JP4190162B2 - 非水電解液、それを用いた二次電池、および電解液用添加剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、寿命特性に優れた非水電解液およびそれを用いた二次電池、並びに電解液用添加剤に関する。またさらに寿命特性に優れ引火点が高く安全性に優れた非水電解液およびそれを用いた二次電池、並びに電解液用添加剤に関する。より詳細には、不飽和スルトンを含有するリチウム二次電池に適した非水電解液およびそれを用いた二次電池、並びに電解液用添加剤に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
非水電解液を用いた電池は、高電圧でかつ高エネルギー密度を有しており、また貯蔵性などの信頼性も高いので、民生用電子機器の電源として広く用いられている。
【0003】
このような電池として非水電解液二次電池があり、その代表はリチウム電池である。それに用いられる電解液として、非プロトン性有機溶媒に、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、Li2SiF6などのLi電解質を混合した溶液が用いられている(Jean-Paul Gabano編、"Lithium Battery", ACADEMIC PRESS(1983) )。
【0004】
非プロトン性有機溶媒の代表として、カーボネート類が知られており、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの各種カーボネート化合物の使用が提案されている(特開平4−184872号、特開平10−27625号など)。その他に使用しうる非プロトン性溶媒として、イオウ系溶媒が多数提案されている。例えば、環状スルホン(特開昭57−187878号、特開昭61−16478号)、鎖状スルホン(特開平3−152879号、特開平8−241732号)、スルホキシド類(特開昭57−141878号、特開昭61―16478号など)、スルトン類(特開昭63−102173号)、スルファイト類(特開昭61−64080号)などを例示することができる。また、エステル類(特開平4―14769号、特開平4−284374号)、芳香族化合物類(特開平4―249870号)の使用なども提案されている。
【0005】
現在主流のリチウム二次電池の一つとして、リチウムイオン二次電池を挙げることができる。この電池は、リチウムを吸蔵、放出が可能な活物質からなる負極、リチウムと遷移金属の複合酸化物からなる正極、電解液などから構成されている。
【0006】
リチウムイオン二次電池の負極活物質には、リチウムの吸蔵、放出が可能な炭素材料が多く使用されており、特に黒鉛などの高結晶性炭素は、放電電位が平坦であり、真密度が高く、かつ充填性が良いなどの特徴を有しており、現在市販されているリチウムイオン二次電池の大半の負極活物質として採用されている。
【0007】
また電解液には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどの高誘電率カーボネート溶媒と、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートやジメチルカーボネートなどの低粘度カーボネート溶媒の混合溶媒に、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2やLiN(SO2CF2CF3)2などのLi電解質を混合した溶液が用いられている。
【0008】
ところが、黒鉛などの高結晶性炭素を負極に用いる場合、黒鉛負極上で電解液の還元分解反応が起こるという課題を抑制する必要がある。例えば、高誘電率カーボネート溶媒に、プロピレンカーボネートや1,2‐ブチレンカーボネートを用いた電解液は、初回充電時に黒鉛のエッジ面のはがれ(exfoliation)を伴いながら、溶媒の還元分解反応が激しく起こり、活物質であるリチウムイオンの黒鉛への挿入反応が進行しにくくなる。その結果、初回の充放電効率が低下し、電池のエネルギー密度が低下することが知られている(J.Electrochem.Soc.,146(5)1664-1671(1999)など)。
【0009】
この課題を解決する試みとして、電解液に使用される高誘電率の非水溶媒として、常温で固体ではあるものの、還元分解反応が継続的に起こりにくいエチレンカーボネートを使用したり、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの混合溶媒を使用する提案が知られている(J.Electrochem.Soc.,146(5)1664-1671(1999))。 また、エチレンカーボネートを使用しても、負極表面で微量の電解液の還元分解反応が継続して起こることが知られており(J.Electrochem.Soc.,147(10)3628-3632(2000)、J.Electrochem.Soc.,146(11)4014-4018(1999)、J.Power Sources 81-82(1999)8-12)、例えば、充放電を何度も長期間繰り返すサイクル使用や、高温で電池を貯蔵したりすると、電池の容量が低下することが考えられる。
【0010】
そこで、負極上での溶媒の還元分解反応をさらに抑制する試みとして、電解液の還元分解を抑制する化合物を電解液に添加することが数多く報告されている。
【0011】
例えば、ビニレンカーボネートを含有させることによって、電池の貯蔵特性やサイクル特性が向上すること(特開平5−13088号、特開平6−52887号、特開平7−122296号、特開平9−347778号)、黒鉛負極のエッジ面で還元分解を受けるプロピレンカーボネートを使用できること(第10回リチウム電池国際会議、抄録 No.286、特願平10−150420号公報)などが報告されている。
【0012】
その他の例として、イオウ系酸類を添加することが報告されている。例えば、エチレンサルフェート(J.Electrochem.Soc.146(2)470-472(1999) 、第10回リチウム電池国際会議、抄録 No.289、特開平11−73990号)やSO3(J.Electrochem.Soc.,143, L195(1996))は黒鉛負極でプロピレンカーボネートを使用可能にすることや、スルトン類(特開平11−162511号、特開平11−339850号、特開2000−3724号、特開2000−3725号、特開2000−123868号、特開2000―77098号)、スルホン酸エステル類(特開平9−245834号、特開平10−189041号、特開2000−133304号)が、サイクル特性を向上する添加剤として提案されている。
【0013】
また、ビニレンカーボネートは、黒鉛負極用の一般的な溶媒であるエチレンカーボネートに炭素炭素不飽和結合を導入した構造であることから、前述の一般的な溶媒や添加剤類に、炭素炭素不飽和結合を含有させて、改良効果を持たせようという試みが数多くなされてきた。
【0014】
例えば、ビニル基を有する環状カーボネート(特開2000−40526号)、二重結合を含有する酸無水物(特開平7−122297号)、二重結合を含有するスルホン類(特開平11−329494号、特開2000−294278号)、三重結合を導入したエステル類、ベンゼン類、スルホン類(特開2000−195545号)、また、二重結合を含有するエステル類(特開平11―273725号、特開平11−273724号、特開平11−273723号、特開2000−182666号)などが挙げられる。
