JP4212215B2 - 表面処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は基板への各種表面処理、特に基板への成膜処理に適した表面処理装置に関し、更に詳しくは、結晶質薄膜を高品質で且つ高速に成膜することが可能な表面処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から平行平板電極に高周波電力を印加して反応ガスをプラズマ状態にし、化学的に活性なイオンやラジカルに分解させて、エッチングや成膜などの表面処理を行う表面処理装置が知られている。
【0003】
例えば、成膜処理を行う従来の平行平板型プラズマCVD (Chemical Vapor Deposition) 装置は、ケーシング内に一対の平板状のプラズマ発生電極が平行に対向して設けられている。前記プラズマ発生電極のうち、一方の電極は基板支持台としての機能を兼ね備えており、更に、同装置は基板の温度を、気相成長に適した温度に調整するためにヒータが設けられている。前記一方の電極に基板を載置した状態で、両プラズマ発生電極間に高周波数の電源(13. 56MHzの電源)による電力が印加されると、これら電極間でプラズマが発生し、原料ガス、例えばモノシランガスが活性化され、前記基板表面にシリコン膜が形成される。
【0004】
かかる従来の平行平板型のプラズマCVD装置にあっては、基板を載置する平板状の前記プラズマ発生電極の面積を大きくすることで、大面積の基板を一度の成膜処理で成膜することができるといった利点を有している。しかしながら、従来の平行平板型のプラズマCVD装置にあっては、両プラズマ発生電極によりプラズマ化された原料ガスは成膜ガス処理室内に均一に拡散され、その一部が前記電極上に載置された基板の成膜に寄与するだけである。このため原料ガスの利用効率が低く、例えばアモルファスシリコン薄膜や徴結晶シリコン薄膜を基板上に成膜しようとする場合、成膜速度が1〜2Å/sec.程度と、投入電力が大きいにもかかわらず、成膜速度は遅い。そのため太陽電池などの比較的膜厚の厚い半導体デバイスを製作するには、更に長時問を要し、低スループット、高コストの主要因となっていた。
【0005】
そこで、成膜速度を上げるために、高周波電源による投入電力を増大させることも考えられる。しかしながら、投入電力を増大させることにより、プラズマ中の荷電粒子のもつエネルギーが大きくなる。この高エネルギーをもった荷電粒子の基板への衝突によるダメージで、同基板は膜質に劣化を来す。更には高周波電源による高周波電力の増大に伴い、気相中で微粉末が多量に発生することになり、微粉末による膜質の劣化も飛躍的に増大することとなる。
【0006】
従って、従来の平行平板型のプラズマCVD装置にあっては、こうした高エネルギーの荷電粒子の衝突によるダメージや微粉末による膜質の劣化を避けるために、投入電力を抑えざるを得ない。即ち、実質的には投入電力の上限値が存在し、成膜速度を一定レベル以上に高めることができなかった。
【0007】
また、平行平板型のプラズマによるエッチング装置にあっては、投入電力の増大による処理品質の劣化は成膜処理に比べれば少ないため、投入電力を増大させて処理速度をある程度は高めることができる。しかしながら、エッチング処理の品質向上や製造効率の向上、製造コストの削減などの目的から、更なる処理速度の向上が望まれているのが現状である。
【0008】
これに対して、特開平11−145492号公報に開示されている走行する被処理体である帯状部材への光起電力素子の形成装置は、高周波電力印加電極(カソード電極)の放電空間における表面積を、前記帯状部材を含むアノード電極全体の放電空間における表面積よりも大きくし、グロー放電生起時のカソード電極の電位を帯状部材を含む接地されたアノード電極に対して+30V以上の正電位を維持させている。更に、前記カソード電極には前記帯状部材の走行方向に直交して複数のしきり状電極を設置し、隣り合うしきり状電極の間にも放電を生起させている。このように、帯状部材及びアノード電極に対してカソード電極を+30V以上の正電位に維持すると共に、しきり状電極をもつ上述のようなカソード電極構造とすることにより、帯状部材を含むアノード電極側において材料ガスの励起、分解反応を促進している。
【0009】
上記公報に開示された光起電力素子の形成装置は確かに、帯状部材を含むアノード電極側において材料ガスの励起、分解反応を促進することにより、成膜速度は向上すると考えられる。しかしながら、帯状部材とカソード電極との空間においてもグロー放電を発生させているため、相変わらず荷電粒子の衝突によるダメージは避けられない。
【0010】
そこで、例えば特開昭61−32417号公報に開示されている薄膜形成装置は、基板に薄膜形成を行うための真空室内に、対向する一対のプラズマ発生電極を有する画成室からなる活性化気体発生装置が配されている。前記活性化気体発生装置の一壁部には活性化気体を真空室内へと噴出するための単一の細孔が形成されている。また、前記真空室内には前記細孔に対向する位置に基板が支持されている。
【0011】
前記薄膜形成装置では前記一対のプラズマ発生電極に高周波電力を印加して、両電極間にグロー放電を発生させてプラズマを作る。前記活性化気体発生装置内に導入された原料ガスは、このプラズマによって分解される。このとき、真空室に配された真空ポンプと前記細孔のコンダクタンスとを調整することにより、前記真空室の真空度を前記活性化気体発生装置よりも2〜3桁低くなるようにして、活性化された原料ガスを基板に向けて前記細孔から噴出させる。
【0012】
このように薄膜形成を行う真空室内において画成された活性化気体発生装置の内部にプラズマ発生電極を配し、同活性化気体発生装置において活性化された原料ガスを基板に向けて積極的に吹き付ける薄膜形成装置では、投入電力を増大させることなく、成膜速度を高めることができる。更には、投入電力を増大させてより強いプラズマを発生させた場合にも、プラズマ発生電極は画成された前記活性化気体発生装置内に設置されており、同電極間でのグロー放電により基板へダメージを与える虞れが全くない。そのため、投入電力を増大させて成膜速度を更に高めることが可能となる。また、成膜速度が高まるにもかかわらず、薄膜の結晶化も促進され、従来よりも速い成膜速度で高品質の薄膜を形成することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、プラズマ発生室と成膜処理室とを画成することにより成膜速度が高まってはいるが、更なる成膜速度の向上が望まれており、特に、太陽電池等の用途として微結晶薄膜の高速成膜が強く望まれている。更には、二つの室に画成しているため表面処理装置の内部構造が複雑になり、また、二つの室での差圧発生のために大型の真空ポンプが必要であるなど、その製作コストが高騰するといった問題もある。
そこで本発明はかかる要望を達成すべく、更に高速且つ高品質に表面処理が可能で、製作コストの低減が図れる表面処理装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
かかる課題を解決するために、請求項1に係る発明は、プラズマ発生手段、原料ガス導入口、及び基板支持台を備えたケーシング内に、前記プラズマ発生手段によりプラズマを発生させて原料ガスをプラズマ化し、前記基板支持台上に載置された基板表面をプラズマ処理する表面処理装置であって、前記プラズマ発生手段を備えたプラズマ発生領域と前記基板支持台を備えた基板処理領域との間に、一以上のプラズマ吹出口を有するアノード電極が前記ケーシングの内壁面から離間して介装されており、少なくとも一の前記アノード電極は一以上のホロー放電発生域を有してなることを特徴としている。
【0015】
更に、本件請求項2に係る発明は、プラズマ発生手段、原料ガス導入口、及び基板支持台を備えたケーシング内に、前記プラズマ発生手段によりプラズマを発生させて原料ガスをプラズマ化し、前記基板支持台上に載置された基板表面をプラズマ処理する表面処理装置であって、前記プラズマ発生手段を備えたプラズマ発生領域と前記基板支持台を備えた基板処理領域との間に、一以上のプラズマ吹出口を有するアノード電極が前記ケーシングの内壁面から離間して介装されており、前記プラズマ発生領域には一以上のホロー放電発生域を有するホロープラズマ発生電極が配されてなることを特徴としている。
【0016】
また、本件請求項3に係る発明は、プラズマ発生手段、原料ガス導入口、及び基板支持台を備えたケーシング内に、前記プラズマ発生手段によりプラズマを発生させて原料ガスをプラズマ化し、前記基板支持台上に載置された基板表面をプラズマ処理する表面処理装置であって、前記ケーシングは、前記プラズマ発生手段を備えたプラズマ発生領域と前記基板支持台を備えた基板処理領域との間に一以上のプラズマ吹出口を有するアノード電極がアノード電極が前記ケーシングの内壁面から離間して介装されており、少なくとも一の前記アノード電極は一以上のホロー放電発生域を有してなり、前記プラズマ発生領域には一以上のホロー放電発生域を有するホロープラズマ発生電極が配されてなることを特徴としている。
【0017】
なお、本発明においてホロー放電とは、特に貫通孔や凹部、空洞部分において認められるプラズマが強く発生し、プラズマの密度が高くなる現象をいう。
プラズマ発生手段としては、カソード及びアノードからなる一対のプラズマ発生電極による放電や、三極以上の電極を有する放電、マイクロ波放電、容量結合型放電、誘導結合型放電、ヘリコン波放電、PIG放電、電子線励起放電などの手段を採用できる。
【0018】
請求項1及び3に係る発明において、前記プラズマ発生領域と前記基板処理領域との間に介装されたプレート部材であるアノード電極に発生するホロー放電は、ホローアノード放電となる。
【0019】
なお、前記プラズマ発生手段としてカソード及びアノードからなる一対のプラズマ発生電極を採用する場合には、そのいずれかの電極プレート部材として採用することできる。カソード電極にプレート部材を使用した場合には、ホロー放電発生域において発生する放電はホローカソード放電となる。
なお、本明細書においては、放電のための主たる電力を印加する側の電極をカソード電極とし、同カソード電極に対向する電極をアノード電極としている。
【0020】
そして、特に、アノード電極に形成されているプラズマ吹出口をホロー放電の発生域とすることが、基板処理領域へと導入されるプラズマをより効果的に高密度にすることができるため、好ましい。
また、プラズマ発生手段である一対のプラズマ発生電極とは別途に、二つの領域にプレート部材を介装させ、同プレート部材にプラズマ吹出口を形成してもよい。
【0021】
本件請求項2及び3に係る発明にあっては、前記プラズマ発生手段としてカソード及びアノードからなる一対のプラズマ発生電極を採用する場合に、前記プラズマ発生電極の少なくとも一方の電極を前記ホロープラズマ発生電極として兼用させることもできる。或いは、前記プラズマ発生電極とは別個に、第三の電極として前記ホロープラズマ発生電極を配することもできる。
【0022】
上述したような本発明の表面処理装置は、ケーシング内のプラズマ発生領域と基板処理領域との間にプレート部材を介装させればよく、同プレート部材により二つの領域を完全に画成する必要がない。そのため、装置の構造が単純化され、装置の製作コストの低減を図ることができる。
【0023】
更には、前記プレート部材に所要の電位を付与することができ、同プレート部材のホロー放電発生域、例えばプラズマ吹出口におけるホロー放電をより効率よく発生させることが可能になる。また、前記プレート部材に所要の電位を付与するための手段も容易に設置できる。
