JP4196550B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、磁気特性および被膜特性に著しく優れた方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
方向性電磁鋼板は、変圧器や発電機の鉄心材料として用いられる軟磁性材料である。
近年、省エネルギーの観点から、これら電気機器のエネルギーロスの低減に対する要求が高まっており、鉄心材料として用いられている方向性電磁鋼板についても、従来にも増して、良好な磁気特性が求められるようになってきた。
【0003】
方向性電磁鋼板は、鉄の磁化容易軸である<001>方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織を有するものであり、このような集合組織は、方向性電磁鋼板の製造工程中、仕上げ焼鈍の際に、いわゆるゴス方位と称される(110)〔001〕方位の結晶粒を優先的に巨大成長させる、二次再結晶を通じて形成される。従って、二次再結晶粒の結晶方位が磁気特性に大きな影響を及ぼす。
【0004】
また、方向性電磁鋼板の地鉄表面には、フォルステライト被膜と呼ばれるグラス被膜が存在する。このフォルステライト被膜は、方向性電磁鋼板を積層して鉄心等に用いる際の鋼板層間の絶縁性を確保するだけでなく、鋼板に張力を付与してその低鉄損化に寄与している。
方向性電磁鋼板は、需要家にて加工されたのち、 800℃, 3時間程度の歪取り焼鈍が施されるため、フォルステライト被膜の被膜特性としては、歪取り焼鈍に耐え得ると共に、歪取り焼鈍後、曲げなどの加工を施した後でも剥離しないこと(歪取り焼鈍後耐曲げ剥離性)が求められる。
【0005】
さて、このような方向性電磁鋼板は、Siを 4.5mass%以下程度含有する鋼スラブを、加熱後、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚とし、ついで湿潤水素雰囲気中で連続焼鈍を施したのち、マグネシアを主剤とする焼鈍分離剤を塗布してから、1200℃, 5時間程度の仕上げ焼鈍を行うことにより製造されてきた。
例えば、米国特許No.1965559号、特公昭40−15644 号公報、特公昭51−13469号公報などに、その技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、上記したような従来の方向性電磁鋼板の製造工程では、磁気特性と被膜特性との両立を図ることは極めて困難であった。
すなわち、磁気特性の向上を図ろうとすると被膜特性が劣化し、逆に被膜特性の向上を図ろうとすると磁気特性が劣化する、という問題があったのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したとおり、従来の製造工程では、磁気特性と被膜特性の両立を図ることが極めて困難であり、近年、特に強く求められている高特性材を安定して製造するには限界があった。
この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、優れた磁気特性と被膜特性とを両立させ得る、全く新しい製造工程からなる方向性電磁鋼板の有利な製造方法を提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、この発明の解明経緯について説明する。
さて、発明者らは、従来の製造工程を根本から見直した。その結果、仕上げ焼鈍工程において、二次再結晶とフォルステライト被膜形成の両方を行っていることが、磁気特性と被膜特性の両立を困難にしていることを突き止めた。
【0009】
従来の製造工程において、二次再結晶は仕上げ焼鈍中に起こる。この仕上げ焼鈍は、通常、1200℃,5時間程度の水素雰囲気中で行われる。この際、仕上げ焼鈍中のガス組成、焼鈍分離剤の組成や反応性、鋼板表面の酸化物の組成や形態などが二次再結晶粒の結晶方位、すなわち磁気特性に大きな影響を及ぼす。
一方、フォルステライト被膜の形成も仕上げ焼鈍中に起こる。そのため、磁気特性と同様に、仕上げ焼鈍中のガス組成、焼鈍分離剤の組成や反応性、鋼板表面の酸化物の組成や形態などがフォルステライト被膜の形成挙動、すなわち被膜特性に大きな影響を及ぼす。
しかしながら、二次再結晶にとって良好な条件と、フォルステライト被膜形成にとって良好な条件とは必ずしも一致せず、また、たとえ、そのような条件が存在したとしても、極めて狭い範囲であるため、工業的に安定して磁気特性と被膜特性の両者に優れる方向性電磁鋼板を製造することは極めて困難であった。
【0010】
