JP4195765B2 - インクジェット印字用シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット印字用シートに関するものであり、更に詳しくは、インクの滲みムラがなくインクの吸収性に優れ、印字記録された画像の濃度や鮮明性が高く、印字ドット変形の少ない微塗工タイプの両面印字可能なインクジェット印字用シートに関するものである。
【0002】
インクジェット印字方式は、連続方式では帯電制御及び加圧振動により、オンデマンド方式においては電気・機械変換、電気・熱変換及び静電吸引など種々の作動原理により微小なインク滴を飛翔させて紙等の印字用シートに付着させ、画像、文字等の印字記録を行なうものであるが、低騒音化、高速化並びに多色化が容易、印字パターンの融通性が大きい、現像・定着作業が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びフルカラー画像等の印字記録装置として色々の用途において急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能となってきた。又、制作部数が少なくて済むオンデマンド印刷用途においては、写真技術による製版・印刷するものよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広範囲に応用されてきている。
【0003】
このインクジェット印字方式で使用される印字用シートとしては、通常の印刷や筆記用途の上質紙や塗工紙も使用に耐えるべく、プリンターヘッドなどの装置やインク組成の面から改良がなされてきた。しかし、プリンターの高速化・高精細化或はフルカラー化等インクジェット印字記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、印字用シートに対しても更に高度な印字適性・特性が要求されるようになった。即ち、当該印字用シートとしては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかなこと、インクの吸収が早くて印字ドットが重なった場合においてもインクの流れ出しや滲みがないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくならず、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと、また更に両面印字を行う場合にはインクが裏抜けせず、且つ裏面の印字の影響を受けない不透明性を保有すること等が要求される。
【0004】
インクジェット印字用シートの形態としては、一般的に、上質紙・ボンド紙等に代表される普通紙タイプと上質紙等の紙、合成紙、合成樹脂フィルム等の支持体面上にインク受理層を設けた塗工タイプに大別される。
【0005】
塗工タイプには、片面の塗工量が1〜10g/m程度の低塗工タイプ、10〜20g/m程度の中塗工タイプ、20g/m以上の高塗工タイプの各インクジェット印字用シートがある。特に、近年に至っては、低塗工タイプでも下限の片面塗工量0.5〜6g/mの微塗工タイプが普通紙に近いものとなり、外観的にも、鉛筆などによる筆記性や取扱いとしても好ましく、この微塗工タイプが望まれてきている。しかし、多色印字の場合は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの単色印字だけでなく、これらの色が重なって多重色印字され、部分的にはインク付着量が極めて多くなるため、微塗工タイプの場合は、塗工層でインクが吸収しきれなくなってしまう。その対策として、比較的低サイズ度の原紙を使用して、支持体である原紙自体で付着したインクの一部を吸収させる方法もあげられている。しかし、この場合に比較的低坪量で低サイズ度のものは両面印字した場合にインクがお互いに裏抜けし合い、印字物が判読できない或いは色のバランスが崩れ見苦しい画像になるという問題も有る。
【0006】
これらの問題を解決するために、特公平3−26665号公報には、坪量60g/m基準のステキヒトサイズ度が4秒以下の基紙上に、微粒シリカと水溶性高分子バインダーとを含む塗工層を設けたインクジェット記録用紙の例が開示され、特開昭59−38087号公報には、サイズ度が0〜10秒である基材上に、インク吸収層を設けたインクジェット記録材の例が開示され、特開昭59−9516号公報には、ステキヒトサイズ度0〜5秒の原紙にポリビニルピロリドン等を含浸したインクジェット記録用紙の例が開示されているが、何れも片面印字記録であり、両面印字可能な物で無い。
【0007】