【0024】
特に、前記プラズマ発生手段として一対のプラズマ発生電極を採用し、前記プレート部材をプラズマ発生電極の一極として使用する場合に、前記プレート部材を対向する電極に対して接離可能とするよう、接離手段を設けることができる。このように前記プレート部材を対向する電極に対して接離可能にすれば、例えば印加電力やその他の表面処理条件に応じて、前記プレート部材と対向する電極との距離、即ちプラズマ発生電極間の距離を適宜調製することが可能となる。それにより、プラズマ発生電極間の放電の強度を調節し、処理速度や処理品質を所望の程度に制御できる。
【0025】
上記表面処理装置により表面処理を施すには、先ず、ガス供給管を通じてケーシング内に原料ガス及びキャリアガスを注入し、プラズマ発生手段によりプラズマ発生領域にプラズマを発生させる。ここで本発明の表面処理装置では、前記プラズマ発生領域と前記基板処理領域との間にアノード電極が介装されているが、各領域は従来の装置のように完全に仕切られるようには画成されてはいない。このように、本発明にあっては二つの領域の間にアノード電極を介装させるに過ぎず、二つの領域を完全に画成していないため、2つの領域が完全に画成されている場合に比べるとガスの利用効率は若干低下するものの、二つの領域間に介装された前記アノード電極によりガスをプラズマ発生領域に留まらせることができるため、比較的高効率にプラズマ化することが可能である。
【0026】
前記プラズマ発生領域において発生したプラズマは、前記基板処理領域からの排気による内部ガスの流れや拡散によって、前記プラズマ吹出口から前記基板処理領域へと流れ出す。このとき、適切なガス流量やプラズマパラメータを与えることにより、前記プラズマ発生領域のプラズマが前記プラズマ吹出口から前記基板処理領域へと円滑に輸送される。また、前記プラズマ発生領域と前記基板処理領域との間にアノード電極を介装させることにより、基板に対するプラズマによるイオンダメージを低減できる。
【0027】
なお、原料ガスは、前記プラズマ発生領域内で発生したプラズマが、基板処理領域へと吹き出して基板表面へ到るまでの間で導入することもできる。プラズマ中の活性化された原料ガスは、前記プラズマの流れにより前記処理領域内の基板表面へと到達し、同基板にエッチングや成膜等の表面処理が施される。
【0028】
本件請求項1に係る発明にあっては、アノード電極の一以上のホロー放電発生域において、ホロー放電を発生させることが重要である。このホロー放電によって前記アノード電極のホロー放電発生域において新たにプラズマが生成されるため、基板処理領域へと導かれるプラズマの密度が高められる。
【0029】
特に、前記アノード電極に形成されているプラズマ吹出口をホロー放電発生域とした場合には、プラズマ発生領域で発生したプラズマが、ホロー放電の発生しているプラズマ吹出口を通過する際に、衝突などによる相互作用によって前記プラズマ内の荷電粒子 (電子又はイオン)のエネルギーが低下する。電子のエネルギーが低下することにより、電子は、原料ガスから表面処理に寄与する中性活性種を生成するに十分であり、しかも基板表面に衝突して損傷させるイオンは生成することの少ない適度な強度のエネルギーとなるため、結果としてイオンを増加させることなく中性活性種の数を増やすことができる。また、プラズマ内の高エネルギーイオンの数を減少させることにより、これらのイオンによる基板損傷の影響を減少できる。
【0030】
このように、ホロー放電により、プラズマ密度が向上して表面処理に寄与する中性活性種が増加するため、表面処理の速度が高められる。また、プラズマ内に存在する、基板に衝突してダメージを与えるイオンのエネルギーを低下させることにより、基板表面の劣化を抑制でき、高品質の表面処理を高速で行うことができる。
【0031】
本件請求項2に係る発明にあっては、前記プラズマ発生領域内にホロープラズマ発生電極を配することが重要である。例えばプラズマ発生手段としてアノード及びカソードからなる一対のプラズマ発生電極を採用した場合には、少なくともその一方をホロープラズマ発生電極として使用することができる。すなわち、アノード電極でホローアノード放電が発生し、又はカソード電極でホローカソード電極が発生し、或いは両電極においてそれぞれホロー放電が発生させることが必要である。前記ホロー放電を発生させることにより、そのホロー放電発生域において新たにプラズマが生成されるため、基板処理領域へと導かれるプラズマの密度が大きくなり、表面処理に寄与する活性種が増加するため、表面処理の速度が更に高められる。
【0032】
更に本件請求項3に係る発明にあっては、上述したプレート部材のホロー放電発生域でのホロー放電とホロープラズマ発生電極であるアノード電極でのホロー放電との両方を発生させている。そのため、プレート部材でのホロー放電とアノード電極でのホロー放電とのそれぞれの上述した作用効果を併せ持つこととなり、表面処理の速度及び品質がより高められる。
【0033】
更には、プレート部材におけるホロー放電だけでなく、ホロープラズマ発生電極であるアノード電極のホロー放電が生じることにより、上述したそれぞれの放電によるの作用効果に加え、以下のような相乗的な作用効果も得られるものである。すなわち、プレート部材におけるホロー放電に加え、ホロープラズマ発生電極でのホロー放電が生じることにより、電極でのホロー放電域での電子温度が低下すると共に電子密度が高くなるため、プロセスプラズマとしての性能が向上する。更に、例えばカソード電極がホロープラズマ発生電極であり、同カソード電極でホロー放電が発生する場合は、同カソード電極での高周波電圧が減少すると共に自己バイアス電圧が上昇するため、プラズマ発生領域に生じたプラズマの有する空間電位も上昇する。その結果、プレート部材におけるホロー放電が生じやすくなり、同プレート部材において高密度なプラズマを生成することが可能となる。また、同様の理由からプラズマ発生領域では電界集中も生じやすくなり、局所的に高密度プラズマ化された不均一な放電が生成可能となる。
【0034】
前記ホロープラズマ発生電極の電極材料としては、また、プラズマ発生手段として一対のプラズマ発生電極を使用する場合にはその電極材料として、SUSやAlなどの他に、Ni,Si,Mo,Wなどを採用することができる。プラズマからのイオン衝撃による二次イオン放出係数が大きな電極材料を使用すると、プラズマがより高密度になるので、処理速度が向上する。また、特に、シリコンの成膜処理を行う表面処理装置である場合には、電極材料としてSiを使用すると、その電極自身が薄膜材料の供給源として機能するので、成膜速度が向上すると共にその安定性も増す。更に、Siからなる電極にボロンやリンを予めドーピングしておけば、薄膜へのドーピングを自動的に行うことが可能となり、特に極く微量のドーピングを行うときに有利である。
【0035】
前記基板としてはガラス、有機フィルム、或いはSUS等の金属を使用することができる。さらに本発明の表面処理装置は成膜やアッシング、エッチング、イオンドーピング等の各種表面処理に使用できるが、前記基板表面にアモルファスシリコンや、更には結晶質シリコンなどのシリコン薄膜や酸化膜を成膜する際に特に好適に使用される。
【0036】
前記プラズマ吹出口を多数設ける場合に、特に、その全ての吹出口をホロー放電発生域としてホロー放電を生じせしめれば、大面積の基板に対しても均一な薄膜を高速で成膜することができるため、好ましい。
【0037】
前記原料ガス導入口は、前記プラズマ発生領域に開口させてもよく、或いは、前記プラズマ発生領域にはキャリアガスのみを導入し、前記原料ガス導入口は前記プラズマ吹出口の側面に開口させることもできる。更には、例えば原料ガス導入用のパイプなどの導入手段を用いて、前記原料ガス導入口を基板処理領域に開口させ、原料ガスを基板処理領域における前記プラズマ吹出口と基板との間に導入してもよい。前記原料ガス導入口を前記吹出口に開口させる場合や、基板処理領域に開口させる場合には、前記原料ガスは前記吹出口を通過するプラズマ化されたキャリアガスによりプラズマ化される。この場合には、前記プラズマ発生領域の内壁面が前記原料ガスにより汚染されることがない。
【0038】
なお、前記プラズマ発生電極には直流電源又は高周波電源を接続して直流〜高周波電力まで印加することが可能であるが、特に、高周波電力を投入することが好ましい。更に、カソード電極及びアノード電極にそれぞれ直流又は交流の電源、或いはパルス発生電源によってバイアスを印加することもできる。
【0039】
前記プラズマ吹出口においてホロー放電を発生させるために、本件請求項4に係る発明では、少なくとも一の前記プラズマ吹出口における最小部分の開口幅W(1) を、W(1) ≦5L(e) 又はW(1) ≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定している。但し、L(e) は所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程であり、Xとは所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚みである。また、少なくとも一の前記プラズマ吹出口における最小部分の前記開口幅W(1) は、X/20≦W(1) をも満足する範囲、更にはX/5≦W(1) をも満足する範囲に設定することが好ましい。
【0040】
なお、電子とガス分子(原子を含む)との散乱における電子の平均自由行程は、ガス圧、原子・分子の散乱断面積及び温度に依存するが、前記プラズマ発生条件には、これらガス圧、原子・分子の散乱断面積、及び温度などが含まれている。
【0041】
前記プラズマ吹出口の前記開口幅W(1) を上記範囲に設定することにより、前記プラズマ吹出口において効果的にホロー放電を発生させることができると共に、前記吹出口から効率良くプラズマを吹出させることができる。
【0042】
なお、本発明において前記プラズマ吹出口の開口幅W(1) とは、前記プラズマ吹出口の開口形状が円形の場合には直径であり、矩形状やスリット形状の場合には短辺の長さ寸法である。すなわち、開口形状における最短寸法部分を開口幅W(1) としている。
【0043】
前記プラズマ吹出口の形状はプラズマ発生領域のプラズマを積極的に吹出口内に引き込み、基板処理領域においてプラズマを所望の角度で拡散させて噴出することのできる形状を採用することができる。例えば、円形断面の円柱形状や、プラズマ発生領域から基板処理領域に向けて拡径する載頭円錐形状、及びその組み合わせ、更には上流側の略半部が下流側に向けて縮径し、下流側の半部が下流側に向けて拡径する形状などが挙げられる。更には上述したように断面が矩形状の角柱状であってもよく、スリット形状とすることも可能である。
【0044】
また、基板の広い面積にわたって表面処理を施す場合には、例えば円形の前記プラズマ吹出口を所要のパターンで複数、形成することができる。或いは、一筆書きできる実質的に連続した長尺なスリット形状、具体的には渦巻き形状や蛇行形状にしてもよい。
【0045】
本件請求項5に係る発明によれば、前記ホロープラズマ発生電極は、プラズマ発生手段により発生したプラズマとの対向面に一以上の凹部を有してなり、少なくとも一の前記凹部がホロー放電の発生域とされている。
また、本件請求項6に係る発明によれば、前記ホロープラズマ発生電極は空洞体であって、同電極はプラズマ発生手段により発生したプラズマとの対向部分に空洞内部に連通する1以上の貫通孔を有してなり、少なくとも一の前記貫通孔がホロー放電の発生域とされている。
【0046】
