JP4200405B2 - 離型フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルムを用いた離型フィルムの製造方法に関し、従来通りの離型フィルムとして使用可能であり、離型フィルムとして使用した後には自然界で分解し、焼却処理などの必要が無い離型フィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等からなるポリエステルフィルムは、離型フィルムなどの材料として広く使用されている。離型フィルムの製造方法としては、例えばポリエステルフィルムに、付加反応型、縮合反応型等のシリコーン樹脂などを塗工して製造され、粘着ラベル、粘着テープ等の台紙、セラミックシート製造時の支持体などに広く使用されている。
【0003】
しかし、近年、離型フィルムを使用した後の不要となったフィルムの廃棄において、環境意識の高揚や、廃棄物処理問題から焼却処分の必要のない生分解性離型フィルムへの要求が高まりつつある。この要求に対して、従来から離型フィルムの支持体として使用されてきたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムは生分解性が無く、焼却処分せざるを得ない状況にある。
【0004】
これに対し、ポリ乳酸をはじめとする脂肪族ポリエステル系フィルムは、自然環境下に棄却された場合に分解すること(例えば、ポリ乳酸フィルムは土壌中において自然に加水分解したのち微生物によって無害な分解物となること)を主眼にして開発されてきた。
【0005】
このような状況のなか、乳酸系ポリマーからなる一軸延伸フィルムを基材とした離型性のある生分解性フィルムが、例えば、特開平9−235455号公報に開示されている。しかしながら、前記フィルムは延伸による配向結晶化が不十分なため、離型フィルムとして用いた場合に必要な特性である機械強度や耐熱性を十分満足するものではなかった。そのため、このフィルムを基材として粘着ラベル、粘着テープ等の台紙、セラミックシートを製造する後加工工程において寸法変化を生じたり、しわが発生するなどの問題があることが明らかになった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を解消し、離型フィルムを使用して、粘着ラベルや粘着テープなどの台紙、セラミックシートなどを製造する際の後加工適性に優れ、かつ従来通りの離型フィルムとして使用が可能であり、さらに離型フィルムとして使用した後には自然界で分解し、焼却処理などの必要が無い離型フィルムの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の課題は下記の手段により達成できる。
A. 主たる繰り返し単位が一般式−O−CHR−CO−(RはHまたは、炭素数1〜3のアルキル基)である脂肪族ポリエステルを主成分としたポリマーから成り、厚み方向の屈折率(Nz)が1.440〜1.455であり、長手方向におけるNzのばらつきが0.2%以下であり、120℃における長手方向の熱収縮率が5%以下である脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルムを基材とし、その少なくとも片面に離型層を設けてなる離型フィルムの製造方法であって、未延伸フィルムを二軸延伸するに際し、縦延伸を二段以上で行い、二軸延伸後、145℃〜融解温度Tm(℃)の温度範囲で熱固定し、引き続いて125℃〜(Tm−20℃)で0.1〜8%の横弛緩熱処理を行って基材を得ることを特徴とする離型フィルムの製造方法
B. 前記脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルムの120℃における長手方向の熱収縮率が3%以下であることを特徴とするA記載の離型フィルムの製造方法
C. 前記脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルムの長手方向の屈折率(Nx)から幅方向の屈折率(Ny)を差し引いた値(Nx-Ny)が−0.020〜0であることを特徴とするAまたはB記載の離型フィルムの製造方法
D. 前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸であることを特徴とするA乃至Cのいずれかに記載の離型フィルムの製造方法
【0008】
【発明の実施の形態】
(脂肪族ポリエステルフィルム)
本発明で用いる、主たる繰り返し単位が、一般式−O−CHR−CO−(RはHまたは炭素数1〜3のアルキル基)で示される単位からなる脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(2−オキシ酪酸)などを挙げることができるが、これらの一種または二種以上が選択して用いられる。二種以上を用いる場合は、混合物、共重合体でもよい。また、ポリマー中に不斉炭素を有するものでは、L−体、DL−体、D−体といった光学異性体が存在するが、これらのいずれでもよく、また、二種以上の異性体が混在したものであってもよい。なお、かかる脂肪族ポリエステルに含まれる上記一般式で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、オキシカルボン酸由来の脂肪族ポリエステル単位、および/またはジオールとジカルボン酸より得られる脂肪族カルボン酸単位などが挙げられる。
