JP4199466B2 - フィルタおよび光量絞り装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオカメラやデジタルカメラ等の撮影機器に使用するのに適したフィルタおよび光量絞り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、ディジタルビデオカメラの光量絞り装置は図6に示すような構造をとっている。
【0003】
図6は、撮影系にNDフィルタを配したときの作用を示すための絞りユニットの光学断面図である。
【0004】
図6で、1は光量絞り装置、1Aは、透明プラスチック上に形成されたフィルタであるND(neutral density)フィルタ、1B、1Cは、相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する絞り羽根(対向的に移動させて光量調整に用いる絞り羽根)で、2枚の絞り羽根1B、1Cは略菱系の絞り開口を形成する。
【0005】
1Dは絞り羽根支持板である。
【0006】
NDフィルタ1A、絞り羽根1B、1C、絞り羽根支持板1Dは、光量絞り装置1を構成しており、NDフィルタ1Aは、絞り羽根1B、1Cの内の1枚である絞り羽根1Bに接着されている。
【0007】
また、2は撮影光学系、2A、2B、2C、2Dは成分レンズであって、成分レンズ2A、2B、2C、2Dは撮影光学系2を構成する。
【0008】
3はローパスフィルタ、4は固体撮像素子(以下、CCDともいう)、20は撮像面である。
【0009】
光量絞り装置1にNDフィルタ1Aを用いるのは以下のためである。
【0010】
撮像画像が明るすぎると絞り羽根1B、1Cは光量を削減するため撮像面20を閉める方向で動く。
【0011】
しかし、ある大きさより開口径を小さくすると光線の回折現象が起き、画像の解像度が低下する。
【0012】
この最小絞りを小絞りと呼んでいる。
【0013】
この小絞り時の透過量をより下げるために、NDフィルタ1AによってCCD4に届く光量を減らしている。
【0014】
従来の光量絞り装置1に使用されているNDフィルタには、フィルム状をなす材料(セルロースアセテート、PET、塩化ビニル等)中に光を吸収する有機色素または顔料を混ぜ、練り込むタイプのものを用いていた。
【0015】
光量絞り装置1の主要部分であるNDフィルタ1A及び絞り羽根1Bは、図7に示すような構成をとっている。
【0016】
図7は、光量絞り装置の羽根部分を示す斜視図である。
【0017】
ここでは、NDフィルタ1Aのフィルム状をなす材料として、プラスチックフィルムを用いているものとする。
【0018】
NDフィルタ1Aにガラス基材等を用いないで、フィルム状をなす材料、例えばプラスチックフィルムを使用する主な理由は、プラスチックフィルム等を用いれば、ガラスに比べ割れにくいため、光量絞り装置1を薄く作製することができるからである。
【0019】
NDフィルタ1Aがプラスチックフィルムの場合、図6に示す光学断面図において、レンズ2A、レンズ2Bの間の間隔を、短くすることが出来、より高倍率の画像を得ることが可能となる。
【0020】
プラスチックフィルムは100μm以下に作る事も可能であり、場合によっては50μmの厚みに作る事も可能である。
【0021】
しかし、絞り羽根1Bに取り付けられたNDフィルタ1Aは、プラスチック表面が露出した状態になっていて、光量絞りが写界の明暗に応じて摺動する際、絞り羽根1B及び絞り羽根支持板1Dと擦れ合い、表面にキズを生じてしまう。
【0022】
近年、固体撮像素子4の感度が上昇するに従い、そのキズが原因で解像度が低下してしまうという問題が発生していた。
【0023】
これを解決する技術として、特開平10−133253号公報、特開平10−133254号公報等に、前記プラスチックフィルムの片面または両面に2種類以上の層からなり、各層の屈折率が異なり、かつ少なくともその1層が光吸収膜となっている複数の層からなる無機硬質膜を蒸着成膜させたNDフィルタを用いる技術が示されている。
【0024】
提案されていた特開平10−133253号公報、特開平10−133254号公報等に示されているNDフィルタの断面構造の概略を図8に示す。
【0025】
1A′はNDフィルタ、Pは、PETまたはPENで構成される蒸着基板、81は、第1層93〜第7層99からなる無機硬質膜、93は第1層(Al23)、94は第2層(TiOy)、95は第3層(Al23)、96は第4層(TiOy)、97は第5層(Al23)、98は第6層(TiOy)、99は第7層(MgF2)である。