このように、前記ホロープラズマ発生電極に凹部を形成したり、或いは前記ホロープラズマ発生電極を空洞体としその空洞内部に連通する貫通孔を形成し、それら凹部又は貫通孔をホロー放電の発生域とすることにより、実質的にプラズマと接触するホロープラズマ発生電極の表面積が増大する。例えばカソード電極をホロープラズマ発生電極とし、同カソード電極にカソード放電域を形成した場合には、グロー放電生成時におけるカソード電極の電位(自己バイアス)をプラスの方向へともっていくことができ、接地されているアノード電極近傍での投入電力の消費、すなわち原料ガスの励起、分解反応を促進し、表面処理の速度を向上させることができる。
【0047】
このような自己バイアスの制御はプラズマ空間電位の制御にもつながり、イオンの基板への衝突によるダメージの大きさをも意図的に調整できる。従って、例えば成膜処理を施す場合に、その結晶性薄膜の結晶性を制御することができる。
【0048】
前記凹部又は前記貫通孔において効果的にホロー放電を発生させるために、本件請求項7に係る発明では、前記凹部又は前記貫通孔における最小部分の開口幅W(2) を、W(2) ≦5L(e) 又はW(2) ≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定している。但し、L(e) は所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程であり、Xとは所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚みである。
【0049】
なお、前記凹部又は前記貫通孔の断面形状は円形や多角形などを採用でき、その開口形状における最短寸法部分を開口幅W(2) としている。更に、少なくとも一の前記プラズマ吹出口における最小部分の前記開口幅W(2) は、X/20≦W(2) をも満足する範囲、更にはX/5≦W(2) をも満足する範囲に設定することが好ましい。
【0050】
本件請求項8に係る発明によれば、前記ホロープラズマ発生電極は空洞体であって、同電極はプラズマ発生手段により発生したプラズマとの対向部分に空洞内部に連通する1以上の貫通孔を有してなり、空洞内部の少なくとも一部がホロー放電の発生域とされている。
このように、空洞内部の少なくとも一部においてホロー放電を発生させることで、プラズマの密度を更に高めることができるため、原料ガスの励起、分解反応が著しく促進され表面処理の速度も向上する。また、前記ホロープラズマ発生電極がカソード電極である場合には、プラズマに接触するカソード電極の表面積を増大させることにより、自己バイアスを更に正方向の電位へと制御ができるため、原料ガスの励起、分解反応が更に促進され表面処理の速度も著しく向上する。
【0051】
また、エッチングやアッシング、イオンドーピングなど、イオンの基板への衝突により悪影響を及ぼすことのない表面処理を行う装置に関しては、前記ホロープラズマ発生電極をアノード電極により構成し、そのアノード電極の内壁面を基板支持台とし、前記アノード電極内を前記基板処理領域とすることもできる。なお、この場合には前記基板処理領域の全体がアノード電極により囲まれて、前記基板処理領域とプラズマ発生領域とが実質的に画成されることになる。
【0052】
基板はホローアノード放電に直接曝されることになり、エッチングやアッシング、イオンドーピングなどの処理速度が向上する。但し、アノード電極の内部をプラズマ発生領域とは画成された基板処理領域とするかかる表面処理装置では、イオンの基板への衝突ダメージが大きいため、成膜処理にはどちらかといえば不適である。
【0053】
更に空洞体からなる前記ホロープラズマ発生電極は、その表面積を増やすために空洞内部の高さ方向に延びる1以上の隔壁を配することが好ましい。すなわち、前記ホロープラズマ発生電極の空洞内部が前記隔壁により複数に画成されることが好ましい。この場合には、それぞれの画成された領域ごとに少なくとも1の前記貫通孔を形成する必要がある。
【0054】
前記ホロープラズマ発生電極の空洞内部においてホロー放電を効率よく発生させるために、本件請求項9に係る発明によれば、前記ホロープラズマ発生電極の前記貫通孔の形成方向に沿った空洞内部の少なくとも一部における対面距離Hが、H≦5L(e) 又はH≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定される。但し、L(e) は所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程であり、Xとは所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚みである。空洞体である前記ホロープラズマ発生電極の前記貫通孔の形成方向に沿った空洞内部の対面距離Hは、X/20≦Hをも満足する範囲、更にはX/5≦Hをも満足する範囲に設定することが好ましい。
【0055】
また、本件請求項10に係る発明によれば、前記プラズマ吹出口の近傍、及び/又は凹部、貫通孔の近傍、及び/又は前記空洞内部に磁場が形成されている。ここで「近傍」とは前記プラズマ吹出口、凹部、貫通孔の内部や、同吹出口、凹部、貫通孔の開口周縁或いはその近傍を含む。また、前記磁石はその磁場の磁力線が前記プラズマ吹出口、凹部、貫通孔の軸線方向と平行に、また、前記空洞内部では電極面と平行になるように配することが好ましい。
【0056】
磁場の強さは前記プラズマ吹出口、凹部、貫通孔の中心部、又は空洞内部で1〜2000mTとすることが好ましく、更には5〜500mTとすることが好ましい。また、プラズマ吹出口及び/又は凹部、貫通孔の内壁面及びその近傍、又は空洞内壁部の近傍では磁場の強さを2〜2000mTとすることが好ましく、更には5〜1000mTとすることが好ましい。
【0057】
このように磁場を配することにより、電子の軌道を調整して、ホロー放電が生じている前記プラズマ吹出口内及びその近傍や、ホローカソード放電又はホローアノード放電が生じている前記凹部又は貫通孔の内部及びその近傍、或いは空洞内部に電子を長時間留まらせることができ、表面処理に寄与する活性種の生成が促進される。そのため、表面処理速度が更に向上する。なお、この磁場により電子のエネルギーには何ら変化はないため、電子エネルギーが大きくなって悪影響を及ぼすイオンを生成することもなく、高品質な表面処理を維持できる。
【0058】
更に、本件請求項11に係る発明によれば、前記基板に所望の電位を印加するための電位印加手段を備えている。この電位印加手段とは、例えば、前記基板が載置されている前記基板支持台に対して所望の電位を印加することにより、前記基板にも同電位を印加することができる。また、同電位印加手段は、必要に応じて、前記基板に到達するプロセスプラズマの電位Vsや基板の電位をモニターする手段を含む。前記プロセスプラズマの電位Vsは、同プラズマの大部分が接触している電極の電位により決まる。従って、例えばプラズマ発生電極等の高周波電圧と自己バイアスとをモニターすることにより、前記プロセスプラズマの電位Vsをモニターすることができる。
【0059】
例えば基板に成膜処理を施す場合には、プラズマからのイオンダメージを抑制するため、同基板を前記プロセスプラズマの電位Vsとの差電圧を小さくすることが望ましく、前記プラズマの電位Vsと概ね同一の電位を印加することがより好ましい。成膜処理の場合の基板への印加電位は、前記プロセスプラズマの電位Vsに対して1/2〜1倍の範囲であることが好ましい。また、例えばエッチング処理を施す場合には、前記プラズマの電位Vsよりも小さい電位、特にマイナスの電圧を印加することにより、異方性を向上させることができる。
【0060】
このように、基板に所望の電位を印加して、前記基板とプラズマとの差電圧を意図的に制御することにより、成膜処理の場合には処理速度を落とすことなくプラズマのダメージを低減されるなどの膜質の制御が可能となり、また、エッチング処理の場合には、異方性をなどのエッチング形状を制御できる。
【0061】
また、前記プラズマ吹出口及び/又は凹部、貫通孔の少なくとも片側の開口縁にノズル体を突設させることが好ましい。同ノズル体はその中心線を前記プラズマ吹出口及び/又は凹部、貫通孔の軸線方向と一致させてもよく、或いは同ノズル体の中心線を前記プラズマ吹出口及び/又は凹部、貫通孔の同軸線方向に対して角度をもって配設してもよい。また、前記ノズル体の形状も、断面形状が一定の筒体や、断面寸法を漸減又は漸増させる筒体であってもよい。更には、チューブ状のノズル体をらせん状に配してもよい。
【0062】
前記プラズマ吹出口及び/又は凹部、貫通孔に前記ノズル体を突設させることにより、前記プラズマ吹出口の形成されている部材や、前記ホロープラズマ発生電極の厚み寸法を不必要に厚くすることがなく、前記プラズマ吹出口及び/又は凹部、貫通孔の長さ寸法を自由に設定でき、その長さを大きくすればそれらプラズマ吹出口及び/又は凹部、貫通孔でのホロー放電の発生域が広がるため、プラズマ密度も高まり表面処理速度も向上する。
【0063】
更に、前記ノズル体のノズル長が不定長であることが好ましい。すなわち、プラズマ吹出口及び/又は凹部、或いはプラズマ吹出口及び/又は貫通孔において、その全てのノズル体が均一の長さとする必要はなく、適宜、変化させることができる。このようにノズル体の長さを変化させることにより、基板へ到達するプラズマの強度を、その基板の全表面において均一化することができる。
【0064】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面及び好適な実施例を参照して具体的に説明する。
図1は本発明の第1実施例である表面処理装置1の概略図である。同装置1では外気と遮断するケーシング2が接地されている。同ケーシング2の内部は、プラズマ発生領域3と基板処理領域4との2つの領域が上下に形成されており、それら領域の間には電極材料からなる水平のアノード電極6が介装されている。
【0065】
前記プラズマ発生領域3には、ケーシング2の絶縁体により形成されている上壁2aに、電極部材5が、前記アノード電極6に平行に取り付けられている。前記電極部材5は高周波電源Pに接続されており、同電極部材5と対向して平行に配された前記アノード電極6は接地されている。前記電極部材5に電力を印加することにより、前記電極部材5とアノード電極6との間に放電が生じ、プラズマが発生する。すなわち、前記電極部材5がプラズマ発生電極を構成するカソード電極である。
【0066】
本発明では、上述したように前記アノード電極6をケーシング2の内壁面には密着させずに離間させて、適宜手段、例えばケーシング2の床面からの支持部材などによって、ケーシング2内に設置している。そのため、前記アノード電極6の設置が容易であり、装置の製作コストを低減させることができる。また、本実施例では同アノード電極6を接地しているが、同アノード電極6はケーシング2とは独立して接地されているため、同アノード電極6に所望のバイアスを印加することも可能である。更には、アノード電極6の位置を上下に移動させてカソード電極5との距離を変更可能にすることもできる。前記アノード電極6とカソード電極5との距離を変更することにより、例えば印加電力等の処理条件に応じて両者間の放電強度を調整でき、処理速度や処理品質が制御可能になる。
【0067】
前記プラズマ発生領域3と基板処理領域4との間に介装された前記アノード電極6の中心には円形の通孔7が形成されており、同通孔7は本発明のプラズマ吹出口7を構成する。
【0068】
本実施例においては、前記プラズマ吹出口7の断面形状を円形としているが、他にも例えば矩形状としたり、或いはプラズマ発生領域3から基板処理領域4に向けて拡径する載頭円錐形状や、載頭角錐形状、更には上流側の略半部が下流側に向けて縮径し、下流側の半部が下流側に向けて拡径する形状などとすることも可能である。また、前記プラズマ吹出口7をスリット形状とすることも可能である。
