JP4206732B2 - バルブ装置と流体制御チップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動で開閉を行うバルブ装置と流体制御チップに関し、特に、加振時に弁体が受ける力を利用するバルブ装置とこれを積層して使用する流体制御チップに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近のナノテクノロジーや超微細加工技術の動きは目覚ましく、今後はこうした技術が融合して様々の応用技術に発展することが期待されている。
【0003】
このような融合技術の1つとして、半導体チップと微小アクチュエータを一体化した微小電気機械システム(MEMS)技術、いわゆるマイクロマシンが注目されている。これはLSIと実際の仕事を受け持つアクチュエータを一体化して数mm角のチップに収めるものであり、とりわけ微小な流体回路とLSI回路を組み合わせることが新たな融合を生むものとして期待されている。
【0004】
こうしたチップは、流体回路として基板上に、少なくとも、液を流路に供給するためのマイクロポンプや、その流路、複数のセンサ、流路を開閉するマイクロバルブ、さらにはこれらを駆動するためのLSI回路が集積されてる。そして、流路は概ね管径数μm〜数百μmのオーダであり、マイクロポンプとマイクロバルブはこの管径の大きさに縛られるものである。
【0005】
ところでこのマイクロバルブは、一般のバルブとは隔絶した微小構造であるとともに、液漏れや、開閉動作の確実性、耐久性等の課題が解決されないと機能が果たせないものである。また、このマイクロバルブは制御が容易で正確でなければチップの流体回路の要素としては使えない。さらにこのマイクロバルブは、微小なためきわめて高い確実性が要求されるし、一般のバルブでは無視できるような慣性や振動、寸法誤差にも影響を受ける。
【0006】
そこで、こうしたマイクロバルブとして好適の速動弁が提案された(特許文献1参照)。図11は従来の速動弁の構成図である。この速動弁は、ハウジング100内にチャンバ101を備え、この内部に、弁体103によって閉止されたバルブシート104が配置されている。バルブシート104は、軸方向に膨張及び収縮が可能なアクチュエータ105によって支持されている。アクチュエータ105は、作動信号に感応して収縮する。この結果バルブシート104が、弁体103が追随できないような高速にて弁体103から離れ、弁体103は慣性で動きが遅れ、バルブシート104を通過する流れを作る。この流れは弁体103を閉止位置に押し戻す。このような動作の繰返しで流体を流し制御するものである。そしてこの速動弁は、短い切換時間で切り換えることができ、高い反復速度を達成するものである。
【0007】
【特許文献1】
特表2001−512813号公報(第4−7頁、第1図、第5図、第6図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、微小な流体回路とLSI回路が融合したチップに大きな期待が寄せられているが、こうしたチップに組み込まれるマイクロバルブは一般のバルブとは隔絶した微小構造であるとともに、液漏れや、開閉動作の確実性、耐久性等の課題が解決されないと機能が果たせない。また、制御が容易で正確でなければチップの流体回路の要素としては使えないという課題があった。微小であるが故にきわめて高い正確性が要求され、しかも一般のバルブでは無視できるような慣性や振動、寸法誤差等にも大きな影響を受けるものである。
【0009】
また、(特許文献1)で提案された速動弁は、短時間で切り換えることができ、高い反復速度が得られるものであるが、金属製ディスク等のバルブシート104の出入孔に弁体103を押圧して流路を閉鎖させるため、閉動作の確実性や高圧時、圧力変動時の耐圧性(液漏れ)等に問題があるものであった。しかも、流路の開度が圧電素子の動作幅(数μm〜数十μm程度)内に限定されるため、制御の正確性や応答性はコントロールが難しく、振動や寸法誤差等にも大きな影響を受け、且つ、ダイナミックレンジが狭く速動弁を流れる流体の最大流量は大きくできないものであった。このとき、大流量や連続流を流そうとすると、脈動の大きな流れとなってしまう。
【0010】
そこで本発明は、制御が容易で且つ正確に行え、ダイナミックレンジが広く、応答が速く、脈動の少ないバルブ装置を提供することを目的とする。
【0011】
また本発明は、制御が容易で且つ正確に行え、交換が容易で経済的な流体制御チップを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、流体の入口と出口とを有するチャンバと、チャンバに収納される弁体と、チャンバに振動を加える加振手段と、加振手段を駆動する駆動装置を備えたバルブ装置であって、加振手段が、チャンバに加える振動の周波数及びまたは振幅を変更し、変更された振動によって弁体の振幅を変えて開度を変更するように構成したものである。
【0013】
本発明は、高圧化しても液漏れせず、製作が容易で耐久性に優れ、制御が容易で且つ正確に行え、ダイナミックレンジが広く、応答が速く、脈動を少なくすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、流体の入口と出口とを有するチャンバと、チャンバに収納される弁体と、チャンバに振動を加える加振手段と、加振手段を駆動する駆動装置を備え、加振手段による振動により弁体がチャンバの出口を開閉するバルブ装置において、加振手段は、チャンバに加える振動の周波数及び/または振幅を変更し、変更された振動によって弁体の振幅を変えることにより、出口の開閉または開度を変更することを特徴とするバルブ装置であり、振動の周波数及び/または振幅を変更して開度を迅速に調節でき、制御が容易で正確になり、ダイナミックレンジが広く、脈動が少なく、応答が速くなる。
【0015】
第2の発明は、加振手段が圧電素子であることを特徴とする請求項1記載のバルブ装置であり、制御が容易に行える。
【0016】
第3の発明は、加振手段が着脱可能であることを特徴とする請求項1または2記載のバルブ装置であり、バルブ装置の部品を交換するときにも加振手段を再利用できる。
【0017】
第4の発明は、駆動装置が着脱可能であることを特徴とする請求項1〜3記載のバルブ装置であり、バルブ装置の部品を交換するときにも駆動手段を再利用できる。
【0018】
第5の発明は、加振手段がチャンバ内の流体の流れ方向と直交する方向に振動を加えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバルブ装置であり、振動成分を最大限利用することができる。
【0019】
第6の発明は、加振手段が、出口からの流体の流量を変更するとき弁体を移動させる所定の周波数域内にて周波数を変更して加振し、閉止するときには周波数域外の周波数で加振または加振を止めることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバルブ装置であり、開度の制御とバルブ装置の閉止を周波数の選択だけで簡単に行うことができる。
【0020】
第7の発明は、加振手段が、出口からの流体の流量を増すときに周波数を上げることを特徴とする請求項6記載のバルブ装置であり、周波数の増加と流量の増加を一義的に対応させて制御できる。
【0021】
第8の発明は、加振手段が、出口からの流体の流量を変更するとき弁体を移動させることができる所定の振幅域内にて振幅を変更して加振し、閉止するときには振幅域外の振幅で加振または加振を止めることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のバルブ装置であり、開度の制御とバルブ装置の閉止を振幅の選択だけで簡単に行うことができる。
【0022】
第9の発明は、加振手段が、出口からの流体の流量を増すときに振幅を増すことを特徴とする請求項8記載のバルブ装置であり、振幅の増加と流量の増加を一義的に対応させて制御できる。
【0023】
第10の発明は、加振手段が、弁体による出口の開放時の前後における所定期間内に、周波数域の範囲内で本振動よりも高い周波数で加振することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のバルブ装置であり、立ち上がりを迅速にでき、その後に円滑に本振動を加えることができる。
【0024】
第11の発明は、加振手段が、弁体による出口の開放時の前後における所定期間内に、振幅域の中で本振動よりも大きな振幅で加振することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のバルブ装置であり、立ち上がりを迅速にでき、その後に円滑に本振動を加えることができる。
【0025】
第12の発明は、加振手段の振動の変更により、出口からの流体の流れを連続的な流れまたは間欠的な流れを生成することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のバルブ装置であり、波形のコントロールの1態様として脈動と連続流にすることができる。
【0026】
第13の発明は、加振手段が、弁体による出口の開放時の前後における所定期間内に、弁体とチャンバの内壁(弁座)との接触摩擦を低減するための周波数と振幅をもつ振動を与えることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のバルブ装置であり、開放時に微振動を加えることにより弁体と弁座との摩擦力を低下させ、高圧化してもバルブ装置を円滑に開放することが可能になる。
【0027】