【0009】
また、これらを単独重合体で使用するほかに、重合体混合物、共重合体として使用してもかまわない。ポリマー中に不斉炭素を有するものは、L−体、DL−体、D−体といった光学異性体が存在するが、それらのいずれでも良く、また、それら異性体の混合物でも良い。これらフィルムの素材となる前記ポリマーは、対応するα−オキシ酸の脱水環状エステル化合物を用い、開環重合などの公知の方法で製造することができる。
【0010】
本発明で使用する脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は、1〜50万が好ましい。重量平均分子量が1万未満であると、得られたフィルムの物性が著しく劣り、且つ、分解速度が速すぎるため、本発明の目的を達し得ない。また、フィルム製造時の押出し性、二軸延伸性も低下する。一方、重量平均分子量が50万を超えると、ポリマーの粘度が高くなり、溶融押出しが困難になるという問題がある。好ましい範囲は、5〜30万である。
【0011】
本発明のフィルムの好適な製造方法は、脂肪族ポリエステルを特定の押出し温度で押出し成形して未延伸フィルムとし、該未延伸フィルムを特定の条件で二軸延伸する方法である。
【0012】
脂肪族ポリエステル樹脂を押出し成形する方法は、公知のT−ダイ法、インフレーション法などが適用できる。押出し温度は、脂肪族ポリエステル樹脂の融解温度をTm(℃)とすると、Tm〜(Tm+70℃)の範囲が好ましく、特に好ましくは、(Tm+20℃)〜(Tm+50℃)の範囲である。押出し温度がTmより低い場合は、押出安定性が悪化する傾向があり、また過負荷に陥りやすい。一方、押出し温度が(Tm+70℃)よりも高い場合は、ポリマーの分解が激しくなり、後工程の延伸を行ってもフィルムを本発明で規定した特性を満足することができない。押出機のダイは、環状または線状のスリットを有するものが用いられる。また、ダイの温度は通常前記の押出温度と同程度とする。
【0013】
得られた未延伸フィルムを二軸延伸するには、一軸目の延伸と二軸目の延伸を逐次に行っても、同時に行っても良い。ここで一軸目とは、フィルムの縦方向及び横方向のいずれか一方であり、二軸目とはフィルムの横方向及び縦方向のいずれか他方であり、一軸目と直交方向を意味する。なお、「縦方向」は「フィルムの長手方向」と同義であり、「横方向」は「フィルムの幅方向」と同義である。
【0014】
延伸温度は、脂肪族ポリエステル樹脂のガラス転移温度をTg(℃)とすると、Tg〜(Tg+50℃)の範囲が好ましく、特に好ましくは(Tg+10℃)〜(Tg+40℃)の範囲である。延伸温度がTgより低い場合は、延伸が困難となり、(Tg+50℃)を越えると、フィルムの厚み均一性や機械的強度が低下するのみならず、フィルムを本発明で規定した特性を満足することが困難となる。
【0015】
縦、横の延伸は1段階でも多段階に分けて行っても良いが、それぞれの延伸方向での最終的な延伸倍率が互いに少なくとも3倍以上で、好ましくは、3.5倍以上で、かつ、縦・横の面積倍率で9倍以上、好ましくは12倍以上であることが、厚みの均一性や機械的性質の点から必要である。縦、横の延伸倍率の少なくとも一方が3倍未満であったり、縦・横の面積倍率が9倍未満では、フィルムの厚み均一性や機械的強度が不十分となり、フィルムを本発明で規定した特性を満足することが困難となる。
【0016】
特に、フィルムの厚み方向の屈折率(Nz)及び120℃での長手方向の熱収縮率を前記規定の範囲とするには、縦延伸を二段以上で行い、そのうちの少なくとも一段の縦延伸工程を、(Tg+20℃)〜(Tg+40℃)の範囲で、延伸速度を10000%/分以上、好ましくは15000%/分以上、より好ましくは20000%/分以上とした延伸条件で行うことが重要である。
【0017】
また、二軸延伸後の熱固定は、加工時の寸法安定性の点から、145℃〜Tmの範囲で、好ましくは150℃〜Tmの範囲で、1秒〜3分間程度行うことが好ましい。また、同様の理由より、熱固定に引き続き、横弛緩処理を行うのが好ましく、詳しくは125℃〜(Tm−20℃)で0.1〜8%程度の横弛緩処理を行うことが好ましい。このような熱固定条件や横弛緩処理を行うことは、120℃での長手方向の熱収縮率を5%以下とするのに好適であり、その結果、加工時にしわの発生が少ない製品を得ることができる。
【0018】
本発明の離型フィルムの製造方法においては、押出し時に共押出し法を用いたり、押出しから熱固定までの連続した工程において種々のコーティング法を適用することによって、多層化してもよい。
【0019】
また、本発明の離型フィルムにおいては、離型層との密着性を向上させるために、離型層を積層する前にプライマーコート、コロナ処理、プラズマ処理や火炎処理などを施しても良い。