【0026】
また、無機硬質膜81を蒸着基板Pの両面に成膜させたNDフィルタ1A″も知られている。
【0027】
無機硬質膜81を蒸着基板Pの両面に成膜させたNDフィルタ1A″を図9に、無機硬質膜81を蒸着基板Pの片面に成膜させたNDフィルタ1A′を図10に示す。
【0028】
図9(a)は、過去の例、両面蒸着におけるNDフィルタの正面図であり、図9(b)は、過去の例、両面蒸着におけるNDフィルタの側面図である。
【0029】
図10(a)は、過去の例、片面蒸着におけるNDフィルタの正面図であり、図10(b)は、過去の例、片面蒸着におけるNDフィルタの側面図である。
【0030】
1A″は両面蒸着のNDフィルタ、31、41は、プラスチック基材(蒸着基板P)のままの部分である。
【0031】
図9に示される、透明プラスチックフィルムの蒸着基板Pの両面に、無機硬質膜81を蒸着により成膜した両面蒸着のNDフィルタ1A″は、濃度の高いNDや両面反射率が低い要望の時、用いられる。
【0032】
一方、図10に示される、片面蒸着NDのNDフィルタ1A′は、濃度の低いNDが要望の時や片面の反射が余り問題とならない時、用いられる。
【0033】
これらのNDフィルタ1A′、1A″は、表面にキズを生じにくくなっている。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのNDフィルタ1A′、1A″には、無機硬質膜81の部分の接着強度が弱いという問題点があった。
【0035】
このため、NDフィルタ1A′、1A″には、絞り羽根1Bに接着、固定するための、プラスチック基材(蒸着基板P)のままの部分31、41が設けられている。
【0036】
すなわち、無機硬質膜81の面で絞り羽根1Bに接着した場合、その接着強度が弱いので、接着性の良いプラスチック基材(蒸着基板P)のままの部分31、41を接着面とするため、このような構造をとっているのである。
【0037】
このような構造のNDフィルタ1A′、1A″を製造する方法を、図11および図12を用いて説明する。
【0038】
図11は、蒸着に使用するメカマスクの構造図、図12は、図11のメカマスクを用いて蒸着されたNDを製品にプレス抜きしているモデル図である。
【0039】
Mはメカマスク、Xは開放部である。
【0040】
まず、図11に示すようなメカマスクMを、蒸着時、蒸着基板Pであるプラスチックフィルム上に重ねる事により、ハンチング部(開放部X)のみND蒸着が行われる(両面蒸着NDのNDフィルタ1A″を製造する場合には、両面に蒸着が行われる)。
【0041】
その後、図12に示すように、互い違いにプレス抜きすることにより、順序良くa1〜a6まで抜き、その後、b1〜b6まで抜く。
【0042】
その後も同様に抜いていく。
【0043】
このような方法でNDフィルタ1A′、1A″の製造を行った場合、以下のような問題点がある。
【0044】
▲1▼蒸着時にメカマスクMをさせる必要が発生する。
【0045】
▲2▼プレス抜きする時、蒸着のある部分とない部分との境界をみてNDフィルタ1A′、1A″を抜く必要が発生する。すなわち、位置合わせの作業が必要となる。
【0046】
▲3▼NDフィルタ1A′、1A″のプレス抜きを互い違いにして抜き密度を高めても、抜きの位置が限られるため、材料の無駄が多くなりかなり非効率となる。
【0047】
本発明は、これらの問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とする処は、無機硬質膜の部分の接着強度を強くすることにより、マスクの必要がなく、PETの全面蒸着をして可能な限り密にプレス抜きをして効率を最大限上げることが可能で、さらに、形状を設計しやすいフィルタおよび光量絞り装置を提供することにある。
【0048】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明においては、下記の(1)項ないし(4)項のいずれかに示すフィルタまたは光量絞り装置を提供することにより、前記目的を達成しようとするものである。
【0049】
(1)撮影機器の光量調整に用いる絞り羽根に接着して、さらに光量を調整する透明プラスチックと無機硬質層とからなるフィルタであって、
前記透明プラスチックの一方の面に湿式法を利用して反射防止層が形成され、他方の面にTiO層とAl層の交互の層で作られた前記無機硬質層が形成され、かつ前記絞り羽根との接着面が、前記透明プラスチックの基板温度が120℃以下で蒸着された、前記TiO層上のAl層であるフィルタ。
【0050】