第14の発明は、加振手段は、弁体による出口の閉鎖時の前後における所定期間内に、弁体とチャンバの内壁との接触摩擦を低減するための周波数と振幅とを有する振動を与えることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のバルブ装置であり、閉止時に微小振動を加えることにより、弁体と弁座との間の馴染みを増し、クサビ効果を向上させることができ、閉鎖を確実なものとすることにより高耐圧性をもたせることができる。
【0028】
第15の発明は、加振手段は、弁体による出口を開放する前の時点から出口を閉鎖した後の時点までの所定の期間に、弁体とチャンバの内壁との接触摩擦を低減するための周波数と振幅とを有する振動を与えることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のバルブ装置であり、高圧化してもバルブ装置を円滑に開放し、且つ確実に閉鎖することが可能になる。
【0029】
第16の発明は、加振手段は、本振動に該本振動と異なる周波数と振幅とを有する振動を重畳させることを特徴とする請求項13〜15のいずれか記載のバルブ装置であり、高圧化してもバルブ装置を円滑に開閉することが可能になる。
【0030】
第17の発明は、加振手段は、チャンバ内に液体を充填する際に、出口から気体を放出し、且つ、液体をチャンバ内から出さない振動を与えることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のバルブ装置であり、微小振動により弁体と弁座の間に生じた微小なギャップから気体だけは流出する。さらに、液体が充満してくると自然に振動が抑えられ、その後バルブ装置は閉止状態となるが、液体は弁体と弁座の間から流出することはない。
【0031】
第18の発明は、チャンバ下流側流路にガス抜き部が設けられ、液体は透過せずにガスのみを透過して排出することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のバルブ装置であり、内部の液体を外部に漏らすことなく、チャネル内の気体が圧縮されて流体の移動を阻害することを防ぐことができる。
【0032】
第19の発明は、チャンバ内を流体が充たしたとき、該流体の先頭部分を検出する頭出し検出手段が設けられたことを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のバルブ装置であり、流体の先頭部分を検出するため、流体の送り精度が向上し、検出後に外乱が加わっても液体の液漏れが生じない。
【0033】
第20の発明は、頭出し検出手段が、チャンバの出口から下流位置に設けられたことを特徴とする請求項19に記載のバルブ装置であり、流体の先頭部分を検出するため、流体の送り精度が更に向上し、検出後に流体を円滑に送ることができる。
【0034】
第21の発明は、頭出し検出手段が振動検出手段または光学的検出手段であることを特徴とする請求項19または20に記載のバルブ装置であり、振動検出手段または光学的検出手段であるため、非接触ながら正確に流体の先頭部分を検出できる。
【0035】
第22の発明は、頭出し検出手段が着脱自在であることを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載のバルブ装置であり、バルブ装置の部品を交換するときにも頭出し検出手段を再利用できる。
【0036】
第23の発明は、チャンバ内を流体が充たしたとき、該チャンバ内の状態変化を検出する状態検出手段が設けられ、該状態検出手段が検出したチャンバ内の状態変化から流体の物性または速度を検出することを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載のバルブ装置であり、振動検出または光学的検出等により、チャンバ内の状態変化を検出し、その検出状態の変化と検出時間とから流体の物性または速度を検出することができる。状態変化を与える手段を設けて、所定の入力の入力に対する応答としての状態変化を検出することでも物性を検出できる。
【0037】
第24の発明は、状態検出手段が、振動を検出する振動検出手段方式または光学的検出手段であることを特徴とする請求項23記載のバルブ装置であり、振動検出手段または光学的検出手段であるため、非接触ながら正確に流体の先頭部分を検出できる。
【0038】
第25の発明は、状態検出手段が着脱自在であることを特徴とする請求項23または24に記載のバルブ装置であり、バルブ装置の部品を交換するときにも状態検出手段を再利用できる。
【0039】
第26の発明は、駆動装置は、加振手段の駆動波形を制御する制御部を有し、制御部は、状態検出手段によって検出された流体の速度または物性に基づいてバルブ制御データを調整することを特徴とする請求項23〜25記載のバルブ装置であり、バルブ装置を制御するときに、検出した速度や物性からバルブ制御データを調整でき、バルブ制御の精度を向上させることができる。
【0040】
第27の発明は、制御部は、バルブ制御データに関するバルブ制御テーブルが格納された記憶部を有することを特徴とする請求項26に記載のバルブ装置であり、記憶部内のバルブ制御テーブルを更新することができ、バルブ制御の精度を向上させることができる。
【0041】
第28の発明は、状態検出手段によって検出された流体の物性から流体を特定することができる物性テーブルが記憶部に格納されたことを特徴とする請求項27記載のバルブ装置であり、記憶部内のバルブ制御テーブルを更新することができ、バルブ制御の精度を向上させることができる。
【0042】
第29の発明は、請求項1〜28のいずれかに記載のバルブ装置が、チャンバの横幅が数μm〜数百μmのマイクロバルブであることを特徴とするバルブ装置であり、マイクロバルブの制御は通常のアクチュエータでは非常に困難であるが、簡単に制御できる。
【0043】
第30の発明は、流体の入口と出口とを有するチャンバと該チャンバに収納される弁体を備えた複数のバルブ装置と、該複数のバルブ装置がそれぞれ異なる固有振動数を有すように振動学的に分離して設けられたバルブ配設基板と、バルブ配設基板に振動を加える加振手段と、加振手段を駆動する駆動装置を備え、加振手段による振動により弁体がチャンバの出口を開閉する流体制御チップであって、加振手段が、制御するバルブ装置の固有振動数を単独または複数を重畳させた周波数でバルブ配設基板に振動を加えて、出口の開閉または開度を変更することを特徴とする流体制御チップであり、1つの加振手段だけで、周波数を使って複数のバルブ装置の中からコントロール対象を簡単に特定してそれぞれ自在に制御できる。
【0044】
第31の発明は、バルブ装置は、請求項1〜29のいずれかのバルブ装置であることを特徴とする請求項30記載の流体制御チップであり、1つの加振手段だけで、周波数を使って上述した形態の複数のバルブ装置の中からコントロール対象を簡単に特定してそれぞれ自在に制御できる。
【0045】
第32の発明は、加振手段が、制御するバルブ装置ごとに振幅を変えて振動を加えることを特徴とする請求項30または31に記載の流体制御チップであり、振幅を変更するため開度を迅速に調節でき、制御が容易で正確になり、ダイナミックレンジが広く、脈動が少なく、応答が速くなる。
【0046】
第33の発明は、バルブ配設基板において、少なくとも1つのバルブ装置を含むバルブ配設基板の所定の領域が、他のバルブ装置を含むバルブ配設基板の領域と異なる固有振動数を有していることを特徴とする請求項30〜32のいずれかに記載の流体制御チップであり、1つの加振手段だけで、周波数を使って複数のバルブ配設基板の領域の中からコントロール対象を簡単に特定してそれぞれ自在に制御できる。
【0047】
第34の発明は、バルブ装置において、弁体の質量、形状、比重、表面粗さ、またはチャンバの形状、表面粗さの少なくともいずれかを変更して異なる固有振動数を有していることを特徴とする請求項30〜33のいずれかに記載の流体制御チップであり、弁体やチャンバの諸量を変更することで簡単に固有振動を変えることができる。バルブ配設基板に対する分割などがなく、強度を低下させることなく固有振動を変えることができる。
【0048】
第35の発明は、流体の入口と出口とを有するチャンバと該チャンバに収納される弁体を備えたバルブ装置と、該バルブ装置が設けられたバルブ配設基板と、バルブ配設基板に振動を加える加振手段と、加振手段を駆動する駆動装置を備え、加振手段による振動により弁体がチャンバの出口を開閉する流体制御チップであって、加振手段には、その振動方向と平行な面を有する固定部材が設けられ、該固定部材の取付面にバルブ配設基板が取り付けられていることを特徴とする流体制御チップであり、誰でも加振手段のバルブ配設基板への組み付けを容易に行うことができる。
【0049】
第36の発明は、固定部材とバルブ配設基板とが着脱自在であることを特徴とする請求項35記載の流体制御チップであり、ユーザが流体制御チップのバルブ配設基板を交換するときに、加振手段を繰返して使用できて経済的となる。
【0050】
第37の発明は、バルブ装置に対してチャンバ内の流体の流れ方向と直交する方向から所定の振動を加え、該振動の周波数及びまたは振幅を変更して、変更された振動によって弁体の振幅を変えて出口の開閉または開度を変更することを特徴とする請求項35または36のいずれかに記載の流体制御チップであり、振動成分を最大限に利用でき、振動の周波数及びまたは振幅を変更して開度を迅速に調節でき、制御が容易で正確になり、ダイナミックレンジが広く、脈動が少なく、応答が速くなる。
【0051】
第38の発明は、出口からの流体の流量を変更するときには弁体を移動させることができる所定の周波数域内にて周波数を変更して加振し、閉止するときには周波数域外の周波数で加振または加振を止めることを特徴とする請求項35〜37のいずれかに記載の流体制御チップであり、開度の制御とバルブ装置の閉止を周波数の選択だけで簡単に行うことができる。
【0052】
