JP4181752B2 - 磁性トナー及び該磁性トナーを用いた画像形成方法 - Google Patents

磁性トナー及び該磁性トナーを用いた画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法などの画像形成方法における潜像を顕像化するための磁性トナー及び該磁性トナーを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により静電荷像担持体(以下、「感光体」ともいう)上に静電潜像を形成し、次いで該潜像をトナーにより現像を行って可視像とし、必要に応じて紙などの記録媒体にトナー像を転写した後、加熱、加圧、加圧加熱等により記録媒体上にトナー画像を定着して複写物又はプリントを得るものである。
【0003】
このような画像形成装置としては、複写機、プリンタ等がある。
【0004】
近年、プリンタ装置はLED、LBPプリンタが最近の市場の主流になっており、技術の方向としてより高解像度即ち、従来240、300dpiであったものが600、800、1200dpiとなって来ている。従って現像方式もこれにともなってより高精細が要求されてきている。また、複写機に於いても高機能化が進んでおり、そのためデジタル化の方向に進みつつある。この方向は、静電荷像をレーザーで形成する方法が主である為、やはり高解像度の方向に進んでいる。また、画質の向上と共に、更なる高速化、長寿命化が大きく求められている。
【0005】
また、このようなプリンタ、複写機に用いられる現像方法においては、現像工程で感光体上に形成されたトナー像は転写工程で中間体を介して、又は、介さずに記録媒体に転写されるが、感光体上に残った画像部の転写残トナー及び非画像部のカブリトナーはクリーニング工程でクリーニングされ、廃トナー容器にトナーは蓄えられる。このクリーニング工程については、従来ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラクリーニング等が用いられている。装置面からみると、かかるクリーニング装置を具備するために装置が必然的に大きくなり装置のコンパクト化を目指すときのネックになっている。さらには、エコロジーの観点より、トナーの有効活用と言う意味で廃トナーの少ないシステムが望まれており、転写効率が高くカブリの少ないトナーが求められている。
【0006】
また、装置のコンパクト化という観点では、一成分現像方式は二成分方式のようにガラスビーズや鉄粉等のキャリア粒子が不要な為、現像装置自体を小型化・軽量化出来るので好ましい。さらには、二成分現像方式は二成分系現像剤中のトナー濃度を一定に保つ必要がある為、トナー濃度を検知し必要量のトナーを補給する装置が必要であり、現像装置が大きく重くなってしまう。一方、一成分現像方式ではこのような装置は必要とならない為、小さく軽く出来るため好ましい。こういった画像形成プロセスにおいて用いられる磁性トナーは、結着樹脂と磁性体を主成分とし、他に、荷電制御剤、離型剤などトナーとして必要な特性をひき出すための添加剤を含有しているのが一般的である。磁性トナーの着色剤としては、磁性体をそのまま着色剤として用いるか、カーボンブラックあるいは非磁性の無機化合物、有機顔料、染料等が磁性粉体と共に用いられ、離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンといった結着樹脂とは相溶しにくい材料が用いられる。
【0007】
しかしながら、絶縁性磁性トナーを用いる現像方法には、用いる絶縁性磁性トナーに関わる不安定要素がある。それは、絶縁性磁性トナー中には微粉末状の磁性体が相当量混合分散されており、該磁性体の一部がトナー粒子の表面に露出しているため、磁性トナーの流動性及び摩擦帯電性に影響し、結果として、磁性トナーの現像特性、耐久性等の磁性トナーに要求される種々の特性の変動あるいは劣化を引き起こすというものである。これは、磁性トナーの表面に、トナーを構成する樹脂に比して相対的に抵抗の低い磁性体微粒子が存在することにより生じると考えられる。また、トナーの帯電性は現像、転写にも大きな影響を与えており、画質との関連は深い。この為、高い帯電量を安定して得る事の出来るトナーが望まれている。
【0008】
これに対し、従来より、磁性トナーに含有される磁性酸化鉄に関する提案は出されているが、いまだ改良すべき点を有している。
【0009】
例えば、特開昭62−279352号公報においては、ケイ素元素を含有する磁性酸化鉄を含有する磁性トナーが提案されている。かかる磁性酸化鉄は、意識的にケイ素元素を磁性酸化鉄内部に存在させているが、該磁性酸化鉄を含有する磁性トナーの流動性に、いまだ改良すべき点を有している。特公平3−9045号公報においては、ケイ酸塩を添加することで、磁性酸化鉄の形状を球形に制御する提案がされている。この方法で得られた磁性酸化鉄は、粒子形状の制御のためにケイ酸塩を使用するため磁性酸化鉄内部にケイ素元素が多く分布し、磁性酸化鉄表面におけるケイ素元素の存在量が少なく、磁性酸化鉄の平滑度が高いため、磁性トナーの流動性はある程度改良されるが、磁性トナーを構成する結着樹脂と磁性酸化鉄との密着性が不十分である。特開昭61−34070号公報においては、四三酸化鉄への酸化反応中にヒドロシソケイ酸塩溶液を添加して四三酸化鉄の製造方法が提案されている。この方法による四三酸化鉄は、表面近傍にSi元素を有するものの、Si元素が四三酸化鉄表面近傍に層を成して存在し、表面が摩擦のごとき機械的衝撃に対して弱いという問題点を有している。
【0010】
一方、トナーは、結着樹脂、着色剤等を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置により粉砕し、分級機により分級して、所望の粒径を有するトナーとして製造(粉砕法)されてきたが、トナーの微小粒径化には材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着色剤分散体が充分に脆く、経済的に使用可能な製造装置で微粉砕し得るものでなくてはならない。この要求から、樹脂着色剤分散体を脆くするため、この樹脂着色剤分散体を実際に高速で微粉砕する場合に、広い粒径範囲の粒子が形成され易く、特に比較的大きな割合の微粒子(過度に粉砕された粒子)が多く生成すると共に、粉砕時に樹脂から磁性粉体が脱離しやすくなってしまう。更に、このように高度に脆性の材料は、複写機等において現像用トナーとして使用する際、しばしば、更に微粉砕ないし粉化を受ける。
【0011】
これに対し、特開平2−256064号公報には粉砕トナーの製造において、粉砕後に遊離の磁性粉体を分級により除去するトナーの製造方法が開示されている。しかしながら、粉砕法では、本質的に、トナーの表面に磁性酸化鉄粒子が露出してしまうため、トナーの流動性や過酷環境下での帯電安定性にどうしても問題が残ると共に、転写性が劣るものとなり、更なる改良の余地がある。
【0012】
また、粉砕法では、磁性粉あるいは着色剤等の固体微粒子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、その分散の度合によっては、かぶりの増大、画像濃度の低下の原因となる。
【0013】
すなわち、粉砕法においては、高精彩、高画質化で要求されるトナーの微粒子化に限界があり、それに伴い粉体特性特にトナーの均一帯電性および流動性が著しく減衰する。
【0014】
上述の様な粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、更には上記のごとき要求を満たすため懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。
【0015】
懸濁重合によるトナー(以後重合トナー)は、トナーの微粒子化が容易に可能であり、更には、得られるトナーの形状が球状であることから流動性に優れ、高画質化に有利となる。
【0016】
しかしながら、この重合トナー中に磁性体を含有することにより、その流動性及び帯電特性は著しく低下し、現像性を満足することは出来ない。これは、磁性粒子は一般的に親水性であるためにトナー表面に存在しやすいためである。また、重合トナーを作る際の造粒工程において、親水性の磁性体は一部水系へ移行してしまい、トナーから脱離した遊離の磁性体として存在するためである。この問題を解決するためには磁性体の有する表面特性の改質が重要となる。
【0017】
重合トナー中の磁性体の分散性、内包性向上のため、磁性体の表面改質に関しては数多くの提案がなされている。例えば、特開昭59−200254号公報、特開昭59−200256号公報、特開昭59−200257号公報、特開昭59−224102号公報等に磁性体の各種シランカップリング剤処理技術が提案されており、特開昭63−250660号公報では、ケイ素元素含有磁性粒子をシランカップリング剤で処理する技術が開示されている。
【0018】
しかしながら、これらの処理によりトナー中の分散性はある程度向上するものの、磁性体表面の疎水化を均一に行うことが困難であり、トナー表面への磁性体の露出は抑制されておらず、上記課題の解決は充分では無い。
【0019】
一方、トナー表面の磁性体量については、特開平7−209904号公報にトナー表層に磁性微粒子が存在しない特殊な構造のトナーの提案がなされている。このトナーは磁性粉体の内包性に優れ、トナー表面の磁性粉体の露出が無いという点で優れている。しかし、実施例を行うと、トナーの製造方法が複雑であり生産スケールでの製造は困難であるとともに、低湿下での長期にわたる繰り返し使用では、トナーのチャージアップに起因する画質の低下が生じ、トナー帯電の安定性には更なる改善が必要であった。
【0020】
さらに、高画質化のために、トナー粒径を小さくする技術は特開平1−112253号公報をはじめ、多くの技術が開示されている。しかし、小粒径のトナーは磁性粉体の均一な分散性及び、内包性はより困難なものとなり、前述した種々の課題は解決が十分にはなされていない。
【0021】
また、トナーの流動特性、帯電特性等を改善する目的でトナー粒子に外部添加剤として無機微粉体を添加する方法が提案され、広く用いられている。
【0022】
例えば、特開平5−66608号公報、特開平4−9860号公報等で疎水化処理を施した無機微粉体若しくは疎水化処理した後さらにシリコーンオイル等で処理した無機微粉体を添加、あるいは特開昭61−249059号公報、特開平4−264453号公報、特開平5−346682号公報で疎水化処理無機微粉体とシリコーンオイル処理無機微粉体を併用添加する方法が知られている。
【0023】
また、外部添加剤として導電性微粒子を添加する方法は数多く提案されている。例えば、導電性微粒子としてのカーボンブラックは、トナーに導電性を付与するため、或いはトナーの過剰な帯電を抑制しトリボ分布を均一化させるため等の目的で、トナー表面に付着或いは固着するための外部添加剤として用いることが広く知られている。また、特開昭57−151952号公報、特開昭59−168458号公報、特開昭60−69660号公報では、高抵抗磁性トナーにそれぞれ酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタンの導電性微粒子を外部添加することが開示されている。また、特開昭61−275864号公報、特開昭62−258472号公報、特開昭61−141452号公報、特開平02−120865号公報では、トナーにグラファイト、マグネタイト、ポリピロール導電性粒子、ポリアニリン導電性粒子を添加することが開示されているほか、多種多様な導電性微粒子をトナーに添加することが知られている。
【0024】
しかしながら、これらの提案も解像度を高める為により粒径の小さなトナー粒子を用いた場合、前述の問題の改善には更なる改良の余地がある。
【0025】
また、近年、複写機やプリンタの小型化による省スペース化やコストの低減、低消費電力化が非常に重要な課題となり、定着装置も小型化や装置の簡略化及び消費電力の小さいものが必要とされてきている。これに伴いトナーは低い熱量と低い圧力で十分な定着性を発揮できる様に、溶融時におけるトナーの粘度を低下させ、定着基材との接着面積を大きくする、あるいは、離型剤を含有する等、定着性の改良が求められている。このため、使用するバインダー樹脂のTgや分子量を低くすることが要求される。しかし、柔らかい成分を主体としたトナーは耐高温オフセット性との両立が難しく、さらに、長期使用における現像性低下や、感光体への固着が発生しやすくなるなどの問題点を有している。
【0026】
一方、定着性の改良については、古くから様々な提案がされている。例えば、特公昭51−23354号公報には、架橋剤と分子量調整剤の存在下にスチレン等のモノマーを重合し、適度に架橋された樹脂を得、これとカーボンブラック等を混練、粉砕することで、耐高温オフセット性と低温定着性を改善した粉砕法トナーが提案されている。また、特許2681791号公報には、THF不溶分をバインダー樹脂基準で10〜60重量%含有するスチレン系バインダー樹脂を磁性体、荷電制御剤およびワックスと共に溶融混練、粉砕した粉砕法トナーが開示されている。これらの公報によれば、バインダー樹脂のTHF不溶分(架橋成分)を溶融混練により切断し、高分子量成分を生成させることによって、耐高温オフセット性と低温定着性が改良されたトナーが得られる。しかし、この様なバインダー樹脂の不溶分を熱的・機械的に切断するという方法をとる限り、分子鎖の切断により生成した可溶成分はかなり広い分子量分布を生じてしまう。したがって、耐高温オフセットに効果がほとんどなく、低温定着性を阻害してしまう中間分子量の成分も多く生成してしまい、低温定着性と耐高温オフセット性の両立が達成されているとは言い難い。
【0027】
さらに、このような粉砕トナーについてはその円形度が低く、転写効率が何れも低いという問題があり、また、トナー粒子表面に磁性粉体が多く露出しているため、トナーの流動性や均一帯電性に問題がある。
【0028】
一方、重合トナーの場合には、粉砕トナーとは異なり溶融混練工程を経ずにトナーを直接製造できるので、重合時に生成した不溶分(架橋成分)の切断は起こらず、非常に耐オフセット性の高いトナーが得られる点で優れている。しかしその一方で、不溶分は低温定着性を阻害する効果も大きく、不溶分を必要最小限に抑えることで低温定着性と耐高温オフセット性のバランスをとることが必要である。また、磁性体の疎水化が不十分であり、トナー表面に磁性体が多数露出しているものは、定着性の悪化、定着装置の劣化を招く。
【0029】
特開平11−38678号公報には分子量1000000以上の成分が0〜20%、THF不溶分が0〜60%、これらの合計が1〜60%である非磁性重合トナーが開示されている。しかし、該公報では非磁性トナーについての技術が開示されたものであり、磁性粉体を含有する磁性重合トナーについては改良の余地がある。さらに、特許2749234号公報にはトナー中のワックス成分が繊維状である磁性トナーの製造方法が開示されており、該公報の中では重合性架橋剤を磁性体を含む単量体組成物に添加し、アゾ系の重合開始剤を用いて磁性重合トナーを得ている。また、特許2749122号公報には特定の反応性基を有する重合体で磁性体を表面処理する方法が開示されており、該公報の中では重合性架橋剤を磁性体を含む単量体組成物に添加し、アゾ系の重合開始剤を用いて磁性重合トナーを得ている。しかしこれらの公報に記載されている架橋剤の添加量、重合開始剤の種類および添加量、重合温度から推察すると、THF不溶分が過度に生成してしまったり、あるいは非常に弱く架橋することにより生じる中間分子量の成分の割合が多くなってしまうため、磁性粉体を多量に含有する磁性トナーの場合には定着性に問題がある。また、これらの公報により得られた磁性重合トナーは、使用した磁性粉体の疎水化処理が不充分であり、流動性や帯電特性にも問題がある。さらに、現像と定着性の両立も不十分であり、前述の課題の解決には至っていない。
【0030】
一方、従来の画像形成法としては、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法など多数の方法が知られている。例えば、電子写真法は、一般には像担持体としての光導電性物質を利用した感光体上に、種々の手段により静電潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行って可視像とし、必要に応じて紙などの記録媒体にトナー像を転写した後、熱・圧力等により記録媒体上にトナー画像を定着して画像を得るものである。
【0031】
静電潜像を可視化する方法としては、カスケード現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法等が知られている。さらには、磁性トナーを用い、中心に磁極を配した回転スリーブを用い感光体上とスリーブ上の間を電界にて飛翔させる方法も用いられている。例えば、特開昭54−43027号公報においては、磁性トナー担持体上に磁性トナーを薄く塗布し、これを摩擦帯電させ、次いでこれを磁界の作用下で静電潜像にきわめて近接させ、かつ接触することなく対向させ、現像する方法が開示されている。この方法によれば、磁性トナーを磁性トナー担持体上に薄く塗布することにより磁性トナーの十分な摩擦帯電を可能とし、しかも磁性トナーを磁力によって支持しつつ静電潜像に接することなく現像が行われるため、非画像部への磁性トナーの転移、いわゆるカブリが抑制されて高精細な画像を得ることが可能となる。また、転写効率に関しては、一般に、高く均一な帯電量分布を有するトナーを用いた場合、転写効率は高いものになるが、さらなる向上が望まれている。
【0032】
また、球形のトナー粒子はその形状から転写効率が高いとされている。これに関して、特開昭61−279864号公報においては形状係数SF1及びSF2を規定した提案がなされており、特開昭63−235953号公報においては機械的衝撃力により球形化した磁性トナーが提案されている。しかしながら、これらのトナーの転写効率はいまだ不十分であり、さらなる改良が必要である。
【0033】
ー方、このような球形のトナー粒子は、粉砕法によるトナー粒子に比べ転写効率が高いという利点を有する反面、球形故にクリーニングされにくいという性質も有している。さらに、前述の様にトナー粒径は小粒径化の方向に向かっており、転写残トナーを完全にクリーニングする事はより困難となっている。しかし、クリーニング装置の改良等により、トナーすり抜けは大きな問題を生じないレベルまで抑制する事が可能であり、従来のコロナ帯電方式を有する画像形成方法においては実用上問題の無い画像を形成する事が可能である。
【0034】
しかし、近年では環境保獲の観点から従来から使用されているコロナ放電を利用した一次帯電及び転写プロセスから、低オゾン、低電力等の利点が大きい感光体当接部材を用いた一次帯電(接触帯電)、転写プロセス(接触転写)が主流となりつつある。例えば、特開昭63−149669号公報や特開平2−123385号公報が提案されている。これらは、接触帯電方法や接触転写方法に関するものであり、感光体に導電性弾性ローラを当接し、該導電性口一ラに電圧を印加しながら該感光体表面を一様に帯電し、次いで露光、現像工程によってトナー像を得た後、該感光体に電圧を印加した別の導電性ローラを押圧しながらその間に転写材を通過させ、該感光体上のトナー画像を転写材に転写した後、定着工程を経て複写画像を得ている。
【0035】
しかしながら、接触帯電方法あるいは接触転写方法においては、コロナ放電を用いる場合とは異なり、憂慮すべき問題点があることがわかった。
【0036】
具体的には、まず接触帯電方法の場合、帯電部材が押接圧を持って感光体表面に圧接されている。そのため、未転写の残留トナーすなわち転写残トナーの存在により、接触帯電部材と感光体とが十分な接触を保つことが難しくなり、帯電性が悪化するため、反転現像などにおいては非画像部へのトナーの転移、すなわちカブリが発生しやすくなる。また、帯電部材にトナーが蓄積することにより感光体を均一に帯電することが出来ず、画像濃度の低下やがさつきを生じてしまう。さらには帯電部材が圧接されていることにより、トナー融着が発生しやすく、これらの傾向は転写残トナーが多いほど顕著となって現れる。
【0037】
次に、接触転写方法の場合、転写部材が転写時に転写部材を介して感光体に当接されるため、感光体上に形成されたトナー像を転写材へ転写する際にトナー像が圧接され、所謂転写中抜けと称される部分的な転写不良の問題が生じる。加えて、近年の技術の方向として、より高解像度で高精細の現像方式が要求されてきており、こういった要求に答えるために、トナーの粒径を小さくする方向に進んでいるが、このようにトナー粒径が小さくなるほど、転写工程でトナー粒子にかかるクーロン力に比して、トナー粒子の感光体への付着力(鏡映力やファンデルワールス力など)が大きくなり、結果として転写残トナーが増加することになり、転写不良が一層悪化する傾向にある。
【0038】
このように、環境を考慮すると非常に好ましい接触帯電方法及び接触転写方法を用いる画像形成方法においては、転写性が高く、帯電安定性に優れ、トナー融着の起こりにくい磁性トナー、及び画像形成方法の開発が望まれている。
【0039】
一方、上記の如き転写効率の高いトナーについては、廃トナーでないシステムとして、現像とクリーニングとを一工程でおこなう現像クリーニング工程(現像同時クリーニング工程ともいう)又はクリーナレスと呼ばれる技術も提案されている。
【0040】
しかしながら、従来の現像−クリーニング工程又はクリーナレスに関する技術の開示は、特開平5−2287号公報にあるように画像上に転写残余のトナーの影響によるポジメモリ、ネガメモリなどに焦点を当てたものが主である。しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な記録媒体に対してトナー像を転写する必要性がでてきており、この意味で様々な記録媒体に対しさらなる適応が望まれている。
【0041】
クリーナレスに関連する技術の開示を行っているものに特開昭59−133573号公報、特開昭62−203182号公報、特開昭63−133179号公報、特開昭64−20587号公報、特開平2−302772号公報、特開平5−2289号公報、特開平5−53482号公報、特開平5−61383号公報等があるが、望ましい画像形成方法については述べられておらず、トナー構成についても言及されていない。
【0042】
現像同時クリーニング又はクリーナレスに好ましく適用される現像方法として、従来は本質的にクリーニング装置を有さない現像同時クリーニングでは、像担持体表面をトナー及びトナー担持体により擦る構成が必須とされてきたため、トナー或いはトナーが像担持体に接触する接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段において転写残トナーを回収するために、トナー或いはトナーが像担持体に接触し、擦る構成が有利であると考えられるためである。しかしながら、接触現像方法を適用した現像同時クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期間使用によるトナー劣化、トナー担持体表面劣化、感光体表面劣化又は磨耗等を引き起こし、耐久特性に対して充分な解決がなされていない。そのため、非接触現像方法による現像同時クリーニング方法が望まれている。
【0043】
ここで、接触帯電方法を現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法に適用した場合を考える。現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、クリーニング部材を有さないため感光体上に残余する転写残トナーが、そのまま接触帯電部材と接触し、接触帯電部材に付着或いは混入する。また、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、放電エネルギーによるトナー劣化に起因する帯電部材への付着性も生じやすい。一般的に用いられている絶縁性トナーが接触帯電部材に付着或いは混入すると、帯電性の低下が起こりやすい。
【0044】
この被帯電体の帯電性の低下は、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから急激に起こりやすい。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、付着或いは混入した転写残トナーが接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体の帯電性が低下する。
【0045】
この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度を低下させる或いはカブリを増大させやすい。
【0046】
また、現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、感光体上の転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して転写残トナーを回収し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにすることがポイントとなり、転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御を帯電部材によって行うこととなる。
【0047】
これについて具体的に一般的なレーザプリンタを例として説明する。マイナス極性電圧を印加する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いる反転現像の場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によってトナー画像を記録媒体に転写することになるが、記録媒体の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電させる際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残余のトナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上トナー担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上に転写残トナーは残留することなく回収される。すなわち、帯電部材によって感光体の帯電と同時に転写残余のトナーの帯電極性を制御することにより、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立する。
【0048】
しかしながら、転写残トナーが接触帯電部材のトナー帯電極性の制御能力以上に、接触帯電部材に付着或いは混入すると、一様に転写残トナーの帯電極性を揃えることができず、現像部材によってトナーを回収することが困難となる。また、トナー担持体に摺擦等の機械的力によって回収されたとしても、転写残トナーの帯電が均一に揃えられていないと、トナー担持体上のトナーの帯電性に悪影響を及ぼし、現像特性を低下させる。
【0049】
すなわち、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法においては、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっている。
【0050】
帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行なうために、接触帯電部材に被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成も特公平7−99442号公報に開示されている。
【0051】
しかしながら、接触帯電部材(帯電ローラ)が被帯電体(感光体)に従動回転(速度差駆動なし)であり、スコロトロン等のコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、帯電原理は前述のローラ帯電の場合と同様に以前として放電帯電機構を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためにはDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するために、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合には、オゾン生成物による画像流れ等の弊害が現れやすい。更に、クリーナレスの画像形成装置に適用した場合には、転写残トナーの混入のため塗布した粉末が均一に帯電部材に付着していることが困難となり、均一帯電を行なう効果が薄れてしまう。
【0052】
また、特開平5−150539号公報には、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちにブレード等のクリーニング手投によりクリーニングしきれなかったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電手投の表面に付着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、トナー中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい平均粒径を有する導電性微粒子を含有することが開示されている。しかし、ここで用いられた接触帯電或いは近接帯電は放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、クリーナレスの画像形成装置へ適用した場合には、クリーニング機構を有する場合と比較して多量の導電性微粒子及び転写残トナーが帯電工程を通過することによる帯電性への影響、これら多量の導電性微粒子及び転写残トナーの現像工程における回収性、回収された導電性微粒子及び転写残トナーによるトナーの現像特性への影響に関して何ら考慮されていない。更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合には、導電性微粒子が接触帯電部材に必要量供給されず、転写残トナーの影響による帯電不良を生じてしまう。
【0053】
また、近接帯電では、多量の導電性微粒子及び転写残トナーにより感光体を均一帯電することが困難であり、転写残トナーのパターンを均す効果が得られないため転写残トナーのパターン画像露光を遮光するためのパターンゴーストを生ずる。更に、画像形成中の電源の瞬断或いは紙詰まり時にはトナーによる機内汚染が著しくなる。