更に、インク吸収性が高く、良好な記録ドット形状が得られるインクジェット記録シートとして、特開昭60−63191号公報がある。同公報は、被記録材(インクジェット記録シート)の表層が充填材と繊維質材料とが混在してなることを特徴としている。ここでは、繊維質材料からなる基材と、該基材の表面にごく薄く散布されたように付着した充填材粒子とを有すると記載している。しかし、該公報では表層の充填材と繊維質材料が混在している状態であって、基材を形成する繊維質材料が表層で露呈している状態について触れていない。
【0008】
同公報とは逆に、インクの吸収性に優れ、画像濃度や鮮明性が高く、真円に近い印字ドットの得られる微塗工タイプのインクジェット記録シートとして、特開平7―25132号公報があり、該記録シートの記録面が、該原紙面の交絡状態にあるパルプ繊維表面に沿って超微粒子無機顔料を主体とする組成物で表面被覆された該記録面で、該記録面に被覆されたパルプ繊維形状を走査電子顕微鏡により視認することができ、且つ該記録面のパルプ繊維の表面被覆率が70%以上であることを特徴として、基材を形成する繊維質材料が表層で露呈している状態について触れているが、支持体であるパルプ繊維で余剰のインクを吸収させる為に原紙の坪量が85g/mでステキヒトサイズ度が27秒と低いため、画像濃度が高く真円に近い印字ドットが得られるが、記録面のパルプ繊維の表面被覆の形態がほぼ完全に表面被覆された状態で無いことも起因してインクの部分的な浸透が押さえきれず、インクの裏抜けが発生し、両面印字が可能でない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したとおり、インク受理層が低塗工量の場合、比較的低サイズ度の原紙を使用して支持体自体で付着インクの一部を吸収させているが、サイズ剤の違いにより微少領域でのサイズ性の均一性が異なる。また、支持体上に塗工されたインク受理層は、その表面において、パルプ繊維の絡み合った凹凸に均一に塗工されないためにパルプ繊維の露呈が甚だしい状態にある。このため、付着インクは、インク受理層表面で所望の形状の印字ドットを形成することなく、露呈したパルプ繊維に沿って支持体、即ち原紙内部に浸透して行き、印字ドットが滲んで広がった形状を呈することになる。言い替えれば、印字画像の鮮明性に欠けたものとなるのである。更に、坪量が100g/m未満で低サイズ度のものは多量の付着インクによりインクの裏抜けを発生し、両面印字に耐えられないものになる。
【0010】
本発明の目的は、インクジェット印字用シートでも、微塗工タイプのインクジェット印字用シートであり、インクの滲みムラがなくインク吸収性に優れ、印字された画像の濃度や鮮明性が高く、印字ドットの変形が少なく、両面印字可能なインクジェット印字用シートを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく研究した結果、インクの滲みが少なくインク吸収性に優れ、印字記録された画像の濃度が高く、印字ドット変形の少ない微塗工タイプの両面印字可能なインクジェット印字用シートを発明するに至った。即ち、本発明に係る両面印字可能な微塗工タイプのインクジェット印字用シートは、原紙上の両面に印字面を有するインクジェット印字用シートにおいて、前記原紙は、填料としてタルク若しくは炭酸カルシウム又はその両方を含有し、中性内添サイズ剤として、ASA(アルケニル無水コハク酸無水物)反応性中性サイズ剤を含有し、かつ、中性紙であり、前記原紙の坪量は95〜245g/m であり、前記原紙のステキヒトサイズ度は100〜150秒であり、前記印字用シートの印字面は前記原紙面の交絡状態にあるパルプ繊維表面に沿ってアルミナを主体とする組成物の微粒子無機顔料で表面被覆されており、前記表面被覆の片面乾燥被覆量は、1〜3g/m であることを特徴とする。ここで本発明には、前記原紙に塗工後の製品坪量が100〜250g/m であり、該製品のステキヒトサイズ度が130〜190秒である場合が含まれる。また、本発明に係る両面印字可能な微塗工タイプのインクジェット印字用シートでは、アルミナを主体とする組成物の微粒子無機顔料で表面被覆されたパルプ繊維形状は走査電子顕微鏡により視認することができ、且つ、該パルプ繊維の表面被覆の形態がほぼ完全に表面被覆された状態にある。
【0012】
以下、本発明の両面印字可能なインクジェット印字用シートについて、詳細に説明する。