(2)相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、
絞り羽根により形成された絞り開口の少なくとも一部に配置される光量調整のための透明プラスチックと無機硬質層とからなるフィルタとを備え、
前記フィルタが接着剤により前記絞り羽根と一体化した光量絞り装置であって、
前記フィルタの構成が、前記透明プラスチックの一方の面に湿式法を利用して反射防止層が形成され、他方の面にTiO層とAl層の交互の層で作られた前記無機硬質層が形成され、かつ前記フィルタの前記絞り羽根との接着面が、前記透明プラスチックの基板温度が120℃以下で蒸着された、前記TiO層上のAl層である光量絞り装置。
【0051】
(3)前記フィルタが、前記絞り羽根と一体化されるのではなく、前記絞り羽根とは別の独立した動きで前記絞り開口に移動できる羽根材に接着されていることを特徴とする前記(2)項記載の光量絞り装置。
【0053】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態を説明するために、無機硬質膜の接着強度が低い理由およびNDフィルタに求められる性質等について、従来例を交えて説明する。
【0054】
はじめに、無機硬質膜81の部分の接着強度が低い理由について説明する。
【0055】
NDフィルタ1A′、1A″を、ND面である無機硬質膜81の部分で絞り羽根1Bと接着するとなぜ接着強度が下がるか、その原因調査を行った。
【0056】
そのためND面である無機硬質膜81の第7層(MgF2)99で、NDフィルタ1A′、1A″を絞り羽根1Bと接着して一体とした後に、力を加えて強制的に剥離させ、その界面を調査したところ、第7層(MgF2)99の面で剥離していた。
【0057】
第7層99のMgF2面は、接着剤側に附着している場合もあるし、接着剤が附着していない部分もあった。
【0058】
このように蒸着されたMgF2層は、接着剤に対して強度的にかなり弱いものと思われる。
【0059】
接着剤は、T剥離強度が強いゴム性の接着剤が用いられる。
【0060】
接着剤としては、クロロプレーンゴムやブチルゴムやウレタンゴム等が用いられる。
【0061】
さらに、図1を用いて、接着強度を調べた時の方法を説明する。
【0062】
図1は、接着強度を調べた時の方法を示す、NDフィルタと羽根の接着力測定方法のモデル図である。
【0063】
83は接着剤である。
【0064】
絞り羽根1Bの表面はエポキシ系の塗装がされている。
【0065】
NDである無機硬質膜81は90度曲げてありT剥離を調べている。
【0066】
図のFの方向に剥離が起こるまで力を加え、そのときの力を測定した。
【0067】
比較のため、PET面である蒸着基板Pと絞り羽根1B材とを接着した場合についても力を測定した。
【0068】
その結果以下のようになった。
【0069】
▲1▼PET面と羽根材の接着−−−150〜250gfの範囲
▲2▼蒸着最終膜(第7層99)MgF2層と羽根材の接着−−10〜120gfの範囲
サンプル数はいずれも10セットである。
【0070】
実用上の、必要接着強度は50gf以上である。
【0071】
この結果でわかるように、▲2▼は▲1▼に比較して接着力が半分以下になり、なおかつ非常に接着力が弱いときがある。
【0072】
この理由として蒸着材料が弗化物材料であることが考えられる。
【0073】
蒸着材料が弗化物材料の時、強度の低いものが多い。
【0074】
例えば、MgF2の他にCaF4及びAlF4について同様の測定を実施したところ、接着強度は両方とも10〜50gfであり、MgF2より低い値となった。
【0075】
また、弗化物材料を蒸着するときの温度が低いことも、接着強度を弱くしている一因と考えられる。
【0076】
今回の蒸着条件は、透明PET上に蒸着を行うため基板温度が120度以下になるように行っている。
【0077】
これ以上、高い温度がかかると透明PETの形状が変化しカールしてしまうからである。
【0078】
接着条件としての蒸着温度が原因かどうかをみるために、今回のNDである無機硬質層81を、ガラス上に基板温度が300度になるように蒸着して、この無機硬質層81と絞り羽根1Bとを接着し、その接着強度を確認してみた。
【0079】
すると、その時の無機硬質層81と絞り羽根の接着強度は50〜170gfとなり、接着条件として温度を上げることによって、接着強度は向上する事がわかった。
【0080】
このように、付着しているMgF2の膜の形成温度が低いため、構造的にしっかりしていない膜が形成され接着力が落ちているように思われる。
【0081】