【0054】
また、現像同時クリーニング画像形成方法において、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性を向上させることで現像同時クリーニング性能を向上させるものとして、特開平11−15206号公報では、特定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するトナーを用いた画像形成方法が提案されている。更に、現像同時クリーニング画像形成方法に於いて、トナーの形状係数を規定した転写効率に優れたトナーにより、転写残トナー量を減少させることで現像同時クリーニング性能を向上させることも提案されている。しかしながら、ここで用いられた接触帯電も放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、これらの提案は、接触帯電部材の転写残トナーによる帯電性低下を抑制する効果はあっても、帯電性を積極的に高める効果は期待できない。
【0055】
更には、市販の電子写真プリンタの中には、転写工程と帯電工程の間に感光体に当接するローラ部材を用い、現像での転写残トナー回収性を補助或いは制御する現像同時クリーニング画像形成装置もある。このような画像形成装置は、良好な現像同時クリーニング性を示し、廃トナー量を大幅に減らすことができるが、コストが高くなり、小型化の点でも現像同時クリーニングの利点を損ねている。
【0056】
これらに対し、特開平10−307456号公報において、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含むトナーを直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法に適用した画像形成装置が開示されている。この提案によると、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像同時クリーニング画像形成装置が得られ、帯電不良、画像露光の遮光或いは拡散を生じない良好な画像が得られる。
【0057】
また、特開平10−307421号公報においては、トナー粒径の1/50〜1/2の粒径を有する導電性粒子を含むトナーを直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法に適用し導電性粒子に転写促進効果を持たせた画像形成装置が開示されている。更に、特開平10−307455号公報では導電性微粉末の粒径を構成画素1画素の大きさ以下とすること、及びより良好な帯電均一性を得るために導電性微粉末の粒径を10nm〜50/μmとすることが記載されている。
【0058】
特開平10−307457号公報では人の視覚特性を考慮して帯電不良部の画像への影響を視覚的に認識されにくい状態とするために導電性粒子を約5μm以下、好ましくは20nm〜5μmとすることが記載されている。
【0059】
更に、特開平10−307458号公報によれば、導電性微粉末の粒径はトナー粒径以下とすることで、現像時にトナーの現像を阻害する、あるいは現像バイアスが導電性微粉末を介してリークすることを防止し画像の欠陥をなくすことができること、及び導電性微粉末の粒径を0.1μmより大きく設定することにより、像担持体に導電性微粉末が埋め込まれ露光を遮光する弊害も解決し、優れた画像記録を実現する直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法が記載されている。
【0060】
特開平10−307456号公報によれば、トナーに導電性微粉末を外部添加し、少なくとも可穣性の接触帯電部材と像担持体との当接部に前記トナー中に含有の導電性微粉末が、現像工程で像担持体に付着し転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在していることで、帯電不良、画像露光の遮光を生じない良好な画像が得られる現像同時クリーニング画像形成装置が開示されている。
【0061】
しかしながら、これらの提案も長期にわたる繰り返し使用における安定した性能、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる場合の性能に更なる改良の余地がある。
【0062】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決したトナー、および、画像形成方法を提供する事にある。
【0063】
即ち本発明の目的は、良好な定着性を有し、環境安定性、帯電安定性にすぐれ、長期の使用においても画像濃度が高く、高精細な画像を得る事の出来るトナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0064】
本発明の目的は、良好な現像同時クリーニング画像形成を可能とする画像形成方法を提供することにある。
【0065】
また、本発明の目的は、良好な帯電性を安定して得られるクリーナーレス画像形成を可能とする画像形成方法を提供することにある。
【0066】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、磁性トナーの円形度、磁性トナーに含有される鉄および鉄化合物の遊離率および樹脂成分のTHF不溶分に着目し、これらを特定の値とすることにより帯電安定性に優れ、且つ、品質の高い画像を形成でき、定着性に優れる磁性トナーが得られることを見いだし、本発明を完成させた。
【0067】
すなわち、本発明は以下の通りである。以下、請求項と対応させて下さい。
【0068】
(1)静電潜像を顕像化するための磁性トナーであって、磁性酸化鉄を含む磁性体と結着樹脂と離型剤とを少なくとも含有するトナー粒子を有し、重量平均粒径が3〜10μmであり、該磁性トナーは、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さ(飽和磁化)が10〜50Am2/kg(emu/g)であり、該磁性トナーの平均円形度が0.970以上であり、該磁性トナーの重量平均粒径/個数平均粒径の比が1.40以下であり、前記トナー粒予から遊離した鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜3.00%であり、前記磁性トナーの樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)不溶分が3〜60質量%であることを特徴とする磁性トナー。
【0069】
(2)前記磁性トナーのモード円形度が0.99以上であることを特徴とする(1)の磁性トナー。
【0070】
(3)前記磁性トナーの粒度分布において、重量平均粒径/個数平均粒径の比が1.35以下であることを特徴とする(1)又は(2)の磁性トナー。
【0071】
(4)前記鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜2.00%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの磁性トナー。
【0072】
(5)前記鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜1.50%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの磁性トナー。
【0073】
(6)前記鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜1.20%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの磁性トナー。
【0074】
(7)前記鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜0.80%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの磁性トナー。
【0075】
(8)前記鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜0.60%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの磁性トナー。
【0076】
(9)前記磁性トナーは、離型剤を結看樹脂に対し1〜30質量%含有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかの磁性トナー。
【0077】
(10)前記離型剤の示差走査分析による吸熱ピークは、40〜110℃であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかの磁性トナー。
【0078】
(11)前記離型剤の示差走査分析による吸熱ピークは、45〜90℃であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかの磁性トナー。
【0079】
(12)前記磁性トナーの樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)不溶分が5〜50質量%であることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかの磁性トナー。
【0080】
(13)前記磁性トナーは、トナーのTHF司溶分のゲルパーミユエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量分布において、分子量5000〜50000の範囲にメインピークのピークトップが存在することを特徴とする(1)〜(12)のいずれかの磁性トナー。
【0081】
(14)前記磁性トナーは、前記トナー粒子表面に無機微粉体をさらに有し、該無機微粉体の個数平均1次粒径は4〜80nmであることを特徴とする(1)〜(13)のいずれかの磁性トナー。
【0082】
(15)前記無機微粉体は、シリカ、酸化チタン、アルミナから選ばれる少なくとも1種以上の無機微粉体またはその複合酸化物であることを特徴とする(14)の磁性トナー。
【0083】
(16)前記無機微粉体は、シリカであることを特徴とする(14)の磁性トナー。
【0084】
(17)前記無機微粉体は、疎水化処理されたものであることを特徴とする(14)〜(16)のいずれかの磁性トナー。
【0085】
(18)前記無機微粉体は、少なくともシリコーンオイルで処理されたものであることを特徴とする(14)〜(17)のいずれかの磁性トナー。
【0086】
(19)前記無機微粉体は、少なくともシラン化合物で処理されると同時に、もしくはその後に、シリコーンオイルで処理されたものであることを特徴とする(14)〜(18)のいずれかの磁性トナー。
【0087】
(20)前記トナー粒子から遊離したシリカの遊離率が0.1〜2.0%であることを特徴とする(16)〜(19)のいずれかの磁性トナー。
【0088】
(21)前記シリカの遊離率が0.1〜1.5%であることを特徴とする(16)〜(19)のいずれかの磁性トナー。
【0089】
(22)前記磁性トナーは、前記トナー粒子の表面にトナーの重量平均粒径よりも小さい体積平均粒径の導電性微粉体をさらに有することを特徴とする(1)〜(21)のいずれかの記載の磁性トナー。
【0090】
(23)前記導電性微粉体の低抗は1×109Ωcm以下であることを特徴とする(22)に記載の磁性トナー。
【0091】
(24)前記導電性微粉体の抵抗は1×108Ωcm以下であることを特徴とする(22)に記載の磁性トナー。
【0092】
(25)前記導電性微粉体が非磁性であることを特徴とする(22)〜(24)のいずれかの磁性トナー。
【0093】
(26)前記導電性微粉体の遊離率が5.0〜50.0%であることを特徴とする(22)〜(25)のいずれかの磁性トナー。
【0094】
(27)前記磁性体の体積平均粒径は0.05〜0.40μmであることを特徴とする(1)〜(26)のいずれかの磁性トナー。
【0095】
(28)前記磁性体の粒度分布において、体積平均変動係数が35以下であることを特徴とする(1)〜(27)のいずれかの磁性トナー。
【0096】
(29)前記磁性体は、カップリング剤で表面疎水化処理されたものであることを特徴とする(1)〜(28)のいずれかの磁性トナー。
【0097】
(30)前記磁性体は、水系媒体中でカップリング剤で表面疎水化処理されたものであることを特徴とする(29)の磁性トナー。
【0098】
(31)像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより、像担持体を帯電する帯電工程と、前記像担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込む静電潜像形成工程と、前記静電潜像を担持する前記像担持体と表面に(1)〜(30)のいずれかの磁性トナーを担持するためのトナー担持体とを一定の間隔を設けて配置することにより現像部を形成し、前記磁性トナーを前記トナー担持体表面に前記間隔よりも薄い厚さにコートし、交番電界が形成されている現像部において前記磁性トナーを前記静電潜像に転移させて現像することによりトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を転写材に転写する転写工程とを有し、前記各工程を繰り返して画像形成を行うことを特徴とする画像形成方法。
【0099】
(32)前記現像工程は、トナー像が転写材上に転写された後に像担持体に残留した前記磁性トナーを回収するクリーニング工程を兼ねていることを特徴とする(31)の画像形成方法。
【0100】
(33)前記帯電工程において、少なくとも帯電部材と像担持体の当接部及び/又は近傍に、導電性微粉体が介在することを特徴とする(31)〜(32)のいずれかの画像形成方法。
【0101】
(34)前記帯電工程は、前記帯電部材と前記像担持体との当接部に1×103個/mm2以上の導電性微粉体が介在した状態で像担持体を帯電する工程であることを特徴とする(31)〜(33)のいずれかの画像形成方法。
【0102】
(35)前記帯電工程は、前記当接部を形成する前記帯電部材の表面の移動速度と前記像担持体の表面の移動速度が、相対的速度差を有しつつ像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする(31)〜(34)のいずれかの画像形成方法。
【0103】
(36)前記帯電工程は、前記帯電部材と前記像担持体が互いに逆方向に移動しつつ像担持体を帯電させる工程であること特徴とする(31)〜(35)のいずれかの画像形成方法。
【0104】
(37)前記帯電工程は、前記帯電部材がアスカーC硬度が50度以下のローラ部材であり、このローラ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする(31)〜(36)のいずれかの画像形成方法。
【0105】
(38)前記帯電工程は、前記帯電部材が少なくとも表面が球形換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを有し、前記窪みを空隙部としたときの表面の空隙率が15〜90%であるローラ部材であり、このローラ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする(31)〜(37)のいずれかの画像形成方法。
【0106】
(39)前記帯電工程は、体積低抗値1×103〜1×108Ωcmの帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする(31)〜(38)のいずれかの画像形成方法。
【0107】
(40)前記帯電工程は、前記帯電部材が導電性を有するブラシ部材であり、このブラシ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする(31)〜(36)のいずれかの画像形成方法。
【0108】
(41)前記帯電工程は、前記帯電部材に直流電圧または2×Vth(Vth:直流電圧印加における放電開始電圧)(V)未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより、像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする(31)〜(40)のいずれかの画像形成方法。
【0109】
(42)前記帯電工程は、前記帯電部材に直流電圧またはVth(V)未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする(31)〜(40)のいずれかの画像形成方法。
【0110】
(43)前記像担持体の最表面層の体積低抗値は、1×109〜1×1014Ωcmであることを特徴とする(31)〜(42)のいずれかの画像形成方法。
【0111】
(44)前記像担持体の最表面層は、少なくとも金属酸化物からなる導電微粒子が分散された樹脂層であることを特徴とする(31)〜(43)のいずれかの画像形成方法。
【0112】
(45)前記像担持体の表面の水に対する接触角は、85度以上であることを特徴とする(31)〜(44)のいずれかの画像形成方法。
【0113】
(46)前記像担持体の最表面層は、フッ素系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子又はポリオレフィン系樹脂粒子から選ばれる少なくとも一種以上の滑剤微粒子が分散された樹脂層であることを特徴とする(31)〜(45)のいずれかの画像形成方法。
【0114】
(47)前記像担持体は、光導電性物質を利用した感光体であることを特徴とする(31)〜(46)のいずれかの画像形成方法。
【0115】
(48)前記静電潜像形成工程において、像露光により像担持体に静電潜像を形成させることを特徴とする(31)〜(47)のいずれかの画像形成方法。
【0116】
(49)前記現像工程は、前記トナー担持体上に5〜50g/m2のトナー層を形成し、トナー層から磁性トナーを像担持体に転移させトナー像を形成する工程であることを特徴とする(31)〜(48)のいずれかの画像形成方法。
【0117】
(50)前記現像工程において、像担持体と前記トナー担持体との前記間隔は100〜1000μmであることを特徴とする(31)〜(49)のいずれかの画像形成方法。
【0118】
(51)前記現像工程は、前記トナー担持体と像担持体との間に、少なくとも交流電圧交番電界を現像バイアスとして印加して、像担持体の静電潜像に前記磁性トナーを転移させてトナー像を形成する工程であり、前記交流電圧交番電界はピークトゥーピークの電界強度で3×106〜10×106V/m、周波数500〜5000Hzであることを特徴とする(31)〜(50)のいずれかの画像形成方法。
【0119】
(52)前記転写工程は、転写部材が転写時に転写材を介して像担持体に当接しており、像担持体上のトナー像を転写材に転写させる工程であることを特徴とする(31)〜(51)のいずれかの画像形成方法。
【0120】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0121】
(1)磁性トナー
まず、本発明の磁性トナーについて説明する。本発明の磁性トナー(以下、単に「トナー」ということもある)は、静電潜像を顕像化するための磁性トナーであって、結着樹脂と、離型剤と、磁性酸化鉄を含む磁性体とを含有するトナー粒子を少なくとも有し、重量平均粒径が3〜10μmであり、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10〜50Am2/kgであり、平均円形度が0.970以上であり、重量平均粒径/個数平均粒径の比が1.40であり、トナー粒子から遊離した鉄および鉄化合物の遊離率が0.05〜3.00%であり、磁性トナーの樹脂成分のTHF不溶分が3〜60質量%であることを特徴とする。
【0122】
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、トナーの平均円形度が0.970以上であると、トナーの転写性が非常に良好なものとなる事が判明した。これはトナー粒子と感光体との接触面積が小さく、鏡映力やファンデルワールス力等に起因するトナー粒子の感光体への付着力が低下する為と考えられる。さらに、トナーの円形度が0.970以上と高い為、磁性トナーは現像部で均一で細い穂を形成し潜像に対し忠実な現像を行う事が可能となり、画質が向上する。
【0123】
また、本発明の磁性トナーはトナーの円形度分布において、モード円形度が0.99以上である事が好ましい。モード円形度が0.99以上であるということは、トナー粒子の多くが真球に近い形状を有する事を意味しており、上記作用がより一層顕著になり、好ましい。従って、このようなトナーを用いれば転写効率が高く、転写残トナーが低減する為、帯電部材と感光体との圧接部におけるトナーが非常に少なくなり、安定した帯電が行われると共にトナー融着が防止され、画像欠陥が著しく抑制されるものと考えられる。
【0124】
これらの効果は、転写中抜けの発生しやすい接触転写工程を含む画像形成方法においては、より顕著となって現れる。
【0125】
なお、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亞医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)を下式(1)によりそれぞれ求め、さらに下式(2)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数(m)で除した値を平均円形度(C)と定義する。
【0126】
【外1】
Figure 0004181752
【0127】
【外2】
Figure 0004181752
【0128】
また、モード円形度は、円形度を0.40〜1.00までを0.01毎に61分割し、測定した粒子の円形度をそれぞれの円形度に応じて各分割範囲に割り振り、円形度頻度分布において頻度値が最大となるピークの円形度である。
【0129】
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及びモード円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及びモード円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及びモード円形度の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及びモード円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視出来る程度のものであり、本発明においては、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
【0130】
測定手順としては、以下の通りである。
【0131】
界面活性剤約0.1mgを溶解している水10mlに、磁性トナー約5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20KHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、3μl以上の円相当径の粒子群の平均円形度及びモード円形度を求める。
【0132】
本発明における平均円形度とは、磁性トナーの凹凸の度合いの指標であり、磁性トナーが完全な球形の場合1.000を示し、磁性トナーの表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
【0133】
なお、本測定において3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立して存在する外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、その影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見積もれないからである。
【0134】
本発明の磁性トナーは、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜3.00%である事を特徴とする。この遊離率は好ましくは0.05〜2.00%、より好ましくは0.05〜1.50%、更に好ましくは0.05〜1.20%、特に好ましくは0.05〜0.80%、最も好ましくは0.05〜0.60%である。前述したように、本発明の磁性トナーは、磁性酸化鉄を含む磁性体を含有している。従って、本発明において、鉄及び鉄化合物の遊離率とは、具体的にはトナー粒子から遊離している磁性体の割合を示すものである。
【0135】
本発明の磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率とはパーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により測定されたものであり、JapanHardcopy97論文集の65−68ページに記載の原理で測定を行う。具体的には、該装置はトナー等の微粒子を一個ずつプラズマへ導入し、微粒子の発光スペクトルから発光物の元素、粒子数、粒子の粒径を知る事が出来る。
【0136】
この中で、遊離率とは、結着樹脂の構成元素である炭素原子の発光と、鉄原子の発光の同時性から次式により定義される値である。
【0137】
鉄及び鉄化合物の遊離率(%)=100×(鉄原子のみの発光回数/
炭素原子と同時に発光した鉄原子の発光回数+鉄原子のみの発光回数)
ここで、炭素原子と鉄原子の同時発光とは、炭素原子の発光から2.6msec以内に発光した鉄原子の発光を同時発光とし、それ以降の鉄原子の発光は鉄原子のみの発光とする。本発明では磁性体を多く含有している為、炭素原子と鉄原子が同時発光するという事は、トナーが磁性体を含有している事を意味し、鉄原子のみの発光は、磁性体がトナーから遊離している事を意味すると言い換えることも可能である。
【0138】
具体的な測定方法は以下の通りである。0.1%酸素含有のへリウムガスを用い、23℃で湿度60%の環境にて測定を行い、トナーサンプルは同環境下にて1晩放置し、調湿したものを測定に用いる。また、チャンネル1で炭素原子(測定波長247.860nm、Kファクターは推奨値を使用)、チャンネル2で鉄原子(測定波長239.56nm、Kファクターは3.3764を使用)を測定し、一回のスキャンで炭素原子の発光数が1000〜1400個となるようにサンプリングを行い、炭素原子の発光数が総数で10000以上となるまでスキャンを繰り返し、発光数を積算する。この時、炭素元素の発光個数を縦軸に、炭素元素の三乗根電圧を横軸にとった分布において、該分布が極大を一つ有し、更に、谷が存在しない分布となるようにサンプリングし、測定を行う。そして、このデータを元に、全元素のノイズカットレベルを1.50Vとし、上記計算式を用い、鉄及び鉄化合物の遊離率を算出する。後述の実施例においても同様に測定した。
【0139】
又、荷電制御剤であるアゾ系の鉄化合物等といった、鉄原子を含有する無機化合物以外の材料もトナー中に含まれている場合があるが、こういった化合物は鉄原子と同時に有機化合物中の炭素も同時に発光するため、遊離の鉄原子としてはカウントされない。
【0140】
本発明者らが検討を行ったところ、鉄及び鉄化合物の遊離率とトナー表面への露出量には深い関連があり、遊離の磁性体量が3.00%以下であれば、おおむね磁性体のトナー表面への露出が抑制されるとともに、高い帯電量を有する事が判明した。鉄及び鉄化合物の遊離率は磁性体の疎水化度、樹脂とのなじみ性、粒度分布、処理の均一性等に依存するものであるが、一例として、磁性体の表面処理が不均一である場合、表面処理が充分に施されていない(親水性が強い)磁性体はトナー粒子表面に存在しやすくなると共に、その一部あるいは全てが遊離してしまう。この為、鉄及び鉄化合物の遊離率が低い程磁性トナーの帯電量は高い傾向を示す。
【0141】
一方、遊離率が上記範囲より大きいと、チャージのリーク点が多くなりすぎてしまい、磁性トナーの帯電量が低下してしまう。この傾向は高温高湿下で特に顕著なものとなる。また、帯電量の低い磁性トナーはカブリの増加を招くと共に、転写効率が低くなり好ましくない。また、このような鉄及び鉄化合物の遊離率が大きな磁性トナーは定着性がやや劣るものとなる。これは、比熱の大きな磁性体が磁性トナー粒子表面に存在、あるいは、トナーから遊離して存在するため、定着時にトナーに十分熱が伝わらない為であると考えられる。
【0142】
一方、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%より少ないと、実質的に磁性体はトナーから遊離していない事を意味する。このように鉄及び鉄化合物の遊離率が低いトナーは高い帯電量を有するものの、多数枚画出し、特に低温低湿下における多数枚画出しにおいて、トナーのチャージアップに起因する画像濃度の低下、及び、画像のがさつきが生じてしまう。これは、次の様な理由であると考えている。
【0143】
一般的に、トナー担持体上のトナーは感光体上へ全て現像される事は無く、現像直後においてもトナー担持体上にはトナーは存在する。特に磁性トナーを用いたジャンピング現像においてはその傾向が強く、現像効率はさほど高くない。さらに円形度の高いトナーは前述の通り、現像部において、均一な細い穂を形成しており、穂の先端部に存在するトナーから現像されてしまい、トナー担持体付近のトナーはなかなか現像されないものと考えられる。
【0144】
そのため、トナー担持体付近のトナーは繰り返し帯電部材による摩擦帯電を受け、チャージアップしてしまい、さらに現像されにくくなるという悪循環に陥ってしまう。また、この様な状態では、トナーの帯電均一性は損なわれ、画像のがさつきを生じてしまう。
【0145】
ここで、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%以上のトナーを用いた場合、遊離の磁性体あるいはトナー表面にわずかに存在している磁性体によりトナーのチャージアップが抑制されると共に、トナーの帯電量の均一性が促され、がさつきは抑制される。これらの理由により、高い帯電量を安定して得る為には、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜3.00%である事が好ましい。
【0146】
