(1)実施例の構成
(1−1)ビデオディスク装置の全体構成
図2は、本発明の実施例に係るビデオディスク装置を示すブロック図である。このビデオディスク装置1においては、図示しない撮像手段、音声取得手段により被写体のビデオ信号、オーディオ信号を取得し、このビデオ信号及びオーディオ信号による撮像結果を光ディスク2に記録する。またこの光ディスク2に記録した撮像結果を再生して液晶表示パネルによる表示手段、スピーカによる音声出力手段より出力し、また外部機器に出力する。さらにこのようにして撮像結果をユーザーに提供して、ユーザーによる編集点の設定等を受け付け、撮像結果を編集処理する。
このビデオディスク装置1では、このような撮像結果によるビデオ信号及びオーディオ信号をMPEGのフォーマットによりデータ圧縮した後、所定のファイルフォーマットにより光ディスク2に記録するようになされ、この実施例では、このファイルフォーマットにQTフォーマットが適用されるようになされている。なお以下において、QTフォーマットによるファイルをQTファイルと呼ぶ。
これによりビデオディスク装置1において、ビデオ符号器11は、撮像結果によるビデオ信号DV1をアナログディジタル変換処理してビデオデータを生成し、このビデオデータをMPEGのフォーマットに従って符号化処理し、これによりビデオデータによるエレメンタリストリームDVを出力する。
またオーディオ符号器12は、撮像結果によるオーディオ信号DA1をアナログディジタル変換処理してオーディオデータを生成し、このオーディオデータをMPEGのフォーマットに従って符号化処理し、これによりオーディオデータによるエレメンタリストリームDAを出力する。
ファイル生成器15は、記録時、ビデオ符号器11及びオーディオ符号器12から出力されるエレメンタリストリームDA及びDVを同期化して多重化処理し、システム制御マイコン19の制御によりQTファイルを作成する。このためファイル生成器15は、順次入力されるエレメンタリストリームDA及びDVを多重化してムービーデータアトムのデータを順次出力しながら、このムービーデータアトムのデータに対応して内蔵のメモリ15Aにムービーアトムの生成に必要なデータを追記して保持し、ムービーデータアトムの記録の完了によりメモリ15Aに保持したデータからムービーアトムのデータ列を生成して出力する。
メモリコントローラ18は、システム制御マイコン19の制御により動作を切り換え、記録時、このファイル生成器15から出力されるQTファイルによるデータ列をメモリ17に順次記録して一時保持し、続くエラー訂正符号/復号器21の処理に対応して保持したデータを出力する。また再生時、これとは逆に、エラー訂正符号/復号器21の出力データを一時保持し、ファイル復号器16、システム制御マイコン19に出力する。
エラー訂正符号/復号器21は、システム制御マイコン19の制御により動作を切り換え、記録時、メモリコントローラ18の出力データをメモリ20に一時記録して誤り訂正符号を付加する。またこのようにしてメモリ20に保持したデータを所定順序により読み出して出力することにより、これらのデータをインターリーブ処理してデータ変復調器23に出力する。またエラー訂正符号/復号器21は、再生時、記録時とは逆に、データ変復調器23から出力されるデータを所定順序によりメモリ20に一時記録してメモリコントローラ18に出力することにより、このデータ変復調器23から出力されるデータをデインターリーブ処理して出力する。またこのとき、記録時に付加した誤り訂正符号により誤り訂正処理する。
データ変復調器23は、システム制御マイコン19の制御により動作を切り換え、記録時、エラー訂正符号/復号器21の出力データをシリアルデータ列に変換した後、変調処理して磁界変調ドライバ24又は光ピックアップ33に出力する。また再生時、光ピックアップ33から出力される再生信号からクロックを再生し、このクロックを基準にして再生信号を2値識別、復調処理することにより、記録時に生成したシリアルデータ列に対応する再生データを得、この再生データをエラー訂正符号/復号器21に出力する。
磁界変調ドライバ24は、光ディスク2が光磁気ディスクの場合に、記録時、システム制御マイコン19の制御により、データ変復調器23の出力信号により磁界ヘッド32を駆動する。ここで磁界ヘッド32は、光ディスク2を間に挟んで光ピックアップ33に対向するように保持され、光ピックアップ33によるレーザービーム照射位置にデータ変復調器23の出力データに応じた変調磁界を印加する。これによりこのビデオディスク装置1では、光ディスク2が光磁気ディスクの場合、熱磁気記録の手法を適用してQTフォーマットによるファイルにより撮像結果を光ディスク2に記録するようになされている。
かくするにつき光ディスク2は、ディスク状記録媒体であり、この実施例では、光磁気ディスク(MO:Magneto−Optical Disk)、相変化型ディスク等の書き換え可能な光ディスクである。スピンドルモータ31は、この光ディスク2をサーボ回路30の制御により、光ディスク2に応じて線速度一定(CLV:Constant Linear Velocity)、角速度一定(CAV、Constant Angular Velocity)、ゾーンCLV(ZCLV:Zone Constant Linear Velocity)等の条件により光ディスク2を回転駆動する。
サーボ回路30は、光ピックアップ33から出力される各種信号に基づいて、スピンドルモータ31の動作を制御し、これによりスピンドル制御の処理を実行する。またサーボ回路30は、同様にして光ピックアップ33をトラッキング制御、フォーカス制御し、また光ピックアップ33、磁界ヘッド32をシークさせ、さらにはフォーカスサーチ等の処理を実行する。
ドライブ制御マイコン22は、システム制御マイコン19の指示により、これらサーボ回路30におけるシーク等の動作を制御する。
光ピックアップ33は、光ディスク2にレーザービームを照射してその戻り光を所定の受光素子により受光し、受光結果を演算処理することにより、各種制御用の信号を生成して出力し、また光ディスク2に形成されたピット列、マーク列に応じて信号レベルが変化する再生信号を出力する。また光ピックアップ33は、システム制御マイコン19の制御により動作を切り換え、光ディスク2が光磁気ディスクの場合、記録時、光ディスク2に照射するレーザービームの光量を間欠的に立ち上げる。これによりこのビデオディスク装置1では、いわゆるパルストレイン方式により光ディスク2に撮像結果を記録するようになされている。また光ピックアップ33は、光ディスク2が相変化型ディスク等の場合、データ変復調器23の出力データに応じて光ディスク2に照射するレーザービームの光量を再生時の光量から書き込み時の光量に立ち上げ、これにより熱記録の手法を適用して光ディスク2に撮像結果を記録するようになされている。
これらによりこのビデオディスク装置1では、撮像結果によるビデオ信号及びオーディオ信号をビデオ符号器11、オーディオ符号器12によりデータ圧縮してエレメンタリストリームに変換した後、ファイル生成器15によりQTフォーマットのファイルに変換し、メモリコントローラ18、エラー訂正符号/復号器21、データ変復調器23を順次介して、光ピックアップ33により、又は光ピックアップ33及び磁界ヘッド32によりこのQTフォーマットのファイルを光ディスク2に記録するようになされている。
またビデオディスク装置1では、光ピックアップ33より得られる再生信号をデータ変復調器23により処理して再生データを得、この再生データをエラー訂正符号/復号器21で処理して、光ディスク2に記録したQTフォーマットによるファイルを再生できるようになされ、これらQTフォーマットによるファイルのデータをメモリコントローラ18から出力するようになされている。
ファイル復号器16は、メモリコントローラ18から出力されるQTファイルのデータを入力し、このデータをビデオデータ及びオーディオデータのエレメンタリストリームに分解して出力する。この処理において、ファイル復号器16は、システム制御マイコン19によるシーク等の制御により事前にムービーアトムのデータを取得して保持し、このムービーアトムに設定された管理情報に基づいてビデオデータ及びオーディオデータのエレメンタリストリームを出力する。
ビデオ復号器13A、13Bは、このビデオデータのエレメンタリストリームをデータ伸長して図示しない表示手段、外部機器に出力する。しかしてこのビデオディスク装置1では、ビデオ復号器13A、13Bがそれぞれビデオデータのエレメンタリーストリームを処理できるようになされ、これにより2ソースエフェクトに係る2系統のビデオデータを同時並列的に出力できるようになされている。エフェクト付加回路35は、システム制御マイコン19の制御により、通常の再生処理においては、ビデオ復号器13A又は13Bから出力されるビデオデータを何ら処理することなく出力する。これに対して編集処理結果によるビデオデータを出力する場合には、システム制御マイコン19の制御により、ビデオ復号器13A又は13Bから出力されるビデオデータにエフェクトを付加して、またはエフェクトを付加することなく出力する。また2ソースエフェクトに係る処理においては、これらビデオ復号器13A、13Bから出力される2系統のビデオデータをエフェクトによる処理により1系統のビデオデータに変換して出力する。
オーディオ復号器14は、ファイル復号器16から出力されるオーディオデータのエレメンタリストリームをデータ伸長して、図示しない音声出力手段、外部機器に出力する。これによりこのビデオディスク装置1では、光ディスク2から再生した撮像結果をモニタし得るようになされている。
システム制御マイコン19は、このビデオディスク装置1全体の動作を制御するコンピュータであり、図示しないメモリに記録された所定の処理プログラムの実行により、ユーザーによる操作に応動して各部の動作を制御する。これによりシステム制御マイコン19は、撮像結果を光ディスク2に記録し、またこの光ディスク2に記録した撮像結果を再生してユーザーに提供し、さらには編集処理を実行するようになされている。
なおこのビデオディスク装置1において、このシステム制御マイコン19に係る処理プログラムにおいては、事前にインストールされて提供されるようになされている。しかしながらこのような事前のインストールによる提供に代えて、記録媒体に記録して提供してインストールするようにしてもよい。因みに、このような記録媒体においては、光ディスク、磁気ディスク、メモリカード、磁気テープ等、種々の記録媒体を広く適用することができる。
(1−2)QTファイル
ここで図3は、QTファイルの基本構成を示す概念図である。QTフォーマットは、特殊なハードウエアを用いずに動画等を再生するためのOS(Operating System)の拡張機能として生まれたファイルフォーマットである。QTフォーマットは、動画、音声、静止画、文字、MIDI等の種々の形式による実データを1つの時間軸で同期させて再生することができるタイムベースのマルチメディアファイルフォーマットであり、ネットワーク上のストリーミングにも対応できるようになされている。