本発明のインクジェット印字用シートにおいて、原紙は填料としてタルク及びまたは炭酸カルシウムを含有し、且つ内添サイズ剤としてASA(アルケニル無水コハク酸無水物)反応性中性サイズ剤を含有した中性紙であることを特徴とする。填料を特定する理由としては、各種シリカに比べ吸油度が低いが、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛よりも高く、クレーと同等以上であり、インクに含まれるアルコール系の有機溶剤を程よく吸収することができるためである。しかし、シリカにおいてはインクの吸収が強く表面被覆で定着すべきインクをも吸収し、結果として画像濃度が低くなってしまう。また、炭酸カルシウムは適度な吸油度の他に高白色度と高不透明度も同時に得られるため最適である。更にタルクは適度な吸油度の他にその扁平形状により平滑性や紙の地合が改善され、支持体としてインクを均一に吸収できるように改善され、好ましい。次に内添サイズ剤を特定する理由としては、中性抄紙におけるASAなどの反応性サイズ剤のサイズ発現機構は、パルプ懸濁液に添加されたサイズ剤エマルジョン粒子が充分に分散され、パルプ繊維上に孤立して定着され、乾燥工程でパルプ中のセルロース水酸基とエステル結合を形成し、疎水性をロジン系サイズ剤よりも強く発揮することができることに基づく。
【0013】
原紙の両面塗工後の製品秤量が100〜250g/mで該製品のステキヒトサイズ度が130〜190秒とすることにより、原紙部分で吸収するインク量がロジン系サイズ剤より少なくなり、インクの裏抜けは生じない。この場合、原紙坪量がおおよそ95〜245g/mで、ステキヒトサイズ度を100〜150秒にする事で達成できる。また、アルミナを主体とする組成物の微粒子無機顔料で被覆されたパルプ繊維形状で、且つ表面被覆の形態がほぼ完全に表面被覆された状態とする微塗工層を形成することにより、インクの吸収性に優れ、画像濃度や鮮明性が高く、印字ドット変形の少ない品質が得られ、両面印字が可能となる。なお、原紙坪量が245g/m以上でステキヒトサイズ度を100〜150秒の物でも同様な効果が得られるが、紙の厚さが増しハンドリング性や経済性で劣る。
【0014】
一方、中性抄紙で一般に用いられている中性ロジンサイズ剤の微小領域におけるサイズ発現性は、比較的低サイズ度において均一性を示し真円の印字ドットになるが、原紙坪量が95g/m未満の低秤量では低サイズ度であるがために原紙部分で吸収するインク量が微塗工層で吸収されるよりも多く、簡単にインクの裏抜けを生じてしまう。
【0015】
本発明でいうASAなどの反応性中性サイズ剤とは、PH6〜9の中性領域において使用される各種界面活性剤もしくは水溶性高分子で、乳化してなるセルロース反応型サイズ剤である。
ここで、ASA系のものとしては水で簡単に乳化できる自己乳化型、界面活性剤が配合されたものなども例示できる。
【0016】
ASAなどの反応性中性サイズ剤のイオン性は、乳化時に用いる各種界面活性剤もしくは水溶性高分子によりアニオン性、カチオン性の選択は可能である。本発明では、従来から使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性或は両性の歩留り向上剤、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂、親水性架橋ポリマー粒子分散物等又はその誘導体或は変成物等とコロイダルシリカ、ベントナイト等の化合物が適宜組み合わされて使用される歩留りシステムを検討した結果、ASAサイズ剤とカチオン性、或は両性の親水性架橋ポリマー粒子分散物等又はその誘導体或は変成物を構成要素の一つとする歩留り向上剤、或は歩留りシステムを組み合わせることが望ましい。
【0017】
又、ASAサイズ剤のサイズ性を発現させる目的で、アルミニウムの多価金属化合物(例えば、硫酸バンド、ポリアルミニウムシリケートサルフェイト、ポリ塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダなど)を配合することは言うまでもない。
【0018】
更に、本発明のインクジェット印字用シートは、支持体、即ち原紙面上にある印字面のパルプ繊維の形状が充分に識別できる程度に表面被覆されたものである。印字面の表面被覆は、パルプ繊維の表面に沿って均一に微粒子無機顔料で覆われており、パルプ繊維表面の形状通りに薄く覆っている。印字面の表面被覆の形態は、印字面のパルプ繊維表面をほぼ完全に覆っているものであり、これにより本発明の目的とする特性を充分に発揮することができる。その理由として、印字面が均一に表面被覆されている場合、インクジェットプリンターを使用して印字面にインクが付着した時に、印字面が均一に表面被覆されているため、インクの印字面方向の広がりを起こさず、余剰インクが表面被覆面から原紙の厚さ方向に均一に浸透していくため部分的なインクの浸透が押さえられ、インクの裏抜けが発生しない。
【0019】
