JP4179674B2 - 車両のホイールアライメント調整方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両のホイールアライメント調整方法に係り、特に、被転動面上で車両のタイヤ付き車輪を転動させると共に前記タイヤを変形させてタイヤに発生する力を測定し、測定結果に基づいて車輪の姿勢角を調整することにより、車両の走行安定性の向上及びタイヤの片磨耗の低減を図る車両のホイールアライメント調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に車輪には、車両の走行安定性を確保するためにキャンバー角が付与されており、このキャンバー角の付与による片磨耗(磨耗タイヤの磨耗状態を観察すると、一方のトレッド肩部から他方のトレッド肩部にかけての磨耗量がテーパ状に変化しており、換言すれば、片方のトレッド肩部がトレッド中央部並びに反対側のトレッド肩部よりも磨耗量が多い状態の偏磨耗を、本明細書では「片磨耗」と称している)を防止するためにトー角が付与されている。
【0003】
また逆に、車両のフロントタイヤ及びリアタイヤに発生する力をバランスさせ、車両の走行安定性を確保するためにトー角を付与し、付与したトー角による片磨耗を防止するためにキャンバー角を付与したり、或いはトー角及びキャンバー角を組み合わせて、車両の構造寸法等の制約の下で車両の走行安定性とタイヤの片磨耗を最小化する調整が行われている。
【0004】
従って、車両走行時の走行安定性及びタイヤの耐片磨耗性を向上させるには、各車輪に付与されている姿勢角であるトー角及びキャンバー角を調整することが重要になる。従来のトー角及びキャンバー角の調整方法は、各車輪毎に角度や寸法を測定し、測定した角度や寸法が車両設計時に設定された目標値に一致するように、トー角及びキャンバー角を調整することが一般的であった。
【0005】
しかしながら、タイヤは、タイヤの内部構造に起因して発生するプライステアー、車輪の回転方向と車両の進行方向とが異なることでタイヤが進行方向に対し角度を持つことにより発生するトーの力、接地面内で進行方向と力の作用点がずれることにより発生するセルフアライニングトルク、車輪に付与されたキャンバー角によりタイヤが変形しタイヤの内部構造によるタイヤの剛性との関係で発生するキャンバースラスト、並びに接地面の左右の長さの違いにより発生するキャンバーモーメント、工業製品として本来的に有している形状上の製造誤差から生じるコニシティー、内部の構造及びゴム等の部材によって異なる転がり抵抗等の特性があるが、これらの特性は車輪に加わる荷重に依存して各々変化する特性を有しており、かつタイヤの種類によってもその特性が異なっている。
【0006】
つまり、前述した力はタイヤの変形によって発生しており、タイヤが進路を制御しながら車両を走行させるために発生している力は、前述した力の総和であるので、タイヤの種類のみならず、そのタイヤが取付けられている車両の荷重分布や車輪の姿勢角によって異なってくることになる。従って、車両の高速化並びに高度の直進安定性の要求に応えるには、より高い走行安定性と耐片磨耗性が得られる姿勢角の調整方法が必要になるが、これを実現するためにはタイヤの特性に基づく調整方法を確立する必要がある。
【0007】
タイヤの特性に着目した従来の調整方法としては、複数本のローラを用いて車輪を駆動し、ローラに発生する力を各々測定し、測定した力の向きと大きさに基づいてトー角及びキャンバー角を測定する技術が知られている(特公昭 51-1868号公報参照)。しかしながら、タイヤと路面とが接触したときに発生する力は、タイヤと路面との接触形状によって異なることが確認されている。これに対し、タイヤとローラとの接触形状は、タイヤと実路面との接触形状と大きく異なるため、発生する力の特性もローラ上と路面上では大きく異なっている。
【0008】
すなわち、ローラ上で発生する力は、プライステアーとトー角付与による横力については類似するものの、姿勢角と力の大きさとが大きく異なっており、またキャンバースラストは殆ど検出できない。加えて実路面上に無数に存在する凹凸による外乱によってタイヤが受ける変形に起因してタイヤに発生する力は検出できない。
【0009】
従って、上記の従来技術では、測定した力が実路面上における値とは異なった値を示し、測定値を実路面上における値に修正するには、個々のタイヤの実路面上での特性を示すデータが必要となるため、現実的には汎用性に乏しい。また、姿勢角をどのような角度に調整すれば最適になるかに関する技術的提示はなされていない。
【0010】
また、複数のローラによって車輪を駆動し、発生する横力を略0とすることによって高い走行安定性を得ようとする技術が知られている(特開平7-5076号公報参照)。この技術では、発生する横力を0にする場合、キャンバー角が付与された車輪ではキャンバースラストの方向と逆方向の力を発生させるような姿勢角を車輪に与えることになる。
【0011】
当該技術においても、ローラとタイヤの接触面は前述の場合と同様に実路面上とは異なるためキャンバースラストの検出は殆どできない。加えて、横力を0とするためには、車輪が転動することによって発生する力を相殺するために、車両が走行することによって発生する路面からの力を、車輪が発生する力と反対の方向に加える必要がある。この場合、タイヤの接地面の変形は静止状態よりも更に大きくなるため、タイヤの片磨耗を発生させる原因となる。
【0012】
また、ベルト等を用いた略平面上で車輪を転動させ、車輪が発生する力を検出してその力に基づき車輪の姿勢角を調整する方法(特開平8-334440号公報参照)も提案されている。しかし、実路面は無数の凹凸により形成されており、タイヤは、この無数の凹凸によって常に変形を受けると共に、比較的周期の長い凹凸においては各車輪に加わる荷重が変動することによって変形を受け、路面との接触により発生する力及び変形による力の影響を受けながら走行している。これに対し、ベルト等により形成された略平面上で検出できる力は前者の力のみであって、かつ従来の手法では実路面上で発生する荷重の変動が加味されておらず、実路面走行時に発生している力の一部しか検出できない。従って、略平面上で荷重変動を加味しない条件で検出した力に基づいて車輪の姿勢角を調整したとしても、平面性が非常に高い路面を直進する際の走行安定性の向上には寄与するが、その他の走行特性並びに片磨耗に対しては対応できない。
【0013】
すなわち、実路面を走行中のタイヤには発生メカニズムが異なる力が発生し、この力はタイヤの特性によって異なっているにも拘らず、従来は、(1) 特定のタイヤを使用して車両を実際に走行させ、片磨耗が少なくかつ走行安定性を損なわない角度を経験的に求め、そこで得られた角度に調整する、(2) 平面上で測定された力が相殺されて最小(略0)となるように調整する、(3) 平面又はローラ上で測定された特定の力のみを最小(略0)にする、又は、(4) 何等かの方法により得られた角度に調整する方法であるため、多様な車両と多様なタイヤの組み合わせに使用できる方法ではなかった。