QTファイルにおいて、これら種々の形式による実データは、メディアデータとしてそれぞれ個別のトラックとして格納され、それぞれ動画、音声、文字による実データのトラックがビデオトラック、サウンドトラック(オーディオトラック)、テキストトラックと称されるようになされている。なおQTファイルには、他にも、ビデオデータとオーディオデータが多重化されたデータ、例えばMPEG2−PS(Program Stream)データを管理するMPEG2−PSトラックなども有る。
QTファイルF1、F2は、このトラックの集合によりムービーデータアトム(Movie Data Atom)が形成され、このムービーデータアトム(Movie Data Atom)の各トラックの管理情報等がまとめられてムービーアトム(Movie Atom)が形成される。なおアトムは、ボックス(Box)と呼ばれる場合もある。またムービーデータアトムは、アトムのタイプ名がmdatに設定され、メディアデータ(Media Data)とも呼ばれる。これに対してムービーアトム(Movie Atom)は、アトムのタイプ名がmoovに設定され、ムービーリソース(Movie Resource)とも呼ばれる。
QTファイルは、これらムービーデータアトム、ムービーアトムが一体となった形式の自己内包形ファイルF1と、ムービーアトムのみからなる形式の外部参照形ファイルF2とがあり、この外部参照形ファイルF2においては、他のファイルF1に存在するムービーデータアトムを管理対象に設定できるようになされ、これによりノンリニア編集等に利用できるようになされている。なおこのように他のファイルF1に存在するムービーデータアトムを管理対象とする場合には、ムービーアトムに、この他のファイルに係る記録媒体上の相対パス、絶対パス等の管理情報が併せて割り当てられるようになされている。
しかして図3の例においては、自己内包形ファイルF1のムービーデータアトムに、オーディオ(A1及びA2)によるメディアデータ、ビデオ(V1及びV2)によるメディアデータが割り当てられ、このファイルF1のムービーアトムにより、又は外部参照形ファイルF2のムービーアトムにより、これらのメディアデータを再生できるようになされている。
図4は、自己内包形ファイルF1に関して、ビデオトラック及びオーディオトラックによりムービーデータアトムが構成されている場合を例にとって、これらムービーデータアトム、ムービーアトムの一般的な構成を各アトムのタイプ名と共に示す図表である。なおムービーアトムにおいて、トラックアトム(タイプ名trak)は、下位階層のアトム構造がビデオトラックとオーディオトラックとでほぼ同一であることにより、図4においてオーディオトラックに係るトラックアトムの下位階層について記述を省略して示す。
ムービーアトムは、ファイルの再生に必要な時間情報、実データ参照のための位置情報等による管理情報を属性毎にアトム化した階層構造により作成される。すなわちムービーアトムは、ムービーヘッダアトム(movie header)、トラックアトム(track)等により構成される。ムービーヘッダアトムは、ヘッダー情報が収容され、タイプ名がmvhdに設定される。これに対してトラックアトム(track)は、ムービーデータアトムに設けられたトラックに対応してそれぞれ設けられ、この例ではビデオトラックとオーディオトラックとが設けられる。トラックアトム(track)は、トラックヘッダアトム(track header)、エディットアトム(edit)、ユーザーデータアトム(user data)、メディアアトム(media)等により構成され、それぞれムービーデータアトムの個々の実データに関する情報が記述される。
ここでトラックヘッダアトム(track header)は、ヘッダー情報が収容される。エディットアトム(edit)は、対応するメディアデータ(実データ)との時間関係の情報を記述できるようになされ、必要に応じてエディットリストアトム(edit list)を設けて、このエディットリストアトム(edit list)によりこのトラックアトムによるトラックとメディアとの時間軸の関係を記述できるようになされている。ユーザーデータアトム(userdata)は、必要に応じてトラックに係わるユーザー定義の付加データを格納できるようになされている。ユーザーデータアトム(user data)は、後述するように、フィールドの拡張により、このような付加データを必要に応じて複数記述できるようになされている。
メディアアトム(media)は、それぞれ対応する実データの圧縮方式、格納場所、表示時間等を管理するための情報が割り当てられ、タイプ名がmdiaに設定される。メディアアトム(media)は、メディアヘッダアトム(media header)、メディアハンドラリファレンスアトム(media handler reference)、メディア情報アトム(media information)により構成される。ここでメディアヘッダアトム(media header)は、ヘッダー情報が割り当てられ、メディアハンドラリファレンスアトム(media handler reference(図4においてはmedia handlerにより示す))は、対応する実データの種類が記録され、これによりビデオデータ、オーディオデータ等を識別できるようになされている。
メディア情報アトム(media information)は、最小の管理単位であるサンプルに係る各種の情報が割り当てられ、タイプ名がminfに設定される。メディア情報アトム(media information)は、実データに対応するメディア情報ヘッダアトム(video media information header、sound media information header(図4においてはvideo media headerにより示す))、データハンドラリファレンスアトム(data handler reference(図4においてはdata handlerにより示す))、データ情報アトム(data information)、サンプルテーブルアトム(sample table)により構成される。
ここでメディア情報ヘッダアトムは、上位のメディアハンドラリファレンスアトム(media handler reference)に対応して、ビデオトラック及びオーディオトラックでそれぞれタイプ名がvmhd、smhdに設定され、ヘッダー情報が収容される。なお、ビデオデータとオーディオデータが多重化された例えばMPEG2−PS(Program Stream)データを管理するMPEG2−PSトラックでは、メディア情報ヘッダアトム(base(general)media information header)として、タイプ名がgmhdに設定される。データハンドラリファレンスアトム(data handler reference)は、対応する実データの取り扱いに関する情報が設定され、データ情報アトム(data information)は、下位階層のデータリファレンスアトム(data reference)により実際に参照するデータの格納場所、格納方法の情報が割り当てられるようになされている。
サンプルテーブルアトム(sample table)は、各サンプルに関する情報が割り当てられ、タイプ名がstb1に設定される。サンプルテーブルアトム(sample table)は、サンプルディスクリプションアトム(sample description)、時間サンプルアトム(time−to−sample)、サンプルサイズアトム(sample size)、サンプルチャンクアトム(sample−to−chunk)、チャンクオフセットアトム(chunk offset)等により構成される。
ここでサンプルディスクリプションアトム(sample description)は、デコードに関する情報が保存され、具体的にデータ圧縮方式、関連する情報が割り当てられる。時間サンプルアトム(time−to−sample)は、各サンプルとデコードに係る時間軸との関係がフレームレートにより記述される。サンプルサイズアトム(sample size)は、各サンプルのデータ量が記述され、サンプルチャンクアトム(sample−to−chunk)は、チャンク(chunk)とそのチャンク(chunk)を構成するサンプルとの関係が記述される。なおここでチャンク(chunk)は、ムービーデータアトムに各トラックデータをブロック化して割り当てる際の各ブロックであり、複数サンプルの集合により1つのチャンクが作成される。チャンクオフセットアトム(chunk offset)は、ファイル先頭を基準にした各チャンク先頭の位置情報がエントリにより記録される。QTフォーマットにおいては、このサンプルテーブルアトムの管理情報の記録により実データの管理単位である各サンプルを順次再生できるようになされている。
これに対してムービーデータアトムは、QTファイルの実データであるビデオデータ及びオーディオデータのエレメンタリストリームが、それぞれサンプルの集合としてチャンク(chunk)に割り当てられ、ビデオデータのエレメンタリストリームによるチャンク、オーディオデータのエレメンタリストリームによるチャンクが交互に設けられるようになされている。
この実施例では、オーディオ符号器12、ビデオ符号器11により、これらオーディオデータ及びビデオデータのエレメンタリストリームに、MPEG1 Audio Layer2の圧縮符号化方式によって符号化したオーディオデータ、MPEG2 videoの圧縮符号化方式によって符号化したビデオデータを適用するようになされている。なおQTファイルにおいては、例えばMotionJPEG、MotionJPEG2000、MPEG4、AVC(Advanced Video Coding:MPEG4−part10)等の各種のビデオデータ、Dolby AC3、ATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding)等の各種のオーディオデータをこれらオーディオデータ及びビデオデータに適用することも可能であり、さらには何ら圧縮符号化処理していないリニアデータを適用することも可能である。また、ビデオデータとオーディオデータが多重化されたデータ、例えばMPEG2−PS(Program Stream)データに適用することも可能である。
このようなビデオトラック、オーディオトラックに係るQTフォーマットに対して、ビデオデータにエフェクトを付加する為に用意されるトラックであって、そのエフェクト内容を記述するトラック(エフェクトトラックと呼ぶ)を有する場合、QTフォーマットにおいては、図5〜図9に示すように構成される。なおここで図5〜図9は、QTフォーマットによるファイル構造をC言語の記述によりそれぞれタイプフィールドに割り当てられるタイプ名と共に示す図表である。図5及び図6は、いわゆるフィルタリングの処理に係る編集処理による場合であり、編集対象が1つのビデオトラックであるいわゆる1ソースエフェクトの場合である。なおこのような1つのビデオソースに対するフィルタ効果例として、モノクローム変換、セピア色変換、ぼかし、モザイク等が挙げられる。
