JP4189140B2 - 乾式免疫分析要素 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素免疫測定法を適用した乾式免疫分析要素に関するものである。詳しくは、標識酵素により生成される生成物をさらにグルコースに分解してこのグルコースを検出することにより被検物である抗原又は抗体の量を測定する免疫分析要素であって、検体中に含有されるマルトースの影響を受けないようにした免疫分析要素に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来血液中のアナライトの測定法の一つとして、酵素免疫分析方法がある。抗体と抗原が結合すると標識酵素の酵素活性が何らかの干渉を受けることに基づくもので、抗原抗体結合による阻害作用を利用する。一般には、抗原を酵素標識しておいて、これに大分子である抗体が結合することにより、酵素の基質に対する結合が立体障害を受けたり、或いは酵素の立体構造が変化するために生じる酵素活性の抑制を検出する。
【0003】
多数の検体試料を取扱いルーティン化している臨床検査では、簡便、迅速に分析でき自動操作化もできることが望まれ、このような観点から、乾式分析要素が提案されている。例えば特開平1−321360号公報に記載された乾式分析要素は、(A) 高分子化抗原(リガンドと高分子化合物との結合物)、(B) 水不溶性の高分子基質、(C) リガンドに対する抗体と、基質に対する酵素との結合物、の3つを多層分析要素の同一層或いは別々の層に含有させたものである。分析要素に点着し供給された抗原は、高分子化抗原と競争して、抗体−酵素結合物に結合する。この抗原−抗体−酵素複合体は、水不溶性高分子基質に反応して、可溶性の低分子生成物を生成する。一方、高分子化抗原と結合してできた高分子抗原−抗体−酵素複合体は、高分子基質に対して酵素活性を示すことができない。従って検体中の抗原量が増えるに従って、酵素反応生成物は増えることになる。この生成物を検出層に移行させて、その量をその有色化学基が与える吸収の光学濃度を測定することにより、検体中の抗原量を分析するというものである。
【0004】
特許第2576910号公報に記載された免疫分析要素は、これをさらに改良したものである。この分析要素では、標識酵素分解物をさらに低分子化する低分子化酵素を含有する試薬層が設けられ、この低分子化生成物(グルコース)を検出することにより感度の上昇が図られている。
【0005】
測定対象が高分子抗原である場合には、特許第2576913号公報記載の免疫分析要素を使用することができる。この分析要素は、(A) 水不溶性の高分子基質、(B) 高分子抗原に対する抗体と、基質に対する酵素との結合物、の2つを多層分析要素の同一層或いは別々の層に含有させたもので、特許第2576910号公報記載の免疫分析要素と同じように、標識酵素による分解物(グルコースオリゴマー)をさらに低分子化する低分子化酵素を含有する試薬層を設けて、この低分子化生成物(グルコース)を検出することにより感度の上昇を図っている。
【0006】
一方、近年になって手術後などの経口的栄養摂取の不可能な時期における経静脈的糖質補給剤として、または糖尿病患者の糖質補給剤としてマルトース輸液が広く行われるようになってきた。この場合、従来の免疫分析要素を用いると、CRP濃度測定に誤差を生じるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、検体中の内因性マルトースの影響を受けない、精度の高い乾式免疫分析要素を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意解析した結果、従来の免疫分析要素を使用すると、マルトースがグルコースに低分子化される段階の反応速度が遅いためレート測光に正誤差を与え、結果として目的のCRP濃度測定に誤差を与えていることが判明した。
【0009】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、本発明の課題は、1)マルトースがグルコースに低分子化される速度を大きくする(第一の形態)、又は2)マルトースが試薬層に達する前に除去する(第二の形態)、のいずれかの方法を適用した乾式免疫分析要素によって解決された。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る乾式免疫分析要素の基本的な形態の模式図を図1に示す。
