JP4208360B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートに画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置では、画像形成するためのシートを支持収容するためのシートカセット、またはシートトレイと、シートに画像を形成する画像形成手段、シートに転写された画像を半永久的にシートに定着させる定着手段、装置の動作や画像形成における処理を行なう制御手段などの配置に関して多種多様な構成が考え出されてきた。以下、画像形成装置として、レーザービームプリンタ(以下、プリンタと称す)を例に挙げて説明を行なう。
【0003】
従来のプリンタの主だった構成を図4及び図5に示す。
【0004】
通常、画像形成装置としてのプリンタには、画像形成するためのシートを支持、収容するシート支持手段としてのシートカセット101と、シートカセットに支持されているシートを送り出すための給紙手段102とが、給紙部として構成されている。
【0005】
画像形成部としては、画像を形成する感光ドラム104と、感光ドラム上に均一な帯電を施す帯電器、感光ドラムにトナー像を形成させる現像器、トナー容器などを一体に形成したプロセスカートリッジ103と、帯電器により帯電した感光ドラム上に画像情報を光線で書き込むレーザースキャナ105で構成されている。
【0006】
シートの搬送経路を挟み、感光ドラムと対向する位置には、感光ドラム上に形成されたトナー像をシート上に転写させる転写手段である転写帯電器106が設けられている。さらに、シート上に転写されたトナー像をシートに半永久的に定着させる定着手段としての定着ローラ対107が、転写手段の下流に設けられており、転写ローラ対で画像が定着されたシートは、その後機外の排紙トレイ108に排出される。
【0007】
こうしたシートへの画像形成動作の一連の流れは如何なるプリンタでも略同一であるが、シートの搬送経路を装置内にどのように配置するかによってプリンタの有する特徴が変わってくる。
【0008】
図4に示したプリンタは、上述した搬送経路を装置内に略水平に配置したものである。図面では、装置の右端部にシートカセット101を水平面に対し斜めに配置し、その先端部に給紙手段102を設けてある。シート搬送面は定着ローラ対107に向けて略水平に配置され、その搬送経路の上部にプロセスカートリッジ103等の画像形成手段、その対向する位置に転写帯電器106を設けたものである。画像が転写されたシートは、シートカセット101と略平行に設けられた排紙トレイ108に排出される。
【0009】
また、図5に示したプリンタは、図4に示したタイプの画像形成装置を90度起こした配置である。つまり、シートカセット101と排紙トレイ108は略水平に設けられ、装置最下部に設けられたシートカセット101から給紙手段102によってシートを送り出し、送り出されたシートを水平面に対して略垂直方向に搬送することで画像形成及び定着動作を行なうタイプである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した通り、近年のプリンタにおけるシートの搬送経路は、給紙手段102から定着手段107まで略直線で水平に、もしくは略垂直に搬送するように配置されているものが多いのだが、こうした配置の場合、問題となるのが定着手段107の位置である。
【0011】
定着手段107は、定着ローラが加熱されることで生じる熱と、ローラ対のニップ部に発生させている挟持圧力とによって、シートに付着しているトナーを融解させてシート上に定着させている。そのため定着手段107は画像形成時に多くの熱を発生し、装置内部の温度を上昇させることになる。
【0012】
図4に示したように、シートを略水平に搬送するようなタイプの画像形成装置では、発熱源である定着手段107の側方から上部にかけてプロセスカートリッジ103やレーザースキャナ105が配置されているため、定着手段107が発生する熱でプロセスカートリッジ103内のトナーが溶融して固着してしまったり、レーザースキャナ105内に設けられた光学レンズの屈折率が変化してしまう等の不具合が生じ、良好な画像形成を行なうことが難しかった。
【0013】