【0069】
前記プラズマ吹出口7の開口幅W、すなわち直径Wは、W≦5L(e) 又はW≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定している。但し、L(e) は所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程であり、Xとは所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚みである。かかる範囲に設定することにより、前記プラズマ吹出口7をホローアノード放電の発生域とすることができる。前記開口幅WをX/20≦Wの範囲に設定することが好ましく、更には、前記開口幅WをX/5≦Wの範囲に設定することが好ましい。
【0070】
また、前記プラズマ吹出口7の長さ方向(厚さ方向)の寸法Tは概ねX/50を下限とする。上限は装置寸法上の制約、すなわち前記アノード電極6の厚み、によって決定される。このプラズマ吹出口7の長さTは、上述したガス圧及び直径の場合には0.1mm〜100mmが好ましい。なお、ホロー放電を効率良く発生させる観点からは、前記プラズマ吹出口7の長さTは大きいほうが有利であり、より強いプラズマを発生させることができる。そのため、前記プラズマ吹出口7の開口縁部にノズル体を取り付けて、前記プラズマ吹出口7の実質的な長さTを大きくさせることもできる。
【0071】
本実施例にあっては、前記ケーシング2の上壁2a及びカソード電極5を貫通してガス供給口8が形成されており、このガス供給口8からプラズマ発生領域3内に、成膜処理の場合には例えばモノシラン等の原料ガスと、プラズマの発生を促進すると共にプラズマを安定化し、且つ原料ガスを基板Sまで搬送するためのキャリアガスとの混合ガスを導入している。なお、このガス供給口8は円筒状に限定されるものではなく、矩形筒状であってもよい。
【0072】
更に、同ガス供給口8の形成位置も上述の位置に限定されるものではなく、任意の位置に形成することが可能である。例えば図2に示すように、前記凹部5aの底部に開口する位置に形成してもよく、或いは前記アノード電極6の周壁部に開口する位置に形成することもできる。また、前記ガス供給口8を複数形成することもできる。
【0073】
なお、前記ガス供給口8からはプラズマ発生領域3へキャリアガスのみを導入して、原料ガスは別途、異なる導入口を設けて前記プラズマ発生領域3、成膜処理領域4、或いは前記プラズマ吹出口7の途中へと導入することもできる。
【0074】
前記基板処理領域4内には前記プラズマ吹出口7に対向する位置に基板支持台9が配されている。本実施例においては前記基板支持台9は接地されているため、同支持台9上に載置された基板Sも同様に接地されることとなる。なお、前記基板支持台9、すなわち基板Sを接地せずに直流的又は交流的にバイアス印加することも、パルス的にバイアス印加することも可能である。或いは、前記基板支持台9に対して基板Sを電気的に絶縁することも可能である。また、前記基板支持台9にはヒータが内蔵されており、前記基板支持台9の上面に載置された基板Sの温度を、気相成長に適した温度に調整する。
【0075】
上記表面処理装置1により成膜処理を施す場合に、前記カソード電極5に高周波電源Pにより高周波電力を投入すると、前記電極5,6間で放電が起こり、前記プラズマ発生領域3内にプラズマが発生する。そのプラズマにより、同プラズマ発生領域3に導入された原料ガス及びキャリアガスが活性化され、成膜に寄与する活性種が生成される。このとき、前記基板処理領域4からの排気に伴う内部ガスの流れと、さらに拡散とによって、同プラズマ発生領域3内のプラズマは、前記プラズマ吹出口7から前記基板処理領域4内へと流れ出る。このプラズマの流れにより前記処理領域4内の基板S表面がプラズマ処理され、同基板4の表面に薄膜が形成される。
【0076】
このとき、本発明にあっては、前記プラズマ吹出口7の開口幅Wを上述の範囲内に設定することにより、前記プラズマ吹出口7にはホローアノード放電が発生する。このホローアノード放電によって前記プラズマ吹出口7には新たにプラズマが生成されるため、基板処理領域4へと導かれるプラズマの密度が高められる。更には、プラズマ発生領域3で発生したプラズマが、ホローアノード放電の発生域であるプラズマ吹出口7を通過する際に、前記プラズマ内の電子のエネルギーが、活性種を生成するに十分で、イオンを生成するには不充分な強度まで適度に低減されるため、基板処理領域4へと導かれるプラズマは成膜に寄与する活性種が更に増大し、密度の大きなプラズマとなり、成膜速度が著しく向上する。更には、ホローアノード放電の発生しているプラズマ吹出口7を通過する際に、前記プラズマ内のイオンエネルギーも低下するため、基板処理領域4へと導かれたプラズマには、基板に衝突してダメージを与えるイオンが少なく、高品質な成膜が可能となる。
【0077】
なお、上述したように本実施例では前記基板支持台9、即ち基板Sが接地されているが、同基板Sを接地せずに所望の電位を印加することも可能である。成膜処理にあたって、同基板Sに到達するプロセスプラズマの電位Vsに対して1/2〜1倍の電位を前記基板Sに印加し、同基板と前記プロセスプラズマとの差電圧を小さくすることにより、プラズマからのイオンダメージを減少させて高品質の薄膜を成膜することが可能となる。
【0078】
このとき、前記プロセスプラズマの電位Vsは、同プラズマの大部分が接触している電極の電位により決まる。従って、例えばカソード電極等の高周波電圧と自己バイアスとをモニターすることにより、前記プロセスプラズマの電位Vsをモニターすることができる。
【0079】
更に、本実施例では、円形断面の単一のプラズマ吹出口7が形成されているが、基板Sの広い面積にわたって表面処理を施す場合には、前記プラズマ吹出口7を例えば図17〜図20に示すような配置で複数形成することもできる。図17(a)に示す正6角形を基本とする配置や、図17(b)に示す4角形を基本とする配置、図17(c)に示す3角形を基本とする配置などが好ましい。更には、図18(a)〜(c)に示すように、これらの配置において中心部分にはプラズマ吹出口を形成しない配置が更に好ましい。また、図19(a)及び図19(b)に示す放射状や、図20(a)及び図20(b)に示す中心部分を除く配置とすることも好ましい。
【0080】
更には、一筆書きできる実質的に一続きのスリット形状、例えば図21に示すような渦巻き状や蛇行状などの形状とすれば、大面積にわたって均一な処理が可能となる。なお、複数孔にする場合も、スリット状にする場合も、それらの孔径やスリット幅Wは本発明の範囲内に設定することが好ましい。但し、複数の孔を一定の孔径とする必要はなく、またスリット幅もその長さ方向で一定である必要はない。均一にホローアノード放電を発生させるためには、各種条件に応じて前記孔径やスリット幅はアノード電極の中心部分から外縁部分へとその寸法を漸減又は漸増させることが望ましい。
【0081】
また、上記実施例では前記アノード電極6を接地しているが、前記電極5,6にそれぞれ直流又は交流の電源又はパルス電源によってバイアスを印加することもできる。このとき、本発明は前記アノード電極6をケーシング2の内壁面に密着しておらず、例えば床面からの支持部材などによってケーシングから独立して設置されているため、同アノード電極6へのバイアスの印加が容易である。
【0082】
なお、本実施例にあっては前記基板処理領域4から内部ガスを排気しているため前記表面処理装置内ではプラズマ発生領域3から基板処理領域4への内部ガスの流れが形成されているが、これに限定されるものではない。前記プラズマ発生領域に内部ガスの排気口を設けて、内部ガスの流れを逆にすることもできる。但し、この場合には前記プラズマ発生領域3から前記基板処理領域4へのプラズマの輸送が拡散によってのみなされ、内部ガスの流れによるプラズマの輸送は期待できないため、表面処理速度が若干、低下するものの、従来よりも高速な処理は確保される。また、ガスの導入はケーシングの任意の位置にて可能である。特には、基板処理領域4からガスを導入する場合に拡散の効果を得やすい。
【0083】
更に、上述した装置を用いて、アッシングやエッチング、イオンドーピング等の他の表面処理を行う場合にも、従来よりも低温で且つ高速に表面処理を行うことが可能である。なお、例えばエッチング処理を施す場合には、前記基板Sに対して前記プロセスプラズマの電位Vsよりも小さい電位、特にマイナスの電圧を印加することにより、異方性を向上させることができる。
【0084】
以下、本発明の他の実施例について図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施例と同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0085】
図2は本発明の第2実施例による表面処理装置20の概略図である。同実施例では、カソード電極が異なる以外は実施例1と同一の構成を備えている。
本第2実施例ではカソード電極10が本発明のホロープラズマ発生電極を構成している。即ち、前記カソード電極10の前記アノード電極6との対向面に、断面が円形をなす複数の凹部10aが形成されている。この凹部10aの開口幅W、すなわち直径Wは、W≦5L(e) 又はW≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定している。但し、L(e) は所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程であり、Xとは所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚みである。
【0086】
前記開口幅WをX/20≦Wの範囲に設定することが好ましく、更には、前記開口幅WをX/5≦Wの範囲に設定することが好ましい。前記プラズマ発生条件のうちガス圧が10〜1400Paの範囲内にあるときは、前記凹部10aの直径は0.1〜100mmの範囲に設定され、より好ましくは1〜20mmである。前記凹部10aの直径をかかる範囲に設定することにより、前記凹部10aをホローカソード放電の発生域とすることができる。
【0087】
前記複数の凹部10aは図17〜図20に示すような配置で形成することが好ましい。図17(a)に示す正6角形を基本とする配置や、図17(b)に示す4角形を基本とする配置、図17(c)に示す3角形を基本とする配置などが好ましい。更には、図18(a)〜(c)に示すように、これらの配置において中心部分、即ち、プラズマ吹出口7の直上位置には凹部10aを形成しない配置が更に好ましい。また、図19(a)及び図19(b)に示す放射状や、図20(a)及び図20(b)に示す中心部分を除く配置とすることも好ましい。
【0088】
また、前記凹部10aの深さDは概ねX/50を下限とする。上限は装置寸法上の制約、すなわち前記カソード電極10の厚みによって決定される。この凹部10aの深さDは、上述したガス圧及び直径の場合には0.1mm〜100mmが好ましい。なお、ホロー放電を効率良く発生させる観点からは、前記凹部10aの深さDは大きいほうが有利であり、より強いプラズマを発生させることができる。そのため、前記凹部5aの開口縁部にノズル体を取り付けて、前記凹部10aの実質的な深さDを大きくさせることもできる。
【0089】