【0014】
また、本願出願人は、車両の車輪が段差を通過するときにタイヤに発生する前後力及び横力を測定し、前後力が最大又は最大に近い値になっている期間における横力の変動が最小となるように車輪の姿勢角(アライメント)を調整する調整方法を提案している(特開平10−7013号公報参照)。この調整方法では、タイヤの変形が最大となるタイミングを検知するために前後力を測定し、前後力が最大又は最大に近い値になっている期間を、タイヤの変形量が最大または最大に近い状態のときとみなしている。
【0015】
しかしながら、前後力が最大になるタイミングは車両のサスペンションジオメトリーによって変化し、車両のサスペンションジオメトリーによっては、タイヤの変形が最大又は最大に近い状態となるタイミングに対して前後力が最大になるタイミングが大きくずれることがある。従って、上記の調整方法による調整精度は車両のサスペンションジオメトリーによって大きく左右され、上記の調整方法を適用したとしても車輪を最適な姿勢角に調整できない場合があった。
【0016】
そして、走行安定性に大きな影響を及ぼす車両のステア特性については、車両の各車輪のタイヤに発生する力相互のバランスによって定まってくるものであるのに対し、上述した各技術は、何れも車両の個々の車輪を単位として車輪の姿勢角を調整するものであり、車両走行時のバランスに関しては何ら考慮されていない。
【0017】
また、タイヤが転動する際にフロントタイヤ及びリアタイヤに発生する横力の大きさを比較し、その配分並びに配分の変化をもってオーバステア又はアンダーステア又はニュートラルステアとしてステア特性を示すことは行われてきたが、当該横力は平面上で転動するタイヤが与えられた荷重、姿勢角において発生する力であって、実際の車両で発生する力を実測したとしても、実際の車両の調整に適用することは困難であった。
【0018】
従って、上述した各技術を適用して個々の車輪の姿勢角を調整したとしても、必ずしも最適なステア特性を得ることはできない、という問題もあった。
【0019】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、車両のステア特性が略ニュートラルステアとなるように、車輪の姿勢角をタイヤの特性に応じた姿勢角に調整できる車両のホイールアライメント調整方法を得ることが目的である。
【0020】
また本発明は、車両のサスペンションジオメトリーの影響を受けることなく、車輪の姿勢角をタイヤの特性に応じた姿勢角に容易に調整することができ、実路面に適合した走行安定性が得られると共に、片磨耗の低減及び車両のステア特性が略ニュートラルステアとなる走行特性の最適化を実現できる車両のホイールアライメント調整方法を得ることが目的である。
【0021】
【課題を解決するための手段】
タイヤは、凹凸のある路面上で接地転動されると、接地面がタイヤに対して相対的に上下に移動することによって発生する荷重変動により変形し、この変形により、タイヤに発生する横力(詳しくは、タイヤの構造的な要因によるプライステアーと称する横力、製造上の理由によって発生するコニシティーと称する横力、車輪にスリップ角(トー角)が付与されていることにより発生する横力、及び車輪にキャンバー角が付与されているために発生するキャンバースラストと称する横力)が変動する。特開平10−7013号公報に記載の技術では、前述のように、実路面を模擬した段差を車輪が通過する過程(この段差の通過に伴って荷重の変動が生ずる)で、タイヤの変形が最大又は最大に近い状態になったときにタイヤに発生する横力の変動に基づいて、車輪の姿勢角を調整している。
【0022】
しかしながら、タイヤに発生する横力は、上記のように荷重の変化や段差の通過に伴ってタイヤが変形されることによって変動すると共に、これらのタイヤの変形を生ずる要因が消滅すると、変形状態にあったタイヤが元の定常状態に戻ろうと変形するので、この変形によっても横力は変動する。本願発明者等は、上記事実より、タイヤの変形が最大又は最大に近い状態になったときのみならず、タイヤが元の定常状態に戻ろうと変形する間も含む期間内の横力の変動を監視し、前記期間内において横力の変動のエネルギーが最小となるように車輪の姿勢角を調整すれば、実路面に適合したより高い直進安定性が得られると共に片磨耗を更に低減できる可能性があることに想致した。
【0023】
上記事項を確認するために、本願発明者等は以下の実験を行った。すなわち、循環駆動による循環方向に沿ってタイヤ駆動面上の少なくとも1箇所に、循環方向に沿った長さがタイヤが完全に乗り上げる長さで、かつ循環方向に直交する循環軸方向に沿った長さがタイヤの幅よりも大きい平板状の突起を設けた(これにより循環方向に沿って突起の前後に段差が形成される)タイヤ駆動駆動装置を用いて車輪を転動させ、タイヤに発生する横力を短い周期で繰り返し測定し、車輪が段差を通過する過程でタイヤが変形されたときからタイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内に相当する各回における横力の測定結果から、前記所定期間内の横力の変動のエネルギーとして、各回における横力の変化率(横力の時間に関する一次微分値)の自乗和を求めることを、車輪の姿勢角(この実験ではトー角)を所定量ずつ変更しながら繰り返した。
【0024】
図1には、上記の実験によって得られた、トー角と所定期間内にタイヤに発生する横力の変動のエネルギーとの関係を示す。図1より明らかなように、上記の実験により、トー角と横力の変動のエネルギーとの間には、明確な相関があることが確認された。そして、車両のトー角を、横力の変動のエネルギーが最小となるトー角に調整したところ、車両の走行安定性が大幅に向上すると共に、片磨耗性が大幅に低減されることが確認された。
【0025】
また本願発明者等は、複数種類の車両(車両1〜車両4)について、車輪の姿勢角を、前述した実験と同様に、車輪が段差を通過する過程でタイヤが変形されたときからタイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内にタイヤに発生する横力の変動のエネルギーが最小となるように調整した場合(本方式)と、車輪の姿勢角を車両設計時に定められた角度に調整した場合(基準方式)の走行安定性を各々比較・評価する実験を行った。なお、車両1〜車両4としては排気量が1600cc〜3000ccで駆動方式がFF又はFRの車両(乗用車)を用い、タイヤとしては、一般市場で市販されておりかつ各車両に適合したサイズのタイヤを用いた。実験結果を次の表1に示し、評価値設定の基準を表2に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0004179674