【0015】
これらの炭素炭素不飽和結合を含有する添加剤類は、黒鉛負極においてプロピレンカーボネートを使用可能にすることでは一定の効果を挙げたものの、高温保存特性やサイクル特性の向上については、ビニレンカーボネートと同等以上の効果を発現するには至っていない。
【0016】
例えば、本発明者の検討では、前述の炭素炭素不飽和結合を含有するイオウ系化合物を添加した電解液は、特に高温で電池を貯蔵した場合は、電気分解に伴う自己放電がかえって多くなり、望んだ効果が発現していない。
【0017】
以上のように、種々の電解液の検討が行われてきたが、ビニレンカーボネートを含めて未だ満足するものは得られておらず、高温保存や充放電サイクルを繰り返した場合に起こる電解液の還元分解反応をさらに抑制し、電池の負荷特性の劣化や電池容量の低下をさらに改善する電解液が求められている。
【0018】
そこで本発明者は、上記の課題を解決する為に鋭意検討を行なったところ、本発明に到達したのである。本発明によって、高温保存時の電解液の還元分解が大きく抑制され、その結果、自己放電が小さく、負荷特性や抵抗の劣化が大幅に抑制され、電池内のガス発生量が少ない電池を得ることができることを見出した。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の要請に応えるために、負極上での溶媒の分解反応が抑制され、高温保存を行なっても、電池の容量低下、ガス発生の抑制、および電池の負荷特性の劣化が抑制される非水電解液を提供することを目的とする。また寿命特性に優れ引火点が高く安全性に優れた非水電解液を提供することを目的とする。さらに電池にすぐれた負荷特性及び低温特性を与える非水電解液の提供を目的とする。本発明は、この非水電解液を含む二次電池を提供することを目的とする。さらに本発明は、このような機能を電解液に付与する電解液用添加剤を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、不飽和スルトン、非水溶媒および電解質を含有する非水電解液であって、不飽和スルトンが、下記一般式(1)で表わされる化合物であり、不飽和スルトンの添加量が、非水電解液全体に対して0.001〜10質量%である非水電解液を提供する。
【化4】
ここで、R1〜R4は、水素、フッ素、又は、炭素数1〜12のフッ素を含んでもよい炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。
【0021】
非水溶媒が環状の非プロトン性溶媒および/または鎖状の非プロトン性溶媒である非水電解液は、本発明の好ましい態様である。
【0022】
非水溶媒が、γ−ブチロラクトン、またはγ−ブチロラクトンと、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、スルホランおよびメチルスルホランから選ばれた少なくとも1種との混合物である非水電解液は、本発明の好ましい態様である。
【0023】
下記一般式(3)で表されるビニレンカーボネート誘導体をさらに含有する非水電解液は、本発明の好ましい態様である。
【化5】
(R5、R6は、水素、メチル基、エチル基、またはプロピル基である。)
【0024】
電解質がリチウム塩である前記の非水電解液は、本発明の好ましい態様である。
【0025】
また、本発明は、不飽和スルトンおよびγ−ブチロラクトンを含む非水溶媒と、LiPF6を含む電解質を含む非水電解液を提供する。
【0026】
さらに、本発明は、負極活物質として金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料、またはこれらの混合物から選ばれた少なくとも一つを含む負極と、正極活物質として遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、リチウムと遷移金属の複合酸化物、導電性高分子材料、炭素材料から選ばれた少なくとも一つを含む正極と、前記の非水電解液とを含むリチウム二次電池を提供する。
【0027】
さらにまた本発明は、前記不飽和スルトンよりなる電解液用添加剤を提供する。
【0028】
【発明の実施の具体的形態】
本発明に係る非水電解液およびこの非水電解液を用いた非水電解液二次電池、並びに電解液用添加剤について具体的に説明する。
本発明の非水電解液は、不飽和スルトンを含有する非水電解液である。本発明の好ましい態様は不飽和スルトン、非水溶媒および電解質を含む非水電解液である。本発明は、また該非水電解液を用いた非水電解液二次電池を提供するものであり、また本発明は特定構造の不飽和スルトンよりなる電解液用添加剤を提供する。
【0029】
不飽和スルトン
本発明の不飽和スルトンは、環状スルホン酸エステルであって環内に炭素−炭素不飽和結合を有するスルトン化合物である。本発明の不飽和スルトンの好ましい例としては、下記一般式(1)で表わされる特定構造の不飽和スルトンを挙げることができる。
【化6】
ここで、R1〜R4は、水素、フッ素、又は、炭素数1〜12のフッ素を含んでもよい炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。
【0030】
nとしては、n=0〜3いずれも効果があるが、n=1または2の方が好ましく、さらに好ましくはn=1である。
【0031】
炭素数1〜12のフッ素を含んでもよい炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-メチレンプロピル基、1-メチル-2-プロペニル基、1,2-ジメチルビニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-メチル-2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ビニルフェニル基、エチニルフェニル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ジフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、、ペンタフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロウンデシル基、パーフルオロドデシル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが例示される。
【0032】
R1〜R4の炭素数は1〜12が好ましいが、電解液への溶解性の点から、4以下であることがより好ましく、さらに好ましくは2以下である。最も好ましいR1〜R4は、それらがともに水素であることである。
【0033】
本発明の上記一般式(1)で表される本発明の不飽和スルトンとして、具体的には、以下の化合物を例示することができる。
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
これらの中で最も好ましい化合物は、下記式(2)で示される1,3―プロペンスルトンである。
【化9】
【0037】
この化合物は、以下の文献に記載される方法などで合成することができる。