【0011】
上記免疫反応層は、点着された液を水平方向に均一に展開する機能を有していてもよい。
【0012】
支持体としては光不透過性(不透明)、光半透過性(半透明)、光透過性(透明)のいずれのものも用いることができるが、一般的には光透過性で水不透過性の支持体が好ましい。光透過性で水不透過性の支持体の材料として好ましいものはポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等である。親水性層を強固に接着させるため通常、下塗り層を設けるか、親水化処理を施す。
【0013】
試薬層は、水浸透性層で構成され、基質層から拡散・移行して来たグルコースオリゴマーをさらに低分子量の生成物であるグルコースにする低分子化酵素を含有する。試薬層はまたこの低分子生成物を検出するための試薬組成物を含有する。
【0014】
基質層は、水浸透性層で構成され、抗体に標識として結合された酵素の基質である非拡散性基質を含有する。この基質は測定対象である高分子抗原の量に反比例して残存する酵素標識抗体の酵素活性により拡散性物質を生成する。非拡散性基質の例として、カルボキシメチル化澱粉、澱粉、アミロース、アミロペクチン等がある。
【0015】
免疫反応層は、免疫反応に必要な分子種を含有する層である。例えば、
(1) 被検抗原と酵素標識抗体とを反応させて、被検抗原量を分析する場合には、酵素標識抗体を;
(2) 被検抗原と抗体と酵素標識抗原とを反応させて、被検抗原量を分析する場合には、抗体と酵素標識抗原とを;
(3) 被検分子抗原と高分子化抗原と酵素標識抗体とを反応させて、被検抗原量を分析する場合には、高分子化抗原と酵素標識抗体とを;
(4) 被検抗体と酵素標識抗原とを反応させて、被検抗体量を分析する場合には、酵素標識抗原を;
(5) 被検抗体と抗原と酵素標識抗体とを反応させて、被検抗体量を分析する場合には、抗原と酵素標識抗体とを;
を含有する。
【0016】
本発明に係る乾式分析要素の測定対象は、高分子量でかつ抗原決定基を有する高分子抗原である。即ち、高分子抗原が酵素標識抗体に結合して生じる酵素活性への干渉(抑制)作用を利用する。従って高分子抗原の分子量は、酵素活性に影響を与える程度の高分子量のものが好ましい。例えば分子量2万ダルトン以上、好ましくは約5万ダルトン以上の抗原の定量分析に本発明の分析要素は威力を発揮する。
【0017】
高分子抗原は、このような高分子量のものであって、抗原性を有しその抗体を用意できるものであれば、本発明の分析要素で分析できる。例えば、各種内分泌腺に由来するホルモン類、免疫グロブリン、アルブミン、フェリチン、C−反応性蛋白(以下CRPと略す)等の血漿蛋白質、HB抗原等のウイルス、バクテリア類、α−フェトプロティン、癌胎児性抗原(CEA)等の各種臓器あるいは血中、尿中に存在する抗原がある。
【0018】
高分子抗原を含有する検体の種類は限定されないが、例えば血液(全血、血漿、血清)リンパ液、尿などがある。血球などの浮遊物がある場合には予め除去しておくのが好ましい。ただし適当な濾過層を分析要素の最上層に設けた場合にはそのまま分析要素に点着・供給してもよい。
【0019】
基質層に含有される非拡散性基質は、水性検体液に対して非拡散性でそれ自体は試薬層に拡散しない。抗体に標識として結合された酵素は、高分子性の非拡散性基質を分解して、低分子化酵素によりさらに低分子の生成物を生じるような拡散性生成物を生成する。このような酵素としては重合体からなる非拡散性基質から拡散性オリゴマーを生成するような分解酵素があり、例えば、糖質加水分解酵素を挙げることができる。このような糖質加水分解酵素として、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、デキストラナーゼ等がある。その他の加水分解酵素としては、セルラーゼ、コラゲナーゼ、マンナーゼ、リパーゼ、リボヌクレアーゼ等がある。
【0020】
試薬層に含有される低分子化酵素は、抗体に標識として結合された酵素により、非拡散性基質より生成した拡散性生成物を、さらに検出可能な低分子生成物にするものであり、例として糖加水分解酵素、より具体的には、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、デキストラナーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ等があげられる。試薬層において低分子化酵素により生成された低分子生成物(グルコース)は、公知の検出系試薬により光学的に検出することができる。