【0027】
【表2】
Figure 0004179674
【0028】
表1より明らかなように、上記実験により、車輪が突起(より詳しくは段差)を通過する過程でタイヤが変形されたときから、タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内にタイヤに発生する横力の変動のエネルギーが最小となるように調整することにより、タイヤの種類に拘らず、車両の走行安定性が大幅に向上すると共に、片磨耗性が大幅に低減されることが確認された。また、タイヤの変形によってタイヤに発生する横力は、車輪に加わる荷重が変化することでタイヤが変形された場合にも、車輪の段差通過に伴ってタイヤが変形されたときと同様の変化を示す。
【0029】
従って、上述した実験より本願発明者等は、タイヤ付き車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、被転動面上に形成した段差を通過させるか又は車輪に加わる荷重を変化させることでタイヤを変形させてタイヤに発生する少なくとも横力を測定し、前記所定期間内にタイヤに発生する横力の変動のエネルギーを求めることにより、求めた横力の変動のエネルギーに基づいてタイヤの特性に応じた最適な車輪の姿勢角を求めることができ、車輪の姿勢角を前記求めた最適な姿勢角に調整すれば、実路面に適合した走行安定性が得られると共に、片磨耗の低減を実現できるとの知見を得た。
【0030】
更に本願発明者等は、車両のステア特性についても、基本的にはフロントとリアのタイヤに発生する力のバランスによって定まってくるものであることから、車両の前輪が段差を通過したとき、又は当該車輪に加わる荷重を変化させたときの所定期間内における横力(又は横力の変化率:横力の一次微分値)の変化の仕方と、車両の後輪が段差を通過したとき、又は当該車輪に加わる荷重を変化させたときの所定期間内における横力(又は横力の変化率)の変化の仕方が類似するように(差が小さくなるように)車輪の姿勢角を調整すれば、車両のステア特性を略ニュートラルステアに調整できる可能性があることに想到した。
【0031】
前述の実験では、より詳しくは、後車軸を基準車軸、前車軸を非基準車軸と定め、基準車軸の車輪(後輪)に対し、該車輪が段差を通過する過程でタイヤが変形されたときからタイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内にタイヤに発生する横力の変動のエネルギーが最小となるように姿勢角を調整した後に、非基準車軸の車輪(前輪)に対し、該車輪が段差を通過する過程でタイヤが変形されたときからタイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内にタイヤに発生する横力(又は横力の変化率)の推移が、車両の対角位置に取り付けられた基準車輪(右前輪については左後輪が基準車輪、左前輪については右後輪が基準車輪となる)と類似する(差が小さくなる)ように姿勢角を調整した場合を「本方式」としていた。
【0032】
このため、本願発明者等は更に以下の実験を行った。すなわち、本願発明者等は、前述の実験と同一の車両(車両1〜車両4)及び前述の実験と同様のタイヤを用い、後車軸を基準車軸、前車軸を非基準車軸と定め、基準車軸の車輪(後輪)に対して前述した実験と同様に姿勢角を調整した後に、非基準車軸の車輪(前輪)の姿勢角の調整に際し、車両左右方向に沿って車両の同じ側に取り付けられた車輪を基準車輪(右前輪については右後輪が基準車輪、左前輪については左後輪が基準車輪となる)として、前述した実験と同様に姿勢角を調整した場合(本方式)と、車両の前輪及び後輪の姿勢角を車両設計時に定められた角度に調整した場合(基準方式)の走行安定性を各々比較・評価する実験を行った。実験結果を次の表3に示す。なお、評価値設定の基準としては先の表2に示した基準を用いた。
【0033】
【表3】
Figure 0004179674
【0034】
表1及び表3からも明らかなように、本願発明者等は、上記の各実験の結果に基づいて、車両の複数の車軸の中から基準となる車軸(後車軸又は前車軸)を定め、前記基準車軸に取り付けられた車輪(基準車輪)が接地転動している状態で段差を通過させるか又は該車輪に加わる荷重を変化させたときにタイヤに発生する横力(又は横力の変化率)の推移に対し、車両の他の車軸(前車軸又は後車軸)に取り付けられた車輪(非基準車輪)が接地転動している状態で段差を通過させるか又は該車輪に加わる荷重を変化させたときにタイヤに発生する横力(又は横力の変化率)の推移が類似する(差が小さくなる)ように、前記他の車軸に取り付けられた車輪の姿勢角を調整すれば、タイヤの種類に拘らず、車両のステア特性を略ニュートラルステアに調整できるとの知見を得た。
【0035】
上記に基づき請求項1記載の発明に係る車両のホイールアライメント調整方法は、調整対象の車両の基準車軸に取り付けられたタイヤ付きの基準車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、前記被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は前記基準車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ前記基準車輪のタイヤに発生する横力を測定し、前記基準車輪の段差の通過又は前記基準車輪に加わる荷重の変化に伴って前記基準車輪のタイヤが変形されたときから、前記タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内に前記タイヤに発生する横力の変動のエネルギーが最小値を含む所定範囲内となるように、前記基準車輪の姿勢角を調整した後に、前記車両のタイヤ付き車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、前記被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は前記車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ前記車輪のタイヤに発生する横力を測定することを、前記車両の前記基準車輪及び前記車両の非基準車軸に取り付けられた調整対象のタイヤ付きの車輪について各々行い、前記基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、前記調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移とを比較し、比較結果に基づいて、前記基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率と、前記調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の変化の仕方が類似し差が小さくなるように、前記調整対象の車輪の姿勢角を調整する。
