JP4212196B2 - 内燃機関用潤滑装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は内燃機関用潤滑装置、特にドライサンプ式潤滑構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドライサンプ式潤滑構造においては、スカベンジポンプにより油溜まりに溜まったオイルを吸い上げてオイルクーラーを経由してオイルタンクへ送り、フィードポンプでオイルタンクのオイルをエンジン各部へ給油するよう構成されているので、オイルクーラーと、スカベンジポンプ及びオイルタンクとの間でそれぞれオイルホースを配管する。一例として、特開平5−86829号では、ブローバイガスにつき、変速機室の後部上面からシリンダ上方のキャッチタンクへ送り側ホースを配管し、キャッチタンクからクランクケース下方のオイルタンクへシリンダの前方を通って戻り側ホースを配管することにより、側面視でホースを前方からシリンダ上方を通って後方で取り回すものが示されている。また、交差させたり、車体の左右いずれか片側へ寄せて配管するものもある。
【0003】
また、特開平8−135419号には、クランクケース下部中に設けたオイルパンからスカベンジポンプで吸い上げたオイルをシリンダ後方のクランクケース上面からシリンダ上方を通って、その前方のオイルクーラーへ送り側ホースを配管し、同様のルートで戻り側ホースを変速機上面へ配管したものが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら従来例では、高価で重量のある送り側及び戻り側各ホースを長い経路で配管しなければならず、重量及びコストの増大を招く。したがって、これらオイルホースを最短で配管することが望まれており、本願発明は係る要請の実現を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係る内燃機関用潤滑装置は、パワーユニットの底部に溜まった潤滑油をオイルタンクに戻すスカベンジポンプを有する内燃機関の潤滑装置において、
前記パワーユニットに、変速機、前記スカベンジポンプ、および、前記オイルタンクを備え、車幅方向の一方に前記スカベンジポンプ、他方に前記オイルタンクを配置し、
前記パワーユニットの前面に前記スカベンジポンプ吐出口と、前記オイルタンクの戻り口をと備え、
前記パワーユニットの前方に冷却面を進行方向に向けて前記オイルクーラを配置するとともに、このオイルクーラには入口と出口が車幅方向の一方と他方に配置され、前記入口は前記スカベンジポンプの前方に配置され、前記出口は前記オイルタンクの前方に配置され、
前記スカベンジポンプ吐出口と前記オイルクーラの入口とを送り側ホースで連通し、前記オイルクーラの出口と前記オイルタンクの戻り口とを戻り側ホースで連通したことを特徴とする。
【0006】
【発明の効果】
パワーユニットに向かって、左右いずれか一方側にオイルタンク、反対側にスカベンジポンプを配置すると、パワーユニットに対面するオイルクーラーに対してオイルタンク及びスカベンジポンプからそれぞれ最短でオイルホースを接続でき、従来のように交差したり、片側へ寄せたり、さらにはシリンダ上方を湾曲させて配管する等の取り回しが不要になり、オイルホースを可変的に短くできる。このため、重量及びコストを軽減でき、組立やメンテナンスも簡単になる。
【0007】
また、縦置き配置にしてクランク軸を進行方向と平行にしたので、このクランク軸を挟んで左右にオイルタンクとスカベンジポンプを配置すれば、パワーユニットの前方へオイルクーラーを冷却面を進行方向へ向け配置したとき、通常その左右に設けられる入口と出口をそのまま、対面するパワーユニット側の送り側出口と戻り側の入口とをホースで接続すればよいので、最も自然な、かつ簡単な配管ができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて4輪バギー車へ適用された一実施例を説明する。まず図2により4輪バギー車の全体構造を概説する。この4輪バギー車は、車体フレーム1の前後へそれぞれ左右一対づつの前輪2及び後輪3を備え、車体フレーム1の中央部にエンジンと変速機を一体に備えたパワーユニット4が支持されている。パワーユニット4はクランク軸5を車体の前後方向へ向けて配置する縦置き形式である。
【0009】
この4輪バギー車は4輪駆動式であり、パワーユニット4の下部にクランク軸5と平行に設けられている出力軸6により、前輪プロペラ軸7を介して前輪2を駆動し、後輪プロペラ軸8を介して後輪3を駆動する。
【00010】