これに対して図7〜図9は、例えばクロスフェード、ワイプのように、編集対象が2つのビデオトラックの場合であり、いわゆる2ソースエフェクトの場合である。なお図5〜図9においては、エフェクトトラックがエフェクトを施す為の入力ソースとなるビデオデータを管理しているトラック(ソーストラックと呼ぶ)と、エフェクトトラックとの関係についてのみ記述し、オーディオトラック等については記載を省略する。
ここでQTフォーマットにおいて、エフェクトトラックは、ビデオトラックと同じビデオメディアとしてメディアタイプが定義され、これによりビデオメディアのフィールドが適用され、ビデオトラックとほぼ同様に形成される。なおソーストラックは、エフェクトを施す対象がビデオデータを持ち得るトラックであるので、当然ビデオメディアタイプの場合も有れば、上述のビデオデータとオーディオデータが多重化された例えばMPEG2−PS(Prgram Stream)データを扱うメディアタイプの場合も有る。本実施例では、ビデオメディアタイプのトラックをソーストラックとする例として記述している。
すなわち図5に示すように、QTファイルにおいては、ムービーアトムによるムービーヘッダアトム(movie header)に続いて、ビデオトラックによるトラックアトムが形成され、このトラックアトムが図4を用いて説明したように形成される。QTファイルは、このビデオトラックがソーストラックとして指定され、これに続いて、エフェクトトラックであるトラックアトム(Track atom(effect))が形成され、ビデオトラックの場合と同様に、このエフェクトトラックに、トラックヘッダアトム(track header)、エディットアトム(edit)、メディアアトム(media)が形成される。エフェクトトラックにおいては、これらトラックヘッダアトム(track header)、エディットアトム(edit)、メディアアトム(media)に加えて、さらにトラックリファレンスアトム(Track Reference Atom(タイプ名tref))が形成される。
ここでトラックリファレンスアトムは、エフェクトを施す対象であるソーストラックとの参照関係を指定する情報が記述される。すなわちトラックリファレンスアトム(Track Reference Atom)は、このアトムに属するTrack Reference Type Atom(タイプ名ssrc)に、対応するソーストラックのTrack header Atom(タイプ名tkhd)に記述されたトラックIDが記述される。ここでこのトラックIDは、各トラックにそれぞれ設定される各トラックに固有の識別コードである。これによりエフェクトトラックでは、処理対象のビデオトラックを特定できるようになされている。
しかして図5及び図6に示すように1ソースエフェクトの場合においては、ムービーアトムに設けられたビデオトラックの1つがこのトラックリファレンスタイプアトム(Track Reference Type Atom)のトラックIDにより特定されるようになされている。これに対して図7〜図9に示す2ソースエフェクトの場合においては、ムービーアトムに2つ以上のビデオトラックが設けられた状態で、このトラックリファレンスタイプアトム(Track Reference Type Atom)に2つのトラックIDが設けられ、この2つのトラックIDによりムービーアトムに設けられた2つのビデオトラックが特定されるようになされている。
さらにエフェクトトラックは、ビデオメディアタイプによるメディアアトムの構成要素であるメディアヘッダアトム(media header)、メディアハンドラリファレンスアトム(media handler reference)、メディア情報アトム(media information)に加えて、さらにトラックインプットマップアトム(Track Input Map Atom(タイプ名imap))が設けられる。ここでトラックインプットマップアトムは、エフェクトを施す対象であり、エフェクトトラックにとっての入力であるソーストラックに関する情報が、QTアトム構造により記述される。
ここでこのQTアトム構造は、QTアトムコンテナ(QT Atom Container(タイプ名sean))を最上位アトムとするコンテナによってパッキングされて、トラックインプットQTアトム(Track Input QTatom(タイプ名in:タイプ名の先頭2文字は16進数表現で0x0000))が必要数だけ設けられる。またトラックインプットQTアトムは、入力ソースがビデオメディアであることを指定するインプットタイプQTアトム(Input Type QTatom(タイプ名ty:タイプ名の先頭2文字は16進数表現で0x0000))、対応するソーストラックの固有の名称を記述するデータソースタイプQTアトム(Data Source TypeQTatom(タイプ名dtst))が割り当てられる。
これにより図5及び図6に示す1ソースエフェクトの場合、トラックインプットQTアトムは、1個であるのに対し、図7〜図9に示す2ソースエフェクトの場合、トラックインプットQTアトムは、2個設けられるようになされている。
これらによりQTファイルでは、図10(C)及び図11(B)にそれぞれ1ソースエフェクト及び2ソースエフェクトに係るムービーアトム(ムービーリソース)とムービーデータアトムとの関係を示すように、エフェクトトラックETのトラックリファレンスアトム(Track Reference Atom(tref))、トラックインプットマップアトム(Track Input Map Atom(imap))によりソーストラックST、ST1、ST2を特定できるようになされている。なお図10(A)及び(B)、図11(A)〜(C)は、実データに係るビデオデータとエフェクトの処理との関係をエフェクトトラックとの対比により示す図である。
またエフェクトトラックは、サンプルテーブルアトム(sample table)のサンプルディスクリプションアトム(sample description)に、エフェクトに係る情報が割り当てられる。ここで図12は、ビデオトラックのサンプルディスクリプションアトム(sample description)を示す図表である。なおこの図12及び続く図13においては、括弧書により各フィールドのデータ量をバイト数で示す。
ビデオトラックのサンプルディスクリプションアトム(sample description)においては、サンプルディスクリプションアトム(sample description)のサイズ(Size)、タイプ名(stsd)、バージョン、フラグが順次割り当てられる。またこのサンプルディスクリプションアトム(sample description)のエントリ数(number of Entries)が割り当てられ、このエントリ数の分だけ、データ圧縮方式、関連する情報によるエントリ(Video sample description entry)が割り当てられる。
また各エントリ(Video sample description entry)においては、各エントリ(Video sample description entry)のサイズ(Size)が割り当てられ、続くデータフォーマット(Data Format)によりデータ圧縮方式が記述される。なお各エントリ(Video sample description entry)においては、このデータフォーマット(Data Format)に関連する情報として、1サンプルに割り当てるフレーム数を記述するフィールド(Frame Count)等が割り当てられる。
これに対してエフェクトトラックのサンプルディスクリプションアトム(sample description)においては、図12との対比により図13に示すように、ビデオトラックのサンプルディスクリプションアトム(sample description)と同様に、サイズ(Size)、タイプ名(stsd)、バージョン、フラグ、エントリ数(number of Entries)が割り当てられ、続いて所定数だけエフェクトに係るエントリ(Effect sample description entry)が割り当てられる。
ここで各エフェクトに係るエントリ(Effect sample description entry)は、各エントリのサイズ(Size)が割り当てられ、続くデータフォーマット(Data Format)にエフェクトの種別が記述される。ここで図14に示すように、このエフェクト種別にあっては、アルファベット4文字により記述され、ぼかし(Blur(blur))、カラースタイル(Color Style(solr))、色合い(Color Tint(tint))、エッジ検出(Edge Detection(edge))、エンボス(Emboss(embs))、HSLバランス(HSL Color Balance(hslb))、RGBバランス(RGB Color Balance(rgbb))、シャープネス(Sharpen(shrp))、明度とコントラスト(Brightness and Contrast(brco))等が1ソースエフェクト用に割り当てられるようになされている。なお、説明は省略するが、2ソースエフェクト用として、クロマキー、クロスフェード、プッシュ、スライド、アルファ合成、ズーム、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)定義のワイプ・アイリス・ラジアル・マトリクス等が割り当てられている。この実施例においては、このエフェクト種別に、ポスタリゼーション(Posterization(YPST))、モザイク(Mosaic(MOSA))、ネガポジ(RGB Reverse(Negative)(NEGA))、ランダムドット(Random Dot(RDOT))、ユーザー定義エフェクト(User Defined Effect(UDEF))がさらに割り当てられる。
ここでポスタリゼーション(Posterization(YPST))は、輝度の階調数を低下させる処理であり、またモザイク(Mosaic(MOSA))は、モザイクによる処理であり、ネガポジ(RGB Reverse(Negative)(NEGA))は、ネガポジ反転の処理である。またランダムドット(Random Dot(RDOT))は、ランダムにドットを配置して画面を切り換える2ソース処理である。これによりこの実施例では、一段と使い勝手を向上するようになされている。
これに対してユーザー定義エフェクト(User Defined Effect(UDEF))は、この実施例による機器などを提供するメーカーなどが独自に拡張定義したエフェクト種別用の大別識別である。このユーザー定義エフェクト(User Defined Effect(タイプ名UDEF))は、エフェクトの詳細種別が後述するデータフォーマットの拡張情報を記述する為に用意される拡張アトムにより定義され、これによりこの拡張アトムにより定義されている場合にのみ、実質的に意味を有するようになされている。
