JP4200853B2 - 駆動力伝達装置及びそのアンバランス確認方法 - Google Patents

駆動力伝達装置及びそのアンバランス確認方法 Download PDF

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本発明は、例えば、車両の動力伝達系に介装される発進クラッチ、特に四輪駆動車で前輪側の駆動系と後輪側の駆動系との間に介装されるカップリングなどの駆動力伝達装置、並びに、この駆動力伝達装置のアンバランス確認方法に関するものである。
従来、図15(a)に示す下記の駆動力伝達装置1が知られている。
電磁式クラッチ機構24で電磁石27に通電されると、アーマチュア25が電磁石27により吸引されてパイロット摩擦クラッチ26が摩擦接触する。そして、アウタケース14とインナケース17との間に相対回転が発生すると、例えば、前進駆動時には図15(b)に示す向きのトルクTがパイロットカム体32に発生し、後進駆動時やエンジンブレーキ時には図15(c)に示す向きのトルクTがパイロットカム体32に発生する。いずれの駆動状態でも、カム機構23(メインカム体31、球状カム体38、パイロットカム体32)で増幅されたトルクTが回転中心線14a,17a方向の推力Sに変換される。その推力Sに応じて、メイン摩擦クラッチ22が接続され、アウタケース14とインナケース17との間で駆動力の伝達が行われる。
一方、電磁式クラッチ機構24の電磁石27に通電されていない非駆動状態で、アーマチュア25に対する電磁石27の吸引が解除されると、図15(d)に示すようにカム機構23においてパイロットカム体32とメインカム体31とが球状カム体38を介して一体回転する。そのため、メイン摩擦クラッチ22の接続が解除され、アウタケース14とインナケース17との間での駆動力の伝達が解除される。
なお、下記特許文献1も参照されたい。
特開平4−151031号公報
ところが、電磁式クラッチ機構24の電磁石27に通電されていない非駆動状態で、前輪の回転速度が後輪の回転速度よりも遅い場合には、低温時のオイル粘性アップ等の諸原因により、パイロット摩擦クラッチ26にてインナプレートがアウタプレートに引き摺られて回転するおそれがある。その場合、例えば図15(d)で示す向きの引き摺りトルクtがパイロットカム体32に発生する。その引き摺りトルクtにより、図15(c)に示す場合と同様にカム機構23(メインカム体31、球状カム体38、パイロットカム体32)で増幅されたトルクが推力Sとして発生してメイン摩擦クラッチ22が接続され、アウタケース14とインナケース17との間で意図しない駆動力の伝達が行われる。そのため、前記駆動力伝達装置1の非駆動状態における駆動力の伝達が不安定になる問題があった。
そこで、前記駆動力伝達装置1においては、インナケース17の外周でカム機構23のメインカム体31を推力Sに対抗するように回転中心線14a,17a方向へ付勢する皿ばね等のリターンスプリング48が付設され、このリターンスプリング48によりメイン摩擦クラッチ22の接続を防止している。しかし、このリターンスプリング48を採用すると、下記*の問題点がある。
* カム機構23のパイロットカム体32を受けるニードルベアリング35の転動抵抗を下げるためには、リターンスプリング48の弾性力を下げる必要がある。逆に、低温時のオイル粘性アップ等の諸原因により生じる引き摺りトルクtを防止するためには、リターンスプリング48の弾性力を上げる必要がある。それらは背反事象であるため、転動抵抗を下げると同時に引き摺りトルクtを防止することは不可能である。
* カム機構23においてパイロットカム体32に生じる引き摺りトルクtがメインカム体31の推力Sとして増幅変換された後に、リターンスプリング48がメインカム体31の推力Sに対抗する。このリターンスプリング48はメインカム体31を推力Sに対抗するように回転中心線14a,17a方向へ付勢する弾性力を有しているため、パイロットカム体32はメインカム体31の推力Sに対抗するリターンスプリング48の弾性力を受ける。従って、パイロットカム体32を受けるニードルベアリング35の転動抵抗(摩擦抵抗)が増加する。
* 図15(d)に示す非駆動状態ばかりではなく図15(b)(c)に示す駆動状態でも共にリターンスプリング48の弾性力がメインカム体31を推力Sに対抗するように回転中心線14a,17a方向へ付勢している。そのため、リターンスプリング48(皿ばね等)の弾性力の不均一性等が原因して、駆動状態における駆動力伝達装置1の制御が不安定になり易い。
一方、前記駆動力伝達装置1においては、メイン摩擦クラッチ22の接触面間の間隔を拡大すれば、メイン摩擦クラッチ22の接続を抑制するので、引き摺りトルクtの発生に伴う弊害を防止することができる。しかし、この間隔を拡大させると、下記*の問題点がある。
* カム機構23においてメインカム体31のカム面36及びパイロットカム体32のカム面37で回転方向Rに対する傾斜角度θ36,θ37については、テコの原理を応用して推力Sを大きくするために、ある程度小さく設定する必要がある。しかし、間隔を拡大させると、それに応じてメインカム体31のストロークを回転中心線14a,17a方向で大きくしなければならず、前記傾斜角度θ36,θ37のままでカム面36,37における回転方向Rの延設長さを大きくする必要がある。そのため、パイロットカム体32の回転角が過大になり、カム機構23の応答性が悪化するとともに、カム面36,37の形成及び配置が困難になる。
* 間隔を拡大させると、メインカム体31などの各部品の自由度が大きくなって偏心等のアンバランスが生じ易い状態になる。そこで、従来は、実際の使用状態と異なり、電磁式クラッチ機構24の電磁石27を取り外した状態のまま通電せずに、アウタケース14とインナケース17とを回転可能に支持した状態で相対回転させることにより、アンバランス確認を行っていた。そのため、アンバランス確認中に各構成部材が移動し、アンバランスの確認を確実に行うことができなかった。
