JP4197980B2 - 多層成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂製の基材と、その表面の少なくとも一部に貼合一体化された表皮材とからなる多層成形品の製造方法に関し、特に2枚以上の表皮材が互いに隙間なく並置された状態で基材に貼合一体化された多層成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、熱可塑性樹脂からなる基材の表面の一部に合成樹脂シートや織布、不織布等の表皮材を貼り合わせて構成された多層成形品は、その経済性、軽量性及び良好な賦形性等の観点から、自動車内装部品(例えばドアトリムやインストルメントパネル)、家電製品の内外装部品、その他の分野で広く使用されている。
【0003】
このような多層成形品であって、2種類の表皮材を互いに隙間なく並置した状態で基材に貼合一体化したものは、従来、例えば下記の特許文献1に開示されているような方法で製造されている。この製造方法は、図8の(a)に示すように、2種類の表皮材1,2の端縁を互いに重ね合わせ、その重ね合わせた部分をクランプ部材3でクランプして金型4,5内の所定位置に配置し、その後、図8の(b)にも示すように、それぞれの表皮材1,2の裏面側に設けられている主たる樹脂供給ゲート6,7から、基材となる溶融状態の熱可塑性樹脂(溶融樹脂)8を金型4,5間のキャビティ内に供給して多層成形品を製造するというものである。ここで、「主たる樹脂供給ゲート」とは、基材を製造するに必要な樹脂量の大部分、例えば60%以上を供給することができるゲートをいい、不足分を補うような補助的な樹脂供給ゲートを含まない意である。以下、単に「樹脂供給ゲート」と称した場合、「主たる樹脂供給ゲート」を示すものとする。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−175111号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような従来の多層成形品の製造方法は、図8の(a)及び(b)に示す如く、表皮材1,2が配置される部位に対向する位置に樹脂供給ゲート6,7が形成されている場合には、好適に多層成形品を製造することが可能である。
【0006】
しかしながら、表皮材の形状や位置等によっては表皮材配置部位に対向する位置に樹脂供給ゲートを設けることができない場合がある。例えば図9に示す多層成形品(自動車内装部品であるドアトリム)10のように、少なくとも一方の表皮材12が細長く、且つ、その貼合部の位置が基材14の端縁にかかる位置である場合等には、表皮材配置部位に対向する位置に樹脂供給ゲートを形成することが困難である。表皮材配置部位から離れた位置にある樹脂供給ゲートから溶融樹脂を供給した場合、表皮材の端縁が溶融樹脂の流れにより押し動かされ、位置ずれを起こしたり、或いは、表皮材の意匠面(表面)側に溶融樹脂が回り込み、製品の外観を損なったりする。勿論、表皮材配置部位に対向するよう樹脂供給ゲートを形成することも可能であるが、そのようなゲートを有する金型を製造するためのコストは多大なものとなる。
【0007】
また、クランプ部材を金型内にセットする必要があるため、金型の構造が複雑であり、コストが高くなるという問題点もある。
【0008】
そこで、本発明は、少なくとも2種類(2枚)の表皮材が基材の表面に貼合一体化された多層成形品を、表皮材の形状や位置に拘わらず、良好に且つ低コストで製造することができる製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による多層成形品の製造方法は、溶融状態の熱可塑性樹脂を供給するための主たる樹脂供給ゲートを有する第1の金型、及び、第1の金型に対して開閉可能であり、閉じた際に第1の金型との間にキャビティを形成する第2の金型を用意するステップと、開放状態にある第1の金型と第2の金型との間の所定位置に2枚以上の表皮材を隣合うそれぞれの端縁が互いに重なるように配置するステップと、第1の金型と第2の金型との間の間隔を狭めて樹脂供給ゲートから溶融樹脂を供給し、充填するステップとを含むものである。更に、本発明による方法は、2枚以上の表皮材を前記所定位置に配置する際、前記2枚以上の表皮材のうち1枚の表皮材が樹脂供給ゲートに対向する位置となるようにし、且つ、隣合う表皮材同士の重なり部分が、樹脂供給ゲートに近い側の表皮材よりも樹脂供給ゲートから遠い側の表皮材の方が第2の金型側に位置するようにしたことを特徴としている。なお、溶融樹脂の供給中又は供給完了後に型締めを行うことができる。
