JP4189463B2 - ポジションセンサー付き自動車用スライドシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車内の前後方向にスライドレールで位置移動可能に設置する自動車用スライドシートに係り、シートの位置を検出し、当該シートの位置信号を発するポジションセンサーを備える自動車用スライドシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、エアバッグモジュールを乗員拘束装置としてステアリングホイールに装備する場合、図5で示すようにスライドシートSの位置がステアリングホイールHに対して前方にあるときはエアバッグEの展開開始時期を早くし、一方、後方にあるときはエアバッグEの展開開始時期を遅らせる如くエアバッグモジュールの作動をコントロールすることが図られている。
【0003】
従来、そのエアバッグモジュールをコントロールする必要から、エアバッグモジュールに対するスライドシートSの相対位置を検出するポジションセンサーPをスライドレールRに装備することが提案されている。
【0004】
そのポジションセンサーPとしては、図6並びに図7で示すように磁石片や電磁石等の磁気アクチュエータ10aと、磁場と反応するリミットスイッチやホール素子等の磁気検出センサー10bを相対させてホルダーケース10cの内部に組み付けたセンサーユニット10と、磁気アクチュエータ10bから発する磁場が磁気検出センサー10bに作用するのを遮る磁気遮断板11とでなるものが備え付けられている。
【0005】
そのセンサーユニット10は、ロアレール12の長手方向における所定位置の側部に突出するブラケットプレート13で取り付けられている。一方、磁気遮断板11はアッパーレール14の所定位置より長手方向に亘る前側領域の側部に張り出させて取り付けられている(特許文献1)。
【0006】
それとは逆に、磁気センサーをアッパーレールの側部に突出させて取り付け、磁気遮断板をロアレールの長手方向に亘る所定領域の側部に張り出させて取り付けるものも提案されている(特許文献2)。
【0007】
そのポジションセンサーは、シートの位置移動に伴って、磁気遮断板11が磁気アクチュエータ10aと磁気検出センサー10bとの相対間隔に位置するか否かにより、磁気検出センサー10bがエアバッグモジュールに対するスライドシートSの相対位置を検出すると共に、エアバッグモジュールの作動を制御するコントロール信号を発するよう回路設計されている。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第6,053,529号明細書
【特許文献2】
米国特許第5,967,549号明細書
【0009】
そのポジションセンサーは、いずれも、スライドレールの側部で外側に取り付けられている。このため、シートクッションと車体フロアとの間に入れ込まれる金属製品等の物品による影響を受け易く、誤作動を生ずる虞れがある。また、傘や長尺ものの入れ込みによる変形や損傷等の不具合を生ずる虞れもある。
【0010】
その不具合を解消するには、ポジションセンサーをガードするカバーやワイヤ枠等をスライドレールの側部に取り付ければよい。然し、これでは部品点数が多くなり、また、スライドレールの周辺空間を制約することにもなるから好ましくない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、部品点数を削減しながらも、外的要因によるセンサーの性能低下や外れ,損傷等の発生を防ぎ、取付け時の位置精度を高め、クリアランスの減少からセンサー性能を向上ししかも小型化,軽量化を図れるポジションセンサー付き自動車用スライドシートを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るポジションセンサー付き自動車用スライドシートにおいては、シートクッションの下部側に取り付けられるアッパーレールと、車体フロアに取り付けられるロアレールとをスライドレールとして備え、シートを車内の前後方向にスライドレールで位置移動可能に設置し、磁場と反応乃至は不反応をシートの位置信号として発する磁気検出センサー,磁石片でなるポジションセンサーをスライドレールに備えるもので、