また、本発明の磁性トナーはトナーの形状がそろっていること、そして、トナーの帯電量が均一に高い事による相乗効果により、転写効率は非常に高くなると共に、カブリも非常に少なくなる。また、トナーの飛び散りも低減され、画質も向上する。さらに、このようなトナーは長期使用においても、選択現像が起りにくく、使用前後でトナー物性の差が起きにくいことから、耐久性も向上する。一方、特開平5−150539号公報、特開平8−22191号公報に開示されている様に、不定形のトナー表面にマグネタイトを外部添加する事で、チャージアップの抑制は可能ではある。しかしながら、本発明の如き平均円形度が0.970以上の磁性トナーにマグネタイトを外部添加した場合、カブリの増加を招くと共に、特に、高温高湿下での帯電性が劣るものとなる。この理由は定かではないが、マグネタイトの如き、低抵抗のものがトナー表面に多量に存在する事、また、平均円形度が0.970以上というトナー表面が比較的なめらかなトナーを用いた場合、マグネタイト混合時にシェアが十分にかからず、マグネタイトが均一にトナー表面に付着せず、トナー粒子間で、付着量の多い少ないが生じてしまうためであると考えている。
【0147】
本発明の画像形成方法において、更に高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、トナーの重量平均径は3〜10μmが好ましく、更には4〜9μmであることがより好ましい。
【0148】
重量平均粒径が3μm未満のトナーに於いては、転写効率の低下から感光体上の転写残トナーが多くなり、接触帯電工程での感光体の削れやトナー融着の抑制が難しくなる。さらに、トナー全体の表面積が増えることに加え、粉体としての流動性及び攪拌性が低下し、個々のトナー粒子を均一に帯電させることが困難となることからカブリや転写性が悪化傾向となり、削れや融着以外にも画像の不均一ムラの原因となりやすい。また、磁性トナーの重量平均粒径が10μmを越える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくい。さらに装置が高解像度になっていくと10μm以上のトナーは1ドットの再現が悪化する傾向にある。
【0149】
また、本発明の磁性トナーは、重量平均粒径/数平均粒径の比(D4/D1)が1.40以下である事が重要で有り、より好ましくは1.35以下である。重量平均粒径/数平均粒径の比が1.40より大きいという事は、トナー中に微粉、粗粒が多数存在することを意味し、選択現像が生じ易くなると共に、帯電量分布も広くなり好ましくない。
【0150】
一方、重量平均粒径/数平均粒径の比が1.40以下、特に、1.35以下のトナーでは、トナーの平均円形度が0.970以上であるというトナーの形状因子に合せ、粒径もそろっているという粒度分布の相乗効果により、現像部での穂立ちが非常に均一になり、ドット再現性に非常に優れる画像が得ることが出来る。
【0151】
本発明のトナーの好適な製造方法として懸濁重合法によりトナーを製造する場合、トナーの粒度分布(D4/D1)は、用いる磁性体の処理の均一性、疎水化度、磁性体の量、及び造粒条件(分散剤の種類、造粒方法、造粒時間)により制御することが可能である。
【0152】
ここで、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能であるが、本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
【0153】
例えば、測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5mlを加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径、即ち数平均粒径(D1)を求める。後述の実施例においても同様に測定した。
【0154】
本発明の磁性トナーは、粉砕法によっても製造することができ、粉砕法により製造する場合は、公知の方法が用いられるが、例えば、結着樹脂、磁性体、離型剤、荷電制御剤、場合によって着色剤等の磁性トナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて熔融混練し、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることが出来る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率向上の為、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0155】
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。本発明に係わる特定の円形度を有するトナーを得るためには、さらに熱をかけて粉砕したり、あるいは補助的に機械的衝撃を加える処理をすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
【0156】
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムや夕一ボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法、また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
【0157】
機械的衝撃法を用いる場合においては、処理温度を磁性トナー粒子のガラス転移点(Tg)付近の温度(Tg±10℃)を加える熱機械的衝撃が、凝集防止、生産性の観点から好ましい。さらに好ましくは、磁性トナー粒子のガラス転移点(Tg)±5℃の範囲の温度で行うことが、転写効率を向上させるのに特に有効である。
【0158】
本発明に関わる磁性トナー粒子を粉砕法により製造する場合の結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フエノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが単独或いは混合して使用できる。特に、スチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性、定着性等の点で好ましい。
【0159】
トナーのガラス転移点温度(Tg)は、40〜80℃であることが好ましく、より好ましくは45℃〜70℃である。Tgが40℃よりも低いとトナーの保存性が低下し、80℃よりも高いと定着性が低下する。トナーのガラス転移点の測定には例えば、パーキンエルマー社製DSC−7の様な高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定を行う。測定方法は、ASTMD3418−8に準じて行う。本発明においては、試料を1回昇温させ前履歴をとった後、急冷し、再度昇温速度10℃/min、温度30〜200℃の範囲で昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。
【0160】
また、本発明に係わるトナーは、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法等を用いトナーを製造する方法でも製造が可能である。
【0161】
本発明の磁性トナーは、上述のように粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明に係わるトナーの必須要件である平均円形度が0.970以上という物性を得る為には、機械的・熱的あるいは何らかの特殊な処理を行う事が必要となり、生産性が低下する。
【0162】
そこで、本発明においては、トナーを重合法、特には懸濁重合法により製造することが好ましい。この懸濁重合法においては重合性単量体および着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散させて重合性単量体組成物とした後、この重合性単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な攪拌器を用いて分散し同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後重合トナー)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.970以上、モード円形度が0.99以上という本発明に必須な物性要件を満たすトナーが得られやすく、さらにこういったトナーは帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有している。
【0163】
しかしながら、重合トナー中に通常の磁性体を含有させても、トナー表面に磁性体が多数存在し、トナー粒子の帯電特性が著しく低下する。さらに、懸濁重合トナーの製造時に磁性体と水との相互作用が強いことにより、円形度が0.970以上のトナーが得られ難く、さらに、トナーの粒度分布が広いものとなる。これは、▲1▼磁性体は一般的に親水性であるためにトナー表面に存在しやすいこと、▲2▼水系媒体の攪拌時に磁性体が乱雑に動き、それに単量体から成る懸濁粒子表面が引きずられ、形状が歪んで円形になりにくいこと等が原因と考えられる。こういった問題を解決するためには磁性体の有する表面特性の改質が重要である。
【0164】
重合トナーに使用される磁性体の表面改質に関しては、数多く提案されている。前述したように、特開昭59−200254号公報、特開昭59−200256号公報、特開昭59−200257号公報、特開昭59−224102号公報等に磁性体の各種シランカップリング剤処理技術が提案されており、特開昭63−250660号公報では、ケイ素元素含有磁性粒子をシランカップリング剤で処理する技術が開示されている。しかしながら、これらの処理により磁性体の遊離はある程度抑制されるものの、磁性体表面の疎水化を均一に行うことが困難であるという問題があり、したがって、磁性体同士の合一や疎水化されていない磁性体の発生を避けることができず、磁性体の分散性は十分では無く、粒度分布も広いものとなってしまう。
【0165】
また、疎水化磁性酸化鉄を用いる例として特開昭54−84731号公報にアルキルトリアルコキシシランで処理した磁性酸化鉄を含有するトナーが提案されている。この磁性酸化鉄の添加により、確かにトナーの電子写真諸特性は向上しているものの、磁性酸化鉄の表面活性は元来小さく、処理の段階で合一粒子が生じたり、疎水化が不均一になりやすかった。また、小粒径の磁性体を用いた場合、均一な処理がより困難なものとなり、本発明に適用するにはさらなる改良が必要である。さらに、磁性体の内包性向上の為、処理剤等を多量に使用したり、高粘性の処理剤等を使用した場合、疎水化度は確かに上がるものの、粒子同士の合一等が生じて分散性は逆に悪化してしまう。
【0166】
このような磁性体を用いて製造されたトナーは、摩擦帯電性が不均一になりやすくそれに起困してカブリや転写性が生じやすく転写性が低下しやすい。
【0167】
このように、従来の表面処埋磁性体を用いた重合トナーでは、疎水性と分散性の両立は必ずしも達成されておらず、このような重合トナーを本発明の接触帯電工程を含む画像形成方法に適用しても、高精細な画像を安定して得ることは難しい。
【0168】
そこで、本発明の磁性トナーに使用される磁性微粒子は、カップリング剤で均一に疎水化処理されていることが好ましい。磁性体表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性体を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることが非常に好ましい。この疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性体同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性体間の帯電反発作用が働き、磁性体はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0169】
カップリング剤を水系媒体中て加水分解しながら磁性体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中では磁性体同士が合一しやすくて、良好な処理が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになり、疎水化の効果は絶大である。
【0170】
本発明に係わる磁性微粒子の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(I)で示されるものである。
【0171】
mSiYn(I)
〔式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基又はヌタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。ただし、m+n=4である。〕
【0172】
一般式(I)で示されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフエニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、n−へキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0173】
この中で特に下記一般式(II)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用する事がより好ましい。
【0174】
p2p+1−Si−(OCq2q+13(II)
〔式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。〕
上記式におけるpが2より小さいと、疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難であり、トナー粒子からの磁性体の露出、あるいは遊離を抑制する事が難しくなる。またpが20より大きいと、疎水性は十分になるが、磁性体同士の合一が多くなり、トナー中へ磁性体を十分に分散させることが困難になり、カブリや転写性が悪化傾向となる。
【0175】
また、qが、3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなる。特に、式中のpが2〜20の整数(より好ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが良い。その処理量は磁性体100質量部に対して、シランカップリング剤の総量が0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部であり、磁性体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
【0176】
磁性体の表面処理として水系媒体中でカップリング剤で処理するには、水系媒体中で適量の磁性体およびカップリング剤を攪拌する方法が挙げられる。攪拌は、例えば攪拌羽根を有する混合機等を用い、磁性体が水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうのが良い。
【0177】
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調製剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが上げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。
【0178】
界面活性剤は、水に対して0.1〜5質量%添加するのが良い。pH調製剤としては、塩酸等無機酸が挙げられる。有機溶剤としてはアルコール類等が挙げられる。
【0179】
こうして得られる磁性体は粒子の凝集が見られず、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されているため、重合トナー用の材料として用いた場合、トナー粒子の均一性が良好なものとなる。
【0180】
また、本発明の磁性トナーに用いられる磁性体は、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい四三酸化鉄、γ−酸化鉄等、酸化鉄を主成分とするものであり、これらを1種または2種以上併用して用いられる。
【0181】
これら磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2〜30m2/gが好ましく、特に3〜28m2/gがより好ましい。また、モース硬度が5〜7のものが好ましい。磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、燐片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。こういった磁性体の形状はSEMなどによって確認することができる。
【0182】
磁性体の体積平均粒径としては0.05〜0.40μmが好ましく、より好ましくは0.10〜0.30μmである。
【0183】
体積平均粒径が0.05μm未満の場合、黒色度の低下が顕著となり、白黒用トナーの着色剤としては着色力が低下し、複合酸化物粒子どうしの凝集が強くなるため、分散性が低下する。また、磁性体の均一な表面処理が困難となり、鉄及び鉄化合物の遊離率が大きくなりやすい。さらに、磁性体の体積平均の粒径が0.05μmよりも小さいと、磁性体自体が赤味の強いものとなってしまい、得られる画像も赤味の黒になる傾向にあり、画像品位が低下する。
【0184】
一方、体積平均粒径が0.40μmを越えてしまうと、一般の着色剤と同様に着色力が不足するようになる。加えて、特に小粒径トナー用の着色剤として使用する場合、個々のトナー粒子に均一に磁性体を分散させることが確率的に困難となり、分散性が低下しやすくなり、トナーの耐久性が劣る場合もあり好ましくない。
【0185】
なお、磁性体の体積平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を、ミクロトームにより薄片上のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性体粒子径を測定する。そして、磁性体の投影面積に等しい円の相当径をもとに、体積平均粒径の算出を行う。後述の実施例においても同様に測定した。
【0186】
本発明では、磁性体以外に他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色剤としては、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金、ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニン等が挙げられる。これらもまた、表面を処理して用いても良い。
【0187】
また、本発明に用いられる磁性体は、体積平均変動係数が35以下である事が好ましい。体積平均変動係数が35より大きいと言う事は磁性体の粒度分布が広い事を意味する。このような磁性体を使用すると、前述の磁性体の処理の均一性が劣るとともに、トナー中での分散性が悪化する傾向がある。さらには、造粒時にトナー粒子一粒一粒に磁性体が均一に入りにくくなり、トナー粒子間で磁性体の含有量に大きな差が生じ易くなり、好ましくない。なお、本発明において、体積平均変動係数は次式(3)により求めるものと定義する。
【0188】
【外3】
Figure 0004181752
【0189】
本発明に用いる磁性体の疎水化度は35〜95%である事が好ましく、より好ましくは40〜95%である。疎水化度は磁性体表面の処理剤の種類、及び量により任意に変える事が可能である。疎水化度とは磁性体の疎水性を示しており、疎水化度が低いものは親水性が高い事を意味する。そのため、疎水化度が低い磁性体を用いた場合、本発明のトナーを製造する際に好適に用いられる懸濁重合法では、造粒中に磁性体が水系に移行してしまい、粒度分布がブロードになると共に、トナー粒子の平均円形度が低くなる。これは、疎水化処理が不十分である磁性体がトナー表面に露出しやすくなるために起る。また、疎水化度が低いものは鉄及び鉄化合物の遊離率が高くなり好ましくない。一方、疎水化度が95%とするためには磁性体表面の処理材を多量に使用しなければならず、この様な状態では磁性体の合一が生じ易く、処理の均一性が損なわれやすい。
【0190】
なお、本発明における疎水化度とは以下の方法により測定されたものである。磁性体の疎水化度の測定は、メタノール滴定試験により行う。メタノール滴定試験は、疎水化された表面を有する磁性体の疎水化度を確認する実験的試験である。
【0191】
メタノールを用いた疎水化度測定は次のように行う。磁性体0.1gを容量250mlのビーカーの水50mlに添加する。その後メタノールを液中に徐々に添加し滴定を行う。この際メタノールは液底部より供給し、緩やかに攪拌しながら行う。磁性体の沈降終了は、液面に磁性体の浮遊物が確認されなくなった時点とし、疎水化度は、沈降終了時点に達した際のメタノール及び水混合液中のメタノールの体積百分率としてあらわされる。後述の実施例においても同様に測定した。
【0192】
本発明の磁性トナーに用いられる磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、10〜200質量部を用いることが好ましい。さらに好ましくは20〜180質量部を用いることが良い。10質量部未満ではトナーの着色力が低下し、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を越えると、トナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性体の均一な分散が難しくなるだけでなく、定着性が低下してしまう。
【0193】
なお、トナー中の磁性体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃まで、トナーを加熱し、100〜750℃まで間の減量質量をトナーから磁性体を除いた成分の質量とし、残存質量を磁性体量とする。
【0194】
本発明の磁性トナーに用いられる磁性体は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造される。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8〜14)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応をおこない、磁性酸化鉄粉体の芯となる種晶をまず生成する。
【0195】
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜14に維持しながら空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応をすすめ種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。酸化反応がすすむにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応の終期に液のPHを調製し、磁性酸化鉄が一次粒子になるよう十分に攪拌し、カップリング剤を添加して十分に混合攪拌し、攪拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕することで疎水性処理された磁性酸化鉄粉体が得られる。あるいは、酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄粉体を、乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを調製し、十分攪拌しながらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理を行っても良い。
【0196】
第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が可能である。水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法は一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5〜2mol/lが用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。又、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
【0197】
このようにして製造された疎水性磁性体を材料とした磁性トナーを使用することにより、安定したトナーの帯電性が得られ、転写効率が高く、高画質及び高安定性が可能となる。
【0198】
本発明の磁性トナーは、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)におけるトナーの飽和磁化が10〜50Am2/kg(emu/g)である磁性トナーであることが好ましい。これは、現像装置内に磁気力発生手段を設けることで、磁性トナーではトナーの漏れを防止でき、トナーの搬送性或いは攪拌性を高められるばかりでなく、磁性トナー担持体上に磁力が作用するように磁気力発生手段を設けることで、転写残トナーの回収性が更に向上し、又磁性トナーが穂立ちを形成するためにトナーの飛散を防止することが容易となる。しかし、トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10Am2/kg未満であると、上記の効果が得られず、トナー担持体上に磁力を作用させるとトナーの穂立ちが不安定となり、トナーヘの帯電付与が均一に行えないことによるカブリ、画像濃度ムラ、転写残トナーの回収不良等の画像不良を生じる易くなる。一方、トナーの磁場79.6kAmにおける磁化の強さが50Am2/kgよりも大きいと、トナーに磁力を作用させると磁気凝集によりトナーの流動性が著しく低下し、現像性が低下しトナーがダメージを受けやすくなり、トナーが劣化しやすい。
【0199】
また、トナーの磁気凝集により、特に、高温高湿下での耐久性が劣るものとなる。さらに、転写性も低下することで転写残トナーが増加し好ましくない。
【0200】
トナーの磁化の強さ(飽和磁化)は、含有する磁性体の量、磁性体の飽和磁化により任意に変えることが可能である。
【0201】
また、磁性体の飽和磁化は磁場796kA/mにおいて30〜120Am2/kgである事が好ましい。
【0202】
本発明において磁性トナーの飽和磁化の強さは、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定する。また、磁性体の磁気特性についても、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場796kA/mで測定することができる。
【0203】
本発明の磁性トナーは定着性向上のために、離型剤を含有しているが、結着樹脂に対し1〜30質量%を含有することが好ましい。より好ましくは、3〜25質量%である。離型剤の含有量が1質量%未満では離型剤の添加効果が低下し、さらに、オフセット抑制効果も低下する。一方、30質量%を超えてしまうと長期間の保存性が低下し、離型剤及び磁性体等のトナー材料中での分散性が低下しやすくなり、磁性トナーの流動性の悪化や画像特性の低下につながる。また、離型剤成分のしみ出しも起るようになり、高温高湿下での耐久性が低下する。さらに、多量の離型剤としてのワックスを内包するために、トナー形状がいびつになりやすくなる。
【0204】
一般に、転写材上に転写された磁性トナー像はその後、熱・圧力等のエネルギーにより転写材上に定着され、半永久的画像が得られる。この際、熱ロール式定着が一般に良く用いられる。先述したように、重量平均粒径が10μm以下の磁性トナーを用いれば非常に高精細な画像を得ることができるが、粒径の細かい磁性トナー粒子は紙等の転写材を使用した場合に紙の繊維の隙間に入り込み、熱定着用ローラからの熱の受け取りが低下し、低温オフセットが発生しやすい。しかしながら、本発明の磁性トナーにおいて、適正量の離型剤を含有させ、且つ、鉄及び鉄化合物の遊離率を前述の如きに制御することにより、高画質と定着性を両立させることが可能となる。
【0205】
本発明に係わる磁性トナーに使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシヤートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワツクス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
【0206】
これらの離型剤成分の内でも、示差走査分析による吸熱ピークが40〜110℃のものが好ましい。
【0207】
即ち、示差走差熱量計により測定されるDSC曲線において昇温時に40〜110℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、さらには45〜90℃の領域に有するものがより好ましい。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現する。最大吸熱ピークが40℃未満であると離型剤成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が悪化する。また、離型剤のしみだしが生じ易くなり、トナーの帯電量が低下すると共に、高温高湿下での耐久性が低下する。一方、該最大吸熱ピークが110℃を越えると定着温度が高くなり低温オフセットが発生しやすくなり好ましくない。さらに、水系媒体中で造粒/重合を行い重合方法により直接トナーを得る場合、該最大吸熱ピーク温度が高いと、主に造粒中に離型剤成分が析出する等の問題を生じ、離型剤の分散性が悪化し好ましくない。
【0208】
離型剤の吸熱量ならびに最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−8」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、試料を一回200℃まで昇温させ熱履歴を除いた後、急冷し、再度、昇温速度10℃/minにて温度30〜200℃の範囲で昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。後述の実施例においても同様に測定した。
【0209】