【0036】
請求項1記載の発明では、まず、調整対象の車両の基準車軸に取り付けられたタイヤ付きの基準車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は基準車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ基準車輪のタイヤに発生する横力を測定し、基準車輪の段差の通過又は基準車輪に加わる荷重の変化に伴って基準車輪のタイヤが変形されたときから、前記タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内に前記タイヤに発生する横力の変動のエネルギーが最小値を含む所定範囲(例えば最小値から所定値以内の範囲)内となるように、基準車輪の姿勢角を調整する(好ましくは、前記横力の変動のエネルギーが、調整対象の車両の調整し得る範囲で最小となるように車輪の姿勢角を調整する(調整対象車両の種類(機構)等に応じて車輪の姿勢角の調整ピッチ(変更可能な角度差の最小値)が相違しており、最小値に調整できない車両も有る ))
【0037】
これにより、先の表1及び表3に示した実験結果からも明らかなように、基準車輪の姿勢角をタイヤの特性に応じた姿勢角に容易に調整することができ、実路面に適合した走行安定性が得られると共に、片磨耗の低減を実現することができる。また請求項1の発明は、基準車輪の段差の通過又は基準車輪に加わる荷重の変化に伴って基準車輪のタイヤが変形されたときから、タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内にタイヤに発生する横力の変動のエネルギーに基づいて基準車輪の姿勢角を調整しているので、特開平10−7013号公報のように、タイヤに発生する前後力が最大又は最大に近い値になっている間の横力に基づいて基準車輪の姿勢角を調整する場合と比較して、車両のサスペンションジオメトリーの影響で車輪の姿勢角の調整精度が低下することもない。
【0038】
請求項1記載の発明では、続いて、前記車両のタイヤ付き車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ車輪のタイヤに発生する横力を測定することを、前記車両の前記基準車輪及び非基準車軸に取り付けられた調整対象のタイヤ付きの車輪について各々行う。なお、本発明に係る横力は、車両の進行方向(車両と被転動面との相対移動の方向)に直交する軸を含む平面と被転動面(路面)との交線に沿う方向の力を意味している。また、車輪に加わる荷重を変化させることは、例えば車輪を略平面の被転動面上で転動させると共に、被転動面を介して車輪を略鉛直方向に変位させることによって実現できる。
【0039】
そして請求項1の発明は、基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移とを比較し、比較結果に基づいて調整対象の車輪の姿勢角を調整する。これにより、調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移を、基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移に近づけることができるので、先に説明した実験結果からも明らかなように、車両のステア特性が略ニュートラルステアとなるように、車輪の姿勢角をタイヤの特性に応じた姿勢角に調整することができ、走行安定性及び耐片磨耗性を向上させることができる。
【0040】
ところで、横力又は該横力の変化率の推移を比較する期間は、車輪の段差の通過又は車輪に加わる荷重の変化に伴って車輪のタイヤが変形されたときからタイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む期間であることが望ましく、この期間は、例えば車輪の変位を検出する等によって前記期間の始まりを検知し、前記期間の始まりを検知してからの経過時間を測定することで前記期間の終わりを検知する等によって判断できる。しかし、この場合、横力又は該横力の変化率の推移を比較する期間を判断するために複雑な機構が必要になると共に、前記期間の判断に誤差が加わり易いという欠点がある。
【0041】
このため、請求項2記載の発明に係る車両のホイールアライメント調整方法は、調整対象の車両の基準車軸に取り付けられたタイヤ付きの基準車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、前記被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は前記基準車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ前記基準車輪のタイヤに発生する横力を測定し、前記基準車輪の段差の通過又は前記基準車輪に加わる荷重の変化に伴って前記基準車輪のタイヤが変形されたときから、前記タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内に前記タイヤに発生する横力の変動のエネルギーが最小値を含む所定範囲内となるように、前記基準車輪の姿勢角を調整した後に、前記車両のタイヤ付き車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、前記被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は前記車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ前記車輪のタイヤに発生する前後力又は荷重と、前記車輪のタイヤに発生する横力と、を各々測定することを、前記車両の前記基準車輪及び前記車両の非基準車軸に取り付けられた調整対象のタイヤ付きの車輪について各々行い、前記前後力又は荷重の測定結果に基づいて、前記車輪の段差の通過又は前記車輪に加わる荷重の変化に伴って前記車輪のタイヤが変形されたときから、前記タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間を判断することを、前記基準車輪及び前記調整対象の車輪について各々行い、前記所定期間内に前記基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、前記所定期間内に調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、を比較し、比較結果に基づいて、前記基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率と、前記調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の変化の仕方が類似し差が小さくなるように、前記調整対象の車輪の姿勢角を調整する。