【0020】
本発明における脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルムの厚み方向の屈折率(Nz)は、1.440〜1.455が好ましく、さらに好ましくは1.445〜1.455である。Nzが1.440未満では、フィルムを製膜時に破断が発生しやすくなる。また1.455を超えると、離型層を付与する工程や、離型フィルムを使用して粘着ラベルや粘着テープなどの台紙、セラミックシートなどを製造する後加工工程において加熱された際に、平面性が悪化するため好ましくない。
【0021】
また、本発明ではフィルムの長手方向におけるNzのばらつきが0.2%以下である必要があり、0.1%以下が好ましく、特に好ましくは0.05%以下である。フィルムの長手方向におけるNzのばらつきが0.2%を超えると、離型層を付与する工程や、離型フィルムを使用して粘着ラベルや粘着テープなどの台紙、セラミックシートなどを製造する後加工工程などにおいて、加熱された状態で搬送張力を受けた際に、フィルムの長手方向に平面性の良好な場所と不良な場所が混在した状態のフィルムとなり、最終製品の収率が低下するため好ましくない。
【0022】
さらに、フィルムの長手方向の屈折率(Nx)から幅方向の屈折率(Ny)を差し引いた値(Nx−Ny)を−0.020〜0の範囲とすることにより、厚みムラを小さくすることができ、かつ離型フィルムを使用して粘着ラベルや粘着テープなどの台紙、セラミックシートなどを製造する後加工工程などにおいて、加熱された状態で搬送張力を受けても、引き伸ばされにくいものとなり、平面性の悪化がより生じにくいものとなる。(Nx−Ny)は、−0.020〜0とすることが好ましく、特に好ましくは−0.015〜0である。
【0023】
(Nx−Ny)を上記規定の範囲とするためには、延伸時の縦・横の倍率及び速度などをバランスさせることが好ましい。
【0024】
また、本発明により得られる基材フィルムの120℃における長手方向の熱収縮率は、5%以下が好ましく、特に好ましくは3%以下である。前記熱収縮率が5%を超えると、離型層を付与する工程や離型フィルムを使用する後加工工程において、フィルムに、ずれやしわが発生し、製品収率が低下する。
【0025】
本発明における脂肪族ポリエステルは、公知の添加剤を必要に応じて含有させることができる。例えば、不活性粒子、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤などを含有させてもよい。
【0026】
本発明における脂肪族ポリエステルフィルムにおいて、ハンドリング性を改良するために不活性粒子をフィルム中に含有させることが好ましい。不活性粒子としては、シリカ、二酸化チタン、タルク、カオリナイト等の金属酸化物、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属の塩または架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、シリコン樹脂、架橋ポリエステル樹脂等の有機ポリマーからなる粒子などが例示される。
【0027】
これらの不活性粒子は、いずれか一種を単独で含有させてもよく、また2種以上を併用してもよい。不活性粒子の平均粒径は0.01〜3.0μmが好ましく、特に好ましくは0.05〜2.5μmである。また、粒子含有量は0.005〜2重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.01〜1.0重量%である。
【0028】
特に、表面平滑性と滑り性を両立するために、2種以上の平均粒径の異なる不活性粒子を併用することが好ましい。特に、フィルムの製膜中に変形する滑剤粒子(例えば、架橋ポリスチレン、架橋アクリル等の架橋度の低い有機粒子、一次粒子の凝集体であるシリカ等の無機滑剤)とフィルム製膜中に変形しない通常の滑剤粒子を組み合わせることが好ましい。さらに、前記平均粒径の範囲内で、平均粒径が0.5μm以上異なる粒子を2種類併用すると、巻き性、耐摩耗性の点から好ましい。
【0029】
(離型層)本発明における離型層を構成する樹脂は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、各種ワックス、脂肪族オレフィンなどが例示されるが、特にシリコーン樹脂が好ましい。本発明の離型層として、例えばシリコーン樹脂を用いた場合、その離型層は、例えば硬化性シリコーン樹脂を含む塗液をポリエステルフィルムの表面に塗布し、乾燥、硬化させることにより形成することができる。
【0030】
硬化性シリコーン樹脂としては、例えば付加反応系のもの、縮合反応系のもの、紫外線もしくは電子線硬化系のものなどいずれの反応系のものも用いることができる。
【0031】
付加反応系のシリコーン樹脂としては、例えば末端にビニル基を導入したポリジメチルシロキサンとハイドロジエンシロキサンとを、白金触媒を用いて反応させ、3次元架橋構造をつくるものが挙げられる。