【0021】
最終的に生成したグルコースを検出する方法としては、例えば、グルコースをグルコースオキシダーゼ存在下に酸化し生成した過酸化水素を検出する方法(例えばAnn.Clin.Biochem.,6,24(1964)、J.Clin.Pathol.,22,246(1969)に記載のTrinder試薬、特開昭49−50991号(対応米国特許3,886,045)、米国特許3,992,158号、特開昭55−164356号(対応米国特許4,292,272)等に記載の改良Trinder試薬、特開昭53−26188号(対応米国特許4,089,747)、特開昭58−45557号等に記載のトリアリール置換イミダゾールロイコ色素を含む試薬、特開昭59−193352号(対応欧州特許公開EP0122641A)、特開昭60−224677号(対応米国特許4,665,023)等に記載のジアリール−モノアラルキル置換イミダゾールロイコ色素を含む試薬を用いる方法)、グルコースデヒドロゲナーゼとNADの存在下に生成するNADHを検出する方法、またヘキソキナーゼ存在下に生成するグルコース−6−燐酸を検出する方法等、公知の方法を用いることができる。これらの検出方法の中で、グルコースオキシダーゼ存在下にグルコースを酸化し生成した過酸化水素をペルオキシダーゼとロイコ色素を用いて検出する方法が、感度の点で最も望ましい。
【0022】
本発明の第一の形態においては、上記試薬層中に含有される低分子化酵素の量を調節する。低分子化酵素の含有量が少ないと検体中に含まれる内因性マルトースがグルコースへ転化するのに時間がかかり、非拡散性基質の分解によって生じるグルコースオリゴマーを低分子化酵素によってグルコースを低分子化する主反応のレート測光に対して正誤差を与える。従って、低分子化酵素は、内因性マルトースを早期にグルコースに転化できる量が試薬層中に含有されていればよく、高価な酵素を必要最低限の量にすべく、分析要素の層構成、反応系、検出系等を勘案して実験的に定められる。使用できる酵素としては、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ等がある。また、上記反応系が検体希釈液に組み込まれていても良い。
【0023】
本発明の第二の形態においては、内因性マルトースが試薬層に達する前に、酵素によって除去する。このためには、試薬層より上にマルトースをグルコース以外に転化する酵素を含有する層(マルトース除去層)を設けるのが好ましく、基質層にこの機能を持たせても、その上に独立した層として設けてもよい。また、上記反応系が検体希釈液に組み込まれていても良い。
【0024】
マルトース除去層には、以下のものが含有される。
▲1▼ グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ及びマルトースホスホリラーゼから選ばれた一種と、ヘキソキナーゼと、アデノシン三リン酸(ATP)、又は
▲2▼ グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ及びマルトースホスホリラーゼから選ばれた一種と、グルコースデヒドロゲナーゼとNAD。
【0025】
上記▲1▼及び▲2▼において、マルトースホスホリラーゼを用いる場合はヘキソキナーゼとATP、又はグルコースデヒドロゲナーゼとNADの処方量を少なくすることができる。
【0026】
本発明の乾式免疫分析要素は、公知の多種の乾式分析要素と同様の層構成とすることができる。要素は、基質層、試薬層及び免疫反応層の他、支持体、展開層、検出層、光遮蔽層、接着層、吸水層、下塗り層その他の層を含む多重層としてもよい。このような分析要素として、例えば特開昭49−53888号(対応米国特許 3,992,158)、特開昭51−40191号(対応米国特許 4,042,335)、及び特開昭55−164356号(対応米国特許 4,292,272)、特開昭61−4959(対応EPC公開特許0166365A)、特開平10−300751号の各明細書に開示されたものがある。
【0027】