第39の発明は、出口からの流体の流量を変更するときには弁体を移動させることができる所定の振幅域内にて振幅を変更して加振し、閉止するときには振幅域外の振幅で加振または加振を止めることを特徴とする請求項35〜38のいずれかに記載の流体制御チップであり、開度の制御とバルブ装置の閉止を振幅の選択だけで簡単に行うことができる。
【0053】
第40の発明は、バルブ配設基板に複数のバルブ装置がそれぞれ異なる固有振動数を有すように振動学的に分離して設けられ、制御したいバルブ装置の固有振動数を単独または複数を重畳させた周波数で振動を加えて出口の開閉または開度を変更することを特徴とする請求項35〜39のいずれかに記載の流体制御チップであり、1つの加振手段だけで、周波数を使って複数のバルブ装置の中からコントロール対象を簡単に特定してそれぞれ自在に制御できる。
【0054】
第41の発明は、流体の入口と出口とを有するチャンバと該チャンバに収納される弁体を備えたバルブ装置と、当該バルブ装置を少なくとも1つ以上配設するバルブ配設基板と、バルブ配設基板に振動を加える加振手段と、加振手段を駆動する駆動装置を備え、加振手段による振動により弁体がチャンバの出口を開閉する流体制御チップであって、加振手段の振動方向と少なくともバルブ配設基板を含む構造体の重心位置が、一致していることを特徴とする流体制御チップであり、流体制御チップ内の振動分布が一様になる。
【0055】
第42の発明は、バルブ装置に対してチャンバ内の流体の流れ方向と直交する方向から所定の振動を加え、該振動の周波数及び/または振幅を変更して、変更された振動によって弁体の振幅を変えて出口の開閉または開度を変更変更することを特徴とする請求項41記載の流体制御チップであり、開度の制御とバルブ装置の閉止を周波数及び/または振幅の選択だけで簡単に行うことができる。
【0056】
第43の発明は、出口からの流体の流量を変更するときには弁体を移動させることができる所定の周波数域内にて周波数を変更して加振し、閉止するときには周波数域外の周波数で加振または加振を止めることを特徴とする請求項41または42のいずれかに記載の流体制御チップであり、開度の制御とバルブ装置の閉止を周波数の選択だけで簡単に行うことができる。
【0057】
第44の発明は、出口からの流体の流量を変更するときには弁体を移動させることができる所定の振幅域内にて振幅を変更して加振し、閉止するときには振幅域外の振幅で加振または加振を止めることを特徴とする請求項41〜43のいずれかに記載の流体制御チップであり、開度の制御とバルブ装置の閉止を振幅の選択だけで簡単に行うことができる。
【0058】
第45の発明は、バルブ配設基板に複数のバルブ装置がそれぞれ異なる固有振動数を有すように振動学的に分離して設けられ、制御したいバルブ装置の固有振動数を単独または複数を重畳させた周波数で振動を加えて該出口の開閉または開度を変更することを特徴とする請求項41〜44のいずれかに記載の流体制御チップであり、1つの加振手段だけで、周波数を使って複数のバルブ装置の中からコントロール対象を簡単に特定してそれぞれ自在に制御できる。
【0059】
第46の発明は、流体の入口と出口とを有するチャンバと該チャンバに収納される弁体を備えたバルブ装置と、該バルブ装置を少なくとも1つ以上配設するバルブ配設基板と、バルブ配設基板に振動を加える加振手段と、加振手段を駆動する駆動装置と、バルブ配設基板を保持する保持部材が加振手段に設けられ、加振手段による振動により弁体がチャンバの出口を開閉する流体制御チップであって、バルブ配設基板を保持部材へ固定する固定位置が3点以上であり、且つ、固定位置で囲まれる領域にバルブ装置が設けられていることを特徴とする流体制御チップであり、流体制御チップの剛性が小さい場合でも3点支持により固定領域の振動分布が一様になる。
【0060】
第47の発明は、保持部材とバルブ配設基板が着脱可能であることを特徴とする請求項46記載の流体制御チップであり、流体制御チップの部品を交換するときにも保持部材を再利用できる。
【0061】
第48の発明は、バルブ装置に対してチャンバ内の流体の流れ方向と直交する方向から所定の振動を加え、該振動の周波数及び/または振幅を変更して、変更された振動によって弁体の振幅を変えて出口の開閉または開度を変更変更することを特徴とする請求項46または47に記載の流体制御チップであり、開度の制御とバルブ装置の閉止を周波数及び/または振幅の選択だけで簡単に行うことができる。
【0062】
第49の発明は、出口からの流体の流量を変更するときには弁体を移動させることができる所定の周波数域内にて周波数を変更して加振し、閉止するときには周波数域外の周波数で加振または加振を止めることを特徴とする請求項46〜48のいずれかに記載の流体制御チップであり、開度の制御とバルブ装置の閉止を周波数の選択だけで簡単に行うことができる。
【0063】
第50の発明は、出口からの流体の流量を変更するときには弁体を移動させることができる所定の振幅域内にて振幅を変更して加振し、閉止するときには振幅域外の振幅で加振または加振を止めることを特徴とする請求項46〜49のいずれかに記載の流体制御チップであり、開度の制御とバルブ装置の閉止を振幅の選択だけで簡単に行うことができる。
【0064】
第51の発明は、バルブ配設基板に複数のバルブ装置がそれぞれ異なる固有振動数を有すように振動学的に分離して設けられ、制御したいバルブ装置の固有振動数を単独または複数を重畳させた周波数で振動を加えて該バルブ装置の開閉または開度を変更することを特徴とする請求項46〜50のいずれかに記載の流体制御チップであり、1つの加振手段だけで、周波数を使って複数のバルブ装置の中からコントロール対象を簡単に特定してそれぞれ自在に制御できる。
【0065】
第52の発明は、流体の入口と出口とを有するチャンバと、チャンバに収納される弁体と、を備えたバルブ装置であって、チャンバに加えられる振動の周波数及び/または振幅を変更し、変更された振動によって弁体の振幅が変わり、出口の開閉または開度を変更することを特徴とするバルブ装置であり、開度の制御とバルブ装置の閉止を周波数及び/または振幅の選択だけで簡単に行うことができる。
【0066】
第53の発明は、振動がチャンバ内の流体の流れ方向と直交する方向から加えられることを特徴とする請求項52記載のバルブ装置であり、振動成分を最大限利用することができる。
【0067】
第54の発明は、加振手段の振動の変更により、出口からの流体の流れを連続的な流れ及び/または間欠的な流れを生成することを特徴とする請求項52または53に記載のバルブ装置であり、波形のコントロールの1態様として脈動と連続流にすることができる。
【0068】
第55の発明は、流体の入口と出口とを有するチャンバと該チャンバに収納される弁体を備えた複数のバルブ装置と、該複数のバルブ装置がそれぞれ異なる固有振動数を有すように振動学的に分離して設けられたバルブ配設基板とを備え、加振手段による振動により弁体がチャンバの出口を開閉する流体制御チップであって、該チャンバを振動させる振動の固有振動数を単独または複数重畳させた振動をバルブ配設基板に加えることにより、出口の開閉または開度が変更されることを特徴とする流体制御チップであり、1つの加振手段だけで、周波数を使って複数のバルブ装置の中からコントロール対象を簡単に特定してそれぞれ自在に制御できる。
【0069】
第56の発明は、振動がチャンバ内の流体の流れ方向と直交する方向から加えられることを特徴とする請求項55記載の流体制御チップであり、振動成分を最大限利用することができる。
【0070】
第57の発明は、振動の変更により、出口からの流体の流れを連続的な流れ及び/または間欠的な流れを生成することを特徴とする請求項55または56に記載の流体制御チップであり、波形のコントロールの1態様として脈動と連続流にすることができる。
【0071】
第58の発明は、流体の入口と出口とを有するチャンバと該チャンバに収納される弁体とを備えたバルブ装置であって、チャンバを含み、かつ入口と出口につながる流路にて、2点間の流体の通過時間を測定する検出手段を設けたことを特徴とするバルブ装置であり、流体の速度、すなわち流量を検出することが可能になる。
【0072】
第59の発明は、検出手段が光学的検出手段であることを特徴とする請求項58記載のバルブ装置であり、非接触で測定できる。
【0073】
第60の発明は、検出手段が、チャンバの入口から上流位置に設けらたことを特徴とする請求項58または59に記載のバルブ装置であり、下流側のチャンバでのバルブ制御が容易になる。
【0074】
第61の発明は、検出手段にて、流体の流速または物性を特定することを特徴とする請求項58〜60のいずれかに記載のバルブ装置であり、チャンバ及び流路内の状態変化を検出し、その検出状態の変化と検出時間とから流体の物性または速度を検出することができる。
【0075】
第62の発明は、検出手段が着脱自在であることを特徴とする請求項58〜61のいずれかに記載のバルブ装置であり、バルブ装置の部品を交換するときにも検出手段を再利用できる。
【0076】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0077】
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の実施の形態1におけるバルブ装置を使用した流体回路チップの全体構成分解斜視図、図1(b)は(a)のバルブ装置の一部破断斜視図である。
【0078】