この発明は、カム機構のパイロットカム体及びメインカム体における回転抵抗(摩擦抵抗)を下げると同時に引き摺りトルクを防止し、耐引き摺り性能を向上させることを目的としている。さらに、この発明は、駆動力伝達装置のアンバランス確認を確実に行うことを目的としている。
後記実施形態の図面(図1〜7に示す第一実施形態、図8〜14に示す第二実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
* 請求項1の発明(第一実施形態及び第二実施形態に対応)
請求項1の発明に係る駆動力伝達装置(1)は下記のように構成されている。
前記駆動力伝達装置(1)は、相対回転し得る第一回転部材(12)と第二回転部材(15)との間の駆動力の伝達を行なうメインクラッチ(22)と、パイロットクラッチ(26)を作動するクラッチ機構(24)と、このパイロットクラッチ(26)を接続するクラッチ機構(24)の作動時にこのメインクラッチ(22)を接続するカム機構(23)とを備え、前記第一回転部材(12)と第二回転部材(15)との相対回転に伴いパイロットクラッチ(26)を介してパイロットカム体(32)に発生するトルク(T)に応じてメインカム体(31)に発生する回転中心線(14a,17a)方向の推力(S)により前記メインクラッチ(22)を接続するように構成されている。このカム機構(23)は、相対回転し得るパイロットカム体(32)とメインカム体(31)とストッパ体(33)と、このパイロットカム体(32)及びメインカム体(31)とこのストッパ体(33)とを互いに係止させる回転方向(R)へストッパ体(33)を付勢する付勢手段(34)とを備えている。前記第一回転部材(12)と第二回転部材(15)との間の一方向の相対回転時には、前記パイロットカム体(32)とメインカム体(31)との間の相対回転により前記メインカム体(31)に回転中心線(14a,17a)方向の推力(S)が発生するよう構成されるとともに、前記パイロットカム体(32)にはこのメインカム体(31)との間の相対回転時に回転方向において前記付勢手段(34)による付勢力が生じないよう構成されている。前記第一回転部材(12)と第二回転部材(15)との間の他方向の相対回転時には、前記付勢手段(34)による付勢力(E)の生じた前記ストッパ体(33)前記パイロットカム体(32)とメインカム体(31)との間の相対回転を規制して前記メインカム体(31)に発生する回転中心線(14a,17a)方向の推力(S)を抑制する。
前記付勢手段としては、ストッパ体(33)に回転方向(R)の付勢力(E)を生じさせ得るものであれば、後記請求項の発明にかかる捩じりばね(34)以外に、引張コイルばねや圧縮コイルばねなどの他のばねを採用してもよい。この捩じりばね(34)についても、一枚(一巻き)の切欠きリング(40)のほか、巻き数を増やした捩じりコイルばねを採用してもよい。また、図示しないが、後記請求項の発明以外に、一枚の切欠きリング(40)の一端部(40a)をパイロットカム体(32)に支持するとともに、パイロットカム体(32)に支持したストッパ体(33)にこの切欠きリング(40)の他端部(40b)を支持するようにしてもよい。
また、請求項1の発明において、下記のように構成してもよい(請求項2)。
前記ストッパ体は、前記付勢手段による付勢力で前記パイロットカム体とメインカム体との間の相対回転を規制するときに前記メインカム体とパイロットカム体とに係合して前記メインカム体とパイロットカム体との間の相対回転を規制する係止部を備え、前記付勢手段は、前記ストッパ体の係止部を回転方向において前記メインカム体と係合させる方向に付勢するとともに、前記ストッパ体の係止部を回転方向において前記パイロットカム体と係合させる方向に付勢する。また、前記第一回転部材と第二回転部材との間の一方向の相対回転時、前記パイロットカム体は前記付勢手段による付勢力の生じた前記ストッパ体の係止部と回転方向において係合することなく前記メインカム体と相対回転可能である。
請求項1の発明は、下記*の効果を奏する。
* カム機構(23)においてパイロットカム体(32)に生じるトルク(引き摺りトルクt)がメインカム体(31)の推力(S)として変換される前に、付勢手段(34)によりストッパ体(33)に生じる付勢力(E)がこのパイロットカム体(32)のトルク(引き摺りトルクt)に対抗するため、その推力(S)をパイロットカム体(32)及びメインカム体(31)が受けることを抑制する。また、この付勢手段(34)はストッパ体(33)を回転方向(R)へ付勢する付勢力(E)を有しているため、パイロットカム体(32)及びメインカム体(31)がこの付勢手段(34)により回転中心線(14a,17a)方向の付勢力を受けない。さらに、制御の安定性をより一層増すために従来技術と同様なリターンスプリング(48)を付設したとしても、パイロットカム体(32)のトルク(引き摺りトルクt)に対抗する機能は前記ストッパ体(33)が果たすので、そのリターンスプリング(48)としては弾性力の小さいものを採用することができる。従って、このリターンスプリング(48)の有無に関係なく、このパイロットカム体(32)及びメインカム体(31)における回転抵抗(摩擦抵抗)を軽減させることができる。
* 図7及び図14に示す非駆動状態では、パイロットカム体(32)に生じるトルク(引き摺りトルクt)がメインカム体(31)の推力(S)として変換されることを抑制する。一方、図5及び図6並びに図12及び図13に示す駆動状態では、カム機構(23)でパイロットカム体(32)に生じるトルク(T)がメインカム体(31)の推力(S)として変換され、ストッパ体(33)を回転方向(R)へ付勢する付勢手段(34)がこのメインカム体(31)の推力(S)に対し直接悪影響を与えにくい。従って、駆動状態における駆動力伝達装置(1)の制御を安定させることができる。