試薬層は異なる複数の層から成ってもよい。支持体と試薬層又は検出層との間には吸水層を設けてもよい。各層の間には濾過層を設けてもよい。また免疫反応層の上には展開層を設けてもよく、免疫反応層に展開作用を持たせ展開層として機能させてもよい。
【0028】
以下実施例より本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
実施例1(第一の形態)
ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(支持体)上に下記の被覆量になるように架橋剤含有試薬溶液を塗布し、乾燥して試薬層を設けた。
【0030】
【0031】
次に上記試薬層上に、下記の被覆量になるように下記試薬含有水溶液を塗布した。
【0032】
アルカリ処理ゼラチン 10.2g/m2
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.5g/m2
ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.1g/m2
【0033】
次に上記フイルム上に下記の被覆量になるように下記試薬含有水溶液塗布し、乾燥して基質層を設けた。
【0034】
ヒドロキシプロピルセルロース 4.7g/m2
カルボキシメチル化澱粉 3.5g/m2
PIPES 0.9g/m2
マンニトール 2.3g/m2
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 1.2g/m2
【0035】
次に上記フィルム上に約60g/m2の供給量で水を全面に供給して湿潤させた後、50デニール相当のポリエチレンテレフタレート紡績糸を36ゲージ編みしたトリコット編み物布地を軽く圧力をかけて積層し、乾燥させた。上記布地上に、エタノールを200g/m2となるように塗布し(=OC1塗布)、乾燥後下記組成のエタノール溶液を各々の成分が下記の量となるように、そして乾燥後の厚さが5μmになるように、塗布し(=OC2塗布)、乾燥させて、一体型多層分析要素を作製した。
【0036】
ポリビニルピロリドン 5.6g/m2
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.2g/m2
【0037】
上記の一体型多層分析要素を12mm×13mm四方のチップに切断し、スライド枠(特開昭57−63452号公報に記載)に収めて、本発明の第一の形態に従うCRP分析用乾式スライド1を作製した。
【0038】
実施例2(第二の形態)
ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180μmの無色透明PETシート上に下記の被覆量になるように架橋剤含有試薬溶液を塗布し、乾燥して、試薬層を設けた。
【0039】
【0040】
次に、上記試薬層上に、下記の被覆量になるように下記試薬含有水溶液塗布した。
【0041】
アルカリ処理ゼラチン 10.2g/m2
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.5g/m2
ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.1g/m2
【0042】
次に上記フイルム上に下記の被覆量になるように下記試薬含有水溶液塗布し、乾燥して基質層を設けた。
【0043】
ヒドロキシプロピルセルロース 4.7g/m2
カルボキシメチル化澱粉 3.5g/m2
PIPES 0.9g/m2
マンニトール 2.3g/m2
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 1.2g/m2
グルコアミラーゼ 25000.0U/m2
グルコキナーゼ(ヘキソキナーゼ TypeIV) 5000.0U/m2
ATP(アデノシン三リン酸) 2.0g/m2
【0044】
次に上記フィルム上に約60g/m2の供給量で水を全面に供給して湿潤させた後、50デニール相当のポリエチレンテレフタレート紡績糸を36ゲージ編みしたトリコット編み物布地を軽く圧力をかけて積層し、乾燥させた。
【0045】
上記布地上に、エタノールを200g/m2となるように塗布し(=OC1塗布)、乾燥後下記組成のエタノール溶液を各々の成分が下記の量となるように、そして乾燥後の厚さが5μmになるように、塗布し(=OC2塗布)、乾燥させて、一体型多層分析要素を作製した。
