JP4197620B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電基板の表面に交差指状電極を設けた弾性表面波装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話機を始めとして、移動体通信端末機が急速な普及をみせている。この種の端末機は、持ち運びの便利さの観点から、特に小型軽量であることが望まれる。端末機の小型軽量化を達成するには、そこに使用される電子部品が小型軽量であることが必要である。このため、端末機の高周波部や中間周波部のフィルタには、小型軽量化に有利な弾性表面波装置、すなわち弾性表面波フィルタが多用されている。弾性表面波装置は、圧電基板の主面に、弾性表面波を励振し、受信し、反射し、または伝播するための交差指状電極を形成した構造を有する。この弾性表面波装置に使用される圧電基板としての重要な特性は、弾性表面波の表面波速度(SAW速度)、フィルタとして使用する場合の中心周波数または共振子として使用する場合の共振周波数の周波数温度係数(TCF)、および電気機械結合係数(k)である。
【0003】
従来、弾性表面波装置において一般に使用されてきた圧電基板としては、図1の表に示す単結晶とカット角の組み合わせがある。図1に示す公知の圧電基板は、速いSAW速度と大きな電気機械結合係数をもつ128°rotY LN(128LN)、64°rotY LN(64LN)および36°rotY LT(36LN)のグループと、比較的遅いSAW速度と小さな電気機械結合係数をもつ112°rotY LT(LT112)およびST水晶のグループとに大別できる。このうち、速いSAW速度と大きな電気機械結合係数をもつ圧電基板である128LN、64LNおよび36LTは、端末機の高周波部における弾性表面波フィルタに使用される。比較的遅いSAW速度と小さな電気機械結合係数をもつ圧電基板であるLT112およびST水晶は、端末機の中間周波部における弾性表面波フィルタに使用される。その理由は、弾性表面波フィルタの場合には、その中心周波数は、使用する圧電基板のSAW速度にほぼ比例し、基板上に形成する交差指状電極の電極指の幅にほぼ反比例するからである。
【0004】
したがって、高周波回路部で使用されるフィルタを構成するには、SAW速度が大きい基板が望まれることになる。さらに、端末機の高周波部に使用されるフィルタには、通過帯域幅が20MHz以上の広帯域のものが要求されるので、電気機械結合係数が大きいことも必要である。
【0005】
一方、移動体端末機の中間周波数としては、70〜300MHzの周波数帯が使用される。この周波数帯に中心周波数を有するフィルタを弾性表面波装置により構成する場合にSAW速度の大きい圧電基板を用いると、基板上に形成する電極指の幅を、高周波部に使用されるフィルタに比べて、中心周波数低下量に応じて大幅に増大させる必要があり、弾性表面波装置そのものが大きくなるという問題がある。従って、中間周波部用の弾性表面波フィルタには、SAW速度の遅いLT112やST水晶を使用することが一般的であった。特に、ST水晶は一次の周波数温度係数がゼロであり、好ましい圧電基板材料である。ST水晶は電気機械結合係数が小さいため、通過帯域の狭いフィルタしか構成できないが、中間周波数フィルタの役割は狭い一つのチャンネルの信号のみを通過させることであるので、電気機械結合係数が小さいことは、従来はさほど問題にはならなかった。
【0006】
しかし、近年になって、周波数資源の有効利用やデジタルデータ通信との適合性などの観点から、デジタル移動体通信システムが開発され、実用化されて、急速に普及してきている。このデジタル移動体通信システムの通過帯域幅は、数百KHzから数MHzまで、というように、非常に広帯域となっている。このような広帯域の中間周波数フィルタを弾性表面波装置により構成する場合には、ST水晶基板では、電気機械結合係数の面から実現は困難である。また、移動体端末機を一層小型なものとし、携帯の利便性を高めようとする場合には、中間周波数用弾性表面波フィルタの実装面積を小さくする必要があるが、従来、中間周波数用弾性表面波フィルタに適しているとされるST水晶やLT112は、いずれもSAW速度が3000m/secを越えており、小型化には限界がある。
【0007】
そこで、これらの問題を解決するために、CaGaGe14型結晶構造を持つLaGaSiO14単結晶が開発された(特許文献1参照)。しかしながら、このLaGaSiO14単結晶によっても、電気機械結合係数kが約0.37%であり、その改善が求められていた。