* 低温時のオイル粘性アップ等の諸原因により生じる引き摺りトルク(t)を防止する機能は、付勢手段(34)により回転方向(R)へ付勢されたストッパ体(33)が果たすので、パイロットカム体(32)及びメインカム体(31)における回転抵抗(摩擦抵抗)はこの付勢手段(34)に左右されず、その回転抵抗(摩擦抵抗)を下げると同時に引き摺りトルク(t)を防止することが可能となる。
* 請求項3,4の発明(第二実施形態に対応)
請求項の発明は請求項1または請求項2の発明を前提として下記のように構成されている。
記メインクラッチ(22)は、摩擦クラッチであって、その接触面間の間隔が最大値になる非接続状態と、その接触面が近接して伝達される駆動力が大きくなり始める接続開始状態と、その接触面間の間隔が最小値になる接続状態と、これら各状態の中間の状態とを取る。前記カム機構(23)においてパイロットカム体(32)とメインカム体(31)とには連動体(38)を挟持するカム面(36,37)を設けている。パイロットカム体(32)のカム面(37)及びメインカム体(31)のカム面(36)は、それぞれ、メインクラッチ(22)を前記非接続状態から前記接続開始状態にする第一段階のカム面(50,54)と、メインクラッチ(22)を前記接続開始状態から前記接続状態にする第二段階のカム面(52,56)とに区分されている。
請求項の発明は請求項の発明を前提として下記のように構成されている。
前記カム機構(23)においてメインカム体(31)が第一回転部材(12)及び第二回転部材(15)に対し相対回転可能に且つ回転中心線(14a,17a)方向へ移動可能に支持されている。パイロットカム体(32)のカム面(37)において回転方向(R)に対する傾斜角度については、第二段階のカム面(56)の傾斜角度(θ56)よりも第一段階のカム面(54)の傾斜角度(θ54)を大きく設定している。メインカム体(31)のカム面(36)において回転方向(R)に対する傾斜角度については、第二段階のカム面(52)の傾斜角度(θ52)よりも第一段階のカム面(50)の傾斜角度(θ50)を大きく設定している。
請求項3,4の発明では、メインクラッチ(22)の非接続状態から接続開始状態までは、傾斜角度(θ50,θ54)の大きい第一段階のカム面(50,54)が機能するため、カム面(50,54)における回転方向(R)の延設長さを小さくしてパイロットカム体(32)の回転角を小さくしても、メインカム体(31)のストロークを回転中心線(14a,17a)方向で大きくしてカム機構(23)の応答性を良くするとともに、カム面(36,37)の形成及び配置も行い易くすることができる。また、メインクラッチ(22)の接続開始状態から接続状態までは、傾斜角度(θ52,θ56)の小さい第二段階のカム面(52,56)が機能するため、従来と同様に推力(S)を大きくすることができる。従って、メインクラッチ(22)の間隔を拡大させることにより、引き摺りトルク(t)の発生に伴う弊害を防止することができる。ちなみに、特開平4−151031号公報ではスラスト力による皿ばねの撓みによりカム角の異なるカム面に噛合いが移行するクラッチ装置が開示されているが、請求項3,4の発明では、メインクラッチ(22)を非接続状態から前記接続開始状態にする第一段階のカム面(50,54)とメインクラッチ(22)を接続開始状態から前記接続状態にする第二段階のカム面(52,56)とに区分している点で、特開平4−151031号公報と異なる。
* 請求項の発明(第二実施形態に対応)
請求項1から請求項のうちいずれかの請求項の発明を前提とする請求項の発明に係るカム機構(23)においては、パイロットカム体(32)に発生するトルク(T,t)に応じてメインカム体(31)に発生する回転中心線(14a,17a)方向の推力(S)に対抗するようにメインカム体(31)を付勢するリターンスプリング(48)を付設した。
請求項の発明では、推力(S)が生じていない状態で、メインカム体(31)やパイロットカム体(32)やストッパ体(33)の位置がリターンスプリング(48)の弾性力により一定し、発生するトルク(T)を安定させることができる。
* 請求項の発明(第一実施形態及び第二実施形態に対応)
請求項の発明は、請求項1から請求項のうちいずれかの請求項の発明を前提として下記のように構成されている。
前記付勢手段は捩じりばね(34)であり、この捩じりばね(34)の一端部(40a)を前記メインカム体(31)に支持するとともに、この捩じりばね(34)の他端部(40b)を前記ストッパ体(33)に支持する。例えば、この捩じりばね(34)は、一端部(40a)と他端部(40b)との間で撓み許容空間(39)を切り欠いた一枚の切欠きリング(40)からなる。
請求項の発明では、皿ばねよりも弾性力の均一性に優れ且つ簡単な構造の付勢手段(切欠きリング40等の捩じりばね34)により、請求項1から請求項のうちいずれかの請求項の発明の効果を発揮させることができる。
* 請求項の発明(第一実施形態及び第二実施形態に対応)
請求項の発明を前提とする請求項の発明においては、前記メインカム体(31)に対し前記ストッパ体(33)及び捩じりばね(34)を組み付けるとともに、このストッパ体(33)がメインカム体(31)に対し回転中心線(14a,17a)方向へ移動するのを規制する規制体(例えばスナップリング45)をこのメインカム体(31)に取り付けて、このストッパ体(33)と捩じりばね(34)と規制体(45)とがこのメインカム体(31)とともに回転中心線(14a,17a)方向へ一体的に移動し得る。
請求項の発明では、引き摺りトルク(t)の発生に伴う弊害を防止するためにメインクラッチ(22)の間隔を拡大させた場合にメインカム体(31)の移動ストロークが大きくなっても、ストッパ体(33)及び捩じりばね(34)がメインカム体(31)と一体的に移動するので、それらを強固に組み付けて不用意な分解を防止することができる。また、メインカム体(31)とストッパ体(33)と捩じりばね(34)とを一体化した組付けユニット(U)とパイロットカム体(32)とを組み付けるので、カム機構(23)の組付け性を向上させることができる。
* 請求項の発明(第二実施形態に対応)