【0046】
ポリビニルピロリドン 5.6g/m2
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.2g/m2
【0047】
上記の一体型多層分析要素を12mm×13mm四方のチップに切断し、スライド枠(特開昭57−63452号公報に記載)に収めて、本発明の第二の形態に従うCRP分析用乾式スライド2を作製した。
【0048】
比較例1
実施例1で作成したスライド1の試薬層のグルコアミラーゼ量を5000U/m2にした他はスライド1と同じであるスライド3を比較例として作成した。
【0049】
性能評価試験1
50mM MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルフォン酸モノハイドレート)緩衝液(pH6)の10μLをスライド1、スライド2及びスライド3に点着した。400mg/dlマルトース水溶液を50mM MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルフォン酸モノハイドレート)緩衝液(pH6)で21倍希釈した溶液10μLをスライド1、スライド2及びスライド3に点着した。この後、各スライドを37℃に保って、支持体側から650nmの反射光学濃度をタイムコース測定した。点着後の反射光学濃度の時間変化を図2に示す。
【0050】
比較例1のスライド3では、マルトース含有試薬点着後に著しい反射光学濃度の増加が見られる。(図2中、比較例1(MAL(+))、点着後2分後でも増加傾向があり、反射光学濃度は増加した。一方実施例1のスライド1では、点着直後に著しい反射光学濃度の増加が見られる(図2中、実施例1(MAL(+))ものの、点着後2分後以降では反射光学濃度はほぼ一定値であった。また、MAL(−)はマルトースを含まない液を点着したときのデータであり、バックグラウンドの光学濃度を示している。
【0051】
これは、点着した試料中のマルトースが基質層から試薬層に移行して、試薬層内のグルコアミラーゼによってグルコースに分解される反応が、スライド3では遅いために、反射光学濃度の増加傾向が無くならない。一方、スライド1ではグルコアミラーゼの処方量を増量したことでマルトースからグルコースへの分解速度が上昇し、点着後2分以内に分解が終了して、それ以降の反射光学濃度の増加は無いためである。
【0052】
また、実施例2のスライド2では、反射光学濃度は、マルトース含有試薬液点着後20秒間程は増加したが、その後はプラトーに達し、一定値であった(図2中、実施例2(MAL(+))。これは、点着直後は、試薬液中のマルトースがマルトース除去層内で除去されない内に、試料液そのものの浸潤と共に試薬層に移行するので、点着後しばらくは反射光学濃度の増大となって現れたが、試薬層までの浸潤が完了すれば、その後はマルトースがグルコースに分解され、さらにグルコキナーゼによって消費されるために、試料中のマルトースはほとんど試薬層に移行しないためと考えられる。
【0053】
実施例3(第一の形態)
実施例1と同様にして多層分析要素を作製し、その展開層であるトリコット編物布地層に、エタノールを200g/m2となるように塗布し(=OC1塗布)、乾燥後厚さが5μmになるように、下記組成のエタノール溶液を各々の成分が下記の量となるように、そして乾燥後の塗布し(=OC2塗布)、乾燥させ、一体型多層分析要素を作製した。
【0054】
アミラーゼ標識抗C反応性蛋白マウス抗体 14.0KU/m2
抗C反応性蛋白マウス第二抗体 6.2mg/m2
ポリビニルピロリドン 5.6g/m2
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.2g/m2
【0055】
上記の一体型多層分析要素を12mm×13mm四方のチップに切断し、スライド枠(特開昭57−63452号公報に記載)に収めて、本発明の第一の形態に従うCRP分析用乾式スライド4を作製した。
【0056】
実施例4(第二の形態)
実施例2と同様にして多層分析要素を作製し、その展開層であるトリコット編物布地層に、エタノールを200g/m2となるように塗布し(=OC1塗布)、乾燥後厚さが5μmになるように、下記組成のエタノール溶液を各々の成分が下記の量となるように、そして乾燥後の塗布し(=OC2塗布)、乾燥させ、一体型多層分析要素を作製した。