【0008】
また、特許文献2では、CaGaGe14型結晶構造を有し、その主要な成分がLa、Sr、Ta、GaおよびSiからなり、組成式La3−x SrTaGa6−y−z Si14(ただし、0<x<3、0<y<1、0<z<2)で表される圧電単結晶材料が、本件出願人により提案されている。この圧電単結晶材料によれば、デバイスとして望ましい方位における圧電特性の温度依存性を改善することができる。しかしながら、この特許文献2には、前記圧電単結晶材料をデバイスにどのような態様で適用すべきかについては、具体的に開示されていない。
【0009】
【特許文献1】
特許第3188480号公報
【特許文献2】
特開2002−348197号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、通過帯域の広域化に有効な高い電気機械結合係数をもち、しかも、弾性表面波装置の小型化に有効な遅いSAW速度を有する圧電基板を用いた広帯域で小型の弾性表面波装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、
圧電基板の表面に交差指状電極を有する弾性表面波装置であって、
前記圧電基板が、単結晶で構成してあり、
該単結晶が、点群32に属し、CaGaGe14型結晶構造を有し、その主要な成分がLa、Sr、Ta、Ga、SiおよびOからなり、化学式La3−x SrTaGaSi14(ただし、0.90≦x≦0.95、0.48≦y≦0.50、4.54≦z≦4.59、0.94≦w≦0.98)で表され、
前記圧電基板の結晶方位(=前記圧電基板の単結晶からの切り出し角またはカット角。以下同様)および前記圧電基板の弾性表面波伝播方向をオイラー角表示で(φ、θ、ψ)と表したとき、該φ、θおよびψが、下記領域1から6までのいずれか、または該領域と結晶学的に等価な領域に存在することを特徴とする弾性表面波装置が提供される。
【0012】
(領域1)
φ=0°〜5°(ただし、5°を含まない)、
θ=90°〜120°、
ψ=0°〜20°。
(領域2)
φ=0°〜5°(ただし、5°を含まない)、
θ=130°〜145°、
ψ=15°〜25°。
(領域3)
φ=5°〜15°(ただし、15°を含まない)、
θ=80°〜160°、
ψ=−15°〜15°。
(領域4)
φ=5°〜15°(ただし、15°を含まない)、
θ=25°〜45°、
ψ=20°〜30°。
(領域5)
φ=15°〜25°、
θ=20°〜160°、
ψ=−10°〜20°。
(領域6)
φ=25°〜30°(ただし、25°を含まない)、
θ=20°〜90°、
ψ=−10°〜20°。
【0013】
【作用】
本発明の弾性表面波装置に使用される圧電基板は、CaGaGe14型の結晶構造を有する化学式La3−x SrTaGaSi14単結晶で構成され、高い電気機械結合係数(好ましくは0.5%以上、より好ましく0.7%以上)と、遅いSAW速度(好ましくは2800m/sec以下、より好ましくは2700m/sec以下、さらに好ましくは2650m/sec以下)とを、持つ。
本発明では、このような、特定組成の単結晶を弾性表面波装置の基板に適用するに際し、結晶のカット方向と弾性表面波の伝播方向とを選択する。これにより、広帯域で小型の弾性表面波装置を実現することができる。
【0014】
本発明の弾性表面波装置は、広帯域におけるフィルタに好適に用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。ここにおいて、
図1は弾性表面波装置に使用される従来の圧電基板とその特性を示す表、
図2は本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置を示す斜視図、
図3〜8は本発明の実施例1〜2による弾性表面波装置用の圧電基板の特性を示す表、
図9,11,13,15,17,19はそれぞれ図3〜8に示す実施例1の圧電基板におけるSAW速度を角θと角ψの関係で示す図表、
図10,12,14,16,18,20はそれぞれ図3〜8に示す実施例1の圧電基板における電気機械結合係数を角θと角ψの関係で示す図表、である。
【0016】
図2に示すように、本実施形態に係る弾性表面波装置10は、圧電基板1の表面に一組の交差指状電極2,2を有する。圧電基板1は単結晶で構成してある。
【0017】