そこで、発明者らは、従来、二次再結晶とフォルステライト被膜形成の両方を行っていた仕上げ焼鈍を、二次再結晶のための焼鈍(以後、1回目のバッチ焼鈍と呼ぶ)と、フォルステライト被膜形成のための焼鈍(以後、2回目のバッチ焼鈍と呼ぶ)に分離し、これら2回のバッチ焼鈍の間に連続焼鈍を挟むことによって、磁気特性と被膜特性の両立が可能であることを究明した。
さらに、圧延時の変形挙動や被膜の形成挙動に大きな影響を与える鋼板中のCの影響についても種々検討を加え、磁気特性や被膜特性に及ぼすCの影響を明らかにして、この発明を完成させたものである。
【0011】
すなわち、この発明の要旨構成は次のとおりである。
1.Si:4.5 mass%以下およびC:0.01〜0.1 mass%を含有する鋼スラブを、熱間圧延したのち、熱延板焼鈍を施しまたは省略して、 1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚としたのち、連続焼鈍を挟む2回のバッチ焼鈍を施すことによって方向性電磁鋼板を製造するものとし、 その際、
(1) 1回目のバッチ焼鈍前の鋼板のC含有量を、スラブのC含有量に応じて熱延板焼鈍、中間焼鈍および最終冷延後の連続焼鈍の少なくともいずれかの焼鈍温度、焼鈍時間、雰囲気酸化性を調整することにより、 0.003mass%以上、0.03mass%以下の範囲に制御すること、
(2) 2回目のバッチ焼鈍前に、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布すること、
(3) 2回目のバッチ焼鈍後のC含有量を 0.005mass%以下に低減すること
を特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
【0012】
2.最終冷間圧延後、連続焼鈍により一次再結晶を生じさせたのち、1回目のバッチ焼鈍を施すことを特徴とする上記1記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【0013】
3.最終冷間圧延前の鋼板のC含有量を0.01mass%以上に制御することを特徴とする上記1または2記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体的に説明する。
この発明のスラブは、製鋼−連続鋳造(あるいは造塊−分塊圧延)によって製造される。
この際、スラブ組成は、少なくともSiおよびCについては、所定の範囲に制限する必要があるが、その他の元素については従来公知の組成いずれもが適合する。
まず、Siについては 4.5mass%以下に規定する必要がある。すなわち、Siは、電気抵抗を高めることによって鉄損を改善する有用元素であり、3mass%程度含有させることが望ましいが、含有量が 4.5mass%を超えると冷間圧延が著しく困難になるため、4.5 mass%以下程度で含有させることが好ましい。
一方、Cは、組織改善に有用な元素であり、この観点から0.01〜0.1 mass%の範囲に制限する必要がある。
【0015】
また、二次再結晶を制御するために、インヒビターとなる微量のSやSeやN、および硫化物形成元素、セレン化物形成元素(Mn,Cu等)、窒化物形成元素(Al,B等)ならびに粒界偏析元素(Sb,Sn,Bi等)を添加することもできる。
これらのインヒビター成分を添加する場合の好適量は、次のとおりである。
S,Seは、硫化物やSe化合物としてインヒビター機能を発揮する元素であり、単独添加または複合添加いずれの場合においても、 0.001mass%以上、0.03mass%以下の範囲で含有させることが好ましい。というのは、含有量が 0.001mass%未満であるとインヒビター機能が発揮でさず、また、0.03mass%を超えるとスラブ加熱時に均一固溶させることが困難になり、かえってインヒビターとしての機能が損なわれてしまう。
【0016】
Nは、窒化物としてインヒビター機能を発揮する元素であり、0.001 mass%以上、0.015 mass%以下の範囲で含有させることが好ましい。というのは、含有量が 0.001mass%未満ではインヒビター機能を十分に発揮できず、一方 0.015mass%を超えるとふくれが発生してしまうからである。
【0017】
Mnは、MnSやMnSeを形成してインヒビターとして機能する他、電気抵抗を高める効果、さらには製造時の熱間加工性を向上させる効果がある。この目的のためには、0.03mass%以上の含有が必要であるが、2.5 mass%を超えて含有した場合、γ変態を誘起して磁気特性が劣化するので、Mnは0.03mass%以上、2.5 mass%以下の範囲が好適である。
【0018】
Cuは、CuSやCuSeを形成してインヒビターとして機能する他、被膜特性の改善にも効果がある。この目的のためには、0.01mass%以上の含有を必要とするが、0.5 mass%を超えると表面性状が悪化するので、Cuは0.01mass%以上、0.5 mass%以下の範囲が好適である。
