JP4186173B2 - 加熱加工食品用カップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、下細のカップ側筒がクラフト紙などの下級洋紙やプラスチックシート製の加熱菓子等加熱加工食品用カップの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料用カップは、その側筒が紙製とプラスチック製のものが多く、紙製カップでは、紙繊維の形状(長さ、太さ)が揃い、しかもその繊維が均斉に存在するように、紙カップ用として特別に抄造した“カップ原紙”という紙厚225g/m2 以上のものを用いる。
焼き菓子用紙カップは、“カップ原紙”に比べ極めて粗質なクラフト紙、つまり、40〜150g/m2 という薄く、しかも表面が粗く、均度小で引き破り易い下級洋紙やプラスチックシートを用いる。
【0003】
すなわち、紙カップ用として不向きの下級洋紙やプラスチックシートを焼き菓子用カップ側筒に使う理由としては、クラフト紙などの下級洋紙は組織繊維の長さが長いため、特に耐熱性に優れていることと、薬品処理による晒加工を施していない未晒クラフト紙やポリエチレンテレフタレート所謂PETは食品衛生的にも好ましいことと、菓子種中の油脂分の加熱中に容器用紙中への流入油脂による透明化部分のムラが未晒クラフト紙やPETシートでは、目立たないということとが主な理由である。
【0004】
そして下級洋紙で作った焼き菓子用紙カップ(紙製容器)としては、実開昭60−50173号公報中第1図(b)、第3図(b)記載のものが有る。
この従来例は、図4に示すように、下級洋紙をほぼ弧形短冊状に形成したブランク1をその長さ方向に丸め、その端部1a同士を接着部2で接着して中空円錐台形のカップ側筒3を作り、その小径周縁に連接した多数のフラップ5をすべて図5のように円錐台マンドレルMの上部で内側に折り曲げて底紙6を図6のように接着した焼成食品用紙カップである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この従来例における上記多数のフラップ5は、マンドレルMの上面で図5に示す直線に近い折り線Lから内側に向け手指で折り曲げても、逆皿状の折り曲げ治具で折り曲げても、フラップ5の折り曲げ縁辺5Dは、ブランク1の剛性のためマンドレル上面の円形に沿った折り目輪郭とはならず、図5に示す直線状の折り曲げ縁辺5Dとなってしまう結果、底紙6の周囲は多角形となり、図5、図6のように多数のフラップ5,5間にそれぞれ底紙6の円形輪郭から0.1〜0.4mm程度の僅かに外に食み出した多数の食み出し角部5Cが図5、図6のように生じる。
【0006】
したがって、これらカップ底紙6から外に食み出た角部5Cが有るカップCの多数を図7のように重積(スタッキング)して出荷した後、ユーザがカップ重積体からカップCを一つずつ引き抜き分離する際に、前記角部5Cがその外側のカップの内面に図7のように0.1〜0.4mm程食い込んでしまっているためと、各底紙同士の間に空気が入り込みづらいこととにより、カップの単品分離が極めて実行しづらく、その作業性を著しく阻害していたという本質的かつ、重大な問題点が有る。
【0007】
この発明は、前記した各問題点を除去するために、上広がりのカップ側筒の小径周辺を満遍なく内側に絞り込んだ先細周面の内面に底紙を接着することで、カップを作り、重積したカップの側筒同士の接触面積を減じると共に、底紙周縁における側筒の前記先細周面の外面に多数のフラップの折り曲げによる食み出し角部が有っても、これら多数の食み出し角部をその外側に重合したカップ内面に接触しなくすることと、底紙に形成したフラップ谷間による通気部から底紙同士のスキマに空気を入り込ませることとにより、多数のカップの重積体からカップ単品を一つずつ分離し易くすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記したこの発明の目的は、ほぼ弧形短冊状のブランクをその長さ方向に丸め、その端部同士を接着部で接着して中空円錐台形のカップ側筒を作り、その小径周縁に連接した多数のフラップを内側に折り曲げて底紙を接着したカップを作るに当り、前記カップ側筒の小径周辺を部分的に満遍なく内側に絞り込んで先細周面を形成するとともに、この周面に連接した多数のフラップの折り曲げ面に底紙を各フラップ谷間による通気部を残存させて接着したことで達成できた。
