JP4186497B2 - ポジ型感放射線性組成物およびこれを用いたレジストパターンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体集積回路、リソグラフィー用マスクなどの製造に用いられるポジ型感放射線性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体回路、リソグラフィー用マスクの製造などの分野では、集積度の向上に伴って、パターンの微細化が進んでいる。これを実現するためにレジスト材料としてさらに高解像度のものが要求されるようになってきており、0.25μm以下のサブクォーターミクロンのパターンが高感度で加工できることが必要となってきた。従来のような比較的長波長の光源を用いるリソグラフィーでは、このような微細な加工を行うことは困難であり、よりエネルギーの高いX線や電子線を用いたリソグラフィーが検討されており、これらの光源に対応したレジストが求められている。
【0003】
このような露光光源に対応し、高感度、高解像度の特性を持つ公知のレジスト材料として、化学増幅型レジストが盛んに検討されている。化学増幅型レジストは光酸発生剤への放射線照射により露光部に酸が発生し、この酸の触媒作用で露光部の溶解性が変化する機構を持つレジストである。これら化学増幅型レジストのうち比較的性能の良好なものとして、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ可溶性基をt−ブチル基などの3級エステル基、t−ブトキシカルボニル基、アセタール基などの酸分解性基で保護した樹脂を用いたレジストが知られている。
【0004】
また、パターンが微細になるにつれ、現像やリンスの際にパターンの倒れや剥がれが生じやすくなる。このため、上記樹脂に水酸基やフェノール性水酸基、ラクトン骨格(特開平10−274852号公報)などを有する部分を導入して基板との密着性を確保するといった検討がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、解像度、感度、パターン密着性はそれぞれ相反する関係にあり、サブクォーターミクロンのパターン加工を行うための解像度を得るには感度が十分でなかったり、また感度を向上させるとパターン剥がれが生じるなどの欠点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、a)ラクトン残基を有する構造単位と、カルボキシル基を前記一般式(3)で示される酸脱離基で保護した構造を有する構造単位を含む重合体(ただし、前記一般式(18)で表される基を有する高分子化合物を除く)と、b)放射線の照射によって酸を発生する酸発生剤を含有することを特徴とするポジ型感放射線性組成物であって、a)が酸の作用によりアルカリ可溶性基を生成してアルカリ現像液に可溶化する重合体であることを特徴とするポジ型感放射線性組成物、およびこれを用いたレジストパターンの製造方法である。
【0007】
本発明のポジ型感放射線性組成物はa)ラクトン残基を有する構造単位と、カルボキシル基を前記一般式(3)で示される酸脱離基で保護した構造を有する構造単位を含む重合体(ただし、前記一般式(18)で表される基を有する高分子化合物を除く)を含有する。ラクトン残基を有する構造単位に特に制限はないが、下記一般式(1)で示される構造を含むものが好ましい。
【0008】
【化6】
【0009】
R1はメチル基、エチル基などの炭素数1〜4のアルキル基を示し、mは0から11である。なお、mが2以上の場合、複数のR1がそれぞれ異なる基であってもよい。nは0から4である。Xは単結合、メチレン、エチレン、プロピレン等の炭素数1から4のアルキレン基、−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO2−を表す。ラクトン残基を有する構造単位としてより好ましいのは、下記一般式(2)で示される構造である。
【0010】
【化7】
【0011】
R2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、ハロゲンを示す。R3は炭素数1〜4のアルキル基を示し、mは0から11である。なお、mが2以上の場合、複数のR3がそれぞれ異なる基であってもよい。nは0から4である。Qは単結合またはメチレン、プロピレン等の炭素数1〜4のアルキレン基を表す。重合体中に上記のようなラクトン構造を導入することにより感度を低下させることなくパターンと基板との密着性が向上し、微細パターンの解像が可能となる。また、現像液との親和性も改善する。
【0012】
以下、好ましく用いられるラクトン残基を有する構造単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0013】
【化8】
【0014】
a)の重合体は、芳香環を有する構造単位を含むことも重要である。ここでいう芳香環は、アリール基、ナフチル基、アリーレン基、ナフチレン基、ピリジル基、フラニル基やこれらの誘導体などどのようなものでも良いが、アリール基およびこれらの誘導体が好ましい。a)の重合体は、カルボキシル基を下記一般式(3)で示される酸脱離基で保護した構造を含む構造単位を含む(ただし、前記一般式(18)で表される基を有する高分子化合物を除く)。
【0015】
【化9】
【0016】
R4〜R6はそれぞれ独立にアルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、芳香環を示し、少なくとも一つは芳香環である。R 4〜R6の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシメチル基、エトキシブチル基、ヒドロキシエチル基、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、フリル基などが挙げられる。
【0017】
芳香環を有する構造単位としてより好ましいのは、一般式(4)で表される構造単位である。
【0018】