最初に実施の形態1のバルブ装置を使用した流体回路チップの全体構成について説明する。図1(a)において、1は振動を加えたときの弁体の慣性、及びV字状の内壁面(弁座)からの反力、さらに供給される流体の圧力とにより開閉される弁機構が設けられたバルブ配設チップ、1aはバルブ配設チップ1の弁機構を構成するマイクロバルブ、2aはマイクロバルブ1aに供給する流体を保持するリザーバZを備えたリザーバ部、2bは測定のための各種センサBが設けられ所定の回路に構成された流体回路Cを備えた流体回路チップ本体である。なお、リザーバ部2aから流体を送り出すためにはポンプ作用をもつ装置が必要である。実施の形態1においては図1に示すようなシリンジポンプDを用いている。これらは、リザーバ部2aに流体を供給してこれを保持させた後、モータD2を駆動して、ラックとピニオンD3の作用でシリンジD1を押し出すものである。これによりシリンジD1の内部の空気を押し出し、この空気圧でリザーバ部2a内の流体(液体)を供給する。但し、ポンプは他の形式のポンプでもよい。また、実施の形態4で後述するが、流体回路チップの下面に流出側リザーバ部2c(図7参照)を設けることができる。バルブ配設チップ1、リザーバ部2a、流体回路チップ本体2bはいずれも所定厚さの板状体である。また、本実施の形態においては以下マイクロバルブ1aを説明するが、これは本発明の好ましいいくつかの実施の形態を示しているにすぎず、加振を利用して制御できるバルブ装置であればこれに限られないのは当然である。
【0079】
また、3はマイクロバルブ1aの弁の開閉を行うクサビ状頭部を両端に形成された弁体、3vはそのクサビ状頭部、4は流路と交差する方向からバルブ配設チップ1に振動を加えて弁体3を制御する圧電素子(本発明の加振手段)であり、バルブ配設チップ1とは着脱自在に構成されている。なお、クサビ状頭部3vは弁体3の一端側(出口側)に形成するだけでよいが、本実施の形態1の場合、これを両端に設けているのは逆止弁の機能を入口側のクサビ状頭部3vに与えるためである。バルブ配設チップ1とリザーバ部2aは組み合わされて流路制御ユニットを構成し、これが流体回路チップ本体2b上で積層されて、全体として流体制御チップを構成する。さらに流出側リザーバ部2cと積層されることもある。バルブ配設チップ1とリザーバ部2a、流体回路チップ本体2bを交換すればシリンジポンプ等のポンプや圧電素子4は繰返し使用できる。
【0080】
次に、バルブ配設チップ1の詳細について説明する。図1(b)において、5はマイクロバルブ1aの内部流路が打ち抜き溝状に形成されたバルブ本体基板、5bは打ち抜き形状の溝の下面を覆って流路とする下部基板である。バルブ本体基板5の上面はリザーバ部2aが積層されて覆われ、溝内が流路として構成される。なお、バルブ本体基板5は、マイクロバルブ1aを構成するため基板と呼称しているが、これに限られない。マイクロバルブ1a以外のバルブ装置の場合には、バルブ本体基板5というよりバルブ本体基板ということになる。
【0081】
6はリザーバ部2aとの流路接続ポートとなる入口ポート、7は所定幅で所定高さの入口側チャネル、8は弁体3を内部に収容したバルブチャンバである。8aはバルブチャンバ8に形成されたV字状の弁座、9は所定幅で所定高さので出口側チャネル、10は流体回路チップ本体2bとの流路接続ポートとなる出口ポートである。なお、実施の形態1においてはこの入口ポート6、入口側チャネル7が本発明の入口に相当し、出口側チャネル9、出口ポート10が本発明の出口に相当するが、入口、出口の形態はこれに限られない。また、入口ポート6、入口側チャネル7、出口側チャネル9、出口ポート10はバルブチャンバ8と一体に形成されている。
【0082】
入口側チャネル7とバルブチャンバ8、出口側チャネル9は、弁体3に回転もしくは揺動が生じないように流路の中心線が直線に配置されるのが望ましい。出口チャネル9の幅は数μm〜数百μmであり、チャンバ幅はこれより大きいが概ねこれと同じオーダであり、弁体長はチャネル幅の2〜10倍程度が好ましい。入口ポート6からの圧力(背圧)によって弁体3は背後から押され、クサビ状頭部3vが弁座8aとクサビ効果によりガタつかず円滑に嵌合することができる。すなわち、傾斜面に対して傾斜面とは異なる方向(本実施の形態では背圧pの方向)より力を加えることで、テコの原理により増力されるためである。さらに、本実施の形態1においては弁座8aはV字状で中心線に関して対称に設けられているが、単純な傾斜面であってもよい。このとき弁体3も同様な形状となる。
【0083】
次に、実施の形態1のマイクロバルブ1aを制御する駆動装置について説明する。図2は本発明の実施の形態1におけるバルブ装置の駆動装置の構成図である。図2において、4aは圧電素子4を構成するPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電層、4bは圧電層4aに電圧を印加する電極シートである。圧電層4aを挟んで対向している電極シート4bの一方は接地され、他方に制御のための所定駆動周波数の電圧が加えられる。
【0084】
11はマイクロバルブ1aの弁体3の位置を制御する駆動装置、12は電源部である。13は電源部12から供給される電流や電圧の周波数や振幅を変化させたり、波形を整形したりする波形制御部、14はこの波形制御部13で行う波形の整形に対して外部から制御動作ごとに指定して制御することができる入力部、15は波形制御部13で整形されたアナログ制御信号の振幅を制御するアンプである。アンプ15からの駆動電流が正負に変化することで、圧電素子4が膨張と伸縮を繰返すことが可能になる。
【0085】
16はディスプレー(図示しない)に表示を行う表示部、17は駆動装置11のシステム全体を制御する中央制御部(本発明の制御部)、17aはD/A変換器、18は中央制御部17のための制御プログラムやデータを格納した記憶部、18aはマイクロバルブ1aの制御動作ごとに制御データが格納されたバルブ制御テーブルである。なお、中央制御部17は中央処理装置(CPU)に記憶部18から制御プログラムを読み出して動作する機能実現手段として構成される。従って、中央制御部17と入力部14、表示部16、記憶部18、バルブ制御テーブル18aを駆動装置11と分けてパソコン等で構成することもできる。この場合駆動装置11は着脱自在となる。そして、駆動装置11からの駆動出力はアナログ信号であるのに対して、中央制御部17からの制御信号は専らデジタル信号であるため、途中でD/A変換の必要がある。できるだけ中央制御部17側でデジタル処理し、アナログ処理を簡単にするのが好ましい。
【0086】
実施の形態1の駆動装置11を運転する場合、ディスプレー上にコントロール対象のバルブ一覧とその制御動作一覧を表示させ、どのバルブにどのような動作をさせるかを選び、必要な設定を入力部14から行う。中央制御部17は、入力された設定値と共にバルブ制御テーブル18aから制御データを取り出し、圧電素子4に加える駆動電流を決定して、波形制御部13によって波形を整形する。実施の形態1においては、以下説明するようにバルブ制御のための駆動電流の振幅Adr,周波数fdrが読み出されて制御される。駆動電流によって圧電素子4は振幅A,周波数fcで振動させられる。基本的にfdr=fcが成立し、Adrは増幅されるがAにほぼ比例する。
【0087】
そこでまず最初に、実施の形態1のマイクロバルブ1aが圧電素子4からの加振によって、とくに振幅A,周波数fcを調整することにより、バルブ制御が可能になる原理について説明する。図3(a)は本発明の実施の形態1におけるバルブ装置の弁体を加振したときの状態図、図3(b)は(a)の弁体に加わる力を示す説明図である。
【0088】
図3(b)に示すように、マイクロバルブ1aの弁座8aはθのテーパ角をもち、同じくθのクサビ状頭部3vの角度をもつ弁体3と、入口側からの背圧のためある時点で接触していると仮定する。このとき弁体3には入口側チャネル7の方から背圧を含む付勢力Pvが加わっており、バルブ配設チップ1には流路方向と直交して圧電素子4による振幅A,周波数fcの振動が加えられる。これにより弁体3はバルブ配設チップ1からみたとき相対加速度αv、相対速度uvで運動する。相対加速度αv、相対速度uvは、振幅A,周波数fcの関数となる。
【0089】
ところで、弁体3に加わる慣性力FvはFv=mv・αvで表される。また弁体3が受ける流体抵抗Rdの抵抗係数をKvとすると、Rd=Kv・uv n(nは流体によって異なる実測値)となる。そして摩擦力Rfは摩擦係数をKfとすると、Rf=Kf・(Pvcosθ)となる。
【0090】
従って、まず、弁体3の運動を解析するために、弁座8aに沿った方向の値からの釣り合いを考える。弁座8aに沿った方向の力Fv *は、弁座8aに沿った方向の相対加速度をαv *、相対速度をuv *としたとき、(数1)が得られ、αv *=Fv */mvとなる。
【0091】
【数1】
【0092】
従って、弁座8aに沿った方向の弁体3の変位をdv *とすると、(数2)となる。
【0093】
【数2】
【0094】
これらから、(数3)(数4)が得られる。(数4)によれば、(数4)の第1項はmv・αv *の積分に比例した慣性項であり、第2項はKv・uv *nの積分に比例した流体抵抗項、さらに第3項は摩擦力に比例した摩擦力項であることが分かる。
【0095】
【数3】
【0096】
【数4】
【0097】
弁体3はこの(数4)に従って弁座8aに沿った方向に(数3)のdv *だけ変位するが、このときの弁体3の流れに垂直な方向の相対加速度αv、相対速度uvは、(数5)(数6)で表される。弁体3の幅方向の変位dv(振幅)はdv *cosθで表される。
【0098】
【数5】
【0099】
【数6】
【0100】
しかし、(数3)(数4)さらに(数5)(数6)は、いずれも差分法などの離散化方式により解かざるを得ない。そこで、ここでは数値解を得る前に(数3)を基に、振幅Aまたは周波数fcを固定して定性的に検討する。まず、振幅Aを固定し、このときの周波数fcの変化を検討する。図4は本発明の実施の形態1のバルブ装置に加える振動の角周波数とバルブに作用する力の関係説明図である。
【0101】