【0010】
このような方法で多層成形品を製造した場合、樹脂供給ゲートからの溶融樹脂は、当該ゲートに対向する第1の表皮材の裏面から周囲に拡がっていくが、隣接の第2の表皮材の重なり部分が第1の表皮材の意匠面側、すなわち第2の金型側となるため、溶融樹脂が第2の表皮材の端縁を押動したり、表皮材の意匠面側に溶融樹脂が回り込んだりすることを防止できる。
【0011】
また、型締め完了時において隣合う表皮材の端縁同士が重なることなく(すなわち突合せの関係で)接する状態となるように、2枚以上の表皮材を前記所定位置に配置することが、外観上、好ましい。
【0012】
更に、第1の金型に凹部を設けると共に、第2の金型に凹部に対向する位置に突条を設けておき、製造完了後の多層成形品における隣合う表皮材間の合縁部が突条に相当する位置となるように、2枚以上の表皮材を前記所定位置に配置することが好適である。表皮材の合縁部の位置決め性や外観がより好ましい成形品を得ることができるからである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態は、先に説明した図9に示すような、基材14と、基材14の表面の略中央部に貼合される表皮材16と、表皮材16の端縁の一部分に隙間なく並置され且つ基材14の端面の端縁にかかる表皮材12とからなる多層成形品10を製造する方法に関するものである。
【0014】
先ず、本発明による方法に従って図9の多層成形品10を製造するために用いられる成形装置について図1及び図2に基づいて説明する。図示するように、この成形装置20は、1枚の表皮材を基材に貼合させる場合等に用いられる一般的なものであり、固定の金型支持盤22と、金型支持盤22の上面に支持された雄型である第1の金型24と、金型支持盤22の上方に配置され、駆動装置26により上下動される金型支持盤28と、金型支持盤28の下面に支持された雌型である第2の金型30とから構成されている。
【0015】
上下一対の金型24,30はそれぞれ、所望の多層成形品10の形状に対応し且つ互いに対向するキャビティ面32,34を有している。キャビティ面32,34は、上下の金型24,30が閉じた際に、所望の多層成形品10の外形に概ね一致するキャビティを間に形成するものである。金型24,30の材質は特に限定されず、必要とする形状や表面状態、成形条件によって、各種金属材料或いは樹脂、セラミック等から適宜選択される。
【0016】
下側の金型24のキャビティ面32には溶融樹脂をキャビティ内に供給するための主たる樹脂供給ゲート36が設けられており、この樹脂供給ゲート36は金型24に形成された樹脂供給通路38と連通している。また、樹脂供給通路38には、熱可塑性樹脂を溶融し所望量だけ射出することのできる射出装置(図示しない)の射出ノズルが接続されている。樹脂供給ゲート36の位置は、少なくとも一方の表皮材(本実施形態では表皮材16)が貼合される部位に対応する位置、別言するならば、樹脂供給ゲート36から溶融樹脂を供給した場合に、その溶融樹脂が当該表皮材16の裏面側に供給される位置である。また、この樹脂供給ゲート36は、最も投影面積の大きな表皮材が貼合される部位に対応する位置に設けることが好ましいが、製品形状や表皮材を貼合する位置関係、表皮材を貼合しない部分の割合等に応じて、透明面積の小さい表皮材の側に配置することもあり、本実施形態では小さい表皮材16に対して設けられている。樹脂供給ゲート36の数については、製造すべき多層成形品10の形状や大きさによって適宜変更される。なお、主たる樹脂供給ゲート36のみではキャビティ内に溶融樹脂を行き渡らせることができない場合等には、適宜、キャビティ面32の他の部位にも補助的な樹脂供給ゲート(図示しない)を設けてもよい。
【0017】
