JP4214426B2 - ポリエステル樹脂組成物及び成型物の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は透明性と表面硬度に優れ、耐熱性と耐摩耗性が改良された樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート(PC)は耐衝撃性に優れ、高い破断伸度を有する透明樹脂として知られており、光学材料、電子・電気材料、記録材料などとして広く用いられている。しかし、高い破断伸度を有する反面、表面硬度が小さく(鉛筆硬度で3B〜B)、傷つきやすいという欠点がある。更に、ガラス転移温度は150℃程度であり、より高い耐熱性が求められている。
【0003】
また、フィルムやバインダー用樹脂などの用途では、より高い耐摩耗性が求められており、ガラス繊維やシリカ粒子などの無機物を充填して、表面硬度、耐熱性、耐摩耗性を向上させる方法が検討されているが、この方法ではポリカーボネートの最も重要な性質である透明性が損なわれるという欠点がある。
【0004】
ポリカーボネートと各種ポリマーとをブレンドする試みは広く行われている。しかし、その多くはポリカーボネートの優れた耐衝撃性や靱性を他ポリマーに付与することを目的としたもの(例えば、ポリカーボネートとABS樹脂系、ポリカーボネートとポリフェニレンスルフィド系など)やポリカーボネートの耐薬品性を向上させることを目的としたもの(例えば、ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレート系、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレート系など)であり、ポリカーボネートの耐熱性を向上させる発明は多くない。
【0005】
ポリカーボネートとポリアリレートとのブレンドは溶融混練時のエステル交換により相溶ブレンド系となり、ブレンド組成を変化させることによって、ポリカーボネートのTg(150℃)からポリアリレートのTg(200℃)の範囲でポリカーボネートの耐熱性が改良されることが知られている(プラステックス、49巻、(1)98頁、1998年)。しかし、ポリアリレートの表面硬度は鉛筆硬度でFと低く、この方法では表面硬度は十分に改良されなかった。
【0006】
また、特開平3−124763号公報には、3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールFとビスフェノールAを構成成分とする芳香族ポリエステルとポリカーボネートとの光学的等方性に優れた樹脂組成物フィルムについて開示されている。この芳香族ポリエステルの市販品に該当するエルメック(A1F、鐘淵化学工業株式会社製)の表面硬度はF(カタログ値)であって、ポリカーボネート(ユーピロン S2000、三菱瓦斯化学株式会社製)とのブレンドフィルム(混合重量比=1/1)を作成したところ、表面硬度はHBであり十分なものではない。
【0007】
特開平7−31003号公報には熱変形温度、成型加工性向上のために、特定の構造を有する共重合ポリエステルとポリカーボネートとの樹脂組成物が開示されており、該樹脂組成物は既存のポリカーボネートより高い耐熱性を有することが報告されている。しかし、その熱変形温度は170℃であり、用途によっては、なお十分なものとは言えなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ポリカーボネートの透明性を損なわずに、ポリカーボネートの耐熱性、表面硬度を改良したポリエステル樹脂組成物及び該組成物から成る成型物の製造法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究した結果、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位と1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオール単位とを持つ特定の芳香族ポリエステルとポリカーボネートとは相溶ブレンド系となり、ポリカーボネートの透明性を損なわないでポリカーボネートの耐熱性、表面硬度を大きく向上させることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、(1)ジカルボン酸成分として、イソフタル酸単位(A1)と、テレフタル酸単位(A2)とを含み、ジオール成分として、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ビフェノール単位(A3)と、1,1'−ビナフタレン−2,2'−ジオール単位(A4)とを含む芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)とから成り、芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)の組成比が、2:98〜98:2であるポリエステル樹脂組成物、
【0011】
(2)芳香族ポリエステル(A)の組成比が、A1+A2=50モル%、A3+A4=50モル%で、且つA1が5〜20モル%、A2は45〜30モル%、A4は10〜40モル%、A3は40〜10モル%であり、芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)の組成比が、2:98〜98:2である(1)に記載のポリエステル樹脂組成物、
【0014】