磁気検出センサーは、外装ケースの張出し鍔を介して、磁界の強さを電気信号で取り出すセンサー収容部と、信号ケーブルと接続するコネクタ部とを上下に備え、センサー収容部をアッパーレールの上部面に設けた開口部に嵌め込むと共に、アッパーレールの開口部を外形形状の大きい張出し鍔で覆い、センサー収容部をアッパーレールの内側で下向きに、コネクタ部をアッパーレールの外側で上向きに位置決めさせて、アッパーレールの長手方向における所定位置の上部面に取付け固定し、
磁石片は、ロアレールの長手方向に亘る前側領域または後側領域の底部面に取付け固定することにより構成されている。
【0013】
本発明の請求項2に係るポジションセンサー付き自動車用スライドシートにおいては、センサー収容部の相対する側面より略U字状に伸び出す一対のバネクリップを張出し鍔の下部側に設けた外装ケースを備え、外装ケースのバネクリップをアッパーレールの開口部より天部内面に係合すると共に、張出し鍔をアッパーレールの天部外面に押え付けて磁気検出センサーを取り付けることにより構成されている。
【0014】
本発明の請求項3に係るポジションセンサー付き自動車用スライドシートにおいては、アッパーレールの天部面に対するあてがい片を張出し鍔と面一に設けた外装ケースを備え、外装ケースのあてがい片をアッパーレールの天部外面にタッピングスクリューでネジ止めて磁気検出センサーを取り付けることにより構成されている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を参照して説明すると、図示実施の形態は、車内の前後方向にスライドレール1で位置移動可能に設置されるスライドシートでなり、そのスライドシートの位置を検出し、図5で示すような乗員拘束装置に対するシートの相対位置に基づいて乗員拘束装置の作動を制御するコントロール信号を発するポジションセンサー2をスライドレール1の内部に備えて構成されている。
【0016】
スライドレール1は、シートクッションの下部側に取り付けられるアッパーレール1aと、車体フロア側に取り付けられるロアレール1bとから組み立てられている。ロアレール1bは、シートの移動距離に亘る車内の前後方向に設置される。アッパーレール1aは、ローラ(図示せず)を長手方向前後の下部側に備えてロアレール1bで前後方向に移動可能に支持される。
【0017】
アッパーレール1aは、天部面100と、左右の両側面101,102とから断面略下向きコの字状を呈し、各側面101,102の下端側からL字状に立ち上がる外曲げフランジ103,104を備えて折曲げ形成されている。このアッパーレール1aには、後述する磁気検出センサーを取り付ける開口部105が天部面100に設けられている。
【0018】
ロアレール1bは、底部面110と、左右の両側面111,112とからアッパーレール1aよりも相対的に大きい断面略上向きコの字状を呈し、アッパーレール1aの外曲げフランジ103,104を内側に受け入れる下向きL字状の内曲げフランジ113,114を各側面111,112の上端側から折り曲げて形成されている。
【0019】
ポジションセンサー2は、磁場と反応乃至は不反応をコントロール信号として発する磁気検出センサー2aと、略四辺形の磁石片2bとを備えて構成されている。
【0020】
磁気検出センサー2aは、アッパーレール1aの天部面105と相対する張出し鍔20を介してセンサー収容部21を下向きに、信号ケーブルと接続するコネクタ部22を上向きに備えて外装ケース23で収容することにより構成されている。その磁気検出センサー2aとしては、磁界の強さをホール効果による電気信号で取り出すホール素子乃至はホールICをセンサー収容部21に内蔵したものを備えるとよい。
【0021】
第1の実施の形態に係る外装ケース23の取付け手段としては、センサー収容部21の相対する側面より略U字状に伸び出す一対のバネクリップ24,25が張出し鍔20の下部側に設けられている。そのバネクリップ24,25は、図2で示すようにクリップ本体24a,25aの先端面を段部24b,25bで切り欠くことにより形成されている。このバネクリップ24,25は、先端面を段部24b,25bで開口部105の口縁に掛け止めてクリップ本体24a,25aより天部内面に係合すると共に、張出し鍔20を天部外面に押え付けるようアッパーレール1aに取り付けられる。
【0022】
磁気検出センサー2aは、センサー収容部21をアッパーレール1aの開口部105に嵌め合わせて内部に位置し、開口部105を外形形状の大きい張出し鍔20で覆ってコネクタ部22を外方に突出するようバネクリップ24,25でアッパーレール1aの天部面100に外側から取付け固定されている。この磁気検出センサー2aは、アッパーレール1aの天部内面で長手方向における略中腹に備え付けるよう設定されている。