さらに、装置の制御を行なう電装部や駆動部といった制御手段109の基板は、搬送経路に略平行に開いているスペースに設置することになる。電装部や駆動部も放熱するため、その熱がプロセスカートリッジ103やレーザースキャナ105に影響を及ぼすことがないよう、定着手段107からの放熱と共に装置内の温度上昇を防止する手段を設ける必要が生じる。よって、装置内の昇温を防ぐために断熱部材を多数設けたり、装置内を空冷するためのファンを設けたりするなどして対応していたが、これらの対応策では装置のコストアップと大型化に繋がっていた。
【0014】
また、シートカセット101から給紙手段102によるシートの送り出し時、及び定着後から排紙トレイ108に排出される際、シートは大きな方向転換が必要となる。こうした方向転換の際にシートの後端が跳ねる音や、シートと搬送面が擦れる音が大きく、画像形成装置の稼動音を上昇させることになっていた。
【0015】
また、こうした方向転換をスムーズに行なうことができるように、摺動性の高いガイドや搬送ローラを設けることが必要となり、コストアップの一因となっていた。
【0016】
さらに、給紙動作時、給紙手段102によって送り出さされたシートの後端が給紙手段102を抜ける前に当該シートの先端は画像形成部に到達しており、既に画像形成動作がスタートしていることになる。つまり、給紙手段102をシートの後端が抜ける際には大きな方向転換によってシートが振動を生じ、その振動が画像形成部に伝達されて画像が乱れてしまうという現象も生じていた。
【0017】
また、図5に示したような略垂直方向にシートを搬送するタイプの装置の場合、定着手段107が装置の最上部に位置することでプロセスカートリッジ103やレーザースキャナ105に対する熱の影響は解消されるが、シートを重力に抗して略垂直に搬送するため、シート搬送の制御や画像形成動作の精度が高く要求されることになる。シートを水平に搬送する装置に比べて多数のシート搬送ガイドや搬送ローラ対を設けることで高精度を満たすことになり、コストの上昇や装置の大型化に繋がっていた。
【0018】
また、レーザースキャナの取り付け角度が、水平搬送タイプ(図4参照)と比較して大きくなってしまうため、スキャナモータの軸受けにかかる負荷が大きくなり、軸受けの劣化などが早期に生じてしまうことで装置が低寿命化していた。
【0019】
さらに、図4で示したタイプと同様、シートの方向転換を大きく行なうタイプのため、稼動音や画像の乱れ等の課題も生じていた。
【0020】
以上、上述した課題を解決するためには、装置全体のサイズを大きくして、発熱源である定着手段を熱の影響を受けやすい部材から遠ざけたり、レーザースキャナが水平になるようなレイアウトで装置を設計するなどしていたが、こうした対策では根本的な課題の解決までには至っておらず、装置の大型化や製造コストの上昇といった新たな課題を生じてしまっていた。
【0021】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、装置を大型化させることなく、装置内の温度上昇を防いで騒音を低減し、かつ、安定性の高いシート搬送を行うことができる低コストの画像形成装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シートを支持するシート支持手段と、前記シート支持手段に支持されたシートを給送する給紙手段と、前記給紙手段によって送り出されたシートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段に対向する位置に設けられ、画像形成手段からシートに画像を転写する転写手段と、前記転写手段によってシートに転写された画像をシートに定着させる定着手段と、を有し、装置筺体内に配置され、前記給紙手段から前記転写手段を通過し、前記定着手段に至るシートの搬送経路を形成するシートガイドは、前記給紙手段側を最下部として前記定着手段側を最上部として略直線状で斜めに配置されており、前記搬送経路の下方に形成された空間部に制御手段を備え、前記装置筺体内で発生した熱を前記筺体外に排出するために、前記定着手段の上方に設けられた第1の開口部と、前記空間部の最上部近傍に設けられた第2の開口部と、を有し、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを連通する経路を設けたことを特徴とする。
【0030】
また、前記装置筺体の下部に、前記空間部に向けて外気を吸入する吸入開口部を設けたことを特徴とする。
【0031】