更に、下側の金型24の外側には、表皮材12をクランプするためのクランプ装置40が配設されている。このクランプ装置40はクランプ枠42を備えている。クランプ枠42は、図2の二点鎖線からも理解される通り、金型24,30間に表皮材12を供給した際に金型24,30のキャビティ面32,34からはみ出した表皮材12の一部分を上側金型30の外周部分の下面との間で挟持するよう構成されている。図示実施形態では、クランプ枠42は図2に示すように連続したコの字状態であるが、その他の形態、例えば複数の分割された形態であってもよい。また、クランプ枠42は、エアシリンダ等の駆動装置44により上下動可能となっている。
【0018】
次に、上述した成形装置20を使用して図9の多層成形品10を製造する方法について、図1〜図4に沿って説明する。
【0019】
まず、多層成形品10の基材14となる熱可塑性樹脂と、2枚の表皮材12,16とを用意する。本実施形態において、一方の表皮材16は基材14の表面の略中央部に配置されるものであり、他方の表皮材12は表皮材16と異なる種類で、基材14の表面の端縁にかかる部分に配置されるものである。
【0020】
熱可塑性樹脂については、図示しない射出装置に投入し、予め溶融状態としておく。
【0021】
表皮材については、図3の(a)に示すように、開放状態にある金型24,30間に供給し、下側金型24のキャビティ面32上の所定位置に並べて配置する。この状態では、表皮材16の裏面側に樹脂供給ゲート36が位置することとなる。なお、表皮材16は単に金型24上に載置するだけでもよいが、その外周部の一部を金型24に設けたクランプ駒やピン(図示しない)等により固定してもよい。また、図2に二点鎖線で示すように、表皮材12の外周部分の一部分が金型24からはみ出しており、この部分をクランプ枠42上に置き、ピン等の適当な固定手段(図示しない)によりクランプ枠42に位置決め、固定する。表皮材12,16を金型24のキャビテイ面32上に配置し、表皮材12をクランプ枠42に位置決めする際、表皮材12と表皮材16の端縁の一部が重なり合うようにし、その重なり部分46では樹脂供給ゲート36から遠い側の表皮材12を樹脂供給ゲート36に近い側の表皮材16の上に載置する。
【0022】
表皮材12,16の重なり度合いについては、後述する型締め段階において表皮材12,16の端縁同士が分離しない程度とすることが好ましいが、型締め完了時点において、表皮材12,16のそれぞれの端縁同士が重なることなく、突き合わせ状態で接することとなる程度がより好ましい。
【0023】
次に、駆動装置26を制御して上側の金型支持盤28及び金型30を下方に移動させ、上側金型30の外周部分の下面とクランプ枠42との間で表皮材12の外周部分を挟持する。そして、クランプ装置40の駆動装置44を制御して、表皮材12をクランプした状態を維持したまま金型30と共にクランプ枠42を下降させる。
【0024】
このようにして金型30を下降し、所定位置で停止すると、金型24,30間に所定の大きさのキャビテ48が形成される。金型24,30間にキャビティ48が形成されたならば、射出装置から溶融樹脂50を射出すると、溶融樹脂50は金型24の樹脂供給通路38から樹脂供給ゲート36を通ってキャビティ48内に供給される(図3の(b))。この際、樹脂供給ゲート36から供給された溶融樹脂50は、まず表皮材16を金型30のキャビティ面34に押し付けた後、キャビティ48内の空間を徐々に水平方向に拡がり、やがて表皮材12へと流れていく。図4に示すように、表皮材12,16の重なり部分46では表皮材12が表皮材16の上側となっているため、表皮材16が表皮材12の端縁を覆い隠す。そして、溶融樹脂50の流動により表皮材16の端縁は表皮材12の端縁に押圧され、両者は密着する。その結果、溶融樹脂50は、表皮材12の端縁を押動させることはなく、表皮材12,16間に隙間が形成されたり、溶融樹脂50が意匠側(金型30に面する側)に入り込むことはない。なお、この溶融樹脂50の供給時における金型24,30間のキャビティクリアランスは、使用する表皮材12,16の種類や製品形状、寸法等により適宜決定される。
【0025】
次いで、金型30を更に下降させて型締めを行い、キャビティ48内に充填した溶融樹脂50を冷却、固化させる(図3の(c))。型締めを行うタイミングは溶融樹脂50の供給中又は供給が完了した後のいずれでもよいが、供給完了後に型締めを行う場合には、溶融樹脂50の供給完了後速やかに型締めを開始することが好ましい。この型締め時、クランプ枠42と金型30との間での表皮材12の挟持部分が、金型24に対して下方に移動することから、表皮材12に対して適当な張力が与えられ、また、その移動量を制御することで、表皮材12と表皮材16との間の重なり部分を少なくし、より好ましくは両者を重なりのない、突き合わせ状態で並置することが可能となる。