一方、印字面のパルプ繊維を覆う表面被覆の形態が、ほぼ完全に表面被覆されていない状態では、インクが印字面方向に広がる比率が多くなり、結果として原紙への浸透も不均一となり、おおよその原紙坪量が95〜245g/mでステキヒトサイズ度が100〜150秒という高サイズの部分でもインクの浸透が押さえきれず、部分的なインクの裏抜けが現れる。
【0020】
本発明のインクジェット印字用シート両面において、表面被覆された面は、原紙面のパルプ繊維に沿って均一に覆った面であり、微粒子無機顔料としてアルミナを主体とする組成物を使用して被覆する。原紙を形成するパルプ繊維の繊維径が数10μmのオーダーに対して、微粒子無機顔料の一次粒子径は、大きくとも1μm、好ましくは0.5〜0.01μmである。粒子径が微小であればあるほど、パルプ繊維への表面被覆が均一となり好ましい。
【0021】
本発明のインクジェット印字用シート両面において、印字面のパルプ繊維表面の表面被覆について、その表面被覆の形態を評価する手段としては、走査電子顕微鏡にて撮影し、その撮像から被覆面積で判断する。
【0022】
微粒子無機顔料としては、以下のものを例示することができる。例えば、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベーマイト等)等が挙げられ、一次粒子が多孔性であれば、なお好ましいが、非多孔性であっても塗工液調製時に凝集したり、塗工乾燥時に更に凝集し、パルプ繊維表面に多孔性の表面被覆面が形成されることが好ましい。特に、本発明においては、原紙表面にあるパルプ繊維1本ずつの繊維幅に対して100分の1以下の値となる平均粒子径を有する微粒子無機顔料を用いてパルプ繊維自体を被覆することが好ましい。
【0023】
更に、微粒子無機顔料と併用することのできる無機顔料は、従来公知の如何なるものも用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、合成非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。これら該無機顔料の中でも、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。又、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂、ナイロン樹脂等の有機顔料等を上記微粒子無機顔料と共に併用することもできる。
【0024】
更に、染料を定着する目的として水溶性金属塩として硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム(カリウムミョウバン)、硫酸セシウムアルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硝酸アンモニウム、並びにこれらの水和物等も微粒子無機顔料と併用することができる。
【0025】
表面被覆する上で、微粒子無機顔料と共に使用されるバインダーとして、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール等;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性バインダー;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダーを挙げることができ、少なくとも1種以上で使用することができる。
又、従来公知の染料を定着する目的で添加するカチオン性樹脂として第一〜四級アンモニウム塩樹脂、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・二酸化イオウ共重合物、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、アクリルアミド・ジアリルアミン樹脂、ポリビニルアミン樹脂、ジシアンジアミド樹脂などを併用することもできる。
【0026】
バインダーの総量は、目的とするインクジェット印字用シートの特性に合わせて、適宜調整することが出来るが、一般には、顔料100重量%に対して、5〜20重量%である。更に、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することもできる。
【0027】
本発明において、表面被覆する方法は、塗工或は含浸の方法があるが、表面被覆の形態がほぼ完全に表面被覆された状態になっていれば表面被覆面の被覆量については、特に限定するものではない。通常、普通紙ライクを指向する場合には、乾燥被覆量として0.5〜3g/mが好ましいが、表面被覆の形態がほぼ完全に表面被覆された状態、インクの定着、耐水性、ドットの形状の点から1〜3g/mが特に好ましい.