パワーユニット4を構成するクランクケース10の前側は前ケースカバー11で覆われ、後部側は後ケースカバー12で覆われ、これらでパワーユニットケースを構成している。クランクケース10はさらに前ケース10aと後ケース10bとに前後へ分割されている。また、クランクケース10の上部にはシリンダブロック13、シリンダヘッド14及びシリンダヘッドカバー15が取付けられ、シリンダヘッド14の吸気口へは気化器16が接続され、さらにこの気化器16には後方からエアクリーナー17が接続されている。シリンダヘッド14の排気口には排気管18が接続されている。
【0011】
パワーユニット4の前方にはオイルクーラー20がその冷却面を進行方向へ向けて配置され、送り側ホース21を介してクランクケース10に設けられたオイルポンプと通じ、戻り側ホース22を介してクランクケース10内に設けられたオイルタンクと通じている。図中の符号23は冷却ファン、24はハンドル、25は燃料タンク、26は鞍乗り型シートである。
【0012】
図3はパワーユニット4の伝動機構部分につき、その構成各軸を結んで平行に切断した縦断面を概略表示するものであり、パワーユニット4を構成するクランクケース10の前側は前ケースカバー11で覆われ、後部側は後ケースカバー12で覆われ、これらでパワーユニットケースを構成している。また、クランクケース10の上部にはシリンダブロック13、シリンダヘッド14及びシリンダヘッドカバー15が取付けられている。
【0013】
クランクケース10は前後へ2分割された前ケース10aと後ケース10bからなり、これら前ケース10aと後ケース10bの間にクランク軸5が支持されている。図中の符号40はクランク軸5の一端に設けられた公知の遠心クラッチ機構からなる発進クラッチ、41は他端側に設けられたACG、42はコンロッド、43はピストンである。
【0014】
変速機44は公知の常時噛み合い式変速機であり、クランク軸5と平行に配設されるメイン軸45とカウンタ軸46を備え、メイン軸45の一端に変速クラッチ47を設けてクランク軸5から伝達される駆動力をメイン軸45へ断続させるとともに、メイン軸45とカウンタ軸46の間に常時噛み合う多数の変速ギヤ列48を設け、その変速出力をカウンタ軸46の一端に設けられたファイナル駆動ギヤ49から出力軸6上のファイナル被動ギヤ50へ出力するようになっている。
【0015】
図1は後ケース10bにおける各軸の配置関係につき前ケース10aとの合わせ面側を車体前方から示す略図であり、クランク軸5の図中右側に変速機44が上下方向へ配設され、この変速機44のさらに図中右側端にオイルタンク51が設けられている。オイルタンク51は前ケースカバー11と前ケース10aの間及び前ケース10aと後ケース10bの間に形成され、変速機44が収容される変速機室52側との間を隔壁53で仕切られる。
【0016】
この隔壁53は後ケース10bの上端から底部54を結んで、変速機44の側方に沿って形成され、下端部は出力軸6の下方へ回り込んでいる。このため、オイルタンク51は前面視(図1の状態)で略三日月形をなして上下へ長く形成され、その下端部は出力軸6の下方へ回り込んでいる。
【0017】
クランクケース10の前面視形状は前ケース10a及び後ケース10b共に同様の輪郭形状をなし、その底部54は左右側が中央側へ向かう斜面をなし、中央部が最も低くなる下すぼまり状をなし、オイルタンク51の底部をなす斜面部54aと中央部54bとの接続点に隔壁53の下端も接続し、この3つの壁部の接続点を隔壁53方向へ下方から穿設することにより、オイルタンク51と変速機室52の双方へ連通するドレイン穴55が形成され、ここにドレインボルト56が取付けられている。なお、オイルタンク51の上部にはオイルの注入口57が設けられている。図中の符号54cは底部54のうち斜面部54aと反対側の斜面部となっている。
【0018】
クランク軸5を挟んで変速機44と反対側には、カム軸58とバランサ軸59が上下に平行して配設される。カム軸58はカムチェーン60を介してクランク軸5で駆動される。バランサ軸59もクランク軸5で駆動され、クランク軸5の軸上のバランサ61をクランク軸5と同期回転する。バランサ軸59はその前端部がオイルポンプ62の駆動軸と連結し、オイルポンプ62を駆動する。
【0019】
図4に示すように、オイルポンプ62は、フィードポンプ63とスカベンジポンプ64を備え、両ポンプはそれぞれのローターを同一駆動軸上に設けて一体化したものである。フィードポンプ63は、オイルタンク51からオイルを吸入し、オイルフィルタ65を介してエンジン各部の潤滑部へ給油する。スカベンジポンプ64は底部54の中央部54b等に形成されたオイル溜まり66からオイルを吸い上げてオイルクーラー20へ送り、オイルクーラー20で冷却されたオイルはオイルタンク51へ戻される。フィードポンプ63の吐出路中にリリーフバルブ67が設けられ、フィードポンプ63の吐出圧が所定圧を越えると、スカベンジポンプ64の吐出路へ逃がすようになっている。
