(前提事項)
本発明の各実施形態を説明するに当たっての前提事項について説明する。
通常、フォトマスクは縮小投影型の露光機で使用されるため、マスク上のパターン寸法を議論する場合には縮小倍率を考慮しなければならない。しかし、以下の各実施形態を説明する際には、混乱を避けるため、形成しようとする所望のパターン(例えばレジストパターン)と対応させてマスク上のパターン寸法を説明する場合、特に断らない限り縮小倍率で該寸法を換算した値を用いている。具体的には、M分の1縮小投影システムにおいて、幅M×100nmのマスクパターンによって幅100nmのレジストパターンを形成した場合にも、マスクパターン幅及びレジストパターン幅は共に100nmであると表現する。
また、本発明の各実施形態においては、特に断らない限り、M及びNAは露光機の縮小投影光学系の縮小倍率及び開口数をそれぞれ表し、λは露光光の波長を表すものとする。
また、本発明の各実施形態において、種々の光学特性における効果が得られるパターン寸法を規定する場合において当該パターン寸法の上限のみを記載している場合、当該パターン寸法の下限は0.02×λ/NA×Mであるとする。その理由は、単独で存在するパターンの寸法が0.02×λ/NA×M程度以下になると、当該パターンが開口部であっても又は遮光部であっても、当該パターンによって有意な光学特性的効果が得られることがないことは経験的上明らかなためである。例えば、パターン寸法が0.8×λ/NA×M以下で特定の効果が得られると記載している場合、当該特定の効果が得られるパターン寸法の範囲は0.02×λ/NA×M以上で且つ0.8×λ/NA×M以下であること意味することになる。
また、本発明の各実施形態において、パターン形成については、レジストの非感光領域がレジストパターンとなるポジ型レジストプロセスを想定して説明する。尚、ポジ型レジストプロセスに代えてネガ型レジストプロセスを用いる場合、ネガ型レジストプロセスにおいては、レジストの非感光領域が除去されるので、ポジ型レジストプロセスにおけるレジストパターンをスペースパターンと読み替えればよい。
また、本発明の各実施形態において、フォトマスクとしては透過型マスクを前提として説明する。尚、透過型マスクに代えて反射型マスクを前提とする場合、反射型マスクにおいては、透過型マスクの透光領域及び遮光領域がそれぞれ反射領域及び非反射領域となるので、透過型マスクの透過現象を反射現象と読み替えればよい。具体的は、透過型マスクの透過性基板を、露光光を反射する反射性膜が表面に形成された基板と読み替え、透光部又は透光領域を反射部又は反射領域と読み替え、遮光部を非反射部と読み替えればよい。さらに、透過型マスクにおける光を部分的に透過する領域を反射型マスクにおける光を部分的に反射する領域と読み替えればよく、透過率を反射率と読み替えればよい。また、半遮光部を半反射部と読み替えればよい。尚、反射型マスクにおいて、位相シフター部とは、反射部で反射される光に対して位相差を生じるように光を反射する領域である。
また、以下の各実施形態においてマスクパターンの透過率を議論する場合、マスクパターン各部の絶対的な透過率ではなく、透過性基板の露光光に対する透過率を基準(100%)とした相対透過率を用いる。従って、透過型マスクに代えて反射型マスクを対象として透過率を反射率に読み替える場合においても、マスクパターン各部の絶対的な反射率ではなく、反射性膜が表面に形成された基板の露光光に対する反射率を基準(100%)とした相対反射率を用いる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るフォトマスクについて図面を参照しながら説明する。
図1(a)は所望のレジストパターン形状を表す図であり、図1(b)は第1の実施形態に係るフォトマスクの平面図である。尚、図1(b)において、透過性基板については斜視図的に示している。
図1(a)に示すように、所望のパターンは、互いに近接して対向する一対の矩形状のレジストパターン200である。
図1(b)に示すように、本実施形態のフォトマスクにおいては、透過性基板100上の十分に広い領域に亘って透光部104(第2の透光部104B)が設けられている。また、露光によりウェハ上に形成しようとするレジストパターン(所望のパターン)200と対応する位置の透過性基板100上には、一対の矩形状の遮光部101よりなるマスクパターンが設けられている。本実施形態においては、レジストパターン200と対応する当該マスクパターンは、互いに近接して対向する一対のパターン領域(一対の遮光部101)を有する。また、本実施形態の特徴として、前記一対のパターン領域の間の領域(パターン対向領域)105に位置する第1の透光部104Aと各パターン領域(つまり各遮光部101)との間には半遮光部102が介在する。言い換えると、対向領域105においては、各パターン領域である各遮光部101から半遮光部102を挟んで離れた位置に第1の透光部104Aが設けられている。また、本実施形態においては、パターン対向領域105側の角部を含む各遮光部101(つまり各パターン領域)の角部の周辺にも半遮光部102が配置されている。尚、各遮光部101の角部の周辺に形成されている半遮光部102の幅は、各遮光部101の角部以外の部分の周辺に形成されている半遮光部102の幅よりも大きい。言い換えると、各遮光部101の角部の周辺に形成されている半遮光部102は、各遮光部101の角部以外の部分の周辺に形成されている半遮光部102から突出するように設けられている。
以上に説明した本実施形態のフォトマスクの構成によると、パターン対向領域においてもMEFを低減させることができると共に、形成されるレジストパターンの角部の丸み及びそれに伴う端部の後退を抑制できる。従って、例えば複数のトランジスタが隣接する回路レイアウトを有するパターンの形成に本実施形態のフォトマスクを適用した場合には、ゲート層パターンの対向領域の縮小と当該対向領域におけるゲート突き出し量の縮小とが可能になるので、高密度にトランジストを配置してLSIの集積化を実現することができる。
また、本実施形態においては、半遮光部102はパターン対向領域105の第1の透光部104Aを取り囲むように配置されている。このような構成は、特にレジストパターン間のスペース寸法が微細になる場合に望ましい構成である。
また、本実施形態においては、半遮光部102はマスクパターンの周縁部(つまり各パターン領域となる遮光部101の周縁部)を取り囲むように配置されている。このような構成により、マスクパターン作成において近接効果補正(OPC)の実施を容易に行うことができる。
尚、遮光部101とは実質的に光を透過させない部分である。但し、実用上、遮光部101が露光光に対して1%程度の透過率を有していてもよいが、その場合においても、遮光部101の効果は透過率が0%の遮光部と実質的に同等であるものとする。また、半遮光部102は部分的に光を透過させる部分である。別の表現をするならば、半遮光部102は、同時に存在する遮光部101よりも光を透過させ、且つ、同時に存在する透光部104A及び104Bよりも光を透過させない部分である。ここで、半遮光部102を透過する光と透光部104A及び104Bを透過する光とは同位相の関係(具体的には両者の位相差が(−30+360×n)度以上で且つ(30+360×n)度以下(但しnは整数)となる関係)にある。
図1(c)は、図1(b)の平面図に示すフォトマスクの断面構成の一例を示している。具体的には、図1(c)は、図1(b)に示される線分ABに対応する部分の断面構造を表している。図1(c)に示すように、本実施形態においては、透過性基板の一例として石英基板110を用いており、透光部104A及び104Bは石英基板110の露出領域である。半遮光部102は、例えばMoよりなる金属薄膜112を半遮光膜として石英基板110上に堆積することによって形成されている。金属薄膜112の構成材料としては、Moの他に例えばTa等を用いることができる。具体的には、厚さ10〜30nm程度の金属薄膜112によって、波長193nmの光に対して5〜50%程度の透過率を実現することができる。遮光部101は、金属薄膜112の上に例えばCr膜111を遮光膜としてさらに積層することによって形成されている。具体的には、厚さ50nm程度のCr膜111を単独で例えば石英基板110上に堆積した場合、波長193nmの光に対して1%程度の透過率を持つ遮光部101を実現でき、厚さ100nm程度のCr膜112を単独で例えば石英基板110上に堆積した場合、波長193nmの光に対して0.1%未満の透過率を持つ遮光部101を実現できる。よって、本実施形態のように、例えばMoよりなる金属薄膜112の上にCr膜111を積層した場合には、実質的に光を透過させない遮光部101を実現できる。
以下、上記のように構成された本実施形態のフォトマスクが、ウェハ上にパターンを形成する上で優れたパターン形成特性、具体的には、MEF低減効果と、レジストパターンの角部の丸みの抑制効果とを発揮することをシミュレーション結果に基づいて説明する。尚、以下の説明においては、特に断らない限り、シミュレーションにおける光学計算の露光条件は、露光波長λが193nm、開口数NAが0.85である。また、照明条件としては、外径の干渉度が0.8、内径の干渉度が0.53となる2/3輪帯照明を用いる。また、半遮光部の露光光に対する透過率は15%である。
図2(a)、(b)、図3(a)、(b)及び図4(a)、(b)は、本実施形態のフォトマスクによってレジストパターンの角部の丸みの抑制が可能なことを説明するための図である。尚、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)及び図4(a)、(b)において、パターン対向領域及びその周辺部をパターン対向方向に拡大して示している。
まず、図2(a)は、遮光部のみによって構成された比較例のフォトマスクの平面構成を表している。具体的には、図2(a)に示すフォトマスクにおいては、互いに近接して対向する一対の矩形パターン(遮光部101)がマスクパターンとして設けられている。ここで、各矩形パターンのサイズは600nm×200nmであり、矩形パターンの間隔(対向間隔)、つまり矩形パターンの対向方向における対向領域の長さ(対向長)はSである。尚、図2(a)に示すフォトマスクにおいては、矩形パターンの対向方向と垂直な方向における対向領域の幅(対向幅)が、各矩形パターンの200nmの長さの辺によって規定されるように、各矩形パターンが配置されている。以下、図2(a)に示すフォトマスクを「Type1」と称する。
図2(b)は、図2(a)に示すフォトマスクに対して露光を行い、それによって、対向間隔の仕上がり寸法(CD値)が80nmとなるように一対のレジストパターンを形成した様子をシミュレーションした結果を示す。図2(b)に示すシミュレーション結果から分かるように、図2(a)に示すフォトマスクによって形成される一対のレジストパターン119においては角部が丸くなる結果、対向間隔のCD値が80nmとなるのは、丸くなったライン端部の先端のみである。すなわち、各レジストパターン119における対向間隔のCD値が80nmとなる箇所の近傍ではパターン幅を十分に確保することができない。
図3(a)は、図2(a)に示すフォトマスクに対して、矩形パターン(遮光部101)の対向領域の周辺(具体的には対向領域の上側領域及び下側領域)に300nm×100nmのサイズの半遮光部102が設けられたフォトマスクの平面構成を表している。尚、図3(a)に示すフォトマスクにおいては、各矩形パターンとオーバーラップするように半遮光部102が設けられている。ここで、各矩形パターン(遮光部101)と半遮光部102とのオーバーラップ幅は、(100nm−Snm)/2となる。以下、図3(a)に示すフォトマスクを「Type2」と称する。
図3(b)は、図3(a)に示すフォトマスクに対して露光を行い、それによって、対向間隔の仕上がり寸法(CD値)が80nmとなるように一対のレジストパターンを形成した様子をシミュレーションした結果を示す。図3(b)に示すシミュレーション結果から分かるように、図3(a)に示すフォトマスクによって形成される一対のレジストパターン119においては角部が丸くなることが抑制されており、その結果、各レジストパターン119における対向間隔のCD値が80nmとなる箇所の近傍でもパターン幅を十分に確保することができる。