説明のため以下角周波数をω(ω=2πfc)を用いると、角周波数ωが所定のω1より小さいω<ω1の場合には、(数3)の第1項の慣性力が作用し運動しようとするが、エネルギー不足のため第3項の摩擦力が打ち勝ち、弁体3の変位は起こらない。当然第2項の流体抵抗も発生しない。従って相対加速度αv、相対速度uvも0となる。いわば弁体3は弁座8aに収まり、移動しない状態を続けるバルブ操作不可領域である。
【0102】
次いで、ω1≦ω≦ω2の場合には、第1項の慣性力が大きくなって、第3項の摩擦力の大きさを越えるため、運動が発生する。これに伴って、第2項の流体抵抗も発生する。この領域はバルブ操作可能領域となる。αv *、uv *は角周波数ωの関数であり、圧電素子4による振幅A,角周波数ωで与える振動はどのような波形となる関数でもよいが、(数2)からも分かるようにuv *はこの関数の微分であって、ω自身とωの関数の微分の積に比例する。また第2項はKv・uv *nを要素とするから、第2項はωのn乗成分に比例する要素をもっていることが分かる。これはω1に近いところでは第2項は小さいが、ω2に近いところになると第2項は急に大きな値をもつ傾向があることが分かる。この流体抵抗が弁体3を開くのを抑える成分となる。
【0103】
これに対し、第1項の慣性力は、振動の関数の2階微分であって複雑であるが、uv *がω自身とωの関数の微分の積に比例しながら大きくなることからも分かるように、第1項の慣性力は概ねωに関して徐々に大きくなる。この慣性力が弁体3を開こうとする成分となる。
【0104】
従って、図4に示すようにマイクロバルブ1aはω1でバルブの開閉が可能になり、これからωが大きくなると弁体3を開こうとする成分が流体抵抗成分より大きく状態が続き、ω2に近づき流体抵抗が急激に増大すると、弁体3を開こうとする成分が相殺され、その実効成分が減少を始め、ω2でこれが0となる。
【0105】
ω2<ωになると、第1項の慣性力の方が第3項の摩擦力より小さくなり、運動が停止する。この状態ではマイクロバルブ1aの開放力は十分でなく動作しなくなる。従ってこの領域はバルブ操作不可の領域である。
【0106】
続いて、周波数fcを固定したときの振幅Aによる変化を検討する。このとき振幅Aは時間tの関数でなく、定数とする。この変化は振幅Aを固定したときの周波数fcの変化とまったく同様であり、所定のA1に対してA<A1の場合には、(数3)の第1項の慣性力が作用し運動しようとするが、エネルギー不足のため第3項の摩擦力が打ち勝ち、弁体3の変位は起こらない。当然第2項の流体抵抗も発生しない。この領域はバルブ操作不可領域である。
【0107】
また、A1≦A≦A2の場合には、慣性力が弁体3を開こうとする成分である第1項の慣性力が大きくなって、第3項の摩擦力の大きさを越えるため運動が発生する。これに伴って、第2項の流体抵抗も発生する。慣性力はAに比例しながら大きくなるが、流体抵抗はAのn乗成分に比例する要素をもっているため、A1に近いところでは第2項は小さいが、A2に近いところになると第2項は急に大きな値をもつことが分かる。従って、マイクロバルブ1aはA1とA2の間で弁体3の開度が制御可能となり、A2で弁体3を開こうとする力が0となる。
【0108】
A2<Aになると、第1項の慣性力の方が第3項の摩擦力より小さくなり、運動が停止する。この状態ではマイクロバルブ1aの開放力は十分でなく動作しなくなる。この領域はバルブ操作不可領域である。
【0109】
このようにバルブ操作可能な領域はω1≦ω≦ω2もしくはA1≦A≦A2の範囲ということが分かる。しかし、制御のためには角周波数ωもしくは振幅Aと作用する力Fv *との関係が一義的に(一対一に)対応する方がよい。そこで、実施の形態1のマイクロバルブ1aは、角周波数ωに関して、作用力Fv *が単純に増加する範囲、すなわちω1≦ω≦ωm内、もしくは、同様に振幅Aに関して、作用力Fv *が単純に増加する範囲、すなわちA1≦A≦Am内で制御するのが望ましい。但しωm<ω≦ω2、Am<A≦A2を利用することもできる。また、マイクロバルブ1aを閉止したい場合にはω=ω1以下かω2以上、もしくはA=A1以下かA2以上にすればよい。
【0110】
以上の説明で分かるように、弁体3の変位dv *は駆動装置11から与える振幅Aまたは角周波数ωの変化でバルブの開度を制御することが可能となる。例えば図3(a)を参照すると、図3(a)の上段の状態図は弁体3に背圧がかかりマイクロバルブ1aを閉止していることを示しており、中段の状態図は、バルブチャンバ8が圧電素子4によってX方向へ加振され、この作用で弁体3が弁座8aから背圧pと反対方向の力成分を受けて、背圧pと反対方向へ押し上げられ、大きな流路E*が形成されている。なお、この押し上げというのは、弁体3が、駆動電流の角周波数ωや振幅Aの大きさ等に従って、弁座8a上を摺動(スライド)したり、場合によって弁座8aから跳ね上げられて移動するものである。
【0111】
また、下段の状態図は、中段の状態図とは逆に、バルブチャンバ8が圧電素子4によってY方向へ加振され、この作用で弁体3が弁座8a*から背圧pと反対方向の力成分を受けて、背圧pと反対方向へ押し上げられ、大きな流路Eが形成されたことを示している。なお、バルブ制御に当って、弁体自身の質量、弁座8a,8a*のテーパ角θ等を選択することでバルブ特性を変えることにより、弁開度を調節できる。
【0112】
そこで、以上説明した圧電素子4の駆動電流の角周波数ωや振幅Aを制御することによって様々のバルブ制御、例えば流量制御や起動制御、流量波形制御等が可能になる。図5(a)は本発明の実施の形態1におけるバルブ装置の流量制御の説明図、図5(b)は本発明の実施の形態1におけるバルブ装置の起動制御の説明図、図5(c)は本発明の実施の形態1におけるバルブ装置の流量波形制御の説明図である。
【0113】
図5(a)に示すように、マイクロバルブ1aに対して圧電素子4から高周波の振動を加えると、大きなエネルギを受けて、弁体3は大きな振幅で振動を起こす。これによってマイクロバルブ1aは大きな開度で流体を流すことができる。これに対して低周波の振動を加えた場合は、弁体3は小さな振動となり、小さな開度で流体を流すことができることがわかる。
【0114】
同様に、マイクロバルブ1aに対して圧電素子4から大振幅の振動を加えることによって、弁体3は大きな振幅で振動を起こし、マイクロバルブ1aは大きな開度で流体を流すことが可能になる。さらに小振幅の振動を加えた場合は、弁体3は小さな振動を起こし、小さな開度で流体を流すことができる。
【0115】
このように実施の形態1のマイクロバルブ1aは、角周波数ωと振幅Aの大きさを制御することにより、流量制御を行うことができる。これらの角周波数ωまたは振幅Aと流量との関係は、制御波形の振幅Adr,周波数fdrの関係として記憶部18のバルブ制御テーブル18aに格納され、入力部14からの入力により、中央制御部17が波形制御部13に駆動電流を制御させる。
【0116】
さて、マイクロバルブ1aが閉止状態にある場合、弁体3は弁座8aに付勢力Pv、表面張力によって密着している。このためマイクロバルブ1aを起動する時、急に目的の振動や周波数の駆動電流を加えても、起動時の立ち上がり特性はよくない。そこで図5(b)に示すように、起動時に所定の時間Tだけ、高周波の振動を加えることにより、立ち上がり特性をよくし、その後で所定の角周波数ωの本振動を加えるものである。これは振幅を制御することでも同じく実現できる。すなわち、起動時の所定時間Tだけ大きな振幅Aの振動を加えることにより、立ち上がりを迅速にでき、その後に所定の流量を流す本振動を加えるものである。
【0117】
また、流れを制御する場合、流れの流量波形(流量パターン)として、間欠流(脈動流)が必要な場合もあるし、脈動の少ない連続流が必要な場合もある。そこで、図5(c)のように駆動電流を間欠波形の電流とすると、圧電素子4の振動は間欠振動になり、これに伴って弁体3の開放される期間は間欠的で流量は間欠流となる。これに対して、一般的な交番電流の場合、マイクロバルブ1aの流路のどこかが常時開放されており、脈動の少ない安定した流量を得ることができるし、さらには漸増する制御波形を与えその後オフセットして安定化させ、これに小さな変動電流が重畳される場合は、弁体3を偏った位置で変動させることができ、図5(c)に示すような微小脈動の連続流を実現できる。
【0118】
以上説明したように実施の形態1のマクロバルブ1aは、駆動装置11から加える制御波形で圧電素子4の振幅Aまたは角周波数ωを制御することにより、バルブの開度を制御し、流量制御するものである。大きな振幅または高周波の制御波形を流すことで大流量が得られ、小さな振幅または低周波の駆動電流で小流量を得ることができる。また、起動時に所定時間だけ高周波または大振幅の駆動電流を流し、圧電素子4によって大きな振動を与えて、立ち上がり特性を改善することができる。
【0119】
本実施の形態3のバルブ制御によれば、圧電素子4の加振で弁体3の振幅は変化するが、振幅の大きさは圧電素子4自身の振幅だけに依存しない。すなわち、振動により弁体3は背圧pと反対方向へ競り上がっていくことで、圧電素子4の振幅以上の流路を形成でき、最大流量すなわちダイナミックレンジを大きくすることができるものである。
【0120】
(実施の形態2)
次に、複数の周波数を重畳させることによって複数のマイクロバルブを個別に制御する実施の形態1のマイクロバルブについて説明する。図6(a)は本発明の実施の形態2におけるそれぞれ異なる共振点をもつ複数のバルブ装置を複数の周波数の振動で個別制御する説明図、図6(b)は本発明の実施の形態2におけるそれぞれ異なる寸法をもつ複数のバルブ装置を複数の周波数の振動で個別制御する説明図、図6(c)は重畳波の振動で振動させた場合の複数のバルブ装置の開閉説明図である。
【0121】