【0020】
図5はオイルポンプ62の具体的構造を示す図であり、共通の駆動軸68上に、仕切り壁69を挟んでその両側にフィードポンプ用ロータ70とスカベンジポンプ用ロータ71を並べて配置し、フィードポンプ63とスカベンジポンプ64を共通のポンプハウジング内へ一体化している。駆動軸68はバランサ軸59と同軸上に配置され、かつ駆動軸68は前ケース10aの前方側へ配置され、バランサ軸59は前ケース10aと後ケース10bの間に配置され、駆動軸68とバランサ軸59とは連結されて一体に回転する。
【0021】
符号72はフィードポンプ用パイプであり、フィードポンプ63の入口73へ接続している。74はスカベンジポンプ64の吐出口であり、前ケースカバー11に形成された吐出通路75を通り、その前面に開口する出口76にてオイルクーラー20への送り側ホース21の一端が接続されている。78はバランサ軸59上に設けられたバランサギヤであり、クランク軸5上に形成されたバランサ駆動ギヤ79と噛み合っている。80はカムスプロケットであり、カム軸58の一端に設けられクランク軸5上の駆動スプロケット(図示省略)でカムチェーン60を介して駆動される。81はカム軸58上のカムでありプッシュロッド82を介して、シリンダヘッド14側の動弁機構を駆動する。
【0022】
図6は前ケースカバー11を前方から示す図、図7は前ケースカバー11の一部を切り欠いて前ケース10aを前方から示す図、図8は前ケースカバー11を取り付けていない前ケース10aの前ケースカバー11との合わせ面を発進クラッチ40を除いて示す図、図9は前ケース10aにつき後ケース10bとの合わせ面側を示す図である。
【0023】
これらの図において前ケース10aの底部54は下すぼまり形状をなし、オイルポンプ62のフィードポンプはフィードポンプ用パイプ72を介して、オイルタンク51下端部に設けた吸い込み口85(図9)から吸い上げる。吸い込み口85は出力軸6の下方まで回り込むオイルタンク51の下端部に形成されている。フィードポンプ用パイプ72は発進クラッチ40に重なってその裏側を通り、クランク軸5及び変速クラッチ47の下方を配管される。
【0024】
フィードポンプはオイルを吐出路86(図8)からオイルフィルタ65(図7)へ吐出する。オイルフィルタ65の吐出口87は、前ケースカバー11に形成されたクランク軸5の軸心へ向かう油路88へ連通する。符号84は、前ケースカバー11の上方肩部に設けられるフィルターハウジングである。油路88はクランク軸5の軸心部で、クランク軸5の軸心方向へ形成されている油路89及び前ケースカバー11に上方へ向かって形成された油路90へ同時に接続し、油路90はクランク軸5以外の動弁機構や変速機44等への潤滑部へ給油する。
【0025】
スカベンジポンプは、中央部54bに設けられたオイル溜まり66より、吸い口91からスカベンジポンプ用パイプ92を介してオイルを吸い上げる。スカベンジポンプ用パイプ92は斜面54cに沿って斜めに配管され、中間部をクリップ93で前ケース10aへボルト止めされている。
【0026】
図6に示すように、前ケースカバー11の前面左端の上下方向中間部でオイルポンプ62と重なる位置にスカベンジポンプからのオイルの出口76が設けられ、右端上部のオイルタンク51と重なる位置にオイルクーラー20からの戻り側ホース22(図2)の戻り口94が設けられる。オイルクーラー20から戻ったオイルは戻り口94からオイルタンク51のうち、前ケースカバー11と前ケース10aの間の部分へ入る。
【0027】
図7に示すように、前ケース10a側のオイルタンク51内には後ケース10b側との仕切り壁95が設けられ、この仕切り壁95にはリブ95aが設けられ、かつ出力軸6の近傍上方に達する下部には、後ケース10b側との連通孔96が設けられている。前ケースカバー11と前ケース10aの間に入ったオイルは、この連通孔96から前ケース10aと後ケース10bの間に形成されたオイルタンク51へ移動し、この間に気液分離を促進する。
【0028】
図9に示すように、隔壁53の上部には切り欠き97が設けられ、オイルタンク51と変速機室52を連通する。切り欠き97の高さは、注入口57の高さとほぼ一致し、オイルタンク51への給油がいっぱいになると、変速機室52内へオーバーフローするようになっている。仕切り壁95の後ケース10b側表面にも多数のリブ98が形成されている。図中の符号100はメイン軸の軸受穴、101はカウンタ軸の軸受穴、102は出力軸の軸受穴である。