【0023】
磁石片2bは、ロアレール1bの底部内面に接着固定することによりロアレール1bに取り付けられている。この磁石片2bは、磁気検出センサー2aの配置位置に対し、ロアレール1bの略中腹位置より長手方向に亘る後側領域で底部内面に取り付けるよう設定されている。
【0024】
乗員拘束装置としては、ステアリングホイールの内部に装備されるエアバッグモジュールやインストルメントパネルの内部に装備されるエアバッグモジュールを挙げられる。その制御形態は、シートの位置が前方にあるときはエアバッグの展開開始時期を早くし、一方、後方にあるときはエアバッグの展開開始時期を遅らせる如くCPUを備えて回路構成される。
【0025】
このように構成するポジションセンサー付きのスライドシートでは、シート全体をスライドレール1でフロントモストとリアモストとに亘る領域を移動する間で、磁気検出センサー2aが磁石片2bから発生する磁場に反応する領域と、磁石片2bが備えられていないことから、磁気検出センサー2aが磁場と反応しない領域とに区分けられる。
【0026】
その磁気検出センサー2aによる磁場の反応乃至は不反応のいずれかをコントロール信号としてCPUに送信することから、反応領域ではシートの位置が前方にあるとしてエアバッグの展開開始時期を早くし、一方、不反応領域ではシートが後方にあるとしてエアバッグの展開開始時期を遅らせる如くエアバッグモジュールのエアバッグを作動制御できる。
【0027】
そのポジションセンサー2では、磁気検出センサー2aをアッパーレール1aの天部内面に取付け固定し、磁石片2bをロアレール1bの底部内面に接着固定するため、取付け時の位置精度を高められしかも相対間隔の狭い内部でクリアランスを小さく保てるからセンサー性能も向上できる。また、アッパーレール1aの開口部105を外装ケース23の張出し鍔20で塞いで磁気検出センサー2aをアッパーレール1aの内部で下向きに取り付けることから、塵埃等が付着することによるセンサー性能の低下も防げる。
【0028】
それに加えて、磁石片2bを含めて磁気検出センサー2aがスライドレール1の内部に備えられているため、シートクッションと車体フロアとの間に入れ込まれる金属製品等の外的要因による影響を受け難く、傘や長尺ものの入れ込みによる変形や損傷等を生ずるのも防げて正常な作動状態を維持できる。また、ポジションセンサーのガードカバーやワイヤ枠等が不要であるため、部品点数を削減できて小型化並びに軽量化を図れる。
【0029】
上述した外装ケース23の取付け手段の他に、第2の実施の形態としては、図3並びに図4で示すようにアッパーレール1aの天部面に対するあてがい片24’を張出し鍔20’と面一に設けた外装ケース23’を備え付けられる。この外装ケース23’の場合、あてがい片24’をアッパーレール1aの天部外面にタッピングスクリュー3でネジ止めることにより磁気検出センサー2a’をアッパーレール1aに取り付けられる。
【0030】
上述した実施の形態では、乗員拘束装置としてステアリングホイールの内部に装備されるエアバッグモジュールやインストルメントパネルの内部に装備されるエアバッグモジュールを挙げたが、ドアやサイドボディパネルの内部に装備されるエアバッグモジュールとシートとの位置関係を決定するような場合にも適用できる。また、シートクッションを立ち姿勢のシートバックに跳ね上げて後部側シートを前部側シートの背後に位置移動するチップアップシート等のフロントもストやリアモストを検出する位置センサーとしても適用できる。
【0031】
そのポジションセンサーによる制御形態としては、フロントモスト側を磁場不反応領域に、リアモスト側を磁場反応領域に設定したが、これを逆に設定するようにできる。
【0032】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に係るポジションセンサー付き自動車用スライドシートに依れば、磁気検出センサーは、外装ケースの張出し鍔を介して、磁界の強さを電気信号で取り出すセンサー収容部と、信号ケーブルと接続するコネクタ部とを上下に備え、センサー収容部をアッパーレールの上部面に設けた開口部に嵌め込むと共に、アッパーレールの開口部を外形形状の大きい張出し鍔で覆い、センサー収容部をアッパーレールの内側で下向きに、コネクタ部をアッパーレールの外側で上向きに位置決めさせて、アッパーレールの長手方向における所定位置の上部面に取付け固定し、磁石片は、ロアレールの長手方向に亘る前側領域または後側領域の底部面に取付け固定するため、シートクッションと車体フロアとの間に入れ込まれる金属製品等の外的要因による影響を受け難く、傘や長尺ものの入れ込みによる変形,損傷や塵埃の付着等を生ずるのも防げて正常な作動状態を維持できる。また、ポジションセンサーのガードカバーやワイヤ枠等が不要となるため、部品点数を削減できて小型化並びに軽量化を図れる。