【0026】
所定の冷却・固化時間が経過したならば、金型支持盤28及び金型30を上昇させ、溶融樹脂50が固化して形成された基材14と、表皮材12,16とが貼り合わされた多層成形品を取り出す。この後、表皮材12のはみ出し部分の切除や製品裏面への巻込み等の処理を施し、図9に示す製品としての多層成形品10が完成する。前述した通り、表皮材12,16の意匠面側に溶融樹脂が流れ込んだり、表皮材12,16の位置ずれが生じたりすることはないため、製品の外観は極めて良好なものとなる。
【0027】
なお、熱可塑性樹脂としては、圧縮成形、射出成形、押出成形等で通常使用される樹脂をそのまま適用することができる。例えばポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリスチレン、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の一般的な熱可塑性樹脂、EPMやEPDM等の熱可塑性エラストマー、これらの混合物、或いはこれらを用いたポリマーアロイ等を挙げることができ、これらは非発泡性であっても発泡性であってもよい。
【0028】
また、これらの熱可塑性樹脂には必要に応じて通常使用されるガラス繊維、各種の無機若しくは有機フィラー等の充填剤が含有されていてもよく、勿論通常使用される各種の顔料、滑材、帯電防止剤、安定剤等の添加剤が配合されていてもよい。
【0029】
表皮材としては、溶融状態の熱可塑性樹脂に接しても溶融することなく、且つ、熱可塑性樹脂に熱融着可能であるものであればよく、例えば、モケットやトリミット等の織物ないしは編み物、ニードルパンチカーペット等の不織布、金属フォイル、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーのシート又はフィルムを、基材の熱可塑性樹脂に応じて適宜選択することができる。
【0030】
これらの表皮材は必要に応じて発泡層や裏打ち層が適宜積層された2層又は3層以上とした積層表皮材であってもよく、特に発泡層を積層した表皮材が好ましく適用できる。なお、これらの積層表皮材は、基材の熱可塑性樹脂と熱融着可能なもの、或いは表面層となる表皮材に溶融状態の熱可塑性樹脂が含浸して基材の熱可塑性樹脂と接着可能なものであることが必要である。
【0031】
この場合の発泡層としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系発泡体や、ポリ塩化ピニル発泡体、軟質或いは半硬質のポリウレタン発泡体が用いられ得る。
【0032】
裏打ち層としては、不織布や合成樹脂のシート又はフィルム等を用いることができる。不織布を構成する繊維としては、綿、毛、絹、麻等の天然繊維、或いは、ポリアミド、ポリエステル、ナイロン等の合成樹脂を使用することができ、これらを単独で或いは混紡して種々の方法により不織布としたものが用いられる。例えばニードルパンチ式、サーマルボンド式、スパンボンド式、メルトブロー式、スパンレース式等の不織布が挙げられる。合成樹脂からなるシート又はフィルムとしては、ポリプロピレンやポリカチレン等の熱可塑性樹脂やポリオレフィン系熱可塑性エラストマーのシートやフィルムが挙げられ、基材の熱可塑性樹脂と融着性のあるものが用いられる。
【0033】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0034】
例えば、基材14に発泡性の熱可塑性樹脂を用いることができる。基材14を発泡させるためには、上記の図3の(a)〜(c)の手順と同様にして、表皮材12,16を位置決めして金型24,30間にキャビティ48を形成した後、発泡材を含有した溶融樹脂50を樹脂供給ゲート36から供給し、型締めを行う。そして、まずは図3の(c)に示す型締め状態で一次冷却を行い、金型30のキャビティ面34に接する溶融樹脂50にスキン層を形成する。この時の一次冷却時間は金型温度や溶融樹脂の温度、特性等の諸条件により異なるが、通常0.1〜5秒程度である。所定時間の一次冷却を終了したならば、図3の(d)に示すように、金型30を上方に移動させてキャビティ48を拡大すると、供給された溶融樹脂50の未固化部分に閉じ込められていた発泡剤の分解により発生した発泡ガスが膨張し、成形品の厚さ方向に発泡層を形成しながら厚みを増す。キャビティクリアランスが発泡後の製品厚さとなった時点でキャビティ拡大動作、すなわち金型30の上昇を停止し、その状態を維持して溶融樹脂50を冷却、固化するのである。
