JP4207770B2 - 複合体分散物および複合体硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、複合体分散物および複合体硬化物に関する。当該複合体の分散物、これらから得られる硬化物は、リジッドプリント基板用組成物、接着剤、導電性材料、異方性導電ペースト、非導電性ペースト、ソルダーレジストインキ、床材、電池用セパレータ材料、光導路基板材料、プラスチックフィルム改質剤、耐熱コーティング剤、および成型加工用組成物などの各種用途に好適に使用できる。
エポキシ樹脂は、一般に、硬化剤と組み合わせた組成物として使用されており、電気・電子材料関係の分野においても、該組成物が賞用されてきた。しかしながら、近年の電気・電子材料分野の発展に伴い、エポキシ樹脂組成物の硬化物に対してより高性能が要求されるようになっており、特に耐熱性の向上が望まれている。
エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性を向上させるため、例えば、エポキシ樹脂および硬化剤に加え、ガラス繊維、ガラス粒子、マイカ等のフィラーを混合した組成物を用いる方法が行われている。しかし、この方法でも十分な耐熱性は得られない。また、この方法では得られる硬化物の透明性が失われ、しかもフィラーとエポキシ樹脂との界面の接着性が劣るため、伸長率等の機械的特性も不十分である。
また、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性を向上させる方法として、エポキシ樹脂とシリカとの複合体を用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。当該複合体は、エポキシ樹脂の部分硬化物の溶液に、加水分解性アルコキシシランを加え、該硬化物を更に硬化すると共に、該アルコキシシランを加水分解してゾル化し、更に重縮合してゲル化することにより得られる。しかし、かかる複合体から得られる硬化物は、エポキシ樹脂単独の硬化物に比して、ある程度耐熱性は向上するものの、複合体中の水や硬化時に生じる水、アルコールに起因して、硬化物中にボイド(気泡)が発生する。また、耐熱性を一層向上させる目的でアルコキシシラン量を増やすと、ゾル−ゲル硬化反応により生成するシリカが凝集して得られる硬化物の透明性が失われて白化するうえ、多量のアルコキシシランをゾル化するために多量の水が必要となり、その結果として硬化物の反り、クラック等を招く。
また、エポキシ樹脂とアルコシキシランオリゴマーから得られるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を用いる方法が提案されている(特許文献2参照)。当該アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を硬化させることにより、透明で反り、クラックのない硬化物が得られるが、当該硬化反応においてはゾル−ゲル硬化反応とエポキシ硬化反応の二種が競争的に進行する。前者反応においては、前述のエポキシ樹脂とシリカとの複合体を用いた硬化物におけると同様に、ゾル化の際にアルコールを発生させるため、厚膜で使用した場合や、生産性向上の為に硬化速度を速めた場合には、硬化物中の微細なボイドやカールの発生を完全には防止できないため、厚膜用途での使用は困難であった。
特開平8−100107号公報 特開2002−249539号公報
本発明は、耐熱性に優れ、しかもボイド、割れ、カール等を生じない硬化物を収得しうる複合体分散物、および当該複合体の硬化物を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂と金属酸化物とを縮合させて得られる複合体や、当該複合体分散物を用いることにより、前記目的に合致した硬化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a1)および加水分解性アルコキシシラン部分縮合物(a2)を脱アルコール縮合反応させて得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A)と金属酸化物粒子(B)とを、無水条件下に加熱して、当該(A)中のアルコキシ基と当該(B)の表面に存在する水酸基との間で脱アルコール縮合反応させて得られる複合体と有機溶剤からなる分散媒体と、エポキシ樹脂用硬化剤またはエポキシ基開環重合触媒とを含有することを特徴とする複合体分散物に関する。更に本発明は、当該複合体分散物を硬化させることを特徴とする複合体硬化物に関する。
本発明によれば、耐熱性に優れ、しかも厚膜硬化させた場合にも発泡、反り、割れ等を生じない硬化物を与えることのできる、前駆体としての複合体や当該分散物を製造できる。当該製造法により得られる本発明の複合体やその分散物は、ゾル−ゲル反応を引き起こすアルコキシ基が実質的に存在しないため、基材上に厚膜で塗工された場合でも、硬化過程で懸念されていた発泡などの不利を十分に解消でき、均一、透明で反りや割れのない、耐熱性に優れた硬化物を容易に提供できる。当該硬化物は、各種の用途に適用でき、特に電子材料分野において有用であり、例えばリジッドプリント基板用組成物、接着剤、導電性材料、異方性導電ペースト、非導電性ペースト、ソルダーレジストインキ、床材、電池用セパレータ材料、光導路基板材料、プラスチックフィルム改質剤、耐熱コーティング剤、および成型加工用組成物などに使用できる。