図4(a)は、図3(a)に示すフォトマスクに対して、各矩形パターン(遮光部101)と対向領域内の第1の透光部104Aとの間にさらに半遮光部102が設けられたフォトマスクの平面構成を表している。以下、図4(a)に示すフォトマスクを「Type3」と称する。尚、「Type3」のフォトマスクは、図3(a)に示すフォトマスクの矩形パターン(遮光部101)の一部(対向領域の近傍部分)を半遮光部102に置き換えたものであり、対向間隔Sは、対向領域のうち半遮光部102を除いた部分(つまり第1の透光部104A)の対向方向の長さを意味するものとする。ここで、各矩形パターン(遮光部101)と対向領域内の第1の透光部104Aとの間に位置する半遮光部102の幅は、(100nm−Snm)/2となる。
図4(b)は、図4(a)に示すフォトマスクに対して露光を行い、それによって、対向間隔の仕上がり寸法(CD値)が80nmとなるように一対のレジストパターンを形成した様子をシミュレーションした結果を示す。図4(b)に示すシミュレーション結果から分かるように、図3(b)に示す「Type2」のシミュレーション結果と同様に、図4(a)に示すフォトマスクによって形成される一対のレジストパターン119においても角部が丸くなることが抑制されており、その結果、各レジストパターン119における対向間隔のCD値が80nmとなる箇所の近傍でもパターン幅を十分に確保することができる。
図5(a)〜(c)は、「Type2」及び「Type3」のそれぞれのフォトマスクを用いて露光を行った場合における対向間隔のCD値のMEFを比較した結果を示す。具体的には、図5(a)は、図3(a)の「Type2」のフォトマスクに対してパターン対向間隔Sを変化させながら露光を行った場合におけるレジストパターンの対向間隔のCD値をシミュレーションした結果を示す。また、図5(b)は、図4(a)の「Type3」のフォトマスクに対してパターン対向間隔Sを変化させながら露光を行った場合におけるレジストパターンの対向間隔のCD値をシミュレーションした結果を示す。さらに、図5(c)は、MEF=ΔCD/ΔSで定義される計算式に図5(a)及び(b)に示す結果を代入することによって求めた、「Type2」及び「Type3」のそれぞれのフォトマスクにより形成されるレジストパターンの対向間隔のCD値のMEFを示す。
一般に、レジストパターンであってもスペースパターンであっても、λ/NAよりも大きいパターンであれば1程度のMEFを実現できる一方、λ/NAよりも小さいパターンの場合にはMEFの増大は避けられず、特に0.5×λ/NA以下のパターンにおいてはMEFの増大が顕著である。これは、マスクパターンの対向間隔がλ/NA以下になると、MEFを低減するための対策を実施することが好ましいことを意味する。
図5(c)に示すように、「Type2」のフォトマスクによると、対向間隔のCD値が160nmであるときは1程度のMEFでレジストパターンを形成できるが、対向間隔のCD値が80nmまで縮小するとMEFは4程度まで増加する。MEFが4程度になると、マスク寸法が1nm程度変動するだけで、レジスト寸法が4nmも変動することになる。このような状況では、レジストパターンを安定して形成することが困難となる。尚、「Type2」のフォトマスクによって対向間隔のCD値を80nmにする場合のマスクパターンの対向間隔Sは49nmである。
また、図5(c)に示すように、「Type3」のフォトマスクによると、対向間隔のCD値が160nmであるときは1以下のMEFでレジストパターンを形成でき、対向間隔のCD値が80nmまで縮小してもMEFを3以下に抑制することができる。尚、「Type3」のフォトマスクによって対向間隔のCD値を80nmにする場合、マスクパターンの対向間隔Sは22nmであり、対向領域内に配置される半遮光部102の幅(対向方向の長さ)は39nmである。また、「Type3」のフォトマスクによって対向間隔のCD値のMEFが4以上に増大するのは、当該CD値が60nm程度まで縮小したときである。このとき、マスクパターンの対向間隔Sは18nmであり、対向領域内に配置される半遮光部102の幅(対向方向の長さ)は41nmである。
以上に説明したように、「Type3」のフォトマスクつまり本実施形態のフォトマスクによると、「Type2」のフォトマスクと比べて、微小寸法のCDを実現するときのMEFの増大を抑制することができる。具体的には、MEFの増大を抑制してレジストパターンを安定して形成するためには、「Type2」のフォトマスクにおいてはレジストパターンの対向間隔のCD値を80nm程度までしか縮小できないが、「Type3」のフォトマスクにおいては当該CD値を60nm程度近くまで縮小することができる。
従って、対向間隔がλ/NA(上記シミュレーションの場合、λ/NAの値は227nmである)よりも小さいパターンの形成においては、「Type3」つまり本実施形態のフォトマスクの構成、具体的にはパターン対向領域に位置する透光部と各パターン領域(本実施形態では遮光部)との間に半遮光部が介在する構成によって、レジストパターンにおける対向間隔のMEFを改善することができる。このMEF改善効果は、対向間隔が0.5×λ/NA以下のパターンの形成において特に顕著に発揮される。但し、フォトマスク上において分離したパターン領域の対向間隔として光学的に有意であるためには、0.02×λ/NA以上の寸法が必要である。
以下、本実施形態によるMEF改善効果について原理的に説明する。レジストパターンの角部が丸くなる原因は、対応するマスクパターンの角部において遮光部が透光部に取り囲まれているために透光部を透過して遮光部の裏側に回り込む光が過剰になること、つまり、マスクパターンの角部の遮光効果が十分ではないことである。
それに対して、「Type2」のフォトマスクのように、パターン対向領域側のマスクパターンの角部の周辺に半遮光部を設けると、当該対向領域に孤立した透光部が存在することになる。この状況において、マスクパターンとなる遮光部を拡大することによって孤立透光部を縮小すれば、当該透光部を透過する光は大幅に減少することになる。これが、「Type2」のフォトマスクにおいてパターン対向領域のMEFが増大してしまう原因と考えられる。
一方、「Type3」のフォトマスクつまり本実施形態のフォトマスクのように、パターン対向領域の透光部を半遮光部によって取り囲み、当該半遮光部を拡大することよって透光部を縮小すれば、当該透光部の減少量に伴うパターン対向領域の透過光の減少量も抑制される。なぜなら、半遮光部は透光部としての性質も有するので、半遮光部を拡大して透光部を縮小した場合、遮光部を拡大して透光部を縮小した場合と比べて、透光部の縮小量を実質的に半分程度に抑制できるからである。但し、半遮光部を透過する際に露光光の振幅が50%減少すること、つまり半遮光部の露光光に対する透過率が25%であることを前提とする。
すなわち、本実施形態によるMEF改善効果(低減効果)は、半遮光部の露光光に対する透過率が高くなるに従って高くなる。具体的には、上記シミュレーションでは半遮光部の透過率を15%としたが、遮光部に対して半遮光部の露光光を透過させる効果(つまり半遮光部の配置に伴う透光部の実質的な縮小量を抑制できる効果)を得るためには、半遮光部の透過率を少なくとも5%以上に、好ましくは10%以上にすることが望ましい。
また、本実施形態のフォトマスクによってレジストパターンの角部の丸みを抑制するためには、半遮光部に対して、過剰な露光光を遮光する効果が要求される。このような遮光効果を実現するためには、半遮光部の透過率を大きくても30%以下に、好ましくは20%以下にすることが望ましい。
従って、本実施形態のフォトマスクによってMEF低減効果とレジストパターン角部の丸みの抑制効果とを同時に得るためには、半遮光部の透過率を5%以上で且つ30%以下にすることが望ましく、特に両効果を十分に得るためには、半遮光部の透過率を10%以上で且つ20%以下にすることが好ましい。
ところで、ここまで、パターン対向領域に設けられた透光部におけるパターン対向方向と垂直な方向の幅が、各矩形パターン(一対の遮光部)における当該垂直な方向に延びる辺の長さ(200nm)と一致する場合を例として説明を行ってきたが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
図6(a)及び(b)は、図4(a)に示す「Type3」のフォトマスク、つまり本実施形態のフォトマスクの平面構成のバリエーションを示している。図6(a)及び(b)に示すフォトマスクが図4(a)に示す「Type3」のフォトマスクと異なっている点は、パターン対向領域に設けられた透光部におけるパターン対向方向と垂直な方向の幅が、各矩形パターン(一対の遮光部)における当該垂直な方向に延びる辺の長さと異なっていることである。尚、図6(a)及び(b)において、パターン対向領域及びその周辺部をパターン対向方向に拡大して示している。
具体的には、図6(a)及び(b)に示すフォトマスクにおいては、図4(a)に示す「Type3」のフォトマスクと同様に、100nm離れて対向する一対の矩形パターン(遮光部101)がマスクパターンとして設けられている。ここで、図6(a)に示すフォトマスクのパターン対向領域には、パターン対向方向の長さがS、パターン対向方向と垂直な方向の幅Rが240nmの第1の透光部104Aが配置されている。また、図6(b)に示すフォトマスクのパターン対向領域には、パターン対向方向の長さがS、パターン対向方向と垂直な方向の幅Rが140nmの第1の透光部104Aが配置されている。さらに、図6(a)及び(b)に示すフォトマスクのパターン対向領域及びその周辺には第1の透光部104Aを取り囲むように半遮光部102が配置されている。尚、半遮光部102のうちパターン対向領域の上側領域及び下側領域のそれぞれに配置されている部分のサイズは300nm×100nmである。
図6(c)は、図6(a)及び(b)に示すフォトマスクを用いて形成したレジストパターンの対向間隔のCD値のMEFをシミュレーションにより求めた結果を示す図である。図6(c)に示すように、図6(a)に示すフォトマスク(幅Rが240nmの透光部104Aがパターン対向領域に配置されている)によると、対向間隔のCD値が80nmであるときのMEFは3程度であり、「Type3」のフォトマスク(図4(a)に示すフォトマスク(幅Rが200nmの透光部104Aがパターン対向領域に配置されている))と同程度である。また、図6(c)に示すように、図6(b)に示すフォトマスク(幅Rが140nmの透光部104Aがパターン対向領域に配置されている)によると、対向間隔のCD値が80nmであるときのMEFは2.5程度であり、「Type3」のフォトマスクと比べてMEFがさらに減少している。
以上に説明したように、本実施形態において、レジストパターンの対向間隔のCD値を縮小した場合にもレジストパターンを安定して形成できるようにするためには、パターン対向領域の透光部を半遮光部によって取り囲み、且つ当該透光部のパターン対向方向と垂直な方向の幅を各矩形パターン(遮光部)の当該垂直な方向に延びる辺の長さ(つまり対向幅)よりも小さくする。
また、本実施形態においては、パターン対向領域に設ける半遮光部を、マスクパターンの周縁部(つまり各パターン領域となる遮光部の周縁部)を取り囲むように配置しているため、対向領域近傍の寸法を含むレジストパターンの寸法を調整するための近接効果補正を容易に実施することができる。すなわち、対向領域近傍以外の他の領域に形成されるレジストパターンの寸法の調整についても、半遮光部の形状を変えることによって実施することができる。従って、マスクパターンの周縁部を取り囲むように半遮光部を配置することによって、レジストパターンの寸法の補正を行うために遮光部の寸法と半遮光部の寸法とを同時に調整する必要がなくなるので、近接効果補正の実施が容易になる。
尚、上記のシミュレーションにおいて用いた「Type3」のフォトマスク(本実施形態のフォトマスク)において、パターン対向領域の周辺に設けられる半遮光部におけるパターン対向方向の寸法(長さ)を、遮光部よりなるパターン領域の対向間隔と同じに設定した。しかしながら、本実施形態のフォトマスクにおいてMEFを低減させるためには、パターン対向領域の透光部と各パターン領域を構成する遮光部との間に半遮光部が介在すれば良いのであって、パターン対向領域周辺の半遮光部におけるパターン対向方向の寸法は、パターン領域の対向間隔よりも長くても短くても良い。但し、レジストパターンの角部の丸みを防止するためには、パターン対向領域及びその周辺に配置された半遮光部におけるパターン対向方向と垂直な方向の寸法(幅)は、遮光部よりなるパターン領域の当該垂直な方向の寸法(対向幅)よりも大きくすることが好ましい。言い換えると、半遮光部がパターン対向領域内だけではなくその外側(周辺)にも配置されていることが好ましい。