本発明で用いるこの単結晶は、点群32に属し、CaGaGe14型結晶構造を有し、その主要な成分がLa、Sr、Ta、Ga、SiおよびOからなり、化学式La3−x SrTaGaSi14で表される。
化学式中のx,y,z,wは、0.90≦x≦0.95、0.48≦y≦0.50、4.54≦z≦4.59、0.94≦w≦0.98である。
【0018】
図2中のx軸、y軸およびz軸は互いに直交している。x軸およびy軸は基板1の面内方向にあり、x軸は弾性表面波の伝播方向を規定する。また、基板1面に垂直なz軸は、単結晶基板の切り出し角(カット面)を規定する。これらx軸、y軸およびz軸と、単結晶の結晶軸であるX軸、Y軸およびZ軸との関係は、オイラー角表示(φ,θ,ψ)で表わすことができる。
【0019】
本実施形態に係る弾性表面波装置10における切り出し角および伝播方向をオイラー角表示(φ,θ,ψ)で表わしたとき、φ、θおよびψは下記各領域、または下記各領域と結晶学的に等価な領域に存在する。
【0020】
(領域1)領域1は、φ=0°〜5°(ただし、5°を含まない)、θ=90°〜120°、ψ=0°〜20°で表される。この領域1は、φ=0°〜5°(ただし、5°を含まない)、θ=90°〜120°、ψ=−20°〜0°で表される領域と結晶学的に等価である。
【0021】
(領域2)領域2は、φ=0°〜5°(ただし、5°を含まない)、θ=130°〜145°、ψ=15°〜25°で表される。この領域2は、φ=0°〜5°(ただし、5°を含まない)、θ=130°〜145°、ψ=−25°〜−15°で表される領域と結晶学的に等価である。領域2内においては、φ=0°〜5°、θ=140°〜145°、ψ=15°〜25°の範囲とすることが好ましい。
【0022】
(領域3)領域3は、φ=5°〜15°(ただし、15°を含まない)、θ=80°〜160°、ψ=−15°〜15°で表される。領域3内においては、φ=5°〜15°、θ=110°〜160°、ψ=−15°〜10°の範囲とすることが好ましい。
【0023】
(領域4)領域4は、φ=5°〜15°(ただし、15°を含まない)、θ=25°〜45°、ψ=20°〜30°で表される。
【0024】
(領域5)領域5は、φ=15°〜25°、θ=20°〜160°、ψ=−10°〜20°で表される。領域4内においては、φ=15°〜25°、θ=45°〜160°、ψ=−10°〜10°の範囲とすることが好ましい。
【0025】
(領域6)領域6は、φ=25°〜30°(ただし、25°を含まない)、θ=20°〜90°、ψ=−10°〜20°で表される。この領域6は、φ=25°〜30°(ただし、25°を含まない)、θ=90°〜160°、ψ=−10°〜20°で表される領域と結晶学的に等価である。
【0026】
オイラー角φ、θおよびψが、領域1もしくは4、またはこれと結晶学的に等価な領域に存在することで、基板のSAW速度が2650m/sec以下となり、ST水晶に比べて低い値を示し、しかも基板の電気機械結合係数が0.5%以上となり、LaGaSiO14と比較しても十分に大きい値を示すφ、θおよびψの組み合わせが存在する。
【0027】
オイラー角φ、θおよびψが、領域2もしくは3、またはこれと結晶学的に等価な領域に存在することで、基板のSAW速度が2800m/sec以下となり、ST水晶に比べて低い値を示し、しかも基板の電気機械結合係数が0.5%以上となり、LaGaSiO14と比較しても十分に大きい値を示すφ、θおよびψの組み合わせが存在する。
【0028】
オイラー角φ、θおよびψが、領域5もしくは6、またはこれと結晶学的に等価な領域に存在することで、基板のSAW速度が2700m/sec以下となり、ST水晶に比べて低い値を示し、しかも基板の電気機械結合係数が0.5%以上となり、LaGaSiO14と比較しても十分に大きい値を示すφ、θおよびψの組み合わせが存在する。
【0029】
本発明で用いる化学式La3−x SrTaGaSi14で表される単結晶は、結晶の対称性(点群32)から、互いに等価なオイラー角の組み合わせが存在する。このため、上述した各領域を示す角度以外に、これと結晶学的に等価な角度に対しても同様な効果を得ることができる。
【0030】
CaGaGe14型の結晶構造を持つ単結晶基板では、φ=120〜240゜およびφ=240〜360゜(−120〜0゜)はφ=0〜120゜と等価である。たとえば、φ=130゜およびφ=250゜はφ=10゜と等価である。θ=360〜180゜(0〜−180゜)はθ=0〜180゜と等価である。たとえば、θ=330゜はθ=150゜と等価である。ψ=90〜270゜はψ=−90〜90゜と等価である。たとえば、ψ=240゜はψ=60゜と等価である。