【0019】
Al,Bは、窒化物を形成してインヒビター機能を発揮する元素であり、この目的のためには、Alは 0.003mass%以上、Bは0.0001mass%以上必要であるが、Alが0.05mass%を超えるとスラブ加熱時に均一固溶できずインヒビターの分散制御が難しくなり、またBが 0.002mass%を超えると製品のべンド特性などの機械的特性が劣化するので、Alは 0.003mass%以上、0.05mass%以下の範囲が、またBは0.0001mass%以上、0.002 mass%以下の範囲がそれぞれ好適である。
【0020】
Sb, Sn, Biはいずれも、粒界に偏析してインヒビター機能を発揮する元素であるが、過剰に添加すると製品のべンド特性などの機械的特性が劣化する。従って、Sbは 0.001mass%以上、0.1 mass%以下、Snは 0.001mass%以上、0.1 mass%以下、Biは0.0005mass%以上、0.05mass%以下程度とするのが好適である。
なお、最近、これらのインヒビター元素を特に添加しなくても二次再結晶させる技術が開発されているが、本発明はこの場合にも有利に適合する。
【0021】
上記の好適成分組成範囲に調整したスラブを、スラブ加熱後、熱間圧延を施す。このスラブ加熱は、1100℃程度の低温加熱あるいは1400℃程度の高温加熱のいずれでもよく、特に限定されるものではない。
ついで、熱延鋼板に、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して、最終冷延板とする。
この最終冷間圧延時の変形挙動は、圧延集合組織に大きな影響を与え、その影響は一次再結晶集合組織、二次再結晶方位にも及ぶ。最終冷間圧延時に結晶粒内で不均一変形を促進させることは、集合組織の適正制御の観点から好ましく、そのためには、最終冷間圧延前の鋼板に0.01mass%以上のCを含有させておくことが望ましい。
なお、冷間圧延は、常温で行っても良いし、常温よりも高い温度に上げて圧延する温間圧延としても、いずれでも良い。
【0022】
ついで、最終冷間圧延板に、必要に応じて連続焼鈍を施す。この連続焼鈍は、1回目のバッチ焼鈍における二次再結晶に最適な一次再結晶組織および表面を形成するために行う。この連続焼鈍を省略したり、あるいは一次再結晶が生じない低温域で焼鈍して、次工程(1回目のバッチ焼鈍)へ進むことも可能であるが、磁気特性を高いレベルで安定化させるためには、1回目のバッチ焼鈍前に一次再結晶を生じさせることが望ましい。
焼鈍雰囲気としては、低酸化性湿潤水素雰囲気あるいは乾水素雰囲気とすることが望ましい。
特に1回目のバッチ焼鈍後に良好な被膜を形成させるためには、1回目のバッチ焼鈍前の鋼板中に 0.003mass%以上、0.03mass%以下のCを残存させておくことが必要である。
なお、1回目のバッチ焼鈍前における鋼中C量を上記の範囲に制御するには、スラブのC含有量に応じてその後の焼鈍(熱延板焼鈍、中間焼鈍、最終冷延後の連続焼鈍)の温度、時間、雰囲気酸化性を調整する。
【0023】
ついで、1回目のバッチ焼鈍を施す。この1回目のバッチ焼鈍は、二次再結晶を発現するさせるために行う。従って、焼鈍条件は 750℃以上、1100℃以下の温度で、30分以上、500 時間以下の時間とすることが望ましい。というのは、焼鈍温度が750 ℃未満では二次再結晶が進行し難く、一方1100℃超えでは効果が飽和し、高コストとなり、また焼鈍時間が30分未満では二次再結晶が進行し難く、一方 500時間超えでは効果が飽和し、高コストとなるからである。
なお、1回目のバッチ焼鈍前に焼鈍分離剤を塗布する必要はないが、鋼板同士の融着が懸念される場合には、焼鈍分離剤を塗布してもよい。
【0024】
1回目のバッチ焼鈍後、連続焼鈍を施す。この連続焼鈍は、2回目のバッチ焼鈍におけるフォルステライト被膜形成に最適な鋼板表面を形成する(サブスケールを形成する)ために行う。
前述したとおり、1回目のバッチ焼鈍前にCを残存させておくと良好な鋼板表面が形成される。その理由については明らかではないが、二次再結晶が完了した後にサブスケールを形成させる本発明においては、脱炭反応とサブスケール形成反応を並行して行わしめることが安定したサブスケール形成に寄与しているものと考えられる。
【0025】
ここに、1回目のバッチ焼鈍後の連続焼鈍における焼鈍温度は、750 ℃以上、1100℃以下、また焼鈍時間は1秒以上、20分以下とすることが望ましい。というのは、焼鈍温度が 750℃未満または焼鈍時間が1秒未満では、鋼板表面の酸化が不十分で薄いフォルステライトしか形成されず、被膜特性の劣化を招き、一方焼鈍温度が1100℃超えでは、鋼板酸化量が多くなりすぎて被膜特性が劣化し、また焼鈍時間が20分超では効果が飽和し、経済的に不利だからである。