本発明で用いられる複合体は、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A)(以下、成分(A)という)と金属酸化物粒子(B)(以下、成分(B)という)を、実質的に無水条件下に加熱して、当該成分(A)中のアルコキシ基と成分(B)の表面に存在する水酸基との間で脱アルコール縮合反応させることにより製造される。また当該成分(A)はビスフェノール型エポキシ樹脂(a1)(以下、成分(a1)という)、加水分解性アルコキシシラン部分縮合物(a2)(以下、成分(a2)という)、および必要によりエポキシアルコール(以下、成分(a3)という)から構成される。
成分(A)の原料である成分(a1)は、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシドとの反応により得られたものである。ビスフェノール類としてはフェノールとホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン等のアルデヒド類もしくはケトン類との反応の他、ジヒドロキシフェニルスルフィドの過酸による酸化、ハイドロキノン同士のエーテル化反応等により得られるものがあげられる。また成分(a1)としては、2,6−ジハロフェノールなどハロゲン化フェノールから誘導されたハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂、リン化合物を化学反応させたリン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂など、難燃性に特徴があるものを使用することもできる。更には、上記のビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を加圧下、水素添加して得られる水添エポキシ樹脂も使用できる。
成分(a1)は、成分(a2)との脱アルコール縮合反応により、珪酸エステルを形成しうる水酸基を有するものである。当該水酸基は、成分(a1)を構成する全ての分子に含まれている必要はなく、成分(a1)の全体として水酸基を有していればよい。成分(a1)のなかでも、汎用性や価格の点から、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、一般式(1):
Figure 0004207770
で表される化合物である。
なお、本発明において、成分(a1)のエポキシ当量は、特に限定されず、用途に応じて適宜に選択決定できる。しかしながら、本発明の複合体を用いて当該硬化物を製造する場合には、成分(a1)として、1種類以上のビスフェノール型エポキシ樹脂を用いて、全体としてのエポキシ当量を200〜400g/eq程度となるように調整するのが好ましい。後述するように、成分(A)を無溶剤下に製造する場合には、溶剤系で反応させる場合よりも反応系内の粘度が高くなる傾向があるため、当該粘度を調整する観点から成分(a1)の種類や当該エポキシ当量を選択するのがよい。また、成分(a1)の混合物としての当量が400g/eqを超えると、成分(A)の製造時(無溶剤反応系)の系内粘度が高くなりやすくなるだけでなく、本発明の複合体の製造工程で高粘度化やゲル化の傾向があり、また当該エポキシ当量が200g/eq未満の場合には得られる成分(A)中の成分(a2)の残存量が増えたり、得られる硬化物が脆くなる傾向がある。
本発明では、成分(A)の構成原料として、前記成分(a1)および(a2)以外に、エポキシアルコール(以下、成分(a3)という)を使用することもできる。成分(a3)は成分(a1)と同様に、成分(a2)と脱アルコール縮合反応して、成分(A)を与える。
ところで、成分(a1)中には、成分(a2)との脱アルコール縮合反応するための水酸基が存在しなければならないが、例えば、一般式()のビスフェノールA型エポキシ樹脂の場合には、水酸基を持たない分子(一般式(1)におけるm=0の分子)も存在する。水酸基を持たないエポキシ樹脂分子は成分(a2)と反応しないため、得られる成分(A)中に未反応のまま存在している。そのため、最終的に得られる複合体硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。

本発明では、成分(A)中に水酸基を持たないエポキシ樹脂分子が多く存在する場合であっても、成分(a3)を構成原料とすることにより、最終的に得られる複合体硬化物の耐熱性を高度に保持できるという利点がある。
成分(a3)の具体例は、次の一般式(2)で表される。
一般式(2):
Figure 0004207770
成分(a3)は、一般式(2)におけるpが1〜10であるものが好ましい。pの値が10を超えると、最終的に得られる複合体硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
前記のように、成分(a3)は、水酸基を持たないエポキシ樹脂分子が多く存在する成分(a1)を使用した場合であっても、得られる複合体硬化物に十分な耐熱性を付与するために使用できる。そのため、十分な耐熱性を有する複合体硬化物となる場合は、必ずしも成分(a3)を使用しなくてもよい。成分(A)の製造に際して、成分(a3)の使用量は特に限定されず、成分(a1)中に存在する水酸基を持たないエポキシ樹脂分子の含有量に応じて適宜に決定すればよい。なお、成分(a3)は、ある程度の毒性が認められる場合があるため、得られる成分(A)中に残存する未反応の成分(a3)を極力少なくするのがよい。
また、成分(A)の構成原料である成分(a2)としては、酸又は塩基触媒の存在下、下記のような加水分解性アルコキシシラン化合物および水を加え、部分的に加水分解、縮合したものを用いることができる。
当該アルコキシシラン化合物としては、例えば、一般式(3):
Si(OR4−n