また、カップ内加熱加工済食品を食する際に、カップ側筒を千切り剥し易くするためのミシン目状切断線や引き剥し用摘み片をカップ側筒に形成してもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例について図面を参照して説明する。
先ず、この発明の基本形態は、図1に示すように、40〜80g/m2 程度の薄手クラフト紙などの下級洋紙または、PETシートなどのプラスチックシートをほぼ弧形短冊状に形成したブランク1の小径辺に多数の三角旗状のフラップ5を形成し、ブランク1をその長さ方向に図1(a)のように丸め、その端部1a同士を糊料またはヒートシールによる接着部2で接着して中空円錐台形のカップ側筒3を作り、これを図1(a)のように二段上細の上部先細周面付円錐台状のマンドレルMに図1(b)のように被せる。
【0010】
次いで、前記カップ側筒3の小径周辺3aを上記マンドレルMの上部先細周面M1に手指または逆丸皿状の回転押圧体などで部分的に満遍なく押し付け、内側に絞り込んで図1(c)に示すようなカップ側筒3よりも内側に2°〜5°傾斜した先細周面4を形成するとともに、この周面4の端部折り曲げ縁辺5Dに連接した多数のフラップ5の折り曲げ面5aに前記マンドレルM上に置いた底紙6と外部の底紙6とを接着するのであるが、この際には、各フラップ5,5の各谷間5Aによる通気部5Bが残存するように一回り小さい底紙を接着することで、上記先細周面4を保形した図1(e)、図2に示すような本発明による加熱加工食品用カップCを構成できる。
【0011】
なお、上記折り曲げ縁辺5Dは、各フラップ5の谷間5A同士を結ぶ前記図4における折り曲げ線Lから内側に多数のフラップ5を折り曲げた縁辺であるが、フラップ谷間の外側から各フラップ5を折り曲げたり、多数のフラップ5の2〜3片を均等間隔で欠除させた場合や、フラップ5の接着面積を小さくした場合などには、底紙6の大きさを前記先細周面4の大きさまたは、それ以上にしてフラップ折り曲げ面5aに上記底紙6を接着しても、フラップ5の谷間5Aによる通気部5Bは形成できた。
【0012】
そして、上記カップCの多数を図3のように重積した場合、底紙周縁に前記のように多数のフラップ5の折り曲げによる食み出し角部5Cが有ったとしても、先細周辺4の上縁4aよりも底紙周縁の方が小径のため、上記角部5Cがその外側のカップ内面に同図3のように接することがなく、しかも、各底紙6,6同士のスキマに前記通気部5Bを経て空気が入り込み易いので、カップ重積体からカップ単品を1個ずつ容易に引き出し取出すことができた。
また、本発明によるカップC内に菓子種を入れても、底紙6の前記通気部5Bから菓子種が漏出することなく、そのまま炉内で焼成するか、または蒸し釜で蒸すと菓子種が加熱膨脹すると共に、菓子種中の小麦デンプンがアルファ化して食用可能な焼菓子または蒸し菓子となり、カップ側筒を剥して食せる。
【0013】
すなわち、カップC内の菓子種、つまりドウの大半を占める小麦デンプンは、60℃以上の加熱で糊化し、カップ側筒3の内面から底紙6をも糊着し固化する。
カップ側筒3を形成するため、側筒ブランク1の両端を貼り合わせる接着部2は、小麦デンプンが熱により糊化する以前の膨脹による膨脹圧を受けるので、この部分の接着には充分意をそそぐ必要があるが、底紙6に通気部5Bによる1〜3mm程度以下のスキマがあっても、ドウの填入時、あるいは填入後のドウの粘性およびドウの加熱糊化等により、上記通気部5B部分からドウが漏出する懸念はない。
【0014】
また、カップC内に菓子種以外の例えばグラタン生地や麺類等を入れて、カップC内で、加熱調理するようにしてもよい。
なお、図1(d)における符号mで示す部分は、ミシン目状切断線であり、また、同図中符号7で示す部分は、カップCをその接着部2から周方向に千切り易くするための摘み片であり、さらに、前記各図におけるカップCの厚さは、分り易くするために拡大誇張してある。
【0015】
【実施例】