請求項の発明を前提とする請求項の発明においては、前記メインカム体(31)には前記捩じりばね(34)の一端部(40a)がこの捩じりばね(34)の弾性力(E)に抗して圧接される係止部(61)を設けるとともに、前記ストッパ体(33)にはこの捩じりばね(34)の他端部(40b)が捩じりばね(34)の弾性力(E)に抗して圧接される係止部(62)を設け、このメインカム体(31)にはメインカム体(31)の係止部(61)に捩じりばね(34)の一端部(40a)を支持した状態で捩じりばね(34)の他端部(40b)に対応する開口部(63)を設けた。
請求項の発明では、メインカム体(31)の開口部(63)に治具(図示せず)を挿入して捩じりばね(34)の一端部(40a)と他端部(40b)とを互いに広げることができるので、カム機構(23)の組付け性を向上させることができる。
* 請求項の発明(第二実施形態に対応)
請求項の発明は、請求項1の発明にかかる駆動力伝達装置(1)について、アンバランスを確認する方法であり、そのアンバランス確認を行う際、第一回転部材(12)と第二回転部材(15)とを回転可能に支持した状態で、電磁式クラッチ機構(24)の電磁石(27)または電磁石代用部品を通電状態にする。
請求項の発明では、実際の使用状態と同様な状態で駆動力伝達装置(1)のアンバランスを確認するので、引き摺りトルク(t)の発生に伴う弊害を防止するためにメイン摩擦クラッチ(22)の間隔を拡大させた際に各部品(例えばメインカム体31など)の自由度が大きくなって偏心等のアンバランスが生じ易い状態になった場合でも、偏心等のアンバランスの確認を確実に行ってアンバランスを防止することができる。
本発明は、カム機構(23)のパイロットカム体(32)及びメインカム体(31)における回転抵抗(摩擦抵抗)を下げると同時に引き摺りトルク(t)を防止し、耐引き摺り性能を向上させることができる。また、本発明は、駆動力伝達装置(1)のアンバランス確認を確実に行うことができる。
〔第一実施形態〕
まず、本発明の第一実施形態にかかる駆動力伝達装置について図1〜7を参照して説明する。
図1で概略的に示す四輪駆動車において、図2,3にも示す駆動力伝達装置1は、電磁石27への印加電流に応じたトルクを発生する電子制御式トルク伝達装置であり、前輪駆動ベースの四輪駆動車に用いられている。この駆動力伝達装置1は、ドライブピニオンシャフト2を介してリヤデファレンシャル3に連結され、このリヤデファレンシャル3を収容するデファレンシャルキャリヤ4に支持されて車体に取り付けられている。エンジン5の駆動力は、トランスアクスル6を介してアクスルシャフト7に出力され、両前輪8を駆動する。このトランスアクスル6はプロペラシャフト9を介して前記駆動力伝達装置1に連結されている。このプロペラシャフト9と前記ドライブピニオンシャフト2とがこの駆動力伝達装置1によりトルク伝達可能に連結された場合、エンジン5の駆動力は、リヤデファレンシャル3からアクスルシャフト10を介して両後輪11に伝達される。
第一回転部材12は、駆動輪である前輪8側の駆動系と連動する前記プロペラシャフト9に連結されたアウタケース14を備えている。第二回転部材15は、従動輪である後輪11側の駆動系と連動する前記ドライブピニオンシャフト2に連結されたインナケース17を備えている。前記アウタケース14は、外側のフロントハウジング18と内側のリヤハウジング19とを備え、インナケース17の回転中心線17aと同一の回転中心線14aを中心にしてインナケース17に対し相対回転し得る。このリヤハウジング19内には後側収容室20がインナケース17の周方向全体に設けられている。前記インナケース17とフロントハウジング18とリヤハウジング19との間で前側収容室21が閉塞状態でインナケース17の周方向全体に設けられている。この前側収容室21内には、潤滑油と空気とが封入され、メイン摩擦クラッチ22とカム機構23とが内蔵されているとともに、電磁式クラッチ機構24のうちアーマチュア25とパイロット摩擦クラッチ26とが内蔵されている。また、前記リヤハウジング19内の後側収容室20にはこの電磁式クラッチ機構24のうち電磁石27とヨーク28とが嵌め込まれている。
前記メイン摩擦クラッチ22は、多板クラッチであって、複数のアウタプレート29と複数のインナプレート30とを備えている。各アウタプレート29は、前記アウタケース14のフロントハウジング18の内周に対しスプライン結合されてアウタケース14の回転中心線14a方向へ並設され、アウタケース14と一体回転し得るとともにアウタケース14に対して回転中心線14a方向へ相対移動し得る。各インナプレート30は、前記インナケース17の外周に対しスプライン結合されて前記各アウタプレート29と交互にインナケース17の回転中心線17a方向へ並設され、インナケース17と一体回転し得るとともにインナケース17に対して回転中心線17a方向へ相対移動し得る。
前記カム機構23は、図4にも示すように、回転中心線14a,17aを中心に相対回転可能なメインカム体31とパイロットカム体32とストッパ体33と、このストッパ体33を回転方向Rへ付勢する捩じりばね34(付勢手段)とを備えている。メインカム体31は、メイン摩擦クラッチ22に隣接して回転中心線14a,17a方向へ並設されている。パイロットカム体32は、前記リヤハウジング19に対しニードルベアリング35を介して隣接して回転中心線14a,17a方向へ並設されている。パイロットカム体32は、ニードルベアリング35に支持され、前記インナケース17及びアウタケース14に対し相対回転可能に、且つ回転中心線14a,17a方向への移動が規制されるようになっている。メインカム体31は、前記インナケース17の外周に対しスプライン結合されてインナケース17と一体回転し得るとともに、前記メイン摩擦クラッチ22のインナプレート30を圧接し得る。