Angew.Chem./70.Jahrg.1958/Nr.16、Ger.Pat. 1146870(1963)(CA 59,11259(1963))、Can.J.Chem. 48, 3704(1970)、Synlett,1411(1988)、Chem.Commun. 611(1997)、Tetrahedron 55, 2245(1999)
【0038】
本発明の不飽和スルトンを添加した電解液は、負極上の電解液の還元分解反応を抑制する効果が高く、高温保存試験やサイクル試験時の電池の容量低下を抑制し、電解液の分解に伴うガス発生を抑制する。また、作用は不明であるが、高温保存試験やサイクル試験時の正極の界面インピーダンスの上昇を抑制して、負荷特性の劣化を抑制する。本発明の不飽和スルトンは電解液用添加剤として有効であり、本発明の不飽和スルトンよりなる電解液用添加剤は、電解液にすぐれた特性を付与することができる。
【0039】
本発明の不飽和スルトンは、添加量が少なすぎると効果が発現し難くなるおそれがあり、多すぎる場合には、負極の界面インピーダンスが上昇するおそれがある。そのため本発明の不飽和スルトンの電解液中への添加量(電解液中の含有量)は、電解液全体に対して0.0001質量%〜30質量%が好ましく、0.001質量%〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜7質量%がさらに好ましく、0.2質量%〜5質量%が特に好ましい。
【0040】
本発明の不飽和スルトンは、負極表面に電解液の還元分解を防ぐ不動態皮膜を形成して効果を発現すると推定されるので、添加量は電池の負極活物質表面積および電池に含有させる電解液量から決定してもよい。添加量が少なすぎる場合は十分な不動態皮膜が形成されず、添加量が多すぎる場合は負極活物質の界面インピーダンスを過度に大きくするおそれがある。
【0041】
この観点から本発明の不飽和スルトンは、負極活物質のBET表面積あたり0.1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、0.5mg/m2〜50mg/m2がより好ましく、1mg/m2〜20mg/m2がさらに好ましく、2mg/m2〜10mg/m2が特に好ましい。
【0042】
この場合、本発明の不飽和スルトンの電解液への添加量は、電池中に使用される電解液と負極活物質量比、および負極活物質のBET表面積を勘案して決定される。
【0043】
電解液と負極活物質量比、負極のBET表面積は、電池によって異なると思われるため、好ましい電解液あたりの添加量の範囲を一定に定めることはできないが、一般的には前述のように、電解液全体に対して0.0001質量%〜30質量%が好ましく、0.001質量%〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜7質量%がさらに好ましく、0.2質量%〜5質量%が特に好ましい。
【0044】
非水溶媒
本発明で使用される非水溶媒は、適宜選択することができるが、特には、環状の非プロトン性溶媒および/または鎖状の非プロトン性溶媒とからなることが好ましい。
【0045】
環状の非プロトン性溶媒としては、エチレンカーボネートのような環状カーボネート、γ−ブチロラクトンのような環状カルボン酸エステル、スルホランのような環状スルホン、ジオキソランのような環状エーテルが例示され、鎖状の非プロトン性溶媒としては、ジメチルカーボネートのような鎖状カーボネート、プロピオン酸メチルのような鎖状カルボン酸エステル、ジメトキシエタンのような鎖状エーテル、リン酸トリメチルのような鎖状リン酸エステルが例示される。
これらの非プロトン性溶媒は単独で使用してもいいし、複数種を混合して使用してもよい。
【0046】
電池の負荷特性、低温特性の向上を特に意図した場合は、非水溶媒を環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒の組み合わせにすることが望ましい。さらに、電解液の電気化学的安定性から、環状の非プロトン性溶媒には環状カーボネートを、鎖状の非プロトン性溶媒には鎖状カーボネートを適用することが最も好ましい。
【0047】
また環状カルボン酸エステルと環状カーボネートおよび/または鎖状カーボネートの組合せによっても電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。
【0048】
環状カーボネートの例として具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2‐ブチレンカーボネート、2,3‐ブチレンカーボネート、1,2‐ペンチレンカーボネート、2,3‐ペンチレンカーボネートなどが挙げられる。特に、誘電率が高いエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートが好適に使用される。負極活物質に黒鉛を使用した電池の場合は、特にエチレンカーボネートが好ましい。また、これら環状カーボネートは2種以上混合して使用してもよい。
【0049】
鎖状カーボネートとして具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネートなどが挙げられる。特に、粘度が低い、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートが好適に使用される。これら鎖状カーボネートは2種以上混合して使用してもよい。
【0050】
環状カルボン酸エステルとして、具体的にはγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、あるいはメチルγ−ブチロラクトン、エチルγ−バレロラクトン、エチルδ−バレロラクトンなどのアルキル置換体などを例示することができる。
【0051】
環状カーボネートと鎖状カーボネートの組合せとして具体的には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートなどが挙げられる。
【0052】
環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合割合は、質量比で表して、環状カーボネート:鎖状カーボネートが、5:95〜80:20、さらに好ましくは10:90〜70:30、特に好ましくは15:85〜55:45である。このような比率にすることによって、電解液の粘度上昇を抑制し、電解質の解離度を高めることができるため、電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができ、また、電解質の溶解度をさらに高めることができる。よって、常温または低温での電気伝導性に優れた電解液とすることできるため、常温から低温での電池の負荷特性を改善することができる。
【0053】
環状カルボン酸エステルと環状カーボネートおよび/または鎖状カーボネートの組合せの例として、具体的には、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとスルホラン、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとスルホランとジメチルカーボネートなどが挙げられる。
【0054】
