JP4212199B2 - ゼオライト複合セルロース球状微粒子、その製造方法およびこれを用いた水処理剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼオライト複合セルロース球状微粒子、その製造方法およびゼオライト複合セルロース球状微粒子を用いた水処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゼオライトは、固有の均一な細孔をもつ結晶性物質であり、分子ふるい作用、イオン交換能、固体酸などの特異な作用を有する機能材料である。ゼオライトの表面の性質は、ゼオライト骨格中のSi/Al比、交換イオン種などを変えることにより、親水性から疎水性まで大幅に変化させることができる。
【0003】
例えば、A型ゼオライトなどの骨格中のSi/Al比の低いゼオライトは、親水性が強いために乾燥剤などとして、X型ゼオライトなどでは、その細孔に応じた分子ふるい効果から、キシレンの異性化などに用いられている。また、ハイシリカゼオライトは、Si/Al比が大きくなるにつれて表面の疎水性が増し、水をほとんど吸着しない代わりに、有機物質を選択的に吸着するようになる。例えば、特開昭62−183897号公報には、有機物質吸着剤などへの応用が提案されている。
【0004】
しかし、ゼオライトは、粒径が数〜数十μmと非常に細かい粒子であるため、吸着剤や触媒として使用すると種々の問題点がある。例えば乾燥体で使用する場合、飛散しやすいという問題がある。また、液中で使用する場合、ろ材の目詰まりなどが起こり固液分離が困難であるという問題がある。さらに、ゼオライトをカラムに充填して連続式処理に供する場合、圧力損失が極めて大きくなるため、連続式処理に適さないという問題がある。
【0005】
ゼオライトの中でも骨格中のSi/Al比の低いA型ゼオライト、X型ゼオライトなどについては、粘土などの結合剤で柱状などに造粒したもの(モレキュラーシーブ)が市販されている。これらの中には、ハンドリング性能に優れた球状のものもあるが、粒径が約2mm程度とカラム充填するには大きすぎる。また、造粒後、粉砕することで粒径を小さくしたものもあるが、不定形であるため、カラムへの充填効率は著しく低い。
【0006】
一方、ゼオライトの特性を生かし、ハンドリング性能に優れたものを提供するために、ゼオライトとポリマーとの複合体が知られている。特公昭63−54013号公報には、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイトなどの比較的Si/Al比の低いゼオライトと非ハロゲン化有機ポリマーとの複合体について開示されている。これらの複合体は、殺菌剤としての利用のため、ポリマー中のゼオライト含有率は高くはない。このため、これらの複合体を吸着剤などとして使用するにはゼオライト含有率が低すぎるため、吸着能が十分に発揮されない。また、複合体のゼオライト含有率が少ないと、ゼオライトがポリマーマトリックス中に埋もれてしまい、有効に働くゼオライトの割合が低下するなどの問題がある。
【0007】
特開平4−122743号公報には、抗菌性セルロース粒子として、ゼオライトとセルロースとからなる複合粒子に金属イオンを担持させたものが開示されている。しかし、この複合粒子は、平均粒径が5〜500μm程度と小さいだけでなく、相分離法による製法のため粒度分布が大きくなるという欠点がある。このため、カラムやタンクなどへ充填した際、小径粒子が粒子間隙を塞いで十分な流量が得られないだけでなく、圧力損失が大きくなってしまい粒子が破壊されるなどの問題が生じる。
【0008】
また、ハイシリカゼオライトの球状粒子については、今のところ工業的には製造できず、ハイシリカゼオライトの疎水性などの特性をうまく利用しきれていない。このため、水処理剤などのハイシリカゼオライトの疎水性を利用した吸着剤への応用に関しては、ハンドリング性能の良い造粒物、より好ましくは球状の粒子が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題を解決し、ハンドリング性能が良く、ゼオライトの吸着性能が殆ど劣化しないゼオライト複合セルロース球状微粒子、その製造方法およびゼオライト複合セルロース球状微粒子を用いた水処理剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の発明を見いだし、本発明を完成した。