このカム機構23において、メインカム体31とパイロットカム体32とには前記インナケース17の外周付近でカム面36,37が相対向して複数組形成されて回転中心線14a,17aを中心とする回転方向Rへ等間隔で並設されている。この各組の両カム面36,37間には球状のカム体38(連動体)がそれらのカム面36,37に接触し得るように嵌め込まれている。これらのカム面36,37において回転方向Rで切断した断面形状は、一対の半円錐面をそれらの底側で回転方向Rへ重ねた形状になっている。この両カム面36,37の内側円弧面の半径は、互いにほぼ等しくなっているとともに、球状カム体38の外周球面の半径ともほぼ等しく設定されている。
前記捩じりばね34は一端部40aと他端部40bとの間で撓み許容空間39を切り欠いた一枚の切欠きリング40からなる。この切欠きリング40は前記メインカム体31に支持されている。この切欠きリング40の撓み許容空間39を広げた状態で、切欠きリング40の一端部40aの係止孔34aにこのメインカム体31の軸部31aが挿着されているとともに、切欠きリング40の他端部40bの係止孔34bに前記ストッパ体33の軸部33aが挿着されている。そのため、この切欠きリング40は撓み許容空間39を狭める回転向きの弾性を有する。
前記ストッパ体33には係止突起41,42(係止部)が形成され、前記メインカム体31とパイロットカム体32とにはそれぞれ係止突起43,44(係止部)が形成されている。前記切欠きリング40の弾性力Eにより、このストッパ体33の係止突起41とメインカム体31の係止突起43とが互いに接近するように付勢されているとともに、このストッパ体33の係止突起42とパイロットカム体32の係止突起44とが互いに接近するように付勢されている。
前記メインカム体31にはストッパ体33が回転中心線14a,17a方向へ移動してメインカム体31から外れるのを規制するスナップリング45(規制体)が取着されている。
前記電磁式クラッチ機構24のアーマチュア25は、前記パイロットカム体32の外周で前記メインカム体31と前記リヤハウジング19との間に嵌め込まれている。このアーマチュア25は、前記フロントハウジング18の内周に対しスプライン結合されてアウタケース14と一体回転し得るとともにアウタケース14の回転中心線14a方向へ移動し得る。前記電磁式クラッチ機構24のパイロット摩擦クラッチ26は、三枚のアウタプレート46と二枚のインナプレート47とを備え、前記パイロットカム体32の外周で前記アーマチュア25とリヤハウジング19との間に嵌め込まれている。三枚のアウタプレート46は、前記フロントハウジング18の内周に対しスプライン結合されてアウタケース14と一体回転し得るとともにアウタケース14の回転中心線14a方向へ移動し得る。二枚のインナプレート47は、三枚のアウタプレート46間で前記パイロットカム体32の外周に対しスプライン結合されてパイロットカム体32と一体回転し得るとともにインナケース17の回転中心線17a方向へ移動し得る。
前記電磁式クラッチ機構24で電磁石27に通電されると、この電磁石27の周りには図3の破線で模式的に示す磁路Mが生じる。この磁路Mの発生により、アーマチュア25が電磁石27により吸引されてパイロット摩擦クラッチ26が摩擦接触すると、前記カム機構23においてパイロットカム体32がアウタケース14の回転方向Rへ回転し得る。前記プロペラシャフト9と一体回転するアウタケース14と、前記ドライブピニオンシャフト2と一体回転するインナケース17との間に相対回転が発生すると、パイロット摩擦クラッチ26の摩擦接触によりパイロットカム体32にトルクが発生する。例えば、前進駆動時に、図5に示す向きのトルクTがパイロットカム体32に発生すると、ストッパ体33の係止突起41が切欠きリング40の弾性力Eによりメインカム体31の係止突起43に接近してほぼ接触し、パイロットカム体32の係止突起44がストッパ体33の係止突起42から離間する。また、例えば、後進駆動時やエンジンブレーキ時に、図6に示す向きのトルクTがパイロットカム体32に発生すると、そのトルクTが切欠きリング40の弾性力Eよりも大きい場合、パイロットカム体32の係止突起44がストッパ体33の係止突起42をそのトルクTの向きへ押圧する。そのため、ストッパ体33の係止突起41がメインカム体31の係止突起43から離間する。いずれの駆動状態でも、このパイロットカム体32と、インナケース17と一体回転するメインカム体31との間に設けられたカム面36,37に球状カム体38が接触する。その結果、メイン摩擦クラッチ接続状態Pとなり、パイロットカム体32とメインカム体31との間に生じる相対回転により、メインカム体31に回転中心線14a,17a方向の推力Sが発生する。その推力Sに応じて、メイン摩擦クラッチ22が接続され、前記プロペラシャフト9と一体回転するアウタケース14と、前記ドライブピニオンシャフト2と一体回転するインナケース17との間で駆動力の伝達が行われる。なお、電磁石27への印加電流値に応じて前記吸引力が変化し、カム機構23のトルクTも変化して伝達駆動力を調節し得る。
一方、前記電磁式クラッチ機構24において電磁石27に通電されていない非駆動状態で、この電磁石27の周りには前述した磁路Mが発生せず、アーマチュア25に対する電磁石27の吸引が解除される。そして、パイロット摩擦クラッチ26でアウタプレート46とインナプレート47との間に相対回転が生じ、前記カム機構23においてパイロットカム体32とメインカム体31とが球状カム体38を介して一体回転する。その場合、例えば図7に示す向きの引き摺りトルクtが低温時のオイル粘性アップ等の諸原因によりパイロットカム体32に発生しても、その引き摺りトルクtが切欠きリング40の弾性力Eよりも小さい場合、ストッパ体33の係止突起42がパイロットカム体32の係止突起44に対抗する。そのため、引き摺りトルクtの発生にもかかわらず推力発生抑制状態Qとなる。従って、パイロットカム体32とメインカム体31とが一体回転してメイン摩擦クラッチ22の接続が解除され、前記プロペラシャフト9と一体回転するアウタケース14と、前記ドライブピニオンシャフト2と一体回転するインナケース17との間での駆動力の伝達が解除される。