【0031】
CaGaGe14型の結晶構造を持つ単結晶基板では、φ=0〜30゜の範囲の特性を調べることにより、すべてのカット角および伝播方向についての特性を知ることができる。したがって、化学式La3−x SrTaGaSi14で表される単結晶基板におけるすべてのカット角および伝播方向についての特性を知るためには、φ=0〜30゜、θ=0〜180゜、ψ=−90〜90゜の範囲についてだけ調べればよい。この(φ,θ,ψ)の組み合わせから、φ=30〜120゜において同特性を示す等価な(φ,θ,ψ)の組み合わせがわかる。
【0032】
具体的には、30゜≦φ≦60゜の範囲では、φ=60゜−φ、θ=180゜−θ、ψ=ψ+180によって、(φ,θ,ψ)と等価な(φ,θ,ψ)を求めることができる。60゜≦φ≦90゜の範囲では、φ=60゜+φ、θ=−θ、ψ=ψ+180によって、(φ,θ,ψ)と等価な(φ,θ,ψ)を求めることができる。90゜≦φ≦120゜の範囲では、φ=120゜−φ、θ=θ+180、ψ=ψによって、(φ,θ,ψ)と等価な(φ,θ,ψ)を求めることができる。そして、上記した対称性に基づいて、すべての(φ,θ,ψ)における特性を知ることができる。
【0033】
等価な角度の組み合わせの例としては、たとえば、以下のものが挙げられる。領域1におけるオイラー角φ、θおよびψについての0°、105°および10°の組み合わせは、60°、75°および−10°の組み合わせや、120°、−75°および10°の組み合わせと等価である。
【0034】
領域2におけるオイラー角φ、θおよびψについての0°、145°および20°の組み合わせは、0°、35°および20°の組み合わせや、60°、35°および−160°の組み合わせと等価である。
【0035】
領域6におけるオイラー角φ、θおよびψについての30°、40°および10°の組み合わせは、90°、−40°および−170°の組み合わせや、90°、−140°および10°の組み合わせと等価である。
【0036】
本発明において限定する上記各領域は、このような結晶の対称性に基づく等価な(φ,θ,ψ)の組み合わせを包含するものとする。
【0037】
本発明では、ランガサイト型の結晶構造を有する化学式La3−x SrTaGaSi14単結晶を、弾性表面波装置の基板に適用するに際し、結晶のカット方向と弾性表面波の伝播方向とを選択することで、広帯域で小型の弾性表面波装置を実現することができる。
【0038】
なお、本発明で用いる化学式La3−x SrTaGaSi14単結晶は、酸素欠陥を有するものであってもよく、たとえば、Al、Zr、Si、Ca、Sr等の不可避的不純物を含んでもよい。
【0039】
化学式La3−x SrTaGaSi14単結晶の製造方法は、特に限定されず、通常の単結晶育成法、たとえばCZ法などにより製造すればよい。
【0040】
圧電基板1の表面に形成される交差指状電極2は、弾性表面波を励振、受信、反射、伝播するための薄膜電極であり、周期的なストライプ状に形成される。交差指状電極2は、弾性表面波伝播方向が上記した所定の方向となるようにパターニングがなされる。交差指状電極2は、AuやAlなどを用いて蒸着やスパッタなどにより形成すればよい。交差指状電極2の電極指幅は、弾性表面波装置が適用される周波数に応じて適宜決定すればよく、本発明が適用される好ましい周波数帯域では、一般に2〜15μm程度である。
【0041】
次に、本発明の実施の形態をより具体化した実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0042】
【実施例】
実施例1〜2
まず、高周波加熱によるチョクラルスキー(CZ)法(回転引き上げ法)により、化学式La2.10Sr0.90Ta0.48Ga4.59Si0.9414単結晶(組成1)、および化学式La2.05Sr0.95Ta0.50Ga4.54Si0.9814単結晶(組成2)を結晶育成させた。なお、化学式La3−x SrTaGaSi14において、組成1の単結晶は、x=0.90、y=0.48、z=4.59、w=0.94のときの組成であり、組成1の単結晶は、x=0.95、y=0.50、z=4.54、w=0.98のときの組成である。
【0043】