環状カルボン酸エステルの非水溶媒中の混合割合は、質量比で表して、100〜10%、さらに好ましくは90〜20%、特に好ましくは80〜30%である。このような比率にすることによって、電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。
【0055】
電池の安全性向上のために、溶媒の引火点の向上を志向する場合は、非水溶媒として、環状の非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。環状の非プロトン性溶媒を単独で使用してもいいし、複数種混合して使用してもよい。また環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒を混合して使用してもよいが、鎖状の非プロトン性溶媒を混合して使用するこの場合は、鎖状の非プロトン性溶媒の混合量は非水溶媒全体に対して質量比で20%未満程度とすることが好ましい。
【0056】
γ−ブチロラクトンのような環状カルボン酸エステルは、蒸気圧が低く、粘度が低く、かつ誘電率が高い。このため、電解液の引火点と電解質の解離度を下げることなく電解液の粘度を下げることができる。このため、電解液の引火性を高くすることなく電池の放電特性に関わる指標である電解液の伝導度を高めることができるという特徴を有するので、溶媒の引火点の向上を志向する場合は、前記環状の非プロトン性溶媒として環状カルボン酸エステルを使用することが好ましい。
【0057】
溶媒の引火点の向上を志向する場合の好ましい非水溶媒は、環状カルボン酸エステル単独でもよいが、環状カルボン酸エステルと他の環状の非プロトン性溶媒との好ましい混合物が好ましい。
【0058】
環状カルボン酸エステルと他の環状の非プロトン性溶媒との混合物の好ましい組み合わせの例として、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとスルホランを例示することができる。
【0059】
電池の安全性向上のために、溶媒の引火点の向上を志向する場合に、環状の非プロトン性溶媒を用いるときの、他の好ましい具体的例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、スルホラン、N−メチルオキサゾリジノンから選ばれる1種またはこれらの混合物を挙げることができる。混合物の具体的組合せとしては、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネート、エチレンカーボネートとスルホラン、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとスルホラン、エチレンカーボネートとN−メチルオキサゾリジノンなどを挙げることができる。
【0060】
電池の安全性向上のために、溶媒の引火点の向上を志向する場合に、混合して使用してよい鎖状の非プロトン性溶媒として、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状リン酸エステルが例示され、特に、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルヘプチルカーボネートなどの鎖状カーボネートが好ましい。
【0061】
本発明に係る非水電解液では、非水溶媒として、上記以外の他の溶媒を含んでいてもよい。他の溶媒としては、具体的には、ジメチルホルムアミドなどのアミド、メチル‐N,N‐ジメチルカーバメートなどの鎖状カーバメート、N‐メチルピロリドンなどの環状アミド、N,N‐ジメチルイミダゾリジノンなどの環状ウレア、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリブチル、ほう酸トリオクチル、ほう酸トリメチルシリル等の含ホウ素化合物、および下記一般式で表わされるポリエチレングリコール誘導体などを挙げることができる。HO(CH2CH2O)aH、HO{CH2CH(CH3)O}bH、CH3O(CH2CH2O)cH、CH3O{CH2CH(CH3)O}dH、CH3O(CH2CH2O)eCH3、CH3O{CH2CH(CH3)O}fCH3、C9H19PhO(CH2CH2O)g{CH(CH3)O}hCH3(Phはフェニル基)、CH3O{CH2CH(CH3)O}iCO{OCH(CH3)CH2}jOCH3(前記の式中、a〜fは5〜250の整数、g〜jは2〜249の整数、5≦g+h≦250、5≦i+j≦250である。)
【0062】
他の添加剤
本発明において、本発明の不飽和スルトンのほかに、他の添加剤を共に含有させることにより、電解液にさらに優れた特性を付与することが可能である。
【0063】
本発明において添加してもよい他の添加剤として、それ単独でも負極上の電気分解を抑制する作用を持つものを選ぶと、負極上の電気分解がさらに抑制され、さらに電池の自己放電を小さく抑制できる。この結果、電池の負荷特性、高温保存特性、サイクル特性が向上する様になるという効果が得られる。
【0064】
このような負極上の電気分解を抑制する作用を持つ化合物としては、下記一般式(3)で表されるビニレンカーボネート誘導体
【化10】
(R5、R6は、水素、メチル基、エチル基、またはプロピル基である。);
【0065】
無水マレイン酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、ジグリコール酸、エチニル無水フタル酸、ビニル無水フタル酸、スルホ安息香酸無水物などのカルボン酸無水物類;ベンゼンジスルホン酸無水物、ジベンゼンスルホン酸無水物、ベンゼンスルホン酸メチルエステル、o−,m−,p−ベンゼンジスルホン酸ジメチルエステル、o−,m−,p−ベンゼンジスルホン酸ジリチウム塩などのフェニルスルホン酸類;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどの飽和炭化水素置換基からなるスルトン類などが例示される。
【0066】
これらの化合物のうち、一般式(3)で表されるビニレンカーボネート誘導体が最も好ましい。
【0067】
一般式(3)で表されるビニレンカーボネート誘導体として、具体的には、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、プロピルエチレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ジプロピルビニレンカーボネートなどが例示される。これらのうちでビニレンカーボネートが最も好ましい。
【0068】
上記の他の添加剤を、本発明の不飽和スルトンと共に、電解液に含有させる場合、本発明の不飽和スルトンとその他の添加剤との比率は、質量比で1:100〜100:1が好ましく、1:20〜20:1がさらに好ましく、1:10〜20:1が特に好ましい。特に他の添加剤がビニレンカーボネートの場合は、上記比率が好ましく、最も好ましい比率として1:5〜20:1を挙げることができる。また、本発明の不飽和スルトンと、上記の他の添加剤を電解液に共に含有させる場合、その合計量は電解液全体に対して30質量%以下が好ましい。
【0069】
非水電解液
本発明の非水電解液は、本発明の不飽和スルトンを含む非水電解液である。より好ましくは、本発明の不飽和スルトンと非水溶媒と電解質とからなっている。使用される電解質としては、通常、非水電解液用電解質として使用されているものであれば、いずれをも使用することができる。