各エフェクトに係るエントリ(Effect sample description entry)は、さらにリザーブ、データリファレンスインデッス等の、ビデオトラックにおけるエントリと同一のフィールドが連続し、末尾に、データフォーマットの拡張情報を記述する為に用意される拡張アトムが割り当てられる。
ここでこのデータフォーマットの拡張情報を記述する為に用意される拡張アトムは、ストリームディスクリプタアトム(Stream Descriptor atom)が割り当てられ、このストリームディスクリプタアトム(Stream Descriptor atom)が、図15に示すように記述される。すなわちストリームディスクリプタアトム(Stream Descriptor atom)は、ストリームディスクリプタアトム(Stream Descriptor atom)のサイズ、タイプ(strd)、バージョン、フラグが順次割り当てられる。続いてデータフォーマットの拡張情報として具体的なデータのフィールドが設けられ、ここにデータフォーマット(Data Format)、ユーザー定義エフェクトタイプ(User Defined Effect Type)、パラメータフラグ(Parameter Flag)のフィールドが設けられる。なお、バージョン、フラグは、将来の拡張を考慮して確保しているもので、本実施例においては双方とも0x0の値が割り当てられる。
ここでこの拡張のフィールドにおけるデータフォーマット(Data Format)には、図13及び図14について上述した各エフェクトに係るエントリ(Effect sample description entry)のデータフォーマット(Data Format)に係るフィールドに記述したエフェクト種別(タイプ名)がそのまま同じく、この拡張アトム内にも記述される。
ユーザー定義エフェクトタイプ(User Defined Effect Type)には、ユーザー定義に係る具体的なエフェクト種別が記述される。ここでユーザー定義エフェクトタイプ(User Defined Effect Type)は、4バイトのフィールドにより形成され、図16に示すように、このフィールドが2バイトづつに区切られて、それぞれオーナーID、エフェクトIDが割り当てられる。
ここでオーナーIDは、各メーカー毎に予め割り振られたメーカー名を特定するIDであり、エフェクトIDは、メーカーが独自に定義した詳細エフェクト名を特定するIDが割り当てられる。これによりこの実施例では、このQTフォーマットを柔軟に運用してメーカーが開発した種々のエフェクトを迅速に実装し得るようになされている。すなわち、各エフェクトに係るエントリ(Effect sample description entry)のデータフォーマット(Data Format)フィールドにて、メーカーが独自に拡張定義したエフェクトを指定していることを示す大別識別子としてユーザー定義エフェクト(User Defined Effect(UDEF))を割り当て、拡張アトム内にてこのようなエフェクト名のフィールドを2バイト単位で区切ってオーナーID、エフェクトIDにより独自定義に係るエフェクト詳細種別を定義できるようにしたことにより、独自拡張定義するエフェクト種別を新規定義するメーカー内で閉じることができ、このフィールドに割り当てられるコードの重複を未然に防止して運用管理することができる。実際上、このようなオーナーID、エフェクトIDによる設定を設けることなく、独自拡張のエフェクトを規定するようにすると、新規定義したいメーカー間での4文字アルファベット重複、申請順番等の管理が煩雑になる。加えて、拡張アトムすらも導入せずに、各エフェクトに係るエントリ(Effect sample description entry)のデータフォーマット(Data Format)フィールドのみで、メーカーが独自に拡張定義したいエフェクトを指定するとなると、更に困難を伴うことになる。なおこのデータフィールドのオーナーID、エフェクトIDにおいて、その値として0x0はリザーブに割り当てられ、図13について上述したデータフォーマットに係るフィールドのエフェクト種別にユーザー定義エフェクト(User Defined Effect(UDEF))を設定した場合には、使用できないようになされている。また、ユーザー定義エフェクト(User Defined Effect(UDEF))以外の既存定義済みエフェクト種別を設定した場合には、このオーナーID、エフェクトIDに記述される値は意味を持たない。従って、既存定義済みエフェクト種別を設定する際、通常はリザーブとした0x0を与える。
パラメータフラグ(Parameter Flag)は、図17に示すように、2バイトのうちの最下位1ビットを用いて、このエフェクトトラックに対応する実データにおけるエフェクトパラメータを設定したエフェクトサンプルエントリが有効か否かを設定できるようになされている。しかしてこの設定においては、対応するパラメータのエフェクトサンプルエントリによりエフェクト処理した場合にあって、エフェクト処理の前後で何らビデオデータによる画像が変化しない場合に、このパラメータのエフェクトサンプルエントリを無効と設定されるようになされている。これによりこの実施例では、このフラグの設定により、後述する無駄な処理を省略して負担を軽減するようになされている。なお、このパラメータフラグ(Parameter Flag)の上位15ビットは、将来拡張用としてリザーブとされている。
これに対してムービーデータアトムに割り当てられるエフェクトトラックの実データは、ソーストラックのビデオデータと同じく、エフェクトサンプル毎に格納される。エフェクトトラックは、サンプルディスクリプションアトム(Sample Description)のデータフォーマットフィールドでエフェクト種別が種別毎に定義され、エフェクトトラックの実データは、このサンプルディスクリプションアトムによる各種別によるエフェクト処理のパラメータデータが格納されるようになされている。
図18及び図19は、このムービーデータアトムに割り当てられるパラメータをエフェクト種別との対応により示す図表である。各パラメータ名は、それぞれパラメータタイプの4文字により表されるようになされている。各パラメータ値は、ムービーデータアトム内にパラメータタイプを特定するタイプ名をヘッダ識別子として、各々格納される。
ここで例えばエフェクト種別、明度とコントラスト(Brightness and Contrast(brco))においては、そのパラメータとしてブライトネス(Brightness)及びコントラスト(Contrast)を設定し得、この各パラメータと共に標準値に相当する値0に設定すると、結果として、エフェクト処理結果においては、明度、コントラストとも上げ下げせず、そのまま出力され何ら変化しないものとなる。しかしてこのようなエフェクトの効果が現れないものをヌルエフェクトと呼び、エフェクトの効果が現れるものをアクティブエフェクトと呼ぶ。これにより上述したパラメータフラグ(Parameter Flag)は、ヌルエフェクトで値0に設定され、アクティブエフェクトで値1に設定されるようになされている。
この実施例では、このパラメータフラグ(Parameter Flag)によりヌルエフェクトであると判断されるエフェクトについては、ムービーデータアトムをアクセスしてパラメータを取得しなくても処理できるようになされ、その分、処理を簡略化できるようになされている。
またこのようにパラメータフラグ(Parameter Flag)を設定して、さらにヌルエフェクト、アクティブエフェクトを定義することにより、エフェクトトラックから処理対象のビデオトラックをソーストラックとして指し示すように、エフェクトトラックのトラックインプットマップアトム、トラックリファレンスアトムを設定して、図10に示すように1ソースエフェクトについては、エフェクトトラックとこのビデオトラックによるソーストラックとによる2つのトラックのハンドリングにより編集結果を再生することができるようになされ、その分、再生系に係る負担を軽減することができるようになされている。また2ソースエフェクトについては、図11に示すように、同様にして、3トラックのハンドリングにより編集結果を再生することができるようになされ、その分、再生系に係る負担を軽減することができるようになされている。
(1−3)下位互換性の確保
ところでQTファイルを民生用の機器に適用する場合、上述したようにエフェクトに関して互換性が問題になる。またオーナーIDにより各オーナーで独自に定義したエフェクトについては、民生用の機器間でも、処理が困難になる。また図14においてタイプ名を大文字により記したエフェクトにあっては、新たに追加したエフェクトであり、このエフェクトについても、処理できない場合が発生する恐れがある。
このためこの実施例では、代替トラック(alternate track)、ユーザーデータアトム(user data)の設定等により下位互換性を確保し、処理能力が異なる場合でも、エフェクト処理結果を確実にユーザーに提供できるようにする。
ここで代替トラックは、従来のQTフォーマット上で定義されているトラックであり、QTファイルのデコーダーでデコード困難な場合が予測される場合に、このデコード困難なトラックに代えて再生するトラックである。図20に示すように、QTファイルでは、例えばソーストラックによるビデオデータをユーザー定義(図14について上述したタイプ名UDEFの場合である)によるエフェクトトラック(User Defined Effect)によりエフェクト処理して出力するようにムービーアトムを記述する場合のように、このエフェクトトラック(User Defined Effect)に例えばデコーダーによっては処理困難なエフェクトが存在する場合、このエフェクトトラック(User Defined Effect)に対して代替トラックを定義することができるようになされている。
代替トラックは、エフェクトトラックの代替のトラックである場合、一般に、エフェクトトラックと同様に記述され、また図20において矢印Aにより対応関係を示すように、各エフェクトのパラメータをムービーデータアトムに持つようになされている。なおこれによりこの図20の例では、代替エフェクトトラック(alternate Effect)と称する。
代替トラックは、代替対象のトラックとの関係が、それぞれ代替トラック、代替対象のトラックのトラックアトムに設けられるトラックヘッダアトム(track Header Atom)のフラグ(Flags)、オルタネートグループ(alternate Grope)、レイヤー(Layer)のフィールドに記述されるようになされ、この記述により処理能力に応じて代替トラックを検出してQTファイルを再生できるようになされている。