さらに、前記吸入開口部は、前記シート支持手段の下方側の前記装置筺体に設けられていることを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施した画像形成装置を用いて、本発明の詳細な説明を行なう。なお、本実施の形態では、画像形成装置の一例として、プリンタ(レーザービームプリンタ)を示す。
【0035】
図1は本発明を実施したプリンタの概略断面図である。以下にプリンタの構成について説明を行なう。
【0036】
1はシート支持手段であるシートカセットであり、装置本体に対し着脱自在に構成されている。シートカセット1には画像を形成するためのシートSが収納されており、給紙手段である給紙ローラ2と給紙ローラ2に圧接してシートを1枚に分離する分離パッド3とで、収納されているシートSが1枚ずつ送り出される。送り出されたシートSは搬送ローラ対4a、4bによってさらに下流へ搬送される。
【0037】
5は搬送ローラ対4のシート搬送方向の下流側に設けられ、シートSの位置を検知するセンサである。センサ5の検知による動作については後述する。搬送ローラ対4の下流側にはプロセスカートリッジ6として一体に形成された画像形成手段としての感光ドラム7と、ドラム表面を均一に帯電させる一次帯電器、帯電したドラム7の表面にトナーを付着させる現像器、トナーを収納するトナー容器が配置されている。シート搬送経路を挟んで感光ドラム7と対向する位置には、感光ドラム7表面に付着したトナー像をシートSに転写させる転写手段としての転写ローラ10が設けられている。
【0038】
帯電器によって帯電が施された感光ドラム7に画像情報を描画するレーザースキャナ11は、レーザー光に変換された画像情報をミラーで反射させて感光ドラム7上に照射するものである。
【0039】
定着手段としての定着ローラ対12は、トナー像が転写されたシートSをローラ間で挟持することにより、ローラ間の加圧力と、定着ローラに付与される熱で半永久的にシートS上に定着させるものである。
【0040】
定着ローラ対12によってトナー像が定着されたシートSは、方向転換されて排紙ローラ対16でシート排紙トレイ17上に排出される。
【0041】
給紙ローラ2から定着ローラ対12までのシート搬送はシートSの下側(画像形成側の反対側)をガイドするシートガイド13によって規制されている。
【0042】
シートガイド13の下方には、電源を有し画像形成動作や給紙動作等を制御する制御手段としての制御基板14が装置筺体の底面に略水平に配置されている。また、装置本体を駆動させるための駆動手段である駆動モータ15がシートガイド13より下方の装置筺体の側面部に固定されている。
【0043】
続いて、以上の構成を有するプリンタの動作について説明を行なう。
【0044】
プリンタはネットワークを介して伝達された画像情報を可視像であるトナー像としてシートS上に形成するものである。動作スタンバイ状態であるプリンタに不図示のネットワークを介して画像情報が伝達されると、画像情報は制御基板14に設けられた不図示のビデオコントローラに入力される。ビデオコントローラは伝達されたデータを基に画像信号の作成を行なう。
【0045】
作成された画像信号は制御基板14上に設けられたプリンタの制御部としての不図示の制御コントローラに伝達される。制御コントローラはこの信号を受けて、レーザー駆動信号の作成を行なう。また、給紙ローラ2の回転を開始し、シートカセット1に支持収容されているシートSを分離パッド3との作用で1枚に分離してシートカセット1から送り出す。
【0046】
1枚に分離されたシートSは画像形成部に向けて搬送され、搬送ローラ対4に挟持され、さらに下流側へと搬送される。シートSの先端がこの検知センサ5によって検知されると、制御コントローラは制御コントローラで作成されたレーザー駆動信号をその検知と同期させてレーザースキャナ11に伝達する。
【0047】
レーザースキャナ11に伝達されたレーザー駆動信号により、レーザースキャナ11内に設けられたレーザーユニットが、回転しているスキャニングミラー11aに向けてレーザー光を照射する。スキャニングミラー11aに反射されたレーザー光は反射ミラー11bによって感光ドラム7方向に向きを変換するように構成されている。
【0048】
感光ドラム7表面には既に帯電器で一様に均一な帯電がなされている。そこにレーザー光が照射されると、照射された部分のみ電荷が消滅することで静電潜像がドラム表面に形成される。静電潜像が形成されたドラムに現像器によってトナーが付着されることで、可視像が形成される。