(式中、nは0または1を示す。Rは、炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい低級(炭素数1〜4)アルキル基、アリール基または不飽和脂肪族残基を示す。Rはメチル基またはエチル基を示し、R同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物を例示できる。
成分(a2)の構成原料である加水分解性アルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、インプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等があげられる。
成分(a2)の構成原料である加水分解性アルコキシシラン化合物としては、成分(a1)や成分(a3)との反応性に富み、比較的低温で所望の成分(A)を調製でき、また入手しやすいなどの点から、テトラメチトキシシラン、メチルトリメトキシシランが特に好ましい。
成分(A2)は、例えば次の一般式(4)または(5)で示される。一般式(4):
Figure 0004207770
(式中、Rは、炭素原子に直結した官能基を有していてもよい低級(炭素数1〜4)アルキル基、アリール基又は不飽和脂肪族残基を示す。Rはメチル基またはエチル基を示し、R同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
一般式(5):
Figure 0004207770
(一般式(5)中、Rは一般式(4)中のRと同じ。)
成分(a2)の数平均分子量は230〜2000程度、一般式(4)および(5)において、平均繰り返し単位数qが2〜11のものが好ましい。nの値が11を超えると、成分(a1)や(a3)との相溶性が低下し、当該成分との反応性が低下する傾向がある。nが2未満であると当該反応で副生するアルコールと一緒に系外留去されやすい。
本発明における成分(A)は、成分(a1)および成分(a2)、必要により成分(a3)を反応装置に仕込み、後述の条件下に脱アルコール縮合反応させることにより得られる。成分(a1)および成分(a3)の使用合計量と成分(a2)の使用量との重量比は、成分(A)中にアルコキシ基が実質的に残存するような割合であれば特に制限はされないが、[成分(a1)の水酸基と成分(a3)の水酸基との合計当量/加水分解性アルコキシシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の当量](当量比)=0.1〜0.6であることが好ましく、更に好ましくは0.13〜0.5である。上記当量比が0.1未満であると未反応アルコキシシラン部分縮合物(3)の含有量が増え、0.6を超えると得られる複合体硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
成分(A)は、前記原料成分を分散媒の不存在下に脱アルコール縮合させることにより製造できるが、当該反応系が高粘度化する場合には、反応性希釈剤や有機溶剤中で反応させてもよい。本発明における脱アルコール縮合反応では、反応温度は50〜130℃程度、好ましくは70〜110℃であり、全反応時間は1〜15時間程度である。この反応は、成分(a2)自体の重縮合反応を防止するため、実質的に無水条件下で行うのがよい。また成分(A)の製造は、反応時間を短くするため、成分(a3)が蒸発しない範囲の減圧下で行うこともできる。
また、当該脱アルコール縮合反応に際しては、反応促進のために従来公知の触媒の内、成分(a1)や成分(a3)のエポキシ環を開環させないものを使用できる。該触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属;これら金属の酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等があげられる。これらのなかでも、特に有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫等が有効である。
上記の脱アルコール縮合反応は、分散媒の不存在下で行うことができるが、成分(a1)や成分(a2)の分子量が大きい時には、反応温度において、反応系が不均一となる場合が見られ反応が進行しにくくなる傾向があるため、液状エポキシ樹脂、反応性希釈剤、有機溶剤から選ばれる少なくとも一種の分散媒を使用するのが好ましい。
こうして得られた成分(A)は、成分(a2)のアルコキシ基が、成分(a1)や成分(a3)の水酸基と反応して、エポキシ基に置換されたものを主成分とするものであるが、成分(A)にはこれら原料成分が少量含有されていても差し支えない。
本発明の複合体は、成分(A)と成分(B)とを実質的に無水条件下に加熱して、当該(A)中のアルコキシ基と当該(B)の表面に存在する水酸基との間で脱アルコール縮合反応させることにより製造できる。成分(B)としては、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化錫、酸化ジルコニア、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化コバルト、酸化ビスマス、インジウム−錫酸化物、酸化イットリウムなどが使用できる。これらのなかでも、特に酸化ケイ素、酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化ジルコニア、酸化亜鉛が、成分(A)との反応性が高いため好ましい。
成分(B)の粒子径は、最終的に得られる複合体硬化物の用途に応じて適宜に決定できるが、当該複合体硬化物の透明性、平滑性、弾性率の点を考慮すれば、できるだけ小さい方がよく、具体的には平均粒子径が5〜100nm程度であるナノフィラーを好ましく使用できる。