なお、本実施例にあっては前記凹部10aは円形断面であるが、他にも多角形状としてもよい。断面積も一定でなくてもよく、軸線方向に断面積を変化させ、例えば底面が開口よりも大きく、或いは小さい凹部であってもよい。更には、前記凹部10aを矩形状や図21に示すような渦巻き形状や蛇行形状などの溝構造とすることもできる。このような矩形状や渦巻き形状等の溝構造とする場合には、その凹部10aの開口幅Wとは溝幅(溝壁間の寸法)であり、この溝幅を上述の範囲内で設定する。なお、この溝幅は一定でなくてもよく、カソード電極10の中心から外縁へ向けてその溝幅を漸減又は漸増させることもできる。また、前記凹部10aの内壁面に部分的な凹凸を形成してもよい。複数の前記凹部10aは、互いに同一寸法及び同一形態とする必要は無く、異なる寸法及び形態をもつ凹部10aを複数形成してもよい。
【0090】
このとき、前記カソード電極10には複数の凹部10aが形成されており、しかも同凹部10aの開口幅Wが上述の範囲内に設定されているため、印加する高周波電力に応じて通常のグロー放電からホローカソード放電を含む放電に移行する。同凹部10aにおいてホローカソード放電が発生し、同凹部10aにおいて新たなプラズマが発生する。そのため、前記プラズマ発生領域3内において発生するプラズマは密度の大きなプラズマとなり、成膜処理に寄与する活性種が増加するため、表面処理の速度が高められる。また、前記カソード電極10に凹部10aを形成することにより、実質的にプラズマと接触するカソード電極10の表面積が増大する。それにより、放電生成時における自己バイアスをよりプラスの方向へともっていくことができ、接地されているアノード電極6近傍での原料ガスの励起、分解反応を促進し、表面処理の速度を向上させることができる。
【0091】
更には、プラズマ吹出口7におけるホローアノード放電に加え、ホローカソード放電が生じることにより、両電極10,6間でのプラズマの電子温度が低下すると共に電子密度が高くなるため、プロセスプラズマとしての性能が向上する。更に、ホローカソード放電によりカソード電極10での高周波電圧が減少すると共に自己バイアス電圧が上昇するため、両電極10,6間に生じたプラズマの有する空間電位も上昇する。その結果、プラズマ吹出口7におけるホローアノード放電が生じやすくなり、同プラズマ吹出口7において高密度なプラズマを生成することができるといった相乗効果が得られる。また、同様の理由からプラズマ発生領域3内では電界集中も生じやすくなり、局所的に高密度プラズマ化された不均一な放電が生成可能となる。
【0092】
図3は、本発明の第3実施例による表面処理装置21の概略図である。同装置21は、カソード電極10に形成された凹部10aの内壁面及びプラズマ吹出口7の内壁面に磁石11が配されている点で上述した第1実施例と異なるが、その他の構成は上記第1実施例の表面処理装置1と同一である。なお、前記磁石11は、前記凹部10aや前記プラズマ吹出口7に磁場を付与するように配されていればよい。したがって、前記磁石11は同図3に示すように前記内壁面内に埋設する他にも、例えば、前記カソード電極10内の前記凹部10aの上方に埋設したり、或いは前記カソード電極10の外部に配することもでき、さらにはこれらの配置の組み合わせであってもよい。なお、これらの磁石11の配置にあたっては、前記磁石11がプラズマに直接晒されることがないように磁石11を取り付けることが好ましい。
【0093】
前記磁石11の磁場は、磁力線の方向が上記凹部10a及びプラズマ吹出口7の各軸線方向と平行になるように印加されていることが好ましい。同磁石の強度は前記凹部110a及びプラズマ吹出口7のそれぞれの軸中心において1〜2000mT、内壁面及びその近傍では2〜2000mTとし、より好ましくは軸中心で5〜500mT、内壁面及びその近傍で5〜1000mTである。
【0094】
このように凹部10a及びプラズマ吹出口7に磁場を形成することにより、そこに発生しているプラズマ内の電子の軌道を前記磁場により調整し、前記凹部10a及びプラズマ吹出口7の内部に電子を長く留まらせることができる。この電子の軌道調整により、電子のエネルギー(電子温度)を高めることなく、原料ガスへの電子の作用時間を長くできるため、活性種の生成が促進され、成膜速度が向上する。
【0095】
また、磁石11を配して磁場を形成することにより、凹部10aの開口幅Wや深さD又はプラズマ吹出口7の開口幅Wの寸法の許容範囲が、磁石11を配していない場合に比べて概ね30%程度広がる。
【0096】
なお、本実施例では全ての凹部10a及びプラズマ吹出口7に磁石11を配しているが、それら全てに磁石11を配するのではなく、選択されたいずれかにのみ磁石11を配することもできる。更には電磁石等の手段により磁場を形成することも可能である。また、磁石の極性を含めた磁場の配置と同磁場の強度とは、プラズマ密度を高めるよう任意に設定される。
【0097】
図4は、本発明の第4実施例による表面処理装置22の概略図である。この表面処理装置22も、ケーシング2内のプラズマ発生領域3と基板処理領域4との2つの領域の間にアノード電極6′が介装されている。前記アノード電極6′はプラズマ発生電極のアノード電極であり、同アノード電極6′の中心には円形のプラズマ吹出口7′が形成されている。
【0098】
前記カソード電極10は前記アノード電極6′との対向面に、断面が円形をなす複数の凹部10aが形成されており、この凹部10aの開口幅Wは、W≦5L(e) 又はW≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定されている。更に好ましくは、前記開口幅WはX/5≦Wの範囲に設定される。前記凹部10aの直径をかかる範囲に設定することにより、前記凹部10aにおいてホローカソード放電が発生する。
【0099】
本実施例の以上の構成は上述した第2実施例と同様であるが、前記アノード電極6′に形成されているプラズマ吹出口7′の開口幅Wが大きくため、又は長さ(厚み)Tが小さいため、同プラズマ吹出口7′においてホロー放電が発生していない点で上述した第1実施例の表面処理装置1とは異なるものである。
【0100】
本実施例では、プラズマ吹出口7′においてホロー放電が発生しないため、上述した第1実施例よりは表面処理の速度及び品質が若干劣るものの、カソード電極10の凹部10aにおいてホローカソード放電が生じているため、従来の表面処理装置と比較すれば、その処理速度及び処理品質は向上している。
【0101】
図5は本発明の第5実施例による表面処理装置23の概略図である。同装置23は、本発明のホロープラズマ発生電極であるカソード電極12が中空円柱状の空洞体である点で上述した第2実施例と異なるが、その他の構成は上記第2実施例の表面処理装置1と同一である。
【0102】
空洞体である前記カソード電極12は、アノード電極6との対向部分、すなわち前記カソード電極12の下壁部12aに、空洞内部に連通する円形断面をもつ複数の貫通孔12bが形成されている。この貫通孔12bは図17〜図20に示すような配置で形成することが好ましい。なお、この貫通孔12bは前記アノード電極6に形成されたプラズマ吹出口7の直上位置を避けた位置、即ち図18又は図20に示す配置で形成することがより望ましい。
【0103】
この貫通孔12bをホローカソード放電の発生域とし得るよう、その開口幅W、すなわち直径WをW≦5L(e) 又はW≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定している。但し、L(e) は所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程であり、Xは所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚みである。なお、前記開口幅WはX/20≦Wの範囲に設定されることが好ましく、更には、X/5≦Wの範囲に設定されることがより好ましい。
【0104】
また、複数の前記貫通孔12bは開口幅Wが全て同一でなくてもよく、複数の前記貫通孔12bにおいて均一にホローカソード放電を発生させるために、適宜、異なる開口幅Wに設定することができる。特に、印加電力の周波数に応じて、或いは、その他の条件によって、中心付近の貫通孔12bは開口幅Wを小さくし外縁方向にその開口幅Wを漸増させ、或いは、中心付近で開口幅Wを大きくし外縁方向にその開口幅Wを漸減させることが好ましい。
【0105】
前記プラズマ発生条件のうちガス圧が10〜1400Paの範囲内にあるときは、前記貫通孔12bの直径は0.1〜100mmの範囲に設定され、より好ましくは1〜20mmである。前記貫通孔12bの直径をかかる範囲に設定することにより、前記貫通孔12bにホローカソード放電が発生する。
【0106】
また、前記貫通孔12bの長さT、すなわち本実施例の場合には前記下壁部12aの厚みTは概ねX/50を下限とする。上限は装置寸法上の制約によって決定される。この貫通孔12bの長さTは上述したガス圧及び直径の場合には、0.3〜70mmが好ましい。
【0107】
なお、本実施例にあっては前記貫通孔12bは円形断面であるが、他にも楕円形、矩形、多角形、不定形状など任意の形状とすることができる。断面積も一定でなくてもよく、軸線方向に断面積を変化させてもよい。更には、前記貫通孔12bを断面が矩形状のスリット構造としたり、或いは図21に示すような渦巻き形状、蛇行状などの一次元的広がりをもつスリット構造とすることもできる。このようなスリット構造とする場合には、その貫通孔12bの開口幅Wとはスリット幅であり、このスリット幅を上述の範囲内で設定する。なお、このスリット幅は一定でなくてもよく、中心から外縁へ向けて漸増又は漸減させることもできる。また、前記貫通孔12bの内壁面に部分的な凹凸を形成してもよい。複数の前記貫通孔12bは、互いに同一寸法及び同一形態とする必要は無く、異なる寸法及び形態をもつ貫通孔12bを複数形成してもよい。
【0108】
更に、本実施例にあっては、前記カソード電極12の空洞内部をホローカソード放電の発生域とし得るよう、前記カソード電極12の前記貫通孔12bの形成方向に沿った空洞内部の対面距離、即ち図面では上下の高さHを、H≦5L(e) 又はH≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定している。但し、L(e) は所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程であり、Xは所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚みである。前記空洞内部の高さHは、X/20≦Hの範囲に設定することが好ましく、更には、X/5≦Hの範囲に設定することが好ましい。前記プラズマ発生条件のうちガス圧が上述したように10〜1400Paの範囲内にあり、且つ貫通孔11bの寸法が上述の範囲に有る場合には、空洞内部の高さHは0.1〜100mmに設定することが好ましく、更には空洞内部の高さHは1〜20mmに設定することがより好ましい。
【0109】
なお、図示例では前記空洞内部の高さHを一定にしているが、前記高さHは一定でなくてもよく、空洞内部の少なくとも一部において、前記高さHを上述した範囲内に設定すればよい。ホローカソード放電を空洞内部の略全域にわたって均一に発生させるために、印加電力の周波数に応じて、或いは、その他の条件によって、中心付近での空洞内部の高さHを小さくし外縁方向にその高さHを漸増させ、或いは、中心付近で高さHを大きくし外縁方向にその高さHを漸減させることが好ましい。
【0110】
また、図示例では前記カソード電極12は壁部が略均一な厚みをもち、全体が中空になっている空洞体であるが、周壁部を厚くし、中心部分のみを中空状にしたり、或いは局部的な中空部分を形成することもできる。また、その中空部分に凹部を形成することもできる。