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態にかかる駆動力伝達装置について図8〜14を参照して説明する。この第二実施形態は、第一実施形態と比較して下記*の点で主に相違する。なお、第一実施形態の図2、図3、図4及び図5,6,7は、それぞれ、第二実施形態の図8、図10、図11及び図12,13,14に対応する。
* カム機構23におけるリターンスプリング48の付設
このリターンスプリング48は、皿ばねであって、メインカム体31の内側でインナケース17の外周部に挿嵌され、このメインカム体31に圧接されている。電磁石27の非通電時、リターンスプリング48の弾性力によりメインカム体31が回転中心線14a,17aに平行な向きにパイロットカム体32方向へ付勢され、このメインカム体31によりパイロットカム体32が球状カム体38を介して押され、リヤハウジング19で支えられたニードルベアリング35にパイロットカム体32が圧接される。
電磁石27の通電時には、メインカム体31やパイロットカム体32やストッパ体33が回転中心線14a,17a方向へ移動し得る自由度がなくなる。耐引き摺り性能を向上させるためにメイン摩擦クラッチ22の接触面間の間隔を拡大すると、電磁石27の非通電時にこの自由度は大きくなる。第一実施形態では、前記リターンスプリング48が採用されていないため、電磁石27の非通電状態で、メインカム体31やパイロットカム体32やストッパ体33の位置がそれらの自由度の範囲で設定されて一定せず、電磁石27の通電と非通電とを繰り返した際、発生するトルクTが不安定になるおそれがあった。
この第二実施形態では、前記推力Sに対抗し得るリターンスプリング48を採用したので、電磁石27の非通電状態で、メインカム体31やパイロットカム体32やストッパ体33がリターンスプリング48とニードルベアリング35(支持部)との間で挟持されてそれらの位置が一定する。従って、電磁石27の通電と非通電とを繰り返した際、発生するトルクTが安定する。ちなみに、パイロットカム体32のトルク(引き摺りトルクt)に対抗する機能はストッパ体33が果たすので、このリターンスプリング48としてはニードルベアリング35との転動抵抗を下げるために弾性力の小さいものを採用することができる。
* メインカム体31及びパイロットカム体32のカム面36,37の改良
メインカム体31のカム面36は、回転方向Rに対し傾斜する円弧状の第一カム面36aと、回転方向Rに対し傾斜するとともにこの第一カム面36aの傾斜方向とは逆の傾斜方向である円弧状の第二カム面36bとを有している。パイロットカム体32のカム面37も、回転方向Rに対し傾斜する円弧状の第一カム面37aと、回転方向Rに対し傾斜するとともにこの第一カム面37aの傾斜方向とは逆の傾斜方向である円弧状の第二カム面37bとを有している。
このメインカム体31のカム面36の第一カム面36a及び第二カム面36bには、それぞれ、第一カム面36aと第二カム面36bとの境界部49から延びる第一段階の圧接面50と、この第一段階の圧接面50との境界部51から延びる第二段階の圧接面52とが互いに区分されて形成されている。このパイロットカム体32のカム面37の第一カム面37a及び第二カム面37bには、それぞれ、第一カム面37aと第二カム面37bとの境界部53から延びる第一段階の圧接面54と、この第一段階の圧接面54との境界部55から延びる第二段階の圧接面56とが互いに区分されて形成されている。メインカム体31のカム面36の第一カム面36a及び第二カム面36bにおいて回転方向Rに対する傾斜角度については、第二段階の圧接面52の傾斜角度θ52(<θ50)よりも第一段階の傾斜角度θ50(>θ52)を大きく設定している。パイロットカム体32のカム面37の第一カム面37a及び第二カム面37bにおいて回転方向Rに対する傾斜角度については、第二段階の圧接面56の傾斜角度θ56(=θ52<θ54)よりも第一段階の圧接面54の傾斜角度θ54(=θ50>θ56)を大きく設定している。なお、第一段階の圧接面50,54と第二段階の圧接面52,56との境界部51,55には適度な丸みを持たせている。
上記傾斜角度の切り替わり位置は、メイン摩擦クラッチ22のアウタプレート29とインナプレート30との間隔が最大である非接続状態から、この間隔が最小となる接続状態に移行する過程において、これらのプレート29,30が近接して伝達される駆動力が大きくなり始める位置(接続開始状態の位置)に設定されている。すなわち、非接続状態から接続開始状態までは比較的傾斜角度の大きい第一段階の圧接面50,54に沿って球状カム体38が移動し、接続開始状態から接続状態までは比較的傾斜角度の小さい第二段階の圧接面52,56に沿って球状カム体38が移動する。従って、アウタプレート29とインナプレート30との間隔がほぼゼロになるまでは速やかに球状カム体38及びメインカム体31が移動し、それ以降は大きな推力によってメインカム体31がこれらのプレート29,30を圧接する方向に移動する。
なお、第一段階の圧接面50,54の傾斜角度θ50,θ54や第二段階の圧接面52,56の傾斜角度θ52,θ56をさらに複数段の傾斜角度に設定してもよい。
* メインカム体31に対するストッパ体33及び捩じりばね34の組付け
メインカム体31は、インナケース17が挿入されたボス壁部57と、このボス壁部57の外周部から半径方向へ延びる端壁部58と、この端壁部58の外周部でボス壁部57に面して突設された外周壁部59と、この外周壁部59とボス壁部57との間に形成された収容室60とを備えている。ストッパ体33及び捩じりばね34は、メインカム体31の収容室60に嵌め込まれ、メインカム体31に対し相対回転可能に且つ回転中心線14a,17a方向へ移動可能に組み付けられている。捩じりばね34はメインカム体31の端壁部58とストッパ体33との間に挟まれている。メインカム体31の外周壁部59には穴用スナップリング45(規制体)が嵌め込まれている。このスナップリング45は、ストッパ体33及び捩じりばね34をメインカム体31の端壁部58との間で挟んで、ストッパ体33及び捩じりばね34がメインカム体31に対し回転中心線14a,17a方向へ移動するのを規制する。このストッパ体33と捩じりばね34とスナップリング45とはメインカム体31とともに回転中心線14a,17a方向へ一体的に移動し得る。なお、各カム面36及び係止突起43はメインカム体31のボス壁部57に形成されている。以上の点は第一実施形態の場合も同様である。