(3)芳香族ポリエステル(A)の組成比が、A1+A2=50モル%、A3+A4=50モル%で、且つA1が20〜30モル%、A2は30〜20モル%、A4は5〜35モル%、A3は45〜15モル%であり、芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)の組成比が、2:98〜98:2である(1)に記載のポリエステル樹脂組成物、
【0016】
(4)ジカルボン酸成分として、イソフタル酸単位(A1)と、テレフタル酸単位(A2)とを含み、ジオール成分として、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ビフェノール単位(A3)と、1,1'−ビナフタレン−2,2'−ジオール単位(A4)とを含む芳香族ポリエステル(A)と、ポリカーボネート(B)とを非塩素系溶媒に溶解させて均質溶液とした後、該溶媒を除去することを特徴とする上述の(1)〜(3)のいずれか一つに記載のポリエステル樹脂組成物から成る成型物の製造法をも含むものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は特定の構造を有する芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)との透明性を有する相溶的な樹脂組成物に関する。
本発明における芳香族ポリエステル(A)はジカルボン酸成分として、イソフタル酸単位(A1)と、テレフタル酸単位(A2)とを有し、ジオール成分として、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(A3)と、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオール単位(A4)とを有する芳香族ポリエステル共重合体である。
【0019】
該芳香族ポリエステルの共重合組成はイソフタル酸単位(A1)の量により異なる。
【0020】
即ち、本発明に用いる芳香族ポリエステルの共重合組成は、A1+A2=50モル%、A3+A4=50モル%であり、且つ、A1が5〜20モル%(A1+A2=50モル%)の場合、A4が10〜40モル%、好ましくは12〜37モル%(A3+A4=50モル%)、A1が20〜30モル%(A1+A2=50モル%)の場合、A4が5〜35モル%、好ましくは10〜32モル%(A3+A4=50モル%)、の範囲である。これらの樹脂組成物は、ポリカーボネートとの良好な相溶性を有すると共に、塩素系溶媒、又は塩素系溶媒以外の溶媒に溶解する。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、この芳香族ポリエステルとポリカーボネートとのブレンド物であり、その組成が重量比で、芳香族ポリエステル:ポリカーボネート=2:98〜98:2、好ましくは5:95〜95:5である。この範囲以外では耐熱性や表面硬度などが十分に改良されないため好ましくない。
【0022】
この範囲以外ではポリカーボネートと相溶性がなくなり、本発明が目的とする効果が得られなかったり、分子量が著しく低下して良好な強度を持つ樹脂組成物が得られないとか、溶媒溶解性が著しく低下してブレンド処理を行うことができない、或いは熱安定性が低下し着色するなどの問題があり好ましくない。
【0023】
該芳香族ポリエステルの重合度はクロロホルム(濃度=0.1g/dL、温度=30℃)中でのインヘレント粘度は0.2dL/g以上、特に0.4dL/g以上が好ましい。インヘレント粘度が0.2dL/g未満の重合物では十分な強度を持つ良好な樹脂組成物が得られないため好ましくない。なお、クロロホルムに不溶な場合には、1,1,2,2−テトラクロロエタン(濃度=0.1g/dL、温度=30℃)中で測定される。
【0024】
また、本発明は芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)を非塩素系溶媒に溶解させ均質溶液とした後、溶媒を取り除くことによって得られるポリエステル樹脂組成物の調製方法に関するものである。即ち、本発明のポリエステル樹脂組成物は、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位と1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオール単位とを共に含むことにより溶媒溶解性が向上し、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノンなどの非塩素系溶媒にも溶解可能なことから、環境衛生上、好ましくない塩素系溶媒を用いずに、目的とする樹脂組成物を調製することが可能である。
【0025】
次に、本発明の芳香族ポリエステルの製造方法について説明する。本発明の芳香族ポリエステルの製造法としては、溶液重縮合法、界面重縮合法、溶融重縮合法等があるが、好ましくは溶液重縮合法又は界面重縮合法が用いられる。中でも、重合度が向上しやすく、また、製品の着色が少ないことから溶液重縮合法が特に好ましい。
【0026】
溶液重縮合に際し、ジカルボン酸成分としてはジカルボン酸クロリド化合物を用い、ジオール化合物とジカルボン酸クロリド化合物のモル比は1:1〜1:1.03が好ましい。また、重合は溶液中で行い、生成する酸を中和するため、塩基を共存させて行うことが好ましい。塩基としてはピリジン、トリエチルアミン等の窒素系の塩基が好ましい。
【0027】
重合溶媒としては、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン等の溶解性の強い溶媒で、生成するポリマーを溶解させるものが好ましい。重合開始時点でのモノマー濃度は0.3〜3モル/Lが良く、0.5〜1.5モル/Lが特に好ましい。モノマー濃度が高すぎる場合には重合持に系の粘度が高くなり過ぎて、取り扱いが困難になる。