【0070】
電解質の具体例としては、(C2H5)4NPF6、(C2H5)4NBF4、(C2H5)4NClO4、(C2H5)4NAsF6、(C2H5)4N2SiF6、(C2H5)4NOSO2CkF(2k+1) (k=1〜8の整数)、(C2H5)4NPFn(CkF(2k+1))(6−n) (n=1〜5、k=1〜8の整数)などのテトラアルキルアンモニウム塩、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li2SiF6、LiOSO2CkF(2k+1) (k=1〜8の整数)、LiPFn(CkF(2k+1))(6−n) (n=1〜5、k=1〜8の整数)などのリチウム塩が挙げられる。また、次の一般式で示されるリチウム塩も使用することができる。LiC(SO2R7)(SO2R8)(SO2R9)、LiN(SO2OR10)(SO2OR11)、LiN(SO2R12)(SO2OR13)(ここで、R7〜R13は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基である)。これらのリチウム塩は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0071】
これらのうち、特にリチウム塩が望ましく、さらに、LiPF6、LiBF4、LiOSO2CkF(2k+1) (k=1〜8の整数)、LiClO4、LiAsF6、LiN(SO2CkF(2k+1))2 (k=1〜8の整数)、LiPFn(CkF(2k+1))(6−n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)が好ましい。
【0072】
本発明の電解液において、非水溶媒として、γ−ブチロラクトンなどの環状カルボン酸エステルを併用する場合には、特にLiPF6を含有することが望ましい。LiPF6は、解離度が高いため電解液の伝導度を高めることができ、さらに負極上での電解液の還元分解反応を抑制する作用がある。
【0073】
本発明の電解液において、LiPF6を単独で使用するか、LiPF6とそれ以外のリチウム塩を使用することが推奨される。LiPF6以外に使用される電解質としては、通常、非水電解液用電解質として使用されているものであれば、いずれをも使用することができる。具体的には、前記したリチウム塩の具体例のうちLiPF6以外のリチウム塩を例示することができる。
【0074】
LiPF6と他のリチウム塩との組み合わせの具体例としては、LiPF6とLiBF4、LiPF6とLiN(SO2CkF(2k+1))2 (k=1〜8の整数)、LiPF6とLiBF4とLiN(SO2CkF(2k+1))2(k=1〜8の整数)などが例示される。
【0075】
リチウム塩中に占めるLiPF6の比率は、100〜1質量%、好ましくは100〜10質量%、さらに好ましくは100〜50質量%が望ましい。
【0076】
このような電解質は、0.1〜3モル/リットル、好ましくは0.5〜2モル/リットルの濃度で非水電解液中に含まれていることが好ましい。
【0077】
本発明における非水電解液は、本発明の不飽和スルトンと非水溶媒と電解質とを必須構成成分として含むものが好ましいが、必要に応じて前述した他の添加剤、他の溶媒などを加えてもよい。
本発明の電解液には、前述した他の添加剤のほかにフッ化水素、水、酸素、窒素などを存在させることができる。
【0078】
フッ化水素を添加剤に使用する場合、電解液への添加方法は、直接、電解液にフッ化水素ガスを所定量吹き込むことが挙げられる。また、本発明で使用するリチウム塩がLiPF6やLiBF4などのフッ素を含有するリチウム塩である場合は、下記(式1)に示した水と電解質の反応を利用して、水を電解液に添加し、電解液中で発生させても良い。
LiMFn + H2O → LiPF(n−2)O +2HF (式1)
(ただし、M=P、Bなど、 MがPの時はn=6、MがBの時はn=4)
【0079】
水を電解液に添加する方法は、電解液に直接水を添加しても良いし、電池の電極中にあらかじめ水を含有させて、電池中に電解液を注液した後に、電極中から電解液中に水を供給させても良い。
【0080】
水を電解液に添加し、間接的にHFを電解液中に生成させる場合、水1分子からHFがほぼ定量的に2分子生成するので、水の添加量は、望みのHF添加濃度にあわせて計算し添加する。具体的には、所望のHF量の0.45倍(質量比)の水を添加する。
【0081】
電解質と水の反応を利用して、HFを発生させる化合物は、水以外にも酸性度の強いプロトン性化合物を使用できる。このような化合物として、具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、酢酸、アクリル酸、マレイン酸、1,4―ジカルボキシー2―ブテンなどを上げることができる。フッ化水素としての添加量は電解液全体に対して0.0001〜0.7質量%が好ましく、0.001〜0.3質量%がより好ましく、0.001〜0.2質量%がさらに好ましく、0.001〜0.1質量%が特に好ましい。
【0082】
以上のような本発明に係る非水電解液は、リチウム二次電池用の非水電解液として好適であるばかりでなく、一次電池用の非水電解液、電気化学キャパシタ用の非水電解液、電気二重層キャパシタ、アルミ電解コンデンサ用の電解液としても用いることができる。
【0083】
二次電池
本発明に係る非水電解液二次電池は、負極と、正極と、前記の非水電解液とを基本的に含んで構成されており、通常、負極と正極との間にセパレータが設けられている。
【0084】
負極を構成する負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料、またはこれらの混合物のいずれをも用いることができる。
【0085】
リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金としては、シリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金などを挙げることができる。リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物としては、酸化スズ、酸化シリコンや、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属酸化物などを挙げることができる。
【0086】
これらの中でもリチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料は、カーボンブラック、活性炭、人造黒鉛、天然黒鉛であっても非晶質炭素であってもよく、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状いずれの形態であってもよい。
【0087】