以下、上記のパターン対向領域の寸法と半遮光部及び透光部のそれぞれの外形形状の寸法との関係について図7(a)〜(c)を参照しながら説明する。ここで、図7(a)〜(c)は、本実施形態のフォトマスクの平面構成のバリエーションを示している。
図7(a)〜(c)に示すフォトマスクにおいては、対向間隔Tで互いに近接する一対の矩形パターン(遮光部101)がマスクパターンとして設けられている。ここで、各遮光部101におけるパターン対向方向と垂直な方向の寸法(幅)はHである。但し、図7(c)に示すフォトマスクにおいては、一方の矩形パターンを構成する遮光部101におけるパターン対向方向と垂直な方向の寸法(幅)はHよりも大きく設定されている。また、図7(a)〜(c)に示すフォトマスクにおいては、パターン対向領域及びその周辺には半遮光部102が設けられている。ここで、半遮光部102の外形形状におけるパターン対向方向の寸法はVであり、当該外形形状におけるパターン対向方向と垂直な方向の寸法はUである。但し、寸法Vは、半遮光部102のうちパターン対向領域の周辺に配置されている部分について規定する。また、パターン対向領域に位置する半遮光部102の内部には、パターン対向方向と垂直な方向の寸法がRの第1の透光部104Aが設けられている。
尚、半遮光部102の外形形状におけるパターン対向方向の寸法Vについては、図7(a)に示すように、遮光部101よりなる矩形パターンの対向間隔Tよりも長くてもよいし、又は、図7(b)に示すように、対向間隔Tよりも短くてもよい。尚、図7(c)に示すように、互いに近接して対向する矩形パターン(遮光部101)のそれぞれの寸法が異なる場合には、パターン対向方向と垂直な方向の寸法が短い方の矩形パターンにおける当該垂直な方向の寸法によって、対向幅(パターン対向領域の幅)が規定されるものとする。すなわち、図7(a)〜(c)に示すフォトマスクにおいては対向幅はHである。
また、本実施形態においては、図7(a)〜(c)に示す各フォトマスクのように、第1の透光部104Aにおけるパターン対向方向と垂直な方向の寸法Rは対向幅Hよりも小さいことが望ましい。但し、第1の透光部104Aが光学的に有意であるためには、寸法Rは0.02×λ/NA以上であることが好ましい。また、半遮光部102の外形形状におけるパターン対向方向と垂直な方向の寸法Uは対向幅Hよりも大きくすることが好ましい。但し、寸法Uがλ/NA以上になると、半遮光部102による効果が十分に得られるので、寸法Uがλ/NA程度あれば、寸法Uをそれよりも大きくする格別の意義はない。
また、本実施形態において、パターン対向領域に設けられる半遮光部102は必ずしも遮光部101よりなる矩形パターンと接触する必要はなく、例えば図8(a)に示すように、半遮光部102と遮光部101との間に、フォトマスクにより形成される光学像に影響を及ぼさない程度の寸法を持つ透光部が介在することにより、半遮光部102と遮光部101とが離隔していてもよい。ここで、本実施形態のフォトマスクと同様に、遮光部101から見て半遮光部102を挟んで離れた位置に第1の透光部104Aが設けられている必要がある。尚、半遮光膜の上に遮光膜が積層された本実施形態のマスク構造においては、半遮光部102が遮光部101に接触して設けられている方が、マスク加工が容易になる。
また、本実施形態において、パターン対向領域に設けられる半遮光部102は必ずしも第1の透光部104Aを完全に取り囲んでいる必要はなく、例えば図8(b)に示すように、半遮光部102を分断するように、フォトマスクにより形成される光学像に影響を及ぼさない程度の寸法を持つ透光部が配置されていても良い。
また、本実施形態において、例えば図8(c)に示すように、図8(a)に示すマスク構成と図8(b)に示すマスク構成とを組み合わせたマスク構成を用いても良い。
さらに、図9に示すように、例えば図1(a)に示す本実施形態のマスクパターン(一対の遮光部101)をパターン対向方向と垂直な方向に複数配列する場合には、言い換えると、パターン対向領域同士を当該垂直な方向に隣接させる場合には、各パターン対向領域の周辺に設けられる半遮光部102が互いに接続されていてもよい。言い換えると、一対の遮光部101からそれぞれ構成される各マスクパターンに対して半遮光部102が連続的に設けられていても良い。
(第1の実施形態の第1変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第1変形例に係るフォトマスクについて図面を参照しながら説明する。
図10(a)は所望のレジストパターン形状を表す図であり、図10(b)は第1の実施形態の第1変形例に係るフォトマスクの平面図である。尚、図10(b)において、透過性基板については斜視図的に示している。
図10(a)に示すように、所望のパターンは、互いに近接して対向する一対の矩形状のレジストパターン200である。
図10(b)に示すように、本変形例のフォトマスクにおいては、透過性基板100上の十分に広い領域に亘って透光部104(第2の透光部104B)が設けられている。また、露光によりウェハ上に形成しようとするレジストパターン(所望のパターン)200と対応する位置の透過性基板100上には、互いに近接して対向する一対の矩形状の位相シフター部103よりなるマスクパターンが設けられている。すなわち、本変形例が第1の実施形態と異なっている点は、マスクパターンが遮光部ではなく位相シフター部103によって構成されている点である。尚、本変形例においても、第1の実施形態と同様に、レジストパターン200と対応する当該マスクパターンは、互いに近接して対向する一対のパターン領域(一対の位相シフター部103)を有する。また、本変形例の特徴として、前記一対のパターン領域の間の領域(パターン対向領域)105に位置する第1の透光部104Aと各パターン領域(つまり各位相シフター部103)との間には半遮光部102が介在する。言い換えると、対向領域105においては、各パターン領域である各位相シフター部103から半遮光部102を挟んで離れた位置に第1の透光部104Aが設けられている。また、本変形例においては、パターン対向領域105側の角部を含む各位相シフター部103(つまり各パターン領域)の角部の周辺にも半遮光部102が配置されている。
以上に説明した本変形例のフォトマスクの構成によると、マスクパターンとして遮光部に代えて位相シフター部を用いた場合にも、パターン対向領域においてMEFを低減させることができると共に、形成されるレジストパターンの角部の丸み及びそれに伴う端部の後退を抑制できる。従って、例えば複数のトランジスタが隣接する回路レイアウトを有するパターンの形成に本変形例のフォトマスクを適用した場合には、ゲート層パターンの対向領域の縮小と当該対向領域におけるゲート突き出し量の縮小とが可能になるので、高密度にトランジストを配置してLSIの集積化を実現することができる。
また、本変形例においては、第1の実施形態と同様に、半遮光部102はパターン対向領域105の第1の透光部104Aを取り囲むように配置されている。このような構成は、特にレジストパターン間のスペース寸法が微細になる場合に望ましい構成である。
また、本変形例においては、第1の実施形態と同様に、半遮光部102はマスクパターンの周縁部(つまり各パターン領域となる位相シフター部103の周縁部)を取り囲むように配置されている。このような構成により、マスクパターン作成において近接効果補正(OPC)の実施を容易に行うことができる。
尚、本変形例において、半遮光部102は第1の実施形態と同様に定義されるものである。また、位相シフター部103は光を透過させるが、位相シフター部103を透過する光と、透光部104A及び104Bを透過する光とは反対位相の関係(具体的には両者の位相差が(150+360×n)度以上で且つ(210+360×n)度以下(但しnは整数)となる関係)にある。但し、本変形例においては、遮光部に代えて用いる位相シフター部103としては、低透過率の位相シフター部を想定している。一般に、マスクパターンとして遮光部に代えて位相シフター部を用いると、微細パターンの解像性が向上する。尚、低透過率の位相シフター部とは、当該位相シフター部の幅を大きくした場合にも当該位相シフター部の中心と対応するレジストが感光されないものを意味し、具体的な透過率は大きくても15%未満であり、好ましくは9%以下である。
図10(c)は、図10(b)の平面図に示すフォトマスクの断面構成の一例を示している。具体的には、図10(c)は、図10(b)に示される線分ABに対応する部分の断面構造を表している。図10(c)に示すように、本変形例においては、透過性基板の一例として石英基板110を用いており、透光部104A及び104Bは石英基板110の露出領域である。半遮光部102は、例えばMoよりなる金属薄膜112を半遮光膜として石英基板110上に堆積することによって形成されている。金属薄膜112の構成材料としては、Moの他に例えばTa等を用いることができる。具体的には、厚さ10〜30nm程度の金属薄膜112によって、波長193nmの光に対して5〜50%程度の透過率を実現することができる。位相シフター部103は、金属薄膜112の上に例えばSiO2 膜113等の露光光を透過する膜を当該露光光の位相が反転する厚さ(SiO2 膜の場合には約180nm)だけ位相シフト膜としてさらに積層することによって形成されている。
以下、上記のように構成された本変形例のフォトマスクが、第1の実施形態と同様に、ウェハ上にパターンを形成する上で優れたパターン形成特性、具体的には、MEF低減効果と、レジストパターンの角部の丸みの抑制効果とを発揮することをシミュレーション結果に基づいて説明する。尚、シミュレーションにおける光学計算の露光条件は、露光波長λが193nm、開口数NAが0.85である。また、照明条件としては、外径の干渉度が0.8、内径の干渉度が0.53となる2/3輪帯照明を用いる。また、半遮光部の露光光に対する透過率は15%であり、位相シフター部の露光光に対する透過率は6%である。
尚、幅が十分に広い(具体的には幅がλ/NAよりも大きい)マスクパターンとして位相シフター部を用いる場合には、当該位相シフター部の露光光に対する透過率は9%よりも低いことが望ましい。それに対して、本変形例のように、半遮光膜の上に露光光の位相を反転させる位相シフト膜を積層したマスク構造を用いた場合には、半遮光部の透過率よりも低い透過率を有する位相シフター部を容易に形成できるので、上記9%よりも低い透過率を有する位相シフター部を容易に形成することができる。但し、マスクパターンとなる位相シフター部としての有意な効果を得るためには、当該位相シフター部の露光光に対する透過率は少なくとも3%以上であることが望ましい。
図11(a)、(b)、図12(a)、(b)及び図13(a)、(b)は、本変形例のフォトマスクによってレジストパターンの角部の丸みの抑制が可能なことを説明するための図である。尚、図11(a)、(b)、図12(a)、(b)及び図13(a)、(b)において、パターン対向領域及びその周辺部をパターン対向方向に拡大して示している。
まず、図11(a)は、位相シフター部のみによって構成された比較例のフォトマスクの平面構成を表している。具体的には、図11(a)に示すフォトマスクにおいては、互いに近接して対向する一対の矩形パターン(位相シフター部103)がマスクパターンとして設けられている。ここで、各矩形パターンのサイズは600nm×200nmであり、矩形パターンの間隔(対向間隔)、つまり矩形パターンの対向方向における対向領域の長さ(対向長)はSである。尚、図11(a)に示すフォトマスクにおいては、矩形パターンの対向方向と垂直な方向における対向領域の幅(対向幅)が、各矩形パターンの200nmの長さの辺によって規定されるように、各矩形パターンが配置されている。すなわち、図11(a)に示すフォトマスクは、図2(a)に示すフォトマスクにおける遮光部101を位相シフター部103に置き換えた構成を有しており、その他の構成は図2(a)に示すフォトマスクと同様である。以下、図11(a)に示すフォトマスクを「Type1」と称する。
図11(b)は、図11(a)に示すフォトマスクに対して露光を行い、それによって、対向間隔の仕上がり寸法(CD値)が80nmとなるように一対のレジストパターンを形成した様子をシミュレーションした結果を示す。図11(b)に示すシミュレーション結果から分かるように、図11(a)に示すフォトマスクによって形成される一対のレジストパターン119においては角部が丸くなる結果、対向間隔のCD値が80nmとなるのは、丸くなったライン端部の先端のみである。すなわち、各レジストパターン119における対向間隔のCD値が80nmとなる箇所の近傍ではパターン幅を十分に確保することができない。