第一実施形態では、メインカム体31の端壁部58に突設された軸部31aが捩じりばね34における切欠きリング40の一端部40aの係止孔34aに挿着されているとともに、ストッパ体33の軸部33aがこの切欠きリング40の他端部40bの係止孔34bに挿着されている。この構成に代えて、メインカム体31のボス壁部57に形成された係止段部61(係止部)に切欠きリング40の一端部40aがその弾性力Eに抗して圧接され、ストッパ体33に形成された係止段部62(係止部)に切欠きリング40の他端部40bがその弾性力Eに抗して圧接されている。
メインカム体31の外周壁部59にはメインカム体31の係止段部61の付近で開口部63が形成されている。カム機構23を組み付ける際には、まず、捩じりばね34をメインカム体31の収容室60に嵌め込んでその切欠きリング40の一端部40aを係止段部61に圧接させ、その状態で治具(図示せず)を開口部63から挿入してこの切欠きリング40の他端部40bをその一端部40aに対し広げる。次に、ストッパ体33もメインカム体31の収容室60に嵌め込み、治具(図示せず)を開口部63から抜いて切欠きリング40の他端部40bも係止段部62に圧接させる。このようにしてメインカム体31とストッパ体33と捩じりばね34とを一体化した組付けユニットUに対しパイロットカム体32を組み付ける。ちなみに、この開口部63は潤滑油を循環させる穴としても兼用される。
* 駆動力伝達装置1のアンバランス確認方法
駆動力伝達装置1のアンバランス確認を行う際、まず、二点鎖線で示す治具64により、第一回転部材12と第二回転部材15とを回転可能に支持する。次に、その支持状態で、第一回転部材12と第二回転部材15とを相対回転させるとともに、電磁式クラッチ機構24の電磁石27または電磁石代用部品を通電状態にして、駆動力伝達装置1にトルクを発生させる。すなわち、パイロット摩擦クラッチ26、メイン摩擦クラッチ22、カム機構23を構成する各部材の位置的自由度を制限した状態で、駆動力伝達装置1のアンバランスを確認する。なお、電磁石代用部品とは、例えば永久磁石の磁力によりパイロット摩擦クラッチ26を接続状態にするテスト用の部品である。
上記第一実施形態及び第二実施形態においては、四輪駆動車の駆動力伝達装置について述べたが、これに限定されることはなく、発進クラッチ等、二軸間のトルク伝達機構にも適用可能である。
四輪駆動車の駆動系を示す概略図である。 第一実施形態にかかる駆動力伝達装置を示す断面図である。 図2の部分拡大断面図である。 図3のカム機構の分解状態を示す一部省略参考斜視図である。 (a)(b)は図3に示すカム機構の作用説明図である。 (a)(b)は図3に示すカム機構の作用説明図である。 (a)(b)は図3に示すカム機構の作用説明図である。 第二実施形態にかかる駆動力伝達装置を示す断面図である。 図10のカム機構の組立途中状態を示す部分平面図である。 図8の部分拡大断面図である。 図9のカム機構の分解状態を示す一部省略参考斜視図である。 (a)(b)は図10に示すカム機構の作用説明図である。 (a)(b)は図10に示すカム機構の作用説明図である。 (a)(b)は図10に示すカム機構の作用説明図である。 (a)は従来の駆動力伝達装置を示す断面図であり、(b)(c)(d)は従来のカム機構の作用説明図である。
符号の説明
1…駆動力伝達装置、12…第一回転部材、14a…回転中心線、15…第二回転部材、17a…回転中心線、22…メイン摩擦クラッチ(メインクラッチ)、23…カム機構、24…電磁式クラッチ機構(クラッチ機構)、26…パイロット摩擦クラッチ(パイロットクラッチ)、27…電磁石、31…メインカム体、32…パイロットカム体、33…ストッパ体、34…捩じりばね(付勢手段)、36,36a,36b…カム面、37,37a,37b…カム面、38…球状カム体(連動体)、40a…一端部、40b…他端部、41,42,43,44…係止突起(係止部)、45…スナップリング(規制体)、48…リターンスプリング、50,54…第一段階の圧接面、52,56…第二段階の圧接面、61,62…係止段部(係止部)63…開口部、E…弾性力、P…メイン摩擦クラッチ接続状態、Q…推力発生抑制状態、T…トルク、S…推力、t…引き摺りトルク、θ50,θ52,θ54,θ56…傾斜角度。

Claims (9)

  1. 相対回転し得る第一回転部材と第二回転部材との間の駆動力の伝達を行なうメインクラッチと、パイロットクラッチを作動するクラッチ機構と、このパイロットクラッチを接続するクラッチ機構の作動時にこのメインクラッチを接続するカム機構とを備え、前記第一回転部材と第二回転部材との相対回転に伴いパイロットクラッチを介してパイロットカム体に発生するトルクに応じてメインカム体に発生する回転中心線方向の推力により前記メインクラッチを接続するように構成された駆動力伝達装置において、
    このカム機構は、相対回転し得るパイロットカム体とメインカム体とストッパ体と、このパイロットカム体及びメインカム体とこのストッパ体とを互いに係止させる回転方向へストッパ体を付勢する付勢手段とを備え、
    前記第一回転部材と第二回転部材との間の一方向の相対回転時には、前記パイロットカム体とメインカム体との間の相対回転により前記メインカム体に回転中心線方向の推力が発生するよう構成されるとともに、前記パイロットカム体にはこのメインカム体との間の相対回転時に回転方向において前記付勢手段による付勢力が生じないよう構成され、