非晶質炭素材料として具体的には、ハードカーボン、コークス、1500℃以下に焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチカーボンファイバー(MCF)などが例示され、黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛があり、人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが用いられる。また、黒鉛材料としては、ホウ素を含有するものなども用いることができ、また、金、白金、銀、銅、Snなどの金属で被覆した物、非晶質炭素で被覆したり、非晶質炭素と黒鉛を混合した物も使用することができる。これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
【0088】
炭素材料としては、特にX線解析で測定した(002)面の面間隔d(002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましく、真密度が1.70g/cm3以上である黒鉛またはそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料が好ましい。このような炭素材料を使用すると、電池のエネルギー密度を高くすることができる。
【0089】
正極を構成する正極活物質としては、FeS2、MoS2、TiS2、MnO2、V2O5などの遷移金属酸化物または遷移金属硫化物、LiCoO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiNixCo(1−x)O2、LiNixCoyMn(1−x−y)O2などのリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール/ポリアニリン複合体などの導電性高分子材料、フッ素化炭素、活性炭などの炭素材料等が挙げられる。
【0090】
これらの中でも、特にリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物が好ましい。正極活物質は1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。正極活物質は通常導電性が不十分であるため、導電助剤とともに使用して正極を構成する。導電助剤としては、カーボンブラック、アモルファスウィスカー、グラファイトなどの炭素材料を例示することができる。
【0091】
セパレータは正極と負極を電気的に絶縁しかつリチウムイオンを透過する膜であって、多孔性膜や高分子電解質が例示される。多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が例示される。特に、多孔性ポリオレフィンフィルムが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、または多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルムを例示することができる。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされていても良い。
【0092】
高分子電解質としては、リチウム塩を溶解した高分子や、電解液で膨潤させた高分子等が挙げられる。本発明の電解液は、高分子を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用しても良い。
【0093】
このような非水電解液二次電池は、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状に形成することができる。しかし、電池の基本構造は形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更を施すことができる。次に、円筒型およびコイン型電池の構造について説明するが、各電池を構成する負極活物質、正極活物質およびセパレータは、前記したものが共通して使用される。
【0094】
例えば、円筒型非水電解液二次電池の場合には、銅箔などの負極集電体に負極活物質を塗布してなる負極と、Al箔などの正極集電体に正極活物質を塗布してなる正極とを、非水電解液を注入したセパレータを介して巻回し、巻回体の上下に絶縁板を載置した状態で電池缶に収納されている。
【0095】
また、本発明に係る非水電解液二次電池は、コイン型非水電解液二次電池にも適用することができる。コイン型電池では、円盤状負極、非水電解液を注入したセパレータ、円盤状正極、必要に応じて、ステンレス、またはアルミニウムなどのスペーサー板が、この順序に積層された状態でコイン型電池缶に収納されている。
【0096】
【実施例】
以下に実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
【0097】
(実施例1〜6および参考例1)
1.コイン型電池の作製
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)を、EC:MEC=4:6(質量比)の割合で混合し、次に電解質であるLiPF6を非水溶媒に溶解し、電解質濃度が1.0モル/リットルとなるように非水電解液を調製した。次にこの非水溶媒に対して、添加剤としてそれぞれ1、3−プロペンスルトン0.5質量%(実施例1)、1.0質量%(実施例2)、1.5質量%(実施例3)、2.0質量%(実施例4)、2.5質量%(実施例5)3.0質量%(実施例6)を添加して、本発明の非水電解液を得た。また、添加剤の添加を省略した場合を参考例1(ブランク)とした。
【0098】
<負極の作製>
天然黒鉛(中越黒鉛製LF−18A)87質量部と結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVDF)13質量部を混合し、溶剤のN−メチルピロリジノンに分散させ、天然黒鉛合剤スラリーを調製した。次に、この負極合剤スラリーを厚さ18μmの帯状銅箔製の負極集電体に塗布し、乾燥した。
これを圧縮成型し、14mmの円盤状に打ち抜いて、コイン状の天然黒鉛電極を得た。この天然黒鉛電極合剤の厚さは110μmであり、質量は直径14mmの円の面積あたり20mgであった。
【0099】
<LiCoO2電極の作製>
LiCoO2(本荘FMCエナジーシステムズ(株)製 HLC−21)90質量部と、導電剤の黒鉛6質量部及びアセチレンブラック1質量部と結着剤のポリフッ化ビニリデン3質量部を混合し、溶剤のN−メチルピロリドンに分散させ、LiCoO2合剤スラリーを調製した。このLiCoO2合剤スラリーを厚さ20μmのアルミ箔に塗布、乾燥した。
これを圧縮成型し、13.5mmの円盤状にうちぬき、コイン状のLiCoO2電極を得た。このLiCoO2合剤の厚さは90μmであり、質量は直径13.5mmの円の面積あたり40mgであった。
【0100】
<電池の作製>
直径14mmの天然黒鉛電極、直径13.5mmのLiCoO2電極、厚さ25μm、直径16mmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからできたセパレータを、ステンレス製の2032サイズの電池缶内に、天然黒鉛電極、セパレーター、LiCoO2電極の順序で積層した。その後、セパレータに前記で調整した非水電解液0.03mlを注入し、アルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm、およびバネを収納した。最後に、ポリプロピレン製のガスケットを介して、電池缶蓋をかしめることにより、電池内の気密性を保持し、直径20mm、高さ3.2mmのコイン型電池を作製した。