本発明のトナーは、トナーのTHF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量分布において、分子量5000〜50000の範囲にメインピークのピークットップがあることが好ましく、より好ましくは8000〜40000の範囲である。ピークトップが5000未満であると、トナーの耐保存安定性が低下したり、多数枚のプリントアウトを行った際にトナーが劣化しやすい。逆に、ピークトップが50000を超える場合には、低温定着性に問題がモノマーの重合中の液滴粘度の急激な上昇により、トナーの平均円形度を0.970以上とすることが困難になつてくる。
【0210】
尚、GPCによるTHFに可溶な樹脂成分の分子量の測定は、以下の様にして行えばよい。
【0211】
トナーをTHFに室温で24時間静置して溶解した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル調製は、THFに可溶な成分の濃度が0.4〜0.6質量%になるようにTHFの量を調整する。
【0212】
装置:高速GPC HLC8120 GPC(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:THF
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量=0.10ml
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー社製TSK スタンダ−ド ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)により作成した分子量校正曲線を使用する。
【0213】
本発明における磁性トナーの樹脂成分はテトラヒドロフラン(THF)不溶分を有しており、その量は、トナーの樹脂成分に対し3〜60質量%であり、好ましくは5〜50質量%の範囲である。THF不溶分が3質量%より少ないと、高温オフセットが生じやすく、良好な定着性が得られない傾向がある。また、トナー自体の強度が低下しやすく、トナーの高温高湿下での長期耐久性が低下しやすく好ましくない。さらに、本発明の磁性トナーの好適な製造方法である、懸濁重合にてトナーを製造する場合、重合中に液滴の粘度上昇が小さく、液滴中での磁性体の凝集や、離型剤の偏在を引き起こし、結果として、トナー中での磁性体、あるいは離型剤の偏在を引き起こす場合があり、好ましくない。一方、THF不溶分が60質量%より多いと、定着時に離型剤成分のしみ出しが阻害されると共に、磁性トナー粒子自体が硬くなってしまい、良好な低温定着性を得られない傾向がある。
【0214】
また、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜3.00%であり、且つ、トナーの樹脂成分に対し3〜60質量%のTHF不溶分を有する事により、定着性と耐久性が大幅に向上する。これは前述の如き、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜3.00%とする事で現像性、定着性が良好となる事、そしてトナーの樹脂成分のTHF不溶分を3〜60質量%とすることで、定着性と共に、耐久性が良好となる為の相乗効果であると考えている。
【0215】
尚、トナーの樹脂成分のTHF不溶分の測定は以下の様にして行う。
【0216】
トナー粒子又はトナー1gを精秤して円筒ろ紙に仕込み、THF200mlにて20時間ソックスレー抽出する。その後円筒ろ紙を取り出し、40℃で20時間真空乾燥して残渣質量を測定することにより、下式(4)より算出する。なお、トナーの樹脂成分とは、トナーから磁性体、荷電制御剤、離型剤成分、外添剤、顔料を除いた成分であり、THF不溶分の測定時には、これらの含有物がTHFに可溶か不溶かを考慮して、樹脂成分を基準としたTHF不溶分を算出する。
【0217】
THF不溶分(%)=(W2−W3)/(W1−W3−W4)×100式(4)
(ここで、Wlはトナー質量、W2は残渣質量、W3はトナーの樹脂成分以外のTHFに不溶な成分の質量、W4はトナーの樹脂成分以外のTHFに可溶な成分の質量)
トナーの分子量、並びに、トナーの樹脂成分のTHF不溶分は、粉砕法においてトナーを製造する場合、用いる結着樹脂と混練状況により任意に変える事が出来る。また、重合法においては、用いる開始剤、架橋剤の種類、量等の組み合せにより、任意に変えることが可能である。また、連鎖移動剤等を使用してもTHF不溶分の含有量を調整することが可能である。
【0218】
本発明の磁性トナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、磁性トナー粒子を直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0219】
電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー100質量部に対し、好ましくは0.005〜1.0質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量部である。
【0220】
しかしながら、本発明の磁性トナーは、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層圧規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0221】
次に本発明に関わる重合トナーの懸濁重合法による製造方法を説明する。本発明に係わる重合トナーは、一般にトナー組成物、すなわち結着樹脂となる重合性単量体中に、磁性体、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤、場合によって着色剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、分散機等に依って均一に溶解または分散させた重合性単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁して製造できる。
【0222】
本発明に関わる重合トナーの製造において、重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
【0223】
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレシ、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいは他の単量体と混合して使用する事がトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
【0224】
本発明に係わる重合トナーの製造においては、重合性単量体組成物に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の重合性単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用するのが好ましい。この様な極性官能基を含む高分子重合体をトナー中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐ブロッキング性、現像性の良好な磁性トナー粒子を得ることができる。
【0225】
これらの樹脂の中でも特にポリエステル樹脂を含有する事により、その効果は大きな物となる。これは次に述べる理由からと考えている。ポリエステル樹脂は比較的極性の高い官能基であるエステル結合を数多く含む為、樹脂自身の極性が高くなる。その極性の為、水系分散媒中では重合性単量体組成物の液滴表面にポリエステルが偏在する傾向が強くなり、その状態を保ちながら重合が進行し、トナー粒子となる。この為、トナー表面にポリエステル樹脂が偏在する事で表面状態や、表面組成が均一な物となり、その結果帯電性が均一になると共に、離型剤の内包性が良好な事との相乗効果により非常に良好な現像性を得る事が出来る。
【0226】
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、例えばトナーの帯電性、耐久性および定着性などの物性をコントロールする上で、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
【0227】
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
【0228】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール,1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−へキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、また式(III)で表されるビスフェノール誘導体;
【0229】
【外4】
Figure 0004181752
【0230】
〔式中、Rはエチレンまたはプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。〕、あるいは式(III)の化合物の水添物、
また、式(IV)で示されるジオール;
【0231】
【外5】
Figure 0004181752
または−CH2−C(CH32−を示す。〕
あるいは式(IV)の化合物の水添物のジオールが挙げられる。
【0232】
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、またさらに炭水素6〜18のアルキルまたは炭素数6〜18のアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飴和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
【0233】
さらに、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ペンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
【0234】
上記ポリエステル樹脂の中では、帯電特性、環境安定性が優れておりその他の電子写真特性においてバランスのとれた前記のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましく使用される。この化合物の場合には、定着性やトナーの耐久性の点においてアルキレンオキサイドの平均付加モル数は2〜10が好ましい。
【0235】
本発明におけるポリエステル樹脂は全成分中45〜55モル%がアルコール成分であり、55〜45モル%が酸成分であることが好ましい。
【0236】
ポリエステル樹脂は、本発明の磁性トナーの製造方法においてトナー粒子表面に存在し、得られるトナー粒子が安定した帯電性を発現するためには、0.1〜50mgKOH/樹脂1gの酸価を有していることが好ましい。0.1mgKOH/樹脂1g未満だとトナー表面への存在量が絶対的に不足し、50mgKOH/樹脂1gを越えるとトナーの帯電性に悪影響を及ぼす傾向がある。さらに本発明では、5〜35mgKOH/樹脂1gの酸価の範囲がより好ましい。
【0237】
本発明においては、得られる磁性トナー粒子の物性に悪影響を及ぼさない限り2種以上のポリエステル樹脂を併用したり、例えば、シリコーン化合物やフルオロアルキル基含有化合物により変性したりしてポリエステル樹脂の物性を調製することも好適に行われる。
【0238】
また、このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。平均分子量5,000未満、特に4,000以下では、高分子量重合体の低分子量成分がトナー粒子の表面付近に集中し易い事から、現像性、耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり好ましくない。
【0239】
また、材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体組成物中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部以上添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる傾向にある。
【0240】
さらに、重合性単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることが出来る。
【0241】
本発明の磁性トナーに関わる重合トナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行なうと、GPCにおいてメインピークのピークトップが分子量5000〜50000の間に存在する重合体を得ることが出来る。
【0242】
本発明で使用される重合開始剤としては、従来公知のアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤などがあり、アゾ系重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が例示され、過酸化物系重合開始剤としてはt−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、α,α′−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ−t−プチルパーオキシブタンなどのパーオキシケタール、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド、その他としてt−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等が挙げられ、必要に応じてこれらの開始剤を2種以上用いることもできる。
【0243】
本発明の磁性トナーを重合法で製造する際は、架橋剤を添加し、THF不溶分を生成させる事が重要であり、架橋剤の好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001〜15質量%である。
【0244】
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0245】
本発明の磁性トナーを重合法で製造する方法では、一般に上述の磁性体、重合性単量体、離型剤を少なくとも含む組成物を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散させた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。
【0246】
重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。又、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加える事も出来る。
【0247】
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。
【0248】
本発明の磁性トナーを重合法で製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
【0249】
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることが出来、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことが出来る。
【0250】
また、これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用する事が好ましいが、超微粒子を発生し難いもののトナーの微粒化はやや苦手であるので、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0251】
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
【0252】
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行なう。この温度範囲で重合を行なうと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げる事は可能である。
【0253】
重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により無機微粉体を混合し表面に付着させることで、本発明の磁性トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、本発明の望ましい形態の一つである。
【0254】
本発明においてトナーは、流動化剤として個数平均1次粒径4〜80nmの無機微粉体が添加されることも好ましい形態である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
【0255】
無機微粉体の個数平均1次粒径が80nmよりも大きい場合、或いは80nm以下の無機微粉体が添加されていない場合には、転写残トナーが帯電部材へ付着した際に帯電部材に固着し易くなり、安定して良好な帯電特性を得ることが困難になりやすい。また、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題が生じやすい。無機微粉体の個数平均1次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉体の凝集性が強まり、1次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の現像、像担持体或いは磁性トナー担持体等を傷つけるという画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の帯電分布をより均一とするためには無機微粉体の個数平均1次粒径はより好ましくは6〜35nmであることがより良い。
【0256】
本発明において、無機微粉体の個数平均1次粒径の測定法は、走査型電子額微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉体の1次粒子を100個以上測定し、個数基準の平均1次粒径、個数平均1次拉径を求めることで測定出来る。
【0257】
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体などが使用でき、単独で用いても、複数種組み合わせて用いても良い。シリカとしては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残財滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、転化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0258】
個数平均1次粒径が4〜80nmの無機微粉体の添加量は、トナー粒子に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果を発現しにくく、3.0質量%以上では定着性が低下する。
【0259】
なお、無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
【0260】
また本発明において無機微粉体は、疎水化処理された物であることが高温高湿環境下での特性から好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、トナー飛散が起こり易くなる。
【0261】
疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機珪素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。
【0262】
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉体をシラン化合物で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でより好ましい。
【0263】
そのような無機微粉体の処理方法としては、例えば第一段反応として、シラン化合物でシリル化反応を行ないシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
【0264】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/S未満では、無機微粉体に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0265】
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
【0266】
無機微粉体をシリコーンオイルで処理する方法としては、例えば、シラン化合物で処理された無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散させた後、無機微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉体の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0267】
シリコーンオイルの処理量は、無機微粉体100質量部に対し1〜40質量部、好ましくは3〜35質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる傾向がある。
【0268】
本発明で用いられる無機微粉体は、トナーに良好な流動性を付与させる為にシリカ、アルミナ、酸化チタンが好ましく、その中でも特にシリカである事が好ましい。更に、窒素吸着によるBET法で測定したシリカの比表面積が20〜350m2/g範囲内のものが好ましく、より好ましくは25〜300m2/gのものが更に良い。
【0269】
比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
【0270】
本発明において、無機微粉体としてシリカを用いる場合、トナー粉子から遊離したシリカの遊離率は0.1〜2.0%である事が好ましく、より好ましくは0.1〜1.50%である。シリカの遊離率は前述のパーティクルアナライザーにより測定されるものであり、具体的な測定方法としては、チャンネル1で炭素原子、チャンネル2でケイ素原子(測定波長288.160nm,Kファクターは推奨値を使用)を測定し、次式によりシリカの遊離率を求める。
【0271】
シリカの遊離率(%)=100×(けい素原子のみの発光回数/炭素原子と同時に発光したけい素原子の発光回数+けい素原子のみの発光回数)
本発明者らが検討を行ったところ、シリカの遊離率が0.1%より少ないと多妻枚画出し試験の後半、特に高温高湿下でカブリの増大、がさつきが生じやすい。一般に、高温環境下では規制部材等のストレスにより外添材の埋め込みが起りすく、多数枚印刷後はトナーの流動性は初期に比べ劣るものとなってしまい、上記の問題が生じてしまうと考えられる。しかしながら、シリカの遊離率が0.1%以上であるとこのような問題は生じにくい。これは、ある程度シリカが遊離し状態で存在すると、トナーの流動性が良好となる為に、耐久による埋め込みが生じにくくなると共に、ストレスによりトナーに付着しているシリカの埋め込みが生じても、遊離のシリカがトナー表面に付着する事によりトナーの流動性の低下が少なくなる為であると考えている。
【0272】
一方、シリカの遊離率が2.00%より多いと、遊離のシリカが帯電規制部材を汚染し、カブリの増大を生じやすいので好ましくない。また、このような状態ではトナーの帯電均一性も損なわれ、転写効率も低下する。このため、シリカの遊離率は0.1〜2.0%である事が重要である。
【0273】
また、本発明の磁性トナーは、トナーの重量平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する導電性微粉体をさらに有する事が好ましく、さらに上記無機微粉体の個数平均1次粒径よりも大きく、且つ、トナーの重量平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する導電性微粉体を有する事がより好ましい。
【0274】
これは、導電性微粉体を有する事によりトナーの現像性が向上し、高い画像濃度を得る事が出来るからである。また、導電性微粉体の遊離率が5.0〜50.0%であるとその効果は顕著なものとなる。この理由は定かではないが、遊離の導電性微粉体が存在する事で、トナー粒子の帯電がより均一になる事、さらには、トナーに付着している導電性微粉体がマイクロキャリアの如き挙動をする為に現像性が向上するものと考えている。この為、導電性微粉体の遊離率は5.0%より少ないとこの効果が充分には得られない。一方、導電性微粉体の遊離率が50.0%より多いと、トナーヘの導電性微粒子の付着の均一性が劣るものとなり好ましくない。
【0275】
なお、導電性微粉体の遊離率は前述のパーティクルアナライザーにより測定されるものであり、具体的な測定方法としては、チャンネル3で導電性微粉体が有する金属元素(測定波長は金属元素の種類により異なる。例えば、導電性微粉体として酸化亜鉛を用いた場合、測定波長は334.500nm、Kファクターは推奨値を使用)を測定し、次式により導電性微粉体の遊離率を求める。
【0276】
導電性微粉体の遊離率(%)=100×(導電性微粉体が有する金属のみの発光回数/(炭素原子と同時に発光した導電性微粉体が有する金属の発光回数+導電性微粉体が有する金属のみの発行回数)
また、本発明の磁性トナーを現像同時クリーニングを利用した画像形成方法に適用する場合には、導電性微粉体は重要な役割を果たす。
【0277】
ここで、トナー粒子に導電性微粉体を外部添加した場合の画像形成プロセス中でのトナー粒子及び導電性微粉体の挙動を説明する。
【0278】
トナーに含有させた導電性微粉体は、現像工程における像担持体側の静電潜像の現像時にトナー粒子とともに適当量が像担持体側に移行する。像担持体上のトナー像は転写工程において転写材側に転移する。像担持体上の導電性微粉体も一部は転写材側に付着するが残りは像担持体上に付着保持されて残留する。トナーと逆極性の転写バイアスを印加して転写を行う場合には、トナーは転写材側に引かれて積極的に転移するが、像担持体上の導電性微粉体は導電性であることで転写材側には積極的には転移せず、一部は転写材側に付着するものの残りは像担持体上に付着保持されて残留する。
【0279】
クリーナを用いない画像形成方法では、転写後の像担持体面に残存の転写残トナーおよび上記の残存導電性微粉体は、像担持体と接触帯電部材の当接部である帯電部に像担持体面の移動でそのまま持ち運ばれて接触帯電部材に付着・混入する。従って、像担持体と接触帯電部材との当接部に導電性微粉体が介在した状態で像担持体の接触帯電が行なわれる。
【0280】
この導電性微粉体の存在により、接触帯電部材への転写残トナーが少ない場合、転写残トナーの付着・混入による汚染にかかわらず、接触帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該接触帯電部材による像担持体の帯電を良好に行なわせることができる。
【0281】
また、接触帯電部材に付着・混入した転写残トナーは、帯電部材から像担持体へ印加される帯電バイアスによって、帯電バイアスと同極性に帯電を揃えられて接触帯電部材から徐々に像担持体上に吐き出され、像担持体面の移動とともに現部に至り、現像工程において現像同時クリーニング(回収)もおこなわれる。
【0282】
更に、画像形成が繰り返されることで、トナーに含有させてある導電性微粉体が、現像部で像担持体面に移行し該像担持面の移動により転写部を経て帯電部に持ち運ばれて帯電部に逐次に導電性微粉体が供給され続けるため、帯電部において導電性微粉体が脱落等で減少したり、劣化しても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0283】
このため、導電性微粉体の遊離率は5.0〜50.0%である事が好ましく、導電性微粉体の遊離率が50.0%より多いと、現像同時クリーニングによって回収される導電性微粉体の量が多くなり、現像器内での導電性微粉体の蓄積が起りやすくなり、トナーの帯電性、現像性の低下を生じ好ましくない。また、導電性微粉体の遊離率が5.0%未満であると前記効果が発現しにくくなる。
【0284】
また、このようにトナーの帯電量の均一性を促す為に、導電性微粉体の抵抗は、1×109Ωcm以下が好ましい。導電性微粉体の抵抗が、1×109Ωcmよりも大きいと導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在させ、接触帯電部材の導電性微粉体を介しての像担持体への緻密な接触性を維持させても、良好な帯電性を得るための帯電仮進効果が得られにくい。導電性微粉体の帯電促進効果を十分に引き出し、良好な帯電性を安定して得るためには、導電性微粉体の抵抗が、接触帯電部材の表面部或いは像担持体との接触部の抵抗よりも小さいことが好ましい。更に、導電性微粉体の抵抗が、1×108Ωcm以下であることが、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーヘの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電をより良好に行なわせる上で好ましく良い。
【0285】
本発明においては導電性微粉体のトナー全体に対する含有量は、0.5〜10質量%であることが好ましい。導電性微粉体のトナー全体に対する含有量が0.5質量%よりも少ないと、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーヘの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行なわせるのに十分な量の導電性微粉体を、帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在させることができにくく、帯電性が低下し帯電不良を生じる傾向がある。また、含有量が10質量%よりも多い場合では、現像同時クリーニング工程によって回収される導電性微粉体が多くなりすぎることによる現像部でのトナーの帯電能、現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生ずる傾向がある。導電性微粉体のトナー全体に対する含有量は、0.5〜5質量%であることが好ましく良い。