【0028】
重合条件としては常圧、通常窒素等の不活性ガス雰囲気下、溶媒の沸点以下、好ましくは−20〜50℃の範囲で行われ、より好ましくは0〜30℃の温度で行うのが良い。重合温度が高すぎると、重合度の高いポリマーが得られ難くなる。重合時間は特に限定されないが、通常24時間以内、好ましくは12時間以内である。
【0029】
溶液の粘度の上昇に合わせて、温度や濃度を上記範囲内で変化させることは有効に用いられる。また、ポリマーの精製はポリマー溶液をメタノールやアセトンなどの貧溶媒中に滴下して沈殿させる方法、及び、メタノール、アセトン、水などから選ばれる一つ又は複数の貧溶媒で室温若しくは加熱下で洗浄し、乾燥する方法により得られる。
【0030】
本発明に用いられるポリカーボネートは、二価フェノール単位と炭酸単位から得られる重合物であり、特に、ビスフェノール−A単位と炭酸単位、ジヒドロキシ−ジフェニル−シクロヘキサン単位と炭酸単位から成る重合物が好ましく用いられ、一般的な市販ポリカーボネートを用いることができる。
【0031】
本発明における樹脂組成物は溶液ブレンド法、又は溶融ブレンド法によって得ることができ、特に好ましくは非塩素系溶媒を用いた溶液ブレンド法である。
溶融ブレンド法はブレンドするポリマーを溶融状態で混練して混合する方法である。成形温度は樹脂の種類、組成比により異なるが、通常、250〜350℃で行われる。芳香族ポリエステルは1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオール単位(A4)を有するために熱安定性に優れるものの、溶融流動性が劣るため、溶融ブレンド法は、芳香族ポリエステルが60モル%以下、好ましくは50モル%以下の組成に限るほうがよい。
【0032】
溶液ブレンド法は、ポリカーボネートと芳香族ポリエステルとが溶解する共通溶媒に2つの樹脂を溶解させて、均質混合させた後、基板上に塗布し溶媒キャストを行うことでフィルム、シート、塗膜を得ることができる。基板としてはアルミ、鉄、ステンレス、銅などの金属板、ポリエチレンテレフタレートやポリイミドなどのプラステック板やフィルム、ガラス板などが使用される。塗布はバーコードコート法、ディップコート法、スピンコート法などの方法で行われる。溶媒キャストは通常の湿潤空気雰囲気下、窒素雰囲気下、乾湿空気雰囲気下などで、250℃以下の温度で行われる。
【0033】
また、この混合溶液からメタノールやアセトンなどの貧溶媒で沈殿させることによって粉末状の樹脂組成物を得ることができる。溶媒としてはクロロホルム、塩化メチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどの塩素系溶媒の他、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒、トルエン、キシレン、m−クレゾールなどの芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、アニソールなどのエーテル系溶媒、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、及びこれらの混合溶媒の内、所定の割合の両ポリマーを溶解できるものが用いられる。
【0034】
本発明で用いる芳香族ポリエステルは、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオール単位(A4)を有する為に、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒や、トルエン、キシレン、m−クレゾール等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフランやアニソールなどのエーテル系溶媒、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒等の非塩素系溶媒に可溶であり、これら溶媒を用いたキャステイングが可能である。
【0035】
本発明の特に注目に値する点は、本発明の樹脂組成物が相溶的なポリマーブレンド物である点である。ここで言う相溶的なポリマーブレンド物とは、上述した方法によって得られる樹脂組成物のガラス転移温度が各々単独樹脂のガラス転移温度の中間温度域に発現し、ブレンドする単独樹脂のガラス転移温度域には発現しない樹脂組成物として定義される。
【0036】
例えば、イソフタル酸単位(A1)=25モル%、テレフタル酸単位(A2)=25モル%、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(A3)=25モル%、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオール単位(A4)=25モル%の芳香族ポリエステルとポリカーボネート(ユーピロン S−2000、三菱瓦斯化学株式会社製)とのブレンド系(混合重量比=1/1)の場合、ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg:1Hzのtanδピーク温度)は約150℃、芳香族ポリエステルのTgは256℃、樹脂組成物のTgは195℃である。
【0037】
この様子を図1に示す。これは本発明で用いるポリエステルとポリカーボネートが分子レベルで混合していると考えられ、このような相溶系ポリマーブレンドは極めて特殊な系である。通常、2つの高分子をブレンドするとそれぞれの高分子は別々の相を形成し凝集する(海島構造)。ナイロン6とナイロン66や、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートや、ポリエチレンとポリプロピレン、ポリサルホンとポリエーテルサルホンなどのように分子構造が極めて類似したものでも、殆どの場合、相溶系と成ることはなく相分離する。このことからも相溶系ポリマーブレンドは極めて特殊な系であり、2つのポリマーが相溶するかどうかは実際にブレンドを行うことによってのみ判明する。