【0101】
3.電池特性の評価
<電池による高温保存特性の評価>
前述のように作製したコイン型電池を使用し、この電池を0.3mA定電流4.2V定電圧の条件で、4.2V定電圧の時の電流値が0.05mAになるまで充電し、その後、1mA定電流3.0V定電圧の条件で、3.0V定電圧の時の電流値が0.05mAになるまで放電した。次に、この電池を1mA定電流3.85V定電圧の条件で、3.85V定電圧の時の電流値が0.05mAになるまで充電した。
その後、この電池を、45℃の恒温槽で7日間保存(「エージング」)を行なった。
【0102】
エージング後、1mAの定電流・定電圧条件で、終了条件を定電圧時の電流値0.05mAとして、4.2V〜3.0Vの充放電を一回行ない放電容量(「低負荷放電容量」)を測定した。この時に、放電開始から2分後の電池電圧の変化から、電池の抵抗(「エージング後の抵抗」)を求めた。
次に、同様の条件で4.2Vに充電した後、10mA定電流放電し、電池電圧が3.0Vになった時点で放電を終了する条件で放電を行い放電容量(「高負荷放電容量」)を測定した。なお、実施例20〜22および参考例3では、定電流放電の電流を10mAに代えて5mAで測定を行った。そして、この時の低負荷放電容量に対する高負荷放電容量の比率をもとめ、これを「エージング後の負荷特性指標」とした。
【0103】
この電池を一旦3.0Vに放電した後、再び4.2Vに充電した時の容量(「充電容量」)を測定した後、60℃で4日間保存(「高温保存」)を行った。
【0104】
高温保存後に3.0Vまで放電した時の容量(「残存容量」)を測定した。また、エージング時と同じ方法で「低負荷放電容量」および「高負荷放電容量」を測定し「高温保存後の負荷特性指標」を求めた。また、「エージング後の抵抗」に相当する「高温保存後の抵抗」を測定した。
【0105】
以上の実施例の結果を以下の指標から解析した。
「エージング後の負荷特性指標」に対する「高温保存後の負荷特性指標」の比率を「負荷特性変化率」とした。
負荷特性変化率=(「高温保存後の負荷特性指標」/「エージング後の負荷特性指標」)×100(%)
「エージング後の抵抗」に対する「高温保存後の抵抗」の比率を「抵抗変化率」とした。
抵抗変化率=(「高温保存後の抵抗」/「高温保存前(エージング後)の抵抗」)×100(%)
【0106】
また、 電池の自己放電性、すなわち、電解液の電気分解性を表わす指標として、エージング後高温保存前の充電容量と高温保存後の残存容量の差分(充電容量―残存容量)を求めた。添加剤無添加の場合の電解液(参考例1、ブランク)の差分に対する電解液の差分の比率を「自己放電比」として求めた。
自己放電比={(電解液の充電容量―残存容量)/(ブランクの充電容量−ブランクの残存容量)}× 100(%)
評価した電池特性の測定結果を表1に示した。
【0107】
(比較例1〜13)
実施例1で、<非水電解液の調整>において添加剤として1、3−プロペンスルトンを0.5質量%添加するのに代えて、表1に示した添加剤を同表の添加量で添加するほかは同様にしてコイン型電池を作製し、その電池特性を測定した。
結果を表1に示した。
【0108】
【表1】
【0109】
以上の結果から、比較例に対して、本発明の1,3−プロペンスルトンを添加した電解液は、自己放電比、負荷特性および抵抗の劣化抑制のすべてについて、優れた効果を有することがわかる。
【0110】
(実施例7〜15)
実施例1で、<非水電解液の調整>において添加剤である1,3−プロペンスルトンに加えて、ビニレンカーボネートを添加し、それぞれを表2に示す添加量で添加するほかは同様にしてコイン型電池を作製し、その電池特性を測定した。
結果を表2に示した。
【0111】
【表2】
【0112】
以上の結果から、本発明の1,3―プロペンスルトンは単独でも優れた作用を示すが、電解液への添加量を一定にして比較した場合、ビニレンカーボネートと併用した場合に、自己放電率比がさらに低下し、かつ負荷特性および抵抗の劣化抑制効果を高いレベルに維持できることが分かる。
【0113】
(参考例2)
ラミネート電池を作製し高温保存試験中の電池内でのガス発生量を測定した。
1.ラミネート電池の作製
<非水電解液の調製>
非水電解液として前記参考例1で調整した非水電解液を用いた。
【0114】
<負極の作製>
天然黒鉛(中越黒鉛製LF−18A)87質量部と結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVDF)13質量部を混合し、溶剤のN−メチルピロリジノンに分散させ、天然黒鉛合剤スラリーを調製した。次に、この負極合剤スラリーを厚さ18μmの帯状銅箔製の負極集電体に塗布し乾燥した。この天然黒鉛電極合剤の厚さは110μmであった。これを85mm×50mmに打ち抜き銅製のリード線を取り付けた。
【0115】
<LiCoO2電極の作製>
LiCoO2(本荘FMCエナジーシステムズ(株)製 HLC−21)90質量部と、導電剤の黒鉛6質量部及びアセチレンブラック1質量部と結着剤のポリフッ化ビニリデン3質量部を混合し、溶剤のN−メチルピロリドンに分散させ、LiCoO2合剤スラリーを調製した。このLiCoO2合剤スラリーを厚さ20μmのアルミ箔に塗布、乾燥した。これを76mm×46mmに打ち抜き白金製のリード線を取り付けた。
【0116】
<ラミネート電池の作製>
寸法85mm×50mmの天然黒鉛電極、寸法76mm×46mmのLiCoO2電極を、幅55mm長さ110mmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからできたセパレータを介して対向させて電極群とした。この電極群を、アルミニウムラミネートフィルム(昭和ラミネート社製)で作製した筒状の袋に、正極、負極の両リード線が片方の開放部から引き出されるように収容し、まず、リード線が引き出された側を熱融着して閉じた。
次に、前記で調整した非水電解液1.4mlを電極群に注入し含浸させた後、残った開放部を熱融着して電極群を袋中に密封し、ラミネート電池を得た。
【0117】
2.ラミネート電池による高温保存中のガス発生量の測定
前述のように作製したラミネート電池を使用し、この電池を10mA定電流4.2V定電圧の条件で、4.2V定電圧の時の電流値が0.05mAになるまで充電し、その後10mA定電流放電し、電池電圧が3.0Vになった時点で放電を終了する条件で放電を行った。次に、この電池を10mA定電流3.85V定電圧の条件で、3.85V定電圧の時の電流値が0.05mAになるまで充電した。
【0118】
その後、この電池を、45℃の恒温槽で7日間エージングを行なった。
エージング後、10mA定電流放電し、電池電圧が3.0Vになった時点で放電を終了する条件で放電を行った。次に、この電池を10mA定電流4.2V定電圧の条件で、4.2V定電圧の時の電流値が0.05mAになるまで充電した。この電池を、85℃で3日間高温保存した。
【0119】
ラミネート電池作製直後、および高温保存後に、電池の容積を測定し、その差分をガス発生量とした。結果を表3に示す。
【0120】
(実施例16)
非水電解液として実施例10で調整した非水電解液を使用するほかは、参考例2と同様にして、ラミネート電池を作製し、高温保存中のガス発生量を測定した。結果を表3に示す。