図12(a)は、図11(a)に示すフォトマスクに対して、矩形パターン(位相シフター部103)の対向領域の周辺(具体的には対向領域の上側領域及び下側領域)に300nm×100nmのサイズの半遮光部102が設けられたフォトマスクの平面構成を表している。尚、図12(a)に示すフォトマスクにおいては、各矩形パターンとオーバーラップするように半遮光部102が設けられている。ここで、各矩形パターン(位相シフター部103)と半遮光部102とのオーバーラップ幅は、(100nm−Snm)/2となる。すなわち、図12(a)に示すフォトマスクは、図3(a)に示すフォトマスクにおける遮光部101を位相シフター部103に置き換えた構成を有しており、その他の構成は図3(a)に示すフォトマスクと同様である。以下、図12(a)に示すフォトマスクを「Type2」と称する。
図12(b)は、図12(a)に示すフォトマスクに対して露光を行い、それによって、対向間隔の仕上がり寸法(CD値)が80nmとなるように一対のレジストパターンを形成した様子をシミュレーションした結果を示す。図12(b)に示すシミュレーション結果から分かるように、図12(a)に示すフォトマスクによって形成される一対のレジストパターン119においては角部が丸くなることが抑制されており、その結果、各レジストパターン119における対向間隔のCD値が80nmとなる箇所の近傍でもパターン幅を十分に確保することができる。
図13(a)は、図12(a)に示すフォトマスクに対して、各矩形パターン(位相シフター部103)と対向領域内の第1の透光部104Aとの間にさらに半遮光部102が設けられたフォトマスクの平面構成を表している。すなわち、図13(a)に示すフォトマスクは、図4(a)に示すフォトマスクにおける遮光部101を位相シフター部103に置き換えた構成を有しており、その他の構成は図4(a)に示すフォトマスクと同様である。以下、図13(a)に示すフォトマスクを「Type3」と称する。尚、「Type3」のフォトマスクは、図12(a)に示すフォトマスクの矩形パターン(位相シフター部103)の一部(対向領域の近傍部分)を半遮光部102に置き換えたものであり、対向間隔Sは、対向領域のうち半遮光部102を除いた部分(つまり透光部104A)の対向方向の長さを意味するものとする。ここで、各矩形パターン(位相シフター部103)と対向領域内の第1の透光部104Aとの間に位置する半遮光部102の幅は、(100nm−Snm)/2となる。
図13(b)は、図13(a)に示すフォトマスクに対して露光を行い、それによって、対向間隔の仕上がり寸法(CD値)が80nmとなるように一対のレジストパターンを形成した様子をシミュレーションした結果を示す。図13(b)に示すシミュレーション結果から分かるように、図12(b)に示す「Type2」のシミュレーション結果と同様に、図13(a)に示す「Type3」のフォトマスク、つまり本変形例のフォトマスクによって形成される一対のレジストパターン119においても角部が丸くなることが抑制されており、その結果、各レジストパターン119における対向間隔のCD値が80nmとなる箇所の近傍でもパターン幅を十分に確保することができる。
図14は、「Type2」及び「Type3」のそれぞれのフォトマスクを用いた露光により形成されるレジストパターンの対向間隔のCD値のMEFをシミュレーションにより求めた結果を比較して示す図である。
図14に示すように、「Type2」のフォトマスクによると、対向間隔のCD値が160nmであるときは1程度のMEFでレジストパターンを形成できるが、対向間隔のCD値が80nmまで縮小するとMEFは5程度まで増加しており、マスクパターンとして遮光部を用いた場合(図5(a)参照)と比較して、MEFがさらに劣化している。尚、「Type2」のフォトマスクによって対向間隔のCD値を80nmにする場合のマスクパターンの対向間隔Sは68nmである。
一般に、位相シフター部をマスクパターンに用いると、細線パターンの形成には有利になるものの、図14に示す「Type2」のフォトマスクの結果によれば、位相シフター部をマスクパターンに用いると、パターン対向領域の微小化には逆に不利になることが分かる。
また、図14に示すように、「Type3」のフォトマスクによると、対向間隔のCD値が160nmであるときは1以下のMEFでレジストパターンを形成でき、対向間隔のCD値が80nmまで縮小してもMEFを3程度に抑制することができる。すなわち、対向間隔のCD値が80nmまで縮小した場合のMEFを、マスクパターンとして遮光部を用いた場合(図5(a)参照)と同程度に抑制することができる。尚、「Type3」のフォトマスクによって対向間隔のCD値を80nmにする場合、マスクパターンの対向間隔Sは42nmであり、対向領域内に配置される半遮光部102の幅(対向方向の長さ)は29nmである。また、「Type3」のフォトマスクによって対向間隔のCD値のMEFが4以上に増大するのは、当該CD値が64nm程度まで縮小したときである。このとき、マスクパターンの対向間隔Sは36nmであり、対向領域内に配置される半遮光部102の幅(対向方向の長さ)は32nmである。
以上に説明したように、「Type3」のフォトマスクつまり本変形例のフォトマスクによると、「Type2」のフォトマスクと比べて、微小寸法のCDを実現するときのMEFの増大を抑制することができる。具体的には、MEFの増大を抑制してレジストパターンを安定して形成するためには、「Type2」のフォトマスクにおいてはレジストパターンの対向間隔のCD値を90nm程度までしか縮小できないが、「Type3」のフォトマスクにおいては当該CD値を60nm程度近くまで縮小することができる。
従って、対向間隔がλ/NA(上記シミュレーションの場合、λ/NAの値は227nmである)よりも小さいパターンの形成においては、「Type3」つまり本変形例のフォトマスクの構成、具体的にはパターン対向領域に位置する透光部と各パターン領域(本変形例では位相シフター部)との間に半遮光部が介在する構成によって、レジストパターンにおける対向間隔のMEFを改善することができる。このMEF改善効果は、対向間隔が0.5×λ/NA以下のパターンの形成において特に顕著に発揮される。但し、フォトマスク上において分離したパターン領域の対向間隔として光学的に有意であるためには、0.02×λ/NA以上の寸法が必要である。
以下、本変形例によるMEF改善効果について原理的に説明する。レジストパターンの角部が丸くなる原因は、対応するマスクパターンの角部において位相シフター部が透光部に取り囲まれているために透光部を透過して位相シフター部の裏側に回り込む光が過剰になること、つまり、マスクパターンの角部の遮光効果が十分ではないことである。
それに対して、「Type2」のフォトマスクのように、パターン対向領域側のマスクパターンの角部の周辺に半遮光部を設けると、当該対向領域に孤立した透光部が存在することになる。この状況において、マスクパターンとなる位相シフター部を拡大することによって孤立透光部を縮小すれば、当該透光部を透過する光は大幅に減少することになる。ここで、位相シフター部は光を部分的に遮光する性質のみならず、透光部を透過する光を打ち消す作用も有している。そのため、マスクパターンとして遮光部を用いた場合と比べて、同じ大きさの透光部を透過する光はさらに大幅に減少することになる。これが、「Type2」のフォトマスクにおいてパターン対向領域のMEFが増大してしまう原因と考えられる。
一方、「Type3」のフォトマスクつまり本変形例のフォトマスクのように、パターン対向領域の透光部とマスクパターンとなる位相シフター部との間に半遮光部を介在させておけば、マスクパターンが位相シフター部から構成されていたとしても、第1の実施形態と同様に、半遮光部を拡大することよって透光部を縮小でき、それによって当該透光部の減少量に伴うパターン対向領域の透過光の減少量を抑制することができる。
すなわち、本変形例によるMEF改善効果(低減効果)は、マスクパターンが位相シフター部から構成される場合に特に顕著に発揮されるものである。
尚、本変形例のフォトマスクによってMEF低減効果とレジストパターン角部の丸みの抑制効果とを同時に得るためには、第1の実施形態と同様に、半遮光部の透過率を5%以上で且つ30%以下にすることが望ましく、特に両効果を十分に得るためには、半遮光部の透過率を10%以上で且つ20%以下にすることが好ましい。
また、本変形例において、レジストパターンの対向間隔のCD値を縮小した場合にもレジストパターンを安定して形成できるようにするためには、第1の実施形態と同様に、パターン対向領域の透光部を半遮光部によって取り囲み、且つ当該透光部のパターン対向方向と垂直な方向の幅を各矩形パターン(位相シフター部)の当該垂直な方向に延びる辺の長さ(つまり対向幅)よりも小さくする。
また、本変形例においても、第1の実施形態と同様に、パターン対向領域に設ける半遮光部を、マスクパターンの周縁部(つまり各パターン領域となる位相シフター部の周縁部)を取り囲むように配置しているため、対向領域近傍の寸法を含むレジストパターンの寸法を調整するための近接効果補正を容易に実施することができる。
また、本変形例においても、第1の実施形態と同様に、パターン対向領域周辺の半遮光部におけるパターン対向方向の寸法は、パターン領域の対向間隔よりも長くても短くても良い。但し、レジストパターンの角部の丸みを防止するためには、パターン対向領域及びその周辺に配置された半遮光部におけるパターン対向方向と垂直な方向の寸法(幅)は、位相シフター部よりなるパターン領域の当該垂直な方向の寸法(対向幅)よりも大きくすることが好ましいこと(つまり、半遮光部がパターン対向領域内だけではなくその外側(周辺)にも配置されていることが好ましいこと)は、第1の実施形態と同様である。
また、本変形例において、パターン対向領域に設けられる半遮光部102は必ずしも位相シフター部103よりなる矩形パターンと接触する必要はなく、半遮光部102と位相シフター部103との間に、フォトマスクにより形成される光学像に影響を及ぼさない程度の寸法を持つ透光部が介在することにより、半遮光部102と位相シフター部103とが離隔していてもよい。
また、本変形例において、パターン対向領域に設けられる半遮光部102は必ずしも第1の透光部104Aを完全に取り囲んでいる必要はなく、半遮光部102を分断するように、フォトマスクにより形成される光学像に影響を及ぼさない程度の寸法を持つ透光部が配置されていても良い。
さらに、例えば図10(a)に示す本変形例のマスクパターン(一対の位相シフター部103)をパターン対向方向と垂直な方向に複数配列する場合には、言い換えると、パターン対向領域同士を当該垂直な方向に隣接させる場合には、各パターン対向領域の周辺に設けられる半遮光部102が互いに接続されていてもよい。言い換えると、一対の位相シフター部103からそれぞれ構成される各マスクパターンに対して半遮光部102が連続的に設けられていても良い。
また、上記シミュレーションでは半遮光部の透過率を15%としたが、位相シフター部に対して半遮光部の露光光を透過させる効果(つまり、半遮光部の配置に伴う透光部の実質的な縮小量を抑制できる効果)を得るためには、第1の実施形態と同様に、半遮光部の透過率を少なくとも5%以上に、好ましくは10%以上にすることが望ましい。また、本変形例のフォトマスクによってレジストパターンの角部の丸みを抑制するためには、半遮光部に対して、過剰な露光光を遮光する効果が要求されるが、そのためには、第1の実施形態と同様に、半遮光部の透過率を大きくても30%以下に、好ましくは20%以下にすることが望ましい。
ところで、ここまで、本変形例のフォトマスクにおいては、互いに対向する一対のパターン領域がいずれも位相シフター部であると説明してきたが、これに代えて、例えば図15に示すように、互いに対向する一対のパターン領域の一方が位相シフター部103であり、他方が遮光部101であってもよい。尚、図15に示すフォトマスクにおいても、パターン対向領域に位置する第1の透光部104Aと各パターン領域(つまり位相シフター部103及び遮光部101のそれぞれ)との間には半遮光部102が介在する。言い換えると、パターン対向領域においては、各パターン領域となる位相シフター部103及び遮光部101のそれぞれから半遮光部102を挟んで離れた位置に第1の透光部104Aが設けられている。また、パターン対向領域側の角部を含む位相シフター部103及び遮光部101のそれぞれの角部の周辺にも半遮光部102が配置されている。