成分(B)としては、上記の金属酸化物をそのまま使用することもできるが、取り扱い作業性を考慮すれば、金属酸化物を液状エポキシ樹脂、反応性希釈剤、および有機溶剤から選ばれる少なくとも一種の分散媒で分散させた当該分散液を使用するのが好ましい。当該分散液の製造方法としては、上記金属酸化物の濃度が5〜50重量%程度となるよう分散媒中で混合、攪拌して分散させる方法の他、当該金属酸化物の水系コロイダル粒子を用いて当該水を当該分散媒で置換する方法や、分散媒で希釈した金属アルコキシドをゾル−ゲル硬化させ、微粒子分散体を得る方法などが挙げられる。
記述のように、当該製造方法では、実質的に無水条件下に成分(A)中のアルコキシ基と成分(B)の表面に存在する水酸基との間で脱アルコール縮合反応させることに特徴がある。無水条件下で反応させることにより、成分(A)中のアルコキシ基相互間の自己縮合(ゾル−ゲル反応)が抑制されると共に、成分(A)中のアルコキシ基と成分(B)の表面に存在する水酸基との間で脱アルコール縮合反応を選択的に進行させることができ、成分(B)中の残存水酸基を実質的に消失させることができる。すなわち、本発明の製造方法によれば、得られる複合体の表面に、M(金属)−O−Siを選択的に形成することができる。成分(B)中の残存水酸基を実質的に消失させることができることにより、得られる複合体を硬化させた場合でも、ゾル−ゲル反応に関与しうるアルコキシ基が存在しないため、当該反応に起因する発泡などの不利が解消できる。
当該反応に際しては、成分(B)表面に存在する水酸基のモル数/成分(A)に存在するアルコキシ基のモル数が、0.5〜3.0程度とするのが好ましい。0.5未満の場合は成分(A)のアルコキシ基が過剰になり、当該反応時にアルコキシ基同士の自己縮合が進行する傾向があり、また3.0より大きい場合は成分(B)表面の水酸基が過剰となり当該反応時に凝集や沈殿が起こりやすくなる傾向がある。
本発明の複合体を製造する上記反応では、前記のように、実質的に無水条件下であって、分散媒の存在下または不存在下で、副生するアルコールや成分(A)の製造に用いた溶剤などの揮発分を除去しながら行う。反応温度は70〜250℃程度であり、全反応時間は1〜20時間程度である。なお、反応時間を短縮するために、前記成分(A)の製造に際して用いたと同様の触媒を用いたり、減圧下で行ってもよい。当該反応により、得られる複合体においては、成分(A)由来のアルコキシ基のうち70〜100%が消失し、当該割合で前記した、M(金属)−O−Si結合が形成されたものである。当該複合体の残存アルコキシ基の量が70%を余りに下回れば、硬化工程で副生アルコールに起因する発泡、割れ、反りなどが生じる傾向がある。
なお、上記反応で用いうる分散媒としては、分散させるべき成分(B)に対する分散能(非凝集性、非反応性など)や成分(A)に対する溶解性などを考慮して適宜に決定できる。例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂などの液状エポキシ樹脂;グリシジルエーテル類、グリシジルエステル類などの反応性希釈剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの有機溶剤を列挙できる。
本発明の複合体分散物を構成する分散媒の使用量は、当該分散媒が液状エポキシ樹脂や反応性希釈剤である場合には、成分(A)と成分(B)との合計量100重量部当たり、通常は5〜200重量部程度、好ましくは10〜100重量部であり、5重量部未満であれば、複合体分散物に粘度が高く十分な流動性を得にくくなる傾向あり、また200重量部を超える場合には、得られる複合体の硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。また当該分散媒が有機溶剤である場合には、その使用量は特に限定されず、各種用途に応じて適宜決定すればよい。
本発明の複合体やその分散物に対しては、その硬化条件や用途に応じて、当該構成成分として、エポキシ樹脂用硬化剤またはエポキシ基開環重合触媒を配合することができる。エポキシ樹脂用硬化剤としては、通常、エポキシ樹脂の硬化剤として使用されている、フェノール樹脂系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、ポリカルボン酸系硬化剤、イミダゾール系硬化剤等を特に制限なく使用できる。具体的には、フェノール樹脂系のものとしては、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、ポリp−ビニルフェノール等があげられ、ポリアミン系硬化剤としてはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジシアンジアミド、ポリアミドアミン(ポリアミド樹脂)、ケチミン化合物、イソホロンジアミン、m−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド等があげられ、ポリカルボン酸系硬化剤としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサクロルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸があげられ、またイミダゾール系硬化剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルヘキシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウム・トリメリテート、2−フェニルイミダゾリウム・イソシアヌレート等があげられる。