焼鈍雰囲気については、鋼板中のC量を 0.005mass%以下好ましくは 0.003mass%以下に低減できるように、雰囲気の酸化性を制御する必要がある。
なお、鉄損の時効劣化を防ぐためには、製品段階でのC含有量を減少させることが必要であるが、 後述する2回目のバッチ焼鈍では、焼鈍分離剤が塗布されるため脱炭が難しいので、2回のバッチ焼鈍に挟まれた連続焼鈍時にC含有量を上記した範囲に低減することが好ましく、 またサブスケールの形成と同時に脱炭を行うことでサブスケール形成が安定する点でも好適である。
この理由については定かではないが、脱炭と並行してサブスケールの形成を行わせると、鋼板表面から厚み方向にかけての酸化の進行速度が適度に制御でき、ラメラ状の良好なサブスケールが形成されるためと考えられる。
【0026】
上記の連続焼鈍後、鋼板の表面に焼鈍分離剤を塗布する。
この発明において、焼鈍分離剤としては、従来から公知のものいずれもが適合する。特に、マグネシアを主剤とし、必要に応じてチタニア、ストロンチウム化合物、硫化物、塩化物およびほう化物などの添加剤を添加したものを、水スラリーとして、塗布したものが好適に用いられる。
【0027】
ついで、2回目のバッチ焼鈍を施す。この2回目のバッチ焼鈍は、フォルステライト被膜を形成するために行う。その際、焼鈍温度は 900〜1300℃、また焼鈍時間は1時間以上、1000時間以下とすることが望ましい。というのは、焼鈍温度が 900℃未満あるいは焼鈍時間が1時間未満の場合には、フォルステライト形成反応の進行が不十分で、良好な被膜特性が得られず、一方焼鈍温度が1300℃超えあるいは焼鈍時間が1000時間超えでは、効果が飽和し、経済的に不利だからである。
【0028】
さらに、2回目のバッチ焼鈍後、鋼板表面に絶縁被膜を塗布、焼き付ける。絶縁被膜の種類については、特に限定されないが、従来公知の絶縁被膜のいずれもが適合する。たとえば、特開昭50−79442 号公報や特開昭48−39338 号公報に記載されている、リン酸塩−クロム酸−コロイダルシリカを含有する塗布液を鋼板に塗布し、 800℃程度で焼き付ける方法が好適である。
また、平坦化焼鈍により、鋼板の形状を整えることも可能であり、さらには絶縁被膜の焼き付けを兼ねた平坦化焼鈍を行うこともできる。
【0029】
【実施例】
実施例1
C:0.05mass%,Si:3.0 mass%,Mn:0.10mass%およびAl:130 ppm を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、1150℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.0 mmの熱延板としたのち、1000℃, 30秒の熱延板焼鈍を施し、ついで板厚:0.30mmまで冷間圧延した。
得られた冷延板を、11個に分割し、No.1〜8については、この発明に従い1回目のバッチ焼鈍前の連続焼鈍−1回目のバッチ焼鈍−1回目のバッチ焼鈍後の連続焼鈍−焼鈍分離剤の塗布−2回目のバッチ焼鈍を順次行った。この時、1回目のバッチ焼鈍前後の連続焼鈍の条件を表1に示すように種々に変化させた。
なお、1回目のバッチ焼鈍については、窒素雰囲気中にて 830℃, 50時間の条件で、また2回目のバッチ焼鈍については、乾水素雰囲気中にて1180℃, 5時間の条件で行った。さらに、焼鈍分離剤としては、マグネシア:95mass%、チタニア:5mass%のものを用いた。
また、No.9〜11の鋼板については、従来工程として、板厚:0.30mmの冷延板に、表1に示す3とおりの条件で脱炭焼鈍を施したのち、焼鈍分離剤(マグネシア:95mass%、チタニア:5mass%)を塗布し、乾水素雰囲気中にて1180℃,5時間の仕上焼鈍を施して、従来例とした。
【0030】
ついで、No.1〜11の全ての鋼板に、リン酸塩−クロム酸−コロイダルシリカを含有する塗布液を塗布し、800 ℃で焼き付けて、製品板とした。
その後、窒素雰囲気中にて 800℃, 3時間の歪取り焼鈍を行った後の磁気特性および被膜特性について調査した。また、製造工程中における鋼板のC含有量の変化についても調査した。
なお、磁気特性は、800 A/m で励磁した時の磁束密度B8 で評価し、また被膜特性は、歪取り焼鈍後の製品を円柱に巻き付け、被膜剥離を生じなかった最小曲げ半径で評価した。
得られた結果を表1に併記する。
【0031】
【表1】
【0032】
同表に示したとおり、この発明に従う製造工程で処理し、1回目のバッチ焼鈍前の鋼中Cを 0.003mass%以上、0.03mass%以下に制御すると共に、製品板中のC量を 0.005mass%以下に低減した場合(No.1〜4)はいずれも、従来例に比べて磁束密度および被膜密着性の両者に優れた方向性電磁鋼板を得ることができた。