▲1▼ ゼオライトを10〜90重量%含有するセルロース球状微粒子であって、その平均粒径が100〜1500μmであり、かつロージン−ラムラーの分布関数の指数が3以上の均一な粒度分布であることを特徴とするゼオライト複合セルロース球状微粒子。
▲2▼ ゼオライトの骨格内のアルミニウム1分子に対するケイ素分子の割合(Si/Al比)が5以上のハイシリカゼオライトである▲1▼記載のゼオライト複合セルロース球状微粒子。
▲3▼ ゼオライトがZSM−5型ゼオライト、ZSM−11型ゼオライト、シリカライト、合成モルデナイト、骨格内アルミニウムを脱離させたY型ゼオライト、骨格内アルミニウムを脱離させたクリノプチロライト、および骨格内アルミニウムを脱離させたモルデナイトからなる群より選択される少なくとも1種のハイシリカゼオライトであり、セルロースがアルカリ型セルロース溶液から再生したセルロースである▲1▼または▲2▼記載のゼオライト複合セルロース球状微粒子。
▲4▼ アルカリ型セルロース溶液のゼオライト分散液を酸性溶液によって凝固して、再生させることを特徴とするゼオライト複合セルロース球状微粒子の製造方法。
▲5▼ ▲1▼〜▲3▼のいずれかに記載ゼオライト複合セルロース球状微粒子からなる水処理剤。
▲6▼ ▲5▼記載の水処理剤を用いる水処理方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子に使用できるゼオライトとしては、特に制限はなく、公知のゼオライトが使用できる。ゼオライト骨格中のアルミニウム1分子に対するケイ素分子の割合(Si/Al比)についても、種々の値を有するゼオライトが使用できる。具体的には、A型ゼオライト(Si/Al比:1)、X型ゼオライト(Si/Al比:1.0〜1.5)、Y型ゼオライト(Si/Al比:1.5〜3.0)、ZSM−5型ゼオライト(Si/Al比:10以上)、ZSM−11型ゼオライト(Si/Al比:10以上)、シリカライト(Si/Al比:無限大)、合成モルデナイト(Si/Al比:4.5〜12)などの合成ゼオライトや天然モルデナイト(Si/Al比:4.2〜5.0)、天然クリノプチロライト(Si/Al比:4.25〜5.25)などの天然ゼオライトなどが挙げられる。また、これらの合成ゼオライトや天然ゼオライトの骨格内アルミニウムを脱離させたゼオライトも使用できる。例えば、骨格内アルミニウムを脱離させたY型ゼオライト、骨格内アルミニウムを脱離させたクリノプチロライト、および骨格内アルミニウムを脱離させたモルデナイトなどが挙げられる。骨格内アルミニウムを脱離させたY型ゼオライト、骨格内アルミニウムを脱離させたクリノプチロライト、および骨格内アルミニウムを脱離させたモルデナイトについては、公知の方法により、骨格内アルミニウムの脱離条件を変えることで、任意の値のSi/Al比のものを作ることができる。これらのゼオライトの粒径は、数十μm以下であることが好ましい。
【0012】
ゼオライトは、使用する目的により、選択できる。金属イオン交換などのようにゼオライトの親水性を利用したい場合には、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、天然モルデナイト、天然クリノプチロライトなどのSi/Al比が比較的低いゼオライトを使用する。また、有機物質の除去のようにゼオライトの疎水性を利用したい場合には、Si/Al比の高いハイシリカゼオライトを利用する。好ましくは、Si/Al比が5以上、より好ましくはSi/Al比が8以上のハイシリカゼオライトである。Si/Al比が5以上のハイシリカゼオライトの具体例としては、ZSM−5型ゼオライト、ZSM−11型ゼオライト、シリカライト、合成モルデナイト、骨格内アルミニウムを脱離させたY型ゼオライト、骨格内アルミニウムを脱離させたクリノプチロライト、および骨格内アルミニウムを脱離させたモルデナイトなどが挙げられる。これらのゼオライトは、単独でも、二種以上を組み合わせても使用できる。
【0013】