当該エポキシ樹脂用硬化剤の使用割合は、通常、複合体が有するエポキシ基や、複合体分散物(反応性希釈剤などを含有する)が有するエポキシ基1当量に対し、エポキシ樹脂用硬化剤中の活性水素を有する官能基が0.2〜1.5当量程度となるような割合で配合される。
また、本発明の複合体やその分散物には、硬化反応を促進するための硬化促進剤を更に配合してもよい。当該硬化促進剤としては、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などがあげられる。当該硬化促進剤の使用量は、当該複合体やその分散物100重量部に対し、通常は0.1〜5重量部程度である。
本発明の複合体やその分散物の構成成分とし得る、前記エポキシ基開環重合触媒としては、特に限定はなく、各種公知のものが使用できるが、例えば、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム、η−シクロペンタジエル−η−クメニル−Fe塩系などから選ばれる少なくとも1種のカチオンと、BF 、PF 、SbF から選ばれる少なくとも1種のアニオンとから構成されるオニウム塩などがあげられ、当該使用量は当該複合体やその分散物100重量部に対し、通常は0.1〜10重量部程度である。
このような熱カチオン重合開始剤は、1種を単独で用てもよいし2種類以上を併用してもよい。
前記した芳香族スルホニウム塩系のエポキシ基開環重合触媒としては、例えば、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム ヘキサフルオロアチモネート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム テトラフルオロボレート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどがあげられる。
前記した芳香族ヨードニウム塩系のエポキシ基開環重合触媒としては、例えば、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどがあげられる。
前記した芳香族ジアゾニウム塩系のエポキシ基開環重合触媒としては、例えば、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウム テトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどがあげられる。
前記した芳香族アンモニウム塩系のエポキシ基開環重合触媒としては、例えば、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどがあげられる。
前記したη−シクロペンタジエル−η−クメニル−Fe塩系のエポキシ基開環重合触媒としては、例えば、η−シクロペンタジエル−η−クメニル−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート、η−シクロペンタジエル−η−クメニル−Fe(II)ヘキサフルオロアンチモネート、η−シクロペンタジエル−η−クメニル−Fe(II)テトラフルオロボレート、η−シクロペンタジエル−η−クメニル−Fe(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどがあげられる。
なお、本発明の複合体やその分散物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、充填剤、離型剤、表面処理剤、難燃剤、粘度調節剤、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤、消泡剤、着色剤、安定剤、カップリング剤等を配合してもよい。
本発明の複合体硬化物は、前記の複合体やその分散物を室温〜250℃で硬化させることにより得られる。硬化温度は、エポキシ樹脂用硬化剤の種類によって適宜決定できる。当該硬化剤として、フェノール樹脂系硬化剤やポリカルボン酸系硬化剤を用いる場合には、100〜250℃で硬化させるのが好ましい。ポリアミン系硬化剤を用いると室温〜100℃の低温硬化が可能である。
本発明の複合体やその分散物を用いて膜厚300μmを超える硬化物を得るには、分散媒として反応性希釈剤や液状エポキシ樹脂を用いたり、アルコキシ基残存量が80%以上の複合体や当該分散物を用いるのが好ましい。
本発明の複合体や当該分散物は、前記のように、リジッドプリント基板用組成物、接着剤、導電性材料、異方性導電ペースト、非導電性ペースト、ソルダーレジストインキ、床材、電池用セパレータ材料、光導路基板材料、プラスチックフィルム改質剤、耐熱コーティング剤、および成型加工用組成物などの各種用途に使用できるが、これら用途における使用方法としては特に限定はされず、いずれも公知の各種方法を採用することができる。
以下、実施例および比較例などをあげて本発明を具体的に説明する。なお%は特記なし限り重量基準である。
製造例1(メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂[成分(A)]の製造)