すなわち図21に示すように、トラックヘッダアトム(track Header Atom)は、トラックヘッダアトム(track Header Atom)のサイズ(Size)、タイプ名(tkhd)、バージョンが順次割り当てられ、続いてフラグ(Flags)が割り当てられる。ここでフラグ(Flags)の所定ビットが値1の場合、このトラックは、表示することが求められる有効トラックとなり、この所定ビットが値0の場合、このトラックは、トラックとしては存在していても通常は表示されない無効トラックとして扱われる。これにより図20に示すように、ユーザー定義によるエフェクトトラック(User Defined Effect)と、このエフェクトトラック(User Defined Effect)の代替トラックとを設ける場合、それぞれフラグは値1及び値0に設定されるようになされている。
続いてトラックヘッダアトム(track Header Atom)は、作成時の時間情報(Creation Time)、更新時の時間情報(Modification Time)、対応する実データのトラックID(Track ID)、リザーブ(Reserved)、デュレーション(Duration)、リザーブ(Reserved)が設けられ、レイヤー(Layer)が設けられ、このレイヤー(Layer)により表示の上下が記述される。
すなわちレイヤー(Layer)のフィールドは、値0を含む正及び負の値を記述することができるようになされ、同時に表示する複数トラックについて、値の最も小さいトラックを最も上側に表示し、順次値の大きなトラックを下側に表示するようになされている。これによりQTファイルでは、このレイヤーによる表示の優先順位を設定し、下側に表示するトラックにあっては、ユーザーにより見て取られないようにすることができるようになされている。
続いてトラックヘッダアトム(track Header Atom)は、オルタネートグループ(alternate Grope)が設けられる。ここでオルタネートグループ(alternate Grope)は、代替処理するトラックのグループ関係を示し、同一の値が設定されている場合には、これら同一の値に設定されているトラックが、代替トラックと、この代替トラックによる代替処理対象であるオリジナルのトラックとになる。これにより図20の例では、このオルタネートグループ(alternate Grope)が値1に設定されて、このオルタネートグループ(alternate Grope)とフラグ(Flags)とからオリジナルのトラックと、その代替トラックを検出できるようになされている。続いてトラックヘッダアトム(track Header Atom)は、ボリューム(Volume)等が順次設けられるようになされている。
この実施例では、さらにユーザーデータアトム(User Data Atom)の設定により一段と柔軟に代替トラックを定義できるようになされ、これにより柔軟に下位互換を図ることができるようになされている。すなわち図22は、ユーザーデータアトム(User Data Atom)を示す図表である。ユーザーデータアトム(User Data Atom)は、ユーザーデータアトム(User Data Atom)のサイズ(Size)、タイプ名(udta)が順次割り当てられ、続いてユーザーデータリスト(user data list)によりユーザーデータを定義できるようになされている。この実施例においては、このユーザーデータリスト(user data list)としてUD AV ディスクリプションアトム(UD AV Descriptor Atom)が設けられる。
ここでUD AV ディスクリプションアトム(UD AV Descriptor Atom)は、図23に示すように、このUD AV ディスクリプションアトム(UD AV Descriptor Atom)のサイズ(Size)、タイプ名(mqds)が順次割り当てられ、下位階層のトラックプロパティーアトム(Track Property Atom)が設けられるようになされている。
またこのトラックプロパティーアトム(Track Property Atom)は、図24に示すように、このトラックプロパティーアトム(Track Property Atom)のサイズ、タイプ名(tkpt)、バージョン(Version)、フラグ(Flags)、プレゼンテーションタイプ(Presentation Type)、プライオリティー(Priority)が順次割り当てられるようになされている。
これらのフィールドのうちプレゼンテーションタイプ(Presentation Type)のフィールドは、図25に示すように、orig、efctのうちの何れかの文字列が格納される。ここで文字列origは、このユーザーデータアトムが設けられてなるトラックアトムが、エフェクトの処理対象であるソーストラックの場合に設定される。これに対して文字列efctは、このユーザーデータアトムが設けられてなるトラックアトムがエフェクト処理結果として表示可能なトラックの場合に設定され、エフェクトトラックによる代替トラックのみならず、エフェクト処理結果に相当するビデオデータによるトラックについても適用される。
これによりこの実施例においては、エフェクトトラックに対して、同様のエフェクト種別の記述によるトラックアトムによる代替トラックに加えて、エフェクト処理した結果のビデオデータによるトラックアトムを代替トラックに設定して、これら2種類のトラックアトムをこのプレゼンテーションタイプ(Presentation Type)により識別できるようになされている。
これに対してプライオリティー(Priority)のフィールドは、このユーザーデータアトムが設けられてなるトラックアトムについて、処理の優先順位を定義するフィールドであり、優先順位を設定しない場合は値0に設定され、優先順位を設定する場合には値1以上の正の値が設定され、値が少ないトラック程、優先順位が高いことを示すようになされている。この実施例では、この処理の優先順位が、代替トラックに係るオルタネートグループの中では、求められる処理能力の最も高いものから順位が設定されるようになされている。
これによりこの実施例では、エフェクトトラックに対して複数の代替トラックを設ける場合に、プライオリティー(Priority)によりこの複数の代替トラックに処理の優先順次を設定することができるようになされ、ファイル再生時における複数の代替トラックの選択にファイル作成者の意図を反映させることができるようになされている。また求められる処理能力の高い側より順次代替トラックを処理可能か否か判断できるようになされている。
(1−4)QTファイルの処理
これらによりこのビデオ装置装置1では、ユーザーの操作に応動して光ディスク2に記録した撮像結果等を非破壊編集した後、ユーザーの指示により下位互換可能なファイルを光ディスク2に記録する。
すなわちこのビデオディスク装置1では、撮像手段等から入力される実データであるビデオデータ及びオーディオデータによるエレメンタリストリー厶DV、DAをファイル生成器15で多重化して光ディスク2に記録し、これによりムービーデータアトムを順次記録する。またこのムービーデータアトムによる実データの記録に対応して管理情報を順次取得してファイル生成器15のメモリ15Aに保持し、実データの記録の終了により、メモリ15Aに保持した管理情報によりムービーアトムを作成して光ディスク2に記録する。
このためシステム制御マイコン19は、所定の処理手順の実行によりファイル生成器15等の動作を制御することにより、またメモリ15Aに記録された管理情報を処理することにより、このようなムービーデータアトム、ムービーアトムの記録に係る全体の動作を制御する。これにより図26に示すように、ビデオディスク装置1においては、このような撮像結果の記録により、撮像結果に係るビデオデータ及びオーディオデータによる実データをムービーデータアトムに設定し、この実データの管理情報によりそれぞれビデオトラックvt、オーディオトラック(図示せず)をムービーアトムに設定してなるQTファイルF4が記録される。
このようにして光ディスク2に記録した撮像結果に関して、ユーザーにより編集の動作モードが選択されると、システム制御マイコン19は、所定のメニューを図示しない表示画面に表示し、このメニューの選択によりユーザーによる編集の各種指示を入力する。システム制御マイコン19は、これによりイン点、アウト点等の設定を受け付け、また各種エフェクトの選択等を受け付ける。またこのようにして編集処理したファイルの記録がユーザーにより指示されると、対応するファイルを光ディスク2に記録する。
この処理において、システム制御マイコン19は、ユーザーにより指示された編集対象に係るファイルF4のムービーアトムのビデオトラックvtに基づいて、エフェクトトラックETを作成し、このエフェクトトラックETにより元のファイルF4のムービーデータを参照する外部参照形式により編集結果のファイルF5を作成する。
すなわちシステム制御マイコン19は、編集対象のファイルF4のビデオトラックvtのトラックアトムをコピーしてビデオトラックVTを光ディスク2に記録する。またユーザーによる入力に応じて、このビデオトラックVTに対応して、エフェクトの効果が現れないヌルエフェクトと、エフェクトの効果が現れるアクティブエフェクトとを設定してエフェクトトラックETを作成し、またこのエフェクトトラックETの対象であるソーストラックSTをビデオトラックVTに設定する。
すなわち例えばユーザーが区間Tにおいて、フィルタリングに係るエフェクトを指示した場合、この区間Tをアクティブエフェクトの区間に設定し、何らエフェクトが指示されていない区間をヌルエフェクトの区間に設定する。また図10に示すように、これらアクティブエフェクト、ヌルエフェクトのエフェクトサンプルについて、サンプルディスクリプションアトムにそれぞれエントリを作成し、このエントリにおいてそれぞれアクティブエフェクト、ヌルエフェクトに対応する処理を実行するように設定してエフェクトトラックを作成する。またビデオトラックをソーストラックとして指し示すように、トラックインプットマップアトム、トラックリファレンスアトムを設定する。
これによりシステム制御マイコン19においては、このような1ソースエフェクトに係る編集処理においては、再生時、ソーストラックとエフェクトトラックとの2つトラックのハンドリングにより処理できるように編集処理結果のファイルF5を作成するようになされ、その分、再生時の負担を軽減するようになされている。
これに対してシステム制御マイコン19は、ユーザーが2ソースエフェクトに係る処理を指示した場合、図27に示すように、同様のアクティブエフェクト、ヌルエフェクト、ソーストラックの設定により編集結果のファイルF6を作成する。すなわちこの場合、2ソースエフェクトに係る処理対象の2つのビデオトラックVT1及びVT2のトラックアトムをコピーにより作成し、ユーザーによるイン点及びアウト点の設定に応じて、各ビデオトラックVT1及びVT2の区間Tをアクティブエフェクトの区間に設定し、何らエフェクトが指示されていない他の区間をヌルエフェクトの区間に設定する。