【0028】
本発明に係る原紙用のパルプは、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプを使用できるが、特に無塩素漂白したパルプが環境面からも好ましい。また、填料はタルク及び又は炭酸カルシウムを含有することが必要であるが、従来公知の顔料と併用することもできる。更に、紙料中には前述のような内添サイズ剤、アルミニウムの多価金属化合物とともに、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、バインダー及びや定着剤、歩留まり向上剤カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を必要に応じて使用することができる。これらの原料は混合され、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤ抄紙機等の各種装置で製造されるが、本発明では温水のみでサイズプレス処理をした原紙、更に、原紙に表面サイズ剤、澱粉、ポリビニルアルコール等単独或いは併用でサイズプレスをした原紙の双方が含まれる。表面被覆はこのような原紙にそのまましても良いし、平滑性を制御する目的で、マシンカレンダー、加熱カレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。
【0029】
表面被覆する場合、塗工及び含浸する方法としては、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドコータ、ゲートロールコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、グラビアコータ、フレキソグラビアコータ、サイズプレス等の各種装置をオンマシン或はオフシンで用いることができる。しかし、本発明においては、エアーナイフコータが輪郭塗工となり、一定の被覆膜厚さが得られ、表面被覆の形態がほぼ完全に表面被覆された状態にする上で特に好ましい。又、塗工又は含浸後には、マシンカレンダー、加熱カレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げても良い。
【0030】
本発明で言う水性インクとは、下記の着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる印字記録液体である。着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料或は食品用色素等の溶性染料が挙げられる。
【0031】
水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコール、モノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。その他の添加剤としては、例えば、PH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が挙げられる。
【0032】
本発明におけるインクジェット印字用シートは、インクジェット印字用シートとしての使用に限定されず、印字時に液状であるインクを使用するどのような印字用シートとして用いることもできる。例えば、熱溶融性物質、染顔料等を主成分とする熱溶融性インクを樹脂フィルム、高密度紙、合成紙等の薄い支持体上に塗工したインクシートを、その裏面より加熱し、インクを溶融させて転写する熱転写印字用受像シート、熱溶融性インクを加熱溶融して微小液滴化、飛翔印字するインクジェット印字用シート、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを用いたインクジェット印字用シート、光重合型モノマー及び無色又は有色の染顔料を内包したマイクロカプセルを用いた感光感圧型ドナーシートに対応する受像シート等が挙げられる。
【0033】
これらの印字用シートの共通点は、印字記録時にインクが液体状態である点である。液状インクは、硬化、固化又は定着までに、印字用シートのインク受理層の深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上述した各種印字用シートは、それぞれの方式に応じた吸収性を必要とするもので、本発明のインクジェット印字用シートを上述した各種の印字用シートとして利用しても何ら制限しない。更に、複写機・プリンター等に広く使用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する印字用シートとして、本発明におけるインクジェット印字用シートを使用することもできる。
【0034】
【作用】