【0038】
なお、特開平3−124763号公報には3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールFとビスフェノールAを持つ芳香族ポリエステルとポリカーボネートとの光学的等方性に優れた樹脂組成物フィルムについて開示されている。
この芳香族ポリエステルに該当する市販品エルメック(A1F、鐘淵化学工業製)はポリカーボネートと相溶的にブレンドされるが、この芳香族ポリエステルはポリカーボネートと相溶することが既に公知であるビスフェノールAとテレフタル酸、イソフタル酸から成るポリアリレート単位を半分以上含むものである。
【0039】
本発明の樹脂組成物は、通常得られる非相溶系のポリマーブレンド系とは大きく異なり、分子レベルで均質に混合しており、両樹脂単体の性質とは異なる新しい性質を有する新規樹脂系を形成するものと考えられる。そのため、本発明の樹脂組成物は透明性に優れ、ポリカーボネートの耐熱性を向上させるだけでなく、表面硬度や耐摩耗性をも向上させる。特に興味深いことは、実施例でも示されるように、該樹脂組成物の耐摩耗性がポリカーボネート単独物及び芳香族ポリエステル単独物の摩耗性より優れているものが含まれることである。
【0040】
【実施例】
本発明を実施例によって具体的に説明するが、もとより本発明はこれらの実施例に限られるものではない。また実施例中の各種特性値は次の方法で測定した。
【0041】
(1)ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度(Tg)は、厚さ約80μm、幅5mm、長さ20mmのフィルムを用いて、複素弾性率の温度変化を測定して求めた。複素弾性率の温度変化測定はセイコー電子工業株式会社製の固体粘弾性測定装置DMS−200を用い、2℃/分で昇温し1Hzでのtanδのピーク温度をガラス転移温度とした。
【0042】
(2)光透過率の測定
光透過率測定は日本電色工業株式会社製の光透過率測定装置MMP−1001DPで行った。厚さ約80μmのフィルムを用いて、可視光の波長領域の光透過率を測定した。
【0043】
(3)表面硬度
表面硬度は鉛筆硬度で表す。
【0044】
(4)摩耗量の測定
摩耗量は東洋精機株式会社製のテーバ摩耗試験機を使用して行った。摩耗輪はCS−10Fを用い、1Kg荷重負荷での摩耗量を測定した。
【0045】
(5)固有粘度の測定
固有粘度はクロロホルム、濃度=0.1g/dL、温度=30℃で測定した。但し、クロロホルムに不溶な重合物の場合は、1,1,2,2−テトラクロロエタン中(濃度=0.1g/dL、温度=30℃)で測定した。
【0046】
(6)溶媒溶解性
溶媒溶解性は、ポリマー濃度を5重量%とした場合に可溶か否かで評価した。
【0047】
(合成例1)
攪拌翼、窒素導入口、環流冷却管を備えた重合装置にイソフタル酸クロリド 135.5g(0.510モル)、テレフタル酸クロリド 103.5g(0.510モル)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール(以後、TMBと略称する)121.2g(0.50モル)、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオール(以後、BNと略称する)143.2g(0.50モル)、ピリジン 316.4g、クロロホルム 4Lを仕込み、20℃窒素雰囲気下で8時間攪拌し重合させた。
【0048】
次いで、反応溶液を35Lのメタノール中にゆっくりと添加して沈殿させた。得られた沈殿物を濾別し、アセトン洗浄、更に、メタノール洗浄を行い精製した。得られたポリマー(以下、ポリエステル1と称する:イソフタル酸=25モル%、テレフタル酸=25モル%、TMB=25モル%、BN=25モル%)は120℃真空下で12時間乾燥させた。ポリエステル1の固有粘度は0.70dL/gであった。また、重合物1のTgは255℃、鉛筆硬度が2H、摩耗量が30mg/kmであった。
【0049】
(実施例1)
合成例1で得られたポリエステル1(5g)とポリカーボネート(ユーピロンS−2000;三菱瓦斯化学株式会社製)(5g)とをアニソールに溶解させ、攪拌し、相溶ブレンドしたポリエステル樹脂組成物の均質溶液を得た。該溶液をガラス板上に塗布しシャレー内でキャストしてフィルムを得た。フィルムは150℃で十分に乾燥させた。得られたフィルムは無色透明で光透過率は90%であった。フィルムのガラス転移温度(Tg)は195℃、鉛筆硬度はH、摩耗性は23mg/kmであった。
【0050】
用いたポリカーボネートのTgは154℃、鉛筆硬度は3B、摩耗量は28mg/kmであり、得られた本発明のポリエステル樹脂組成物はポリカーボネートに比べ、耐熱性と表面硬度が大きく向上している。更に興味深いことに樹脂組成物の摩耗量はポリカーボネート単独品やポリエステル1単独品より優れている。図1にはポリカーボネート、ポリエステル1、及び実施例1で得られ本発明のポリエステル樹脂組成物の固体粘弾性測定より得られたtanδの温度分散図を示す。
【0051】
(実施例2及び3)