また図11に示すように、これらアクティブエフェクト、ヌルエフェクトのエフェクトサンプルについて、サンプルディスクリプションアトムにそれぞれエントリを作成し、このエントリにおいてそれぞれアクティブエフェクト、ヌルエフェクトに対応する処理を実行するように設定してエフェクトトラックETを作成する。またこの2ソースエフェクトに係るヌルエフェクトについては1ソースエフェクトに係るヌルエフェクトの設定を適用する。その際、この例では、エフェクトトラックの最初のヌルエフェクトサンプルはソーストラックにST1を指定し、アクティブエフェクト区間後のヌルエフェクトサンプルはソーストラックにST2を指定する。またビデオトラックVT1及びVT2をソーストラックST1、ST2として指し示すように、トラックインプットマップアトム、トラックリファレンスアトムを設定する。
これによりシステム制御マイコン19においては、このような2ソースエフェクトに係る編集処理においては、再生時、2つのソーストラックST1、ST2とエフェクトトラックとの3つのトラックのハンドリングにより処理できるように編集処理結果のファイルF6を作成するようになされ、その分、編集処理に係る負担を軽減するようになされている。
またこのようなヌルエフェクトの設定において、システム制御マイコン19においては、パラメータフラグ(Parameter Flag)(図17)の設定により、ムービーデータアトム中のパラメータ値を参照せずともムービーアトムによる管理情報だけで、ヌルエフェクトに係るエントリとアクティブエフェクトに係るエントリとを識別可能に設定する。これによりシステム制御マイコン19では、再生時、パラメータフラグ(Parameter Flag)に基づいてヌルエフェクトを検出できるように設定し、このヌルエフェクトの検出により、ヌルエフェクトについては、対応するパラメータを再生しなくても正常に処理できるようにし、再生時における負担を軽減できるようになされている。
システム制御マイコン19は、このようにパラメータフラグ(Parameter Flag)に基づいてヌルエフェクトを処理できるように設定した上で、ヌルエフェクトについては、標準のエフェクト名(例えば、Brightness and Contrast(brco))、パラメータ(例えば、Brightness=0、Contrast=0)によりエフェクトサンプルを形成し、これによりこのようなパラメータフラグ(Parameter Flag)に基づいてヌルエフェクトを処理するように構成されていない従来からのQTファイルに係るアプリケーションによっても、編集結果のファイルF5、F6を正常に再生できるようになされている。
システム制御マイコン19は、このようにして設定される各エントリのうち、アクティブエントリについては、ユーザーの選択したエフェクトの種類に応じてエフェクト種別を設定する。またこのエフェクトの種類がこのビデオディスク装置1に係るメーカーのオリジナルのエフェクトの場合、エフェクトタイプをユーザー定義エフェクトに係るエフェクト種別に設定し、拡張したフィールドにオーナーID、エフェクトIDを設定してエフェクトの種類を特定する。これによりこの実施例では、柔軟に各種エフェクトを実装できるようになされている。
しかしてこのようにしてエフェクトトラックを作成した場合にあっても、エフェクトトラックに記述されたエフェクトを解釈、処理できない機器にあっては、このような編集結果を再生することが困難になる。またエフェクトトラックに記述のエフェクトがオーナーID、エフェクトIDに係るメーカー独自のエフェクトの場合にあっては、他社の光ディスク装置によっても、さらにはQTファイルを再生する処理プログラムであるQTプレイヤーを有するコンピュータによっても、再生することが困難になる。
このためシステム制御マイコン19は、このようにして作成したエフェクトトラックによるファイルを光ディスク2に記録する際に、ユーザーによる指示により下位互換可能にファイルを記録する。
ここで図1に示すように、この下位互換可能ファイルについては、事前の設定により、又はユーザーの指示に応じて、ソーストラックST、エフェクトトラックETに対して第1及び第2の代替トラックAT1、AT2を作成する。ここで第1の代替トラックAT1は、エフェクトに関する処理能力に関して、このビデオディスク装置1に設定可能なエフェクトの全てについては処理が困難ではあるものの、ある程度はエフェクトを処理可能な再生装置に対して提供する代替トラックである。システム制御マイコン19は、このような再生装置で処理困難と考えられるエフェクトを、このエフェクトと似通った効果を得ることができるエフェクトに置き換えて、エフェクトトラックを改めて作成し、このエフェクトトラックを第1の代替トラックAT1に設定する。
しかしてこのような置き換えに係るエフェクトについては、ユーザーの選択により、又は事前の設定により、例えば図14について上述した大文字4文字のタイプ名によるエフェクトが適用される。これによりこの第1の代替トラックAT1では、エフェクトトラックETのモザイク(MOSA)によるエフェクトがぼかし(blur)のエフェクトに置き換えられて、ぼかし、ヌル、色合い(tint)による3サンプルにより形成されるようになされ、メディアデータアトムにこの3サンプルに係るパラメータが記述されるようになされている。
これに対して第2の代替トラックAT2は、エフェクト処理の機能を有していない再生装置に対して提供する代替トラックである。システム制御マイコン19は、この代替トラックAT2については、ソーストラックSTにより対応するビデオデータを順次再生し、エフェクトトラックETの記述によりエフェクト付加回路35でエフェクトを施し、このエフェクト付加回路35から出力されるエフェクト処理結果のビデオデータをデータ圧縮して光ディスク2に記録し直す。これにより図1の例では、代替トラックAT2は、モザイク、色合いに対応する区間にあっては、対応する処理を実行してなるビデオデータが割り当てられ、他のヌルの区間にあっては、ソーストラックの対応する区間によりビデオデータが割り当てられるようになされている。システム制御マイコン19は、このようにしてなる光ディスク2に記録したエフェクト処理結果によるビデオデータによるビデオトラックを第2の代替トラックAT2に設定する。これによりシステム制御マイコン19は、処理能力が種々に異なる装置、システムに対応して複数の代替トラックAT1、AT2を作成するようになされている。
これによりこの実施例においては、このQTファイルの再生を開始して、このQTファイルを作成したビデオディスク装置においては、ソーストラックST、エフェクトトラックETの処理により編集結果を再生できるのに対し、このビデオディスク装置1より能力の劣るエフェクトの機能を有する装置、システムにおいては、エフェクトトラックETを処理できない場合に、このエフェクトトラックETに代えて代替トラックAT1又はAT2の処理により編集結果をユーザーに提供できるようになされている。また何らエフェクトの機能を有していない装置、システムにおいては、エフェクトトラックET、代替トラックAT1を処理できないことにより、第2の代替トラックAT2の処理により編集結果をユーザーに提供できるようになされている。
システ厶制御マイコン19は、このようにして複数の代替トラックAT1、AT2を作成して、代替処理に係るエフェクトトラックET、代替トラックAT1、AT2について、それぞれトラックヘッダアトム(track Header Atom)のフラグ(Flags)、オルタネートグループ(alternate Grope)、レイヤー(Layer)のフィールドについては、エフェクトトラックET、代替トラックAT1、AT2のフラグ(Flags)をそれぞれ値1、値0に設定し、またこれらエフェクトトラックET、代替トラックAT1、AT2のオルタネートグループ(alternate Grope)を同一の値1に設定し、これにより代替トラックAT1、AT2とエフェクトトラックETとの関係を記述する。なおこの場合、レイヤー(Layer)においては、この実施例では再生時、何ら意味を持たないことにより、適宜、所定の値に設定される。
またユーザーデータアトムのプレゼンテーションタイプ(Presentation Type)については、ソーストラックSTについてのみorigの文字列を設定し、他のエフェクトトラックET、代替トラックAT1、AT2については、efctの文字列を設定する。
またプライオリティー(Priority)については、ソーストラックST、エフェクトトラックET、第1の代替トラックAT1、第2の代替トラックAT2の順序に優先順位を設定する。
これによりこの実施例においては、このビデオディスク装置1より能力の劣るエフェクトの機能を有する装置、システムにおいて、エフェクトトラックETを処理できない場合に、代替トラックAT2に優先して代替トラックAT1を処理する旨、このQTファイルに記述するようになされている。
なおこの図1においては、1ソースエフェクトの場合について述べたが、2ソースエフェクトの場合にあっても、同様のエフェクトトラックに対して、第1、第2の代替トラックを設定するようになされている。
これに対してこのようにしてエフェクトトラックを設定してなる編集結果によるQTファイルの再生が指示されると、システム制御マイコン19は、再生系の動作を制御してユーザーにより指示されたQTファイルからムービーアトムを逐次再生し、このムービーアトムの記録に基づいてムービーデータアトムを再生する。
この処理により、システム制御マイコン19においては、編集結果によるQTファイルについては、エフェクトトラックのトラックリファレンスアトムとトラックインプットマップアトムの記録に基づいて、ソーストラックを再生する。このとき図31及び図32に示すように、それぞれ1ソースエフェクト及び2ソースエフェクトにおいて、元のビデオトラックからエフェクトを掛けたい区間に相当する部分のみをコピーして作成したソーストラックと、元のビデオトラックが設けられている場合には、各トラックアトムに設けられたエディットアトムの記述に従って、これらビデオトラック、ソーストラック、エフェクトトラックをハンドリングし、ソーストラックによるビデオデータをエフェクトトラックにより処理する。またビデオトラックによるビデオデータとの間でレイヤーを切り換えて処理結果を出力し、これにより従来構成に係るQTファイルの編集結果を再生する。すなわち、アクティブエフェクト区間以外は元のビデオトラック出力が最前面に表示され、アクティブエフェクト区間はソーストラックにエフェクト処理を施すエフェクトトラックからの出力が最前面に表示される。
これに対して図26及び図27に示すように、元のビデオトラックがソーストラックに設定され、ヌルエフェクト及びアクティブエフェクトによりエフェクトトラックが形成されている場合には、このエフェクトトラックに設定されたヌルエフェクト及びアクティブエフェクトによりソーストラックにより再生されるビデオデータを処理しながら、処理結果によるビデオデータを出力する。これにより従来構成によるQTファイルの場合では、それぞれ1ソースエフェクト及び2ソースエフェクトにおいて、3トラック及び5トラックをハンドリングすることが必要なのに対し、この実施例に係るQTファイルでは、それぞれ2トラック及び3トラックのハンドリングにより編集結果を再生することができ、その分、編集結果に係る再生系、システム制御マイコン19等に係る負担を軽減することができるようになされている。