本発明のインクジェット印字用シートは、微塗工タイプのインクジェット印字用シートであり、該印字用シート両面の印字面が、内添サイズ剤としてASA反応性中性サイズ剤を含有した中性紙の交絡状態にあるパルプ繊維に沿ってパルプ繊維表面を表面被覆したもので、印字面に被覆されたパルプ繊維形状を走査電子顕微鏡により視認することができ、印字面のパルプ繊維表面の表面被覆の形態がほぼ完全に表面被覆された状態であることを特徴とし、インクの滲みムラがなくインク吸収性に優れる。これは、インクが該印字用シート両面の印字面に与えられたとき、印字面方向に広がらず、表面被覆面に均一に浸透し、余剰インクはASAサイズ剤を含有した中性紙の厚さ方向に均一に浸透し、且つ両面塗工後の製品坪量が100〜250g/mで該製品のステキヒトサイズ度が130〜190秒という高サイズの部分でそれ以上のインク浸透を押さえ、結果として部分的なインクの裏抜けが発生せず、又、印字された画像の濃度及び鮮明性の高いインクジェット印字用シートを得ることができる。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り重量部及び重量%を示す。なお、微粒子無機顔料については、ポリビニルアルコール配合の水分散液として使用したが、いずれも固形分で表示した。
【0036】
実施例l
[原紙の作製]
濾水度450mlcsfのLBKP100部からなるパルプスラリーに、填料として重質炭酸カルシウム(サンライト700、竹原化学工業製)11.7部、タルク(CS一2、富士タルク工業製)2.3部、カチオン澱粉(Cato304、日本NSC製)0.85部、硫酸バンド1.0部、ASA反応性中性サイズ剤(コロパールZ一100、星光化学工業製)0.1部を内添して、サイズプレスにて酸化澱粉(MS#3800、日本食品化工製)7.0部、繊維素反応型表面サイズ剤(ハーコンSS一362、日本PMC製)0.03部を外添して、長網抄紙機で抄造乾燥し、マシンカレンダー仕上げをして、坪量120g/mの原紙を作製した。なお、作製した原紙のステキヒトサイズ度は、113秒であった。
【0037】
[インクジェット印字用シートの作製]
上記により作製した原紙に、表面被覆面の組成物の微粒子無機顔料としてポリビニルアルコール配合アルミナ混合液(固形重量比:アルミナ/ポリビニルアルコール=100/15)46.5部、染料の定着剤としてカリウムミョウバン10.7部、硝酸アルミニウム10.7部、インク耐水定着剤としてカチオン性の第四級アンモニウム塩樹脂32.1部を主成分とする固形分濃度9.4%の水性分散液を調成し、エアーナイフコータを用いて片面の乾燥固形分2g/mとなるように両面へ同時に塗工、乾燥してインクジェット印字用シートを作製した。なお、作製した該シートのステキヒトサイズ度は、150秒であった。
【0038】
実施例2
実施例1で作製した原紙に、微粒子無機顔料としてポリビニルアルコール配合アルミナ混合液(固形重量比:アルミナ/ポリビニルアルコール=100/15)29.7部、インク耐水定着剤としてカチオン性の第四級アンモニウム塩樹脂60.4部、同ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・二酸化イオウ共重合物9.9部を主成分とする固形分濃度9.9%の水性分散液を調成し、エアーナイフコータを用いて片面の乾燥固形分2g/mとなるように両面へ同時に塗工、乾燥してインクジェット印字用シートを作製した。なお、作製した該シートのステキヒトサイズ度は、165秒であった。
【0039】
比較例1
[原紙の作製]
濾水度450mlcsfのLBKP100部からなるパルプスラリーに、填料として重質炭酸カルシウム(サンライト700、竹原化学工業製)11.7部、タルク(CS−2、富士夕ルク工業製)2.3部、カチオン澱粉(Cato304、日本NSC製)0.85部、硫酸バンド1.0部、中性ロジンサイズ剤0.5部(サイズパインNT−85、荒川化学工業製〉を内添して、サイズプレスにて温水を外添して、長網抄紙機で抄造乾燥し、マシンカレンダー仕上げをして、坪量120g/mの原紙を作製した。なお、作製した原紙のステキヒトサイズ度は、24秒であった。
【0040】
[インクジェット印字用シートの作製]
上記により作製した原紙に、表面被覆面の組成物として、ポリビニルアルコール配合アルミナ混合液(固形重量比:アルミナ/ポリビニルアルコール=100/15〉46.5部、染料を定着剤としてカリウムミョウバン10.7部、硝酸アルミニウム10.7部、インク耐水定着剤としてカチオン性の第四級アンモニウム塩樹脂32.1部を主成分とする固形分濃度9.4%の水性分散液を調成し、エアーナイフコータを用いて片面の乾燥固形分2g/mとなるように両面へ同時に塗工、乾燥してインクジェット印字用シートを作製した。なお、作製した該シートのステキヒトサイズ度は、29秒であった。
【0041】
比較例2
比較例1の原紙で坪量を85g/mとし、作製した原紙のステキヒトサイズ度が20秒であった他は同一とし、エアーナイフコータを用いて片面の乾燥固形分が0.5g/mとなるように両面へ同時に塗工、乾燥してインクジェット印字用シートを作製した。なお、作製した該シートのステキヒトサイズ度は、24秒であった。