【0049】
このトナー像が転写ローラ10によって画像形成タイミングと同期して搬送されているシートS上に逐次転写される。転写が終了したシートSはさらに搬送され、その後、定着ローラ対12のニップ部に挟持されることにより、熱と圧力でシートS上にトナーが定着される。そして排紙ローラ対16によって、シート排紙トレイ17上に排出、積載される。
【0050】
以上の動作を指定枚数分行ない、指定枚数最後のシートSの排出が終了した段階でプリンタは再びスタンバイ状態に戻る。
【0051】
次に、本発明の特徴部分である、シート搬送経路を構成しているシートガイド13を中心としたプリンタの装置筺体としての外装カバー24及びフレームの構成について図1、図2を用いて詳細に説明を行なう。
【0052】
本実施の形態の外装カバー24及びフレームは、導電性の左右一対の側面壁18、19とそれに張架されたシートガイド13、レーザースキャナ11を保持する導電性のスキャナプレート20、及び画像形成装置最下部の導電性の底板21から構成されている。左右の側面壁18、19は装置の剛性確保と電気アース、電磁波シールドといった観点から導電性の材料が適しているため、板金を用いている。
【0053】
上述したように、駆動手段である駆動モータ15は側面壁18に固定されている。このように駆動モータ15を直接、装置の側板に固定することにより、モータ15から発生する熱を側面壁18に伝えて逃がすことが可能であり、また、剛性の高い板金に固定されているため、振動を低減させることができる。また、電気アースを容易に設けることができる。
【0054】
シートガイド13は搬送ローラ対4、転写ローラ10、定着ローラ対12等の主要なユニットを保持する部分と搬送されるシートSをガイドする目的で形成されており、複雑な形状を1つの部材で形成することで装置の部品削減によるコストダウン及び組み立てコスト削減を図り、さらに装置最下部に配置された制御基板14及び駆動モータ15から発生する熱を遮断することが可能なように断熱効果の高い合成樹脂材料を用いて成形している。
【0055】
さらに、シートガイド13は外装カバー24と同材料で成形することにより、画像形成装置のリサイクル化を促進することができる。通常、装置の外装に用いている外装部材をリサイクルする場合は、リサイクルによって再び外装部材に成形する方法と、他の用途の材料として利用する場合の2通りが主に考えられる。
【0056】
外装部材として再利用する場合には、異物の混入や色彩の問題が生じ、それらを解決するために技術的にもコスト面からも難易度が高いのが現状である。しかし、装置内部の機能部品として再利用する場合には、そうした問題もさほど考慮する必要がないためリサイクル性が良くなる。そのため、製品をリサイクルする場合、非常に現実的な材料構成とすることができる。
【0057】
また、シートガイド13は側面壁18,19に対して斜めに固定されているため、装置の横方向の剛性を高めるという効果を発揮する。また、シートガイド13が装置筺体内に定着ローラ対12を最上部として略直線で斜め上方に向かって配置されていることにより、短いシート搬送経路で画像形成のスループットを向上させるだけでなく、シートガイド13を挟んでプロセスカートリッジ7、レーザースキャナ11、制御基板14及び駆動モータ15を効率よく配置することができる。これにより、画像形成装置を小型化することができる。
【0058】
スキャナプレート20は、レーザーユニット11aの回転により生じる振動を抑制するため、また、装置最下部の底板21は、装置の重量を支えるだけの剛性と制御基板14等の電磁波シールドを要求されるため、高剛性の板金材料を用いている。以上のような装置筺体のフレーム構成とすることで、断熱、高剛性、振動低減という機能を満足しつつ、低コストを達成することができる。
【0059】
また、図1に示した通り、本発明を実施したプリンタのシートガイド13は定着ローラ対12を装置最上部に設け、該定着ローラ対12に向けて給紙ローラ2が設けられた給紙位置から略直線で斜め上方にシートSを搬送するものである。本実施の形態では、シートガイド13を水平面に対し約45°でプリンタ内に配置してある。この角度を選択した理由は後述する。
【0060】
シートSの搬送角度が水平面に対して斜め方向で、かつ略直線であるので、定着ローラ対12までのシート搬送の際に方向転換を行なう必要がなく、そのため、シートの暴れや斜行といった画像形成の安定性を低下させる問題が生じなくなる。また、ガイドにシートSが当たって生じる摩擦音なども低減させることができる。