このようなヌルエフェクト、アクティブエフェクトに係る処理において、システム制御マイコン19は、エフェクトトラックのサンプルディスクリプションアトムに拡張フィールド(ストリームディスクリプタアトム)が設定されているか否か判断し、ここで拡張フィールドが設定されている場合には、この拡張フィールドに設定されたパラメータフラグ(Parameter Flag)の設定を判定し、これによりこのフラグの設定によりヌルエフェクト、アクティブエフェクトを判定する。またアクティブエフェクトとの判定結果が得られた場合、ムービーデータアトムに設定されている対応する実データであるエフェクトの処理に係るパラメータのデータを再生し、このパラメータによりエフェクトの処理を実行する。これに対してヌルエフェクトとの判定結果が得られた場合、何ら実データを再生することなく、ソーストラックによる対応するビデオデータを何ら処理することなく出力する。
これによりこのビデオディスク装置1では、このようにヌルエフェクトに係るムービーデータアトムからのパラメータの再生を中止して、さらには再生したパラメータによる処理を中止して、その分、負担を軽減するようになされている。
しかしてこのパラメータフラグ(Parameter Flag)の設定によりアクティブエフェクトと判定してムービーデータアトムから対応するパラメータを再生した場合でも、このパラメータがエフェクトによる変化が現れない値に設定されている場合、結局、ヌルエフェクトに相当することにはなるが、ソーストラックによるビデオデータを処理することになる。これにより拡張フィールドを追加するなどしてパラメータフラグ(Parameter Flag)を設定していない場合であっても、上述したように、エフェクトトラックをビデオトラック(ソーストラックとして)に対応するように作成してヌルエフェクト、アクティブエフェクトを設定する場合にあっては、ハンドリングに係るトラック数を少なくして負担を軽減することができることになる。
システム制御マイコン19は、これにより従来フォーマットによるQTファイル等において、拡張フィールドが設定されていない場合には、パラメータフラグ(Parameter Flag)の設定によりアクティブエフェクトと判定した場合と同様に、対応するパラメータのデータを再生し、このパラメータによりエフェクトの処理を実行するようになされている。
またシステム制御マイコン19は、このようにしてエフェクトトラックに設定された各エフェクト種別によりビデオデータを処理して出力する際に、エフェクト種別がユーザー定義エフェクトに係るエフェクト種別に設定されている場合、拡張したフィールドのオーナーID、エフェクトIDを判定する。この判定結果により、オーナーID、エフェクトIDにより特定されるエフェクトの種類にこのビデオディスク装置1では対応できない場合、システム制御マイコン19においては、ヌルエフェクトの場合と同様に、何らビデオデータを処理することなく出力することもあり得る。これに対してこのオーナーID、エフェクトIDにより特定されるエフェクトの種類に対応可能な場合、すなわちこのエフェクトの処理に係るプログラムであるモジュールが組み込まれている場合等にあっては、このオーナーID、エフェクトIDにより特定されるエフェクトによりビデオデータを処理して出力する。
このようなエフェクトトラックETに係る処理を前提に、システム制御マイコン19は、図28の処理手順の実行によりエフェクトに係る処理を実行する。すなわちシステム制御マイコン19は、ユーザーによりQTファイルの再生が指示され、このQTファイルにエフェクトトラックETが設定されている場合、この処理手順を開始してステップSP1からステップSP2に移る。ここでシステム制御マイコン19は、このディフォルトのエフェクトトラックET(フラグが値1に設定されているエフェクトトラックである)に記述されたエフェクトを処理可能か否か判断し、ここで肯定結果が得られると、ステップSP2からステップSP3に移り、このディフォルトのエフェクトトラックETによりQTファイルを再生するように全体の動作を設定した後、ステップSP4に移ってこの処理手順を終了する。
これに対してステップSP2で否定結果が得られると、システム制御マイコン19は、ステップSP2からステップSP5に移り、オルタネートグループ(alternate Grope)に設定されてなる値より代替トラックAT1、AT2を検出し、この代替トラックのプライオリティー(Priority)の設定により次優先の代替トラックを検出する。
ここでシステム制御マイコン19は、この次優先の代替トラックに記述されたエフェクトを処理可能か否か判断し、ここで肯定結果が得られると、ステップSP6からステップSP7に移り、この次優先の代替トラックによりQTファイルを再生するように全体の動作を設定した後、ステップSP4に移ってこの処理手順を終了する。しかしてこの場合、システム制御マイコン19は、ディフォルトのエフェクトトラックETに代えてこの代替トラックによりソーストラックSTの再生結果を処理してユーザーに提供するようになされている。
これに対してステップSP6で否定結果が得られると、システム制御マイコン19は、ステップSP6からステップSP9に移り、オルタネートグループ(alternate Grope)に設定されてた全ての代替トラックについて処理を完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP9からステップSP5に戻り、さらに次優先の代替トラックについて処理を切り換える。これに対してステップSP9において、肯定結果が得られると、システム制御マイコン19は、ステップSP9からステップSP4に移り、この場合、このファイルを再生できない旨、ユーザーに通知した後、この処理手順を終了する。しかしてこのQTファイルが、このビデオディスク装置1のように、エフェクト処理結果によるビデオトラックを代替トラックにしてなるファイルの場合、システム制御マイコン19は、エフェクトを処理できない場合でも、必ずファイルのエフェクト結果をビデオトラックによる代替トラックにより取得できることにより、このようにファイルを再生できない場合にあっては、このようなエフェクト処理結果によりビデオトラックを代替トラックにしていない場合であって、しかも他のメーカーが独自に設定したエフェクトを有している場合に発生すると考えられる。
(2)実施例の動作
以上の構成において、このビデオディスク装置1では、撮像手段で取得されるビデオ信号DV1がビデオ符号器11によりデータ圧縮されて可変レートによりファイル生成器15に入力され、またマイク等で取得されるオーディオ信号DA1がオーディオ符号器12によりデータ圧縮されてファイル生成器15に入力され、ここでQTファイルに変換されて続く一連の構成により光ディスク2に記録される。
このファイル生成器15における処理において、ビデオデータ及びオーディオデータは、サンプル、チャンクにまとめられ、チャンク毎にインターリーブされてムービーデータアトムのデータとして出力され、光ディスク2に記録される。ビデオデータ及びオーディオデータは、このようにして順次処理されながら、各サンプル、各チャンクの再生に必要な情報が取得されて管理情報としてメモリ15Aに蓄積され、実データであるムービーデータアトムの記録が完了すると、このメモリ15Aに記録された管理情報によるムービーアトムのデータが記録手段に出力され、ムービーデータアトムに対応するムービーアトムが光ディスク2に記録される。ビデオデータ及びオーディオデータは、これによりQTファイルとして光ディスク2に記録される。またこのようにして記録されたQTファイルにおいては、ムービーデータアトムに割り当てられた実データであるビデオデータ及びオーディオデータを管理する管理情報が階層構造によりまとめられて、ビデオデータの管理情報によるビデオトラックと、オーディオデータの管理情報によるサウンドトラックとがムービーアトムに設けられて形成される。
このようにして光ディスク2に記録されたQTファイルは、ユーザーによる再生の指示によるシステム制御マイコン19の制御により、光ディスク2からムービーアトムのデータが再生され、このムービーアトムに設定された管理情報により順次ムービーデータアトムのデータが光ディスクより再生されて元のビデオデータ及びオーディオデータにデコードされ、デコードされたビデオデータ及びオーディオデータがビデオ復号器13、オーディオ復号器14より出力される。これによりこのビデオディスク装置1では、撮像結果を確認して、例えば編集処理等を実行することができる。
しかしてこのようにして記録したQTファイルについてビデオデータの編集がユーザーにより指示されると、編集対象のQTファイルよりムービーアトムが再生され、このムービーアトム中の対象とするビデオのトラックアトムのコピーにより編集結果のQTファイルについて、ソーストラックの役割も担うビデオトラックが形成される。またこのビデオトラックについては、元のQTファイルの対応するビデオデータを実データに設定してなるように、絶対パス等が設定され、これらの処理により元のQTファイルのムービーデータアトムを外部参照形式にしてなるQTファイルが作成される。
またユーザーによるイン点、アウト点、エフェクト種別の指定等により、このコピーによるビデオトラックを有してなるQTファイルにエフェクトトラックが形成される。このエフェクトトラックにおいては、ビデオトラックに対応するように作成されて、ユーザーによる入力に応じて、エフェクトの効果が現れないヌルエフェクトと、エフェクトの効果が現れるアクティブエフェクトとを設定して形成される。またコピーによるビデオトラックをソーストラックに設定してなるように作成される。
これによりこのビデオディスク装置1においては、従来の編集結果に係るQTフォーマットを再生する場合には、元のビデオトラック、ソーストラック、エフェクトトラックをハンドリングすることが必要なところを、元のビデオトラックがエフェクトの為のソースとなる役割を兼ねるようにしたソーストラック、エフェクトトラックのハンドリングにより再生し得、その分、編集結果の再生に係る負担を軽減することができる。
すなわちエフェクトトラックにおけるトラックリファレンスアトム、トラックインプットマップアトムがソーストラックを指し示すように設定され、またサンプルディスクリプションアトムにおいては、このようなヌルエフェクトをも含む各エフェクトに対応するように、順次、エフェクト種別等が設定されてエフェクトトラックが作成される。またこのエフェクトトラックにおけるサンプルディスクリプションアトムの設定に対応して、エフェクトトラックに係る実データである各エフェクトのパラメータが、この編集結果に係るQTファイルのムービーデータアトムに割り当てられる。