攪拌機、還流管、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート834」、エポキシ当量257)100g、グリシドール11.9gおよびメチルトリメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名「MTMS−A」、Siの平均個数nが3.2)86.6gを仕込み、100℃に昇温した。その後、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.12gを加え、反応で生成するメタノールを除去しながら5時間反応させた。反応系内を室温まで冷却し、185gのメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−1)を得た。なお、仕込み時の加水分解性メトキシシランのメトキシ基の当量/エポキシ樹脂の水酸基の当量は11、生成物1分子当りの平均Si個数/生成物1分子当りのエポキシ環の平均個数は1.5である。
製造例2(メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂[成分(A)]の製造)
製造例1と同様の反応装置に、ビスフェノール型エポキシ樹脂(前記商品名「エピコート834」、エポキシ当量257)250g、グリシドール14.1gおよびメチルトリメトキシシラン部分縮合物(前記商品名「MTMS−A」、Siの平均個数nが3.2)102.3gを仕込み、100℃に昇温した。その後、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.15gを加え、反応で生成するメタノールを除去しながら6時間反応させた。反応系内を室温まで冷却し、334gのメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−2)を得た。なお、仕込み時の加水分解性メトキシシランのメトキシ基の当量/エポキシ樹脂の水酸基の当量は5.2、生成物1分子当りの平均Si個数/生成物1分子当りのエポキシ環の平均個数は1.16である。
製造例3(メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂[成分(A)]の製造)
製造例1と同様の反応装置に、ビスフェノール型エポキシ樹脂(前記商品名「エピコート834」、エポキシ当量257)300gおよびメチルトリメトキシシラン部分縮合物(前記商品名「MTMS−A」、Siの平均個数nが3.2)259.8gを仕込み、100℃に昇温した。その後、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.37gを加え、反応で生成するメタノールを除去しながら13時間反応させた。反応系内を室温まで冷却し、531gのメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−3)を得た。なお、仕込み時の加水分解性メトキシシランのメトキシ基の当量/エポキシ樹脂の水酸基の当量は11、生成物1分子当りの平均Si個数/生成物1分子当りのエポキシ環の平均個数は1.17である。
製造例4(メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂[成分(A)]の製造)
製造例1と同様の反応装置に、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート1001」、エポキシ当量475)2048g、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート828」、エポキシ当量185)5184gおよびグリシドール546.2gを仕込み、100℃に昇温した。メチルトリメトキシシラン部分縮合物(前記商品名「MTMS−A」、Siの平均個数nが3.2)3960gを仕込み、100℃に昇温した。その後、触媒としてジブチル錫ジラウレート5.66gを加え、反応で生成するメタノールを除去しながら11時間反応させた。反応系内を室温まで冷却し、11300gのメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−4)を得た。なお、仕込み時の加水分解性メトキシシランのメトキシ基の当量/エポキシ樹脂の水酸基の当量は13.3、生成物1分子当りの平均Si個数/生成物1分子当りのエポキシ環の平均個数は1.11である。
製造例5(メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂[成分(A)]の製造)
製造例1と同様の反応装置に、ビスフェノール型エポキシ樹脂(前記商品名「エピコート834」、エポキシ当量257)250g、7,8−エポキシ−1−オクタノール(クラレ(株)製、商品名「EOA」)58.2gおよびメチルトリメトキシシラン部分縮合物(前記商品名「MTMS−A」、Siの平均個数nが3.2)216.5gを仕込み、100℃に昇温した。その後、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.31gを加え、反応で生成するメタノールを除去しながら5時間反応させた。反応系内を室温まで冷却し、500gのメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(−5)を得た。なお、仕込み時の加水分解性メトキシシランのメトキシ基の当量/エポキシ樹脂の水酸基の当量は11、生成物1分子当りの平均Si個数/生成物1分子当りのエポキシ環の平均個数は1.38である。
製造例6(メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂[成分(A)]の製造)
