洋ボールドウィン(株)製、テンシロン RTM−25)にて測定した。測定は3サンプル行い、その平均値を求めた(サンプルは25℃、RH60%で一晩放置後使用。チャック間距離3cm)。
[実施例2]光学フィルム試料の作製および評価
本発明のポリマーおよび比較ポリマーをジクロロメタンに溶解後の溶液粘度が500〜1500mPa・sの範囲の濃度になるように溶解した。この溶液を5μmのフィルターを通して濾過した後、ドクターブレードを用いてガラス基板上に流延した。流延後、室温で2時間、80℃で2時間、100℃で4時間加熱乾燥させ、さらに窒素雰囲気下で表中に記載の各温度で2時間加熱した後にフィルムをガラス基板より剥離し光学フィルム試料を得た。
得られた光学フィルム試料のTg、膜厚、全光線透過率、破断応力、破断伸度を測定した。使用したポリマーのTgとともに表1に結果を示す。
Figure 0004216750
表1より、本発明の光学フィルムは、比較例のフィルムと比べると、熱処理後のTgがいずれのフィルムも高く、耐熱性に優れていることが分かる。また本発明の光学フィルムは、比較例のフィルムと比べると、いずれのフィルムも破断応力が大きく、優れた力学特性を有することが分かる。
[実施例3]有機EL素子試料の作製
1.ガスバリア層の形成
実施例2で作製した本発明の光学フィルム102および比較例の光学フィルムの両面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Si02をターゲットとし500Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWでスパッタリングした。得られたガスバリア層の膜厚は60nmであった。
2.透明導電層の形成
ガスバリア層を設置した光学フィルム試料を100℃に加熱しながら、ITO(In2395質量%、Sn025質量%)をターゲットとし、DCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を片面に設けた。
3.透明導電層付光学フィルムの加熱処理
上記で得られた透明導電層を形成した光学フィルム試料をTFT設置を想定して300℃、1時間の加熱処理を行った。
4.有機EL素子の作製
加熱処理を行った透明導電層を設置した光学フィルム試料の透明電極層より、アルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。本発明の光学フィルム試料102、および比較例の光学フィルム101、103〜107から得られた透明導電層を形成した光学フィルム試料は変形が認められなかったのに対し、比較例の光学フィルム試料110から得られた透明導電層を形成した光学フィルム試料は変形が激しく、有機EL素子の作製は行わなかった。比較例の光学フィルム試料108および109から得られた透明導電層を形成した光学フィルム試料も若干の変形が見られたが、顕著ではなかったため、有機EL素子の作製を行った。
透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製スミライトFS-1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製): 40質量部
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体):1質量部
ジクロロエタン: 3200質量部
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフィルム(UPILEX-50S、宇部興産製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層をLiF上に形成した。これを基板Zとした。
ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製): 10質量部
1−ブタノール: 3500質量部
下記構造を有する電子輸送性化合物: 20質量部
Figure 0004216750
基板XYと基板Zを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子試料201〜209を得た。
得られた有機EL素子試料201〜209をソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加した。若干変形の見られた比較試料208および209は発光が確認できなかったが、試料201〜207は、発光することを確認した。
上記実施例より、本発明の光学フィルムは、耐熱性、透明性、力学特性に優れ、ガスバリア層、透明導電層を積層可能でTFT工程を想定した加熱処理を行っても有機EL素子用基板フィルムとして機能することが明らかとなった。
本発明の光学フィルム、液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどのフラットパネルディスプレイ用の基板として、さらには太陽電池、タッチパネルなどの用途にも利用可能である。

Claims (7)

  1. アルキニル基及び下記一般式(2)で示される化学構造を繰り返し単位中に含むポリエステルからなるポリマーで形成された光学フィルム
    Figure 0004216750
    一般式(2)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結されている。
  2. 一般式(2)が下記一般式(6)で示される請求項1に記載の光学フィルム
    Figure 0004216750
    一般式(6)中、R61およびR62は、それぞれ水素原子または置換基を表し、それぞれが連結して環を形成してもよい。また、jおよびkは、それぞれ、1〜4の整数を表す。
  3. 重量平均分子量が5,000〜300,000である請求項1または2に記載の光学フィルム
  4. 全光線透過率が80%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 少なくとも片面にガスバリア層が積層されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 少なくとも片面に透明導電層が積層されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. 請求項のいずれか項に記載の光学フィルムを用いた画像表示装置。
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