本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子には、ゼオライトを10〜90重量%、好ましくは30〜80重量%含有する。ゼオライトの含有量が10重量%より少ないと、ゼオライトの吸着能力が十分でなく、90重量%より多いと、複合セルロース球状微粒子からのゼオライトの脱落が起こり易くなり、望ましくない。
特に、ハイシリカゼオライトを使用する場合、ゼオライト複合セルロース球状微粒子中のハイシリカゼオライトの含有量を50重量%以上と高くした場合は、ゼオライト複合セルロース球状微粒子中のゼオライト近傍には、セルロースで覆われていない空隙が存在し、吸着対象物質の移動がよりスムーズになるため、ハイシリカゼオライトの吸着容量のほとんどが劣化せずに吸着剤として有効に働く。
【0014】
セルロース球状微粒子のセルロース原料は、特に制限されるものではなく、例えば、パルプ、リンター、綿、麻、微生物産生セルロース、再生セルロース、古紙などが使用できる。
【0015】
本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子は、その平均粒径が100〜1500μm、好ましくは200〜1000μmである。平均粒径が100μmより小さければ、カラムやタンクなどへ充填した際圧力損失が大きくなり、平均粒径が1500μmより大きければ、表面積が小さくなり、処理効率が低下するので望ましくない。本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子の形状は、真球状のみならず、楕円球状であってもよい。
なお、本明細書中で、ゼオライト複合セルロース球状微粒子の平均粒径とは、該微粒子を球とみなして、個々の微粒子の径をレーザ光による回折・散乱により求めた球相当径のモード径(最頻度粒子径)をいう。
【0016】
本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子は、ロージン−ラムラーの分布関数の指数が3以上、好ましくは4以上の均一な粒度分布である。すなわち、本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子は、上記の平均粒径の範囲にある微粒子が均一に存在していることを意味する。従って、カラムやタンクなどへ充填した際、小径粒子が粒子間隙を塞がないので、十分な流量が得られる。
なお、本明細書中で、ゼオライト複合セルロース球状微粒子のロージン−ラムラー(Rosin−Rammler)の分布関数の指数nは、次式
R(Dp)=100・exp(−bDpn )
ただし、R(Dp):積算ふるい上重量%
Dp:粒径
b:定数
より求められ、nの値が大きいほど、粒径分布範囲は狭くなる。
【0017】
本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子の製造方法は、特に制限されるものではなく、セルロース球状微粒子を製造する際に、ゼオライトを含有させた状態で、セルロースを凝固、再生させる方法や、あらかじめ製造したセルロース球状微粒子の実体内でゼオライトを生成させて担持する方法などによる。
いずれの方法で本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子を製造するにしても、ロージン−ラムラーの分布関数の指数を3以上にするためには、セルロース球状微粒子は、例えばセルロース溶液を高速で回転する回転容器に供給して、この回転容器に形成した直径0.1〜5.0mmの範囲内の所定の孔径の吐出孔から、遠心加速度10〜1000Gの遠心力でセルロース溶液を飛散させて液滴を形成し、この液滴を凝固液に捕捉させて凝固する特開平10−182842号公報に記載された方法などで製造するのが好ましい。
【0018】
セルロース球状微粒子を製造する際に、ゼオライトを含有させた状態で、凝固、再生させる方法は、例えば以下のようにする。この方法は、ハイシリカゼオライトのように比較的耐酸性に優れたゼオライトや天然ゼオライドとセルロース球状微粒子との複合体を製造するのに適する。
【0019】
すなわち、アルカリ型セルロース溶液のゼオライト分散液を酸性溶液によって凝固して、再生させることにより得られる。
【0020】
アルカリ型セルロース溶液としては、ビスコース、セルロース銅アンモニア溶液、セルロースカルバメート溶液などが挙げられる。好ましくは大量に製造され、安価であるなどの理由から、セロハン製造用のビスコースである。