製造例1と同様の反応装置に、ビスフェノール型エポキシ樹脂(前記商品名「エピコート834」、エポキシ当量257)200g、グリシドール51.8gおよびテトラメトキシシラン部分縮合物(前記商品名「Mシリケート51」、Siの平均個数nが4)232.4gを仕込み、90℃に昇温した。その後、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.20gを加え、反応で生成するメタノールを除去しながら10時間反応させた。反応系内を室温まで冷却し、445gのメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−6)を得た。なお、仕込み時の加水分解性メトキシシランのメトキシ基の当量/エポキシ樹脂の水酸基の当量は20、生成物1分子当りの平均Si個数/生成物1分子当りのオキシラン環の平均個数は1.31である。
製造(複合体の製造)
製造例1と同様の反応装置に、製造例1で得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−1)100g、トルエンシリカゾル(扶桑化学(株)製、商品名「クオートロンPL−1−Tol」、固形分濃度40%)34.0g、トルエン100g、ジブチル錫ジラウレート0.50gを仕込み、120℃に昇温した。反応で生成するメタノールを除去しながら4時間反応させ、次いで130℃に昇温し、トルエンの除去を行った。その後減圧を行い系内の揮発分を除去し、109.5gの複合体(H−1)を得た。
製造(複合体の製造)
製造例1と同様の反応装置に、製造例2で得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−2)100g、前記商品名「クオートロンPL−1−Tol」20.4g、トルエン100g、ジブチル錫ジラウレート0.10gを仕込み、120℃に昇温した。反応で生成するメタノールを除去しながら3時間反応させ、次いで130℃に昇温し、トルエンの除去を行った。その後減圧を行い系内の揮発分を除去し、106.7gの複合体(H−2)を得た。
製造(複合体の製造)
製造例1と同様の反応装置に、製造例3で得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−3)100g、メタノールシリカゾル(扶桑化学(株)製、商品名「クオートロンPL−1−MA」、固形分濃度13%)50.0g、ジブチル錫ジラウレート0.50gを仕込み、90℃に昇温した。反応で生成するメタノールおよびシリカゾル中に含まれるメタノールを除去しながら5時間反応させた。その後減圧を行い系内の揮発分を除去し、105.1gの複合体(H−3)を得た。
製造10(複合体の製造)
製造例1と同様の反応装置に、製造例4で得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−4)100g、メタノールシリカゾル(日産化学(株)製、商品名「メタノールシリカゾル」、固形分濃度は30%)27.68g、ジブチル錫ジラウレート0.05gを仕込み、90℃に昇温した。反応で生成するメタノールを除去しながら5時間反応させた。その後減圧を行い系内の揮発分を除去し、105.0gの複合体(H−4)を得た。
製造11(複合体の製造)
製造例1と同様の反応装置に、製造例5で得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−5)100g、前記商品名「クオートロンPL−1−Tol」34.1g、トルエン100g、ジブチル錫ジラウレート0.50gを仕込み、120℃に昇温した。反応で生成するメタノールを除去しながら3時間反応させ、次いで130℃に昇温し、トルエンの除去を行った。その後減圧を行い系内の揮発分を除去し、106.8gの複合体(H−5)を得た。
製造12(複合体の製造)
製造例1と同様の反応装置に、製造例1で得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−1)100g、酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、商品名「UFA−150」)30.2g、トルエン100g、ジブチル錫ジラウレート0.50gを仕込み、120℃に昇温した。反応で生成するメタノールを除去しながら4時間反応させ、次いで130℃に昇温し、トルエンの除去を行った。その後減圧を行い系内の揮発分を除去し、119.2gの複合体(H−6)を得た。
製造13(複合体の製造)
製造例1と同様の反応装置に、製造例6で得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−6)100g、前記商品名「クオートロンPL−1−Tol」56.9g、トルエン100g、ジブチル錫ジラウレート0.50gを仕込み、120℃に昇温した。反応で生成するメタノールを除去しながら3時間反応させ、次いで130℃に昇温し、トルエンの除去を行った。その後減圧を行い系内の揮発分を除去し、114.2gの複合体(H−7)を得た。
実施例(複合体分散物の調製)
製造で得られた複合体(H−1)100gに対してフェノールノボラック樹脂(荒川化学工業(株)製、商品名「タマノル759、フェノール当量106」)の50%MEK溶液45g、MEK100gを加え、複合体分散物を調製した。
実施例(複合体分散物の調製)
製造で得られた複合体(H−2)100gに対して2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成(株)製、商品名「2E4MZ」)5g、MEK100gを加え、複合体分散物を調製した。
参考例1(複合体分散物の調製)
製造例8で得られた複合体(H−2)100gに対してピロメリット酸14gを加え、複合体分散物を調製した。