【0286】
導電性微粉体の粒径として具体的には、体積平均粒径が0.1μm以上であり、トナーの重量平均粒径よりも小さいことが好ましい。導電性微粉体の体積平均粒径が小さいと、現像性の低下を防ぐために導電性微粉体のトナー全体に対する含有量を小さく設定しなければならない。導電性微粉体の体積平均粒径が0.1μm未満では、導電性微粉体の有効量を確保できず、帯電工程において、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーヘの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行なわせるのに十分な量の導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在させることができず、帯電不良を生じ易くなる。
【0287】
また、導電性微粉体の体積平均粒径がトナーの重量平均粗径よりも大きいと、帯電部材から脱落した導電性微粉体は静電潜像を書き込む露光を遮光或いは拡散し、静電潜像の欠鮪を生じ画像品位を低下させることがある。更に、導電性微粉体の体積平均粒径が大きいと、単位重量当りの粒子数が減少するため、帯電部材からの導電性微粉体の脱落等による減少、劣化を考慮して導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に逐次に導電性微粉体が供給し続け介在させるために、また、接触帯電部材が導電性微粉体を介して像担持体への緻密な接触性を維持し良好な帯電性を安定して得るためには、導電性微粉体のトナー全体に対する含有量を大きくしなければならない。しかし、導電性微粉体の含有量を大きくしすぎると、特に高湿環境下でのトナー全体としての帯電能、現象性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生じやすくなる。このような観点から、導電性微粉体の体積平均粒径は好ましくは5μm以下が良い。
【0288】
また、導電性微粉体は、透明、白色或いは淡色の導電性微粉体であることが、転写材上に転写される導電性微粉体がカブリとして目立たないため好ましく良い。潜像形成工程における露光の妨げとならない意味でも導電性微粉体は、透明、白色或いは淡色の導電性微粉体であることがよく、より好ましくは、導電性微粉体は、露光に対する透過率が30%以上であることが良い。
【0289】
本発明においては、導電性微粉体の光透過性については以下の手順で測定することができる。片面に接着層を有する透明のフィルムの導電性微粉体を一層分固定した状態で透過率を測定する。光はシートの鉛直方向から照射しフィルム背面に透過した光を集光し光量を測定する。フィルムのみと導電性微粉体を付着したときの光量から正味の光量として導電性微粉体の透過率を算出する。実際にはX−Rite社製310T透過型濃度計を用いて測定することができる。
【0290】
本発明における導電性微粉体の体積平均粒径及び粒度分布の測定には、コールター社製、LS−230型レーザ回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取付けて0.04〜2000μmの測定範囲で行う。測定法としては、純水10mlに微量の界面活性剤を添加し、これに導電性微粉体の試料10mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、判定時間90秒、測定回数1回で測定する。
【0291】
本発明において、導電性微粉体の粒度及び粒度分布の調整方法としては、導電性微粉体の一次粒子が製造時において所望の粒度及び粒度分布が得られるように製造法、製造条件を設定する方法以外にも、一次粒子の小さな粒子を凝集させる方法、一次粒子の大きな粒子を粉砕する方法或いは分級による方法等が可能であり、更には、所望の粒度及び粒度分布の基材粒子(導電性微粉体を調製するにあたり、導電性材料を付着あるいは固定化する際に母体となる粒子)の表面の一部もしくは全部に導電性微粉体を付着或いは固定化する方法、所望の粒度及び粒度分布の粒子に導電性成分が分散された形態を有する導電性微粉体を用いる方法等も可能であり、これらの方法を組み合わせて導電性微粉体の粒度及び粒度分布を調整することも可能である。
【0292】
導電性微粉体の粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義される。導電性微粉体は、1次粒子の状態で存在するばかりでなく2次粒子の凝集した状態で存在することも問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在し、帯電補助或いは促進の機能が実現できればその形態は問わない。
【0293】
本発明において、導電性微粉体の抵抗測定は、錠剤法により測定し正規化して求める。即ち、底面積2.26cm2の円筒内に凡そ0.5gの粉体試料を入れ上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を算出する。
【0294】
本発明における導電性微粉体としては、非磁性であるものが好ましく、例えばカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粉体;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粉体;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化すず、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化タングステンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物、あるいはこれらの複合酸化物などが必要に応じて粒度及び粒度分布を調整することで使用できる。これらの中でも酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン等の無機酸化物微粉体が特に好ましい。
【0295】
また、導電性無機酸化物の抵抗値を制御する等の目的で、アンチモン、アルミニウムなどの元素をドープした金属酸化物、導電性材料を表面に有する微粉体なども使用できる。例えば酸化スズ・アンチモンで表面処理された酸化チタン微粉体、アンチモンでドープされた酸化第二スズ微粉体、あるいは酸化第二スズ微粉体などである。
【0296】
市販の酸化スズ・アンチモン処理された導電性酸化チタン微粉体としては、例えばEC−300(チタン工業株式会社)、ET−300、HJ−1、HI−2(以上、石原産業株式会社)、W−P(三菱マテリアル株式会社)などが挙げられる。
【0297】
市販のアンチモンドープの導電性酸化スズとしては、例えばT−1(三菱マテリアル株式会社)やSN−100P(石原産業株式会社)などが、また市販の酸化第二スズとしては、SH−S(日本化学産業株式会社)などが挙げられる。
【0298】
また、本発明の磁性トナーは、クリーニング性向上等の目的で、さらに平均一次粉径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは平均一次粉径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態のひとつである。例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
【0299】
本発明に用いられる磁性トナーには、実質的な悪影響を与えない転囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末等の滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化珪素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いる事もできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
【0300】
上記無機微粉体、導電性微粉体等をトナーに外添する方法としては、トナーと上記微粉体等を混合、撹拌する事により行う。具体的にはメカノフュージョン、I式ミル、ハイブリタイザー、ターボミル、ヘンシェルミキサー等が挙げられ、粗粒の発生を防ぐという観点からヘンシェルミキサーを用いる事が特に好ましい。
【0301】
また、シリカ等の無機微粉体や導電性微粉体等の遊離率を調整する為、外添時の温度、外添強度、外添時間等を調整する事が好ましい。一例としてヘンシェルミキサーを用いた場合、外添時の槽内温度は50℃以下であることが好ましい。これ以上の温度であると、熱により外添剤の埋め込みが急激に起ると共に粗粒が発生し、好ましくない。また、へンシェルミキサーの羽根の周速としては外添剤の遊離率を調整するという観点から10〜80m/secである事が好ましい。
【0302】
本発明の磁性トナーは、耐久性に優れ、カブリが少なく、転写性が高いために、接触帯電工程を用いる画像形成方法に好適に用いられ、さらにはクリーナレス画像形成方法にも用いる事が出来る。接触帯電工程から構成される画像形成方法においては、転写されずに帯電工程に移行する磁性トナー(即ち転写残トナー)とカブリトナーの低減がキー技術であるが本発明の磁性トナーを用いることにより、環境安定性により優れ、長期に渡りより優れた画像が得ることが可能となる。
【0303】
また、クリーナレスの画像形成方法においては、転写残トナーが帯電工程をすり抜けて現像工程で現像器内に回収されるが、このようなトナーは帯電性の劣るものが多いため、耐久と共に現像器内に蓄積されて画像特性が悪化しやすい。また、転写性が悪い磁性トナーは、転写残トナーが多くなる事から、帯電工程において均一な帯電を阻害し、良好な画像を得る事が困難となる。特に、耐久性に劣るトナーではではこの傾向が強く、好ましくない。しかしながら本究明の磁性トナーは良好な画像特性、耐久性を有するため、クリーナレスの画像形成方法に用いても長期に渡って高画質を安定に維持できることから、この磁性トナーを用いることにより本発明の画像形成方法が達成される。
【0304】
(2)本発明の画像形成方法
以下に本発明の画像形成方法について説明する。
【0305】
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程とを含むものであり、現像工程におけるトナーを本発明の磁性トナーを用い、さらに帯電工程は、像担持体と当接部を形成して接触する接触帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程である。
【0306】
次に、本発明の画像形成方法の実施形態を図に沿って詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0307】
図1において、像担持体としての感光体100の周囲に、接触帯電部材である一次帯電ローラ117、現像器140、転写ローラ114、クリーナ116、レジスタローラ124等が設けられている。そして感光体100は、一次帯電ローラ117によって−700Vに帯電される。(印加電圧は交流電圧−2.0kVpp(Vpp:ピーク間電位)、直流電圧−700Vdc)そして、レーザビームスキャナ121によりレーザ光123を感光体100に照射することによって露光される。感光体100上の静電潜像は現像器140によって磁性トナー粒子及び外添剤を有する一成分磁性トナーで現象され、転写材を介して感光体に当接された転写口一ラ114により転写材上へ転写される。トナー像をのせた転写材Pは、搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ転写材P上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーナ116によりクリーニングされる。現像器140は、図2に示すように感光体100に近接して、アルミニウム、ステンレス等非磁性金属で作られた円筒状のトナー担持体102(以下、「現像スリーブ」ともいう)が配設され、感光体100と現像スリーブ102との間隙は、図示されないスリーブ/感光体間隙保持部材等により所定の間隙(例えば約230μm)に維持されている。この間隙は、必要により替えることは可能である。現像スリーブ102内にはマグネットローラ104が、現像スリーブ102と同心的に固定、配設されている。但し、現像スリーブ102は回転可能である。マグネットローラ104には図示の如く複数の磁極が具備されており、S1は現像、N1はトナーコート量規制、S2はトナーの取り込み/搬送、N2はトナーの吹き出し防止に影響している。現像スリーブ102に付着して搬送される磁性トナー量を規制する部材として、弾性ブレード103が配設され、弾性ブレード103の現像スリーブ102に対する当接庄により現像領域に搬送されるトナー量が制御される¢現像領域では、感光体100と現像スリーブ102との間に直流電圧及び交流電圧の現像バイアスが印加され、現像スリーブ102上トナーは静電潜像に応じて感光体100上に飛翔し可視像となる。
【0308】
本発明の画像形成方法において、現像工程は、トナー像を転写材上に転写した後に感光体に残留したトナーを回収するクリーニング工程を兼ねる現像同時クリーニング工程あるいはクリーナレス工程を有する画像形成方法であっても好ましい。
【0309】
さらに、現像同時クリーニング画像形成方法あるいはクリーナレス画像形成方法において、現像工程はトナーによって像担持体上の静電潜像を現像する工程であり、帯電工程は像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であり、且つ少なくとも帯電部材と像担持体との当接部及び/又はその近傍に、本発明の磁性トナー中に含まれる導電性微粉体が現像工程で像担持体に付着し、転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在している画像形成方法であることが好ましい。
【0310】
本発明の画像形成方法における帯電工程は、被帯電体であり像担持体でもある感光体に、図1における上記一次帯電ローラであるローラ型(帯電ローラ)の他に、フアーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型(帯電ブレード)等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)と当接部を形成して接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させる接触帯電装置を用いることができる。これらの接触帯電部材も、高電圧が不要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0311】
上記図1のように帯電ローラを用いたときの好ましいプロセス条件として、ローラの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)で、直流電圧あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが用いられる。直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いる場合は、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±5kVが好ましい。
【0312】
このときの交流電圧は、2×Vth(Vth:直流電圧印加における放電開始電圧)(V)未満のピーク電圧を有するものであるのが好ましい。
【0313】
直流電圧に印加される交流線圧のピーク電圧が、2×Vth未満であると、像担持体上の電位が安定するので好ましい。直流電圧に交流電圧を重畳されたバイアスを印加する際の交流電圧として、より好ましくは1×Vth未満のピーク電圧を有するものである。それにより、実質的な放電現象を伴うことなく、像担持体を帯電させることができる。
【0314】
帯電工程において用いられる交流電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交流電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0315】
また、本発明の画像形成方法、特にクリーナレス画像形成方法においては、帯電部材が、帯電部材と像担持体との間に導電位微粉体を介在させる当接部を設ける上で弾性を有することが好ましく、帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電するために導電性であることが好ましい。従って、帯電部材は導電性弾性ローラ、磁性粒子を磁気拘束させた磁気ブラシ部を有し該磁気ブラシ部を感光体に接触させた磁気ブラシ接触帯電部材或いは導電性繊維から構成されるブラシであることが好ましく良い。
【0316】
本発明において、接触帯電部材として用いる導電性弾性のローラ部材の硬度は、アスカーC硬度が50度以下であることが好ましい。硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなりやすく、更に、帯電部材と像担持体との当接部に導電性微粉体を介在させることでローラ部材表層を削り或いは傷つけやすく、安定した帯電性が得られにくい。また、硬度が高すぎると被帯電体との間に帯電当接部を確保できにくく、被帯電体表面へのミクロな接触性が低下しやすい。さらには、アスカーC硬度で25〜50度が好ましい範囲である。
【0317】
アスカーC硬度は、具体的には、高分子計器株式会社製のアスカー硬度計C型を使用し、荷重500gの条件で測定する。
【0318】
ローラ部材は、弾性を持たせて被帯電体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する被帯電体を充電するに十分低い抵抗を有する電極として機能することが重要である。一方では被帯電体にピンホールなどの欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。被帯電体として感光体を用いた場合、十分な帯電性と耐リークを得るには、体積抵抗値が1×103〜1×108Ωcmの抵抗であることが良く、より好ましくは体積抵抗値が1×104〜1×107Ωcm)であることが良い。
【0319】
ローラ部材の体積抵抗値は、ローラの芯金に総圧1kgの加重がかかるよう直径30mmの円筒状アルミドラムにローラを圧着した状態で、芯金とアルミドラムとの間に100Vを印加し、計測することにより測定できる。
【0320】
本発明におけるローラ部材は、例えば、芯金上に可撓性部材としてのゴムあるいは発泡体の中抵抗層を形成することにより作成され得る。中抵抗層は樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤、発泡剤等により処方され、芯金の上にローラ状に形成する。その後必要に応じて切削、表面を研磨して形状を整えローラ部材を作成することができる。該ローラ部材表面は導電性微粉体を介在させるために微少なセルまたは凹凸を有していることが好ましい。
【0321】
このセルは、球形換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを有していることが好ましく、上記窪みを空隙部としたローラ部材の表面の空隙率は15〜90%であるのが好ましい。
【0322】
ローラ部材の表面の平均セル径が5μmより小さい場合は、導電性微粉体の供給が不足しやすく、300μmを越える場合は、導電性微粉体の供給が過剰となりやすく、いずれも像担持体の帯電電位が不均一となり、好ましくない。また、空隙率が15%より少ないと、導電性微粉体の供給が不足しやすく、90%を越えると導電性微粉体の供給が過剰となりやすく、いずれも像担持体の帯電電位が不均一となりやすいことから好ましくない。
【0323】
ローラ部材の材質としては、弾性発泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性粒子を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものがあげられる。また、導電性粒子を分散せずに、或いは導電性粒子と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。また、ローラ部材に用いられる芯金としては、アルミニウム、SUS等が挙げられる。
【0324】
ローラ部材は、像担持体としての被帯電体に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、ローラ部材と像担持体の当接部を形成させる。この当接部の幅は特に制限されるものではないが、ローラ部材と像担持体の安定して密な密着性を得るため1mm以上、より好ましくは2mm以上が良い。
【0325】
また、接触帯電部材としてのブラシ部材としては、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整された帯電ブラシが挙げられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の導電性金属或いは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の導電性金属の酸化物、更にはカーボンブラック等の導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。
【0326】
接触帯電部材として帯電ブラシを用いる場合には、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状帯電ブラシとしては、例えば、導電性繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとすることができる。導電性繊維は、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mmブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
【0327】
帯電ブラシは、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましく良い。例えば、300デニール/50フィラメントのように300デニールの微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。しかしながら、本発明においては、直接注入帯電の帯電ポイントを決定しているのは、主には帯電部材と像担持体との当接部及びその近傍の導電性微粉体の介在密度に依存しているため、帯電部材の選択の範囲は広められている。
【0328】
帯電ブラシに用いられる芯金としては、帯電ローラ部材に用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0329】
帯電ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10、東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)製のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等があるが、環境安定性の点でREC−8、REC−C、REC−M1、REC−M10が特に好ましく挙げられる。
【0330】
また、接触帯電部材が可撓性を有していることが、接触帯電部材と像担持体の当接部において導電性微粉体が像担持体に接触する機会を増加させ、高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させる点で好ましく良い。つまり、接触帯電部材が導電性微粉体を介して密に像担持体に接触して、接触帯電部材と像担持体の当接部に存在する導電性微粉体が像担持体表面を隙間なく摺擦することで、接触帯電部材による像担持体の帯電は帯電促進粒子の存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来のローラ帯電等では得られない高い帯電効率が得られ、接触帯電部材に印加した電圧とほぼ同等の電位を像担持体に与えることができる。
【0331】
更に、当接部を形成する帯電部材の表面の移動速度と像担持体の表面の移動速度には、相対速度差を設けることで、接触帯電部材と像担持体の当接部において導電性微粉体が像担持体に接触する機会を格段に増加させ、より高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させる点で好ましく良い。
【0332】
接触帯電部材と像担持体との当接部に導電性微粉体を介在させることにより、導電性微粉体の潤滑効果(摩擦低減効果)により、接触帯電部材と像担持体との間に大幅なトルクの増大及び接触帯電部材及び像担持体表面の顕著な削れ等を伴うことなく速度差を設けることが可能となる。
【0333】
帯電部に持ち運ばれる像担持体上の転写残トナーを接触帯電部材に一時的に回収し均すために、接触帯電部材と像担持体は、当接部において互いに逆方向に移動させることが好ましく良い。例えば、接触帯電部材を回転駆動し、さらに、その回転方向は、当接部において像担持体表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが望ましい。即ち、逆方向回転で像担持体上の転写残トナーを一旦引き離し帯電を行なうことにより、優位に直接注入帯電を行なうことが可能である。
【0334】
帯電部材を像担持体表面の移動方向と同じ方向に移動させて速度差をもたせることも可能であるが、直接注入帯電の帯電性は像担持体の周速と帯電部材の周速の比に依存するため、逆方向と同じ周速比を得るには順方向では帯電部材の回転数が逆方向の時に比べて大きくなるので、帯電部材を逆方向に移動させる方が回転数の点で有利である。
【0335】
速度差を設ける構成としては、接触帯電部材を回転駆動して像担持体と該接触帯電部材に速度差を設けることができる。ここで記述した周速比は、下式で表せる。
【0336】
周速比(%)=(帯電部材周速/像担持体周速)×100
像担持体上の転写残トナーを一時的に回収するとともに導電性微粉体を担持し直接注入帯電を優位に実行する上でも、接触帯電部材として先述したような可撓性部材である導電性弾性のローラ部材或いは回動可能な帯電ブラシロールを用いることが好ましい。
【0337】
像担持体と接触帯電部材との当接部における導電性微粉体の介在量は、少なすぎると、該粒子による潤滑効果が十分に得られず、像担持体と接触帯電部材との摩擦が大きくて接触帯電部材を像担持体に対して速度差を持って回転駆動させにくくなる。つまり、駆動トルクが過大となるし、無理に回転させると接触帯電部材や像担持体の表面が削れやすい。更に導電性微粉体による接触機会増加の効果が得られないこともあり十分な帯電性能が得られにくい。一方、介在量が多過ぎると、導電性微粉体の接触帯電部材からの脱落が著しく増加し作像上に悪影響が出やすい。
【0338】
以上のことより、帯電部材と像担持体との当接部における導電性微粉体の介在量は1×103個/mm2以上が好ましく、より好ましくは1×104個/mm2以上が良い。1×103個/mm2より低いと十分な潤滑効果と接触機会増加の効果が得られにくく帯電性能の低下が生じる傾向がある。1×104個/mm2より低いと転写残トナーが多い場合に帯電性能の低下が生じる傾向がある。
【0339】
当接部での導電性微粉体の介在量及び潜像形成工程での像担持体上の導電性微粉体の存在量の測定方法について述べる。導電性微粉体の介在量は接触帯電部材と像担持体の接触面部を直接測ることが好ましいが、当接部を形成する接触帯電部材の表面と像担持体の表面には速度差を設けている場合、接触帯電部材に接触する前に像担持体上に存在した粒子の多くは逆方向に移動しながら接触する帯電部材に剥ぎ取られることから、本発明では接触面部に到達する直前の接触帯電部材表面の粒子量をもって介在量とする。
【0340】
具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で像担持体及び導電性弾性のローラ部材の回転を停止し、像担持体及び導電性弾性のローラ部材の表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR-3100)で撮影する。導電性弾性のローラ部材については、導電性弾性のローラ部材を像担持体に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて接触面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影する。得られたデジタル画像から個々の粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測する。また、像担持体上の存在量についても像担持体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し同様の処理を行い計測する。
【0341】
本発明の画像形成方法において、感光体はa-Se、CdS、ZnO2、OPC(有機感光体)、a−Siの如き光導電性物質を利用したものであり、表面層を有するものであることがより好ましい。
【0342】
例えば、セレン、アモルファスシリコンなどの無機感光体の上に樹脂を主体とした保護膜を設ける場合、又は機能分離型有機像担持体の電荷輸送層として、電荷輸送物質と樹脂からなる表面層をもつ場合、さらにその上に上記のような保護層を設ける場合等がある。このような表面層に離型性を付与する手段としては、▲1▼膜を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いる、
▲2▼撥水、親油性を付与するような添加剤を加える、
▲3▼高い離型性を有する材料を粉体状にして分散する、などが挙げられる。
【0343】
▲1▼の例としては、樹脂の構造中にフッ素含有基、シリコーン含有基等を導入することにより達成する。▲2▼としては、界面活性剤等を添加剤とすればよい。▲3▼としては、フッ素原子を含む化合物、すなわちポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化カーボン等が挙げられる。
【0344】