図16(a)及び(b)は、図15の平面図に示すフォトマスクの断面構成のバリエーションを示している。具体的には、図16(a)及び(b)は、図15に示される線分AB及び線分CDのそれぞれに対応する部分の断面構造を表している。
まず、図16(a)に示すフォトマスクにおいては、例えば石英よりなる透過性基板150の上に、透光部104A及び104Bとの間で露光光に対して同位相の位相差(つまり(−30+360×n)度以上で且つ(30+360×n)度以下(但しnは整数)の位相差)を生じる半透明の半遮光膜151が形成されている。以下、同位相の位相差を生じるとは、(−30+360×n)度以上で且つ(30+360×n)度以下(但しnは整数)の位相差を生じることを意味するものとする。このような半遮光膜151の一例として、前記nを0とする(つまり、−30度以上で且つ30度以下の位相差を生じる)金属薄膜を用いることができる。ここで、透光部104A及び104Bは、透過性基板150の露出領域であり、半遮光部102は、透過性基板150上に堆積された半遮光膜151の露出領域である。また、半遮光膜151の上には、透光部104A及び104Bとの間で露光光に対して反対位相の位相差(つまり(150+360×n)度以上で且つ(210+360×n)度以下(但しnは整数)の位相差)を生じる位相シフト膜152が形成されている。位相シフト膜152の材料としては、例えばSiO2 を主成分とする透明なガラス材料を用いることができる。以下、反対位相の位相差を生じるとは、(150+360×n)度以上で且つ(210+360×n)度以下(但しnは整数)の位相差を生じることを意味するものとする。ここで、位相シフター部103は、半遮光膜151上に堆積された位相シフト膜152の露出領域である。さらに、遮光部101は、位相シフト膜152の上に、露光光を実質的に透過させない遮光膜153をさらに積層することによって形成されている。
以上に説明した、図16(a)に示すマスク構成によると、半遮光膜151、位相シフト膜152及び遮光膜153が順次積層された透過性基板150を用意し、遮光膜153、位相シフト膜152及び半遮光膜151のそれぞれを選択的に除去することにより、透光部104A及び104B、遮光部101、半遮光部102並びに位相シフター部103からなる任意のマスクレイアウトを形成することができる。特に、半遮光膜151として金属薄膜を用いた場合には、半遮光膜151の加工精度が向上するので、マスクパターンとなる遮光部101又は位相シフター部103の周囲に配置される半遮光部102の加工精度が向上する。
次に、図16(b)に示すフォトマスクにおいては、例えば石英よりなる透過性基板150の上に、透過性基板150(掘り下げられていない部分)との間で露光光に対して反対位相の位相差を生じる半透明の第1の位相シフト膜154が形成されている。第1の位相シフト膜154の材料としては、例えば酸化シリコンと金属との化合物(MoSiO2 等)を用いることができる。ここで、透光部104A及び104Bは、第1の位相シフト膜154が除去され且つ当該除去箇所に位置する透過性基板150が露光光に反対位相の位相差を生じさせる厚さだけ掘り下げられている領域である。また、第1の位相シフト膜154の上には、透過性基板150(掘り下げられていない部分)との間で露光光に対して反対位相の位相差を生じる第2の位相シフト膜152(図16(a)に示すフォトマスクの位相シフト膜152と同じ)が積層されている。ここで、半遮光部102は、透過性基板150上に堆積された第1の位相シフト膜154の露出領域であり、位相シフター部103は、第1の位相シフト膜154上に堆積された第2の位相シフト膜152の露出領域である。さらに、遮光部101は、第2の位相シフト膜152の上に、露光光を実質的に透過させない遮光膜153をさらに積層することによって形成されている。
以上に説明した、図16(b)に示すマスク構成によると、各部分の間の位相差を位相シフト膜の形成及び加工によってそれぞれ独立して制御できるので、各部分の間の位相差を正確に制御することができる。
尚、図16(a)及び(b)のそれぞれに示すフォトマスクにおいて、半遮光膜151並びに位相シフト膜152及び154等を単層膜として扱ったが、これらの膜のそれぞれが多層膜として構成されていてもよいことは言うまでもない。
(第1の実施形態の第2変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第2変形例に係るフォトマスクについて図面を参照しながら説明する。
図17(a)は所望のレジストパターン形状を表す図であり、図17(b)は第1の実施形態の第2変形例に係るフォトマスクの平面図である。尚、図17(b)において、透過性基板については斜視図的に示している。
図17(a)に示すように、所望のパターンは、互いに近接して対向する一対の矩形状のレジストパターン200である。
図17(b)に示すように、本変形例のフォトマスクにおいては、透過性基板100上の十分に広い領域に亘って透光部104(第2の透光部104B)が設けられている。また、露光によりウェハ上に形成しようとするレジストパターン(所望のパターン)200と対応する位置の透過性基板100上には、互いに近接して対向する一対の矩形状の位相シフター部103よりなるマスクパターンが設けられている。すなわち、本変形例においては、第1の実施形態の第1変形例と同様に、マスクパターンが遮光部ではなく位相シフター部103によって構成されている。尚、本変形例においても、第1の実施形態の第1変形例と同様に、レジストパターン200と対応する当該マスクパターンは、互いに近接して対向する一対のパターン領域(一対の位相シフター部103)を有する。また、本変形例の特徴として、前記一対のパターン領域の間の領域(パターン対向領域)105に位置する第1の透光部104Aと各パターン領域(つまり各位相シフター部103)との間には半遮光部102が介在する。言い換えると、対向領域105においては、各パターン領域である各位相シフター部103から半遮光部102を挟んで離れた位置に第1の透光部104Aが設けられている。また、本変形例においては、パターン対向領域105側の角部を含む各位相シフター部103(つまり各パターン領域)の角部の周辺にも半遮光部102が配置されている。
以上に説明した本変形例のフォトマスクの構成によると、マスクパターンとして遮光部に代えて位相シフター部を用いた場合にも、パターン対向領域においてMEFを低減させることができると共に、形成されるレジストパターンの角部の丸み及びそれに伴う端部の後退を抑制できる。従って、例えば複数のトランジスタが隣接する回路レイアウトを有するパターンの形成に本変形例のフォトマスクを適用した場合には、ゲート層パターンの対向領域の縮小と当該対向領域におけるゲート突き出し量の縮小とが可能になるので、高密度にトランジストを配置してLSIの集積化を実現することができる。
また、本変形例においては、第1の実施形態と同様に、半遮光部102はパターン対向領域105の第1の透光部104Aを取り囲むように配置されている。このような構成は、特にレジストパターン間のスペース寸法が微細になる場合に望ましい構成である。
また、本変形例においては、第1の実施形態と同様に、半遮光部102はマスクパターンの周縁部(つまり各パターン領域となる位相シフター部103の周縁部)を取り囲むように配置されている。このような構成により、マスクパターン作成において近接効果補正(OPC)の実施を容易に行うことができる。
また、本変形例において、半遮光部102は第1の実施形態と同様に定義されるものである。また、位相シフター部103は光を透過させるが、位相シフター部103を透過する光と、透光部104A及び104Bを透過する光とは反対位相の関係(具体的には両者の位相差が(150+360×n)度以上で且つ(210+360×n)度以下(但しnは整数)となる関係)にある。
尚、第1の実施形態の第1変形例においては、遮光部に代えて用いる位相シフター部103として、低透過率の位相シフター部を想定したが、本変形例においては、当該位相シフター部103として、高透過率の位相シフター部を想定している。すなわち、第1の実施形態の第1変形例においては、半遮光膜の上に位相シフター膜を積層することによって位相シフター部103を形成していたため、構造上、位相シフター部103の透過率は前記半遮光膜の透過率よりも低くならざるをえなかった。それに対して、本変形例では、後述するように、位相シフター部103の透過率を前記半遮光膜の透過率よりも高くすることができる。尚、低透過率の位相シフター部とは、当該位相シフター部の幅を大きくした場合にも当該位相シフター部の中心と対応するレジストが感光されないものを意味し、具体的な透過率は大きくても15%未満であり、好ましくは9%以下である。また、高透過率の位相シフター部とは、当該位相シフター部の幅を大きくした場合に当該位相シフター部の中心と対応するレジストが感光されるものを意味し、具体的な透過率は少なくとも15%以上であり、好ましくは25%以上である。
また、本変形例では、形成するレジストパターンがλ/NAの半分以下の線幅を持つ細線パターンである場合を対象として、高透過率の位相シフター部103を用いている。λ/NAの半分以下の線幅を持つ細線パターンの形成においては、レジストパターンの形状において角部の丸みとして現れていた問題の現象は、ライン端部の先細り現象やライン端部の後退現象として顕著に現れる。
図17(c)は、図17(b)の平面図に示すフォトマスクの断面構成の一例を示している。具体的には、図17(c)は、図17(b)に示される線分ABに対応する部分の断面構造を表している。図17(c)に示すように、本変形例においては、透過性基板の一例として石英基板110を用いており、透光部104A及び104Bは石英基板110の露出領域である。半遮光部102は、例えばMoよりなる金属薄膜112を半遮光膜として石英基板110上に堆積することによって形成されている。金属薄膜112の構成材料としては、Moの他に例えばTa等を用いることができる。具体的には、厚さ10〜30nm程度の金属薄膜112によって、波長193nmの光に対して5〜50%程度の透過率を実現することができる。位相シフター部103は、半遮光部102となる金属薄膜(半遮光膜)112に開口部を設け、且つ当該開口部に位置する石英基板110を露光光の位相が反転する厚さだけ掘り下げることによって形成されている。すなわち、位相シフター部103は石英基板110の掘り下げ部115として形成されている。このような構成により、位相シフター部103が、透過性基板と同等の透過率を持つ材料によって形成されるので、本変形例のフォトマスクを、非常に高い透過率を持つ位相シフター部103を用いて実現することができる。
以下、上記のように構成された本変形例のフォトマスクが、第1の実施形態と同様に、ウェハ上にパターンを形成する上で優れたパターン形成特性、具体的には、MEF低減効果と、レジストパターンの角部の丸みの抑制効果(特にライン端部の先細りの抑制効果)とを発揮することをシミュレーション結果に基づいて説明する。尚、シミュレーションにおける光学計算の露光条件は、露光波長λが193nm、開口数NAが0.85である。また、照明条件としては、外径の干渉度が0.8、内径の干渉度が0.53となる2/3輪帯照明を用いる。また、半遮光部の露光光に対する透過率は15%であり、位相シフター部の露光光に対する透過率は100%である。
尚、解像限界近い寸法つまり0.4×λ/NA以下の寸法を持つ細線パターンの形成においてマスクパターンとして位相シフター部を用いる場合には、当該位相シフター部の露光光に対する透過率は高い程望ましく、理想的には100%の透過率が最も望ましい。それに対して、本変形例のように、半遮光膜の内部に開口部を設け、当該開口部領域に位相シフター部を設けるマスク構造を用いた場合には、半遮光部の透過率よりも高い透過率を有する位相シフター部を容易に形成できる。また、第1の実施形態で述べたように、半遮光部の透過率は30%以下であることが望ましいので、半遮光部となる半遮光膜の内部に開口部を設けることによって30%を超える透過率を持つ位相シフター部を容易に実現できる本変形例のマスク構成は、特に細線パターンの形成にとって好ましいものである。
図18(a)、(b)、図19(a)、(b)及び図20(a)、(b)は、本変形例のフォトマスクによってレジストパターンのライン端部の先細りの抑制が可能なことを説明するための図である。尚、図18(a)、(b)、図19(a)、(b)及び図20(a)、(b)において、パターン対向領域及びその周辺部をパターン対向方向に拡大して示している。