実施例1において、ポリエステル1とポリカーボネートとの混合重量比を変えて、実施例1と同様な方法でサンプルを作成し、同様な検討を行った。ポリエステル1:ポリカーボネート=3:7(混合重量比、実施例2)の場合、樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは180℃、鉛筆硬度はFであり、ポリエステル1:ポリカーボネート=7:3(混合重量比、実施例3)の場合、樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは225℃、鉛筆硬度は2Hであった。本発明のポリエステル樹脂組成物はポリカーボネートに比べ、耐熱性と表面硬度が大きく向上している。
【0052】
(合成例2)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が50モル%、テレフタル酸が0%、TMBが40モル%、BNが10モル%のポリエステル2を得た。ポリエステル2の固有粘度は0.6dL/g、Tgは255℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0053】
(実施例4)
実施例1と同様な方法でフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル2の混合重量比=1:1)を作成した。本発明のポリエステル樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは193℃、鉛筆硬度はFであった。
【0054】
(合成例3)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が40モル%、テレフタル酸が10%、TMBが40モル%、BNが10モル%のポリエステル3を得た。ポリエステル3の固有粘度は1.0dL/g、Tgは264℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0055】
(実施例5)
実施例1と同様な方法でフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル3の混合重量比=1:1)を作成した。本発明のポリエステル樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは203℃、鉛筆硬度はHであった。
【0056】
(合成例4)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が40モル%、テレフタル酸が10%、TMBが25モル%、BNが25モル%のポリエステル4を得た。ポリエステル4の固有粘度は0.55dL/g、Tgは241℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0057】
(実施例6)
実施例1と同様な方法でフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル4の混合重量比=7:3)を作成した。本発明のポリエステル樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは178℃、鉛筆硬度はFであった。
【0058】
(合成例5)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が25モル%、テレフタル酸が25%、TMBが35モル%、BNが15モル%のポリエステル5を得た。ポリエステル5の固有粘度は1.05dL/g、Tgは272℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0059】
(実施例7)
実施例1と同様な方法でフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル5の混合重量比=1:1)を作成した。樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは197℃、鉛筆硬度はHであった。
【0060】
(合成例6)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が15モル%、テレフタル酸が35%、TMBが25モル%、BNが25モル%のポリエステル6を得た。ポリエステル6の固有粘度は0.8dL/g、Tgは263℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0061】
(実施例8)
実施例1と同様な方法でフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル6の混合重量比=1:1)を作成した。樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは198℃、鉛筆硬度はHであった。
【0062】
(合成例7)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が50モル%、テレフタル酸が0%、TMBが25モル%、BNが25モル%のポリエステル7を得た。ポリエステル7の固有粘度は0.64dL/g、Tgは233℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0063】
(実施例9)
ポリカーボネートとポリエステル7(混合重量比=7:3)を280℃で溶融混練して成型物を得た。成型物は透明体であり、Tgは174℃、鉛筆硬度はFであった。
【0064】
(合成例8)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が12.5モル%、テレフタル酸が37.5%、TMBが12.5モル%、BNが37.5モル%のポリエステル8を得た。ポリエステル8の固有粘度は0.35dL/g、Tgは243℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0065】