【0061】
続いて、装置内部で生じる熱の排出効果について説明を行なう。
【0062】
多くの熱を放出する定着ローラ対12を装置の最上部に設け、定着ローラ対12近傍上部の外装カバー24に第1の開口部としてのルーバー22aを設けることで、定着ローラ対12から発生する熱を機外に逃がし易くし、装置内の温度が上昇するのを防止することができる。また、定着ローラ対12から発生した熱は当然、上方に移動するため、定着ローラ対12より低い位置に設けたプロセスカートリッジ6やレーザースキャナ11に対する熱の影響を抑えることが可能となる。
【0063】
シートガイド13の下方には、図1及び図2で示す通り、給紙ローラ2から定着ローラ対12にかけてのシートガイド13と装置筺体とが成す装置の断面形状が三角形となる空間部Aが形成される。上述したように、本実施の形態ではこの空間部Aに、装置を制御する制御基板14と駆動モータ15を設置してある。
【0064】
この空間部Aには、制御基板14や駆動モータ15から発生する熱が放出されて徐々に空間部A内の温度を上昇させる。しかし、シート搬送経路を構成するシートガイド13が制御基板14の上方に水平面(底板21)に対して斜めに設けられているため、制御基板14や駆動モータ15から発生する熱は自然と定着ローラ対12側の高い空間へ向かうようになる。これにより、制御基板14や駆動モータ15から発生する熱がそれら部品の近傍に滞留することがなくなる。
【0065】
空間部Aの最上部近傍の外装カバー24には第2の開口部としてのルーバー22bが設けられているため、空間部Aの上方に移動した熱はこのルーバー22bから装置外に排出される。つまり、シートガイド13を底板21に対して斜めに配置したことにより、制御基板14が設けられた装置最下部から、装置最上部の定着ローラ対12付近まで空気の流れ(エアフロー)を強制的に作るファン等を設けることなく、自然に発生させることが可能な構成である。
【0066】
定着ローラ対12から発生する熱は、上述した通り装置の外装カバー24に設けられているルーバー22aから装置外部に排出される。この時、装置前面に対して定着ローラ対12の奥側(図1中矢印Y部)と外装カバー24との間に空気の流れをつくるダクトとしての空間部Bを設けることにより、定着ローラ対12から放出される熱が装置外部へと排出される際に生じる空流が生じる。この空間部Bはルーバー22aが設けられている位置から、シートガイド13の下方にある制御基板14と駆動モータ15が設けられた空間部Aまで達している。
【0067】
よって、制御基板14や駆動モータ15から発生した熱は、底板21に対して斜めに設けられているシートガイド13によって、空間部Aの最上部、即ち、空間部Aと空間部Bとが連通している部分に集められる。空間部Bでは定着ローラ対12から放出される熱がルーバー22aから機外に排出されることによるエアフローが装置外部に向かって発生しているため、装置最下部で生じ、シートガイド13に沿って空間部Aの上部に集められた熱も定着ローラ対12のエアフローに引っ張られて、ルーバー22bから機外に排出される。もしくは定着ローラ対12から発生する熱と共に空間部Bを通過し、ルーバー22a及び22bから装置外部に排出されることになる。
【0068】
ただ、制御基板14や駆動モータ15から発生する熱を定着ローラ対12方向へ流すエアフローを継続的に発生させるためには、外気を画像形成装置内に取り込む必要がある。本実施の形態では図1に示すようにシートカセット1の下部から外装カバー24に設けた吸入開口部としての吸入口23によって外気を取り込み、シートカセット1及び給紙ローラ2などの給送手段の下部を通して外気を空間部Aに流入させることによってエアフローを発生させている。
【0069】
空間部Aに吸入口23から取り込んだ外気を流入させるためには、図1中Lで示した底板21と給紙ローラ2との距離が大きいほうが良いのだが、装置の小型化を満たし、かつ空間部Aに対して外気を流入させることが可能な距離Lを、本実施の形態では20mmとしている。つまり空間部Aに対して外気を効率よく流入させることが可能な距離Lは20mm以上あれば問題なく、このことは後述する実験によっても装置内の温度上昇防止を充分満たすことが確認されている。
【0070】