【化10】
【0019】
R7は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、ハロゲンを示す。Yは一般式(3)で表される酸脱離基である。
【0023】
以下、本発明で好ましく用いられる芳香環を有する構造単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0024】
【化12】
【0026】
a)の重合体は、化学増幅型レジストとしての特性を損なわない限り芳香環やラクトン残基を持たない構造単位を含んでも良い。このような構造単位として、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルα−クロロアクリレート、エチルα−クロロアクリレート、ヒドロキシエチルα−クロロアクリレート、イソプロピルα−クロロアクリレート、n−ブチルα−クロロアクリレート、t−ブチルα−クロロアクリレート、メチルα−シアノクリレート、エチルα−シアノアクリレート、ヒドロキシエチルα−シアノアクリレート、イソプロピルα−シアノアクリレート、n−ブチルα−シアノアクリレート、p−ヒドロキシベンジルメタクリレート、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、マレイン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メタコンニトリル、シトラコンニトリル、イタコンニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド、ビニルアニリン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾールなどを挙げることができる。他の構造単位がアルカリ可溶性基を有する場合には、該アルカリ可溶性基を酸脱離基で保護することもできる。酸脱離基としては、たとえばメトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、メチルチオフェナシル基、α−メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、プロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基、メチルチオベンジル基、エトキシベンジル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、プロぺニル基、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−ベンジルチオエチル基、1−シクロプロピルエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、1−n−プロポキシカルボニルエチル基、1−イソプロポキシカルボニルエチル基、1−n−ブトキシカルボニルエチル基、1−t−ブトキシカルボニルエチル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジ−t−ブチルシリル基、トリ−t−ブチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、p−トルエンスルホニル基、メシル基 、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基などを挙げることができる。
【0027】
また、本発明の重合体は、ドライエッチング耐性向上などのため以下のような環構造を主鎖に含んでも良い。
【0028】
【化14】
【0029】
a)の重合体を得るには、例えば二重結合とカルボキシル基を前記一般式(3)で示される酸脱離基で保護した構造やラクトン残基を有するビニルモノマーを、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤で重合させればよい。また、この際に分子量の制御などを目的として任意の連鎖移動剤などを加えて重合をおこなってもよい。
【0030】
a)の重合体の重量平均分子量は、GPCで測定されるポリスチレン換算で4000〜1000000、好ましくは5000〜100000、より好ましくは5000〜50000である。
【0031】
本発明のポジ型感放射線性組成物は、b)放射線の照射によって酸を発生する酸発生剤を含有する。これにより、化学増幅機構によるパターン形成が可能となり、高感度で、高解像度のパターンを得ることができる。ここで用いられる酸発生剤は、発生する酸によってa)成分のアルカリ水溶液への溶解速度を増加せしめるものであればどのようなものであっても良く、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物などを例として挙げることができる。
【0032】
オニウム塩の具体的な例としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩などを挙げることができる。好ましいオニウム塩としてはジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネートなどが挙げられる。
【0033】
ハロゲン含有化合物の具体的な例としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物などが挙げられる。好ましいハロゲン含有化合物としては1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどを挙げることができる。
【0034】
ジアゾケトン化合物の具体的な例としては、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物などが挙げられる。好ましいジアゾケトン化合物は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と2,2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンとのエステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンとのエステルなどを挙げることができる。