【0042】
請求項2記載の発明では、まず請求項1の発明と同様に、調整対象の車両の基準車軸に取り付けられたタイヤ付きの基準車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は基準車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ基準車輪のタイヤに発生する横力を測定し、基準車輪の段差の通過又は基準車輪に加わる荷重の変化に伴って基準車輪のタイヤが変形されたときから、前記タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内に前記タイヤに発生する横力の変動のエネルギーが最小値を含む所定範囲(例えば最小値から所定値以内の範囲)内となるように、基準車輪の姿勢角を調整する(好ましくは、前記横力の変動のエネルギーが、調整対象の車両の調整し得る範囲で最小となるように車輪の姿勢角を調整する(調整対象車両の種類(機構)等に応じて車輪の姿勢角の調整ピッチ(変更可能な角度差の最小値)が相違しており、最小値に調整できない車両も有る ))
【0043】
これにより、先の表1及び表3に示した実験結果からも明らかなように、基準車輪の姿勢角をタイヤの特性に応じた姿勢角に容易に調整することができ、実路面に適合した走行安定性が得られると共に、片磨耗の低減を実現することができる。また請求項2の発明は、請求項1の発明と同様に、基準車輪の段差の通過又は基準車輪に加わる荷重の変化に伴って基準車輪のタイヤが変形されたときから、タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内にタイヤに発生する横力の変動のエネルギーに基づいて基準車輪の姿勢角を調整しているので、特開平10−7013号公報のように、タイヤに発生する前後力が最大又は最大に近い値になっている間の横力に基づいて基準車輪の姿勢角を調整する場合と比較して、車両のサスペンションジオメトリーの影響で車輪の姿勢角の調整精度が低下することもない。
【0044】
請求項2記載の発明では、続いて、タイヤ付き車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ車輪のタイヤに発生する前後力又は荷重と、車輪のタイヤに発生する横力と、を各々測定することを、基準車輪及び調整対象の車輪について各々行い、前後力又は荷重の測定結果に基づいて、車輪の段差の通過又は車輪に加わる荷重の変化に伴って車輪のタイヤが変形されたときから、タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間を判断することを、基準車輪及び調整対象の車輪について各々行う。なお、本発明に係る前後力は、車両の進行方向(車両と被転動面との相対移動の方向)に沿う軸を含む平面と被転動面(路面)との交線に沿う方向の力を意味し、本発明に係る荷重は被転動面(路面)に垂直な方向の力を意味している。
【0045】
前後力及び荷重は、被転動面又は被転動面に連結された部材、或いは調整対象の車両側にセンサを設けることで容易に測定できる(横力も同様)と共に、車輪が段差を通過した際や、車輪に加わる荷重の変化した際にタイヤに発生する前後力及び荷重の推移(すなわち波形)は、同一の車両であれば、車輪の姿勢角を変更したとしても殆ど変化しない。従って、前後力又は荷重の測定結果に基づいて所定期間を判断することにより、横力(及び前後力又は荷重)の測定と、車輪の姿勢角の調整と、を繰り返した場合にも、所定期間を正確に判断することができる。
【0046】
なお、前述のように、被転動面を介して車輪を略鉛直方向に変位させることで車輪に加わる荷重を変化させる場合、タイヤに発生する前後力はタイヤの変形に対して明瞭な変化を示さない。このため、被転動面を介して車輪を変位させることで車輪に加わる荷重を変化させる場合には、車輪のタイヤに発生する荷重及び横力を各々測定し、荷重の測定結果を、車輪のタイヤが略定常状態のときにタイヤに発生する荷重と比較することによって前記所定期間を判断すればよい。
【0047】
そして請求項2の発明では、所定期間内に基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、所定期間内に調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、を比較し、比較結果に基づいて調整対象の車輪の姿勢角を調整するので、請求項1の発明と同様に、車両のステア特性が略ニュートラルステアとなるように、車輪の姿勢角をタイヤの特性に応じた姿勢角に調整することができる。
【0049】
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、横力又は該横力の変化率の推移を比較する前記基準車輪及び前記調整対象の車輪は、前記調整対象の車両の対角位置に取り付けられた車輪であることを特徴としている。請求項記載の発明では、車両の対角位置に取り付けられた車輪を、横力又は該横力の変化率の推移を比較する基準車輪及び調整対象の車輪としているので、先の表1及び表3に示した実験結果を比較しても明らかなように、例えば略直進走行時や、サーキット走行のような過大な横方向加速度を伴わない一般走行条件下において、より優れた直進性並びにコーナリングの安定性を得ることができる。
【0050】
ところで、例として図2には、平板状の突起を設けることで被転動面上に段差(上り段差及び下り段差)を形成し、車輪が被転動面上を車両の進行方向に向かって転動して突起を通過する(上り段差を通過し、突起の上面(突出面)を転動した後に下り段差を通過する)ように、車両と被転動面とを相対移動させて前後力Fx及び横力Fyを測定したときの、前後力Fxの時間tに関する一次微分値(dFx/dt)及び横力Fyの時間tに関する一次微分値(dFy/dt)の推移を示す。また図3には、図2と同じ条件で荷重Fz及び横力Fyを測定したときの、荷重Fzの時間tに関する一次微分値(dFz/dt)及び横力Fyの一次微分値(dFy/dt)の推移を示す。
【0051】
なお、図2において前後力の一次微分値が正方向及び負方向に大きく変動している箇所(2箇所)、及び図3において荷重の一次微分値が正方向及び負方向に大きく変動している箇所(2箇所)は、車輪が上り段差及び下り段差を通過することに伴ってタイヤが変形されたことによる前後力の変動を表している。図2及び図3において、前後力の一次微分値や荷重の一次微分値が大きく変動している箇所の間は、車輪が突起の上面(突出面)を転動しているときに対応しており、タイヤは略定常状態に戻る過程にあるが、図2及び図3からも明らかなように、前後力の一次微分値や荷重の一次微分値は、この間も若干ではあるものの変動している。従って、被転動面上に所定高さの段差を形成し、該段差を通過するようにタイヤ付き車輪を転動させて前後力又は荷重を測定する場合、測定した前後力又は荷重(或いはこれらの一次微分値)から、タイヤが転動して略定常状態に戻ったときを判断することは容易ではない。
