第1の発明は、鍋と、鍋を加熱する鍋加熱手段と、鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、鍋内へ供給する蒸気を発生し水タンクと水タンクから供給される水を蒸発させるとともに少なくとも一部を着脱自在とした蒸発室と蒸発室を加熱する蒸発室加熱手段とを有した蒸気発生手段と、蒸気発生手段で発生した蒸気を前記鍋内へ案内する蒸気通路と、鍋の上方を覆う蓋と、蓋の下面に備えられた蓋加熱板と、蓋加熱板を加熱する蓋加熱手段とを備え、蓋加熱板は少なくとも蒸発室の上面を形成することにより、蒸発室加熱手段が蒸発室を、蒸発室に供給される水が直ちに沸騰して蒸気になる温度まで加熱し、その後、水タンクから少量ずつ蒸発室へ水を供給することができるので、蒸発室に供給された水を直ちに沸騰させて蒸気とすることができ、蒸気通路を介して鍋内へ供給することができる。
それゆえ、水の沸点と略同等の温度の蒸気を鍋内へ供給することができ、鍋内の温度が蒸気により低下してしまうのを低減することができる。
したがって、沸騰維持工程では、水の沸騰状態を維持することができ、且つおねば成分の泡が炊飯器からふきこぼれるのを低減するために鍋加熱手段への通電量を減少させなくても、蒸気により泡を壊すことができる。そのため、米に水と水の持つ熱エネルギーの両方を与え続けることができるので、米は吸水しながら加熱されることになって、米の糊化を促進することができ、炊飯性能を向上させることができる。
また、むらし工程では、水の沸点と略同等の温度の蒸気を鍋内に供給することにより、鍋内の温度を一定に保ちながら、または加湿しながら加熱することができるので、鍋内の米の上層部を乾燥させることなく、また、鍋内の温度が低下して余分な水を除去することができずにご飯をべちゃつかせることなく、鍋内の温度を常に水の沸点近傍で維持することができる。
それゆえ、鍋内の余分な水を除去することができ、沸騰維持工程で糊化しきれていない米を完全に糊化することを促進することができるので、炊飯性能を向上させることができる。
さらに、蒸発室内を開放することができるので、使用者は蒸発室内を洗浄したり乾燥させたりしてメンテナンスすることができる。それゆえ、炊飯工程や保温工程終了後、蒸発室内に残った水滴や硬水成分により菌が繁殖するのを防止することができ、使用者は炊飯器を清潔な状態で使用することができる。
さらに、蓋加熱板は蓋内に収納されており、且つ蓋の開閉に連動して動作するので、蓋を開くと蒸発室の上面も連動して動作して蒸発室の上面を開放することになる。
それゆえ、使用者は、炊飯工程を動作させる前や炊飯工程終了後に、蓋を開くだけで蒸発室内を見ることができ、また蒸発室内を洗浄したりしてメンテナンスすることができるので、使い勝手を向上させることができる。
特に、炊飯工程終了後、鍋を洗浄したり、炊飯工程開始前に米と水が入った鍋を炊飯器に収納する時には、使用者は、必ず蓋を開くので、蓋を開いた時に蒸発室内を見ることができる。それゆえ、蒸発室内の洗浄忘れを防止することができる。
さらに、蓋加熱板を洗浄するときに、蒸発室の上面も洗浄することができる。それゆえ、蒸発室の上面も別途洗浄する必要がなく、使い勝手を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の断面図を示すものである。
図1において、炊飯器1は、着脱自在に鍋2を収納するため、有底筒状の鍋収納部2aを有している。鍋収納部2aの底部または側底部には、鍋2を加熱する鍋加熱手段3が設けられており、本実施例では鍋2を誘導加熱する誘導加熱コイルで構成されている(鍋加熱手段3は、シーズヒータ、マイカヒータ、鋳込みヒータ、ハロゲンヒータ、ニクロムヒータ等であってもよく、鍋2を所定温度に加熱できるものであればよい)。
鍋温度検知手段4は、鍋2の底面と当接するよう構成されており、鍋2の温度を検知するものである。制御手段10は炊飯器1の動作を制御するものである。