次に、得られた組成1および組成2の単結晶から、面内+X方向にオリエンテーションフラットを持つ(010)カットのウエハ(オイラー角表示でφ=0°、θ=90°相当)を作製し、片面を鏡面研磨、反対面をグリーンカーボン(GC#2000)で荒らして基板を作製した。
【0044】
得られた基板の表面に、図2に示すような一組の交差指状電極からなる弾性表面波変換器を形成し、弾性表面波装置とした。なお、交差指状電極は、入力側、出力側共にAlの蒸着により形成し、厚さは0.3μm、電極指幅dは15μm、電極ピッチ(4d)は60μm、電極指対数は20とした。
【0045】
図2において、x、y、zと記した軸はオイラー角により変換された軸であり、x軸は弾性表面波の伝播方向、y軸は基板の面内で弾性表面波伝播方向と直交する方向、z軸は基板表面と直交する方向である。xについては、ψ=0°(結晶軸でx方向に相当)、10°、20°となるように、基板の切り出し角と弾性表面波伝播方向を変えて、複数の弾性表面波装置を作製した。
【0046】
そして、それぞれの弾性表面波装置におけるSAW速度と電気機械結合係数を求め、図3(領域1)、図4(領域2)、図5(領域3)、図6(領域4)、図7(領域5)および図8(領域6)に示した。
【0047】
組成1の単結晶に関しては、2次元的に表した図表を図9〜20に示した。具体的には、図3のデータに基づき、φ=0°におけるψ=0°での対称性を考慮して、SAW速度と電気機械結合係数を2次元的に表した図表を図9〜10に示した。図4のデータに基づき、SAW速度と電気機械結合係数を2次元的に表した図表を図11〜12に示した。図5のデータに基づき、SAW速度と電気機械結合係数を2次元的に表した図表を図13〜14に示した。図6のデータに基づき、SAW速度と電気機械結合係数を2次元的に表した図表を図15〜16に示した。図7のデータに基づき、SAW速度と電気機械結合係数を2次元的に表した図表を図17〜18に示した。図8のデータに基づき、SAW速度と電気機械結合係数を2次元的に表した図表を図19〜20に示した。
【0048】
なお、SAW速度は、前述した交差指状電極構成でのフィルタ特性の中心周波数の測定値に、弾性表面波波長を乗じることにより求めた。電気機械結合係数は、前述した入出力用交差指状電極のうちの一方、たとえば入力用の、二端子アドミッタンスを測定し、このアドミッタンスの実部(コンダクタンス)と虚部(サセプタンス)とから、スミスの等価回路による方法により求めた。以上の特性については、装置の周囲温度を25℃に保って測定した。
【0049】
考察
図3、9および10に示すように、角φが0°の場合に、角θが90°から120°の範囲にあり、角ψが0°から20°の範囲において、電気機械結合係数が0.5%以上になり、SAW速度が2650m/sec以下になる組み合わせが存在することが確認された。また、角φが0°から5°(ただし、5°を含まない)までの他の範囲についても同様な効果が得られることが確認された。
【0050】
図4、11および12に示すように、角φが0°の場合に、角θが130°から145°の範囲で、角ψが15°から25°の範囲において、電気機械結合係数が0.5%以上になり、SAW速度が2800m/sec以下になる組み合わせが存在することが確認された。また、角φが0°から5°(ただし、5°を含まない)までの他の範囲についても、同様な効果が得られることが確認された。
【0051】
図5、13および14に示すように、角φが10°の場合に、角θが80°から160°の範囲で、角ψが−15°から15°の範囲において、電気機械結合係数が0.5%以上になり、SAW速度が2800m/sec以下になる組み合わせが存在することが確認された。また、角φが5°から15°(ただし、15°を含まない)までの他の範囲についても、同様な効果が得られることが確認された。
【0052】
図6、15および16に示すように、角φが10°の場合に、角θが25°から45°の範囲で、角ψが20°から30°の範囲において、電気機械結合係数が0.5%以上になり、SAW速度が2650m/sec以下になることが確認された。また、角φが5°から15°(ただし、15°を含まない)までの他の範囲についても、同様な効果が得られることが確認された。
【0053】
図7、17および18に示すように、角φが20°の場合に、角θが20°から160°の範囲で、角ψが−10°から20°の範囲において、電気機械結合係数が0.5%以上になり、SAW速度が2700m/sec以下になることが確認れた。また、角φが15°から25°までの他の範囲についても、同様な効果が得られることが確認された。