比較例1(比較用組成物の調製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(前記商品名「エピコート1001」100gに対してフェノールノボラック樹脂(前記商品名「タマノル759」)の50%MEK溶液34g、MEK100gを加え、比較用エポキシ樹脂組成物を調製した。
比較例2(比較用組成物の調製)
製造例1で得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−1)100gに対してフェノールノボラック樹脂(前記商品名「タマノル759」)の50%MEK溶液50g、オクチル酸錫2g、MEK100gを加え、比較用エポキシ樹脂組成物を調製した。
比較例3(比較用組成物の調製)
製造例1で得られたメトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A−1)100gに対して2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成(株)製、商品名「2E4MZ」)5g、オクチル酸錫2g、MEK100gを加え、比較用エポキシ樹脂組成物を調製した。
(性能評価)
1.硬化膜の外観(発泡、割れ、反り)評価
実施例1〜で得られた各種の複合体分散物、および参考例1、比較例1〜3で得られた各種の比較用分散物を、2gずつ、別々のアルミカップ(直径5cm)に入れ、均一に流延した後に、90℃で30分、更に170℃で2時間加熱することにより、硬化させた。ついでこれら硬化膜を48時間放置して、膜厚約200μmの硬化膜を得た。当該各硬化膜を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
発泡評価の基準
○:発泡がない。 ×:発泡がある。
割れの基準
○:割れ、反りがない。 ×:割れまたは反りがある。
2.耐傷付き性
前項において、基材であるアルミカップに代えて、前記分散物をそれぞれバーコーターを用いてガラス板に塗布し、同一条件で熱硬化させた他は、同様にして、膜厚約200μmの硬化膜を得た。当該各硬化膜を用いて、JIS K−5400の塗料一般試験方法による鉛筆引っかき試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004207770
表1から明らかなように、当該実施例で得られた複合体やその分散物を用いてなる硬化物では、200μmという厚膜にも拘わらず、いずれも発泡、割れ、反りを生じなかった。また、当該実施例1〜で得られる硬化物は、総じて高硬度の硬化膜を提供することができた。これに対し、比較例1から得られる硬化物では割れ、反りは生じなかったが硬度が低いものであった。また、比較例2および3から得られる硬化物では、硬度は高かったが、発泡、反りが生じた。
3.耐熱性
第1項と同様にして得た各硬化膜を、5mm×25mmにカットし、粘弾性測定器(レオロジ社製、商品名「DVE−V4」、測定条件振幅1μm、振動数10Hz、スロープ3℃/分)を用いて動的貯蔵弾性率E’、Tanδを測定して、耐熱性を評価した。測定結果を図1に示す。
図1から明らかなように、比較例1では、硬化フィルムは90℃付近で貯蔵弾性率が大幅に低下しているのに対し、比較例2および実施例5では、硬化フィルムの貯蔵弾性率が急激には低下しておらず、ともに優れた耐熱性を有していると認められる。
実施例、比較例1および比較例2の耐熱性測定結果である。

Claims (8)

  1. ビスフェノール型エポキシ樹脂(a1)および加水分解性アルコキシシラン部分縮合物(a2)を脱アルコール縮合反応させて得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A)と金属酸化物粒子(B)とを、無水条件下に加熱して、当該(A)中のアルコキシ基と当該(B)の表面に存在する水酸基との間で脱アルコール縮合反応させて得られる複合体と有機溶剤からなる分散媒体と、エポキシ樹脂用硬化剤またはエポキシ基開環重合触媒とを含有することを特徴とする複合体分散物。
  2. 前記(A)が、追加構成成分としてエポキシアルコール(a3)を含んでなるものである請求項1記載の複合体分散物。
  3. 前記(a1)がビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項1記載または2記載の複合体分散物。
  4. 前記(a2)が、下記一般式:
    Figure 0004207770

    (式中、Rはメチル基もしくはメトキシ基を示し、qは1〜7である)で表されるポリ(テトラメトキシシラン)またはポリ(メチルトリメトキシシラン)である請求項1〜3のいずれかに記載の複合体分散物。
  5. 前記(a3)が、下記一般式:
    Figure 0004207770

    (式中、pは1〜10である)で表される請求項2〜4のいずれかに記載の複合体分散物。
  6. 前記(A)と(B)の使用割合が、[(B)の水酸基のモル数/(A)のアルコキシ基のモル数](モル比)が、0.5〜3.0である請求項1〜5のいずれかに記載の複合体分散物。
  7. 金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化ジルコニアおよび酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜6のいずれかに記載の複合体分散物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合体分散物を硬化させてなることを特徴とする複合体硬化物。
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