文献等によると、弗化物の化合物を低温で真空蒸着すると潮解性が生じ、特に湿度の高い環境下では膜強度がかなり弱くなることが知られている。
【0082】
次に、NDフィルタに求められる性質である屈折率および透過率について説明する。
【0083】
NDフィルタの空気と接する最終膜にMgF2を用いている理由は、屈折率が出来るだけ空気の1.0に近いものを選択する事により、反射率を下げるためである。
【0084】
MgF2は、屈折率が1.38と蒸着物質の中では最も低く、一般的に反射防止膜として用いられる事が多い。
【0085】
その他の弗化物も屈折率は1.4程度と低いが、前述のように接着性が悪いため用いる事が出来ない。
【0086】
その他の弗化物以外の無機物としては、屈折率がMgF2に最も近い材料でSiO2がある。
【0087】
屈折率は1.46であり、基板温度120度以下での蒸着も可能である。
【0088】
試験的に蒸着NDとして図8の第7層をMgF2→SiO2に変更してみると、NDとしての必要な透過率、反射率をMgF2とほぼ同様に得る事が出来た。
【0089】
また、接着強度も70〜160gfと得られ、PETと絞り羽根との接着強度に比べると若干低いが、充分実用性のある値を得る事ができた。
【0090】
しかしながら、この第7層をSiO2としたNDフィルタを、図12のようにプレス抜きして絞り羽根1B材に接着して、環境テストに入れた所、透過率の変化が大きいため使用できない事がわかった。
【0091】
以下に、環境テストの結果を示す。
【0092】
環境テストの条件は、温度60度湿度90%1000時間であって、テスト前とテスト後の透過率の変化率を調べた。
【0093】
従来の最終層(第7層)がMgF2の時―透過率の変化率2%以下(透過率が上がる方向)
今回の最終層(第7層)がSiO2の時―透過率の変化率5〜8%(透過率が上がる方向)
これは、透過率を制御している膜構成中のTiOyのyが変化したためである。
【0094】
yは1.0〜2.0まで原理的に考えられ、光吸収係数はyが1.0の時2〜3程度であるがyが2.0の時0と大幅に小さくなり、透過率はこのyの値によって大きく変化する。
【0095】
これはTiO→TiO2まで酸化により化学変化するためである。
【0096】
通常、蒸着時、yは1.0に近い値となっている。TiOyは空気中に放置した場合、酸化や水分等で変化して透過率は上がってしまう。
【0097】
これを防ぐ意味もあり、従来の構造では、次の層のMgF2で空気や水分を隔離させる構造となっていたものである。
【0098】
SiO2の場合、環境テストでの透過率変化は5〜8%であった。
【0099】
これはパッシュベーション性が良くないためである。
【0100】
プレス抜き後の表面を拡大して見るとSiO2の膜表面にわれが多く発生し、この割れ部分から水分が浸透したものと思われる(図2(a)参照)。
【0101】
それに比較して、最終膜がMgF2の時、および最終膜をAl23にした時の表面は、われが少ない(図2(b)、図2(c)参照)。
【0102】
SiO2の場合、MgF2やAl23に比較して機械的にもろいと思われる。
【0103】
以上のことから、SiO2を第7層に用いることはできないが、MgF2に変えて、透過率の劣化が少なく(環境テストで劣化2%以下)、接着強度が強く(接着力の測定で50gf以上)、反射率が小さい(400nm〜700nmの波長範囲で3%以下)別の材料を用いれば、本発明の目的を達成できる。
【0104】
このような材料として、本発明ではAl23を用いる。
【0105】
Al23が最終層(第7層)の膜の場合、環境テストによる透過率の劣化も2%以下に押さえることが可能であった。
【0106】
羽根との接着強度も100gf〜200gfと高い水準に入り、必要な50gf以上を確保することが可能であった。
【0107】
但しAl23の場合、屈折率が1.56のためND蒸着膜である無機硬質層全体の反射率は若干上がる。
【0108】
しかし、400nm〜700nmの波長範囲で3%以下のものを作る事は可能であり、実用性としてはそれで問題ない。
【0109】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【0110】
(実施例1)
まず、図3を用いて、実施例1を説明する。
【0111】
図3は、本発明のND構造図である。
【0112】
1aは本発明のNDフィルタ、81aは、本発明の無機硬質膜、99aは本発明の第7層(Al23)である。
【0113】
蒸着NDが接着されている絞りユニットを作成するにあたり、透明PET75μm厚みの蒸着基板Pに、Al23の層とTiOyの層を交互に蒸着し、最終層(第7層)をAl23とした。