【0021】
アルカリ型セルロース溶液としてビスコースを用いる場合のセルロース濃度は、特に制限されないが、好ましくは3〜15重量%である。セルロース濃度が、3重量%未満であると、得られた粒子の強度が弱くなり、15重量%を越えると、溶液の粘度が著しく増加し、取り扱いが困難になる。
アルカリ濃度は、特に制限されないが、好ましくは水酸化ナトリウム換算で2〜15重量%、より好ましくは5〜13重量%である。また、このビスコースの塩化アンモニウム価は、3〜12が好ましく、4〜9がより好ましい。
【0022】
ビスコース中のセルロース分に対するゼオライトの混合割合は、セルロース1重量部に対して、0.12〜15重量部、好ましくは0.7〜10重量部である。このような割合でゼオライトを混合することで、ゼオライトを10〜90重量%含有するセルロース球状微粒子を得ることができる。
【0023】
アルカリ型セルロース溶液とゼオライトとの分散方法については、特に制限はなく、例えば攪拌機や混練り機などで攪拌しているアルカリ型セルロース溶液中に直接ゼオライトを添加してもよく、ゼオライトを水や水酸化ナトリウム溶液に予め分散させたものをアルカリ型セルロース溶液に添加してもよい。添加順序についても特に制限はない。また、必要に応じて陰イオン界面活性剤などの適当な分散剤を用いてもよい。
【0024】
アルカリ型セルロース溶液とゼオライトとの分散液は、例えば特開平10−182842号公報に記載されているように、高温で回転する回転容器に供給し、この回転容器に形成した直径0.1〜5.0mmの孔径の吐出孔から、遠心加速度10〜1000Gの遠心力で飛散させて液滴を形成し、この液滴を0.1〜4N、好ましくは0.5〜2Nの塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、酢酸、安息香酸などの有機酸などの酸性溶液中で凝固して、再生させることで、本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子を得ることができる。
【0025】
また、上記アルカリ型セルロース溶液とゼオライトとの分散液を加圧してノズルより押し出し、液滴状態で酸性凝固再生浴上に落下させて、凝固して、再生させることでも、本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子を得ることができる。
【0026】
特に、0.5〜2Nの酸性溶液中で凝固、再生させると、ゼオライトの歩留まりが95%以上と非常に効率よく、またゼオライトの構造変化はほとんど起こらない。
このような方法を採ると、酸凝固、再生時にゼオライトに含まれるアルカリ金属、アルカリ土類金属などの陽イオンが同時にプロトンとイオン交換し、より固体酸としての機能が向上するという効果が期待できる。
【0027】
あらかじめ製造したセルロース球状微粒子の実体内でゼオライトを生成させて担持する方法により、本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子を得る場合は、以下のような方法による。例えば、平均粒径が100〜1500μmであり、かつロージン−ラムラーの分布関数の指数が3以上のセルロース球状微粒子に、特開平10−120923号公報記載の方法(具体的には、1.0〜100mmol/lのケイ素化合物の水溶液を10分〜2時間含浸させたセルロースを、20〜90℃で1.0〜1000mmol/lのアルミニウム化合物および10〜5000mmol/lの塩基性物質の混合溶液に2時間〜20日間浸漬させる方法など)を使用することができる。
この方法は、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライトなどの比較的Si/Al比の小さいゼオライト複合セルロース球状微粒子を得る場合に適する。
【0028】
上記各方法で製造する場合、セルロース球状微粒子の製造の際に、例えば特許第2564201号公報に記載されるような炭酸カルシウム等の発泡剤を同時に添加すると、セルロースの部分を多孔化できる。
また、上記各方法で製造されたゼオライト複合セルロース球状微粒子の乾燥方法については、特に限定されず、公知の乾燥方法を採ることができる。
【0029】