    前記第一回転部材と第二回転部材との間の他方向の相対回転時には、前記付勢手段による付勢力の生じた前記ストッパ体で前記パイロットカム体とメインカム体との間の相対回転を規制して前記メインカム体に発生する回転中心線方向の推力を抑制する
    ことを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 前記ストッパ体は、前記付勢手段による付勢力で前記パイロットカム体とメインカム体との間の相対回転を規制するときに前記メインカム体とパイロットカム体とに係合して前記メインカム体とパイロットカム体との間の相対回転を規制する係止部を備え、前記付勢手段は、前記ストッパ体の係止部を回転方向において前記メインカム体と係合させる方向に付勢するとともに、前記ストッパ体の係止部を回転方向において前記パイロットカム体と係合させる方向に付勢し、
    前記第一回転部材と第二回転部材との間の一方向の相対回転時、前記パイロットカム体は前記付勢手段による付勢力の生じた前記ストッパ体の係止部と回転方向において係合することなく前記メインカム体と相対回転可能である
    ことを特徴とする請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  3. 前記メインクラッチは、摩擦クラッチであって、その接触面間の間隔が最大値になる非接続状態と、その接触面が近接して伝達される駆動力が大きくなり始める接続開始状態と、その接触面間の間隔が最小値になる接続状態と、これら各状態の中間の状態とを取り、
    前記カム機構においてパイロットカム体とメインカム体とには連動体を挟持するカム面を設け、パイロットカム体のカム面及びメインカム体のカム面は、それぞれ、メインクラッチを前記非接続状態から前記接続開始状態にする第一段階の圧接面と、メインクラッチを前記接続開始状態から前記接続状態にする第二段階の圧接面とに区分されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の駆動力伝達装置。
  4. 前記カム機構においてメインカム体が第一回転部材及び第二回転部材に対し相対回転可能に且つ回転中心線方向へ移動可能に支持され、
    パイロットカム体のカム面において回転方向に対する傾斜角度については、第二段階の圧接面の傾斜角度よりも第一段階の圧接面の傾斜角度を大きく設定し、
    メインカム体のカム面において回転方向に対する傾斜角度については、第二段階の圧接面の傾斜角度よりも第一段階の圧接面の傾斜角度を大きく設定した
    ことを特徴とする請求項3に記載の駆動力伝達装置。
  5. 前記カム機構においては、パイロットカム体に発生するトルクに応じてメインカム体に発生する回転中心線方向の推力に対抗するようにメインカム体を付勢するリターンスプリングを付設したことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれかの請求項に記載の駆動力伝達装置。
  6. 前記付勢手段は捩じりばねであり、この捩じりばねの一端部を前記メインカム体に支持するとともに、この捩じりばねの他端部を前記ストッパ体に支持することを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれかの請求項に記載の駆動力伝達装置。
  7. 前記メインカム体に対し前記ストッパ体及び捩じりばねを組み付けるとともに、このストッパ体がメインカム体に対し回転中心線方向へ移動するのを規制する規制体をこのメインカム体に取り付けて、このストッパ体と捩じりばねと規制体とがこのメインカム体とともに回転中心線方向へ一体的に移動し得ることを特徴とする請求項6に記載の駆動力伝達装置。
  8. 前記メインカム体には前記捩じりばねの一端部がこの捩じりばねの弾性力に抗して圧接される係止部を設けるとともに、前記ストッパ体にはこの捩じりばねの他端部が捩じりばねの弾性力に抗して圧接される係止部を設け、このメインカム体にはメインカム体の係止部に捩じりばねの一端部を支持した状態で捩じりばねの他端部に対応する開口部を設けたことを特徴とする請求項7に記載の駆動力伝達装置。
  9. 相対回転し得る第一回転部材と第二回転部材との間の駆動力の伝達を行なうメインクラッチと、パイロットクラッチを作動するクラッチ機構と、このパイロットクラッチを接続するクラッチ機構の作動時にこのメインクラッチを接続するカム機構とを備え、前記第一回転部材と第二回転部材との相対回転に伴いパイロットクラッチを介してパイロットカム体に発生するトルクに応じてメインカム体に発生する回転中心線方向の推力により前記メインクラッチを接続するように構成された駆動力伝達装置であって、
    このカム機構は、相対回転し得るパイロットカム体とメインカム体とストッパ体と、このパイロットカム体及びメインカム体とこのストッパ体とを互いに係止させる回転方向へストッパ体を付勢する付勢手段とを備え、
    前記第一回転部材と第二回転部材との間の一方向の相対回転時には、前記パイロットカム体とメインカム体との間の相対回転により前記メインカム体に回転中心線方向の推力が発生するよう構成されるとともに、前記パイロットカム体にはこのメインカム体との間の相対回転時に回転方向において前記付勢手段による付勢力が生じないよう構成され、
    前記第一回転部材と第二回転部材との間の他方向の相対回転時には、前記付勢手段による付勢力の生じた前記ストッパ体で前記パイロットカム体とメインカム体との間の相対回転を規制して前記メインカム体に発生する回転中心線方向の推力を抑制し、
    前記メインクラッチはメイン摩擦クラッチであり、前記パイロットクラッチはパイロット摩擦クラッチであり、前記クラッチ機構は電磁式クラッチ機構である駆動力伝達装置について、
    アンバランス確認を行う際、第一回転部材と第二回転部材とを回転可能に支持した状態で、電磁式クラッチ機構の電磁石または電磁石代用部品を通電状態にすることを特徴とする駆動力伝達装置のアンバランス確認方法。
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