図6(a)において、1a1〜1a4はバルブ配設チップ1に形成されたバルブ本体基板5がそれぞれ異なる固有振動数を有するマイクロバルブである。いずれのマイクロバルブ1a1〜1a4も振動学的に分離されたバルブ本体基板5となっている。従って異なる角周波数ωa1〜ωa4の振動に対してマイクロバルブ1a1〜1a4の1つが対応して、それぞれ別々にあるいは同時に共振する。バルブ配設チップ1の側面には圧電素子4が設けられ、バルブ配設チップ1の下面には、測定のための各種センサBと流体回路Cが設けられた流体回路チップ本体2bが積層されている。しかし、圧電素子4の振動がマイクロバルブ1a1〜1a4のそれぞれの振動が容易なように、例えば片持ちに構成するのが望ましい。
【0122】
実施の形態2では、マイクロバルブ1a2はバルブの出口側チャネル9側でL字の切込みが形成されてその実質的な横幅が縮小されており、マイクロバルブ1a3は横幅が全体として小さく形成されている。さらに、マイクロバルブ1a3は流れ方向の長さが短く形成されている。このほか異なる固有振動数を変動させる手段を施すのでもよい。バルブ配設チップ1は全体として一体の基板であり、この基板にマイクロバルブ1a1〜1a4をこのような構成で設けることで、マイクロバルブ1a1〜1a4はそれぞれ異なる固有振動数を有することになる。
【0123】
このようなバルブ配設チップ1の圧電素子4に対して、図6(c)に示すように、角周波数ωa1〜ωa4を単独または複数を重畳した制御波形を流して振動させると、この角周波数ωa1〜ωa4と共振する同一の角周波数ωa1〜ωa4の固有振動数をもつマイクロバルブ1a1〜1a4が開放される。角周波数ωa1〜ωa4を単独で加えると、マイクロバルブ1a1〜1a4の1つが開放されるのは当然である。このときさらに振幅Aの制御を組み合わせ、マイクロバルブ1a1〜1a4ごとに振幅Aを変えれば、各マイクロバルブ1a1〜1a4の開度を個別に制御することができる。なお、実施の形態2においては片持ちで構成した場合を説明したが、他の手段、例えば形状,重量,材質などにより固有振動数を変えた場合にも同様の作用効果が得られる。
【0124】
図6(b)において、31〜34はマイクロバルブ1a1〜1a4を構成する各弁体、81〜84はマイクロバルブ1a1〜1a4の各バルブチャンバ、8a1〜8a4,8a1 *〜8a4 *はマイクロバルブ1a1〜1a4を構成する対向する2つの弁座である。
【0125】
この図6(b)の場合のマイクロバルブ1a1〜1a4もそれぞれ異なる固有振動数をもつ。しかし、バルブの構成要素である弁体31〜34や、バルブチャンバ81〜84等の諸量を変化させることによって固有振動数に変化を与えるものである。例えば、弁体31〜34の質量、具体的には比重、寸法、角度φ等の形状を選択したり、弁座8a1〜8a4,8a1 *〜8a4 *の角度θ、これらの表面粗さや表面物性を変えることにより、異なる固有振動数をもたせることができる。
【0126】
このようなバルブ配設チップ1の圧電素子4に対して、図6(c)に示すように、角周波数ωa1〜ωa4を単独または複数を重畳した駆動電流を流して振動させると、この角周波数ωa1〜ωa4と共振し、同一の角周波数ωa1〜ωa4の固有振動数をもつマイクロバルブ1a1〜1a4が開放される。同時に振幅Aの制御を組み合わせることで、開度を含めて個別に制御することができる。
【0127】
(実施の形態3)
実施の形態3は、マイクロバルブ1aに微振動を加える第1の微振動モードのバルブ制御である。実施の形態3のマイクロバルブ1aのバルブ構成は、図5(a)に図示する構成と同様の構成を有しており、図1〜図6、とくに図5(a)を参照する。第1の微振動モードのバルブ制御は、バルブの開閉時に、圧電素子4によって微小振幅の振動、とくに本振動と異なる周波数や振幅の微振動を、単独で、もしくは本振動に重畳させて振動させるものである。
【0128】
第1の微振動モードで使用する微小振動はマイクロバルブ1aを開放するだけの大きさの力はないものである。流体の流れているバルブを閉止するとき、本振動を単純に停止するだけでは弁体3と弁座8aとの間の馴染みが悪い(着座性が悪い)。すなわち、背圧pが傾斜面に力を加えることで、テコの原理により増力されるクサビ効果が期待できない。また逆に、バルブを開放するときには、弁体3を押しつける付勢力Pvや弁体3と弁座8aとの間の表面張力によって弁体3を動作させることが難しく、バルブの開放を円滑に行えない。
【0129】
本実施の形態3においては、閉止時に微小振動を加えることにより、弁体3と弁座8aとの間の馴染みを増し、クサビ効果を向上させることができるので、より高い耐圧性をもたせることができ、開放時にはみかけの摩擦力を低下させ、マイクロバルブ1aを円滑に開放することが可能になり、高圧でのバルブ制御が可能になる。
【0130】
実施の形態1の起動制御においては、起動時に高周波の振動または大きな振幅Aの振動を加えて、立ち上がり特性をよくしたが、実施の形態3の第1の微振動モードはこのような立ち上がり特性、迅速性を向上させるというより、スムーズに無理なく開放するものである。
【0131】
(実施の形態4)
実施の形態4のバルブ制御は第2の微振動モードのバルブ制御である。実施の形態4のマイクロバルブ1aのバルブ構成も、図5(a)に図示する構成と同様の構成を有しており、図1〜図6、とくに図5(a)を参照する。第2の微振動モードは、流路からのガス抜きのために、圧電素子4によって微小振幅の振動を、単独で、もしくは本振動に重畳させて振動させる制御である。また実施の形態4のマイクロバルブ1aはこのガス抜きをより効果的にするために、流路にガス抜き構成を設けている。図7は本発明の実施の形態4におけるマイクロバルブのガス抜き構成要部断面図である。
【0132】
流路内を液体が流れる前には内部にガス、通常は空気が充ちている。この空気を追い出さなければ流体を流すことは難しい。しかし、マイクロバルブ1aを全面的に開放して流体が流出しては、反応や処理を行う前に流体が各種センサBや流体回路Cに流れ込んでしまい、精密な制御が難しくなる。
【0133】
そこで、実施の形態4においては、マイクロバルブ1aを開放するだけの力はない微小振幅の振動を、流路からのガス抜きのために単独または重畳させて振動させる。この第2の微振動モードの微小振動により、弁体3と弁座8aの間から空気だけは流出する。液体が充満してくると自然に振動が抑えられ、その後マイクロバルブ1aは閉止状態となる。このような微小振動を行うことにより空気は排出可能であるが、液体は弁体3と弁座8aの間から流出することはない。さらに、この第2の微振動モードの振動を長時間加えることによって、液体の先端を弁体3と弁座8aの間から染み出させることにより、液体の頭出しを行うことができ、制御を開始するとき開始時点を正確にすることができ、高精度の制御が可能になる。
【0134】
ところで、図7に示すようにマイクロバルブ1aの流路にガス抜き構成を設けてもよい。図7において、2cはマイクロバルブ1aから流出する流体を保持するリザーバDを備えた流出側リザーバ部、19はガスを通過し液体は通過しないポリエチレン、ポリプロピレンなどのガス透過フィルム、20は流体回路チップ本体2bに設けられた流体回路Cの流路である。
【0135】
図7では、流路20と接続された流出ポートから流出流体はリザーバDに一旦貯められる。このリザーバDを覆ってガス透過フィルム19が設けられる。このガス透過フィルム19でリザーバDを覆うことにより、第2の微振動モードで空気抜きを行うのを補強することができる。また、リザーバDを覆うガス透過フィルム19をマイクロバルブ1aの流出側に設けてあるため、空気の溜まり易い下流側の空気を外部に排出できる。なお、ガス透過フィルムに代えて微細孔を形成するのでも、同様の効果を得ることができる。ガス透過フィルム19の上に他の基板等を積層するのもよい。
【0136】
さらに、実施の形態4のマイクロバルブ1aを細菌類の処理を行う流体回路チップで用いる場合に、ガス透過フィルム19が空気は透過するが、液体と細菌類を透過しないフィルムとすることで、液体や細菌類が外部に漏れないので安全な生物処理用流体回路チップを提供することができる。
【0137】
(実施の形態5)
実施の形態5のバルブ制御は、実施の形態4の液体の頭出しを行うバルブ制御を効果的に行うための補助的な制御である。図8(a)は本発明の実施の形態5における頭出しを行うバルブ制御を行うときの第1の頭出し検出の説明図、図8(b)は本発明の実施の形態5における頭出しを行うバルブ制御を行うときの第2の頭出し検出の説明図である。
【0138】
図8(a)において、21はバルブ振動を検出する振動検出手段である。振動検出手段21としては、音を検出するマイクや、弁座8a、8a*の位置Xに設けられたピエゾ素子等が好適である。電界,磁界の変動検出するのでもよい。振動検出手段21によって、図8(a)の示すような空気振動の状態から液体振動に変化する液体が満ちたときの振動変化を検出する。なお、頭出し検出の位置を位置Xから少し下流の位置Yとし、液漏れが生じた位置を検出するのもよい。位置Xで頭出しを検出した場合、液体の送り精度が向上するとともに、頭出し後に外乱が加わっても液体の液漏れが生じないが、位置Yで頭出しを検出した場合、頭出し後に移動開始するときに非常に円滑に動くことができ、液体の送り精度がさらに高くなる。振動検出手段21を着脱自在とすればマイクロバルブ1aや流体制御チップの部品を交換するときにも再利用できる。
【0139】
図8(b)において、22aは発光素子、22bは受光素子である。発光素子22aから発光した光を受光素子22bで受光し、液体と空気の光透過率を検出して頭出しを検出したり、液体と空気の屈折率の変化や、弁座8aへ発光して反射光の反射率を受光素子22b(このときの受光素子22bは図示しない)で検出するのでもよい。上述したのと同様に、位置X、位置Yのいずれで検出するのでもよい。発光素子22aと受光素子22bを着脱自在とすればマイクロバルブ1aや流体制御チップの部品を交換するときにも再利用できる。
【0140】
(実施の形態6)