【0033】
実施例2
C:0.04mass%,Si:3.0 mass%,Mn:0.08mass%およびSe:200 ppm を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、1420℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.0 mmの熱延板としたのち、1000℃, 30秒の熱延板焼鈍を施し、ついで一回目の冷延圧延により板厚:0.60mmとし、中間焼鈍後、二回目の冷延圧延を施して板厚:0.23mmの最終冷延板とした。
得られた冷延板を、11個に分割し、No.1〜8については、この発明に従い1回目のバッチ焼鈍前の連続焼鈍(No.7は省略)−1回目のバッチ焼鈍−1回目のバッチ焼鈍後の連続焼鈍−焼鈍分離剤の塗布−2回目のバッチ焼鈍を順次行った。この時、中間焼鈍および1回目のバッチ焼鈍前後の連続焼鈍の条件を表2に示すように種々に変化させた。
なお、1回目のバッチ焼鈍については、窒素雰囲気中にて 875℃, 100 時間の条件で、また2回目のバッチ焼鈍については、乾水素雰囲気中にて1220℃, 5時間の条件で行った。さらに、焼鈍分離剤としては、マグネシア:90mass%、チタニア:10mass%のものを用いた。
また、No.9〜11の鋼板については、従来工程として、板厚:0.23mmの冷延板に、表2に示す3とおりの条件で脱炭焼鈍を施したのち、焼鈍分離剤(マグネシア:90mass%、チタニア:10mass%)を塗布し、乾水素雰囲気中にて1200℃,10時間の仕上焼鈍を施して、従来例とした。
【0034】
ついで、No.1〜11の全ての鋼板に、リン酸塩−クロム酸−コロイダルシリカを含有する塗布液を塗布し、800 ℃で焼き付けて、製品板とした。
その後、窒素雰囲気中にて 800℃, 3時間の歪取り焼鈍を行った後の磁気特性および被膜特性について調査した。また、製造工程中における鋼板のC含有量の変化についても調査した。
得られた結果を表3に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
表2に示したとおり、この発明に従う製造工程で処理し、1回目のバッチ焼鈍前の鋼中Cを 0.003mass%以上、0.03mass%以下に制御すると共に、製品板中のC量を 0.005mass%以下に低減した場合(No.1〜2,5〜7)はいずれも、従来例に比べて磁束密度および被膜密着性の両者に優れた方向性電磁鋼板を得ることができた。
【0038】
【発明の効果】
かくして、この発明に従い、従来同時に行っていた二次再結晶とフォルステライト被膜形成のための仕上げ焼鈍を、連続焼鈍を挟む2回のバッチ焼鈍に分割し、これら2回のバッチ焼鈍で、二次再結晶とフォルステライト被膜の形成をそれぞれ別個に行うことにより、磁気特性および被膜特性が共に優れた方向性電磁鋼板を得ることができる。
Claims (3)
- Si:4.5 mass%以下およびC:0.01〜0.1 mass%を含有する鋼スラブを、熱間圧延したのち、熱延板焼鈍を施しまたは省略して、 1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚としたのち、連続焼鈍を挟む2回のバッチ焼鈍を施すことによって方向性電磁鋼板を製造するものとし、 その際、
(1) 1回目のバッチ焼鈍前の鋼板のC含有量を、スラブのC含有量に応じて熱延板焼鈍、中間焼鈍および最終冷延後の連続焼鈍の少なくともいずれかの焼鈍温度、焼鈍時間、雰囲気酸化性を調整することにより、 0.003mass%以上、0.03mass%以下の範囲に制御すること、
(2) 2回目のバッチ焼鈍前に、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布すること、
(3) 2回目のバッチ焼鈍後のC含有量を 0.005mass%以下に低減すること
を特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。 - 最終冷間圧延後、連続焼鈍により一次再結晶を生じさせたのち、1回目のバッチ焼鈍を施すことを特徴とする請求項1記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
- 最終冷間圧延前の鋼板のC含有量を0.01mass%以上に制御することを特徴とする請求項1または2記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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