また、蓋9は、炊飯器1の後部のヒンジ部に設けたヒンジ軸9Aにて軸支され、鍋2の開口部を開閉自在に覆っている。蓋9には、蓋加熱板11を介して鍋2内を上方から加熱する蓋加熱手段12(本実施例では、蓋加熱板11を誘導加熱する誘導加熱コイルで構成している。蓋加熱手段12はシーズヒータ、マイカヒータ、鋳込みヒータ、ハロゲンヒータ、ニクロムヒータ等であってもよく、蓋加熱板11を所定温度に加熱できるものであればよい)が設けられている。
蓋加熱板11は蓋加熱板蒸気口13を有しており、蓋9の天面には蓋加熱板蒸気口13と連通する蓋蒸気口14が設けられている。そのため、鍋2の内部は炊飯器1外と連通し大気圧となっている。蒸気口パッキン15は、蓋加熱板11と蓋9に挟持されており、鍋パッキン16は、蓋9の閉時に蓋加熱板11と鍋2の上縁外周部にあるフランジ部の間で挟持されている。
蒸気発生手段17は、図2に示すように、水タンク6と、開閉弁18を介して水タンク6から水が供給される蒸発室19と、蒸発室19を加熱する蒸発室加熱手段20を有して
いる。
そして、蒸発室加熱手段20が蒸発室19を加熱することにより、水タンク6から蒸発室19へ供給される水は加熱されて沸騰し蒸気Stとなって鍋2と蒸発室19とを連通接続する蒸気通路21へ供給される。
蒸気加熱手段22は蒸気通路21を加熱するものであり、蒸気加熱手段22が蒸気通路21を加熱することにより、蒸発室19で発生した蒸気Stは蒸気通路21を通過するときに加熱される。
蒸発室加熱手段20、蒸気通路加熱手段22は、誘導コイルで構成されるものであってもよいし、シーズヒータ、マイカヒータ、鋳込みヒータ、ハロゲンヒータ、ニクロムヒータ等で構成されるものであってもよい。
蒸発室温度検知手段23は、蒸発室19の温度を検知するものであり、制御手段10は、蒸発室温度検知手段23の検知温度Tjから、蒸発室19の温度上昇速度や温度下降速度を算出することができる。
ここで、蒸気発生手段17の動作を説明する。
蒸発室加熱手段20が、蒸発室19に供給される水が直ちに沸騰して蒸気Stになる温度Tsまで蒸発室19を加熱する。そして、その後、開閉弁18により水タンク6内の水を数滴ずつ蒸発室19内へ滴下する。蒸発室19へ滴下された水は直ちに沸騰し蒸気Stとなる。
蒸発室19から発生した蒸気Stは、蒸気通路21により鍋2内へ案内される。
なお、水タンク6から蒸発室19へ滴下される水の量は、1滴からでもよく、蒸発室19が滴下された水を直ちに蒸気Stにすることができる量であればよい。
次に、上記構成において動作を説明する。
使用者はまず、炊飯を行う米とその米量に対応する水を鍋2に入れ、炊飯器1に収納する。それから、水タンク6にも所定量の水を入れる。そして、炊飯開始スイッチ(図示せず)を押すと、制御手段10が炊飯開始スイッチからの入力を受け、炊飯工程を実行する。
鍋温度検知手段4は鍋2の底面の温度を検知し、制御手段10へと信号を送る。鍋温度検知手段4からの信号に基づき、制御手段10は主に浸水、炊き上げ、沸騰維持、むらしの4つの工程に大分された炊飯工程を行う。
ここで各工程を詳しく述べる。使用者が炊飯開始スイッチを押すと、図3(a)に示すように、まず、第一の所定時間t1になるまで浸水工程Aが行われる。浸水工程Aでは、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第一の所定温度T1になるように、制御手段10は、図3(c)に示すように、鍋加熱手段3への通電量を制御する。
次に、第一の所定時間t1を経過すると、炊き上げ工程Bが行われる。この工程では、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第二の所定温度T2(水の沸点(1気圧で100℃))になるまで、制御手段10は、図3(c)に示すように、鍋加熱手段3への連続通電を行う。
また、この工程では、鍋温度検知手段4の検知温度Taが、図3(a)に示す第二の所定温度T2(水の沸点(大気圧下で100℃))になると、鍋2内の水が沸騰し、水蒸気となって蓋加熱板蒸気口13および蓋蒸気口14を介して炊飯器1外へ排出されるが、このとき、米から澱粉が溶出した液体、いわゆるおねば成分が泡Buとなって鍋2から蓋加熱板蒸気口13および蓋蒸気口14を介して炊飯器1外へ出て行こうとする現象、すなわちふきこぼれ現象が発生する。