【0054】
図8、19および20に示すように、角φが30°の場合に、角θが20°から90°の範囲で、角ψが−10°から20°の範囲において、電気機械結合係数が0.5%以上になり、SAW速度が2700m/sec以下になる組み合わせが存在することが確認された。また、角φが25°から30°(ただし、25°を含まない)までの他の範囲についても同様な効果が得られることが確認された。
【0055】
以上、本発明の実施形態および実施例について説明してきたが、本発明はこうした実施形態および実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0056】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、通過帯域の広域化に有効な高い電気機械結合係数をもち、しかも、弾性表面波装置の小型化に有効な遅いSAW速度を有する圧電基板を用いた広帯域で小型の弾性表面波装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は弾性表面波装置に使用される従来の圧電基板とその特性を示す表である。
【図2】図2は本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置を示す斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施例1〜2による弾性表面波装置用の圧電基板の特性を示す表である。
【図4】図4は本発明の実施例1〜2による弾性表面波装置用の圧電基板の特性を示す表である。
【図5】図5は本発明の実施例1〜2による弾性表面波装置用の圧電基板の特性を示す表である。
【図6】図6は本発明の実施例1〜2による弾性表面波装置用の圧電基板の特性を示す表である。
【図7】図7は本発明の実施例1〜2による弾性表面波装置用の圧電基板の特性を示す表である。
【図8】図8は本発明の実施例1〜2による弾性表面波装置用の圧電基板の特性を示す表である。
【図9】図9は図3に示す実施例1の圧電基板におけるSAW速度を角θと角ψの関係で示す図表である。
【図10】図10は図3に示す実施例1の圧電基板における電気機械結合係数を角θと角ψの関係で示す図表である。
【図11】図11は図4に示す実施例1の圧電基板におけるSAW速度を角θと角ψの関係で示す図表である。
【図12】図12は図4に示す実施例1の圧電基板における電気機械結合係数を角θと角ψの関係で示す図表である。
【図13】図13は図5に示す実施例1の圧電基板におけるSAW速度を角θと角ψの関係で示す図表である。
【図14】図14は図5に示す実施例1の圧電基板における電気機械結合係数を角θと角ψの関係で示す図表である。
【図15】図15は図6に示す実施例1の圧電基板におけるSAW速度を角θと角ψの関係で示す図表である。
【図16】図16は図6に示す実施例1の圧電基板における電気機械結合係数を角θと角ψの関係で示す図表である。
【図17】図17は図7に示す実施例1の圧電基板におけるSAW速度を角θと角ψの関係で示す図表である。
【図18】図18は図7に示す実施例1の圧電基板における電気機械結合係数を角θと角ψの関係で示す図表である。
【図19】図19は図8に示す実施例1の圧電基板におけるSAW速度を角θと角ψの関係で示す図表である。
【図20】図20は図8に示す実施例1の圧電基板における電気機械結合係数を角θと角ψの関係で示す図表である。
【符号の説明】
10… 弾性表面波装置
1… 圧電基板
2… 交差指状電極

Claims (6)

  1. 圧電基板の表面に交差指状電極を有する弾性表面波装置であって、
    前記圧電基板が、単結晶で構成してあり、
    該単結晶が、点群32に属し、CaGaGe14型結晶構造を有し、その主要な成分がLa、Sr、Ta、Ga、SiおよびOからなり、化学式La3−x SrTaGaSi14(ただし、0.90≦x≦0.95、0.48≦y≦0.50、4.54≦z≦4.59、0.94≦w≦0.98)で表され、
    前記圧電基板の結晶方位および前記圧電基板の弾性表面波伝播方向をオイラー角表示で(φ、θ、ψ)と表したとき、該φ、θおよびψが下記領域1、または下記領域1と結晶学的に等価な領域に存在することを特徴とする弾性表面波装置。
    (領域1)
    φ=0°〜5°(ただし、5°を含まない)、
    θ=90°〜120°、
    ψ=0°〜20°。