【0033】
それに加えて、磁気検出センサーのセンサー収容部をアッパーレールの内部で下向きに取り付け、磁石片をロアレールの長手方向に亘る前側領域または後側領域の底部内面に位置決めさせて固定するため、互いの位置精度を高められると共に、クリアランスを小さく保てることからセンサー性能を向上できる。また、アッパーレールの開口部を外装ケースの張出し鍔で塞ぐことから、塵埃等が付着することによるセンサー性能の低下も防げる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る自動車用スライドシートのスライドレール並びにポジションセンサーの磁気検出センサー,磁石片を主に示す説明図である。
【図2】図1の磁気検出センサーをバネクリップでアッパーレールの天部内面に取り付ける場合を示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る自動車用スライドシートのスライドレール並びにポジションセンサーの磁気検出センサー,磁石片を主に示す説明図である。
【図4】図3の磁気検出センサーをバネクリップでアッパーレールの天部内面に取り付ける場合を示す説明図である。
【図5】一般例に係るポジションセンサー付き自動車用スライドシートを示す説明図である。
【図6】従来例に係る自動車用スライドシートのスライドレール並びにポジションセンサーを主に示す説明図である。
【図7】図6のスライドレール並びにポジションセンサーを示す断面図である。
【符号の説明】
1 スライドレール
1a アッパーレール
100 アッパーレールの天部面
105 アッパーレールの開口部
1b ロアレール
2 ポジションセンサー
2a 磁気検出センサー
20 張出し鍔
21 センサー収容部
22 コネクタ部
23 外装ケース
24,25 バネクリップ
2b 磁石片
2a’ 磁気検出センサー
20’ 張出し鍔
21’ センサー収容部
22’ コネクタ部
23’ 外装ケース
24’ あてがい片
Claims (3)
- シートクッションの下部側に取り付けられるアッパーレールと、車体フロアに取り付けられるロアレールとをスライドレールとして備え、シートを車内の前後方向にスライドレールで位置移動可能に設置し、磁場と反応乃至は不反応をシートの位置信号として発する磁気検出センサー,磁石片でなるポジションセンサーをスライドレールに備える自動車用スライドシートにおいて、
磁気検出センサーは、外装ケースの張出し鍔を介して、磁界の強さを電気信号で取り出すセンサー収容部と、信号ケーブルと接続するコネクタ部とを上下に備え、センサー収容部をアッパーレールの上部面に設けた開口部に嵌め込むと共に、アッパーレールの開口部を外形形状の大きい張出し鍔で覆い、センサー収容部をアッパーレールの内側で下向きに、コネクタ部をアッパーレールの外側で上向きに位置決めさせて、アッパーレールの長手方向における所定位置の上部面に取付け固定し、
磁石片は、ロアレールの長手方向に亘る前側領域または後側領域の底部面に取付け固定したことを特徴とするポジションセンサー付き自動車用スライドシート。 - センサー収容部の相対する側面より略U字状に伸び出す一対のバネクリップを張出し鍔の下部側に設けた外装ケースを備え、外装ケースのバネクリップをアッパーレールの開口部より天部内面に係合すると共に、張出し鍔をアッパーレールの天部外面に押え付けて磁気検出センサーを取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のポジションセンサー付き自動車用スライドシート。
- アッパーレールの天部面に対するあてがい片を張出し鍔と面一に設けた外装ケースを備え、外装ケースのあてがい片をアッパーレールの天部外面にタッピングスクリューでネジ止めて磁気検出センサーを取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のポジションセンサー付き自動車用スライドシート。
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