【0032】
縮合反応系のシリコーン樹脂としては、例えば、末端にOH基をもつポリジメチルシロキサンと末端にH基をもつポリジメチルシロキサンを有機錫触媒を用いて縮合反応させ、3次元架橋構造をつくるものが挙げられる。
【0033】
紫外線硬化系のシリコーン樹脂としては、例えば最も基本的なタイプとして通常のシリコーンゴム架橋と同じラジカル反応を利用するもの、不飽和基を導入して光硬化させるもの、紫外線でオニウム塩を分解して強酸を発生させ、これでエポキシ基を開裂させて架橋させるもの、ビニルシロキサンへのチオールの付加反応で架橋するもの等が挙げられる。また、前記紫外線の代わりに電子線を用いることもできる。電子線は紫外線よりもエネルギーが強く、紫外線硬化の場合のように開始剤を用いなくても、ラジカルによる架橋反応を行うことが可能である。
【0034】
(シリコーン樹脂塗膜の塗設)
本発明において、脂肪族系ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、前記の付加反応系、縮合反応系、紫外線硬化系のシリコーン樹脂を樹脂成分とするいずれかの塗布液を塗布し、加熱乾燥、熱硬化または紫外線硬化することにより離型性塗膜を塗設することが好ましい。塗布法としては、公知の任意の塗工法が適用でき、例えばグラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、マイヤーバーなどのバーコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法等の従来から知られている方法を使用することができる。
【0035】
(乾燥及び硬化)
シリコン樹脂層の乾燥及び硬化は同時に行うことができ、条件としては乾燥温度が100℃以上で、乾燥時間を20秒以上にすることが好ましい。乾燥温度が100℃未満、及び乾燥時間が20秒未満ではシリコーン樹脂の硬化が不完全であり、重剥離化(目標剥離力に達しない)やシリコーン樹脂層の背面転写(裏移り)の原因となり、好ましくない。
【0036】
硬化シリコーン樹脂層の乾燥後の塗布量は、0.05〜0.2g/m2の範囲が好ましい。シリコーン樹脂層の乾燥塗布量が0.05g/m2未満では、剥離性能が低下し、本来の剥離性能が出なくなる傾向がある。また、乾燥塗布量が0.2g/m2を超えると、硬化に時間がかかり生産上不都合が生じる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例、比較例を挙げて本発明の内容及び効果を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例における物性の評価方法は以下の通りである。
【0038】
(1)厚み方向、長手方向および幅方向の屈折率(Nz、Nx、Ny)
株式会社アタゴ製アッベ屈折率計1Tを用いて、フィルムの各方向の屈折率を測定した。
【0039】
(2)長手方向のNzのむら
株式会社アタゴ製アッベ屈折率計1Tを用いて、フィルムの長手方向に3mにわたり10cm間隔で厚み方向の屈折率(Nz)を計測し、下式からNzむらを算出した。
Nzむら=(Nzの最大値−Nzの最低値)/Nzの平均値×100(%)
【0040】
(3)フィルムの120℃における長手方向の熱収縮率
長手方向に250mm、幅方向に10mmに切り取ったフィルム片に対して、長手方向に200mmの間隔を開けて2つの印をつけ、該フィルムを23℃で長手方向に5gfの一定張力で引っ張った状態で上記2つの印の間隔(A)を測定し、続いて、フィルム片に張力をかけず、該フィルム片を120℃の雰囲気のオーブンに120℃で5分間入れた後、上記2つの印の間隔(B)を測定し、下記式より、フィルムの120℃における長手方向の熱収縮率(HS120MD)を求めた。
HS120MD(%)=[(A−B)/A]×100
【0041】
(4)加工適性
離型フィルムを用い、セラミックシート製造時のキャスト成形工程での工程異常(しわ、走行ズレ)の有無を目視評価した。
○:しわ、蛇行などの発生が無い
△:しわおよび走行ずれが若干発生
×:平面性悪化が見られ、しわや走行ずれ多い
【0042】
(5)生分解性
離型フィルムを60℃のコンポスト中に1ヶ月間保存し、1ヶ月後にこのフィルムを取りだし、その外観変化と長手方向の引張強度の保持率(%)[(保存後の引張強度/保存前の引張強度)×100]から生分解性の有無を判定した。
○:生分解性有り(顕著な外観変化が認められ、引張強度の保持率が50%以下)
×:生分解性無し(顕著な外観変化がほとんど無く、引張強度の保持率が50%超)
【0043】
(6)常態剥離評価
フィルムの離型層面にポリエステル粘着テープ(ニットー31B)を貼合わせ、線圧5kgf/mmの圧着ローラーで圧着した。室温で20時間放置後、離型層と粘着テープとの剥離力を引張り試験機(剥離角度90°)にて測定し、下記評価にて判定した。
A:8〜17未満(gf/50mm巾)
B:17以上 (gf/50mm巾)
C:8未満 (gf/50mm巾)