【0111】
前記カソード電極12の上壁部12cの中心に円筒状のガス供給口12dを形成し、このガス供給口12dから前記カソード電極11の空洞内部に、モノシラン等の原料ガスと、プラズマの発生を促進すると共にプラズマを安定化し、且つ原料ガスを基板Sまで搬送するためのキャリアガスとの混合ガスを導入している。なお、このガス供給口12dは円筒状に限定されるものではなく、矩形筒状であってもよい。更に、同ガス供給口12dの形成位置も前記上壁部12cの中心に限定されるものではなく、任意の位置に、任意の個数、形成することが可能である。
【0112】
かかるガス供給口12dから前記カソード電極12の内部に導入された混合ガスは、前記貫通孔12bから前記プラズマ発生領域3内にシャワー状に導入される。このように、混合ガスを一旦、前記カソード電極12の内部に貯留したのち、前記貫通孔12bからシャワー状に前記プラズマ発生領域3内に導入することにより、前記混合ガスを均一の濃度及び圧力で前記プラズマ発生領域3内に導入することができる。
【0113】
なお、前記カソード電極12の空洞内部にはキャリアガスのみを導入して、原料ガスは別途、異なる導入口を設けて前記プラズマ発生領域3の内部、成膜処理領域4の内部、或いはプラズマ吹出口7の途中へと導入することもできる。
【0114】
前記カソード電極12に高周波電源Pにより高周波電力を投入すると、前記電極12,6間で放電が起こり、前記プラズマ発生領域3内にプラズマが発生する。印加する高周波電力に応じて通常のグロー放電からホローカソード放電を含む放電に移行する。このとき、前記カソード電極12は、前記貫通孔12bにホローカソード放電が発生し、同貫通孔12bにおいて新たなプラズマが発生すると共に、同カソード電極12の空洞内部においてもホローカソード放電が発生して新たなプラズマが発生している。そのため、前記プラズマ発生領域3内において発生するプラズマは密度の大きなプラズマとなり、成膜処理に寄与する活性種が増加するため、表面処理の速度が高められる。
【0115】
また、前記カソード電極12は空洞体であり、貫通孔12bを形成して同貫通孔12bと空洞内部とにプラズマを発生させているため、実質的にプラズマと接触するカソード電極12の表面積が、上述した第2実施例の場合よりも更に増大する。それにより、放電生成時における自己バイアスをよりプラスの側へともっていくことができ、接地されているアノード電極6近傍での原料ガスの励起、分解反応を促進し、表面処理の速度をより向上させることができる。
【0116】
更に、空洞体であるカソード電極12の空洞内部や前記貫通孔12bに磁場を形成するよう、適宜の個所に磁石を配することもできる。なおその際には、磁石の磁場は、磁力線の方向が上記貫通孔12bの軸線方向と平行になるように、また前記空洞内部では電極面と平行になるように、印加されることが望ましい。同磁石の強度は前記貫通孔及び空洞内部の中心において1〜2000mT、貫通孔及び空洞内部の内壁面及びその近傍で2〜2000mTとし、より好ましくは中心で5〜500mT、内壁面及びその近傍で5〜1000mTとする。
【0117】
このように貫通孔12bや空洞内部に磁場を形成することにより、そこに発生しているプラズマ内の電子の軌道を前記磁場により調整し、前記貫通孔12b及び空洞内部に電子を長く留まらせることができる。この電子の軌道調整により、電子のエネルギー(電子温度)を高めることなく、原料ガスへの電子の作用時間を長くできるため、活性種の生成が促進され、成膜速度が向上する。
【0118】
なお、磁場は全ての貫通孔12bに形成する必要は無く、選択されたいずれかにのみ磁場を形成することもできる。また、電磁石等の手段により磁場を形成することも可能である。
【0119】
更に、カソード電極12における貫通孔12b又はその空洞内部でのホローカソード放電により生じるプラズマ密度を大きくするために、前記貫通孔12bにおいてホローカソード放電を効率良く発生させる観点からは、前記貫通孔12bの長さTは大きいほうが有利であり、より強いプラズマを発生させることができる。しかしながら、前記カソード電極12の下壁部12aの厚みは、材料コストの観点からも空洞内部に導入されるガス圧及び印加電力に耐え得る最小の厚みにすることが望ましい。
【0120】
そのため、前記貫通孔12bの長さTを長くするためには、同貫通孔12bの周縁にノズル体を取り付けることが望ましい。なお、このノズル体は前記貫通孔12bからプラズマ発生領域3側へ突設してもよく、或いは空洞内部へ突設することもできる。更には両側へ突設してもよい。また、同ノズル体を磁石により構成することもできる。但し、磁石が直接プラズマに晒されることのないようにすることが好ましい。
【0121】
なお、ノズル体はその中心線を貫通孔12bの線と一致させて配してもよく、前記ノズル体の中心線を前記貫通孔12bの軸線に対して角度をもって配する、即ち、ノズル体を斜めに配することもできる。また、ノズル体は断面積が一定の筒体や、断面積を漸増又は漸減させる形状をもつ筒体、更にはチューブ状のノズル体をらせん状に配することもできる。かかるノズル体の変形については、上述したプラズマ吹出口7や凹部10aに取り付けられるノズル体にも適用が可能である。
【0122】
更に、プラズマが接触するカソード電極12の表面積を増大させるために、同カソード電極12の空洞内部をその高さ方向に延在する隔壁により仕切ることもできる。このように表面積を自在に調節することができるため、同カソード電極12の自己バイアスを自由に制御できる。なお、前記隔壁はカソード電極12の上下の壁部と密着していなくてもよく、隙間が形成され仕切られた各空間が連通していてもよい。
【0123】
仕切られた各空間にはそれぞれにガス供給口を設けることが望ましい。或いは、前記アノード電極の周壁部に開口する位置にガス供給口を形成することもでき、また、それら複数のガス供給口を組み合わせて複数形成することもできる。前記カソード電極12の前記ガス供給口からはキャリアガスのみを導入して、原料ガスは前記アノード電極のガス供給口、或いは別途、異なる導入口を設けて前記プラズマ発生領域3の内部、成膜処理領域4の内部、或いは前記プラズマ吹出口7の途中へと導入することもできる。
【0124】
カソード電極12が空洞体である上述した第5実施例では、図5に示すようにカソード電極12の空洞内部のほぼ全域においてホローカソード放電が発生している。しかしながら、前記カソード電極12の空洞内部の高さ寸法や、貫通孔12dの形状、数、及び配置、更には磁石の配置などによって、前記空洞内部の全域にわたってホロー放電が発生しない場合もあり、前記空洞内部の一部にのみホローカソード放電が発生し、或いは前記空洞内部において不均一にホローカソード放電が発生することもある。一般的傾向として、ホロー放電を起こしている貫通孔近傍の中空部分では、空洞内部でも他よりも明るいホロー放電が発生している。いずれの貫通孔12bにおいてもホロー放電が発生せず、空洞内部の少なくとも一部においてのみホロー放電が生じていても処理速度、品質ともに向上する効果がある。
【0125】
図6は、第6実施例による表面処理装置24の概略図である。同装置24は、カソード電極12′の空洞内部にホローカソード放電が発生しないように、同空洞内部の内壁面を絶縁体により構成している点で上述した第5実施例と異なるが、その他の構成は上記第5実施例の表面処理装置23と同一である。
【0126】
ただし、前記カソード電極12′の下壁部12a内面において一部電極を露出させてもよく、その場合には前記プラズマ発生領域3において発生したプラズマが貫通孔12bを通って空洞内部へと侵入し、その露出した電極面を這うことができる。それにより、プラズマが実質的に接触し得るカソード電極12′の表面積を増大させることができ、自己バイアスの増大を図ることができる。
【0127】
また、前記カソード電極12′の空洞内部にホローカソード放電を発生させないためには、上述のように内壁面を絶縁体で構成することの他にも、同空洞内部の高さHを高くする方法が挙げられるが、この高さHは、RFパワーやガス圧によっても変化するため、内壁面を絶縁体で構成する方法がより確実である。
【0128】
このようにプラズマの発生場所を制御できると共に、カソード電極12′のプラズマと接触する表面積をも調節でき、自己バイアスをも制御できるため、用途に応じた強さのプラズマを発生させることができる。
【0129】
なお、上述した空洞体であるカソード電極12の変形例として、例えば図7(a)に示す空洞体であるカソード電極15のように、空洞内部に連通する複数の貫通孔15bを有する下壁部15aと、上壁部15cとの間を、一以上の貫通孔15dを有する一以上の仕切り壁15eにより上下に複数段に仕切ることができる。また、このとき、図7(b)に示す空洞体であるカソード電極15′のように、下壁部15aに形成された複数の貫通孔13bと、仕切り壁15eに形成された複数の貫通孔15dとが、上下方向に互いに重ならないようにそれぞれの貫通孔15b,15dを形成することが好ましい。
【0130】
また、各貫通孔15b,15dの数を下壁部15aと仕切り壁15eとの間で異ならせてもよい。また、各貫通孔15b,15dの開口寸法も下壁部15aと仕切り壁15eとで異ならせてもよく、更には、下壁部15aの複数の貫通孔15bや、仕切り壁15eの複数の貫通孔15dにおいても、全て均一の開口寸法とする必要はなく、開口寸法を中心部分から外縁方向に漸減又は漸増させるように変化させることもできる。
【0131】
上述した空洞体であるカソード電極12の更に他の変形例として、図7(c)に示す空洞体からなるカソード電極16のように、複数の中空電極部材16aを連結口16bにより上下に複数段に連結することもできる。なお、図示された空間の任意の点がホロー放電プラズマの発生域となり得る。
【0132】
なお、上述したいずれの実施例も表面処理装置の上方にプラズマ発生領域3を、その下方に基板処理領域4を設けているが、これら実施例とは逆に、下方にプラズマ発生領域を配して、その上方に基板処理領域を設け、プラズマを下方から上方へと流出させるタイプの装置とすることも可能である。更には、表面処理装置のケーシング内に左右にプラズマ発生領域と基板処理領域とを水平に配し、プラズマを横方向に流出させるタイプの装置とすることも可能である。いずれの場合にあっても、基板はプラズマ吹出口に対向させてプラズマの流出方向に直交して配することができ、或いは、基板をプラズマの流出方向と平行に配することも可能である。また、プラズマ発生手段も一対のプラズマ発生電極に限定されるものではなく、例えば三極以上の電極を有する放電、マイクロ波放電や容量結合型放電、誘導結合型放電、PIG放電、電子線励起放電によるプラズマ発生手段なども採用できる。
【0133】
図8(a)及び図8(b)に示すように、ホローカソード放電が発生するカソード電極10,12のアノード電極側及び/又はその反対側の近傍に、他の電極13を配することもできる。他の電極13はカソード電極10に形成された凹部10a又は空洞体であるカソード電極12に形成された貫通孔12bの開口幅Wよりも小さな開口幅をもつ小孔13aが多数形成されている。或いは、前記他の電極13はメッシュ状であってもよい。なお、ホローカソード放電が発生する貫通孔を有するカソード電極の場合であっても、同様に、前記貫通孔の開口幅Wよりも小さな小孔が多数形成された他の電極を配することもできる。
【0134】