また、制御基板14の上部に配置されている定着ローラ対12から発生する熱は外装カバー24に設けられた第1の開口部であるルーバー22aから装置外部に排出される。この時、定着ローラ対12の下部と装置筺体との間に空間部Aに伸びるエアフロー用の空間部Bをダクトとして形成することによって、空間部Aの排気を助長することができる。
【0071】
こうしたダクトとしての空間部Bを設けることにより、制御基板14から発生する熱を排気するためのエアフローを助長し、外装カバー24に設けられた第2の排気手段であるルーバー22bから、制御基板14や駆動モータ15から発生する熱を画像形成装置外部に容易に排気することが可能となる。これによって、排気のためのファンなどを設けなくとも、装置内で発生する熱を自然排気することが可能となり、低コストかつ静かな画像形成装置を提供することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、装置内部の熱を放出するための開口部を第1の開口部、第2の開口部として設けているが、開口部の個数によって本発明の趣旨が限定されることはない。
【0073】
また、底板21に水平に設置された制御手段である制御基板14とシートガイド13とのなす角度、つまり、制御基板14の上部の空間部Aの広さによってエアフローの強さは変化する。本実施の形態においては、制御基板14とシートガイド13とのなす角を上述の通り45°としてある。この角度を選択した理由を以下に述べる。
【0074】
下記の表は、底板21とシートガイド13とのなす角Aを0°、15°、30°、45°、60°とした場合のプロセスカートリッジ6、レーザースキャナ11及び制御基板14の温度を測定した結果である。
【0075】
【表1】
【0076】
表に示すように、底板21とシートガイド13とが成す角度を大きくするに従って、各部の温度は下がってくる。プロセスカートリッジ6内のトナー温度が50℃を超えると、トナーが溶融する可能性が高くなる。溶融して固着したトナーを用いると画像形成不良が発生してしまうので、トナーに対して付与される上限温度は50℃と考えられている。
【0077】
本実施の形態ではトナーの許容上限温度50℃に対してある程度の許容範囲を考慮して、底板21とシートガイド13との成す角度は約45°とした。
【0078】
なお、上記の表に記載の温度は、プロセスカートリッジ6の枠体表面で計測した温度である。そのため、実際のトナー容器内の温度は記載の温度よりも充分低いため、実用に際しては底板21とシートガイド13との成す角度は30°以上であれば問題無い。また、レーザースキャナ11の温度に関しても光学系に対して影響を及ぼすような高い値ではないため、良好な画像形成動作を行なうことができる。
【0079】
底板21とシートガイド13の成す角度が90°に近づくほど従来の技術に示した通り、シートの搬送に精度が要求されてしまい、コストが上昇してしまう。よって、コスト面と装置内の温度上昇防止を両立することが可能な角度は、約30°から60°程度となる。角度が小さくなれば装置の高さも低くできるが、設置面積が増加してしまう。また、角度が大きくなれば装置の設置面積は角度が小さいときに比べて小さくできるが、逆に装置の高さが大きくなってしまう。
【0080】
そのため、本実施の形態は、コストメリツトや装置の設置面積、装置高さなどをすべて考慮し、底板21とシートガイド13とが成す角度を45°とした装置を示している。
【0081】
また、図3及に示した画像形成装置は、シートガイド13の配置状態を上述の説明の通りに設け、シートカセット1やシート排紙トレイ17の装置本体に対する取り付け角度を変更したものである。こうした構成を採用することにより、装置の設置面積の縮小や排出されたシートの取り出し性の向上などの効果を有することができる。
【0082】
以上実施の形態で説明したように、シートガイド13によって定着ローラ対12の下部に断面が三角形状の空間部Aを設け制御基板14や駆動モータ15を配置し、装置奥側の定着ローラ対12の下部に定着ローラ対12と空間部Aを結ぶダクトとしての空間部Bを設けることで、装置内の冷却や排気を目的としたファンを設けなくても、装置最下部の制御基板14や駆動モータ15から定着ローラ対12にかけて、排気、放熱のためのエアフローを自然に発生させることが可能となり、画像形成装置内部の熱こもりを解消し、昇温を防止出来る。
【0083】
これにより、ファン不要の装置構成が可能となり、コストダウンが達成出来ることはもちろん、ファンが回転することによって発生する動作音が無くなるので、静粛な画像形成装置を提供することができる。