【0114】
マスクは用いず、PETである蒸着基板P全面に蒸着し、その後、所定のND形状にプレス抜きを行った。
【0115】
NDは濃度0.5(透過率30%)で、反射率は400〜700nmで3%以下となった。
【0116】
PETである蒸着基板Pの温度は蒸着時90℃maxであった。
【0117】
裏面はPETそのままとなっており、裏面側をCCD4と反対面になるように接着を行った。
【0118】
第1層93から第7層99aの機械厚みは図3に示すとおりである。
【0119】
すなわち、PETに接している第1層(Al23)93は20.0nm、第1層93に接している第2層(TiOy)94は50.0nm、以下、順に第3層(Al23)95は38.3nm、第4層(TiOy)96は8.5nm、第5層(Al23)97は31.7nm、第6層(TiOy)98は12.2nm、第7層(Al23)99aは55.0nmである。
【0120】
絞り羽根1BとNDフィルタ1aとの接着は、羽根表面と第7層99aのAl23面とで行う。
【0121】
接着剤はクロロプレーンゴムを用い60℃の温度で15時間硬化した。
【0122】
そして、NDフィルタ1aを絞り羽根1Bと接着して一体とした。
【0123】
その後は、従来知られている方法によって光量絞り装置を形成できる。
【0124】
なお、NDフィルタ1aを絞り羽根1Bと接着して一体とした後に、力を加えて強制的に剥離させ、接着強度の測定を行うと、絞り羽根1BとNDフィルタ1aの接着強度は190gfであった。
【0125】
そして、この測定をしたときの剥離面はPETである蒸着基板Pであり、PETがえぐりとられていた。
【0126】
このことからも、蒸着面はかなり接着強度が高いことがわかった。
【0127】
また、このNDフィルタ1aについて、温度60℃湿度90%1000時間で環境テストを行ったところ、透過率の変化は1.5%の上昇のみであった。
【0128】
(実施例2)
次に、図4を用いて本発明の実施例2を説明する。
【0129】
図4は、本発明実施例2の応用例図である。
【0130】
1′は、絞り羽根12とは別の独立した動きで絞り開口に移動できる羽根材を備えたタイプの光量絞り装置、11は回転軸、11aは、羽根材であるND固定板、12は絞り羽根、12Aは、絞り開口の大きさを可変する穴、13は回転軸、14、16は駆動ユニット、22、24は戻りバネである。
【0131】
このようなタイプの光量絞り装置1′では、複数の絞り羽根によって略菱形を形成して光量を絞るのではなく、穴12Aによって光量を絞る。
【0132】
絞り羽根12には穴12Aがあいており、駆動ユニット16によって撮像面20に駆動可能である。
【0133】
絞り羽根12が撮像面20に固定された時、穴12Aからのみ光が入り、これにより光量を調整して、開放系に比較してF値は3段下げることが可能である。
【0134】
それ以上、光量を減らす時はNDフィルタ1a(濃度0.5)を駆動ユニット14によって別駆動で入れる事により、さらにF値を3段下げることが可能である。
【0135】
そして、ND固定板11aとNDフィルタ1aは接着により一体化され、その時のNDフィルタ1aの薄膜の構造は図3のものを用いている。
【0136】
本実施例でも、接着力及び環境特性において全く問題なかった。
【0137】
また、NDフィルタ1aの形状が大きく、対称性がないため、本発明を用いないで、NDフィルタ1aの透明PET部分を作ろうとすると、蒸着シートからのNDの抜き効率は50%以下となり、かなり無駄が発生する。
【0138】
しかし、本発明を用いて、蒸着シートから任意に密に抜いた場合、使用効率は75%となり、大幅に使用率が増える。
【0139】
(実施例3)
次に、図5を用いて本発明の実施例3を説明する。
【0140】
図5は、本発明実施例3のND構造図である。
【0141】
1a′は実施例3のNDフィルタ、84は反射防止膜、91、92は、反射防止膜84の層である。
【0142】
単色NDで両面の反射率が低く、コストの安いNDフィルタを製造するためには、蒸着回数を2回から1回にする事が必要である。
【0143】
蒸着回数を1回とした時、図10に示したような構造になる。
【0144】
そして、蒸着されていない面(無機硬質膜81aと反対面)は反射率が高いものとなってしまう。
【0145】
このため通常は、図9に示したように、PETの両面に2回蒸着する必要がある。
【0146】