(実施例10)
ポリカーボネートとポリエステル8(混合重量比=7:3)を280℃で溶融混練して成型物を得た。成型物は透明体であり、Tgは178℃、鉛筆硬度はFであった。
【0066】
(合成例9)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が0モル%、テレフタル酸が50%、TMBが5モル%、BNが45モル%のポリエステル9を得た。ポリエステル9の固有粘度は0.4dL/g、Tgは238℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0067】
(実施例11)
ポリカーボネートとポリエステル9(混合重量比=7:3)を280℃で溶融混練して成型物を得た。成型物は透明体であり、Tgは172℃、鉛筆硬度はFであった。
【0068】
(合成例10)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が0モル%、テレフタル酸が50%、TMBが25モル%、BNが25モル%のポリエステル10を得た。ポリエステル10の固有粘度は0.45dL/g、Tgは267℃、鉛筆硬度は2Hであった。尚、ポリエステル10はクロロホルムに不溶であったため、固有粘度は1,1,2,2−テトラクロロエタン中で測定した。
【0069】
(実施例12)
実施例1と同様な方法でブレンドフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル10の混合重量比=1:1)を作成した。尚、ブレンド溶媒はアニソールの代わりに1,1,2,2−テトラクロロエタンを使用した。樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは205℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0070】
(合成例11)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が12.5モル%、テレフタル酸が37.5%、TMBが37.5モル%、BNが12.5モル%のポリエステル11を得た。ポリエステル11の固有粘度は0.5dL/g、Tgは282℃、鉛筆硬度は2Hであった。尚、ポリエステル11はクロロホルムに不溶であったため、固有粘度は1,1,2,2−テトラクロロエタン中で測定した。
【0071】
(実施例13)
実施例1と同様な方法でブレンドフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル11の混合重量比=1:1)を作成した。尚、ブレンド溶媒はアニソールの代わりに1,1,2,2−テトラクロロエタンを使用した。樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは209℃、鉛筆硬度は2Hであった。樹脂組成物フィルムは透明であり、ポリカーボネートに比べ、耐熱性と表面硬度が大きく向上している。
【0072】
(合成例12)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が25モル%、テレフタル酸が25%、TMBが20モル%、BNが30モル%のポリエステル12を得た。ポリエステル12の固有粘度は0.6dL/g、Tgは246℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0073】
(実施例14)
実施例1と同様な方法でフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル12の混合重量比=7:3)を作成した。樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは175℃、鉛筆硬度はHであった。樹脂組成物は透明であり、ポリカーボネートに比べ、耐熱性と表面硬度が大きく向上している。
【0074】
(合成例13)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が50モル%、テレフタル酸が0%、TMBが15モル%、BNが35モル%のポリエステル13を得た。ポリエステル13の固有粘度は0.45dL/g、Tgは229℃であった。
【0075】
(比較例1)
実施例1と同様な方法でフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル13の混合重量比=1:1)を作成した。得られたフィルムは白濁化しており、光透過率は1%以下であった。また、実施例9と同様な方法で溶融成形(ポリカーボネート:ポリエステル13の混合重量比=7:3)を行った。得られた成型物は白濁していた。白濁フィルム及び白濁成形品のTgを測定したところ、何れも155℃付近と228℃付近に2つのTgが発現した。ポリエステル13とポリカーボネートは相溶していないことが判る。
【0076】
(合成例14)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が37.5モル%、テレフタル酸が12.5%、TMBが12.5モル%、BNが37.5モル%のポリエステル14を得た。ポリエステル14の固有粘度は0.33dL/g、Tgは228℃、鉛筆硬度はHであった。
【0077】
(比較例2)