剥離力の好ましい範囲は、8gf/50mm巾以上、17gf/50mm巾未満であり、剥離力は強すぎても弱すぎても好ましくない。
【0044】
実施例1
重量平均分子量20万のポリ−L−乳酸100重量部に対し、表面突起を形成するための不活性粒子として平均粒子径2.0μmの凝集体シリカ粒子を0.05重量部含有したポリマーを、Tダイ付き口径30mm押出機を使用して、樹脂温度215℃で押出した後、25℃のチルロールで冷却し、厚さ620μmの未延伸フィルムを得た。複数本のセラミックロールによりフィルム温度を95℃に予熱し、ロール間で25000%/分の延伸速度で縦方向に1.5倍延伸し、更に100℃で2.6倍縦方向に延伸した。次いで、テンター式延伸機で横方向に80℃で3.9倍延伸した後、160℃で熱固定した後、130℃で2.5%横弛緩処理を行い、厚さ50μmのポリ−L−乳酸の二軸延伸フィルムを得た。
【0045】
このフィルムを基材として、付加重合反応型シリコーン樹脂R−6721(東芝シリコーン(株)製)を溶剤で希釈し、シリコーン樹脂100重量%に対し、1重量%の白金触媒を添加し、シリコーン樹脂含有塗布液(濃度:3%)を作成した。次に、ワイヤーバーにて、フィルム表面に前記塗布液を塗布し、120℃で30秒間、乾燥・硬化させて、離型フィルム(離型層の乾燥固形分:0.05g/m2)を得た。この離型フィルムの特性を表1に示す。
【0046】
比較例1
縦延伸を複数本のセラミックロールによりフィルム温度100℃に予熱し、ロール間で25000%/分の延伸速度で縦方向に2.5倍に一段で延伸した以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルムを得た。表1にこの離型フィルムの特性を示す。
【0047】
比較例2
縦延伸を70℃で3.5倍に一段で延伸した以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルムを得た。表1にこの離型フィルムの特性を示す。
【0048】
実施例2
縦延伸速度を7000%/分で実施した以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルムを得た。表1にこの離型フィルムの特性を示す。
【0049】
比較例3
熱固定温度を135℃で実施した以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルムを得た。表1にこの離型フィルムの特性を示す。
【0050】
実施例3
熱固定温度を155℃で実施した以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルムを得た。表1にこの離型フィルムの特性を示す。
【0051】
【表1】
Figure 0004200405
【0052】
【発明の効果】
本発明は、脂肪族ポリエステルフィルムを用いた離型フィルムの製造方法に関し、本発明により得られる離型フィルムを使用して、粘着ラベルや粘着テープなどの台紙、セラミックシートなどを製造する際の後加工適性及び製品収率に優れ、かつ従来通りの離型フィルムとして使用が可能であり、離型フィルムとして使用した後には自然界で分解し、焼却処理などの必要が無く、離型フィルムとして極めて有用である。

Claims (4)

  1. 主たる繰り返し単位が一般式−O−CHR−CO−(RはHまたは、炭素数1〜3のアルキル基)である脂肪族ポリエステルを主成分としたポリマーからなり、厚み方向の屈折率(Nz)が1.440〜1.455であり、長手方向におけるNzのばらつきが0.2%以下であり、120℃における長手方向の熱収縮率が5%以下である脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルムを基材とし、その少なくとも片面に離型層を設けてなる離型フィルムの製造方法であって、未延伸フィルムを二軸延伸するに際し、縦延伸を二段以上で行い、二軸延伸後、145℃〜融解温度Tm(℃)の温度範囲で熱固定し、引き続いて125℃〜(Tm−20℃)で0.1〜8%の横弛緩熱処理を行って基材を得ることを特徴とする離型フィルムの製造方法
  2. 前記脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルムの120℃における長手方向の熱収縮率が3%以下であることを特徴とする請求項1記載の離型フィルムの製造方法
  3. 前記脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルムの長手方向の屈折率(Nx)から幅方向の屈折率(Ny)を差し引いた値(Nx-Ny)が−0.020〜0であることを特徴とする請求項1または2記載の離型フィルムの製造方法
  4. 前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の離型フィルムの製造方法
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