そこで、図3(a)に示す沸騰維持工程Cを行う。この工程では、制御手段10は、図3(c)に示すように、鍋加熱手段3を通電したり非通電にしたりして鍋加熱手段3への通電量を減らすことで、鍋2内の水の沸騰を行ったり沸騰を停止させたりして、おねば成分の泡Buが蓋蒸気口14から炊飯器1外へふきこぼれないようにする。
この工程は、鍋温度検知手段4の検知温度Taが第三の所定温度T3になるまで行われる。
鍋温度検知手段4の検知温度Taが第三の所定温度T3になると、第二の所定時間t2になるまで、むらし工程Dが行われる。この工程では、鍋温度検知手段4の検知温度Taが図3(a)に示す第二の所定温度T2近傍を維持するように、制御手段10は、図3(c)に示すように、鍋加熱手段3への通電量を制御する。
また、制御手段10は、沸騰維持工程Cやむらし工程Dにおいて、蒸発室加熱手段20へも通電(図3(d))する。そして、蒸発室19の温度が蒸発室19に供給される水が直ちに沸騰して蒸気Stになる温度Ts以上になった後、開閉弁18を開いて水タンク6内にある水を蒸発室19へ滴下する。水タンク6から蒸発室19へ滴下された水は直ちに沸騰して蒸気St(大気圧下で約100℃)となって蒸気通路21を介して鍋2内へ供給される。
第二の所定時間t2になるとむらし工程Dおよび炊飯工程を終了し、引き続き保温工程が行われる。
以上、述べたように、鍋温度検知手段4の検知温度Taが図3(a)に示すようになるように、鍋加熱手段3および蒸発室加熱手段20を制御手段10が図3(c)および図3(d)に示すように制御することにより、鍋2内の温度Tbは、図3(b)に示すように温度推移していく。
すなわち、浸水工程Aでは、鍋2内の温度Tbは、第一の所定温度T1まで上昇し、炊き上げ工程Bでは、第二の所定温度T2に上昇する。そして、沸騰維持工程Cで第二の所定温度T2近傍の温度を維持し、さらに、むらし工程Dでも第二の所定時間t2まで、第二の所定温度T2近傍の温度を維持するものである。
なお、上記で述べた浸水工程Aは、米が水を吸収する工程であり、第一の所定温度T1は、米の糊化が開始されない温度に設定されている。そして、この第一の所定温度T1が高いほど、米が水を吸収しやすくなったり、米が所定量の水を吸収する時間が短くなったりするので、第一の所定時間t1までの時間(浸水工程Aの時間)を短縮することができる。
同時に、第一の所定温度T1が高いほど次の炊き上げ工程Bで、鍋2内の温度Tbや鍋温度検知手段4の検知温度Taをより早く第二の所定温度T2に到達させることができるので、第二の所定時間t2までの時間(炊飯工程時間)を短縮することができる。
また、制御手段10は、炊飯工程に合わせて蓋加熱手段12に通電して蓋加熱板11を加熱することにより、鍋2内を加熱してもよい(例えば、むらし工程Dにおいて、蓋加熱板11を介して鍋2の上方から加熱するようにする等)。
このように本実施例によれば、図1および図2に示すように、蒸気発生手段17を、水タンク6と、開閉弁18を介して水タンク6から水が供給される蒸発室19と、蒸発室19を加熱する蒸発室加熱手段20で構成し、沸騰維持工程Cやむらし工程Dにおいて、蒸発室加熱手段20が蒸発室19を、蒸発室19に供給される水が直ちに沸騰して蒸気Stになる温度Tsまで加熱し、その後、開閉弁18により水タンク6内の水を数滴ずつ蒸発室19内へ滴下することにより、蒸発室19へ滴下された水は直ちに沸騰し蒸気Stとなる。
そして、蒸発室19で発生した蒸気Stは蒸気通路21を介して鍋2内へ供給されるが、このとき鍋2内へ供給される蒸気Stの温度は水の沸点(大気圧下で略100℃)と略同等なので、第二の所定温度T2と略同等の温度の蒸気Stを鍋2内へ供給することができる。