【0035】
ジアゾメタン化合物の具体的な例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(ベンゾイル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
【0036】
スルホン化合物の具体的な例としては、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物などが挙げられる。好ましい化合物としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタンなどが挙げられる。
【0037】
スルホン酸エステル化合物の例としては、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネートなどが挙げられる。スルホン酸化合物の具体的な例としてはベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネートなどを挙げることができる。
【0038】
スルホンイミド化合物の具体的な例としてはN−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド等を挙げることができる。
【0039】
これらの酸発生剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。酸発生剤の添加量は通例ポリマーに対して0.01〜50重量%であり、より好ましくは0.1〜20重量%である。0.01重量%より少ないとパターン形成が不可能となり、50重量%より多いと現像液との親和性が低下し、現像不良などが発生する。
【0040】
本発明のポジ型感放射線性組成物はアルカリ可溶性樹脂を含んでもよい。
【0041】
本発明のポジ型感放射線性組成物には必要に応じて、界面活性剤、増感剤、安定剤、消泡剤、酸拡散抑制剤などの添加剤を加えることもできる。
【0042】
本発明のポジ型感放射線性組成物は上記の成分を溶媒に溶解することにより得られる。溶媒の使用量には特に制限はないが、固形分が5〜35重量%となるように調整されるのが一般的である。好ましく用いられる溶媒としては酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、安息香酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、β−イソブチル酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールエステル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、アニソールなどのエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒から選ばれる溶媒、またはこれらの複合溶媒が挙げられる。
【0043】
本発明のポジ型感放射線性組成物は被加工基板上に塗布、乾燥され、通例、0.2μm〜2μmの膜厚の薄膜にして使用される。この薄膜に電子線、X線、紫外線、真空紫外線等の放射線を用いてパターン露光し、露光後ベーク、現像を行うことによって微細パターンを得ることができる。特に電子線を用いた場合により効果が顕著となる。
【0044】
本発明の感放射線性組成物の現像は、公知の現像液を用いて行うことができる。例としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン等の4級アンモニウムを1種あるいは2種以上含む水溶液が挙げられる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。なお、本実施例における重量平均分子量はポリスチレン換算によるGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)測定値である。
【0046】
実施例1
α−メタクリロイロキシ−パントラクトン5.9gと、2−フェニルプロピルメタクリレート4gとをジオキサン50mlに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.6gを開始剤として窒素気流下70℃で6時間反応させて重合を行った。これをメタノール500mlに滴下し、沈殿した固体を回収後乾燥させて下記化学式(6)の重合体5.9gを得た。得られた重合体の重量平均分子量は33000であった。この重合体3g、トリフェニルスルホニウムトリフレート300mgをメチルセロソルブアセテートに溶解し、0.2μmのフィルターで濾過し、レジスト組成物を得た。
【0047】
得られたレジスト組成物を、HMDS処理したシリコンウエハ上にスピンコートした後、100℃で2分間加熱し、膜厚0.5μmのレジスト膜を得た。このレジスト膜に電子線露光装置を用いて、加速電圧20kVでパターン状に電子線を照射し、90℃、2分加熱した後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(三菱ガス化学(株)製 ELM-D)で1分間現像を行った。2.2μC/cm2の露光量で、0.20μmのパターンが得られた。
【0048】
【化15】
【0051】
実施例3
実施例1で用いた共重合体の代わりに、2−フェニルプロピルメタクリレートと、α−メチレン−γ−ブチロラクトンから合成した下記化学式(8)の重合体(重量平均分子量6000)を用いる以外は実施例1と同様にレジスト膜を得、電子線を照射して、現像を行った。3.5μC/cm2の露光量で、0.24μmのパターンが得られた。
【0052】
【化17】
【0053】
実施例4