これらの手段によって感光体表面の水に対する接触角を85度以上とすることができ、トナーの転写性及び感光体の耐久性を一層向上させることができる。好ましくは水に対する接触角は90度以上がよい。
【0345】
これらの手段の中でも、▲3▼の含フッ素樹脂などの離型性粉体を最表面層への分散させる方法が好適であり、特にポリ4フッ化エチレンを用いることが好適である。
【0346】
これらの粉体を表面に含有させるためには、バインダー樹脂中に該粉体を分散させた層を感光体最表面に設けるか、あるいは、元々樹脂を主体として構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設けなくても、最上層に該粉体を分散させれば良い。添加量は、表面層総重量に対して、1〜60質量%、さらには、2〜50質量%が好ましい。1質量%より少ないとトナーの転写性及び感光体の耐久性改善の効果が低下し、60質量%を越えると膜の強度が低下したり、感光体への入射光量が低下したりするため、好ましくない。
【0347】
接触角の測定は、滴下式の接触角計(例えば、協和界面科学(株)の接触角計CA−X型)を用いて水の自由表面が感光体に接する場所で、液面と感光体表面のなす角(液の内部にある角)で定義する。
【0348】
なお、上記測定は室温(約25℃)で行われるものとする。後述の実施例においても同様に測定した。
【0349】
本発明の画像形成方法は、帯電手段が帯電部材を感光体に当接させる直接帯電法であり、オゾンの発生が少ない点で好ましいが、帯電手段が感光体に接することのないコロナ放電等による方法にくらべて感光体表面に対する負荷が大きいので、上記の構成は感光体寿命という点で改善効果が顕著であり、好ましい適用形態のひとつである。
【0350】
本発明に用いられる感光体のさらに好ましい態様のひとつを以下に説明する。本発明において、感光体の最表面層の体積抵抗値は、1×109〜1×1014Ωcmであることにより、より良好な帯電性を与えることができ好ましい。電荷の直接注入による帯電方式においては、被帯電体である感光体側の抵抗を下げることでより効率良く電荷の授受が行えるようになる。このためには、最表面層の体積抵抗値としては1×1014Ωcm以下であることが好ましく良い。一方、像担持体として静電潜像を一定時間保持する必要するためには、最表面層の体積抵抗値としては1×109Ωcm以上であることが好ましく良い。
【0351】
更に、感光体の最表面層の体積抵抗値が1×109〜1×1014Ωcmであることにより、プロセススピードの速い装置においても、十分な帯電性を与えることができより好ましい。
【0352】
感光体の構成として、具体的には、導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0353】
導電性基体としては、アルミニウム、ステンレス等の金属、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化錫合金等による被膜層を有するプラスチック、導電性粒子を含侵させた紙、プラスチック、導電性ポリマーを有するプラスチック等の円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
【0354】
これら導電性基体上には、感光層の接着性向上・塗工性改良・基体の保護・基体上に欠陥の被覆・基体からの電荷注入性改良・感光層の電気的破壊に対する保護等を目的として下引き層を設けても良い。下引き層は、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、ポリウレタン、酸化アルミニウム等の材料によって形成される。その膜圧は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μmである。
【0355】
電荷発生層は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素、セレン、非晶質シリコン等の無機物質などの電荷発生物質を適当な結着剤に分散し塗工するあるいは蒸着等により形成される。結着剤としては、広範囲な結着性樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着剤の量は80質量%以下、好ましくは0〜40質量%である。また、電荷発生層の膜圧は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0356】
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成され、その膜圧は一般的には5〜40μmである。電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン、フェナントレンなどの構造を有する多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、オキサジアゾール、ピラゾリンなどの含窒素環式化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、セレン、セレン−テルル、非晶質シリコン、硫化カドニウム等が挙げられる。また、これら電荷輸送物質を分散させる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。
【0357】
また表面層として、保護層を設けてもよい。保護層の樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂の硬化剤等が単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。また、体積抵抗値を調整するために保護層の樹脂中に導電性微粒子を分散してもよい。導電性微粒子の例としては、金属、金属酸化物等が挙げられ、好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化スズ被膜酸化チタン、スズ被膜酸化インジウム、アンチモン被膜酸化スズ、酸化ジルコニウム等の超微粒子がある。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。
【0358】
一般的に保護層に導電性微粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために入射光の波長よりも粒子の粒径の方が小さいことが必要であり、本発明における保護層に分散される導電性微粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。また、保護層中での含有量は、保護層総重量に対して2〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。保護層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。
【0359】
表面層の塗工は、樹脂分散液をスプレーコーティング、ビームコーティングあるいは浸透(ディッピング)コーティングすることによって行うことができる。なお、本発明における像担持体の最表面層の体積抵抗値の測定方法は、表面に金を蒸着させたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に像担持体の最表面層と同様の組成からなる層を作成し、これを体積抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製4140B pA MATER)にて、23℃、65%の環境で100Vの電圧を印加して測定する方法が挙げられる。
【0360】
次に、本発明の画像形成方法において好ましく適用される接触転写工程について具体的に説明する。本発明において、像担持体からトナー像の転写を受ける転写材は転写ドラム等の中間転写体であってもよい。転写材を中間転写体とする場合、中間転写体から紙などの転写材に再度転写することでトナー像が得られる。接触転写工程とは、感光体が転写材を介して転写部材と当接しながらトナー像を転写材に静電転写するものであるが、転写部材の当接圧力としては線圧2.9N/m(3g/cm)以上であることが好ましく、より好ましくは19.6N/m(20g/cm)以上、さらに好ましくは19.6N/m(20g/cm)乃至78.4N/m(80g/cm)である。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3g/cm)未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。
【0361】
また、接触転写工程における転写部材としては、転写ローラあるいは転写ベルト等が使用される。図3に転写ローラの構成の一例を示す。転写ローラ34は少なくとも芯金34aと導電性弾性層34bからなり、導電性弾性層34bはカーボン等の導電材を分散させたウレタンやエピクロルヒドリンゴム等の、体積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体で作られており、転写バイアス電源35により転写バイアスが印加されている。
【0362】
本発明における接触転写方法は、感光体の表面が有機化合物である画像形成装置において特に有効である。即ち、有機化合物が感光体の表面層を形成している場合には、無機材料を用いた他の感光体よりもトナー粒子に含まれる結着樹脂との接着性が強く、転写性がより低下する傾向にあるためである。
【0363】
また、本発明における接触転写方法を適用する場合、有機化合物として使用される感光体の表面物質としては、たとえばシリコーン樹脂、塩化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−メチルメタクリレート、スチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されることはなく他のモノマーあるいは前述の結着樹脂間での共重合体およびブレンド体等も使用することができる。
【0364】
また、接触転写方法を適用した本発明の画像形成方法は、直径が50mm以下の小径の感光体を有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。即ち、小径感光体の場合には、同一の線圧に対する曲率が大きく、当接部における圧力の集中が起こりやすいためである。ベルト感光体でも同一の現象があると考えられるが、本発明は、転写部での曲率半径が25mm以下の画像形成装置に対しても有効である。また本発明の画像形成方法においては、カブリの無い高画質を得るために、磁性トナー担持体上に磁性トナー担持体−感光体の最近接距離(S−D間)よりも小さい層厚で磁性トナーの塗布層が形成され、交流電圧を印加して現像を行う現像工程で現像される。すなわち、トナー担持体上の磁性トナーを規制する層厚規制部材によって、感光体とトナー担持体の最近接間隙よりも、トナー担持体上に形成されるトナー層厚が小さくなるように設定され、トナー担持体上の磁性トナーを規制する層厚規制部材が磁性トナーを介してトナー担持体に当接されている弾性部材によって規制される事が磁性トナーを均一帯電させる観点から特に好ましい。
【0365】
上記のことから、トナー担持体上に5〜50g/m2のトナー層を形成することが好ましく良い。トナー担持体上のトナー量が5g/m2よりも小さいと、十分な画像濃度が得られにくく、トナーの帯電が過剰になることによるトナー層のムラを生じる。トナー担持体上のトナー量が50g/m2よりも多くなると、トナー飛散を生じ易くなる。
【0366】
本発明に使用されるトナー担持体は、アルミニウム、ステンレススチール等の金属又は合金で形成された導電性円筒(現像ローラ)が好ましく使用される。充分な機械的強度及び導電性を有する樹脂組成物で導電性円筒が形成されていても良く、導電性のゴムローラを用いても良い。また、上記のような円筒状に限られず、回転駆動する無端ベルトの形態をしても良い。
【0367】
また、本発明に使用されるトナー担持体の表面粗さはJIS中心線平均粗さ(Ra)で0.2〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。Raが0.2μm未満ではトナー担持体上の帯電量が高くなりやすく、現像性が低下する傾向がある。Raが3.5μmを超えると、トナー担持体上のトナーコート層にむらが生じやすく、画像上で濃度むらを生じやすくなる。さらに好ましくは、0.5〜3.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0368】
本発明において、トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JISB0601」に基づき、表面粗さ測定器(サーフコーダSE−30H、株式会社小坂研究所杜製)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5μmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、下式によって求められる値をミクロメートル(μm)で表したものを言う。
【0369】
【外6】
Figure 0004181752
【0370】
本発明におけるトナー担持体の表面粗度(Ra)を上記範囲にするには、例えば、トナー担持体の表層の研磨状態を変える、あるいは球状炭素粒子、カーボン微粒子、グラファイト等をトナー担持体の表面層に添加することにより可能となる。
【0371】
さらに、本発明の磁性トナーは高い帯電能力牽有するために、現像に際してはトナーの総帯電量をコントロールすることが好ましく、本発明に係わるトナー担持体の表面は導電性微粒子及び/又は滑剤を分散した樹脂層で被覆されていることが好ましい。
【0372】
トナー担持体の被覆層に含まれる導電性微粒子は、11.7Mpa(120kg/cm2)で加圧した後の抵抗値が0.5Ωcm以下であるものが好ましい。導電性微粒子としては、カーボン微粒子、カーボン微粒子と結晶性グラファイトとの混合物、または結晶性グラファイトが好ましい。導電性微粒子は、粒径0.005〜10μmを有するものが好ましい。
【0373】
樹脂層に用いる樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂の如き熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂の如き熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂を使用することができる。
【0374】
中でもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、あるいはポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。特に、フェノール樹脂が好ましい。
【0375】
導電性微粒子は、樹脂成分10質量部当り、3〜20質量部使用するのが好ましい。カーボン微粒子とグラファイト粒子を組み合わせて使用する場合は、グラファイト10質量部当り、カーボン微粒子1〜50質量部を使用するのが好ましい。導電性微粒子が分散されてる磁性トナー担持体の樹脂層の体積抵抗率は10-6〜106Ωcmが好ましい。
【0376】
また本発明においては、磁性トナーを担持するトナー担持体表面は、像担持体表面の移動方向と同方向に移動していてもよいし、逆方向に移動していてもよい。その移動方向が同方向である場合像担持体の移動速度に対して、比で100%以上であることが望ましい。100%未満であると、画像品質が低下しやすい。移動速度比が高まれば高まるほど、現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得られる。具体的には、トナー担持体表面の移動速度が像担持体表面の移動速度に対し、1.05〜3.0倍の速度であることが好ましい。
【0377】
また、トナー担持体は像担持体に対して100〜1000μmの間隔を有して対向して設置されることが好ましく良い。トナー担持体の像担持体に対する間隔が100μmよりも小さいと、間隔の振れに対するトナーの現像特性の変化が大きくなるため、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産することが困難となる。トナー担持体の像担持体に対する間隔が1000μmよりも大きいと、像担持体上の潜像に対する磁性トナーの追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招く傾向がある。間隙は好ましくは120〜500μmが良い。
【0378】
本発明の画像形成方法において、現像工程はトナー担持体に対して交番電界を現像バイアスとして印加して、感光体の静電潜像にトナーを転移させてトナー像を形成する工程であることが好ましく、印加現像バイアスは直流電圧に交番電界を重畳した電圧でもよい。
【0379】
交番電界の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電界の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0380】
トナーを担持をするトナー担持体と像担持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で3×106〜10×106V/m、周波数500〜5000Hzの交番電界を現像バイアスとして印加することが好ましく良い。
【0381】
本発明においては、像担持体の帯電面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程が、像露光手段により行われることが好ましい。静電潜像形成のための画像露光手段としては、デジタル的な潜像を形成するレーザ走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるものなど、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。
【0382】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0383】
〈1〉磁性体
(表面処理磁性体の製造例1)
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
【0384】
水溶液のpHを9前後に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
【0385】
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8前後に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過して一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のPHを約6に調製し、充分攪拌しながらシランカップリング剤(n−C1021Si(OCH33)を磁性酸化鉄100質量部に対し2.0質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、カップリング処理を行った。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで若干凝集している粒子を解砕処理して、表面処理磁性体1を得た。なお、この磁性体の疎水化度は85%であった。
【0386】
(表面処理磁性体の製造例2)
表面処理磁性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−C413Si(OCH33)とする以外は同様にして表面処理磁性体2を得た。なお、この磁性体の疎水化度は78%であった。
【0387】
(表面処理磁性体の製造例3)
表面処理磁性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−C1837Si(OCH33)とする以外は同様にして表面処理磁性体3を得た。なお、この磁性体の疎水化度は93%であった。
【0388】
(表面処理磁性体の製造例4)
表面処理磁性体の製造例1に於いて、カップリング剤量を1.7質量部とする以外は同様にして表面処理磁性体4を得た。なお、この磁性体の疎水化度は75%であった。
【0389】
(表面処理磁性体の製造例5)
表面処理磁性体の製造例1に於いて、カップリング剤量を1.5質量部とする以外は同様にして表面処理磁性体5を得た。なお、この磁性体の疎水化度は69%であった。
【0390】
(表面処理磁性体の製造例6)
表面処理磁性体の製造例1に於いて、カップリング剤量を1.3質量部とする以外は同様にして表面処理磁性体6を得た。なお、この磁性体の疎水化度は62%であった。
【0391】
(表面処理磁性体の製造例7)
表面処理磁性体の製造例1に於いて、カップリング剤量を1.0質量部とする以外は同様にして表面処理磁性体7を得た。なお、この磁性体の疎水化度は55%であった。
【0392】
(表面処理磁性体の製造例8)
表面処理磁性体の製造例1に於いて、カップリング剤量を0.7質量部とする以外は同様にして表面処理磁性体8を得た。なお、この磁性体の疎水化度は42%であった。
【0393】
(表面処理磁性体の製造例9)
磁性酸化鉄粒子の合成時の硫酸第一鉄水溶液量を増やし、空気の吹き込み量を減少させた事以外は表面処理磁性体の製造例1と同様にし、表面処理磁性体9を得た。なお、この磁性体の疎水化度は78%であった。
【0394】
(表面処理磁性体の製造例10)
表面処理磁性体の製造例1において、添加する苛性ソーダ溶液の量及び反応条件を調製し、カップリング剤量を1.0質量部とした事以外は、表面処理磁性体の製造例1と同様とし、表面処理磁性体10を得た。なお、この磁性体の疎水化度は86%であった。
【0395】
(表面処理磁性体の製造例11)
表面処理磁性体の製造例10において、添加する苛性ソーダ溶液の量及び反応条件をさらに調製し、カップリング剤量を0.8質量部とした事以外は、表面処理磁性体の製造例10と同様とし、表面処理磁性体11を得た。なお、この磁性体の疎水化度は82%であった。
【0396】
(表面処理磁性体の製造例12)
表面処理磁性体の製造例1と同様に、酸化反応を進め、酸化反応終了後に生成した磁性体を洗浄、濾過、乾燥し、凝集している粒子を解砕し、磁性体を得た。その後、n−C1021Si(OCH33を得られた磁性体100質量部に対し、0.7質量部を用い気相中にて処理を行ない、表面処理磁粉体12を得た。得られた表面処理磁性体の処理剤及び、疎水化度を表1に示す。
【0397】
(表面処理磁性体の製造例13)
表面処理磁性体の製造例1において、添加する苛性ソーダ溶液の量及び反応条件を調製し酸化反応を進め、酸化反応終了後に生成した磁性体を洗浄、濾過、乾燥し、磁性体を得た。その後、得られた磁性体100質量部をγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランカップリング剤5.0質量部を含むトルエン溶液に分散させ、100℃で3時間熱処理を行うと共に、乾燥し表面処理磁性体13を得た。得られた表面処理磁性体の処理剤及び、疎水化度を表1に示す。
【0398】
(表面処理磁性体の製造例14)
表面処理磁性体の製造例1と同様に、酸化反応を進め、酸化反応終了後に生成した磁性体を洗浄、濾過、乾燥し磁性体を得た。その後、得られた磁性体を別の水系媒体中に投入し、水系媒体のpHを約6に調製し、十分乾燥しながらn−C1021Si(OCH33を磁性体100質量部に対し0.7質量部添加し、カップリング処理を行った生成した表面処理磁性体を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで凝集している粒子を解砕し、表面処理磁性体14を得た。得られた表面処理磁性体の処理剤及び、疎水化度を表1に示す。
【0399】
(磁性体の製造例1)
表面処理磁性体の製造例1と同様に、酸化反応を進め、酸化反応終了後に生成した磁性体を洗浄、濾過、乾燥し、凝集している粒子を解砕し、磁性体1を得た。
【0400】
【表1】
Figure 0004181752
【0401】
〈2〉導電性微粉体
(導電性微粉体例1)
体積平均粒径3.9μm、粒度分布における0.5μm以下が5.4体積%、5μm以上が9個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗80Ωcm、一次粒子径0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子を圧力により造粒して得られた物、白色)を風力分級して得られた、体積平均粒径2.6μm、粒度分布における0.5μm以下が3.8体積%、5μm以上が0個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗1500Ωcm)を導電性微粉体1とする。
【0402】
この導電性微粉体1は、走査型電子顕微鏡にて3000倍及び3万倍で観察したところ、0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜5μmの凝集体からなっていた。
【0403】
実施例の画像形成装置で画像露光に用いられるレーザビームスキャナの露光光波長740nmにあわせて、波長740nmの光源を用いて、この波長域における透過率をX−Rite社製310T透過型濃度計を用い測定したところ、この導電性微粉体1の透過率はおよそ35%であった。
【0404】
導電性微粉体例2
酸化スズ・アンチモンで表面処理された体積平均粒径2.6μmのホウ酸アルミニウムを風力分級によって粗粒子を除いた後に、水系媒体に分散しての濾過を繰り返し行うことで微粒子を除き、体積平均粒径3.3μm、粒度分布における0.5μm以下が0.3体積%、5μm以上が1個数%の灰白色の導電性微粉体を得た(抵抗40Ωcm)。
【0405】
これを導電性微粉体2とする。
【0406】
〈3〉磁性トナー
磁性トナー1の製造
イオン交換水709gに0.1M−Na3PO4水溶液451gを投入し60℃に加温した後、1.0M−CaC12水溶液67.7gを添加してCa3(PO42を含む水系媒体を得た。
【0407】
スチレン 78部
n−ブチルアクリレート 22部
ジビニルベンゼン 0.5部
飽和ポリエステル樹脂 数平均分子量10,000
酸価10mgKOH/g 5部
負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1部
表面処理磁性体1 90部
上記材料をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける最大吸熱ピークの極大値の温度が72℃)10部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔t1/2=140分、60℃条件下〕5質量部を溶解した。
【0408】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間攪拌し、造粒した。その後パドル攪拌翼で攪拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間攪拌を続けた。反応終了後、80℃で更に2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径7.3μmの磁性トナー粒子1を得た。
【0409】
この磁性トナー粒子100部と、個数平均一次粒径9nmの微粉体をヘキサメチルジシラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が200m2/gの疎水性シリカ微分体1.0部、導電性微粉体1を1.5部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い、攪拌羽根の周速を40m/secとして3分間混合し、重量平均粒径(D4)が7.3μmの磁性トナー1を調製した。磁性トナー1の物性を表2に示す。磁性トナー1の重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は、1.22であった。
【0410】
磁性トナー2の製造
導電性微粉体1のかわりに導電性微粉体2を用いた事以外は磁性トナー1の製造例と同様にして磁性トナー2を調製した。磁性トナー2の物性を表2に示す。
【0411】
磁性トナー3の製造
導電性微粉体1を用いなかった事以外は磁性トナー1の製造例と同様にして磁性トナー3を調製とした。磁性トナー3の物性を表2に示す。
【0412】
磁性トナー4の製造
表面処理磁性体2を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー4を調製した。磁性トナー4の物性を表2に示す。
【0413】
磁性トナー5の製造
表面処理磁性体3を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー5を調製した。磁性トナー5の物性を表2に示す。
【0414】
磁性トナー6の製造
表面処理磁性体4を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー6を調製とした。磁性トナー6の物性を表2に示す。
【0415】
磁性トナー7の製造
表面処理磁性体5を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー7を調製とした。磁性トナー7の物性を表2に示す。
【0416】
磁性トナー8の製造
表面処理磁性体6を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー8を調製とした。磁性トナー8の物性を表2に示す。
【0417】
磁性トナー9の製造
表面処理磁性体7を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー9を調製した。磁性トナー9の物性を表2に示す。
【0418】
磁性トナー10の製造
表面処理磁性体8を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー10を調製した。磁性トナー10の物性を表2に示す。
【0419】
磁性トナー11の製造
表面処理磁性体9を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー11を調製した。磁性トナー11の物性を表2に示す。
【0420】
磁性トナー12の製造