他の電極13はフローティング状態を含む任意の電圧にバイアスされており、特に好ましくは、接地されているアノード電極6の電圧とプラズマが有する空間電位の最大値との間の電圧値に設定され、或いは、ホローカソード放電が発生しているカソード電極10の電圧とプラズマの有する空間電位の最大値との間の電圧値に設定されている。
【0135】
更に、前記他の電極13に形成されている小孔13aを図8に示すように、カソード電極10,12の凹部10a又は貫通孔12bに対応する位置に形成すれば、電子が更にホローカソード放電域に閉じ込められて、いっそう大電流の放電である超高密度ホローカソード放電が可能になる。
【0136】
或いは、図9(a)及び9(b)に示すように、カソード電極10″に形成された凹部10a″や、カソード電極12″に形成された貫通孔12b″において、開口部分の面積が前記凹部10a″や貫通孔12b″の他の部分の断面積よりも十分小さく形成することにより、電子をホローカソード放電域である前記凹部10a″や前記貫通孔12b″内または中空部に効率よくに閉じ込めることができる。なお、同図では前記凹部10a″や貫通孔12b″はその上半部が円柱状で下半部が半球状であるが、円錐状や角錐状、更には紡錘形状としてもよい。
【0137】
図10は本発明の第7実施例である表面処理装置25の概略図である。同装置25は、カソード電極5と対向して平行に配されたアノード電極として機能するプレート部材14が空洞体である点で上述した第1実施例と異なるが、その他の構成は上記第1実施例の表面処理装置1と略同一である。
【0138】
前記アノード電極14はその中心に、上壁部14aと下壁部14bとを一直線上に貫通する単一のプラズマ吹出口7が形成されている。更に、本実施例にあっては、前記アノード電極14の空洞内部をホローアノード放電の発生域とし得るよう、前記空洞内部の前記プラズマ吹出口7の形成方向に沿った対面距離、即ち図では上下壁部14a,14b間の高さHを、H≦5L(e) 又はH≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定している。但し、L(e) は所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程であり、Xは所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚みである。前記空洞内部の高さHは、X/20≦Hの範囲に設定することが好ましく、更には、X/5≦Hの範囲に設定することが好ましい。
【0139】
本実施例においては、プラズマ吹出口7におけるホローアノード放電に加え、更に、アノード電極14の空洞内部においてホローアノード放電が発生し、前記アノード電極14の空洞内部においても新たなプラズマが発生している。そのため、基板Sへと到達するプロセスプラズマの密度が更に高まり、成膜処理に寄与する活性種が増加するため、表面処理速度が向上すると共に、その処理品質も更に向上する。もちろん、いずれか一方においてのみ、ホロー放電を発生する場合であっても、従来よりも処理速度、品質ともに向上する。
【0140】
なお、図示例では前記アノード電極14の空洞内部の高さHを一定にしているが、前記高さHは一定でなくてもよい。ホローアノード放電を空洞内部の略全域にわたって均一に発生させるために、印加電力の周波数に応じて、或いは、その他の条件によって、中心付近での空洞内部の高さHを小さくし外縁方向にその高さHを漸増させ、或いは、中心付近で高さHを大きくし外縁方向にその高さHを漸減させることが好ましい。
【0141】
或いは、前記アノード電極14は空洞内部全体においてホローアノード放電を発生させる必要は無く、少なくとも一部においてホローアノード放電を発生させることができれば、表面処理の品質及び処理速度の向上が認められる。
【0142】
図11は上述した空洞体であるアノード電極14の変形例である。上述したアノード電極14は中心に単一のプラズマ吹出口7を貫通して形成していたが、図11に示すアノード電極14′のように、上壁部14aと下壁部14bとにそれぞれ空洞内部に連通する、プラズマ吹出口としての複数の貫通孔14cを形成することも可能である。なおこの場合、上壁部14aの貫通孔14cと下壁部14bの貫通孔14cとは上下に一直線上に並ばないように互いにずらして形成することが好ましい。更に、貫通孔14cを図17〜図20の配列で形成することが好ましい。
【0143】
また、複数の前記貫通孔14cは開口幅Wが全て同一でなくてもよく、複数の前記貫通孔14cにおいて均一にホローアノード放電を発生させるために、適宜、異なる開口幅Wに設定することができる。特に、印加電力の周波数に応じて、或いは、その他の条件によって、中心付近の貫通孔14cは開口幅Wを小さくし外縁方向にその開口幅Wを漸増させ、或いは、中心付近で開口幅Wを大きくし外縁方向にその開口幅Wを漸減させることが好ましい。
【0144】
また、前記貫通孔14cの長さT、すなわち本実施例の場合には前記下壁部14aの厚みTは概ねX/50を下限とする。上限は装置寸法上の制約によって決定される。この貫通孔14cの長さTは上述したガス圧及び直径の場合には、0.1〜70mmが好ましい。
【0145】
なお、本実施例にあっては前記貫通孔14cは円形断面であるが、他にも楕円形、矩形、多角形、不定形状など任意の形状とすることができる。断面積も一定でなくてもよく、軸線方向に断面積を変化させてもよい。更には、前記貫通孔14cを断面が矩形状のスリット構造としたり、或いは図21に示すような渦巻き形状、蛇行状などの一次元的広がりをもつスリット構造とすることもできる。このようなスリット構造とする場合には、その貫通孔14cの開口幅Wとはスリット幅であり、このスリット幅を上述の範囲内で設定する。また、前記貫通孔14cの内壁面に部分的な凹凸を形成してもよい。複数の前記貫通孔14cは、互いに同一寸法及び同一形態とする必要は無く、異なる寸法及び形態をもつ貫通孔14cを複数形成してもよい。
【0146】
前記アノード電極14′には、前記貫通孔14cの内壁面や空洞内部に開口するガス供給口8′を形成することができる。例えば成膜処理の場合には、前記プラズマ発生領域3へはキャリアガスのみを導入し、前記アノード電極14′のガス供給口8′からはモノシラン等の原料ガスを導入することにより、同原料ガスの不要な空間での分解を防止し、原料ガスを効率よく成膜処理に寄与させることができる。なお、複数の貫通孔14cの全てにガス供給口8′を設けることもでき、或いは一部の貫通孔14cにのみガス供給口8′を設けることもできる。更に、空洞内部の内壁面には複数のガス供給口8′を開口させることもできる。
【0147】
更に、アノード電極14′における空洞内部及び貫通孔14cでのホローアノード放電により生じるプラズマ密度を大きくする変形例を、図12及び図13に示す。
先ず、前記貫通孔14cにおいてホローアノード放電を効率良く発生させる観点からは、前記貫通孔14cの長さTは大きいほうが有利であり、より強いプラズマを発生させることができる。しかしながら、前記アノード電極の上下壁部14a,14bの厚みは、材料コストの観点からも空洞内部に導入されるガス圧及び印加電力に耐え得る最小の厚みにすることが望ましい。
【0148】
そのため、前記貫通孔14cの長さTを長くするためには、下壁部14bの貫通孔14cの周縁にノズル体17を取り付けることが望ましい。なお、このノズル体17は前記貫通孔14cから基板処理領域4側へ突設してもよく、或いは空洞体14aの内部へ突設することもできる。更には両側へ突設してもよい。また、同ノズル体17を図12に示すように磁石11によって構成することもできる。このとき、磁石11は直接プラズマに晒されないように配することが好ましい。
【0149】
なお、図12に示すノズル体17はいずれも、その中心線を貫通孔14cの線と一致させて配しているが、前記ノズル体17の中心線を前記貫通孔14cの軸線に対して角度をもって配する、即ち、ノズル体17を斜めに配することもできる。また、図12に示すノズル体17は断面積が一定の筒体であるが、かかる形状に限定されるものではなく、その断面積を漸増又は漸減させる形状をもつ筒体であってもよい。更にはチューブ状のノズル体をらせん状に配することもできる。
【0150】
更に、プラズマが接触するアノード電極14′の表面積を増大させるために、前記アノード電極14′の空洞内部に、上下方向に延びる隔壁や水平方向に延びる隔壁を設けて、内部を複数室に分割することもできる。なお、内部の分割された各室に形成されている貫通孔14cは全て同一であってもよく、或いは異ならせることもできる。また、上下方向に延びる前記隔壁は、前記上下壁部14a,14bとの間に隙間が形成され、各室が連通していてもよい。
【0151】
また、前記アノード電極14′には、図13に示すように、プラズマ吹出口である前記貫通孔14cや空洞内部に磁場を付与するように磁石11を各貫通孔14cの内周面、前記上下壁部14a,14b、或いは周壁部に埋設したり、それらの近傍に配することができる。前記磁石11は、その磁力線の方向が貫通孔14cの軸線方向と平行になるように磁場が印加されるよう、或いは磁力線の方向が前記上下壁部14a,14bと平行になるように磁場が印加されるよう、配されていることが好ましい。
【0152】
このように貫通孔14cや空洞内部に磁場を形成することにより、そこに発生しているプラズマ内の電子の軌道を前記磁場により調整し、前記貫通孔14cや空洞内部に電子を長く留まらせることができる。この電子の軌道調整により、電子のエネルギー(電子温度)を高めることなく、原料ガスへの電子の作用時間を長くできるため、活性種の生成が促進され、成膜速度が向上する。この図12及び図13に示す構造は、図2〜図9に示すカソード電極10,10′,10″,12,12′,12″,15,15′,16において適用しても同様の効果が得られる。
【0153】
なお、上述したアノード電極であるプレート部材14が空洞体である本第7実施例の表面処理装置25において、カソード電極5を上述した第2〜第6実施例に示すようなホローカソード放電域を有するカソード電極10,12に変更することも勿論、可能である。その場合には、それぞれ上述した各実施例での作用効果を兼ね備えており、ホローアノード放電やホローカソード放電によって、プロセスプラズマの密度が高まり、各種処理速度が著しく向上する。
【0154】
図14は本発明の第8実施例である表面処理装置26の概略図である。同表面処理装置40は、空洞体からなり、アノード電極でもあるプレート部材18の内部が基板処理領域4′を構成している。
空洞体からなるアノード電極18は上壁部18aの中心に貫通孔18bが形成されており、この貫通孔18bがプラズマ吹出口を構成している。また、同アノード電極18の下壁部18cの内面中央部分が基板支持台を構成すると共に、同下壁部18cの周縁部分には複数の排気口18dが形成されている。また、同下壁部18cの中央部分には基板の加熱手段を内装させることもできる。なお、アノード電極18内の基板の支持位置や排気口18dの形成位置は上述のものに限定されるものではなく、任意の位置を選択できる。
【0155】
本実施例にあっては、前記アノード電極18の貫通孔18bをホローアノード放電の発生域とし得るよう、前記貫通孔18bの開口幅Wを、W≦5L(e) 又はW≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定している。更に前記開口幅Wは、X/20≦Wの範囲に設定することが好ましく、X/5≦Wの範囲に設定することがより好ましい。また、本施例にあっては、前記アノード電極18の空洞内部をもホローアノード放電の発生域とし得るよう、前記空洞内部の高さHを、H≦5L(e) 又はH≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定している。前記空洞内部の高さHも、X/20≦Hの範囲に設定することが好ましく、更には、X/5≦Hの範囲に設定することが好ましい。