【0042】
比較例3
実施例1の原紙で坪量を85g/mとし、外添を温水に変更し作製した原紙のステキヒトサイズ度が25秒であった他は同一とし、エアーナイフコータを用いて片面の乾燥固形分が2.0g/mとなるように両面へ同時に塗工、乾燥してインクジェット印字用シートを作製した。なお、作製した該シートのステキヒトサイズ度は、31秒であった。
【0043】
比較例4
実施例lの原紙で坪量を85g/mとし、外添を温水に変更し作製した原紙のステキヒトサイズ度が25秒であった他は同一とし、エアーナイフコータを用いて片面の乾燥固形分が5.0g/mとなるように両面へ同時に塗工、乾燥してインクジェット印字用シートを作製した。なお、作製した該シートのステキヒトサイズ度は、35秒であった。
【0044】
比較例5
[原紙の作製]
濾水度450mlcsfのLBKP100部からなるパルプスラリーに、填料として重質炭酸カルシウム(サンライト700、竹原化学工業製〉11.7部、タルク(CS−2、富士夕ルク工業製)2.3部、カチオン澱粉(Cato304、日本NSC製)0.85部、硫酸バンド1.0部、ASA反応性中性サイズ剤(コロパールZ一100、星光化学工業製)0.1部を内添して、サイズプレスにて酸化澱粉(MS#3800、日本食品化工製)7.0部、繊維素反応型表面サイズ剤(ハーコンSS一362、日本PMC製)0.1部を外添して、長網抄紙機で抄造乾燥し、マシンカレンダー仕上げをして、坪量120g/mの原紙を作製した。なお、作製した原紙のステキヒトサイズ度は、170秒であった。
【0045】
[インクジェット印字用シートの作製]
上記により作製した原紙に、表面被覆面の組成物として、ポリビニルアルコール配合アルミナ混合液(固形重量比:アルミナ/ポリビニルアルコール=100/15)46.5部、染料の定着剤としてカリウムミョウバン10.7部、硝酸アルミニウム10.7部、インク耐水定着剤としてカチオン性の第四級アンモニウム塩樹脂32.1部を主成分とする固形分濃度9.4%の水性分散液を調成し、エアーナイフコータを用いて片面の乾燥固形分2g/mとなるように両面へ同時に塗工、乾燥してインクジェット印字用シートを作製した。なお、作製した該シートのステキヒトサイズ度は、222秒であった。
【0046】
比較例6
[原紙の作製〕
濾水度450mlcsfのLBKPl00部からなるパルプスラリーに、填料として重質炭酸カルシウム(サンライト700、竹原化学工業製)11.7部、タルク〈CS−2、富士夕ルク工業製〉2.3部、カチオン澱粉(Cato304、日本NSC製)0.85部、硫酸バンド1.0部、ASA反応性中性サイズ剤(コロパールZ一100、星光化学工業製)0.1部を内添して、サイズプレスにて酸化澱粉(MS#3800、日本食品化工製)7.0部、繊維素反応型表面サイズ剤(ハーコンSS−362、日本PMC製)0.01部を外添して、長網抄紙機で抄造乾燥し、マシンカレンダー仕上げをして、坪量120g/mの原紙を作製した。なお、作製した原紙のステキヒトサイズ度は、92秒であった他は比較例5と同一とし、エアーナイフコータを用いて片面の乾燥固形分が2.0g/mとなるように両面へ同時に塗工、乾燥してインクジェット印字用シートを作製した。なお、作製した該シートのステキヒトサイズ度は、138秒であった。
【0047】
上記の実施例1と2及び比較例1〜6で作製したインクジェット印字用シートについて、印字機種をエプソン社製PM一750Cとし、以下の方法に基づいて評価し、その結果を表1に示した。
【0048】
画像濃度は、ブラックインクでべ夕印字した部分を、反射濃度計(DM一400:大日本スクリーン製造社製〉を用いて測定した。数値が高いほど画像濃度が高く良好であるが、通常1.30以上あれば良好であり、評価として◎は良好、○は実用上問題の無いレベル、△は実用上問題の有るレベル、×は不良を示す。
【0049】
発色性は、印字後、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのベタ部の発色性や境界滲みを視感で比較し、総合的に評価した。◎は濃度が高く鮮やかで境界滲みが無い、○は実用上問題の無いレベル、△は実用上問題の有るレベル、×は低濃度、鮮やかさが無く、境界滲みが発生し不良を示す。
【0050】
耐水性は、印字後、流水中5分間どぶ漬けを行い、インクの残存度を比較評価した。
◎はインクがほぼ完全に残り、良好、○は実用上問題の無いレベル、△は実用上問題の有るレベル、×はインクがほとんど流出し、不良を示す。
【0051】
裏抜けは片面に印字後、その裏面のインクの染み通しを視感で比較評価した。
◎はインクが完全に紙層内で定着し、染み抜けせず、良好、○は実用上問題の無いレベル、△は実用上問題の有るレベル、×はインクが部分的に完全に染み通しており、不良を示す。
【0052】
滲みは印字後、細線のフェザリングを視感で比較評価した。◎は滲まず、良好、○は実用上問題の無いレベル、△は実用上問題の有るレベル、×はインクが滲み、細線が太り、不良を示す。