  2. 圧電基板の表面に交差指状電極を有する弾性表面波装置であって、
    前記圧電基板が、単結晶で構成してあり、
    該単結晶が、点群32に属し、CaGaGe14型結晶構造を有し、その主要な成分がLa、Sr、Ta、Ga、SiおよびOからなり、化学式La3−x SrTaGaSi14(ただし、0.90≦x≦0.95、0.48≦y≦0.50、4.54≦z≦4.59、0.94≦w≦0.98)で表され、
    前記圧電基板の結晶方位および前記圧電基板の弾性表面波伝播方向をオイラー角表示で(φ、θ、ψ)と表したとき、該φ、θおよびψが下記領域2、または下記領域2と結晶学的に等価な領域に存在することを特徴とする弾性表面波装置。
    (領域2)
    φ=0°〜5°(ただし、5°を含まない)、
    θ=130°〜145°、
    ψ=15°〜25°。
  3. 圧電基板の表面に交差指状電極を有する弾性表面波装置であって、
    前記圧電基板が、単結晶で構成してあり、
    該単結晶が、点群32に属し、CaGaGe14型結晶構造を有し、その主要な成分がLa、Sr、Ta、Ga、SiおよびOからなり、化学式La3−x SrTaGaSi14(ただし、0.90≦x≦0.95、0.48≦y≦0.50、4.54≦z≦4.59、0.94≦w≦0.98)で表され、
    前記圧電基板の結晶方位および前記圧電基板の弾性表面波伝播方向をオイラー角表示で(φ、θ、ψ)と表したとき、該φ、θおよびψが下記領域3、または下記領域3と結晶学的に等価な領域に存在することを特徴とする弾性表面波装置。
    (領域3)
    φ=5°〜15°(ただし、15°を含まない)、
    θ=80°〜160°、
    ψ=−15°〜15°。
  4. 圧電基板の表面に交差指状電極を有する弾性表面波装置であって、
    前記圧電基板が、単結晶で構成してあり、
    該単結晶が、点群32に属し、CaGaGe14型結晶構造を有し、その主要な成分がLa、Sr、Ta、Ga、SiおよびOからなり、化学式La3−x SrTaGaSi14(ただし、0.90≦x≦0.95、0.48≦y≦0.50、4.54≦z≦4.59、0.94≦w≦0.98)で表され、
    前記圧電基板の結晶方位および前記圧電基板の弾性表面波伝播方向をオイラー角表示で(φ、θ、ψ)と表したとき、該φ、θおよびψが下記領域4、または下記領域4と結晶学的に等価な領域に存在することを特徴とする弾性表面波装置。
    (領域4)
    φ=5°〜15°(ただし、15°を含まない)、
    θ=25°〜45°、
    ψ=20°〜30°。
  5. 圧電基板の表面に交差指状電極を有する弾性表面波装置であって、
    前記圧電基板が、単結晶で構成してあり、
    該単結晶が、点群32に属し、CaGaGe14型結晶構造を有し、その主要な成分がLa、Sr、Ta、Ga、SiおよびOからなり、化学式La3−x SrTaGaSi14(ただし、0.90≦x≦0.95、0.48≦y≦0.50、4.54≦z≦4.59、0.94≦w≦0.98)で表され、
    前記圧電基板の結晶方位および前記圧電基板の弾性表面波伝播方向をオイラー角表示で(φ、θ、ψ)と表したとき、該φ、θおよびψが下記領域5、または下記領域5と結晶学的に等価な領域に存在することを特徴とする弾性表面波装置。
    (領域5)
    φ=15°〜25°、
    θ=20°〜160°、
    ψ=−10°〜20°。
  6. 圧電基板の表面に交差指状電極を有する弾性表面波装置であって、
    前記圧電基板が、単結晶で構成してあり、
    該単結晶が、点群32に属し、CaGaGe14型結晶構造を有し、その主要な成分がLa、Sr、Ta、Ga、SiおよびOからなり、化学式La3−x SrTaGaSi14(ただし、0.90≦x≦0.95、0.48≦y≦0.50、4.54≦z≦4.59、0.94≦w≦0.98)で表され、
    前記圧電基板の結晶方位および前記圧電基板の弾性表面波伝播方向をオイラー角表示で(φ、θ、ψ)と表したとき、該φ、θおよびψが下記領域6、または下記領域6と結晶学的に等価な領域に存在することを特徴とする弾性表面波装置。
    (領域6)
    φ=25°〜30°(ただし、25°を含まない)、
    θ=20°〜90°、
    ψ=−10°〜20°。
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