それゆえ、鍋2内の温度Tbが蒸気Stにより低下してしまうのを低減することができるので、沸騰維持工程Cでは、水の沸騰状態を維持することができ、且つおねば成分の泡Buが炊飯器1からふきこぼれるのを低減するために鍋加熱手段3への通電量を減少させなくても、蒸気Stによりおねば成分の泡Buを壊すことができる。そのため、米に水と水の持つ熱エネルギーの両方を与え続けることができるので、米は吸水しながら加熱されることになって、沸騰維持工程Cでの米の糊化を促進することができ、炊飯性能を向上させることができる。
また、むらし工程Dでは、水の沸点と略同等の温度の蒸気Stを鍋2内に供給することにより、鍋2内の温度Tbを一定に保ちながら、または加湿しながら加熱することができるので、鍋2内の米の上層部を乾燥させることなく、また、鍋2内の温度Tbが低下して余分な水を除去することができずにご飯をべちゃつかせることなく、鍋2内の温度Tbを常に第二の所定温度T2近傍で維持することができる。
それゆえ、鍋2内の余分な水を除去することができ、沸騰維持工程Cで糊化しきれていない米を完全に糊化することを促進することができるので、炊飯性能を向上させることができる。
なお、このむらし工程Dにおいて、鍋加熱手段3が鍋2を加熱しても、蒸気発生手段17から供給される蒸気Stにより鍋2内は常に高湿状態であり、鍋2の上層部にある米は乾燥しないので、鍋加熱手段3で鍋2を加熱してもよい。蓋加熱板11および蓋加熱手段12の場合も同様で、鍋2の上層部の米は乾燥しないので蓋加熱板11を加熱してもよい。
また、図4に示すように、水タンク6は炊飯器1から着脱できるものであってもよく、着脱できると水タンク6内を使用者が洗浄することができるのでよりよい。
それから、図3に示す炊飯工程が終了した後、蒸発室19には水滴が残っていたり、水の中に含まれている硬水成分(カルシウムやマグネシウム等)が付着していたりする。
一方で、炊飯器1は、図3に示す炊飯工程の運転が終了すると、炊き上がったご飯を保温する保温工程に入るが、このとき、制御手段10は、鍋2内のご飯の温度が70〜80
℃を維持するように鍋加熱手段3や蓋加熱手段12を制御する。そのため、蒸発室19内やその周辺の温度は菌が繁殖しやすい温度である30〜60℃で維持されるので、蒸発室19に残っている水滴や硬水成分に菌が繁殖してしまう恐れがある。
したがって、図4に示すように、少なくとも蒸発室19の上面19Aが着脱自在となる構成にすることにより、蒸発室19内を開放することができるので、使用者は蒸発室19内を洗浄したり乾燥させたりしてメンテナンスすることができる。それゆえ、炊飯工程や保温工程終了後、蒸発室19内の菌の繁殖を防止することができ、使用者は炊飯器1を清潔な状態で使用することができる。
なお、図5に示すように、水タンク6の一部が蒸発室19の上面19Aを形成するようにすれば、水タンク6を外すだけで蒸発室19を開放することができるとともに、水タンク6の洗浄時に蒸発室19の上面19Aも洗浄することができる。それゆえ、使用者の使い勝手が向上するのでよりよい。
また、図6に示すように、蒸発室19を全て炊飯器1から着脱自在とすれば、使用者は蒸発室19を炊飯器1から外して洗浄することができ、確実に蒸発室19内をメンテナンスすることができるのでよい。
それから、図7および図8に示すように、蓋加熱板11は蓋9内に収納されており、且つ蓋9の開閉に連動して動作するので、蒸発室19の上面19Aを蓋加熱板11が形成することにより、蓋9を開くと蓋加熱板11および蒸発室19の上面19Aも連動して動作する。その結果、蓋9を開くと蓋加熱板11が鍋2の上方を開放するのと同様に、蒸発室19の上面も開放することになる。
それゆえ、使用者は、炊飯工程を動作させる前や炊飯工程終了後に、蓋9を開くだけで蒸発室19内を見ることができ、また蒸発室19内をメンテナンスすることができるので、使い勝手を向上させることができる。
また、炊飯工程終了後、鍋2を洗浄したり、炊飯工程開始前に米と水が入った鍋2を炊飯器1に収納する時には、使用者は、必ず蓋9を開くので、蓋9を開いた時に蒸発室19内を見ることができる。それゆえ、蒸発室19内の洗浄忘れを防止することができる。