カップCの高さを60mmとし、その開口角度をカップ中心線に対して約7度とすると共に、先細周面4の斜辺長さを約8mm、その内向き角度をカップ側筒3に対し約3度とした図2の例では、カップ底紙6の周縁部に対向した前記先細周面4の端部周面(下端周面)の方が、先細周面4の上縁4aまで接した外側のカップ側筒3の内面に対して、8mm×sin 3°=0.42mmだけ小径となっているから、底紙6の周辺における前記先細周面4の端部周面に多数のフラップ5の折り曲げによる食み出し角部5Cが有っても、各角部5Cの食み出し長さ(高さ)が、上記0.42mm以内であれば、図3のようにこれら多数の食み出し角部5Cは、その外側のカップ側筒3の内面に接触せず、しかも、カップ先細周面4に対応した隣接カップ同士の接触面積の減小による接合摩擦抵抗の減少により、カップ分離がさらに容易となった。
【0016】
また、側筒3にエンボス加工による多数の凹凸を設ければ、カップ重積体の各カップ側筒同士の間に空気が一層入り込み易くなるので、カップ分離がより一層容易となった。
【0017】
【発明の効果】
この発明は、以上のような形態を採用したので、以下に記載の効果を奏する。上広がりのカップ側筒3の小径周辺3aを部分的にさらに内側に満遍なく絞り込んで先細周面4を形成するとともに、この周面4の端縁に連接した多数のフラップ5の内向き折り曲げ面5aに各フラップの谷間5Aによる通気部5Bを残存させて一回り小さい底紙6を接着することで、この先細周面4を保形することができ、その外面に多数のフラップ5の折り曲げによる前記食み出し角部5Cが有っても、これら多数の食み出し角部5Cをその外側に重合したカップ内面に接触しなくすることができ、しかも、先細周面4による隣接カップ同士の接触面積の減小化に伴ない、各カップ間の摩擦抵抗を小さくすることもでき、さらに、底紙6同士の間に前記通気部5Bを経て空気を入り込ませることができるので、多数のカップの重積体からカップ単品を一つずつ分離し易くすることができたという効果が有る。
【0018】
請求項2の発明によれば、底紙6をフラップ折り曲げ面5aの両面に接着したので、紙カップCの底部を強化できると共に、食品生地のコゲ付きをより一層防止できるという効果を付加できた。
請求項3の発明では、カップ重積体からカップ単品をさらに分離し易くすることができた。
請求項4と5の各発明では、前記効果に加えてカップ側筒3を手指で千切り易くすることができ、カップ内食品を容易に露出させて、より一層食し易くすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による加熱加工食品用カップの製造過程を示す斜視図
【図2】本発明による加熱加工食品用カップの拡大縦断立面図
【図3】本発明による加熱加工食品用カップの多数を重合した例を示す拡大縦断立面図
【図4】従来の紙カップ用ブランクの例を示す展開図
【図5】従来の紙カップの作り方の例を示す斜視図
【図6】従来の紙カップの一例を示す拡大縦断立面図
【図7】従来の紙カップの多数を重積した例を示す拡大縦断立面図
【符号の説明】
1 側筒ブランク
1a ブランクの端部
2 接着部
3 カップ側筒
3a 側筒の小径周辺
4 先細周面
4a 先細周面の上縁
5 フラップ
5a フラップの折り曲げ面
5A フラップ谷間
5B フラップ谷間による通気部
5C フラップの折り曲げによる食み出し角部
5D フラップの折り曲げ縁辺
6 底紙
7 摘み片
m ミシン目状切断線
C カップ
M 上部先細周面付円錐台状マンドレル
M1 上部先細周面付円錐台状マンドレルの上部先細周面
Claims (5)
- ほぼ弧形短冊状のブランク1をその長さ方向に丸め、その端部1a同士を接着部2で接着して中空円錐台形のカップ側筒3を作り、その小径周縁に連接した多数のフラップを内側に折り曲げて底紙を接着したカップにおいて、前記カップ側筒3の小径周辺3aを部分的に満遍なく内側に絞り込んで先細周面4を形成するとともに、この周面4に連接した多数のフラップ5の折り曲げ面5aに底紙6を各フラップ谷間5Aによる通気部5Bを残存させて接着した加熱加工食品用カップ。
- 前記フラップ5の折り曲げ面5aの両面に底板6を前記通気部5Bを残存させて接着してなる請求項1記載の加熱加工食品用カップ。
- 前記カップ側筒3にエンボス加工による多数の凹凸を形成してなる請求項1または請求項2記載の加熱加工食品用カップ。
- 前記カップ側筒3にミシン目状切断線mを設けた請求項1から請求項3までに記載の加熱加工食品用カップ。
- 前記接着部2に弱点部を設け、この弱点部に連接したカップ側筒端部に摘み片7を突設してなる請求項1から請求項4までに記載の加熱加工食品用カップ。
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