実施の形態6のマイクロバルブ1aは、バルブ制御を効果的に行うためのもので、液体の送り精度やチップでの処理の分析精度を上げるための流速、物性検出を行うものである。図9(a)は本発明の実施の形態6における振動による流速、物性検出の説明図、図9(b)は本発明の実施の形態6における光強度変化による流速、物性検出の説明図、図9(c)は本発明の実施の形態6におけるバルブ振動による物性検出の説明図である。
【0141】
図9(a)において、23はマイクロバルブ1aの弁体3の振動を検出する振動検出手段である。流体がバルブチャンバ8の中を流れていくのを振動検出手段23で検出し、このバルブ振動特性から流速と物性を決定するものである。図9(a)に示すように、時間T1に移動する液体のバルブ振動を検出し、これをさらに時間T2,時間T3で繰返して検出する。この変化曲線とそのときの温度が分かれば液体の粘性と流速を算出することができ、これを手掛かりの1つとして物質を特定できる。
【0142】
次に図9(b)において、24aは流速、物性を検出するために発光する発光素子、24bは発光素子24aからの光を受光する受光素子である。流体がバルブチャンバ8の中を流れていくときに起こる光強度の変化を受光素子24bで検出し、この光強度変化特性から流速と物性を決定するものである。図9(b)に示すように、時間T1に移動する液体の光強度を検出し、これをさらに時間T2,時間T3で繰返して検出する。この変化曲線とそのときの温度が分かれば液体の粘性と流速を算出することができ、これを手掛かりの1つとして物質を特定できる。
【0143】
このほか図示はしないが、液体が流れるとき、2個所の検出手段で所定の流体の通過時間から流速と物性を特定することもできる。この場合、検出手段は光学的検出手段等も考えられるがとくに限定されない。望ましくは、検出位置をチャンバ8の入口側より上流側に2個所配置することで下流のチャンバ8でのバルブ制御が容易になる。
【0144】
以上は、時間を測定することで物性を特定するものであったが、入力と出力の関係から物性を特定することもできる。図9(c)において、25aは圧電素子等の加振手段、25bは加振手段25aで入力された振動によって弁体3に起こされた振動を検出する振動検出手段である。なお、振動検出手段25bは振動変化を検出するのでもよい。この入力と出力の関係に温度等を考慮すると、液体の粘度等から物質が特定される。この物質の特定を自動的に行うために、振動入力と振動検出値または振動変化検出値の関係、及び温度から物質を特定できる物性テーブルを、バルブ制御テーブル18aとともに記憶部18内に設けておくのがよい。本発明の実施の形態6の状態検出手段は、振動検出手段23、発光素子24a,受光素子24b、振動検出手段25bである。この状態検出手段を着脱自在とすればマイクロバルブ1aや流体制御チップの部品を交換するときにも再利用できる。
【0145】
このように実施の形態6は、物質を特定し、液体の流速を検出するため、液体の送り精度や分析精度を上げることができる。
【0146】
(実施の形態7)
実施の形態7のマイクロバルブ1aは、バルブ制御の精度を上げるために圧電素子4の組み付けに工夫を施したものである。図10(a)は本発明の実施の形態7におけるバルブ装置と圧電素子との第1の組み付けの説明図、図10(b)は本発明の実施の形態7におけるバルブ装置と圧電素子との第2の組み付けの説明図である。
【0147】
圧電素子4はバルブ配設チップ1を交換するときには取り外し、新しいバルブ配設チップ1に取り付ける必要がある。このときマイクロバルブ1aは圧電素子4と流れの方向が直交する必要がある。従って、本来、圧電素子4はバルブ配設チップ1の側面に正確に直交して取り付けなければならない。その組み付けにはミクロンオーダの精度が要求される。マイクロバルブ1aのユーザがチップ交換時にこれを行うのはきわめて難しい。
【0148】
図10(a)(b)において、26は圧電素子4を固定するための固定部材である。26aは固定部材26に形成されたガイドである。図10(a)に示すように、固定部材26の取付面は圧電素子4の伸縮方向と正確に平行に形成されているとともに、伸縮方向と直交する基準線が固定部材26のどこか、稜線や平面、例えば直方体の平行2側面として形成されている。同時にバルブ配設チップ1の上下の2平面も正確に平行面とされている。また、図10(b)に示すように、固定部材26にガイド26aを設け、このガイド26aによってバルブ配設チップ1を伸縮方向と直交する方向に正確に取り付けることができる。なお、固定部材26とバルブ配設チップ1を着脱自在にするのがよい。
【0149】
実施の形態7のマイクロバルブ1aは、圧電素子4の組み付けを圧電素子4の伸縮方向と垂直な方向から行うものである。すなわち、固定部材26の基準線をバルブ配設チップ1の基準線(流れの方向)に合わせて、バルブ配設チップ1の下面もしくは上面に上下方向から固定部材26の取付面に配置するものである。この場合面接触の上、基準線を合わせるだけであるから組み付けがきわめて容易となり、ミクロンオーダの組み付け誤差を発生させないで組み付けが可能になる。
【0150】
このとき、バルブ配設チップ1の重心を圧電素子4の伸縮線が交差するように組み立てれば、バルブ配設チップ1内の振動分布をより一様に近づけることができる。また、同様に、圧電素子4の固定部材26を高剛性の材料で作成し、バルブ配設チップ1を3点以上の位置で、該固定位置で囲まれる領域にバルブ装置を固定することにより、流体制御チップの剛性が小さい場合でもバルブ配設チップ1内の振動分布を一様にすることができる。
【0151】
【発明の効果】
本発明のバルブ装置によれば、振動の周波数及び/または振幅を変更して開度を迅速に調節でき、制御が容易で正確になり、ダイナミックレンジが広く、脈動が少なく、応答が速くなる。
【0152】
加振手段が圧電素子のため制御が容易に行える。加振手段または駆動装置が着脱可能であるから、バルブ装置の部品を交換するときにも加振手段や駆動手段を再利用できる。
【0153】
流体の流れ方向と直交する方向に振動を加えるため、振動成分を最大限利用することができる。
【0154】
そして、流量を変更するとき所定の周波数域内にて周波数を変更して加振し、閉止するときには周波数域外の周波数で加振または加振を止めるから、開度の制御とバルブ装置の閉止を周波数の選択だけで簡単に行うことができる。周波数の増加と流量の増加を一義的に対応させて制御できる。
【0155】
同様に、開度の制御とバルブ装置の閉止を振幅の選択だけで簡単に行うことができる。振幅の増加と流量の増加を一義的に対応させて制御できる。
【0156】
開放時の前後における所定期間内に、周波数域の範囲内で本振動よりも高い周波数または振幅で加振するから、立ち上がりを迅速にでき、その後に円滑に本振動を加えることができる。
【0157】
そして、加振手段の振動の変更により連続的な流れ及び/または間欠的な流れを生成するから、波形のコントロールの1態様として脈動と連続流にすることができる。また、開放時の前後における所定期間内に、弁体とチャンバの内壁との接触摩擦を低減するための周波数と振幅をもつ振動を与えるため、弁体と弁座間の摩擦力を低下させ、高圧化してもバルブ装置を円滑に開放することが可能になる。
【0158】
閉鎖時の前後における所定期間内に、弁体とチャンバの内壁との接触摩擦を低減するための周波数と振幅とを有する振動を与えるから、閉止時に微小振動を加えることにより、弁体と弁座との間の馴染みを増し、クサビ効果を向上させることができ、高耐圧性をもたせることができる。
【0159】
開放する前の時点から出口を閉鎖した後の時点までの所定の期間に、弁体とチャンバの内壁との接触摩擦を低減するための周波数と振幅とを有する振動を与えるため、高圧化してもバルブ装置を円滑に開放し、且つ確実に閉鎖することが可能になる。
【0160】
本振動にこれと異なる周波数と振幅とを有する振動を重畳させたため、高圧化してもバルブ装置を円滑に開閉することが可能になる。
【0161】
チャンバ内に液体を充填する際に、出口から気体を放出し、且つ、液体をチャンバ内から出さない振動を与えた場合、微小振動により弁体と弁座の間に生じた微小なギャップから空気だけは流出する。さらに、液体が充満してくると自然に振動が抑えられ、その後バルブ装置は閉止状態となるが、液体は弁体と弁座の間から流出することはない。
【0162】
下流側流路にガス抜き部が設けられ、液体は透過せずにガスのみを透過して排出するから、内部の液体を外部に漏らすことなく、チャネル内の気体が圧縮されて流体の移動を阻害することを防ぐことができる。
【0163】
流体の先頭部分を検出する頭出し検出手段が設けたから、流体の先頭部分を検出するため、流体の送り精度が向上し、検出後に外乱が加わっても液体の液漏れが生じない。
【0164】
頭出し検出手段がチャンバの出口から下流位置に設けられたため、流体の先頭部分を検出するため、流体の送り精度が更に向上し、検出後に流体を円滑に送ることができる。
【0165】
頭出し検出手段が振動検出手段または光学的検出手段であるから、振動検出手段または光学的検出手段であるため、非接触ながら正確に流体の先頭部分を検出できる。
【0166】
頭出し検出手段が着脱自在であるから、バルブ装置の部品を交換するときにも頭出し検出手段を再利用できる。状態検出手段が検出したチャンバ内の状態変化から流体の物性または速度を検出するため、振動検出または光学的検出等により、チャンバ内の状態変化を検出し、その検出状態の変化と検出時間とから流体の物性または速度を検出することができる。状態変化を与える手段を設けて、所定の入力の入力に対する応答としての状態変化を検出することでも物性を検出できる。
【0167】
状態検出手段が振動を検出する振動検出手段方式または光学的検出手段であるから、振動検出手段または光学的検出手段であるため、非接触ながら正確に流体の先頭部分を検出できる。