【0029】
図10は、オイル溜まり66の構造を示す図であり、オイル溜まり66は前ケース10a及び後ケース10bの中央部54bの合わせ部に形成され、この空間内にストレーナ103が収納され、後部を後ケース10bの壁部104で支持されている。符号105は前ケース10aにオイル溜まり66と連通して形成されたスカベンジポンプの吸入通路であり、その先端開口部にスカベンジポンプ用パイプ92の下端が接続されている。106はシフトドラム、107はストッパアーム、108はリターンスプリング、109はリバース切り換え軸、110はストッパセンサーアーム、111はストッパ位置検出スイッチである。
【0030】
次に、本実施例の作用を説明する。潤滑後のオイルはクランクケース10の底部54へ滴下するが、クランクケース10の左右が下すぼまり状をなすため、オイルがクランクケース10の最下部である中央部54bの油溜まり66へ溜まりやすくなる。そこで油溜まり66へ溜まったオイルをスカベンジポンプ用パイプ92からオイルポンプ62に内蔵されているスカベンジポンプ64へ吸い込み、その吐出口74から前ケースカバー11に形成された吐出通路75及びその出口76に接続する送り側ホース21を介してオイルクーラー20へ送る。オイルクーラー20で冷却されたオイルは再び戻り側ホース22を介して前ケースカバー11の戻り口94からオイルタンク51の上部へ戻る。
【0031】
このように、オイルポンプ62とオイルタンク51をクランクケース10の左右両側に設けたので、前ケース10aを覆う前ケースカバー11の上部左右に出口76と戻り口94を設けることができ、それぞれとオイルクーラー20の左右両面に設けられている入口及び出口を送り側ホース21及び戻り側ホース22で左右別々に離して直近で接続できるため、送り側ホース21及び戻り側ホース22を最短にでき、かつ配管を簡潔にできる。その結果、重量及びコストを軽減でき、組立及びメンテナンスを容易にできる。
【0032】
しかも、縦置き形式のクランク軸5の左右にオイルタンク51とオイルポンプ62を配設したので、前ケースカバー11の前方に対面して配置されたオイルクーラー20の左右のうち、オイルタンク51の配設側(車体左側)を出口として戻り側ホース22で接続し、オイルポンプ62側(車体右側)を入口として送り側ホース21で接続すれば、送り側ホース21と戻り側ホース22をそれぞれ左右に分離して各最短距離で接続できるから、送り側ホース21、戻り側ホース22を可及的に短くし、かつ最も自然かつ簡単な配管ができる。
【0033】
そのうえ、オイルタンク51を略三日月形状をなすよう、上下方向へ長い縦長形状に形成したので、クランクケース10の底部が下すぼまり形状をなすこともあいまって、最下部の吸い込み口85へオイルを効率的に送り込めるとともに、タンク容量をクランクケース10の全容量に対して半分以上となる程に充分に大きくでき、かつ液面変化を少なくできる。しかもクランクケース10内へ設けることにより低重心化並びにマスの集中を図り、液面変化による重心の変動を少なくできる。
【0034】
さらに、スカベンジポンプ91は下すぼまり形状をなすクランクケース10の最下部である油溜まり66からオイルを吸い上げるため、オイルの回収率が高く、かつ特別なオイルパンを用いる必要がないので、車高を十分に確保できる。そのうえオイル通路を短くできるので、潤滑が必要な各部への給油に要する時間を短縮できる。
【0035】
また、オイルタンク51の上部に設けた前ケースカバー11の戻り口94へオイルクーラー20からオイルを戻すため、オイルはオイルタンク51の仕切り壁95へ突き当たってから下方へ滴下し、さらに滴下しつつ多数のリブ95a等へ接触するので、オイル中の空気は容易に気液分離し易くなる。そのうえ、オイルタンク51内において連通孔96を通してオイルを移動させるので、これによっても気液分離を促進する。
【0036】
そのうえ、多数のリブ95a及び98を設けることにより、上記気液分離を促進する効果に加えて、オイルタンク51を囲む壁部を強固に補強でき、これら壁部による振動時の共鳴を防止することもできる。
【0037】
また、隔壁53の上部に切り欠き97を設けたので、オイルタンク51はスカベンジポンプ64で常に満たされ、過剰部分は切り欠き97から変速機室52へオーバーフローする。このため、この切り欠き97の幅寸法をギア列の全幅をカバーするように設定すれば、切り欠き97直下にあるギア列の噛み合い部、摺動部、又はシフトドラムの摺動溝等に潤滑できる。しかも、オイルタンク51が常時満たされているため、フィードポンプ63は安定的にオイルを必要ヶ所へ供給できる。