また、蒸発室19の上面19Aは蓋加熱板11により形成されているので、蓋加熱板11を洗浄するときに、蒸発室19の上面19Aも洗浄することができる。それゆえ、蒸発室19の上面19Aも別途洗浄する必要がなく、使い勝手を向上させることができる。
なお、図7および図8に示すように、蒸発室19を、炊飯器1の本体側と蓋9との合わせ面1A近傍に配置すれば、使用者は蒸発室19内を容易に見ることができたり、容易にメンテナンスすることができたりするのでよりよい。
また図8および図9に示すように、水タンク6を蓋9内ではなく、蓋9との合わせ面1A近傍で、且つ蓋9のヒンジ軸9A近傍に配置することにより、水タンク6は蓋9の開閉には関係なく炊飯器1に収納することができるとともに、蓋9を開いた状態でも閉じた状態でも使用者は水タンク6内の水の量を目視することができたり、水タンク6を着脱することができたりする。それゆえ、炊飯工程開始前等において、蓋9の開閉に関係なく水タンク6内の水の量を確認することができ、また水タンク6の付け忘れも蓋9の開閉に関係なく確認することができる。
したがって、水タンク6内の水の量が少なかったり水タンク6を付け忘れてしまって、
蒸気Stを利用してご飯を炊く炊飯工程を実施できないという不具合を低減することができる。
それから、図1に示す炊飯器1は、蒸気通路21を加熱する蒸気加熱手段22を備えることにより、蒸気通路21および蒸気通路21内の温度を第二の所定温度T2以上にすることができるので、蒸発室19から供給される蒸気Stが蒸気通路21を通過するときに、蒸気Stの温度を第二の所定温度T2以上にすることができる。
それゆえ、鍋2内に供給される蒸気Stの温度を第二の所定温度T2以上にすることができるので、鍋2内の温度Tbが蒸気発生手段17から供給される蒸気Stにより低下してしまうのをより低減することができる。
したがって、沸騰維持工程Cやむらし工程Dでの炊飯性能を向上させることができる。
なお、沸騰維持工程Cでは、おねば成分の泡Buが蓋加熱板蒸気口13および蓋蒸気口14を介して炊飯器1外へ出て行こうとする一方で、蒸気通路21や蒸発室19内にも浸入しようとするが、この時、蒸気発生手段17から蒸気Stを蒸気通路21へ供給することにより、おねば成分の泡Buが蒸気通路21や蒸発室19内へ浸入するのを防止することができる。
それゆえ、蒸気通路21におねば成分の泡Buが浸入するための弁を別途設ける必要もなく、蒸気通路21や蒸発室19内がおねば成分で汚れてしまうのを低減することができる。
また、沸騰維持工程Cにおいて、おねば成分が泡Buとなるのは、鍋2内の水が沸騰する時であり、図3(c)に示すように、制御手段10が鍋加熱手段3に通電した時であるので、制御手段10は、図3(d)に示すように、鍋加熱手段3が非通電時に蒸発室加熱手段20に通電し、鍋加熱手段3が通電時に開閉弁18を開いて水タンク6内の水を蒸発室19へ供給するように制御することにより、鍋加熱手段3と蒸発室加熱手段20を同時に通電して家庭用のブレーカを切断してしまって炊飯器1が動作しなくなるのを防止することができるとともに、おねば成分が泡Buとなる時に連動して蒸気Stを蒸発室19から鍋2内へ供給することができる。
それゆえ、効率的におねば成分の泡Buを壊すことができるのでよりよい。
また、図10(a)に示すように、蒸発室19内の温度が蒸発室19に供給される水が直ちに沸騰して蒸気Stになる温度Tsを維持するように、制御手段10は、蒸発室温度検知手段23の検知温度Tjに基づいて蒸発室加熱手段20を通電したり非通電にしたりして制御するが、水タンク6に所定量の水がなかったり、開閉弁18の動作不良で水タンク6から蒸発室19へ水が供給されなかったりすると、蒸発室19内は水タンク6から供給される水により冷却されないので、図10(c)に示すように、蒸発室加熱手段20を非通電にしても、蒸発室温度検知手段23の検知温度Tjは低下しにくくなり、蒸発室温度検知手段23の検知温度Tjの温度下降時間tbは、図10(a)に示す水タンク6から蒸発室19へ水が供給される場合の蒸発室温度検知手段23の検知温度Tjの温度下降時間taよりも長くなってしまう。