【0168】
状態検出手段が着脱自在であるから、バルブ装置の部品を交換するときにも状態検出手段を再利用できる。
【0169】
バルブ装置を制御するときに、検出した速度や物性からバルブ制御データを調整でき、バルブ制御の精度を向上させることができる。記憶部内のバルブ制御テーブルを更新することができ、バルブ制御の精度を向上させることができる。記憶部内のバルブ制御テーブルを更新することができ、バルブ制御の精度を向上させることができる。
【0170】
チャンバの横幅が数μm〜数百μmのマイクロバルブの制御は通常のアクチュエータでは非常に困難であるが、簡単に制御できる。
【0171】
また、2点間の流体の通過時間を測定する検出手段を設けたから、流体の速度、すなわち流量を検出することが可能になる。この検出手段が光学的検出手段である場合、非接触で測定できる。チャンバの入口より上流位置に設けたから、下流側のチャンバでのバルブ制御が容易になる。チャンバ及び流路内の状態変化を検出し、その検出状態の変化と検出時間とから流体の物性または速度を検出することができる。検出手段が着脱自在であるから、バルブ装置の部品を交換するときにも検出手段を再利用できる。
【0172】
本発明の流体制御チップによれば、1つの加振手段だけで、周波数を使って複数のバルブ装置の中からコントロール対象を簡単に特定してそれぞれ自在に制御できる。制御するバルブ装置ごとに振幅を変えた振動を加えるから、振幅を変更するため開度を迅速に調節でき、制御が容易で正確になり、ダイナミックレンジが広く、脈動が少なく、応答が速くなる。
【0173】
少なくとも1つのバルブ装置を含むバルブ配設基板の所定の領域が、他のバルブ装置を含むバルブ配設基板の領域と異なる固有振動数を有しているから、1つの加振手段だけで、周波数を使って複数のバルブ配設基板の領域の中からコントロール対象を簡単に特定してそれぞれ自在に制御できる。
【0174】
弁体の質量、形状、比重、表面粗さ、またはチャンバの形状、表面粗さの少なくともいずれかを変更するから、簡単に固有振動を変えることができる。バルブ配設基板に対する分割などがなく、強度を低下させることなく固有振動を変えることができる。
【0175】
振動方向と平行な面を有する固定部材が設けられ、該固定部材の取付面にバルブ配設基板が取り付けられているから、誰でも加振手段のバルブ配設基板への組み付けを容易に行うことができる。固定部材とバルブ配設基板とが着脱自在であるため、ユーザが流体制御チップのバルブ配設基板を交換するときに、加振手段を繰返して使用できて経済的となる。
【0176】
振動の周波数及びまたは振幅を変更して、変更された振動によって弁体の振幅を変えて出口の開閉または開度を変更するため、振動の周波数及びまたは振幅を変更して開度を迅速に調節でき、制御が容易で正確になり、ダイナミックレンジが広く、脈動が少なく、応答が速くなる。
【0177】
所定の周波数域内にて周波数を変更して加振し、閉止するときには周波数域外の周波数で加振または加振を止めるから、開度の制御とバルブ装置の閉止を周波数の選択だけで簡単に行うことができる。
【0178】
所定の振幅域内にて振幅を変更して加振し、閉止するときには振幅域外の振幅で加振または加振を止めるから、開度の制御とバルブ装置の閉止を振幅の選択だけで簡単に行うことができる。
【0179】
バルブ配設基板に複数のバルブ装置がそれぞれ異なる固有振動数を有すように振動学的に分離して設けられたため、1つの加振手段だけで、周波数を使って複数のバルブ装置の中からコントロール対象を簡単に特定してそれぞれ自在に制御できる。
【0180】
加振手段の振動方向と少なくともバルブ配設基板を含む構造体の重心位置が、一致しているため、流体制御チップ内の振動分布が一様になる。
【0181】
バルブ配設基板を保持部材へ固定する固定位置が3点以上あるから、流体制御チップの剛性が小さい場合でも3点支持により振動分布が一様になる。
【0182】
バルブ配設基板が着脱可能であるため、流体制御チップの部品を交換するときにも保持部材を再利用できる。振動がチャンバ内の流体の流れ方向と直交する方向から加えられるため、振動成分を最大限利用することができる。また波形のコントロールの1態様として脈動と連続流にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態1におけるバルブ装置を使用した流体回路チップの全体構成分解斜視図
(b)(a)のバルブ装置の一部破断斜視図
【図2】本発明の実施の形態1におけるバルブ装置の駆動装置の構成図
【図3】(a)本発明の実施の形態1におけるバルブ装置の弁体を加振したときの状態図
(b)(a)の弁体に加わる力を示す説明図
【図4】本発明の実施の形態1のバルブ装置に加える振動の角周波数とバルブに作用する力の関係説明図
【図5】(a)本発明の実施の形態1におけるバルブ装置の流量制御の説明図
(b)本発明の実施の形態1におけるバルブ装置の起動制御の説明図
(c)本発明の実施の形態1におけるバルブ装置の流量波形制御の説明図
【図6】(a)本発明の実施の形態2におけるそれぞれ異なる共振点をもつ複数のバルブ装置を複数の周波数の振動で個別制御する説明図
(b)本発明の実施の形態2におけるそれぞれ異なる寸法をもつ複数のバルブ装置を複数の周波数の振動で個別制御する説明図
(c)重畳波の振動で振動させた場合の複数のバルブ装置の開閉説明図
【図7】本発明の実施の形態4におけるバルブ装置のガス抜き構成要部断面図
【図8】(a)本発明の実施の形態5における頭出しを行うバルブ制御を行うときの第1の頭出し検出の説明図
(b)本発明の実施の形態5における頭出しを行うバルブ制御を行うときの第2の頭出し検出の説明図
【図9】(a)本発明の実施の形態6における振動による流速、物性検出の説明図
(b)本発明の実施の形態6における光強度変化による流速、物性検出の説明図
(c)本発明の実施の形態6におけるバルブ振動による物性検出の説明図
【図10】(a)本発明の実施の形態7におけるバルブ装置と圧電素子との第1の組み付けの説明図
(b)本発明の実施の形態7におけるバルブ装置と圧電素子との第2の組み付けの説明図
【図11】従来の速動弁の構成図
【符号の説明】
1 バルブ配設チップ
1a,1a1〜1a4 マイクロバルブ
2a リザーバ部
2b 流体回路チップ本体
2b* 保持部材
2c 流出側リザーバ部
3,3a,3b,31〜34 弁体
3v クサビ状頭部
4 圧電素子
4a 圧電層
4b 電極シート
5 バルブ本体基板
5b 下部基板
6 入口ポート
7 入口側チャネル
8,81〜84 バルブチャンバ
8a,8a*,8a1〜8a4,8a1 *〜8a4 * 弁座
8b 入口側弁座
9 出口側チャネル
10 出口ポート
11 駆動装置
12 電源部
13 波形制御部
14 入力部
15 アンプ
16 弁体付勢手段
16a 付勢バネ
16b 弾発突片
16 表示部
17 中央制御部
17a D/A変換器
18 記憶部
18a バルブ制御テーブル
19 ガス透過フィルム
20 流路
21,23,25b 振動検出手段
22a,24a 発光素子
22b,24b 受光素子
25a 加振手段
26 固定部材
100 ハウジング
101 チャンバ
103 弁体
104 バルブシート
105 アクチュエータ
B センサ
C 流体回路
D シリンジポンプ
D1 シリンジ
D2 モータ
D3 ラックとピニオン
E,E* 流路
Z リザーバ
Claims (6)
- 流体の入口と出口とを有しΘのテーパ角を持つチャンバと、該チャンバに収納され同じくΘのクサビ状頭部を持つ弁体とを備え、前記弁体が入口側からの背圧のためある時点で前記チャンバとの接触により静止しているバルブ装置と、該バルブ装置が設けられたバルブ配設基板と、前記バルブ配設基板に振動を加える加振手段と、前記加振手段を駆動する駆動装置を備え、前記加振手段による振幅または角周波数の変化により前記弁体を変位させることで、前記弁体が前記チャンバの出口を開閉する流体制御チップであって、前記加振手段には、その振動方向と平行な面を有する固定部材が設けられ、該固定部材の取付面に前記バルブ配設基板が取り付けられていることを特徴とする流体制御チップ。
- 前記固定部材と前記バルブ配設基板とが着脱自在であることを特徴とする請求項1記載の流体制御チップ。
- 前記バルブ装置に対して前記チャンバ内の流体の流れ方向と直交する方向から所定の振動を加え、該振動の角周波数及びまたは振幅を変更して、変更された振動によって弁体を変位させて前記出口の開閉または開度を変更することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の流体制御チップ。
- 前記出口からの流体の流量を変更するときには前記弁体を移動させることができる所定の角周波数域内にて周波数を変更して加振し、閉止するときには前記周波数域外の角周波数で加振または加振を止めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の流体制御チップ。
- 前記出口からの流体の流量を変更するときには前記弁体を移動させることができる所定の振幅域内にて振幅を変更して加振し、閉止するときには前記振幅域外の振幅で加振または加振を止めることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の流体制御チップ。
- バルブ配設基板に複数のバルブ装置がそれぞれ異なる固有振動数を有すように振動学的に分離して設けられ、制御したいバルブ装置の固有振動数を単独または複数を重畳させた角周波数で振動を加えて前記出口の開閉または開度を変更することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の流体制御チップ。
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