【0035】
この方法で用いられる発泡剤としては、ベースとなる熱可塑性樹脂の発泡体を製造する際に使用される公知の化学発泡剤を使用することができる。具体的には、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等の無機系発泡剤、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド、アゾピスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド累、p−トルエンスルホニルセミカルバジド等の発泡剤が使用可能である。必要に応じてサリチル酸、尿素並びにこれらを含む発泡助剤を添加することは好適な態様である。勿論、発泡剤の種類は、使用する熱可塑性樹脂の溶融温度や目的とする発泡倍率等を考慮して選択される。また、その添加量は、目的とする成形品の強度、密度等を考慮して調整されるが、一般的に樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部である。また、化学発泡剤の他、液状又はガス状の二酸化炭素及び/又は窒素等を直接溶融樹脂中に圧入して発泡させてもよい。
【0036】
また、本発明に使用される金型は図1〜図3に示すものに限られず、図5に示すように、突条52を有する金型54と、突条52に対応する位置に凹部56を設けた金型58とを用いてもよい。この場合、突条52は、製造完了後の多層成形品10における表皮材12,16間の境界部、いわゆる合縁部18(図9参照)に相当する位置に設けられる。なお、図5に示す構成において図1に示す構成と同一又は相当部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
上記金型54,58を用いて図9の多層成形品10を製造する場合、図3に沿って説明したのと同様に表皮材12,16を金型54,58間の所定位置に配置した後、金型54を下降させると、表皮材12,16同士の重なり部分は図6に示すような状態となる。この状態では、突条52が溶融樹脂50の流れの向きを下向きとし、その後、凹部56の内面に沿って外方に流すため、より一層、溶融樹脂50が表皮材12,16の意匠面側(金型54に面する側)に入り込むことはなくなる。
【0038】
この溶融樹脂50の供給時には、金型54,58間のキャビティクリアランスが突条52の高さよりも小さい状態となるよう位置設定することが好ましい。すなわち、突条52の先端が凹部56内に僅かに入り込む位置となるようにするのがよい。仮にキャビティクリアランスが突条52の高さよりも大きな状態で溶融樹脂を供給した場合には、突条52が溶融樹脂50の流れ偏向機能ないしは堰としての機能を果たせず、表皮材12,16の意匠面側に溶融樹脂50が入り込んでしまい製品の外観不良をもたらすおそれがあるからである。
【0039】
溶融樹脂50の供給中又は供給完了後に型締めし、冷却・固化後に金型54,58から多層成形品10を取り出すことについては、上述と同様である。
【0040】
更にまた、上記実施形態では2種類(2枚)の表皮材12,16を用いているが、3種類(3枚)以上の表皮材を互いに隙間なく並置して基材に貼合一体化させる場合にも本発明は適用可能である。すなわち、本発明は、簡単には、複数枚の表皮材を階段状に重ねて並べ、最も樹脂供給ゲートに近い表皮材から溶融樹脂を流すことで、表皮材の意匠面側への溶融樹脂の回り込みや表皮材の位置ずれを防止すものであるので、例えば図7の(a),(b)に示すような態様で3枚以上の表皮材100,102,104,106を並べ、溶融樹脂50を供給する主たる樹脂供給ゲート36の位置を定めればよい。
【0041】