【0053】
ドットの形状は印字ドットを光学的に拡大し、その形状を視感で比較評価した。◎はインクドットが完全に円形になっており、良好、○は円形がやや歪であるが、実用上問題の無いレベル、△は円形が歪で実用上問題の有るレベル、×はインクドットが部分的に滲み、円形で無くなっており、不良を示す。
【0054】
印字面の表面被覆の形態は、走査電子頭微鏡によりインクジェット印字用シートのパルプ繊維表面において、使用した素材の金属元素のX線像図を撮影し、その撮像で目視によりパルプ繊維表面の表面被覆の形態を評価した。◎はほぼ完全に表面被覆された状態、良好、○は一部表面被覆されていない部分が1〜2割程度有るレベル、△は表面被覆されていない部分が3〜5割程度有るレベル、×は表面被覆されていない部分が6割以上有るレベルで、不良を示す。
【0055】
【表1】
Figure 0004195765
【0056】
表1の結果より、実施例1と2及び比較例1〜6のインクジェット印字用シートにおいて、実施例1と2における該印字用シートは、使用した微粒子無機顔料の粒子径が小さく、表面被覆の形態が本発明の範囲内に入っており、いずれもインク発色性、画像濃度共に良好であった。又、ドットの形状は円形に近い状態を示した。一方、比較例1は使用した内添サイズ剤が異なるため表面被覆の形態は本発明の範囲内に入るが、原紙並びに塗工後のステキヒトサイズ度が20秒台と低く、裏抜け性のみが劣り、不良であった。また、比較例2は使用した内添サイズ剤が比較例1と同様に異なるが、被覆量が0.5g/mと少ないため表面被覆の形態が低く、ドットの形状が歪で劣り、ステキヒトサイズ度も20秒台と低く、裏抜け性が劣り、不良であった。更に、比較例3は、実施例1で原紙を抄造する時に外添を温水とした物で、ステキヒトサイズ度も20から30秒台と低く、裏抜け性が劣り、不良であった。また、比較例4は比較例3の被覆量を2g/
から5g/mと増加させたが、バインダーのポリビニルアルコールの絶対量が不足し、微粒子無機顔料の固着力が劣り、結果として耐水性も劣り、不良であった。比較例5では原紙の外添サイズ性を強め、原紙のステキヒトサイズ度を170秒と高めた物で、インクの裏抜けは良好であったが、滲みやドットの形状で実用上問題の有るレベルであった。比較例6は原紙のステキヒトサイズ度を90秒台にした物で、裏抜け性や滲みやドットの形状で劣る結果となった。以上から、表面被覆の形態がほぼ完全に表面被覆された状態で原紙のステキヒトサイズ度が100〜150秒、塗工後のステキヒトサイズ度が130〜190秒の物が印字適性のバランスがとれていることを示した。
【0057】
【発明の効果】
本発明のインクジェット印字用シートは、填料としてタルク及びまたは炭酸カルシウム、内添サイズ剤としてASA(アルケニル無水コハク酸無水物)反応性中性サイズ剤を含有した中性紙上に、アルミナを主体とする組成物の微粒子無機顔料で原紙面のパルプ繊維表面をほぼ完全に表面被覆して両面塗工後の製品坪量が100〜250g/mで該製品のステキヒトサイズ度が130〜190秒となる印字面を有し、印字面に被覆されたパルプ繊維形状を電子頭微鏡により視認でき、且つ表面被覆の形態がほぼ完全に表面被覆された状態とすることで、インクの裏抜けが無く、インク滲みムラも無く、インク吸収性に優れ、画像の濃度及び鮮明性が高く、印字ドット変形の少ない塗エタイプの両面印字可能な物が得られる。

Claims (3)

  1. 原紙上の両面に印字面を有するインクジェット印字用シートにおいて、前記原紙は、填料としてタルク若しくは炭酸カルシウム又はその両方を含有し、中性内添サイズ剤として、ASA(アルケニル無水コハク酸無水物)反応性中性サイズ剤を含有し、かつ、中性紙であり、前記原紙の坪量は95〜245g/m であり、前記原紙のステキヒトサイズ度は100〜150秒であり、前記印字用シートの印字面は前記原紙面の交絡状態にあるパルプ繊維表面に沿ってアルミナを主体とする組成物の微粒子無機顔料で表面被覆されており、前記表面被覆の片面乾燥被覆量は、1〜3g/m であることを特徴とする両面印字可能な微塗工タイプのインクジェット印字用シート。
  2. 前記原紙に塗工後の製品坪量が100〜250g/m であり、該製品のステキヒトサイズ度が130〜190秒であることを特徴とする請求項1記載の両面印字可能な微塗工タイプのインクジェット印字用シート。
  3. アルミナを主体とする組成物の微粒子無機顔料で表面被覆されたパルプ繊維形状は走査電子顕微鏡により視認することができ、且つ、該パルプ繊維の表面被覆の形態がほぼ完全に表面被覆された状態にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の両面印字可能な微塗工タイプのインクジェット印字用シート。
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