【0084】
また、シートガイド13を断熱効果の高い合成樹脂材料で成形した部材で構成したことにより、画像形成部であるプロセスカートリッジ7やレーザスキャナ11に対する熱の影響を遮断することができる。
【0085】
また、シートガイド13と装置筺体とで囲まれた空間を有効に活用することが可能となる。つまり、比較的熱の発生の大きい部品などは装置の鉛直面側に設置し、比較的熱の発生の少ない部品などは水平面側に配置することで、さらに廃熱効果を高めることができる。
【0086】
また、シートの搬送角度が水平面に対して斜め方向で、かつ略直線であるので、シート搬送の際に方向転換を行なう必要がなく、そのため、シートの暴れや斜行といった画像形成の安定性を低下させる問題が生じなくなる。また、ガイドにシートが当たって生じる摩擦音なども低減させることができる。
【0087】
さらに、図6に示したような垂直方向に搬送するタイプのプリンタと比較して、搬送の精度は厳しくないため、搬送のためのローラ対やガイドなどを極力削減することができ、製品コストの低下に寄与することができる。
また、本実施の形態では、装置筺体の対角線と略平行にシート搬送経路としてのシートガイド13を設けたため、装置内の他部材を効率よく配置することが可能となっている。
【0088】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、本発明を用いることによって、装置を大型化させることなく、装置内の温度上昇を防いで騒音を低減し、かつ、安定性の高いシート搬送を行うことができる低コストの画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した画像形成装置の断面図である。
【図2】本発明を実施した画像形成装置の要部斜視図である。
【図3】本発明を実施した変形例としての画像形成装置の断面図である。
【図4】従来の画像形成装置の断面図である。
【図5】従来の画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
1 シートカセット(シート支持手段)
2 給紙ローラ(給紙手段)
6 プロセスカートリッジ(画像形成手段)
10 転写ローラ(転写手段)
11 レーザースキャナ
12 定着ローラ対(定着手段)
13 シートガイド(シート搬送経路)
14 制御基板(制御手段)
15 駆動モータ(駆動手段)
16 排紙ローラ対
17 シート排紙トレイ
18 側面壁
19 側面壁
20 スキャナプレート
21 底板
22a ルーバー(第1の開口部)
22b ルーバー(第2の開口部)
23 吸入口(吸入開口部)
Claims (3)
- シートを支持するシート支持手段と、
前記シート支持手段に支持されたシートを給送する給紙手段と、
前記給紙手段によって送り出されたシートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段に対向する位置に設けられ、画像形成手段からシートに画像を転写する転写手段と、
前記転写手段によってシートに転写された画像をシートに定着させる定着手段と、を有し、
装置筺体内に配置され、前記給紙手段から前記転写手段を通過し、前記定着手段に至るシートの搬送経路を形成するシートガイドは、前記給紙手段側を最下部として前記定着手段側を最上部として略直線状で斜めに配置されており、前記搬送経路の下方に形成された空間部に制御手段を備え、
前記装置筺体内で発生した熱を前記筺体外に排出するために、前記定着手段の上方に設けられた第1の開口部と、前記空間部の最上部近傍に設けられた第2の開口部と、を有し、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを連通する経路を設けたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記装置筺体の下部に、前記空間部に向けて外気を吸入する吸入開口部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記吸入開口部は、前記シート支持手段の下方側の前記装置筺体に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
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