表面処理磁性体10を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー12を調製した。磁性トナー12の物性を表2に示す。
【0421】
磁性トナー13の製造
イオン交換水809gに0.1M−Na3PO4水溶液501gを投入し60℃に加温した後、1.07M−CaC12水溶液67.7gを徐々に添加してCa3(PO42を含む水系媒体を得た。
【0422】
スチレン 80質量部
n−ブチルアクリレート 20質量部
ジビニルベンゼン 0.5質量部
不飽和ポリエステル樹脂 数平均分子量18,000
酸価10 2質量部
飽和ポリエステル樹脂 数平均分子量17,000
酸価10 3質量部
負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1質量部
表面処理磁性体10 90質量部
エステルワックス(DSCの最大吸熱ピークの温度 72℃) 5質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。
【0423】
この単量体組成物を60℃に加温し、エステルワックス(DSCの最大吸熱ピークの温度72℃)6質量部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔t1/2=140分、60℃条件下〕3質量部を溶解した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間攪拌し、造粒した。その後パドル攪拌翼で攪拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間攪拌を続けた。反応終了後、80℃で更に2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径6.8μmの磁性トナー粒子を得た。
【0424】
この磁性トナー粒子100質量部と磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部をへンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い、攪拌羽根の周速を40m/secとして、3分間混合し、磁性トナー13を調製した。磁性トナー13の物性を表2に示す。
【0425】
磁性トナー14の製造
イオン交換水809gに0.1M−Na3PO4水溶液501gを投入し60℃に加温した後、1.07M−CaC12水溶液67.7gを徐々に添加してCa3(PO42を含む水系媒体を得た。
【0426】
スチレン 78部
n−ブチルアクリレート 22質量部
ジビニルベンゼン 0.3質量部
不飽和ポリエステル樹脂 数平均分子量18,000
酸価10mgKOH/g 1質量部
飽和ポリエステル樹脂 数平均分子量17,000
酸価10mgKOH/g 4質量部
負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1質量部
表面処理磁性体10 100質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける最大吸熱ピークの極大値72℃)10質量部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔t1/2=140分,60℃条件下〕3質量部を溶解した。
【0427】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間攪拌し、造粒した。その後パドル攪拌翼で攪拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間攪拌を続けた。反応終了後、80℃で更に2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径7.0μmの磁性トナー粒子を得た。
【0428】
この磁性トナー粒子100質量部と磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部をへンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い、攪拌羽根の周速を40m/secとして、3分間混合し、磁性トナー14を調製した。磁性トナー14の物性を表2に示す。
【0429】
磁性トナー15の製造
表面処理磁性体11を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー15を調製した。磁性トナー15の物性を表2に示す。
【0430】
磁性トナー16の製造
スチレン 65.0質量部
2−エチルへキシルアクリレート 35.0質量部
ジビニルベンゼン 0.5質量部
磁性体1 98.0質量部
磁性トナー1で用いた飽和ポリエステル 10質量部
上記処方をアトライターを用い均一に分散混合した。その後、60℃に加温し、磁性トナー1の製造で用いたエステルワックス10質量部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル3.5質量部を添加し、溶解した。
【0431】
次いで、リン酸三カルシウム4質量%の水性コロイド溶液650質量部を60℃に加温した後、上記の重合性単量体系222質量部を添加し、TKホモミキサーを用いて室温にて、回転数10000rpmで3分間乳化分散させた。
【0432】
その後、窒素雰囲気下にて攪拌を続けながら、85℃で10時間反応を行った後、室温まで冷却し、磁性トナー粒子分散液を得た。
【0433】
次に、スチレン13.0質量部、2−エチルへキシルアクリレート7.0質量部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部、ジビニルベンゼン0.2質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1質量部を水20質量部に投入し、超音波ホモジナイザーを用い分散させ、水乳濁液40.7質量部を得た。
【0434】
これを、前記磁性トナー粒子分散液中に滴下し、粒子を膨潤させた。その後、窒素雰囲気下にて攪拌を行い、85℃で10時間反応を行った。その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加え分散媒を溶解し、濾過、水洗、乾燥し、重量平均粒経7.8μmの磁性トナー粒子2を得た。
【0435】
この磁性トナー粒子2を100質量部、磁性体1を0.2質量部、磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、磁性トナー16を調製した。磁性トナー16の物性を表2に示す。
【0436】
磁性トナー17(比較例)の製造
磁性トナー16の製造で得た磁性トナー粒子2を100質量部、磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、磁性トナー17を調製した。磁性トナー17の物性を表2に示す。
【0437】
磁性トナー18(比較例)の製造
表面処理磁性体12を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー18を調製した。磁性トナー18の物性を表2に示す。
【0438】
磁性トナー19(比較例)の製造
表面処理磁性体13を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー19を調製した。磁性トナー19の物性を表2に示す。
【0439】
磁性トナー20(比較例)の製造
表面処理磁性体14を用いた事以外は磁性トナー3の製造例と同様にして磁性トナー20を調製した。磁性トナー20の物性を表2に示す。
【0440】
磁性トナー21(比較例)の製造
スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比78/22) 100質量部
飽和ポリエステル樹脂1 数平均分子量10,000
酸価10 5質量部
負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1質量部
表面処理磁性体 90質量部
実施例1で用いたエステルワックス 10質量部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級して重量平均粒径8.4μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対して磁性トナーの製造例1で使用したシリカ1.0部を加え、ヘンシェルミキサーを用い、攪拌羽板の周速を40m/secとし3分間混合し磁性トナー21を調製した。磁性トナー21の物性を表2に示す。
【0441】
【表2】
Figure 0004181752
【0442】
上記各磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さは、いずれも24〜26Am2/kgであった。また、各磁性トナーの樹脂成分のTHF不溶分は15〜30%であり、GPCにより測定した分子量分布のメインピークのピークトップの分子量はいずれも17000〜30000であった。
【0443】
磁性トナー22の製造
磁性トナー1の製造で得たトナー粒子1を100部と、個数平均一次粒径7nmをシリカにヘキサメチルジシラザンで処理し、処理後のBET値が280m2/gの疎水性シリカ微粉体0.8部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い、攪拌羽根の周速を40m/secとし3分間混合して、磁性トナー22を調製した。磁性トナー22の物性を表3に示す。
【0444】
磁性トナー23の製造
磁性トナー1の製造で得たトナー粒子1を100部と、個数平均一次粒径45nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで処理し、処理後のBET値が40m2/gの疎水性シリカ微粉体2.5部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い、攪拌羽根の周速を40m/secとし3分間混合して、磁性トナー23を調製した。磁性トナー23の物性を表3に示す。
【0445】
磁性トナー24の製造
磁性トナー1の製造で得たトナー粒子1を100部と、個数平均一次粒径90nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで処理し、処理後のBET値が25m2/gの疎水性シリカ微粉体4.0部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い、攪拌羽根の周速を40m/secとし3分間混合して、磁性トナー24を調製した。磁性トナー24の物性を表3に示す。
【0446】
磁性トナー25の製造
ヘンシェルミキサーの攪拌羽根の周速を30m/secとし2分間混合した事以外は磁性トナー1を製造と同様にして磁性トナー25を調製した。磁性トナー25の物性を表3に示す。
【0447】
磁性トナー26の製造
ヘンシェルミキサーの攪拌羽根の周速を20m/secとし1分間混合した事以外は磁性トナー1を製造と同様にして磁性トナー26を調製した。磁性トナー26の物性を表3に示す。
【0448】
磁性トナー27の製造
ヘンシェルミキサーの攪拌羽根の周速を40m/secとし10分間混合した事以外は磁性トナー1を製造と同様にして磁性トナー27を調製した。磁性トナー27の物性を表3に示す。
【0449】
磁性トナー28の製造
表面処理磁性体の量を40質量部とした事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー28を調製した。磁性トナー28の物性を表3に示す。
【0450】
磁性トナー29の製造
表面処理磁性体の量を160質量部とした事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー29を調製した。磁性トナー29の物性を表3に示す。
【0451】
【表3】
Figure 0004181752
【0452】
なお、上記各磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さは、磁性トナー28が16.1Am2/kgであり、磁性トナー29が36.0Am2/kg、その他の磁性トナーはいずれも24〜26Am2/kgであった。また、各磁性トナーのTHF不溶分は15〜30%であり、GPCにより測定した分子量分布のメインピークのピークトップの分子量はいずれも17000〜30000であった。
【0453】
磁性トナー30の製造
エステルワックスの量を0.8質量部とした事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー30を調製した。磁性トナー30の物性を表4に示す。
【0454】
磁性トナー31の製造
エステルワックスの量を35質量部とした事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー31を調製した。磁性トナー31の物性を表4に示す。
【0455】
磁性トナー32の製造
エステルワックス10質量部をポリエチレンワックス4質量部とした事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー32を調製した。磁性トナー32の物性を表4に示す。
【0456】
磁性トナー33の製造
エステルワックス10質量部をポリエチレンワックス10質量部とした事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー33を調製した。磁性トナー33の物性を表4に示す。
【0457】
磁性トナー34の製造
ジビニルベンゼンの量を0.1質量部とした事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー34を調製した。磁性トナー34の物性を表4に示す。
【0458】
磁性トナー35の製造
ジビニルベンゼンの量を0.2質量部とした事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー35を調製した。磁性トナー35の物性を表4に示す。
【0459】
磁性トナー36の製造
ジビニルベンゼンの量を1.0質量部とした事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー36を調製した。磁性トナー36の物性を表4に示す。
【0460】
磁性トナー37の製造
ジビニルベンゼンの量を1.2質量部とした事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー37を調製した。磁性トナー37の物性を表4に示す。
【0461】
磁性トナー38(比較例)の製造
ジビニルベンゼンの量を1.5質量部とした事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー38を調製した。磁性トナー38の物性を表4に示す。
【0462】
磁性トナー39(比較例)の製造
ジビニルベンゼンを添加せず、不飽和ポリエステルを1質量部添加した事以外は磁性トナー3の製造と同様にして磁性トナー39を調製した。磁性トナー39の物性を表4に示す。
【0463】
【表4】
Figure 0004181752
【0464】
上記各磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さは、いずれも24〜26Am2/kgであった。また、各磁性トナーのGPCにより測定した分子量分布のメインピークのピークトップの分子量はいずれも12000〜36000であった。
【0465】
実施例1(画出し試験)
感光体1の製造
感光体としては直径30mmのAlシリンダーを基体とした。これに、図4及び下記に示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、感光体1を作成した。
(1)導電性被覆層:酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚15μm。
(2)下引き層:変性ナイロン及び共重合ナイロンを主体とする。膜厚0.6μm。
(3)電荷発生層:長波長域に吸収を持つアゾ顔料をブチラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚0.6μm。
(4)電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法による分子量2万)に8:10の質量比で溶解したものを主体とし、さらにポリ4フッ化エチレン粉体(粒径0.2μm)を総固形分に対して10質量%添加し、均一に分散した。膜厚25μm。水に対する接触角は95度であった。
【0466】
接触角の測定は、純水を用い、装置は協和界面科学(株)の接触角計CA−X型を用いた。
【0467】
画像形成装置
画像形成装置として、キヤノン製レーザービームプリンタLBP−1760を改造して、上記実施の形態で示した図1と同様のものを用いた。像担持体としての感光体100には、上記の感光体1を用いた。
【0468】
この感光体に、帯電部材として導電性カーボンを分散しナイロン樹脂で被覆したゴムローラ帯電器117を当接させ(当接圧60g/cm)、直流電圧−680Vdcに交流電圧2.0kVppを重畳したバイアスを印加して、感光体上を一様に帯電した。帯電に次いで、レーザ光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成した。この時、暗部電位Vd=−680V、明部電位VL=−150Vとした。
【0469】
感光ドラムと現像スリーブとの間隙は230μmとし、磁性トナーのトナー担持体として、表面をブラストした直径16mmのアルミニウム円筒上に、下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.0μmの樹脂層を形成した現像スリーブ102を使用し、現像磁極85mT(850ガウス)、トナー規制部材として厚み1.0mm、自由長0.5mmのウレタン製ブレードを39.2N/m(40g/cm)の線圧で当接させた。
・フェノール樹脂 100質量部
・グラファイト(粒径約7μm) 90質量部
・カーボンブラック 10質量部
次いで、現像バイアスとして直流電圧Vdc=−450V、重畳する交番電界として5.22×106V/m、周波数2400Hzのものを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(198mm/sec)に対して順方向に110%のスピード(218mm/sec)とした。
【0470】
また、転写部材114としては、図3のような転写ローラ(導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24°、直径20mm、当接圧59N/m(60g/cm))を図3中A方向の感光体周速(94mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.5kVとした。
【0471】
定着方法としてはオイル塗布機能のない、フィルムを介してヒータにより加熱加圧定着する方式の定着装置126を用いた。加圧ローラはフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ローラの直径は30mmである。また、定着温度は240℃、ニップ幅を7mmに設定した。
【0472】
最初に、磁性トナー1を使用し、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、低温低湿環境下(15℃、10%RH)、及び高温高湿環境下(30℃、80%RH)において、印字率4%の縦線のみからなる画像パターンで6000枚の画出し試験を行った。なお、転写材としては75g/m2の紙を使用し、トナー充填量は400gとした。また、低温低湿環境では、初期の画出し後、Fox River Bond紙を用い、ハーフトーン画像を得て、定着性の評価も行った。
【0473】
その結果、磁性トナー1では、初期において高い転写性を示し、転写中抜け、ゴーストもなく、非画像部へのカブリのない良好な画像が得られた。定着性についても良好であり、オフセットも発生しなかった。評価結果を表5、表6、表7に示す。
【0474】
【表5】
Figure 0004181752
【0475】
【表6】
Figure 0004181752
【0476】
【表7】
Figure 0004181752
【0477】
本発明の実施例並びに比較例に記載の評価項目とその判断基準について以下に述べる。
【0478】
画像濃度
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて判定を行った。
【0479】
転写効率
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。
【0480】
【外7】
Figure 0004181752
【0481】
上記の計算結果から得られた転写効率を以下の基準で判断した。
A:転写効率が96%以上。
B:転写効率が92%以上、96%未満。
C:転写効率が89%以上、92%未満。
D:転写効率が89%未満。
【0482】
画質
画質の判断基準は、画像の均一性、細線再現性を総合的に評価したものである。
【0483】
画像の均一性はべた黒画像、ならびに、ハーフトーン画像の均一性で判断を行う。
A:細線再現性、画像の均一性に優れ、鮮明な画像。
B:細線再現性、画像の均一性が若干劣るものの、良好な画像。
C:実用的には問題の無い画質。
D:細線再現性、画像の均一性が悪く、実用上好ましくない画像。
【0484】
カブリ
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下式より算出した。
【0485】
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
カブリの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上、2.5%未満)
C:普通(2.5%以上、4.0%未満)(実用上問題の無いレベル)
D:悪い(4%以上)
定着性
定着性は低湿低温環境下で得たハーフトーン画像に50g/cm2の荷重をかけ、柔和な薄紙により定着画像を5往復摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)で評価した。
A:10%未満
B:10%以上、20%未満
C:20%以上、30%未満
D:30%以上
耐オフセット性
耐オフセット性は、耐久試験後の画像上及び紙裏の汚れの程度により評価した。
A:汚れは未発生。
B:かすかに汚れが見られる。
C:若干の汚れが見られる。
D:顕著な汚れが発生。
【0486】
実施例2〜16
トナーとして、磁性トナー2〜16を使用し、実施例1と同様の条件で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、初期の画像特性も問題無く、各環境共に印字6000枚までいずれも大きな問題の無い結果が得られた。結果を表5乃至7に示す。
【0487】
比較例1〜5
トナーとして、磁性トナー17〜21を使用し、実施例1と同様の画像形成方法で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、耐久試験と共に画像濃度、転写効率の低下、カブリ、ゴースト、画質の悪化が生じた。これは鉄及び鉄化合物の遊離率が高い、あるいは磁性トナーの平均円形度が低い為であると考えられる。結果を表5乃至7に示す。
【0488】
実施例17〜24
磁性トナー22〜29を使用し、実施例1と同様の条件で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、初期の画像特性はいずれも問題が無く、各環境共に印字6000枚まで、いずれのトナーも大きな問題の無い結果が得られた。評価結果を表8乃至10に示す。
【0489】
【表8】
Figure 0004181752
【0490】
【表9】
Figure 0004181752
【0491】
【表10】
Figure 0004181752
【0492】
実施例25〜32
磁性トナー30〜37を使用し、実施例1と同様の条件で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、初期の画像特性はいずれも問題が無く、各環境共に印字6000枚まで、いずれのトナーも大きな問題の無い結果が得られた。また、定着性、耐オフセット性に関しても、大きな問題の無いレベルであった。評価結果を表11乃至12に示す。
【0493】
比較例6、7
磁性トナー38、39を使用し、実施例1と同様の条件で両出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、磁性トナー38においては初期の画像特性は問題が無く、各環境共に印字6000枚まで大きな問題の無い結果が得られた。磁性トナー39では、高温高湿環境下で、耐久劣化による画像濃度の低下、転写性の悪化が生じた。また、いずれのトナーにおいても、定着性、または、耐オフセット性が悪く、実用上好ましく無いものであった。評価結果を表11乃至13に示す。
【0494】
【表11】
Figure 0004181752
【0495】
【表12】
Figure 0004181752
【0496】
【表13】
Figure 0004181752
【0497】
実施例33
本発明の磁性トナーは、クリーナレス画像形成方法あるいは現像−クリーニング(回収)工程を有する画像形成方法にも適用可能である。以下、具体的実施例によって本発明の画像形成方法を説明するが本発明はなんらこれに限定されるものではない。
【0498】
感光体2の製造
感光体は負帯電用の有機光導電性物質を用いた感光体であり、直径30mmのアルミニウム製のシリンダーを基体とした。これに、図5及び下記に示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、感光体2を作成した。
(1)第1層は導電層であり、アルミニウム基体の欠陥をならすため、またレーザ露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電性粒子分散樹脂層(酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする)である。
(2)第2層は正電荷注入防止層(下引き層)であり、アルミニウム基体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果し、メトキシメチル化ナイロンによって106Ωcm程度に低抗調整された厚さ約1μmの中低抗層である。
(3)第3層は電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料をブチラール樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザ露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
(4)第4層は電荷輸送層であり、ポリカーボネート樹脂にヒドラゾン化合物を分散した厚さ約25μmの層であり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
(5)第5層は電荷注入層であり、光硬化性のアクリル樹脂に導電性酸化スズ超微粒子及び粒径約0.25μmの四フッ化エチレン樹脂粒子を分散したものである。具体的には、アンチモンをドーピングし低抵抗化した粒径約0.03μmの酸化スズ粒子を樹脂に対して100質量%、更に四フッ化エチレン樹脂粒子を20質量%、分散剤を1.2質量%分散したものである。このようにして調製した塗工液をスプレー塗工法にて厚さ約2.5μmに塗工し、光照射により硬化させて電荷注入層とした。
【0499】
得られた感光体の表面の抵抗は、5×1012Ωcm、感光体表面の水に対する接触角は、102度であった。
【0500】
帯電部材の製造
直径6mm、長さ264mmのSUSローラを芯金とし、芯金上にウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成し、さらに切削研磨し形状及び表面性を整え、可撓性部材である、直径12mm、長さ234mmの帯電ローラを作成した。
【0501】
得られた帯電ローラは、低抗が105Ωcmであり、硬度は、アスカーC硬度で30度であった。また、この帯電ローラ表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均セル径は約100μmで、空隙率は60%であった。
【0502】
画像形成装置
図6は本発明に従う画像形成装置の一例の概略構成模型図である。実施例33で用いる画像形成装置は、転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)である。クリーニングブレード等のクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカードリッジを有し、磁性トナーとしては磁性トナー1を使用し、磁性トナー担持体上のトナー層と像担持体が非接触となるよう配置される非接触現像の例である。
【0503】
(1)本実施例プリンタの全体的な概略構成
像担持体としての、上記感光体2を用いた回転ドラム型OPC感光体21は、矢印のX方向に198mm/secの周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0504】
接触帯電部材としての上記帯電部材である帯電ローラ22は、感光体21に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体21と帯電ローラ22の当接部である。本例では、帯電ローラ22は感光体21との接触面である当接部nにおいて対向方向(矢印Y方向)に100%の周速で回転駆動されている。即ち接触帯電部材としての帯電ローラ22の表面は感光体21の表面に対して速度差を持たせた。また、帯電ローラ22の表面には、塗布量がおよそ1×104個/mm2で均一になるように前記導電性微粉体1を塗布した。
【0505】