実施例1で用いた共重合体の代わりに、2−フェニルプロピルメタクリレートと、α−{(2−メタクリロイロキシ)−2−プロピル}−4−バレロラクトンから得た下記化学式(9)の共重合体(重量平均分子量9800)を用いる以外は実施例1と同様にレジスト膜を得、電子線を照射して、現像を行った。2.2μC/cm2の露光量で0.22μmのパターンが得られた。
【0054】
【化18】
【0055】
実施例5
実施例1で用いた共重合体の代わりに、2−フェニルプロピルメタクリレートと、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンから合成した下記化学式(10)の共重合体(重量平均分子量7500)を用いる以外は実施例1と同様にレジスト膜を得、電子線を照射して、現像を行った。2.1μC/cm2の露光量で、0.18μmのパターンが得られた。
【0056】
【化19】
【0057】
実施例6
露光装置としてi線ステッパ(GCA製 GCA8000DSW)を用いる以外は実施例5と同様の実験を行った。32mJ/cm2の露光量で0.32μmのパターンが得られた。
【0058】
実施例7
実施例1で用いた共重合体の代わりに、2−フェニルプロピル−α−クロロアクリレートと、α−メタクリロイロキシ−パントラクトンから合成した下記化学式(11)の共重合体(重量平均分子量8900)を用いる以外は実施例1と同様にレジスト膜を得、電子線を照射して、現像を行った。2.0μC/cm2の露光量で0.21μmのパターンが得られた。
【0059】
【化20】
【0060】
実施例8
実施例1で用いた共重合体の代わりに、1,1−ジフェニルエチルメタクリレートと、α−メタクリロイロキシ−パントラクトンから合成した下記化学式(12)の共重合体(重量平均分子量6600)を用いる以外は実施例1と同様にレジスト膜を得、電子線を照射して、現像を行った。2.0μC/cm2の露光量で0.20μmのパターンが得られた。
【0061】
【化21】
【0062】
実施例9
実施例1で用いた共重合体の代わりに、1,1−ジフェニルエチルメタクリレートと、β−メタクリロイロキシ−メバロラクトンから合成した下記化学式(13)の共重合体(重量平均分子量9000)を用いる以外は実施例1と同様にレジスト膜を得、電子線を照射して、現像を行った。2.3μC/cm2の露光量で0.22μmのパターンが得られた。
【0063】
【化22】
【0064】
実施例10
実施例1で用いた共重合体の代わりに、1,1−ジフェニルエチルアクリレートと、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンから合成した下記化学式(14)の共重合体(重量平均分子量11000)を用いる以外は実施例1と同様にレジスト膜を得、電子線を照射して、現像を行った。2.2μC/cm2の露光量で0.22μmのパターンが得られた。
【0065】
【化23】
【0066】
実施例11
1,1−ジフェニルエチルメタクリレートとα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンから合成した下記化学式(15)の共重合体(重量平均分子量7600)3g、トリフェニルスルホニウムトリフレート450mgをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、0.2μmのフィルターで濾過し、レジスト組成物を得た。得られたレジスト組成物を、HMDS処理したシリコンウエハ上にスピンコートした後、130℃で1分間加熱し、膜厚0.4μmのレジスト膜を得た。このレジスト膜に電子線露光装置を用いて、加速電圧20kVでパターン状に電子線を照射し、90℃、2分加熱した後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(三菱ガス化学(株)製 ELM-D)で1分間現像を行った。2.0μC/cm2の露光量で、0.17μmのパターンが得られた。
【0067】
【化24】
【0068】
比較例1
実施例1で用いた共重合体の代わりに、下記化学式(16)の共重合体(重量平均分子量6500)を用いる以外は実施例1と同様にレジスト膜を得、電子線を照射して、現像を行った。6.4μC/cm2の露光量で0.25μmのパターンが得られ、感度、解像度の点で十分な特性ではなかった。
【0069】
【化25】
【0070】
比較例2
実施例1で用いた共重合体の代わりに、t−ブチルメタクリレートと、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンから合成した下記化学式(17)の共重合体(重量平均分子量12000)を用いる以外は実施例1と同様にレジスト膜を得、評価を行った。5.4μC/cm2の露光量で0.28μmのパターンが得られ、感度、解像度とも十分な特性ではなかった。
【0071】
【化26】
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【発明の効果】
本発明のポジ型感放射線性組成物は、上述のように構造単位を含有する重合体と、放射線の照射によって酸を発生する酸発生剤を用いることによって、高解像度でかつ高感度の組成物を得ることが可能となった。
Claims (6)
- a)ラクトン残基を有する構造単位と、カルボキシル基を一般式(3)で示される酸脱離基で保護した構造を有する構造単位を含む重合体(ただし、下記一般式(18)で表される基を有する高分子化合物を除く)と、b)放射線の照射によって酸を発生する酸発生剤を含有することを特徴とするポジ型感放射線性組成物であって、a)が酸の作用によりアルカリ可溶性基を生成してアルカリ現像液に可溶化する重合体であることを特徴とするポジ型感放射線性組成物。
- 請求項1から4のいずれか記載のポジ型感放射線性組成物を被加工基板上に塗布、乾燥、露光、現像することを特徴とするパターンの製造法。
- 電子線により露光を行うことを特徴とする請求項5記載のパターンの製造法。
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