実施例1と同様な方法でフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル14の混合重量比=1:1)を作成した。得られたフィルムは白濁化しており、光透過率は5%以下であった。更に、実施例9と同様な方法で溶融成形(ポリカーボネート:重合物14の混合重量比=7:3)を行った。得られた成型物は白濁していた。白濁フィルム及び白濁成形品のTgを測定したところ、いずれも154℃付近と228℃付近に2つのTgが発現した。ポリエステル14とポリカーボネートは相溶していないことが判る。
【0078】
(合成例15)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が12.5モル%、テレフタル酸が37.5%、TMBが45モル%、BNが5モル%のポリエステル15を得た。溶媒溶解性が無く、溶液粘度を測定できなかった。
【0079】
(比較例3)
ポリエステル15を用い、実施例9と同様な方法でブレンドしたが、得られた樹脂組成物は非常に脆く良好な強度を有するものは得られなかった。
【0080】
(合成例16)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が12.5モル%、テレフタル酸が37.5%、TMBが5モル%、BNが45モル%のポリエステル16を得た。ポリエステル16の固有粘度は0.3dL/g、Tgは210℃であった。
【0081】
(比較例4)
実施例1と同様な方法でフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル16の混合重量比=1:1)を作成した。得られたフィルムは白濁化しており、光透過率は5%以下であった。Tgを測定したところ、154℃付近と210℃付近に2つのTgが発現した。ポリエステル16ポリカーボネートは相溶していないことが判る。
【0082】
(合成例17)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が0モル%、テレフタル酸が50%、TMBが40モル%、BNが10モル%のポリエステル17を得た。溶媒溶解性が無く、溶液粘度を測定できなかった。
【0083】
(比較例5)
ポリエステル17を用いて、実施例9と同様な方法でブレンドしたが、得られた樹脂組成物は非常に脆く良好な強度を有するものでは無かった。
【0084】
(実施例15)
合成例3で得たポリエステル3とポリカーボネートの(ポリカーボネート:ポリエステル3の混合重量比=7:3)のキャストフィルムを実施例5と同様な方法で得た。フィルムの光透過率は90%、Tgは180℃、鉛筆硬度はF、摩耗量は21mg/kmであった。樹脂組成物は透明であり、ポリカーボネートに比べ、耐熱性、表面硬度、耐摩耗性が大きく向上している。
【0085】
(合成例18)
合成例1と同様な方法で、イソフタル酸=50モル%、テレフタル酸=0%、TMB=50モル%、BN=0%のポリエステル18を得た。ポリエステル18の固有粘度は0.7dL/gであった。
【0086】
(溶媒溶解性)
ポリエステル2、ポリエステル7、ポリエステル18の溶媒溶解性を調べた。ポリエステル2とポリエステル7は何れもクロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、アニソールに可溶であった。一方、ポリエステル18はクロロホルム、塩化メチレンには可溶であるが、THF、トルエン、DMA、DMF、NMP、アノソールには不溶であった。本発明で用いるポリエステルは溶媒溶解性が向上しているのが判る。
【0087】
(合成例19)
合成例1と同様な方法で、イソフタル酸=40モル%、テレフタル酸=10%、TMB=50モル%、BN=0%のポリエステル19を得た。ポリエステル19の固有粘度は0.7dL/gであった。
【0088】
(溶媒溶解性)
ポリエステル3とポリエステル4、及びポリエステル19の溶媒溶解性を調べた。ポリエステル3とポリエステル4は何れもクロロホルム、塩化メチレン、THF、トルエン、DMA、DMF、シクロヘキサノン、アニソールに可溶であった。一方、ポリエステル19はクロロホルム、塩化メチレンは可溶であるが、トルエン、DMFには不溶であった。本発明で用いる重合物は溶媒溶解性が向上しているのが判る。
【0089】
(合成例20)
合成例1と同様な方法で、イソフタル酸=25モル%、テレフタル酸=25%、TMB=50モル%、BN=0%のポリエステル20を得た。ポリエステル20の固有粘度は0.8dL/gであった。尚、ポリエステル20はクロロホルムに不溶であったため、固有粘度は1,1,2,2−テトラクロロエタン中で測定した。
【0090】
(溶媒溶解性)
ポリエステル1、ポリエステル5、ポリエステル12、及びポリエステル20の溶媒溶解性を調べた。ポリエステル1はTHF、アニソール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、DMF、DMA、クロロホルム、塩化メチレンに可溶、ポリエステル5はTHF、アニソール、NMP、クロロホルム、塩化メチレンに可溶、ポリエステル12はクロロホルム、塩化メチレン、THF、トルエン、DMA、DMF、NMP、アニソールに可溶であった。一方、ポリエステル20はこれら溶媒には不溶であった。
【0091】
(合成例21)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が50モル%、テレフタル酸が0%、TMBが45モル%、BNが5モル%のポリエステル21を得た。ポリエステル21の固有粘度は1.0dL/g、Tgは270℃、鉛筆硬度は2Hであった。また、溶媒溶解性を調べたところ、ポリエステル21はクロロホルム、塩化メチレンの他に、アニソール、THF、NMPに可溶であり、ポリエステル18に比べて、非塩素系溶媒に対する溶媒溶解性が向上している。