帯電ローラ22の芯金22aには帯電バイアス印加電源から−700Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加するようにした。本例では感光体21の表面は帯電ローラ22に対する印加電圧とほぼ等しい電位(−680V)に直接注入帯電方式にて一様に帯電処理される。これについては後述する。
【0506】
23はレーザダイオード・ポリゴンミラー等を含むレーザビームスキャナ(露光器)である。このレーザビームスキャナは目的の画像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザ光を出力し、該レーザ光で上記感光体21の一様帯電面を走査露光Lする。この走査露光Lにより回転感光体21の一面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0507】
24は現像器である。感光体21の表面の静電潜像はこの現像器によりトナー像として現像される。本例の現像器24においては、磁性トナーとして実施例1で使用した磁性トナー1を用いた、非接触型の反転現像装置である。磁性トナー1には導電性微粉体1が外添添加されている。
【0508】
感光ドラム21と現像スリーブ24aとの間隙は230μmとし、磁性トナー担持体24aとして、表面をブラストした直径16mmのアルミニウム円筒上に、下記の構成のJIS中心線平均粗さ(Ra)1.0μmの樹脂層(層厚約7μm)を形成した現像スリーブを使用し、現像磁極85mT(850ガウス)のマグネットロールを内包し、トナー規制部材24cとして厚み1.0mm、自由長0.5mmのウレタン製ブレードを39.2N/m(40g/cm)の線圧で当接させた。
・フェノール樹脂 100質量部
・グラファイト(粒径約7μm) 90質量部
・カーボンブラック 10質量部
また、感光体21との対向部である現像部a(現像領域部)にて感光体21の回転方向と順方向(矢印W方向)に感光体21の周速の120%の周速で回転させる。この現像スリーブ24aに弾性ブレード24cにより磁性トナーが薄層にコートされる。磁性トナーは弾性ブレード24cで現像スリーブ24aに対する層厚が規制され、また電荷が付与される。この時、現像スリーブ24aにコートされた磁性トナー量は、15g/mm2であった。
【0509】
現像スリーブ24aにコートされた磁性トナーはスリーブ24aの回転により、感光体21とスリーブ24aの対向部である現像部aに搬送さされる。また、現像スリーブ24aには現像バイアス印加電源より現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は、−450Vの直流電圧と、周波数1800Hz,5.22×106v/mの交番電界を重畳したものを用い、現像スリーブ24aと感光体21の間aで1成分ジャンピング現像を行なわせた。
【0510】
接触転写手段としての中抵抗の転写ローラ25は、感光体に98N/m(100g/cm)の線圧で圧接させて転写ニップbを形成させてある。この転写ニップ部bに不図示の給紙部から所定のタイミングで記録媒体としての転写材Pが給紙され、かつ転写ローラ25に転写バイアス印加電源から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光体21側のトナー像が転写ニップ部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0511】
本例ではローラ抵抗値は5×108Ωcmのものを用い、+3000Vの直流電圧を印加して転写を行なった。即ち、転写ニップ部bに導入された転写材Pはこの転写ニップ部bを挟持搬送されて、その表面側に感光体21の表面に形成担持されているトナー像が順次に静電気力と押圧力によって転写されていく。
【0512】
26は熱定着方式等の定着器である。転写ニップ部bに給紙されて感光体21側のトナー像の転写を受けた転写材Pは感光体1の表面から分離されてこの定着装置26に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0513】
本例のプリンタはクリーニングユニットを除去しており、転写材Pに対するトナー像転写後の感光体21の表面に残留の転写残トナーはクリーナで除去されることなく、感光体21の回転にともない帯電部nを経由して現像部aに至り、現像装置24において現像とトナーの回収がおこなわれる現像−クリーニング工程が実施される。
【0514】
27はプリンタ本体に対して着脱自在の画像形成装置及びプロセスカートリッジである。本例のプリンタは、感光体21、帯電ローラ22、現像器24の3つのプロセス機器を一括してプリンタ本体に対して着脱自在の画像形成装置及びプロセスカートリッジとして構成してある。画像形成装置及びプロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせ等は上記に限られるものではなく任意である。28はプロセスカートリジの着脱案内・保持部材である。
【0515】
(2)本実施例における導電性微粉体の挙動について
現像器24中の磁性トナーに混入させた導電性微粉体は、現像器24による感光体21側の静電潜像のトナー現像時にトナーとともに適当量が感光体21側に移行する。
【0516】
感光体21上のトナー像は転写部bにおいて転写バイアスの影響で記録媒体である転写材P側に引かれて積極的に転移するが、感光体21上の導電性微粉体は導電性であることで転写材P側には積極的には転移せず、感光体21上に実質的に付着保持されて残留する。
【0517】
本例においては、画像形成装置はクリーニング工程を有さないため、転写後の感光体21の表面に残存の転写残トナーおよび上記の残存導電性微粉体は感光体21と接触帯電部材である帯電ローラ22の当接部である帯電部nに感光体21面の移動でそのまま持ち運ばれて、帯電ローラ22に付着或いは混入する。したがって、感光体21と帯電ローラ22との当接部nにこの導電性微粉体が存在した状態で感光体21の直接注入帯電が行なわれる。
【0518】
この導電性微粉体の存在により、帯電ローラ22にトナーが付着・混入した場合でも、帯電ローラ22の感光体21への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該帯電ローラ22による感光体21の直接注入帯電を行なわせることができる。
【0519】
帯電ローラ22が導電性微粉体を介して密に感光体21に接触して、帯電ローラ22と感光体21の相互接触面に存在する導電性微粉体が感光体21表面を隙間なく摺擦することで、帯電ローラ22による感光体21の帯電は導電性微粉体の存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来のローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、帯電ローラ22に印加した電圧とほぼ同等の電位を感光体21に与えることができる。
【0520】
また帯電ローラ22に付着或いは混入した転写残トナーは帯電ローラ22から徐々に感光体21上に吐き出されて感光体21面の移動とともに現像部に至り、現像手段において現像−クリーニング(回収)工程が実施される。
【0521】
現像−クリーニング工程は、転写後に感光体21上に残留したトナーを、引き続く画像形成工程の現像時、即ち引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、該潜像の現像時において、現像装置のかぶり取りバイアス、即ち現像器に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vbackによって回収するものである。本実施例におけるプリンタのように反転現像の場合では、この現像−クリーニング工程は、現像バイアスによる感光体の暗部電位から現像スリーブにトナーを回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位、トナーを付着させる電界の作用でなされる。
【0522】
また、画像形成装置が稼働されることで、現像器24の磁性トナー中に準入させてある導電性微粉体が現像部aで感光体21面に移行し該像担持面の移動により転写部bを経て帯電部nに持ち運ばれて帯電部nに新しい導電性微粉体が逐次に供給され続けるため、帯電部nにおいて導電性微粉体が脱落等で減少したり、該粉体が劣化するなどしても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0523】
接触帯電方式、転写方式、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置において、接触帯電部材として簡易な帯電ローラ22を用いて、しかも該帯電ローラ22の転写残トナーによる汚染にかかわらず、低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、均一な帯電性を与えることが出来、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置を得ることができる。
【0524】
また、前述のように導電性微粉体は帯電性を損なわないために、電気低抗値が1×109Ωcm以下である必要がある。そのため、現像部aにおいて磁性トナーが直接感光体21に接触する接触現像器を用いた場合には、現像剤中の導電性微粉体を通じて、現像バイアスにより感光体21に電荷注入され、画像かぶりが発生してしまう。
【0525】
しかし、本例では現像器は非接触型現像器であるので、現像バイアスが感光体21に注入されることがなく、良好な画像を得ることが出来る。また、現像部aにおいて感光体21への電荷注入が生じないため、ACのバイアスなど現像スリーブ24aと感光体21間に高電位差を持たせることが可能であり、導電性微粉体が均等に現像されやすく、均一に導電性微粉体を感光体21表面に塗布し、帯電部で均一な接触を行い、良好な帯電性を得ることが出来、良好な画像を得ることが可能となる。
【0526】
帯電ローラ22と感光体21との接触面nに導電性微粉体を介在させることにより、該導電性微粉体の潤滑効果(摩擦低減効果)により帯電ローラ22と感光体21との間に容易に効果的に速度差を設けることが可能となる。
【0527】
帯電ローラ22と感光体21との間に速度差を設けることにより、帯電ローラ22と感光体21の相互接触面部nにおいて導電性微粉体が感光体21に接触する機会を格段に増加させ、高い接触性を得ることができ、良好な直接注入帯電を可能としている。
【0528】
本実施例では、帯電ローラ22を回転駆動し、その回転方向は感光体21表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することで、帯電部nに持ち運ばれる感光体21上の転写残トナーを帯電ローラ22に一時的に回収し均す効果を得ている。即ち、逆方向回転で感光体21上の転写残トナーを一旦引離し帯電を行なうことにより優位に直接注入帯電を行なうことが可能である。
【0529】
更に、本実施例では像担持体としての感光ドラム21と接触帯電部材としての帯電ローラ22との当接部nにおける適当な量の導電性微粉体の介在によって、導電性微粉体による潤滑効果により帯電ローラ22と感光ドラム21との摩擦を低減し、帯電ローラ22を感光ドラム21に速度差を持って回転駆動させることが容易である。つまり、駆動トルクが低減し、帯電ローラ22や感光ドラム21の表面の削れ或いは傷を防止できる。更に該粒子による接触機会増加により十分な帯電性能が得られる。また、導電性微粉体の帯電ローラ22からの脱落よる作像上に悪影響もない。
【0530】
(3)評価
本実施例では、常温常湿環境下(23℃、60%RH)低温低湿環境下(15℃、10%RH)及び、高温高湿環境(30℃、80%RH)においてトナーカートリッジ内に磁性トナー1を400g充填し、画出し試験を行った。感光体としては最表面層の体積抵抗が5×1012Ωcmの上述の感光体2を用い、転写材としては75g/m2の紙を使用した。初期画像特性においては、帯電不良に起因するカブリは見られず、解像性の高い良好な画像濃度が得られた。この時、直接注入帯電後感光体電位は、印加帯電バイアス−700Vに対して−680Vであった。次に、印字率4%の縦線のみからなる画像パターンで耐久性の評価を行った。その結果、6000枚のプリント後まで帯電不良に起因する画像欠陥を生じず、良好な直接注入帯電性が得られた。
【0531】
また、6000枚のプリント後の直接注入帯電後感光体電位は、印加帯電バイアス−700Vに対して−660Vであり、初期からの帯電性の低下は20Vと軽微であり、帯電性の低下による画像品質の低下は認められなかった。得られた結果を表14乃至16に示す。
【0532】
評価項目及び、評価基準は実施例1と同様である。
【0533】
また、像担持体と接触帯電部材との当接部における導電性微粉体の存在量は前述の方法で測定した。
【0534】
実施例34
実施例33で用いた磁性トナー1の代わりに、磁性トナー2を用いた事以外は、実施例33と同様に画出し試験を行った。評価結果を14乃至16に示す。
【0535】
【表14】
Figure 0004181752
【0536】
【表15】
Figure 0004181752
【0537】
【表16】
Figure 0004181752
【0538】
【発明の効果】
本発明の磁性トナーを用いることにより、良好な定着性を有し、環境安定性、帯電安定性に優れ、長期の使用においても画像濃度が高く、高精細な画像を得ることが出来る。
【0539】
更に、本発明の磁性トナーを用いた接触帯電方法及び磁性一成分現像方法から成る画像形成方法、及び接触帯電方式、当接転写方式、トナーリサイクルプロセスを用いる画像形成方法においても、トナーの性能劣化が無いため、繰り返し使用においても良好な画像を長期間安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた画像形成装置の一例
【図2】一成分現像用現像器の一例
【図3】接触転写部材の一例を示す概略図
【図4】感光体の層構成模型図
【図5】本発明に用いる感光体の構成の一例
【図6】実施例33で用いた画像形成装置の概略構成図
【符号の説明】
11 アルミ基体
12 導電層
13 注入防止層
14 電荷発生層
15 電荷輸送層
16 電荷注入層
16a 導電粒子(導電フィラー)
21,100 感光体(像担持体、被帯電体)
22 帯電部材
22a 芯金
23,121 レーザービームスキャナ(潜像形成手段、露光装置)
24 現像器
24a,102 現像スリーブ(現像担持体)
24b,141 攪拌部材
24c,103 弾性ブレード(層規制部材)
25,114 転写ローラ
26 定着器
26a ヒータ
26b 定着フィルム
26c 加圧ローラ
27 プロセスカートリッジ
34a 芯金
34b 弾性層
104 マグネットローラ
116 クリーナ
117 帯電ローラ(接触帯電部材)
124 給紙ローラ
125 搬送部材
126 定着器
140 現像器

Claims (52)

  1. 静電潜像を顕像化するための磁性トナーであって、
    磁性酸化鉄を含む磁性体と結着樹脂と離型剤とを少なくとも含有するトナー粒子を有し、
    重量平均粒径が3〜10μmであり、
    該磁性トナーは、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さ(飽和磁化)が10〜50Am2/kg(emu/g)であり、
    該磁性トナーの平均円形度が0.970以上であり、
    該磁性トナーの重量平均粒径/個数平均粒径の比が1.40以下であり、
    前記トナー粒子から遊離した鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜3.00%であり、
    前記磁性トナーの樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)不溶分が3〜60質量%であることを特徴とする磁性トナー。
  2. 前記磁性トナーのモード円形度が0.99以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
  3. 前記磁性トナーの粒度分布において、重量平均粒径/個数平均粒径の比が1.35以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性トナー。
  4. 前記鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜2.00%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  5. 前記鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜1.50%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  6. 前記鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜1.20%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  7. 前記鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜0.80%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  8. 前記鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜0.60%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  9. 前記磁性トナーは、離型剤を結着樹脂に対し1〜30質量%含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  10. 前記離型剤の示差走査分析による吸熱ピークは、40〜110℃であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  11. 前記離型剤の示差走査分析による吸熱ピークは、45〜90℃であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  12. 前記磁性トナーの樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)不溶分が5〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  13. 前記磁性トナーは、トナーのTHF可溶分のゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量分布において、分子量5000〜50000の範囲にメインピークのピークトップが存在することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  14. 前記磁性トナーは、前記トナー粒子表面に無機微粉体をさらに有し、該無機微粉体の個数平均1次粒径は4〜80nmであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  15. 前記無機微粉体は、シリカ、酸化チタン、アルミナから選ばれる少なくとも1種以上の無機微粉体またはその複合酸化物であることを特徴とする請求項14に記載の磁性トナー。
  16. 前記無機微粉体は、シリカであることを特徴とする請求項14に記載の磁性トナー。
  17. 前記無機微粉体は、疎水化処理されたものであることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  18. 前記無機微粉体は、少なくともシリコーンオイルで処理されたものであることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  19. 前記無機微粉体は、少なくともシラン化合物で処理されると同時に、もしくはその後に、シリコーンオイルで処理されたものであることを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  20. 前記シリカの遊離率が0.1〜2.0%であることを特徴とする請求項16〜19のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  21. 前記シリカの遊離率が0.1〜1.5%であることを特徴とする請求項16〜19のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  22. 前記磁性トナーは、前記トナー粒子の表面にトナーの重量平均粒径よりも小さい体積平均粒径の導電性微粉体をさらに有することを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の記載の磁性トナー。
  23. 前記導電性微粉体の抵抗は1×109Ωcm以下であることを特徴とする請求項22に記載の磁性トナー。
  24. 前記導電性微粉体の抵抗は1×10 Ωcm以下であることを特徴とする請求項22に記載の磁性トナー。
  25. 前記導電性微粉体が非磁性であることを特徴とする請求項22〜24のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  26. 前記導電性微粉体の遊離率が5.0〜50.0%であることを特徴とする請求項22〜25のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  27. 前記磁性体の体積平均粒径は0.05〜0.40μmであることを特徴とする請求項1〜26のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  28. 前記磁性体の粒度分布において、体積平均変動係数が35以下であることを特徴とする請求項1〜27のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  29. 前記磁性体は、カップリング剤で表面疎水化処理されたものであることを特徴とする請求項1〜28のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  30. 前記磁性体は、水系媒体中でカップリング剤で表面疎水化処理されたものであることを特徴とする請求項29に記載の磁性トナー。
  31. 像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより、像担持体を帯電する帯電工程と、
    前記像担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込む静電潜像形成工程と、
    前記静電潜像を担持する前記像担持体と表面に請求項1〜30のいずれか一項記載の磁性トナーを担持するためのトナー担持体とを一定の間隔を設けて配置することにより現像部を形成し、前記磁性トナーを前記トナー担持体表面に前記間隔よりも薄い厚さにコートし、交番電界が形成されている現像部において前記磁性トナーを前記静電潜像に転移させて現像することによりトナー像を形成する現像工程と、
    前記トナー像を中間転写体を介して、または、介さずに転写材に転写する転写工程とを有し、前期各工程を繰り返して画像形成を行うことを特徴とする画像形成方法。
  32. 前記現像工程は、トナー像が転写材上に転写された後に像担持体に残留した前記磁性トナーを回収するクリーニング工程を兼ねていることを特徴とする請求項31に記載の画像形成方法。
  33. 前記帯電工程において、少なくとも帯電部材と像担持体の当接部及び/又は近傍に、導電性微粉体が介在することを特徴とする請求項31〜32のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  34. 前記帯電工程は、前記帯電部材と前記像担持体との当接部に1×103個/mm2以上の導電性微粉体が介在した状態で像担持体を帯電する工程であることを特徴とする請求項31〜33のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  35. 前記帯電工程は、前記当接部を形成する前記帯電部材の表面の移動速度と前記像担持体の表面の移動速度が、相対的速度差を有しつつ像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする請求項31〜34のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  36. 前記帯電工程は、前記帯電部材と前記像担持体が互いに逆方向に移動しつつ像担持体を帯電させる工程であること特徴とする請求項31〜35のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  37. 前記帯電工程は、前記帯電部材がアスカーC硬度が50度以下のローラ部材であり、このローラ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする請求項31〜36のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  38. 前記帯電工程は、前記帯電部材が少なくとも表面が球形換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを有し、前記窪みを空隙部としたときの表面の空隙率が15〜90%であるローラ部材であり、このローラ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする請求項31〜37のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  39. 前記帯電工程は、体積抵抗値1×103〜1×108Ωcmの帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする請求項31〜38のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  40. 前記帯電工程は、前記帯電部材が導電性を有するブラシ部材であり、このブラシ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする請求項31〜36のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  41. 前記帯電工程は、前記帯電部材に直流電圧または2×Vth(Vth:直流電圧印加における放電開始電圧)(V)未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより、像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする請求項31〜40のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  42. 前記帯電工程は、前記帯電部材に直流電圧またはVth(V)未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする請求項31〜40のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  43. 前記像担持体の最表面層の体積抵抗値は、1×109〜1×1014Ωcmであることを特徴とする請求項31〜42のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  44. 前記像担持体の最表面層は、少なくとも金属酸化物からなる導電微粒子が分散された樹脂層であることを特徴とする請求項31〜43のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  45. 前記像担持体の表面の水に対する接触角は、85度以上であることを特徴とする請求項31〜44のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  46. 前記像担持体の最表面層は、フッ素系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子又はポリオレフィン系樹脂粒子から選ばれる少なくとも一種以上の滑剤微粒子が分散された樹脂層であることを特徴とする請求項31〜45のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  47. 前記像担持体は、光導電性物質を利用した感光体であることを特徴とする請求項31〜46のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  48. 前記静電潜像形成工程において、像露光により像担持体に静電潜像を形成させることを特徴とする請求項31〜47のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  49. 前記現像工程は、前記トナー担持体上に5〜50g/m2のトナー層を形成し、トナー層から磁性トナーを像担持体に転移させトナー像を形成する工程であることを特徴とする請求項31〜48のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  50. 前記現像工程において、像担持体と前記トナー担持体との前記間隔は100〜1000μmであることを特徴とする請求項31〜49のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  51. 前記現像工程は、前記トナー担持体と像担持体との間に、少なくとも交流電圧交番電界を現像バイアスとして印加して、像担持体の静電潜像に前記磁性トナーを転移させてトナー像を形成する工程であり、前記交流電圧交番電界はピークトゥーピークの電界強度で3×106〜10×106v/m、周波数500〜5000Hzであることを特徴とする請求項31〜50のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  52. 前記転写工程は、転写部材が転写時に転写材を介して像担持体に当接しており、像担持体上のトナー像を転写材に転写させる工程であることを特徴とする請求項31〜51のいずれか一項に記載の画像形成方法。
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