このようなエフェクトが1ソースエフェクトの場合、これにより1つのソーストラックSTを指し示すように設定されて、1ソースエフェクトに係るヌルエフェクトと、1ソースエフェクトに係るアクティブエフェクトとによる処理を指示するようにエフェクトトラックETが作成される(図10)。またこのようなエフェクトが2ソースエフェクトの場合、2つのソーストラックST1、ST2を指し示すように設定されて、1ソースエフェクトに係るヌルエフェクトと、2ソースエフェクトに係るアクティブエフェクトとによる処理を指示するようにエフェクトトラックETが作成される(図11)。
これにより再生時においては、1ソースエフェクトの場合(図26)、エフェクトトラックによりソーストラックに係るビデオデータを順次再生すると共に、この再生したビデオデータをヌルエフェクトにより処理して出力することができ、また実際のエフェクトの期間Tにおいては、アクティブエフェクトに設定されていることにより、対応する処理によるソーストラックによるビデオデータを処理して出力し、これにより2つのトラックのハンドリングにより編集結果を再生することができる。
また2ソースエフェクトの場合(図27)、エフェクトトラックにより2つのソーストラックに係るビデオデータを編集に係る順序により再生して、一方のビデオデータのみを出力する場合には、ヌルエフェクトにより処理して出力し、トランジションに係る区間Tにおいては、双方のビデオデータをアクティブエフェクトに係る処理により処理して出力し、これによりこの場合、3つのトラックのハンドリングにより編集結果を出力することができる。
ビデオディスク装置1では、このようにしてエフェクトトラックを作成する際に、対応するエフェクトに係るエントリが拡張されて、この拡張されたフィールドにヌルエフェクトとアクティブエフェクトとの識別フラグが設定される。これによりこのようにして作成された編集結果のQTファイルにおいては、このような識別フラグの設定に対応する処理により再生する場合には、ヌルエフェクトについては、いちいちムービーデータアトムに設定された実データであるパラメータを取得しなくても処理し得、加えてエフェクト処理の計算もする必要がなく、その分、ムービーデータアトムの再生に係る処理、再生したパラメータによる処理を省略して、編集結果の処理に係る負担を軽減できるようになされている。
すなわちビデオディスク装置1では、再生時、この拡張されたフィールドに設定された識別フラグによりアクティブエフェクトと判定される場合、ムービーデータアトムの実データをアクセスしてこのアクティブエフェクトに係るパラメータを取得する。またこのエフェクトに係るエントリのエフェクトに応じて、この取得したパラメータにより対応するビデオデータを処理して出力する。これに対してこの再生時、この拡張されたフィールドに設定された識別フラグによりヌルエフェクトと判定される場合、ムービーデータアトムの実データのアクセスを中止し、このヌルエフェクトに係るビデオデータを何らエフェクト処理することなく出力する。
これに対して従来のフォーマットに係るQTファイルにおいては、このような拡張のフィールドが設けられていないことにより、このような拡張のフィールドが設けられていない場合には、従来と同様に、エフェクト種別を検出し、またムービーデータアトムからパラメータを取得し、これらにより対応するビデオデータを処理して出力する。
またビデオディスク装置1では、ユーザーが選択したエフェクトの種類が、このビデオディスク装置1に係るオリジナルのエフェクトの場合、エフェクトに係るエントリに元々設けられているエフェクト種別のフィールドには、ユーザー定義エフェクトに係るエフェクト種別が設定され、拡張したフィールドにオーナーID、エフェクトIDが設定され、このオーナーID、エフェクトIDにより具体的なエフェクトの種類が指示される。これによりこの実施例では、このQTフォーマットを柔軟に運用してメーカーが開発した種々のエフェクトを迅速に実装し得るようになされている。
しかしながらこのようなオーナーID、エフェクトIDによるエフェクトが他社の設定によるエフェクトによるものの場合、このビデオディスク装置1では、このQTファイルを再生できなくなる。またこのビデオディスク装置1で編集したQTファイルを他のビデオディスク装置、コンピュータでは、処理できなくなる。
このためビデオディスク装置1では、ユーザーが下位互換によるQTファイルの記録を指示すると(図1)、このようなメーカー独自のエフェクト、新たに追加したエフェクトについては、似通ったエフェクトに置き換えてなる代替トラックAT1が生成される。またユーザーの設定したエフェクトトラックETによりソーストラックSTの再生結果を処理して、エフェクト処理結果によるビデオデータの代替トラックAT2が生成される。またこれら代替トラックAT1、AT2、エフェクトトラックETをオルタネートグループ(alternate Grope)に設定し、またフラグ(Flags)の設定により代替トラックAT1、AT2、エフェクトトラックETを明らかにし、さらにユーザーデータアトムのプライオリティー(Priority)の設定によりこれらトラックの優先順位が設定され、プレゼンテーションタイプ(Presentation Type)により代替トラックAT2がソーストラックSTと同様に、ビデオデータを実データに設定してなるトラックであるが、あくまでもエフェクトラックETの代替トラックとして表示上、エフェクト機能を提供するトラックアトムであることが明示される。ビデオディスク装置1では、このようにして代替トラックAT1、AT2を設定して非破壊編集による編集結果が光ディスク2に記録される。
これによりこのビデオディスク装置1では、種々に能力が異なる装置、システムでも再生可能に非破壊編集による編集結果を光ディスク2に記録することができる。
すなわち再生対象のQTファイルがこのビデオディスク装置1で記録したファイルの場合、このQTファイルにおいては、ソーストラックSTによる再生結果がエフェクトトラックETにより処理されて編集処理結果をユーザーに提供することができる。
これに対してこのビデオディスク装置1によるQTファイルをコンピュータで再生する場合、オルタネートグループ(alternate Grope)、フラグ(Flags)の設定により、エフェクトトラックETを処理できる場合には、ソーストラックSTによる再生結果がエフェクトトラックETにより処理されて編集処理結果をユーザーに提供することができる。またこのエフェクトトラックETのエフェクトを処理できない場合には、代替トラックAT1、AT2の何れかによりこのQTファイルに係る編集結果がユーザーに提供される。しかしてコンピュータに設けられてなるQTファイルのプレイヤーに関して、代替トラックが複数存在する場合に、何れの代替トラックを選択すべきかは、何ら規定されていないことにより、この場合、コンピュータに実装されたプレイヤーの設定により、何れかの代替トラックによりこのQTファイルが処理されることになる。しかしながら実際上、このように本来のエフェクトトラックETにより処理できない場合、コンピュータにおいては、対応するプレイヤーへのバージョンアップにより対応し得、これにより結局、この場合には、代替トラックによらずにこのQTファイルを再生できることになる。
これに対して他のビデオディスク装置でこのビデオディスク装置1のQTファイルを再生する場合、さらには他のビデオディスク装置による光ディスクをこのビデオディスク装置1で再生する場合、エフェクトトラックETを処理できる場合には、ソーストラックSTによる再生結果がエフェクトトラックETにより処理されて編集処理結果をユーザーに提供することができる。
これに対してエフェクトトラックに処理困難なエフェクトが存在する場合、このビデオディスク装置1においては、プライオリティー(Priority)の設定により次優先の代替トラックAT1が選択され、エフェクトトラックETに代えてこの代替トラックAT1によりソーストラックSTによる再生結果が処理されて編集処理結果がユーザーに提供される。これによりこの場合、ユーザーにおいては、このQTファイルの作成者が意図した本来のエフェクトととは異なるものの、このユーザーに係る再生装置でエフェクト処理した再生結果を視聴することができる。
これに対してこのような代替トラックAT1によっても処理困難な場合には、さらに次優先の代替トラックAT2が選択される。しかしてこのエフェクトトラックにおいては、ソーストラックSTと同様のビデオデータを実データに設定してなるエフェクト処理結果によるビデオトラックによる代替トラック、すなわちエフェクトトラックによる処理結果相当の代替トラックであることにより、何らエフェクト処理することが困難な再生装置においても再生し得、これにより確実に下位互換を図ることができる。
しかしてこのビデオディスク装置1では、このような全くエフェクト機能を有していない再生装置に対応する代替トラックと共に、エフェクトの種別を置き換えた代替トラックも用意し、これら複数の代替トラックで優先順位を設定したことにより、エンコード−デコードの余分な処理により画質劣化を避け得ないビデオデータによる代替トラックに優先して、エフェクトの種別を置き換えた代替トラックによるエフェクト処理結果をユーザーに提供し得、これによりユーザーの使い勝手を向上することができる。
しかしてこの実施例においては、このようにして設定してなる優先順位が求められる処理能力の順序で設定され、最も優先順位の低い第2の代替トラックが、エフェクトトラックによる処理結果のビデオデータによるビデオトラックであることにより、データ圧縮、伸長の繰り返しの処理により画質が劣化する恐れのある代替トラックを最も低い優先順位に設定して、画質の劣化を有効に回避するようになされている。
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、少なくともエフェクトトラックによる処理結果相当のビデオデータによる代替トラックに優先順位の情報を設定して設けることにより、再生時、エフェクトの処理能力を有していない装置にあっても、少なくともこのビデオデータによる代替トラックによりエフェクトの処理結果をユーザーに提供することができる。これにより処理能力が種々に異なる場合でも、エフェクト処理結果を確実にユーザーに提供することができる。
またこのビデオデータによる代替トラックに加えて、エフェクトトラックに記述されたエフェクトの代替のエフェクトによる代替トラックを設けることにより、能力を有する装置、システムでは、この代替のエフェクトによる代替トラックによりエフェクト処理結果をユーザーに提供し得、ビデオデータによる代替トラックによる場合に比して高画質によるエフェクト処理結果をユーザーに提供することができる。
またこの優先順位の情報を、ユーザーデータのブロックに設定することにより、QTファイルフォーマットの規定に従って、処理能力が種々に異なる場合でも、エフェクト処理結果を確実にユーザーに提供することができる。
またこのようにして設定した優先順位により処理可能な代替トラックを検出してQTファイルを再生することにより、処理能力が種々に異なる場合でも、エフェクト処理結果を確実にユーザーに提供することができる。
1……ビデオディスク装置、2……光ディスク、11……ビデオ符号器、12……オーディオ符号器、15……ファイル生成器、15A、17、20……メモリ、19……システム制御マイコン