【0057】
アミラーゼ標識抗C反応性蛋白マウス抗体 14.0KU/m2
抗C反応性蛋白マウス第二抗体 6.2mg/m2
ポリビニルピロリドン 5.6g/m2
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.2g/m2
【0058】
上記の一体型多層分析要素を12mm×13mm四方のチップに切断し、スライド枠(特開昭57−63452号公報に記載)に収めて、本発明の第二の形態に従うCRP分析用乾式スライド5を作製した。
【0059】
比較例2
実施例3で作成したスライド4の試薬層のグルコアミラーゼ量を5000U/m2にした他はスライド4と同じであるスライド6を比較例として作成した。
【0060】
性能評価試験2
既知量のCRPを含有する50mM MES緩衝液(pH6)10μLを、実施例3のスライド4、実施例4のスライド5及び比較例2のスライド6に点着した。37℃に保って、中心波長650nmの可視光でPET支持体側から各スライド4,5及び6の反射光学濃度を測定した。点着から3分後及び5分後の反射光学濃度の差(ΔOD5−3)を図3に示す。
【0061】
図3の検量線より、マルトース除去層を設けた実施例4のスライド5は、それを持たない比較例2のスライド6および実施例3のスライド4と同様、CRPの定量が精度良く行えることが明らかである。このことは、マルトース除去層は、CRP定量の検出感度に悪影響を与えないことを示している。また、実施例3のスライド4は比較例2のスライド6に比べて基質であるカルボキシメチル化澱粉の分解によって生じた二糖や三糖に対する反応速度が上昇しているために、検量線がさらに拡大しており測定精度のさらなる向上が期待できる。
【0062】
性能評価試験3
スライド4、5及び6に既知一定量のCRPと濃度の異なるマルトースを含有する50mM MES緩衝液(pH6)を10μLを点着し、37℃に保って、支持体側から650nmの反射光学濃度を測定した。また上記反射光学濃度を予め生成した色素量と反射光学濃度の関係を求めた変換式を用いて色素量に変換し、点着から3分後及び5分後に生成した色素量(ΔS 5−3)を求めた。図4に示すように、従来の比較例2のスライド6では、試料液中のマルトース濃度が増加するにつれてΔS 5−3の値は大きくなっていた。これに対して、試薬層中のグルコアミラーゼ量を増量した実施例3のスライド4では、試料液中にマルトースが存在しても、ΔS 5−3の値にはほとんど影響が見られなかった。またマルトース除去層を設けた実施例4のスライド5についてもほとんど影響が見られなかった。
【0063】
このことは、本発明による乾式免疫分析要素では、試料液中のマルトース濃度が検体によって変動する様な場合でも、精度良く免疫分析できることを示している。
【0064】
【発明の効果】
検体中の内因性マルトースの影響を受けない、測定精度の高い免疫分析要素を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る乾式免疫分析要素の基本的な構成を表す模式図である。
【図2】 図2は、本発明に係る実施例1及び実施例2のスライド、及び比較例1のスライドに、マルトースを含有する液(MAL(+))とマルトースを含有しない液(MAL(−))を点着した時の、反射光学濃度の時間変化を表す。
【図3】 図3は、実施例3及び実施例4のスライド、及び比較例2のスライドに、既知量のCRPを含有する液を点着したときの、点着から3分後及び5分後の反射光学濃度の差と、CRPの含有量の関係を表す。
【図4】 図4は、実施例3及び実施例4のスライド、及び比較例2のスライドに、一定量のCRPと濃度の異なるマルトースを含有する液を点着したときの、点着から3分後及び5分後の反射光学濃度の差と、マルトースの含有量の関係を表す。
Claims (1)
- 少なくとも、マルトースをグルコースに分解する酵素を含有する試薬層と、非拡散性基質を含有する水浸透性の基質層と、免疫反応に必要な分子種を含有する免疫反応層がこの順に支持体上に設けられた乾式免疫分析要素において、前記マルトースをグルコースに分解する酵素の含量が、少なくとも25000U/m2である乾式免疫分析要素。
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