本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子は、セルロースとゼオライトとの複合体であるため、下記のような優れたメリットがある。例えば、水溶液中などで使用する場合、セルロースは親水性に優れているため、陽イオンや有機物質が溶け込んでいる水溶液などが複合粒子中によく浸透し、さらに吸着される有機物質は低分子のため、セルロースマトリックス中を自由に移動できる。この結果、ゼオライトの吸着性能に殆ど劣化がない。
【0030】
ハイシリカゼオライトを含有するゼオライト複合セルロース球状微粒子は、例えばテトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルム、モノクロロベンゼン、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、フェノールおよびクレゾール類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、イソ吉草酸などの脂肪酸、各種界面活性剤、アルデヒド類、硫黄含有有機化合物、窒素含有有機化合物などの有機物質に対して吸着能を示す。このため、水中の微量有機物質を有効に除去できるので、水処理剤として利用できる。
【0031】
また、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライトなどの比較的Si/Al比の低いゼオライトを含有するゼオライト複合セルロース球状微粒子は、陽イオンとイオン交換する。このため、水中の金属イオンを有効に除去できるので、水処理剤として利用できる。
【0032】
さらに、ゼオライトに銀や銅などの金属イオンを担持すれば、硫化水素、アンモニア、トリメチルアミン、メチルメルカプタンなどの悪臭物質をも効率よく除去できる。
【0033】
本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子からなる水処理剤を用いると、バッチ式、連続式いずれの水処理にも利用できる。特に、上記水処理剤を充填したカラムを用いると、処理液の対象物質濃度が低く、かつ吸着速度が速い場合は、ワンパスの処理で十分であり、極めて簡単に連続的に水処理を行うことが可能となる。
【0034】
上記ゼオライト複合セルロース球状微粒子からなる水処理剤を充填したカラムを用いると、粒度分布が均一なので、小粒粒子が粒子間隙を塞がず、十分な流量が得られるだけでなく、圧力損失が大きくならず、連続式に水処理を行うのに適している。連続式水処理に利用する場合、クローズドのラインとして処理液を循環させて何度もカラムを通過させ、対象物質濃度が目的の濃度以下に低下した後に、系外に排出させてもよい。
【0035】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0036】
製造例1
工業用ビスコース(セルロース濃度;9.5重量%、塩化アンモニウム価;7、アルカリ濃度5.8重量%)1000g、水600g、およびZSM−5型ゼオライト(Si/Al比約900)382gを混合し、室温下で攪拌機を用いて十分混合分散し、均一な混合分散液とした。
得られた混合分散液を側面に直径0.4mmの小孔を開けた円筒状回転容器の内部に供給し、この容器を回転させ、遠心力により小孔から液滴を形成し、1Nの塩酸酸性溶液中に吐出させ、セルロースを凝固、再生させた。さらに、脱硫、漂白、水洗を行い、レーザー光散乱方式の粒度分布測定装置を用いて、平均粒径と粒度分布とを測定した。平均粒径が428μmであり、ロージン・ラムラーの分布関数の指数が4.04の均一な粒度分布を有するZSM−5型ゼオライト複合セルロース球状微粒子を得た。
この粒子を灰化してゼオライト含有率を求めたところ、77.3重量%であった。
【0037】
実施例1
製造例1で調製したZSM−5型ゼオライト複合セルロース球状微粒子をカラム(内径4mm×長さ15cm)に充填して、流速20ml/minにおける流速特性を調べた。
また、フェノールを470ppm含有する水500mlを用いてフェノール除去試験を行った。
【0038】
比較例1
粒径(フェレー径)1〜5μmの粉末状ZSM−5型ゼオライトをカラムに充填した以外は、実施例1と同様に行った。
【0039】
比較例2