これを改善するために、PET基材の片面に原反状態で湿式法(例えばドクターブレード法等)でコーティングをし、層91、92を形成して、その後反対側の面に第1層93〜第7層99aまでを蒸着法で成膜する事により、蒸着が1回で、なおかつ両面の反射率が低いNDを作る事が可能である。
【0147】
この場合、湿式コートはPETの原反状態で行うため、この面に接着するための部分マスクをするという工程を入れる事は不可能であり、また、層92は反射防止コート膜等であって、フッ素元素の入っているものが多く、例えば、弗化ナトリュウムマグネシュウムゾルという薬品を用いる。
【0148】
この場合、接着剤との接触角は100度以上にもなり接着力は0にもなってしまう。
【0149】
このため、羽根との接着方向はND蒸着側のみとなるため、本発明はNDの使用効率を上げるため必要な技術となる。
【0150】
なお、実施例3に示したNDフィルタ1a′は、実施例2に示したような、絞り羽根12とは別の独立した動きで絞り開口に移動できる羽根材を備えたタイプの光量絞り装置に使用することもできる。
【0151】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ND蒸着時、接着部分を設けたメカマスクを用いる必要がなくなり、全面蒸着が可能なフィルタおよび光量絞り装置を提供できる。
【0152】
また、NDをプレス抜きする場合、接着部分がないため、効率よく抜く事が可能となる。
【0153】
さらに、NDのプレス抜きの時、メカマスクの接着部分を合わせないでも抜く事が可能となる。
【0154】
なおさらに、ND蒸着が両面に施されている時、貼り付け方向がどちらでも接着可能となる(従来はPET基材が露出している方向のみ接着可能)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 NDフィルタと羽根の接着力測定方法のモデル図
【図2】 プレス抜き後の表面の説明図
【図3】 本発明のND構造図
【図4】 本発明実施例2の応用例図
【図5】 本発明実施例3のND構造図
【図6】 撮影系にNDフィルタを配したときの作用を示すための絞りユニットの光学断面図
【図7】 光量絞り装置の羽根部分を示す斜視図
【図8】 従来のND構造図
【図9】 過去の例、両面蒸着におけるNDフィルタの構造図
【図10】 過去の例、片面蒸着におけるNDフィルタの構造図
【図11】 蒸着に使用するメカマスクの構造図
【図12】 図11のメカマスクを用いて蒸着されたNDを製品にプレス抜きしているモデル図
【符号の説明】
1、1′光量絞り装置
1A、1A′、1A″ 従来のNDフィルタ
1a、1a′ NDフィルタ
1B、1C 絞り羽根
1D 絞り羽根支持板
2 撮影光学系
2A、2B、2C、2D 成分レンズ
3 ローパスフィルタ
4 固体撮像素子(CCD)
12 絞り羽根
12A 穴
20 撮像面
31、41 プラスチック基材(蒸着基板P)のままの部分
81 従来の無機硬質膜
81a 無機硬質膜
83 接着剤
99 従来の第7層
99a 第7層
P 蒸着基板

Claims (3)

  1. 撮影機器の光量調整に用いる絞り羽根に接着して、さらに光量を調整する透明プラスチックと無機硬質層とからなるフィルタであって、
    前記透明プラスチックの一方の面に湿式法を利用して反射防止層が形成され、他方の面にTiO層とAl層の交互の層で作られた前記無機硬質層が形成され、かつ前記絞り羽根との接着面が、前記透明プラスチックの基板温度が120℃以下で蒸着された、前記TiO層上のAl層であることを特徴とするフィルタ。
  2. 相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、
    絞り羽根により形成された絞り開口の少なくとも一部に配置される光量調整のための透明プラスチックと無機硬質層とからなるフィルタとを備え、
    前記フィルタが接着剤により前記絞り羽根と一体化した光量絞り装置であって、
    前記フィルタの構成が、前記透明プラスチックの一方の面に湿式法を利用して反射防止層が形成され、他方の面にTiO層とAl層の交互の層で作られた前記無機硬質層が形成され、かつ前記フィルタの前記絞り羽根との接着面が、前記透明プラスチックの基板温度が120℃以下で蒸着された、前記TiO層上のAl層であることを特徴とする光量絞り装置。
  3. 前記フィルタが、前記絞り羽根と一体化されるのではなく、前記絞り羽根とは別の独立した動きで前記絞り開口に移動できる羽根材に接着されていることを特徴とする請求項2記載の光量絞り装置。
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