まず、図18(a)は、位相シフター部のみによって構成された比較例のフォトマスクの平面構成を表している。具体的には、図18(a)に示すフォトマスクにおいては、互いに近接して対向する一対の矩形パターン(位相シフター部103)がマスクパターンとして設けられている。ここで、各矩形パターンのサイズは600nm×75nmであり、矩形パターンの間隔(対向間隔)、つまり矩形パターンの対向方向における対向領域の長さ(対向長)はSである。尚、図18(a)に示すフォトマスクにおいては、矩形パターンの対向方向と垂直な方向における対向領域の幅(対向幅)が、各矩形パターンの75nmの長さの辺によって規定されるように、各矩形パターンが配置されている。以下、図18(a)に示すフォトマスクを「Type1」と称する。
図18(b)は、図18(a)に示すフォトマスクに対して露光を行い、それによって、対向間隔の仕上がり寸法(CD値)が66nmとなるように一対のレジストパターンを形成した様子をシミュレーションした結果を示す。図18(b)に示すシミュレーション結果から分かるように、図18(a)に示すフォトマスクによって形成される一対のレジストパターン119においてはライン端部が先細りする結果、対向間隔のCD値が66nmとなるのは、先細りしたライン端部の先端のみである。すなわち、各レジストパターン119における対向間隔のCD値が66nmとなる箇所の近傍ではパターン幅を十分に確保することができない。
図19(a)は、図18(a)に示すフォトマスクに対して、矩形パターン(位相シフター部103)の対向領域の周辺(具体的には対向領域の上側領域及び下側領域)に300nm×100nmのサイズの半遮光部102が設けられたフォトマスクの平面構成を表している。尚、図19(a)に示すフォトマスクにおいては、各矩形パターンとオーバーラップするように半遮光部102が設けられている。ここで、各矩形パターン(位相シフター部103)と半遮光部102とのオーバーラップ幅は、(100nm−Snm)/2となる。以下、図19(a)に示すフォトマスクを「Type2」と称する。
図19(b)は、図19(a)に示すフォトマスクに対して露光を行い、それによって、対向間隔の仕上がり寸法(CD値)が66nmとなるように一対のレジストパターンを形成した様子をシミュレーションした結果を示す。図19(b)に示すシミュレーション結果から分かるように、図19(a)に示すフォトマスクによって形成される一対のレジストパターン119においてはライン端部の先細りが抑制されており、その結果、各レジストパターン119における対向間隔のCD値が66nmとなる箇所の近傍でもパターン幅を十分に確保することができる。
図20(a)は、図19(a)に示すフォトマスクに対して、各矩形パターン(位相シフター部103)と対向領域内の第1の透光部104Aとの間にさらに半遮光部102が設けられたフォトマスクの平面構成を表している。以下、図20(a)に示すフォトマスクを「Type3」と称する。尚、「Type3」のフォトマスクは、図19(a)に示すフォトマスクの矩形パターン(位相シフター部103)の一部(対向領域の近傍部分)を半遮光部102に置き換えたものであり、対向間隔Sは、対向領域のうち半遮光部102を除いた部分(つまり透光部104A)の対向方向の長さを意味するものとする。ここで、各矩形パターン(位相シフター部103)と対向領域内の第1の透光部104Aとの間に位置する半遮光部102の幅は、(100nm−Snm)/2となる。
図20(b)は、図20(a)に示すフォトマスクに対して露光を行い、それによって、対向間隔の仕上がり寸法(CD値)が66nmとなるように一対のレジストパターンを形成した様子をシミュレーションした結果を示す。図20(b)に示すシミュレーション結果から分かるように、図19(b)に示す「Type2」のシミュレーション結果と同様に、図20(a)に示す「Type3」のフォトマスク、つまり本変形例のフォトマスクによって形成される一対のレジストパターン119においてもライン端部の先細りが抑制されており、その結果、各レジストパターン119における対向間隔のCD値が66nmとなる箇所の近傍でもパターン幅を十分に確保することができる。
図21は、「Type2」及び「Type3」のそれぞれのフォトマスクを用いた露光により形成されるレジストパターンの対向間隔のCD値のMEFをシミュレーションにより求めた結果を比較して示す図である。
図21に示すように、「Type2」のフォトマスクによると、対向間隔のCD値が100nmである場合にも1程度のMEFでレジストパターンを形成することが困難である。さらに、対向間隔のCD値が66nmまで縮小するとMEFは4程度まで増加する。尚、「Type2」のフォトマスクによって対向間隔のCD値を66nmにする場合のマスクパターンの対向間隔Sは72nmである。
また、図21に示すように、「Type3」のフォトマスクによると、対向間隔のCD値が100nmであるときは1以下のMEFでレジストパターンを形成でき、対向間隔のCD値が66nmまで縮小してもMEFを2以下に抑制することができる。すなわち、「Type3」のフォトマスクによって非常に優れたMEFの改善効果が得られる。尚、「Type3」のフォトマスクによって対向間隔のCD値を66nmにする場合、マスクパターンの対向間隔Sは24nmであり、対向領域内に配置される半遮光部102の幅(対向方向の長さ)は38nmである。また、「Type3」のフォトマスクによって対向間隔のCD値のMEFが4以上に増大するのは、当該CD値が40nm程度まで縮小したときである。このとき、マスクパターンの対向間隔Sは32nmであり、対向領域内に配置される半遮光部102の幅(対向方向の長さ)は34nmである。
以上に説明したように、「Type3」のフォトマスクつまり本変形例のフォトマスクによると、「Type2」のフォトマスクと比べて、微小寸法のCDを実現するときのMEFの増大を抑制することができる。具体的には、MEFの増大を抑制してレジストパターンを安定して形成するためには、「Type2」のフォトマスクにおいてはレジストパターンの対向間隔のCD値を66nm程度までしか縮小できないが、「Type3」のフォトマスクにおいては当該CD値を40nm程度近くまで縮小することができる。
従って、対向間隔がλ/NA(上記シミュレーションの場合、λ/NAの値は227nmである)よりも小さいパターンの形成においては、「Type3」つまり本変形例のフォトマスクの構成、具体的にはパターン対向領域に位置する透光部と各パターン領域(本変形例では位相シフター部)との間に半遮光部が介在する構成によって、レジストパターンにおける対向間隔のMEFを改善することができる。このMEF改善効果は、対向間隔が0.5×λ/NA以下のパターンの形成において特に顕著に発揮される。但し、フォトマスク上において分離したパターン領域の対向間隔として光学的に有意であるためには、0.02×λ/NA以上の寸法が必要である。
本変形例によるMEF改善効果の原理は第1の実施形態の第1変形例と同様である。すなわち、本変形例によるMEF改善効果(低減効果)は、細線パターンを形成するためにマスクパターンが非常に高い透過率を持つ位相シフター部から構成される場合に特に顕著に発揮されるものである。尚、高い透過率を持つ位相シフター部とは、当該位相シフター部の幅を大きくした場合に当該位相シフター部の中心と対応するレジストが感光されるものを意味し、具体的な透過率は少なくとも15%以上であり、好ましくは25%以上である。すなわち、非常に高い透過率を持つ位相シフター部とは、25%以上の透過率を持つ位相シフター部を意味する。
尚、本変形例のフォトマスクによってMEF低減効果とレジストパターン角部の丸みの抑制効果とを同時に得るためには、第1の実施形態と同様に、半遮光部の透過率を5%以上で且つ30%以下にすることが望ましく、特に両効果を十分に得るためには、半遮光部の透過率を10%以上で且つ20%以下にすることが好ましい。
また、本変形例において、レジストパターンの対向間隔のCD値を縮小した場合にもレジストパターンを安定して形成できるようにするためには、第1の実施形態と同様に、パターン対向領域の透光部を半遮光部によって取り囲み、且つ当該透光部のパターン対向方向と垂直な方向の幅を各矩形パターン(位相シフター部)の当該垂直な方向に延びる辺の長さ(つまり対向幅)よりも小さくする。
また、本変形例においても、第1の実施形態と同様に、パターン対向領域に設ける半遮光部を、マスクパターンの周縁部(つまり各パターン領域となる位相シフター部の周縁部)を取り囲むように配置しているため、対向領域近傍の寸法を含むレジストパターンの寸法を調整するための近接効果補正を容易に実施することができる。
また、本変形例においても、第1の実施形態と同様に、パターン対向領域周辺の半遮光部におけるパターン対向方向の寸法は、パターン領域の対向間隔よりも長くても短くても良い。但し、レジストパターンの角部の丸みを防止するためには、パターン対向領域及びその周辺に配置された半遮光部におけるパターン対向方向と垂直な方向の寸法(幅)は、位相シフター部よりなるパターン領域の当該垂直な方向の寸法(対向幅)よりも大きくすることが好ましいこと(つまり、半遮光部がパターン対向領域内だけではなくその外側(周辺)にも配置されていることが好ましいこと)は、第1の実施形態と同様である。
また、本変形例において、パターン対向領域に設けられる半遮光部102は必ずしも位相シフター部103よりなる矩形パターンと接触する必要はなく、半遮光部102と位相シフター部103との間に、フォトマスクにより形成される光学像に影響を及ぼさない程度の寸法を持つ透光部が介在することにより、半遮光部102と位相シフター部103とが離隔していてもよい。
また、本変形例において、パターン対向領域に設けられる半遮光部102は必ずしも第1の透光部104Aを完全に取り囲んでいる必要はなく、半遮光部102を分断するように、フォトマスクにより形成される光学像に影響を及ぼさない程度の寸法を持つ透光部が配置されていても良い。
さらに、例えば図17(a)に示す本変形例のマスクパターン(一対の位相シフター部103)をパターン対向方向と垂直な方向に複数配列する場合には、言い換えると、パターン対向領域同士を当該垂直な方向に隣接させる場合には、各パターン対向領域の周辺に設けられる半遮光部102が互いに接続されていてもよい。言い換えると、一対の位相シフター部103からそれぞれ構成される各マスクパターンに対して半遮光部102が連続的に設けられていても良い。
ところで、ここまで、本変形例のフォトマスクにおいては、互いに対向する一対のパターン領域がいずれも位相シフター部であると説明してきたが、これに代えて、例えば図22に示すように、互いに対向する一対のパターン領域の一方が位相シフター部103であり、他方が遮光部101であってもよい。尚、図22に示すフォトマスクにおいても、パターン対向領域に位置する第1の透光部104Aと各パターン領域(つまり位相シフター部103及び遮光部101のそれぞれ)との間には半遮光部102が介在する。言い換えると、パターン対向領域においては、各パターン領域となる位相シフター部103及び遮光部101のそれぞれから半遮光部102を挟んで離れた位置に第1の透光部104Aが設けられている。また、パターン対向領域側の角部を含む位相シフター部103及び遮光部101のそれぞれの角部の周辺にも半遮光部102が配置されている。
図23(a)〜(d)は、図22の平面図に示すフォトマスクの断面構成のバリエーションを示している。具体的には、図23(a)〜(d)は、図22に示される線分AB及び線分CDのそれぞれに対応する部分の断面構造を表している。尚、図23(a)〜(d)に示す本変形例のフォトマスクの断面構成が第1の実施形態の第1変形例と異なっている点は、半遮光部の透過率よりも高い透過率を有する位相シフター部を形成できることである。