その結果、制御手段10は、水タンク6に所定量の水がないと判断したり、開閉弁18の動作不良と判断することができ、蒸発室加熱手段20への通電を停止し蒸気Stを使った炊飯を行わずに、従来と同様の蒸気Stを使わない炊飯を行うことができるので、炊飯を失敗することを防止することができる。
それゆえ、水タンク6に所定量の水がなかったり、開閉弁18の動作不良が生じたりしても、蒸発室温度検知手段23の検知温度Tjの温度下降時間を制御手段10が算出することにより、鍋2内に蒸気Stを供給する炊飯工程を行わずに、鍋加熱手段3および蓋加熱手段12により行う従来の炊飯工程を行うことにより、炊飯工程を停止することなく、従来と同等の炊飯性能を維持することができる。
また、制御手段10は、蒸発室温度検知手段23が検知する温度の下降速度を算出して、水タンク6内に所定量の水がなかったり、開閉弁18の動作不良を検知するようにしてもよい。
また、蒸発室温度検知手段23の検知温度Tjの温度上昇においても同様であり、水タンク6に所定量の水がなかったり、開閉弁18の動作不良で水タンク6から蒸発室19へ水が供給されなかったりすると、蒸発室19内は水タンク6から供給される水により冷却されないので、図10(c)に示すように、蒸発室加熱手段20に通電すると、蒸発室温度検知手段23の検知温度Tjは上昇しやすくなり、蒸発室温度検知手段23の検知温度Tjの温度上昇時間tdは、図10(a)に示す水タンク6から蒸発室19へ水が供給される場合の蒸発室温度検知手段23の検知温度Tjの温度上昇時間tcよりも短くなってしまう。
その結果、制御手段10は、水タンク6に所定量の水がないと判断したり、開閉弁18の動作不良と判断することができ、蒸発室加熱手段20への通電を停止し蒸気Stを使った炊飯を行わずに、従来と同様の蒸気Stを使わない炊飯を行うことができるので、炊飯を失敗することを防止することができる。
それゆえ、水タンク6に所定量の水がなかったり、開閉弁18の動作不良が生じたりしても、蒸発室温度検知手段23の検知温度Tjの温度上昇時間を制御手段10が算出することにより、鍋2内に蒸気Stを供給する炊飯工程を行わずに、鍋加熱手段3および蓋加熱手段12により行う従来の炊飯工程を行うことにより、炊飯工程を停止することなく、従来と同等の炊飯性能を維持することができる。
また、制御手段10は、蒸発室温度検知手段23が検知する温度の上昇速度を算出して、水タンク6に所定量の水がなかったり、開閉弁18の動作不良を検知するようにしてもよい。
また、この実施の形態1に示す構成の炊飯器1では、制御手段10は開閉弁18の開閉時間を制御することにより、水タンク6から蒸発室19への単位時間当たりの水の供給量を変化させることができるので、蒸発室19から蒸発させる単位時間当たりの蒸気量を変化させることができ、その結果、蒸気通路21を介して鍋2へ供給する単位時間当たりの蒸気量を変化させることができる。
それゆえ、硬い米や含水量の少ない米等は、むらし工程Dにおいて、より多くの蒸気Stを供給することで、柔らかくふっくらと炊き上がって炊飯性能が向上する一方、柔らかい米や含水量の多い米は、むらし工程Dにおいて、多くの蒸気Stを供給すると、水と接触しすぎるために形が崩れてしまい、炊飯性能が低下してしまうので、従来は、米種に応じて蒸気Stの供給時間を変化させて蒸気発生手段17から鍋2への蒸気Stの供給量を変化させていたが、図1に示す炊飯器1では、硬い米や含水量の少ない米等を炊飯する場合は、制御手段10は、水タンク6から蒸発室19への単位時間当たりの水の供給量を増加させることにより、蒸気Stの供給時間を延長することなく、蒸発室19から鍋2へ供給する単位時間当たりの蒸気量を増加させることができる。
また、柔らかい米や含水量の少ない米等を炊飯する場合は、制御手段10は、水タンク6から蒸発室19への単位時間当たりの水の供給量を減少させることにより、蒸発室19から鍋2へ供給する単位時間当たりの蒸気量を減少させることができる。