【0052】
このため請求項記載の発明は、請求項2の発明において、前記被転動面の基準面よりも所定高さ高くされた平板状の突起を前記被転動面に設けることにより、前記被転動面上に前記段差を形成すると共に、前記突起を、前記車輪が前記突起を通過する際に、タイヤの接地部分の前記車輪転動方向に沿った両端部が突起の上面と各々接する状態となるに十分な長さだけ前記上面が前記車輪転動方向に沿って連続するように形成し、前記車輪が前記突起に乗り上げる過程での前記車輪のタイヤの変形に伴い前後力又は荷重の変化率が所定値以上変動した後に最小となる第1のタイミングから、前記タイヤが前記突出面上を転動し、前記車輪が突起から下りる過程での前記車輪のタイヤの変形に伴い、前後力又は荷重の変化率が所定値以上変動した後に最小となるか、又は前記タイヤの接地部分の前記車輪転動方向に沿った前側端部が前記突出面と接触しない状態となる第2のタイミングに至る期間を前記所定期間と判断することを特徴としている。
【0053】
請求項記載の発明では、車輪(基準車輪及び調整対象の車輪)が突起に乗り上げる過程での車輪のタイヤの変形に伴い前後力又は荷重の変化率(一次微分値)が所定値以上変動した後に最小となったとき(図2及び図3に示すP1 のタイミング)を第1のタイミングとし、タイヤが突出面上を転動し、車輪が突起から下りる過程でのタイヤの変形に伴い、前後力又は荷重の変化率が所定値以上変動した後に最小となったとき(図2及び図3に示すP2 のタイミング)、又はタイヤの接地部分の前側端部が突出面と接触しない状態となったとき(例えばP2 の直前の前後力又は横力の一次微分値が所定値以上変化している部分のピークに相当するタイミング)を第2のタイミングとし、第1のタイミングから第2のタイミングに至る期間を所定期間と判断しているので、前後力又は荷重の測定結果から第1のタイミング及び第2のタイミングを容易かつ高精度に判断することができ、所定期間を精度良く判断することができる。
【0054】
なお、請求項2の発明において、調整対象の車輪の姿勢角の調整は、具体的には請求項に記載したように、所定期間内に基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の波形と、所定期間内に調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の波形と、を比較して波形の差を求め、該波形の差が小さくなるように行うことができる。
【0055】
また、車両の前輪には一般にキャスタ角が付与されているので、車輪の段差の通過又は車輪に加わる荷重の変化に伴って車輪のタイヤが変形されることによってタイヤに発生する前後力や荷重が大きく(例えば所定値以上)変化するタイミングが車両の前輪と後輪とで相違することが多い。このため、請求項記載の発明は、請求項の発明において、前記所定期間内に前記基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の波形及び前記所定期間内に前記調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の波形から特徴点を各々抽出し、抽出した特徴点を基準にして双方の波形を重ね合わせた後に前記波形の差を求めることを特徴としている。
【0056】
なお、請求項に記載の特徴点としては、例えば横力又は該横力の変化率の波形において、車輪と段差との相対位置が略一定の位置のときに生ずる特徴(例えば所定値以上の変動)を採用することができる。請求項記載の発明では、基準車輪及び調整対象の車輪の横力又は該横力の変化率の波形から特徴点を各々抽出し、抽出した特徴点を基準にして双方の波形を重ね合わせるので、基準車輪及び調整対象の車輪の波形を、車輪と段差との相対位置を基準にして重ね合わせることができる。従って、タイヤに発生する前後力や荷重が所定値以上変化するタイミングが車両の前輪と後輪とで相違している等の場合にも、車両のステア特性を略ニュートラルステアの状態に高精度に調整することができる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図4及び図5には、本発明を適用可能な車両のホイールアライメント測定装置が示されている。
【0058】
このホイールアライメント測定装置は、主昇降装置10によって昇降される載置台12、副昇降装置14により載置台12を基準として昇降される車両受け台16を備えている。載置台12には、車両20の各車輪を回転駆動させるための4つのタイヤ駆動装置18が取り付けられている。この4つのタイヤ駆動装置18は各々同一構成であるので、以下、単一のタイヤ駆動装置18についてのみ説明する。
【0059】
図6に示すように、タイヤ駆動装置18は、所定間隔隔てて互いに平行に配置された一対の主フレーム22Aと、一対の主フレーム22Aの各々の両端部の間に掛け渡された側板22Bと、から成るフレーム22を備えている。フレーム22は、主フレーム22Aの長手方向が車両20の前後方向に沿うように配置されている。一対の主フレーム22Aの間には、各々側板22Bの近傍に相当する位置に一対の駆動軸24が掛け渡されており、この一対の駆動軸24は回転可能に主フレーム22Aに軸支されている。
【0060】
駆動軸24の一端側には各々歯車26が取付けられている。この歯車26は、図示しない駆動力伝達機構を介し、制御装置80(図5参照)によって駆動が制御されるモータ(図示省略)の回転軸に連結されている。従って、前記モータが駆動されると、モータで発生した駆動力が駆動力伝達機構、歯車26を介して駆動軸24に伝達され、一対の駆動軸24が各々回転されるようになっている。
【0061】
一対の駆動軸24には、各々2個のスプロケット28が、他方の駆動軸24上のスプロケット28と相互に対向する位置に取付けられている。一対の駆動軸24間には無端のチェーン30が2組掛け渡されている。この2組の無端のチェーン30は、対向する一対のスプロケット28に各々巻掛けられている(図7(B)も参照)。これにより、駆動軸24が回転するとスプロケット28を介して2組のチェーン30が各々回転される。
【0062】
またタイヤ駆動装置18は、長さがタイヤの幅を十分に越える長さでかつタイヤのトレッドパターンの溝に入り込まない程度の幅の細長いアルミニウム製の板片32を多数備えている。多数の板片32は、各々側板22Bと平行でかつチェーン30の長手方向に沿って連続的に配置されており、両端部が図示しない連結材を介して2組のチェーン140に各々取付けられている。
【0063】