まず、図23(a)に示すフォトマスクにおいては、例えば石英よりなる透過性基板160の上に、透光部104A及び104Bとの間で露光光に対して同位相の位相差(つまり(−30+360×n)度以上で且つ(30+360×n)度以下(但しnは整数)の位相差)を生じる半透明の半遮光膜161が形成されている。以下、同位相の位相差を生じるとは、(−30+360×n)度以上で且つ(30+360×n)度以下(但しnは整数)の位相差を生じることを意味するものとする。このような半遮光膜161の一例として、前記nを0とする(つまり、−30度以上で且つ30度以下の位相差を生じる)金属薄膜を用いることができる。ここで、透光部104A及び104Bは、透過性基板160の露出領域であり、半遮光部102は、透過性基板160上に堆積された半遮光膜161の露出領域である。また、透過性基板160における位相シフター部103の形成領域は、透光部104A及び104Bとの間で露光光に対して反対位相の位相差(つまり(150+360×n)度以上で且つ(210+360×n)度以下(但しnは整数)の位相差)を生じる厚さだけ掘り下げられている。これにより、位相シフター部103が透過性基板160の掘り下げ部160aとして形成される。以下、反対位相の位相差を生じるとは、(150+360×n)度以上で且つ(210+360×n)度以下(但しnは整数)の位相差を生じることを意味するものとする。さらに、遮光部101は、半遮光膜161の上に、露光光を実質的に透過させない遮光膜162をさらに積層することによって形成されている。
以上に説明した、図23(a)に示すマスク構成によると、半遮光膜161及び遮光膜162が順次積層された透過性基板160を用意し、遮光膜162及び半遮光膜161のそれぞれを選択的に除去すると共に透過性基板160を掘り下げることにより、透光部104A及び104B、遮光部101、半遮光部102並びに位相シフター部103からなる任意のマスクレイアウトを形成することができる。特に、半遮光膜161として金属薄膜を用いた場合には、半遮光膜161の加工精度が向上するので、マスクパターンとなる遮光部101又は位相シフター部103の周囲に配置される半遮光部102の加工精度が向上する。
次に、図23(b)に示すフォトマスクにおいては、例えば石英よりなる透過性基板160の上に、透過性基板160の露出領域(本マスクでは位相シフター部103となる)との間で露光光に対して反対位相の位相差を生じる位相シフト膜163が形成されている。位相シフト膜163の材料としては、例えばSiO2 を主成分とする透明なガラス材料を用いることができる。ここで、透光部104A及び104Bは、透過性基板160上に堆積された位相シフト膜163の露出領域であり、位相シフター部103は、位相シフト膜163が除去された箇所に位置する透過性基板160の露出領域である。また、位相シフト膜163の上には、透光部104A及び104Bとの間で露光光に対して同位相の位相差を生じる半透明の半遮光膜161が積層されている。ここで、半遮光部102は、位相シフト膜163上に堆積された半遮光膜161の露出領域である。さらに、遮光部101は、半遮光膜161の上に、露光光を実質的に透過させない遮光膜162を積層することによって形成されている。
以上に説明した、図23(b)に示すマスク構成によると、位相シフト膜163を用いることにより、当該位相シフト膜163の膜厚によって位相シフター部103の位相を調整することができる。よって、透過性基板160の掘り下げ深さによって位相シフター部103の位相を調整する場合と比べて、位相シフター部103の位相制御の精度が向上する。
次に、図23(c)に示すフォトマスクにおいては、例えば石英よりなる透過性基板160の上に、透過性基板160の露出領域(但し掘り下げられていない部分)との間で露光光に対して反対位相の位相差を生じる半透明の位相シフト膜164が形成されている。位相シフト膜164の材料としては、例えば酸化シリコンと金属との化合物(MoSiO2 等)を用いることができる。ここで、透光部104A及び104Bは、位相シフト膜164が除去され且つ当該除去箇所に位置する透過性基板160が露光光に反対位相の位相差を生じさせる厚さだけ掘り下げられている領域である。また、位相シフター部103は、位相シフト膜164が除去された箇所に位置する透過性基板160の露出領域である。また、半遮光部102は、透過性基板160上に堆積された位相シフト膜164の露出領域である。さらに、遮光部101は、位相シフト膜164の上に、露光光を実質的に透過させない遮光膜162を積層することによって形成されている。
ところで、本発明のフォトマスクの平面構成においては、本発明の原理より、透光部について位相シフター部よりも微細なパターンが必要となることはない。また、一般に、位相シフター部となる透過性基板の掘り下げ部はエッチング工程によって形成される。しかし、エッチング工程において加工パターンが微細になると、当該パターンの寸法に依存して掘り下げ深さが変化するマイクロローディング効果が発生する。それに対して、図23(c)に示す構成によると、透過性基板160の掘り下げ部が位相シフター部103ではなく透光部104A及び104Bとなると共に、前述のように、本発明のフォトマスクの構成おいては、透光部104A及び104Bについて位相シフター部103よりも微細なパターンが必要となることはない。このため、透過性基板160を掘り下げる際にマイクロローディング効果を回避できるので、マスク加工が容易になる。
次に、図23(d)に示すフォトマスクにおいては、例えば石英よりなる透過性基板160の上に、透過性基板160の露出領域(本マスクでは透光部104A及び104Bとなる)との間で露光光に対して反対位相の位相差を生じる第1の位相シフト膜163(図23(b)に示すフォトマスクの位相シフト膜163と同じ)が形成されている。ここで、透光部104A及び104Bは、透過性基板160の露出領域であり、位相シフター部103は、透過性基板160上に堆積された第1の位相シフト膜163の露出領域である。また、第1の位相シフト膜163の上には、透光部104A及び104Bとの間で露光光に対して反対位相の位相差を生じる半透明の第2の位相シフト膜164(図23(c)に示すフォトマスクの位相シフト膜164と同じ)が積層されている。ここで、半遮光部102は、第1の位相シフト膜163上に堆積された第2の位相シフト膜164の露出領域である。さらに、遮光部101は、第2の位相シフト膜164の上に、露光光を実質的に透過させない遮光膜162を積層することによって形成されている。
以上に説明した、図23(d)に示すマスク構成によると、位相シフト膜163を用いることにより、当該位相シフト膜163の膜厚によって位相シフター部103の位相を調整することができる。よって、透過性基板160の掘り下げ深さによって位相シフター部103の位相を調整する場合と比べて、位相シフター部103の位相制御の精度が向上する。
ところで、図23(b)〜(d)に示す断面構成を有するフォトマスクにおいては、反対位相の位相差を生じる位相シフター部となる膜の膜厚や、同位相の位相差を生じる半遮光部となる膜の膜厚として、位相調整のために数百nm程度必要である。それに対して、図23(a)に示す断面構成を有するフォトマスクにおいては、半遮光部102として、高々数十nm程度の厚さの薄膜を用いるため、マスク加工のためのパターニングにおいて微細加工が容易となる。ここで、当該薄膜として使用できる金属材料としては、例えば、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Zr(ジルコニュウム)、Mo(モリブデン)及びTi(チタン)等の金属並びにそれらの合金がある。具体的な合金としては、Ta−Cr合金、及びZr、Mo又はTiとSiとの化合物等がある。
以上のように、図23(a)に示す断面構成を有するフォトマスクによると、加工対象となる膜が金属薄膜よりなる半遮光膜161であるため、マスク加工における微細加工が容易となる。すなわち、図23(a)に示すフォトマスクは、マスク加工が容易な点で優れている。
尚、図23(a)〜(d)のそれぞれに示すフォトマスクにおいて、半遮光膜161並びに位相シフト膜163及び164等を単層膜として扱ったが、これらの膜のそれぞれが多層膜として構成されていてもよいことは言うまでもない。
(第1の実施形態の第3変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第3変形例に係るフォトマスクについて図面を参照しながら説明する。
図28(a)は所望のレジストパターン形状を表す図であり、図28(b)は第1の実施形態の第3変形例に係るフォトマスクの平面図である。尚、図28(b)において、透過性基板については図示を省略している。
図28(a)に示すように、所望のパターンは、マトリックス状に互いに近接して配置された複数の矩形状のレジストパターン200である。各レジストパターン200は短辺同士及び長辺同士がそれぞれ対向するように隣接している。
図28(b)に示すように、本変形例のフォトマスクにおいては、透過性基板(図示省略)上の十分に広い領域に亘って透光部104(第2の透光部104B)が設けられている。また、露光によりウェハ上に形成しようとするレジストパターン(所望のパターン)200と対応する位置の透過性基板1上には、複数の矩形状の位相シフター部103よりなるマスクパターンが設けられている。すなわち、本変形例においては、第1の実施形態の第1変形例と同様に、マスクパターンが遮光部ではなく位相シフター部103によって構成されている。尚、本変形例においては、レジストパターン200と対応する当該マスクパターンは、マトリックス状に互いに近接して配置された複数のパターン領域(複数の位相シフター部103)を有する。また、本変形例の特徴として、複数のパターン領域のうち短辺同士が互いに対向するパターン領域同士の間の領域(対向間隔が最小であるパターン対向領域105)に位置する第1の透光部104Aと各パターン領域(つまり各位相シフター部103)との間には半遮光部102が介在する。言い換えると、パターン対向領域105においては、各パターン領域である各位相シフター部103から半遮光部102を挟んで離れた位置に第1の透光部104Aが設けられている。また、本変形例においては、パターン対向領域105側の角部を含む各位相シフター部103(つまり各パターン領域)の角部の周辺にも半遮光部102が配置されている。さらに、本変形例においては、複数のパターン領域のうち長辺同士が互いに対向するパターン領域同士(両者の対向間隔はパターン対向領域105の間隔と比較して大きい)の間には第2の透光部104Bが介在する。
以上に説明した本変形例のフォトマスクの構成によると、マスクパターンとして遮光部に代えて位相シフター部を用いた場合にも、パターン対向領域においてMEFを低減させることができると共に、形成されるレジストパターンの角部の丸み及びそれに伴う端部の後退を抑制できる。従って、例えば複数のトランジスタが隣接する回路レイアウトを有するパターンの形成に本変形例のフォトマスクを適用した場合には、ゲート層パターンの対向領域の縮小と当該対向領域におけるゲート突き出し量の縮小とが可能になるので、高密度にトランジストを配置してLSIの集積化を実現することができる。
また、本変形例においては、第1の実施形態と同様に、半遮光部102はパターン対向領域105の第1の透光部104Aを取り囲むように配置されている。このような構成は、特にレジストパターン間のスペース寸法が微細になる場合に望ましい構成である。
また、本変形例においては、第1の実施形態と同様に、半遮光部102はマスクパターンの周縁部(つまり各パターン領域となる位相シフター部103の周縁部)を取り囲むように配置されている。このような構成により、マスクパターン作成において近接効果補正(OPC)の実施を容易に行うことができる。
また、本変形例において、半遮光部102は第1の実施形態と同様に定義されるものである。また、位相シフター部103は光を透過させるが、位相シフター部103を透過する光と、透光部104A及び104Bを透過する光とは反対位相の関係(具体的には両者の位相差が(150+360×n)度以上で且つ(210+360×n)度以下(但しnは整数)となる関係)にある。
尚、第1の実施形態の第1変形例においては、遮光部に代えて用いる位相シフター部103として、低透過率の位相シフター部を想定したが、本変形例においては、当該位相シフター部103として、第1の実施形態の第2変形例と同様に、高透過率の位相シフター部を想定している。すなわち、本変形例のフォトマスクは、図17(c)に示す第1の実施形態の第2変形例のフォトマスクと同様の断面構成を有する。
また、本変形例では、形成するレジストパターンがλ/NAの半分以下の線幅を持つ細線パターンである場合を対象として、高透過率の位相シフター部103を用いている。λ/NAの半分以下の線幅を持つ細線パターンの形成においては、レジストパターンの形状において角部の丸みとして現れていた問題の現象は、ライン端部の先細り現象やライン端部の後退現象として顕著に現れる。
上記のように構成された本変形例のフォトマスクは、第1の実施形態の第2変形例と同様に、ウェハ上にパターンを形成する上で優れたパターン形成特性、具体的には、MEF低減効果と、レジストパターンの角部の丸みの抑制効果(特にライン端部の先細りの抑制効果)とを発揮する。