【0092】
(実施例16)
実施例1と同様な方法でフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル21の混合重量比=1:1)を作成した。樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは206℃、鉛筆硬度はHであった。透明であり、ポリカーボネートに比べ、耐熱性と表面硬度が大きく向上している。
【0093】
(合成例22)
合成例1と同様な方法でイソフタル酸が35モル%、テレフタル酸が15モル%、TMBが45モル%、BNが5モル%のポリエステル22を得た。ポリエステル22の固有粘度は1.3dL/g、Tgは270℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0094】
(実施例17)
実施例1と同様な方法でフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル22の混合重量比=1:1)を作成した。樹脂組成物フィルムの光透過率は90%、Tgは204℃、鉛筆硬度はHであった。透明であり、ポリカーボネートに比べ、耐熱性と表面硬度が大きく向上している。
【0095】
(合成例23)
また、比較例として、合成例1と同様な方法でイソフタル酸が35モル%、テレフタル酸が15%、TMBが50モル%、BNが0%のポリエステル23を得た。ポリエステル23の固有粘度は0.9dL/gであった。
【0096】
(溶媒溶解性)
溶媒溶解性を調べたところ、ポリエステル22はクロロホルム、塩化メチレンの他に、アニソール、THF、NMP、DMA、シクロヘキサノンに可溶であった。一方、ポリエステル23はクロロホルム、塩化メチレンに可溶であったが、DMAには不溶であった。ポリエステル22は非塩素系溶媒に対する溶媒溶解性が向上しているのが判る。
【0097】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、芳香族ポリエステルの(A)ジオール成分として、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位と、特に、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオール単位とを用いることにより、ポリカーボネート(B)との相溶ブレンド系を形成し、透明性、耐熱性、表面硬度、耐摩耗性に優れる。
【0098】
【発明の効果】
本発明の芳香族ポリエステルとポリカーボネートとの樹脂組成物は、優れた透明性、耐熱性、表面硬度、耐摩耗性を有し、光学材料、電子・電気材料、記録材料、自動車部品、建築材料など幅広い分野で有用なフィルム、塗膜、シート等の各種成形物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポリカーボネート、ポリエステル1、及び実施例1で得られ本発明のポリエステル樹脂組成物の固体粘弾性測定より得られたtanδの温度分散図を示す。
Claims (4)
- ジカルボン酸成分として、イソフタル酸単位(A1)と、テレフタル酸単位(A2)とを含み、ジオール成分として、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ビフェノール単位(A3)と、1,1'−ビナフタレン−2,2'−ジオール単位(A4)とを含む芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)とから成り、芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)の組成比が、2:98〜98:2であるポリエステル樹脂組成物。
- 芳香族ポリエステル(A)の組成比が、A1+A2=50モル%、A3+A4=50モル%で、且つA1が5〜20モル%、A2は45〜30モル%、A4は10〜40モル%、A3は40〜10モル%であり、芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)の組成比が、2:98〜98:2である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
- 芳香族ポリエステル(A)の組成比が、A1+A2=50モル%、A3+A4=50モル%で、且つA1が20〜30モル%、A2は30〜20モル%、A4は5〜35モル%、A3は45〜15モル%であり、芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)の組成比が、2:98〜98:2である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
- ジカルボン酸成分として、イソフタル酸単位(A1)と、テレフタル酸単位(A2)とを含み、ジオール成分として、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ビフェノール単位(A3)と、1,1'−ビナフタレン−2,2'−ジオール単位(A4)とを含む芳香族ポリエステル(A)と、ポリカーボネート(B)とを非塩素系溶媒に溶解させて均質溶液とした後、該溶媒を除去することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のポリエステル樹脂組成物から成る成型物の製造法。
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