【0156】
但し、L(e) は所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程であり、Xは所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚みである。
【0157】
同基板処理装置26では、基板処理領域4′をアノード電極18の空洞内部に形成し、このアノード電極18の空洞内部にはホローアノード放電を発生させているため、基板Sの処理に寄与するプラズマの密度が極めて高まり、処理速度も著しく向上する。但し、この基板処理装置26では、プラズマによる基板Sへのイオンダメージが大きいため成膜処理にはどちらかといえば不適であり、同装置26はエッチング、アッシング又はイオンドーピングの処理により適している。
【0158】
図15及び図16は基板処理領域4′を構成する空洞体からなるプレート部材(アノード電極)の変形例である。図15に示すアノード電極18′は上壁部18aにプラズマ吹出口を構成する複数の貫通孔18bが形成されている点で上述のアノード電極18とは異なる。なお、前記貫通孔18bは図17〜図20に示すような配置で形成することが好ましい。
【0159】
この複数の貫通孔18bは、本実施例にあっては円形断面であるが、他にも楕円形、矩形、多角形、不定形状など任意の形状とすることができる。断面積も一定でなくてもよく、軸線方向に断面積を変化させてもよい。更には、前記貫通孔18bを断面が矩形状のスリット構造としたり、或いは図21に示すような渦巻き形状、蛇行状などの一次元的広がりをもつスリット構造とすることもできる。このようなスリット構造とする場合には、その貫通孔18bの開口幅Wとはスリット幅であり、このスリット幅を上述の範囲内で設定する。また、前記貫通孔18bの内壁面に部分的な凹凸を形成してもよい。複数の前記貫通孔18bは、互いに同一寸法及び同一形態とする必要は無く、異なる寸法及び形態をもつ貫通孔18dを複数形成してもよい。
【0160】
また、図16に示すアノード電極18″は、プラズマ吹出口である前記貫通孔18bや排気口18d、空洞内部に磁場を付与するように磁石11を各貫通孔18bや排気口18dの内周面、前記空洞内部の上下壁部18a,18c、或いは周壁部に埋設したり、それらの近傍に配することができる。前記磁石11は、その磁力線の方向が貫通孔18bや排気口18dの軸線方向と平行になるように磁場が印加されるよう、或いは磁力線の方向が前記上下壁部18a,18dと平行になるように磁場が印加されるよう、配されていることが好ましい。なお、同図16は磁石の配置の多様な具体例を一図に示しているものであり、磁石の配置は一部のみであってもよい。
【0161】
このようにプラズマ吹出口である貫通孔18bや空洞内部に磁場を形成することにより、そこに発生しているプラズマ内の電子の軌道を前記磁場により調整し、前記貫通孔18bや空洞内部に電子を長く留まらせることができる。この電子の軌道調整により、電子のエネルギー(電子温度)を高めることなく、原料ガスへの電子の作用時間を長くできるため、活性種の生成が促進され、成膜速度が向上する。電極18においても仕切り板や図12に示すノズル体などの上述した構成を取り得る。
【0162】
以上説明した本発明の各種実施例及び変形例では、プラズマ発生電極には高周波電源Pにより高周波電力を投入しているが、直流電源により直流電圧を印加することもできる。或いは、それぞれ直流や交流の電源又はパルス電源によってバイアスを印加してもよい。
また、表面処理領域4に配された基板Sとプラズマ吹出口7との間にメッシュ状の電極を設置してトライオード型に構成し、また様々なバイアスを印加することも可能である。更には、ノズル体或いは貫通孔部にのみ直流、交流又はパルス電源によりバイアスを印加してもよい。この場合には、ノズル体或いは貫通孔部のみが電極の他の部分に対して電気的に絶縁される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である表面処理装置の概略図である。
【図2】本発明の第2実施例である表面処理装置の概略図である。
【図3】本発明の第3実施例である表面処理装置の概略図である。
【図4】本発明の第4実施例である表面処理装置の概略図である。
【図5】本発明の第5実施例である表面処理装置の概略図である。
【図6】本発明の第6実施例である表面処理装置の概略図である。
【図7】空洞状のカソード電極の他の態様を示す概略図である。
【図8】本発明の他の実施例による表面処理装置におけるカソード電極部分の概略図である。
【図9】本発明の更に他の実施例による表面処理装置におけるカソード電極部分の概略図である。
【図10】本発明の第7実施例である表面処理装置の概略図である。
【図11】上記第7実施例におけるアノード電極の変形例を示す概略図である。
【図12】上記第7実施例におけるアノード電極の他の変形例を示す概略図である。
【図13】上記第7実施例におけるアノード電極の更に他の変形例を示す概略図である。
【図14】本発明の第8実施例である表面処理装置の概略図である。
【図15】上記第8実施例におけるアノード電極の変形例を示す概略図である。
【図16】上記第8実施例におけるアノード電極の他の変形例を示す概略図である。
【図17】多数の貫通孔又は凹部の配置例を示す図である。
【図18】多数の貫通孔又は凹部の他の配置例を示す図である。
【図19】多数の貫通孔又は凹部の更に他の配置例を示す図である。
【図20】多数の貫通孔又は凹部の更に他の配置例を示す図である。
【図21】渦巻き状の貫通孔又は凹部の説明図である。
【符号の説明】
1,20〜26 表面処理装置
2 ケーシング
2a 上壁
3 プラズマ発生領域
4 基板処理領域
5 カソード電極
6 プレート部材(アノード電極)
7 プラズマ吹出口
8 ガス供給口
9 基板支持台
10 カソード電極
10a 凹部
11 磁石
12 カソード電極
12a 下壁部
12b 貫通孔
12c 上壁部
12d ガス供給口
13 他の電極
13a 小孔
14 アノード電極
14a 上壁部
14b 下壁部
14c 貫通孔
15 カソード電極
15a 下壁部
15b 貫通孔
15c 上壁部
15d 貫通孔
15e 仕切り壁
16 カソード電極
16a 中空電極部材
16b 連結口
17 ノズル体
18 アノード電極
18a 上壁部
18b 貫通孔
18c 下壁部
18d 排気口
S 基板
P 高周波電源

Claims (11)

  1. プラズマ発生手段、原料ガス導入口、及び基板支持台を備えたケーシング内に、前記プラズマ発生手段によりプラズマを発生させて原料ガスをプラズマ化し、前記基板支持台上に載置された基板表面をプラズマ処理する表面処理装置であって、
    前記プラズマ発生手段を備えたプラズマ発生領域と前記基板支持台を備えた基板処理領域との間に、一以上のプラズマ吹出口を有するアノード電極が前記ケーシングの内壁面から離間して介装されており、
    少なくとも一の前記アノード電極は一以上のホロー放電発生域を有してなる
    ことを特徴とする表面処理装置。
  2. プラズマ発生手段、原料ガス導入口、及び基板支持台を備えたケーシング内に、前記プラズマ発生手段によりプラズマを発生させて原料ガスをプラズマ化し、前記基板支持台上に載置された基板表面をプラズマ処理する表面処理装置であって、
    前記プラズマ発生手段を備えたプラズマ発生領域と前記基板支持台を備えた基板処理領域との間に、一以上のプラズマ吹出口を有するアノード電極が前記ケーシングの内壁面から離間して介装されており、
    前記プラズマ発生領域には一以上のホロー放電発生域を有するホロープラズマ発生電極が配されてなる
    ことを特徴とする表面処理装置。
  3. プラズマ発生手段、原料ガス導入口、及び基板支持台を備えたケーシング内に、前記プラズマ発生手段によりプラズマを発生させて原料ガスをプラズマ化し、前記基板支持台上に載置された基板表面をプラズマ処理する表面処理装置であって、
    前記ケーシングは、前記プラズマ発生手段を備えたプラズマ発生領域と前記基板支持台を備えた基板処理領域との間に一以上のプラズマ吹出口を有するアノード電極が前記ケーシングの内壁面から離間して介装されており、
    少なくとも一の前記アノード電極は一以上のホロー放電発生域を有してなり、
    前記プラズマ発生領域には一以上のホロー放電発生域を有するホロープラズマ発生電極が配されてなる
    ことを特徴とする表面処理装置。
  4. 少なくとも一の前記プラズマ吹出口における最小部分の開口幅W(1) は、W(1) ≦5L(e) 又はW(1) ≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理装置。
    但し、L(e) :所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程
    X :所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚み
  5. 前記ホロープラズマ発生電極は、プラズマ発生手段により発生したプラズマとの対向面に一以上の凹部を有してなり、少なくとも一の前記凹部が前記ホロー放電発生域とされてなる請求項2又は3記載の表面処理装置。
  6. 前記ホロープラズマ発生電極は空洞体であって、同電極はプラズマ発生手段により発生したプラズマとの対向部分に空洞内部に連通する1以上の貫通孔を有してなり、少なくとも一の前記貫通孔が前記ホロー放電発生域とされてなる請求項2又は3記載の表面処理装置。
  7. 前記凹部又は前記貫通孔における最小部分の開口幅W(2) は、W(2) ≦5L(e) 又はW(2) ≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定されてなる請求項5又は6記載の表面処理装置。
    但し、L(e) :所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程
    X :所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚み
  8. 前記ホロープラズマ発生電極は空洞体であって、同電極はプラズマ発生手段により発生したプラズマとの対向部分に空洞内部に連通する1以上の貫通孔を有してなり、空洞内部の少なくとも一部がホロー放電の発生域とされてなる請求項2、3又は6記載の表面処理装置。
  9. 前記ホロープラズマ発生電極の前記貫通孔の形成方向に沿った空洞内部の少なくとも一部における対面距離Hは、H≦5L(e) 又はH≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定されてなる請求項8記載の表面処理装置。
    但し、L(e) :所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程
    X :所望のプラズマ発生条件下において発生するシース層の厚み
  10. 前記プラズマ吹出口の近傍、及び/又は凹部、貫通孔の近傍、及び/又は前記空洞内部に磁場が形成されてなる請求項1〜9のいずれかに記載の表面処理装置。
  11. 前記基板に所望の電位を印加するための電位印加手段を備えてなる請求項 1〜10のいずれかに記載の表面処理装置。
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