尚、本変形例のフォトマスクによってMEF低減効果とレジストパターン角部の丸みの抑制効果とを同時に得るためには、第1の実施形態の第2変形例と同様に、半遮光部の透過率を5%以上で且つ30%以下にすることが望ましく、特に両効果を十分に得るためには、半遮光部の透過率を10%以上で且つ20%以下にすることが好ましい。
また、本変形例において、レジストパターンの対向間隔のCD値を縮小した場合にもレジストパターンを安定して形成できるようにするためには、第1の実施形態の第2変形例と同様に、パターン対向領域の透光部を半遮光部によって取り囲み、且つ当該透光部のパターン対向方向と垂直な方向の幅を各矩形パターン(位相シフター部)の当該垂直な方向に延びる辺の長さ(つまり対向幅)よりも小さくする。
また、本変形例においても、第1の実施形態の第2変形例と同様に、パターン対向領域に設ける半遮光部を、マスクパターンの周縁部(つまり各パターン領域となる位相シフター部の周縁部)を取り囲むように配置しているため、対向領域近傍の寸法を含むレジストパターンの寸法を調整するための近接効果補正を容易に実施することができる。
また、本変形例においても、第1の実施形態の第2変形例と同様に、パターン対向領域周辺の半遮光部におけるパターン対向方向の寸法は、パターン領域の対向間隔よりも長くても短くても良い。但し、レジストパターンの角部の丸みを防止するためには、パターン対向領域及びその周辺に配置された半遮光部におけるパターン対向方向と垂直な方向の寸法(幅)は、位相シフター部よりなるパターン領域の当該垂直な方向の寸法(対向幅)よりも大きくすることが好ましいこと(つまり、半遮光部がパターン対向領域内だけではなくその外側(周辺)にも配置されていることが好ましいこと)は、第1の実施形態と同様である。
また、本変形例において、パターン対向領域に設けられる半遮光部102は必ずしも位相シフター部103よりなる矩形パターンと接触する必要はなく、半遮光部102と位相シフター部103との間に、フォトマスクにより形成される光学像に影響を及ぼさない程度の寸法を持つ透光部が介在することにより、半遮光部102と位相シフター部103とが離隔していてもよい。
また、本変形例において、パターン対向領域に設けられる半遮光部102は必ずしも第1の透光部104Aを完全に取り囲んでいる必要はなく、半遮光部102を分断するように、フォトマスクにより形成される光学像に影響を及ぼさない程度の寸法を持つ透光部が配置されていても良い。
また、本変形例において、各パターン対向領域105の周辺に設けられる半遮光部102が、複数のパターン領域の長辺同士が対向する方向において互いに接続されていてもよい。言い換えると、複数の位相シフター部103から構成されるマスクパターンに対して半遮光部102が連続的に設けられていても良い。
また、本変形例において、パターン対向領域105を挟む一対のパターン領域の一方が位相シフター部103であり、他方が遮光部であってもよい。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るフォトマスクの作成方法について図面を参照しながら説明する。
図29は本実施形態に係るフォトマスクの作成方法によって形成しようとするフォトマスクの平面図である。図29に示すフォトマスクの基本構成は、図17(b)に示す第1の実施形態の第2変形例に係るフォトマスクの基本構成と同様である。すなわち、図29に示すフォトマスクに設けられているマスクパターンは、互いに近接して対向する一対の矩形状の位相シフター部103(一対のパターン領域)よりなる。また、当該一対のパターン領域の間の領域(パターン対向領域)に位置する第1の透光部104Aと各パターン領域(つまり各位相シフター部103)との間には半遮光部102が介在する。また、前記パターン対向領域側の角部を含む各位相シフター部103(つまり各パターン領域)の角部の周辺にも半遮光部102が配置されている。具体的には、半遮光部102は前記パターン対向領域の第1の透光部104Aを取り囲むと共に前記マスクパターンの周縁部(つまり各パターン領域となる位相シフター部103の周縁部)を取り囲むように配置されている。
尚、図29において、透過性基板100(第2の透光部104B)の図示を省略している。また、図29に示すように、透過性基板上におけるマスクパターン形成領域と異なる他の領域上には、例えばアライメントマークとして用いられる遮光部101が設けられている。
図30(a)〜(j)は本実施形態に係るフォトマスクの作成方法の各工程を示す断面図(図29のAB線の断面構成を示す)であり、図31(a)〜(c)はそれぞれ図30(c)、(g)、(j)の断面図に対応する平面図である。但し、図31(a)〜(c)においては、マスクパターン形成領域のみを図示している。
まず、図30(a)に示すように、透過性基板である例えば石英基板110上に半遮光膜として例えばMoよりなる金属薄膜112及び遮光膜として例えばCr膜111を順次形成した後、Cr膜111の上にレジスト膜121を形成する。
次に、図30(b)に示すように、リソグラフィによりレジスト膜121をパターン化して、遮光部101となる領域及び半遮光部102となる領域をそれぞれ覆うレジストパターン121Aを形成する。
次に、レジストパターン121AをマスクとしてCr膜111及び金属薄膜112に対して順次エッチングを行って、図30(c)及び図31(a)に示すように、透光部104A及び104Bとなる領域並びに位相シフター部103となる領域(マスクパターンを構成する一対のパターン領域)のそれぞれに位置するCr膜111及び金属薄膜112を除去した後、図30(d)に示すように、レジストパターン121Aを除去する。これにより、透光部104A及び104Bとなる領域並びに位相シフター部103となる領域のそれぞれにおいては石英基板110の表面が露出する。
次に、図30(e)に示すように、パターニングされたCr膜111の上及び石英基板110の上にレジスト膜122を形成した後、図30(f)に示すように、リソグラフィによりレジスト膜122をパターン化して、第2の透光部104Bとなる領域を覆うレジストパターン122Aを形成する。ここで、位相シフター部103となる領域の近傍(マスク合わせマージン程度)を除くCr膜111(遮光部101となる領域及び半遮光部102となる領域をそれぞれ覆う)がレジストパターン122Aによって覆われていてもよい。
次に、レジストパターン122A及びCr膜111の一部分をマスクとして石英基板110に対してエッチングを行って、位相シフター部103となる領域(マスクパターンを構成する一対のパターン領域)に位置する石英基板110を透過光の位相が反転する分だけ掘り下げ、それにより、図30(g)及び図31(b)に示すように、位相シフター部103となる掘り下げ部115を形成した後、図30(h)に示すように、レジストパターン122Aを除去する。このとき、掘り下げ部115の開口幅は、Cr膜111の開口幅と実質的に同じになる。
次に、図30(i)に示すように、遮光部101となる領域を覆うレジストパターン123Aを形成した後、レジストパターン123AをマスクとしてCr膜111(遮光部101となる領域及び半遮光部102となる領域をそれぞれ覆う)に対してエッチングを行って、半遮光部102となる領域に位置するCr膜111を除去する。その後、レジストパターン123Aを除去する。これにより、図30(j)及び図31(c)に示すように、遮光部101となる領域のみにCr膜111が残り、半遮光部102となる領域において金属薄膜112が露出する。すなわち、図29に示すフォトマスクが完成する。
尚、本実施形態では、図17(b)及び(c)に示す第1の実施形態の第2変形例に係るフォトマスクを形成する場合を例として説明したが、マスクパターンを構成する一対のパターン領域が共に遮光部101よりなる場合(つまり図1(b)及び(c)に示す第1の実施形態に係るフォトマスクを形成する場合)には、図30(c)及び図31(a)に示す工程で、マスクパターンを構成する一対のパターン領域に位置するCr膜111及び金属薄膜112を残存させ、図30(e)に示す工程、図30(f)に示す工程、図30(g)及び図31(b)に示す工程、並びに図30(h)に示す工程を省略し、図30(i)に示す工程で、マスクパターンを構成する一対のパターン領域に位置するCr膜111及び金属薄膜112を残存させればよい。或いは、マスクパターンを構成する一対のパターン領域のうちの一方のパターン領域が位相シフター部103よりなると共に他方のパターン領域が遮光部101よりなる場合には、図30(c)及び図31(a)に示す工程で、前記一方のパターン領域に位置するCr膜111及び金属薄膜112については除去すると共に前記他方のパターン領域に位置するCr膜111及び金属薄膜112については残存させ、図30(g)及び図31(b)に示す工程で、前記一方のパターン領域に位置する石英基板110を透過光の位相が反転する分だけ掘り下げ、それにより、位相シフター部103となる掘り下げ部115を形成し、図30(i)に示す工程で、前記他方のパターン領域に位置するCr膜111及び金属薄膜112を残存させればよい。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係るパターン形成方法、具体的には第1の実施形態又はその変形例のいずれかに係るフォトマスク(以下、本発明のフォトマスクと称する)を用いたパターン形成方法について図面を参照しながら説明する。
図24(a)〜(d)は、第3の実施形態に係るパターン形成方法の各工程を示す断面図である。
まず、図24(a)に示すように、基板300上に、例えば金属膜又は絶縁膜等の被加工膜301を形成した後、図24(b)に示すように、被加工膜301の上に、例えばポジ型のレジスト膜302を形成する。
次に、図24(c)に示すように、本発明のフォトマスク、例えば図17(a)〜(c)に示す構成を有する第1の実施形態の第2変形例に係るフォトマスクを介して露光光303をレジスト膜302に対して照射する。これにより、当該フォトマスクを透過した露光光304によってレジスト膜302が露光される。このとき、前記フォトマスクにおけるマスクパターンは一対の位相シフター部103から構成されていると共に、当該一対の位相シフター部103は半遮光部102によって取り囲まれている。また、一対の位相シフター部103同士の間には第1の透光部104Aが半遮光部102によって取り囲まれるように配置されている。尚、半遮光部102は、石英基板110上に堆積された金属薄膜(半遮光膜)112の露出領域であり、位相シフター部103は、金属薄膜112の除去箇所に位置する石英基板110の掘り下げ部115である。
尚、図24(c)に示す露光工程では、例えば斜入射露光(斜入射照明)用の光源を用いてレジスト膜302に対して露光を行なう。このとき、図24(c)に示すように、現像工程でレジストが溶解するに足りる露光エネルギーが照射されるのは、前記フォトマスクにおける前記マスクパターン以外の領域(つまり透光部104A及び104B並びに半遮光部102)と対応するレジスト膜302の潜像部分302aのみである。
次に、レジスト膜302に対して現像を行って潜像部分302aを除去することにより、図24(d)に示すように、前記フォトマスクにおける前記マスクパターンと対応するレジストパターン(つまり一対の位相シフター部103と対応する一対のレジストパターン)305を形成する。
以上に説明した本実施形態によると、本発明のフォトマスク(具体的には第1の実施形態又はその変形例に係るフォトマスク)を用いたパターン形成方法であるため、第1の実施形態又はその変形例と同様の効果が得られる。
また、本実施形態において、レジストが塗布された基板(ウェハ)に対して本発明のフォトマスクを介して露光を行う際に斜入射露光用の光源を用いると、本発明の効果(つまりレジストパターンの角部の丸み及びそれに伴う端部の後退の抑制効果並びにパターン対向領域におけるMEFの低減効果)が特に顕著に発揮されるので、より微細なパターンの形成が可能となる。ここで、斜入射露光用の光源とは、図25(a)に示すような通常露光用の光源に対して、垂直入射成分(光源からフォトマスクに対して垂直に入射する露光光の成分)が取り除かれた、例えば図25(b)〜(d)に示すような光源を意味する。代表的な斜入射露光用の光源としては、図25(b)に示す輪帯露光用の光源、並びに図25(c)及び(d)に示す四重極露光用の光源がある。尚、目的のパターンに若干依存するが、一般に、輪帯露光用の光源よりも四重極露光用の光源の方がコントラストの強調又はDOFの拡大において効果的である。