製造例1で、直径0.3mm、0.4mm、0.5mmの小孔の円筒状回転容器を用いて調製した平均粒径の異なるZSM−5型ゼオライト複合セルロース球状微粒子を混合して得られた平均粒径が438μmで、ロージン・ラムラーの分布関数の指数が1.50という粒度分布の大きいZSM−5型ゼオライト複合セルロース球状微粒子をカラムに充填した以外は、実施例1と同様に行った。
【0040】
実施例1、比較例1、2の結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から、製造例1のZSM−5型ゼオライト複合セルロース球状微粒子は、流速特性に優れ、フェノールを効率よく除去できた。
【0043】
製造例2
工業用ビスコース(セルロース濃度;9.5重量%、塩化アンモニウム価;7、アルカリ濃度5.8重量%)1000gを水で希釈し、セルロース濃度を8.5重量%に調製した。この溶液を側面に直径0.4mmの小孔を開けた円筒状回転容器の内部に供給し、この容器を回転させ、遠心力により小孔から液滴を形成し、1Nの塩酸酸性溶液中に吐出させ、セルロースを凝固、再生させた。さらに、脱硫、漂白、水洗を行い、セルロース球状微粒子を得た。
次に、得られた水膨潤状態のセルロース球状微粒子150gを、メタケイ酸ナトリウム・9水和物43.5gと水酸化ナトリウム78.0gの混合水溶液600mlに投入して、室温で48時間静置した。デカンテーションで混合水溶液を除去した後、アルミン酸ナトリウム35.6gを含む水溶液750mlを加え、50℃で66時間静置後、十分に水で洗浄した。同様にレーザー光散乱方式の粒度分布測定装置を用いて、平均粒径と粒度分布とを測定した。平均粒径が433μmであり、ロージン・ラムラーの分布関数の指数が4.39の均一な粒度分布を有するA型ゼオライト複合セルロース球状微粒子を得た。
この粒子を灰化してゼオライト含有率を求めたところ、11.1重量%であった。
【0044】
実施例2
製造例2で調製したA型ゼオライト複合セルロース球状微粒子をカラム(内径4mm×長さ15cm)に充填して、流速20ml/minにおける流速特性を調べた。
また、ナトリウムイオンを470ppm含有する他に、カルシウムイオンを40ppm含有する水500mlを用いて、カルシウムイオン除去試験を行った。
【0045】
比較例3
粒径(フェレー径)5〜10μmの粉末状A型ゼオライトをカラムに充填した以外は、実施例2と同様に行った。
【0046】
実施例2、比較例3の結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2から、製造例2のA型ゼオライト複合セルロース球状微粒子は、流速特性に優れ、カルシウムイオンを効率よく除去できた。
【0049】
【発明の効果】
本発明のゼオライト複合セルロース球状微粒子は、ハンドリング性能が良く、ゼオライトの吸着性能が殆ど劣化せず、水処理剤として用いても、流速特性に優れ、有機物質、金属イオンを効率よく除去できる。
Claims (5)
- ゼオライトを10〜90重量%含有するセルロース球状微粒子であって、その平均粒径が100〜1500μmであり、かつロージン−ラムラーの分布関数の指数が3以上の均一な粒度分布であることを特徴とするゼオライト複合セルロース球状微粒子。
- ゼオライトの骨格内のアルミニウム1分子に対するケイ素分子の割合(Si/Al比)が5以上のハイシリカゼオライトである請求項1記載のゼオライト複合セルロース球状微粒子。
- ゼオライトがZSM−5型ゼオライト、ZSM−11型ゼオライト、シリカライト、合成モルデナイト、骨格内アルミニウムを脱離させたY型ゼオライト、骨格内アルミニウムを脱離させたクリノプチロライト、および骨格内アルミニウムを脱離させたモルデナイトからなる群より選択される少なくとも1種のハイシリカゼオライトであり、セルロースがアルカリ型セルロース溶液から再生したセルロースである請求項1または2記載のゼオライト複合セルロース球状微粒子。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のゼオライト複合セルロース球状微粒子からなる水処理剤。
- 請求項4記載の水処理剤を用いる水処理方法。
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