【0038】
さらにオイルタンク51の真上にオイル注入口57を設けたので、オイルを補給する場合は、オイル注入口57から規定量を注入すれば、過剰分は切り欠き97から変速機室52内へオーバーフローする。このため、オイルタンク51内の液面を常時規定位置に保つことが容易になる。しかも、独立したオイルタンクを持たない構造であるが、オーバーフローの切り欠き97を設けたことによってオイルレベルの確認手法を通常のウェットサンプ式構造と同一手順とすることができる。
【0039】
また、ドレイン穴55をオイルタンク51と変速機室52の双方へ連通するように底部54及び隔壁53を穿設したので、ドレイン穴55を一つだけで共用でき、ドレイン穴55の加工工数並びにドレインボルト56の使用を最小にできるため部品点数を削減できる。オイル交換時等にはドレイン穴55から使用済みオイルを抜いて、注入口57から新しいオイルを注入し、レベルゲージで確認することができる。
【0040】
さらにまた、バランサ軸59を挟んでカム軸58のカムスプロケット80を後方へ、オイルポンプ62を前方へ分離配置したので、オイルポンプ62はカムスプロケット80を駆動するカムチェーン60と干渉するおそれがなくなり、クランクケース10等の大型化を要さずに大型化できる。そのうえオイルポンプ62近傍においてオイルパイプ類の取り回しを発進クラッチ40の内側とし、カムチェーン60をバランサギア78とACG41の間に配置したので、これらの内蔵部品のさらに外側にオイルタンク51を内蔵するスペースが確保でき、このように、補機の配置、構成を工夫し、スペースを効率よく使用したことによって、エンジンをコンパクトに設計できる。そのうえさらに、独立したオイルタンクを装備する必要がないので従来のドライサンプ構造の利点に加えて潤滑システムがシンプルな構成となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のクランクケースにおける各軸の配置を前方から示す図
【図2】 実施例の適用された4輪バギー車の車体要部側面図
【図3】 パワーユニットの縦断面図
【図4】 潤滑系統図
【図5】 オイルポンプの構造を示す断面図
【図6】 前ケースカバーを前方から示す図
【図7】 クランクケースの前ケースを前方から示す図
【図8】 発進クラッチを除いて前ケースを前方から示す図
【図9】 前ケースの後ケースとの合わせ面を後方から示す図
【図10】油溜まり部分を示すクランクケースの前後方向断面図
【符号の説明】
4:パワーユニット、5:クランク軸、6:出力軸、10:クランクケース、11:前ケースカバー、40:発進クラッチ、44:変速機、45:メイン軸、46:カウンタ軸、47:変速クラッチ、51:オイルタンク、52:変速機室、53:隔壁、55:ドレイン穴、59:バランサ軸、62:オイルポンプ、63:フィードポンプ、64:スカベンジポンプ、66:油溜まり、72:フィードポンプ用パイプ、85:吸い込み口、92:吸入パイプ、97:オーバーフロー用の切り欠き
Claims (2)
- パワーユニットの底部に溜まった潤滑油をオイルタンクに戻すスカベンジポンプを有する内燃機関の潤滑装置において、
前記パワーユニットに、変速機、前記スカベンジポンプ、および、前記オイルタンクを備え、車幅方向の一方に前記スカベンジポンプ、他方に前記オイルタンクを配置し、
前記パワーユニットの前面に前記スカベンジポンプ吐出口と、前記オイルタンクの戻り口をと備え、
前記パワーユニットの前方に冷却面を進行方向に向けて前記オイルクーラを配置するとともに、このオイルクーラには入口と出口が車幅方向の一方と他方に配置され、前記入口は前記スカベンジポンプの前方に配置され、前記出口は前記オイルタンクの前方に配置され、
前記スカベンジポンプ吐出口と前記オイルクーラの入口とを送り側ホースで連通し、前記オイルクーラの出口と前記オイルタンクの戻り口とを戻り側ホースで連通したことを特徴とする内燃機関用潤滑装置。 - 前記オイルタンク内の潤滑油を内燃機関の各潤滑部に供給するフィードポンプを備え、
このフィードポンプは、前記スカベンジポンプを駆動する駆動軸により駆動されるとともに、クランク軸及び前記ポンプ駆動軸を進行方向に対して平行に配置し、
前記スカベンジポンプと前記フィードポンプを前記パワーユニットの前部に配置したことを特徴とする請求項1に記載した内燃機関用潤滑装置。
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