従って図6及び図7(B)に示すように、チェーン30及び連結材により、板片32が板片32の幅方向に沿って多数連結されて無限軌道34が構成されており、この無限軌道34は、板片32の長手方向が車両20の左右方向を向くように一対の駆動軸24の間に掛け渡されている。一対の駆動軸24はフレーム22に支持されているので、無限軌道34は循環駆動可能にフレーム22に支持されている。なお以下では、タイヤ駆動装置18を上方から見て、複数の板片32の上面によって形成される面をタイヤ駆動面36(本発明の被転動面に相当)と称する。
【0064】
また、図7(A)及び(B)に示すように無限軌道34の外面には、所定高さの平板状の突起38が、無限軌道34の循環方向に沿って所定間隔毎に複数形成されている。各突起38は、無限軌道34の循環方向に沿って隣合う2個の板片32に亘って連続するように、無限軌道34の外側に相当する前記2個の板片32の上面に形成されている。また各突起38の無限軌道34の幅方向(循環軸方向)に沿った長さは、タイヤの幅よりも長くされている。
【0065】
無限軌道34が循環駆動されると各板片32は循環方向に沿って移動するが、各々突起38が形成された隣合う2個の板片32が、タイヤ駆動面36に相当する位置に各々移動された状態では、2個の板片32の上面が互いに面一となるので、該2個の板片32の上面に形成された2個の突起38の上面も面一になると共に隣接した状態となり、無限軌道34の循環方向に沿って所定長さ(タイヤ駆動面36に載置される車輪のタイヤの接地部分の循環方向に沿った長さの略2〜3倍の長さ)に亘って連続する1個の突起部が形成される。この突起部の無限軌道34の循環方向に沿った両端のエッジは本発明の段差に対応している。なお、以下では前記両端のエッジのうち、タイヤ駆動面36上での車輪の転動方向(無限軌道34の循環方向と逆の方向)に沿って下流側に突起38が位置しているエッジを上り段差、該エッジと反対側のエッジを下り段差と称する。
【0066】
上記構成により、タイヤ駆動面36に車両20の車輪が載置された状態で無限軌道34が循環駆動されると、タイヤはタイヤ駆動面36上を転動され、板片32の上面から段差を通過して突起部の上面(突出面)に乗り上げ、次に突起部の上面から段差を通過して板片32の上面(基準面)に乗り下げることが繰り返されることになる。
【0067】
図7(A)に示すように、各板片32の無限軌道34の内側に相当する面の両側部には、平板ガイド40が各々取り付けられており、この平板ガイド40には、無限軌道34の循環方向に沿ってV字状の係合溝40Aが刻設されている。また、一対の主フレーム22Aの内側面には、一対の主フレーム22Aを跨ぐように配置された荷重受け板部材42の端部が固定されており、この荷重受け板部材42の上面には、平板ガイド40と対向する位置にガイド材44が固定されている。
【0068】
ガイド材44の上面の位置には、係合溝40Aと対向する位置に、無限軌道34の循環方向に沿ってV字状の受け溝44Aが各々刻設されている。これら係合溝40Aと受け溝44Aとの間には、鋼製で大きさが同一のボール46が多数個配置されている。
【0069】
従って、タイヤ駆動面に車両20の車輪が載置され、無限軌道34を形成している板片32に荷重が加わっても、タイヤ駆動面36を形成している複数枚の板片32は、ボール46を介しガイド材44、荷重受け板部材42により上面が同一平面となるように支持される。また、後述するように無限軌道34が駆動されて前記車輪が転動することにより、タイヤ駆動面に無限軌道34の循環軸方向の力が作用すると、この力は平板ガイド40、ボール46、ガイド板44、荷重受け板部材42を介してフレーム22に伝達される。
【0070】
また、荷重受け板部材42の上面のガイド材44に覆われた部分には、無限軌道34の循環方向に沿ってボール46が通過し得る大きさの矩形状の矩形溝42Aが形成されている。図示は省略するが、無限軌道34の循環方向に沿った荷重受け板部材42の両端部には、係合溝40Aと受け溝44Aとの間の通路と、矩形溝42Aによる通路の間をU字状に繋ぐU字溝が形成されている。ボール46は、係合溝40Aと受け溝44Aとの間の通路及び矩形溝42Aによる通路を、前記U字溝を介して循環する。
【0071】
また、フレーム22の外側には支持フレーム48が配置されている。支持フレーム48は、フレーム22の下側に位置し無限軌道34の循環方向に沿って延設された底部48Aと、側面がフレーム22の側板22Bと所定間隔隔てて対向するように底部48Aの両端部に立設された一対の支持部48Bと、から構成されており、略コ字状とされている。一対の支持部48Bの側面には、無限軌道34の循環軸方向(車両左右方向)に沿って延びる左右スライド用ガイドレール50が各々取付けられている。
【0072】
フレーム22の側板22Bには、力センサ52(詳細は後述)を介して移動ブロック54が取付けられている。移動ブロック54には、左右スライド用ガイドレール50に嵌合する溝が側面に穿設されており、この溝を介して左右スライドレール50に嵌合している。従って、フレーム22(及び無限軌道34)は左右スライドガイドレール50に沿って車両左右方向に移動可能とされている。
【0073】
一対の側板22Bの一方には、支持フレーム48の支持部48B側に突出するようにブラケット56が取付けられている。ブラケット56の先端部には、車両左右方向に沿って貫通する雌ねじ孔が形成されている。雌ねじ孔には雄ねじが形成された回転軸58が螺合しており、ボールねじ機構が形成されている。回転軸58の一端は支持フレーム48の支持部48Bに取付けられたモータ60の回転軸に同軸に連結されている。モータ60は制御装置80(図5参照)に接続されており(図示省略)、制御装置80によって駆動が制御される。
【0074】
これにより、モータ60が駆動されて回転軸58が回転されると、ブラケット56、フレーム22、無限軌道34等は一体となって、支持フレーム48に対して車両左右方向に移動される。また、モータ60の駆動が停止されている状態では、ボールねじ機構の作用により、支持フレーム48に対するフレーム22等の車両左右方向への移動は阻止される。
【0075】
図8(A)及び(B)に示すように、力センサ52は歪みゲージやロードセル等の力検出素子を備えた一対の力測定用梁52Aを備えている。この力測定用梁52Aは、両端部が矩形枠52Cの内部に固定されていると共に、中間部が連結板52Bによって相互に連結されている。この力センサ52は、力測定用梁52Aの長さ方向に各々直交する2方向(図8(A)の紙面に直交する方向、及び図8(B)の紙面に直交する方向)の力を検出可能とされている。
【0076】
矩形枠52Cには側板22Bへの取付用の4つのネジ孔が穿設されており、連結板52Bには移動ブロック54への取付用の4つのネジ孔が穿設されている。力センサ52は、力測定用梁52Aの長さ方向が車両上下方向を向くように、ネジにより側板22B及び移動ブロック54の側面に各々固定されている。
【0077】