【0121】
(実施例17)
非水電解液として実施例1で調整した非水電解液を使用するほかは、参考例2と同様にして、ラミネート電池を作製し、高温保存中のガス発生量を測定した。結果を表3に示す。
【0122】
(実施例18)
非水電解液として実施例11で調整した非水電解液を使用するほかは、参考例2と同様にして、ラミネート電池を作製し、高温保存中のガス発生量を測定した。結果を表3に示す。
【0123】
(実施例19)
非水電解液として実施例3で調整した非水電解液を使用するほかは、参考例2と同様にして、ラミネート電池を作製し、高温保存中のガス発生量を測定した。結果を表3に示す。
【0124】
(比較例14)
非水電解液として、実施例3の<非水電解液の調製>において、添加剤として1,3−プロペンスルトン1.5質量%に代えて、1,3−プロパンスルトン1.5質量%を添加するほかは同様にして調整した非水電解液を使用し、参考例2と同様にして、ラミネート電池を作製し、高温保存中のガス発生量を測定した。
結果を表3に示す。
【0125】
【表3】
【0126】
(実施例20〜22)
実施例1において、<非水電解液の調製>で非水溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とγ−ブチロラクトン(γ−BL)とジブチルカーボネート(DBC)を、EC:γ−BL:DBC=30:65:5(質量比)の割合で混合し、次に電解質として、LiPF6を電解質濃度が1モル/リットルとなるように非水電解液を調製し、次にこの非水溶媒に対して、添加剤としてそれぞれ1,3−プロペンスルトン1質量%(実施例20)、1,3−プロペンスルトン2質量%(実施例21)、1,3−プロペンスルトン2質量%とビニレンカーボネート2質量%の混合物(実施例22)を添加して、非水電解液を得るほかは同様にしてコイン型電池を作成し、その電池特性を測定した。また、添加剤の添加を省略した場合を参考例3とした。結果を表4に示した。
【0127】
【表4】
【0128】
【発明の効果】
本発明の不飽和スルトンを添加した電解液を使用することによって、自己放電が小さく、負荷特性、抵抗の劣化が大幅に抑制され、かつ、電池内のガス発生量が大きく減じられた非水電解液二次電池を得ることができる。
また、本発明の組成特定の非水溶媒によって、低温特性、負荷特性にも優れた非水電解液二次電池を得ることができる。
Claims (23)
- 前記一般式(1)においてR1〜R4がともに水素であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液。
- 前記一般式(1)においてnが1であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水電解液。
- 非水溶媒が環状の非プロトン性溶媒および/または鎖状の非プロトン性溶媒を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液。
- 環状の非プロトン性溶媒が、環状カーボネート、環状カルボン酸エステル、環状スルホンまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項5に記載の非水電解液。
- 環状の非プロトン性溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホランまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項6に記載の非水電解液。
- 環状の非プロトン性溶媒が、γ−ブチロラクトン、またはγ−ブチロラクトンとエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、スルホランおよびメチルスルホランから選ばれた少なくとも1種との混合物であることを特徴とする請求項6に記載の非水電解液。
- 鎖状の非プロトン性溶媒が、鎖状カーボネート、鎖状エステルまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の非水電解液。
- 鎖状の非プロトン性溶媒が、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネートのいずれか、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項9に記載の非水電解液。
- 非水溶媒中の環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒の質 量比率が15:85〜55:45であることを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の非水電解液。
- 前記不飽和スルトンと前記一般式(3)に示すビニレンカーボネート誘導体の添加比率が、質量比で、1:100〜100:1であることを特徴とする請求項12記載の非水電解液。
- 電解質がリチウム塩である請求項1〜13のいずれかに記載の非水電解液。
- リチウム塩がLiPF6、LiBF4、LiOSO2CkF(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiClO4、LiAsF6、LiN(SO2CkF(2k+1))2(k=1〜8の整数)、LiPFn(CkF(2k+1))(6−n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項14記載の非水電解液。
- 不飽和スルトンおよびγ−ブチロラクトンを含む非水溶媒と、LiPF6を含む電解質を含む非水電解液。
- 負極活物質として金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料、またはこれらの混合物から選ばれた少なくとも一つを含む負極と、正極活物質として遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、リチウムと遷移金属の複合酸化物、導電性高分子材料、炭素材料から選ばれた少なくとも一つを含む正極と、請求項1〜16のいずれかに記載の非水電解液とを含むリチウム二次電池。
- 負極活物質がリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料であることを特徴とする請求項17に記載のリチウム二次電池。
- 負極活物質であるリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料の、X線解析で測定した(002)面における面間隔距離d(002)が、0.340nm以下であることを特徴とする請求項18記載のリチウム二次電池。
- 前記一般式(1)で表される化合物である不飽和スルトンよりなるリチウム二次電池電解液用添加剤。
- 前記一般式(1)においてR1〜R4が水素であることを特徴とする請求項20記載の電解液用添加剤。
- 前記一般式(1)においてnが1であることを特徴とする請求項20または21記載の電解液用添加剤。
- 不飽和スルトンが、前記式(2)で現される1,3―プロペンスルトンである請求項20記載の電解液用添加剤。
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