更に、上記実施形態では、成形装置20は型締め方向が上下方向であるいわゆる縦型のものを用いているが、本発明は、型締め方向が横方向、すなわち金型の少なくとも一方が横方向に可動である横型の成形装置にも適用可能である。
【0042】
また、上記実施形態では、表皮材に対して予め処理は行っていないが、表皮材に対して金型間への供給前に予備加熱したり、予備賦形を行ったりしてもよい。特に予備賦形を行った場合には、正確な位置決めを行うことができるという利点がある。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明の製造方法によれば、表皮材の位置決め性や外観が良好な多層成形品を効率良く製造することができる。また、樹脂供給ゲートの位置も一般的な位置でよいため、金型の製造に係るコストも少なくて済むという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多層成形品の製造方法に用いられ得る成形装置を示す概略図である。
【図2】図1のII−II線に沿っての概略矢視図である。
【図3】(a)〜(d)は本発明による多層成形品の製造方法を段階的に示す概略説明図であり、(d)は発泡性の基材を有する多層成形品を製造する場合の図である。
【図4】溶融樹脂の流れの状態を示す金型の拡大図である。
【図5】本発明による多層成形品の製造方法に用いられ得る成形装置の別の例を示す概略図である。
【図6】図5の成形装置を用いての多層成形品の製造方法を示す、図4と同様な図である。
【図7】(a)及び(b)はそれぞれ、表皮材が3枚以上の場合における本発明の適用例を示す概略説明図である。
【図8】従来一般の多層成形品の製造方法を示す概略説明図である。
【図9】本発明の方法により製造される多層成形品の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
10…多層成形品、12…表皮材、14…基材、16…表皮材、18…合縁部、20…成形装置、24,58…第1の金型、30,54…第2の金型、36…主たる樹脂供給ゲート、40…クランプ装置、48…キャビティ、50…溶融樹脂、52…突条、56…凹部。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂からなる基材と、該基材の表面の少なくとも一部に貼合一体化され且つ互いに隙間なく並置された2枚以上の表皮材とを備える多層成形品を製造する方法であって、
    溶融状態の熱可塑性樹脂を供給するための主たる樹脂供給ゲートを有する第1の金型、及び、前記第1の金型に対して開閉可能であり、閉じた際に前記第1の金型との間にキャビティを形成する第2の金型を用意するステップと、
    開放状態にある前記第1の金型と前記第2の金型との間の所定位置に前記2枚以上の表皮材を隣合うそれぞれの端縁が互いに重なるように配置するステップと、
    前記第1の金型と前記第2の金型との間の間隔を狭めて前記主たる樹脂供給ゲートから溶融状態の熱可塑性樹脂を供給し、充填するステップと
    を含み、
    前記2枚以上の表皮材のうち1枚の表皮材が前記主たる樹脂供給ゲートに対向する位置となるように、且つ、隣合う前記表皮材同士の重なり部分が、前記主たる樹脂供給ゲートに近い側の表皮材よりも前記主たる樹脂供給ゲートから遠い側の表皮材の方が前記第2の金型側に位置するように、前記2枚以上の表皮材を前記所定位置に配置することを特徴とする多層成形品の製造方法。
  2. 溶融状の熱可塑性樹脂を供給し、型締めすることを特徴とする請求項1に記載の多層成形品の製造方法。
  3. 型締め完了時において隣合う前記表皮材の端縁同士が重なることなく接する状態となるように、前記2枚以上の表皮材を前記所定位置に配置することを特徴とする請求項2に記載の多層成形品の製造方法。
  4. 前記第1の金型に凹部を設けると共に、前記第2の金型に前記凹部に対向する位置に突条を設け、
    製造完了後の多層成形品における隣合う表皮材間の合縁部が前記突条に相当する位置となるように、前記2枚以上の表皮材を前記所定位置に配置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層成形品の製造方法。
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