従って、無限軌道34が循環駆動され、無限軌道34上を車輪が転動することによって無限軌道34に循環方向の力(前後力)が作用すると、この力はスプロケット28を介してフレーム22に伝達され、フレーム22の側板22Bが循環方向に移動する。これにより、力センサ52の力測定用梁52Aが循環方向に変形し、力センサ52によって循環方向の力の大きさが測定される。
【0078】
また、無限軌道34上を車輪が転動することによって無限軌道34に循環軸方向の力(横力)が作用すると、この力は平板ガイド40、ボール46、ガイド板44、及び荷重受け板部材42を介してフレーム22に伝達され、フレーム22の側板22Bが循環軸方向に移動する。これにより、力センサ52の力測定用梁52Aが循環軸方向に変形し、力センサ52によって循環軸方向の力の大きさが測定される。力センサ52は制御装置80に接続されており(図5参照)、測定結果を制御装置80へ出力する。
【0079】
一方、支持フレーム48の底部48Aの下側には、載置台12に取付けられ無限軌道34の循環方向(車両前後方向)に沿って互いに平行に延びる一対の前後スライド用ガイドレール62が配置されている。底部48Aの底面には、前後スライド用ガイドレール62に嵌合する一対の溝が穿設されており、この溝を介して前後スライド用ガイドレール62に嵌合している。従って、支持フレーム48は前後スライド用ガイドレール62に沿って車両前後方向に移動可能とされている。
【0080】
なお図示は省略するが、支持フレーム48は、前記と同様の駆動機構(ボールねじ機構とモータ)により、載置台12に対して車両前後方向に移動されるようになっている。
【0081】
なお、4つのタイヤ駆動装置18のうち、車両20の前輪が載置される一対のタイヤ駆動装置18の無限軌道34の循環進行方向は平行とされていると共に、車両20の後輪が載置される一対のタイヤ駆動装置についても無限軌道34の循環進行方向が平行とされており、前輪が載置されるタイヤ駆動装置18と後輪が載置されるタイヤ駆動装置18の無限軌道34の循環進行方向は同一方向とされている。
【0082】
また、図4に示すように載置台12には、タイヤ駆動装置18を挟んで車両前後方向前側及び後側に車輪止め板64が一対配設されており、この一対の車輪止め板64に対応して、図9に示す駆動機構が各々設けられている。一対の車輪止め板64は、収納状態(図9に実線で示す状態)では載置台12の上面と各々略面一とされており、車両前後方向に沿ってタイヤ駆動装置18に近い側の端部が回動可能に載置台12に軸支されている。
【0083】
また、一対の車輪止め板64に対応してレバー66が一対設けられている。車輪止め板64の側面には、車両前後方向に沿った中間部に長孔64Aが各々穿設されており、この長孔64Aには、対応するレバー66の上側端部がピン68により各々遊嵌されている。一対のレバー66は、各々の下側端部が、車輪止め板64の収納状態において、下側へ向かうに従って互いの距離が小さくなるように(逆ハ字状となるように)、回動可能に載置台12に軸支されている。
【0084】
また、一対のレバー66の中間部は、油圧シリンダ70を介して互いに連結されていると共に、一方のレバー66の中間部には、一端が載置台12に取付けられた引張コイルばね72の他端も連結されている。
【0085】
油圧シリンダ70は制御装置80(図5参照)に接続されており、制御装置80によって伸縮が制御される。制御装置80により、油圧シリンダ70の長さが図9に示す長さよりも徐々に短くされると、一対のレバー66が引張コイルばね72の付勢力に抗して徐々に直立状態に近づき、レバー66の上側端部の間隔は徐々に小さくされる。これに伴って一対の車輪止め板64が各々回動し、図9に想像線で示すように、タイヤ駆動装置18上に車輪が載置されていた場合には、一対の車輪止め板64の先端部が各々車輪に接触することにより、車両前後方向への車輪の転動が阻止される。
【0086】
また載置台12の側部には、4つのタイヤ駆動装置18に対応して4箇所に、ロッド74が取付けられている。図10に示すように、ロッド74は図10矢印A方向に沿って回動自在に軸支されていると共に、伸縮自在とされており、先端部には距離センサ76が取付けられている。距離センサ76としては、例えば対象物にレーザ光を射出し、対象物で反射されたレーザ光を受光することにより対象物との距離を検出する非接触型のセンサを適用することができる。
【0087】
ロッド74は、タイヤ駆動装置18上に車輪が載置された状態で、距離センサ76が車輪の中心に対向するように、手動により回動及び伸縮される。これにより、距離センサ76がタイヤ駆動装置18上に載置されている車輪との距離を検出することが可能となる。距離センサ76は制御装置(図5参照)に接続されており、車輪との距離を検出した結果を制御装置80へ出力する。
【0088】
図5に示す制御装置80は、例えばマイクロコンピュータ等により構成することができる。制御装置80には、力センサ52による測定値や車輪の姿勢角の調整方向等を表示するためのCRT等から成る表示装置82が接続されている。
【0089】
次に本実施形態の作用として、上記ホイールアライメント測定装置を用いてホイールアライメントを調整する方法について説明する。
【0090】
まず、作業者は、調整対象車両のホイールベース、前後のトレッドベースに応じて、4つのタイヤ駆動装置18が調整対象車両の4つの車輪に対応する位置に各々位置するように、各タイヤ駆動装置18の支持フレーム48を前後スライド用ガイドレール62に沿って車両前後方向に移動させると共に、フレーム22を左右スライド用ガイドレールに沿って車両左右方向に移動させ、載置台12上における各タイヤ駆動装置18の位置を調整する。
【0091】
なお、上記の移動はモータの駆動力によりボールねじ機構を介して行われるので、モータの駆動を停止すると、ボールねじ機構の作用によりタイヤ駆動装置18は調整後の位置にロックされる。
【0092】
次に車両20の各車輪がタイヤ駆動装置18のタイヤ駆動面36上に位置し、かつ車体の中心線がタイヤ駆動装置18の無限軌道34の循環方向と略平行となるように、車両20の操舵輪を直進状態としたまま載置台12上に車両20を移動する。そして、距離センサ76が各車輪の中心に対向するように、各ロッド74を手動により回動及び伸縮させる。
【0093】
上記の作業が終了すると、作業者は制御装置80に対し、ホイールアライメントの測定を指示する。これにより、制御装置80では、図11に示す基準車輪のホイールアライメント測定処理の各ステップを順に実行し、基準車輪の姿勢角の調整が完了した後に、図12に示す非基準車輪のホイールアライメント測定処理の各ステップを順に実行すると共に、図13に示す車体の向き調整処理を所定時間毎に周期的に実行する。以下では、まず図13を参照し、車体の向き調整処理について説明する。
【0094】
ステップ100では、4個の距離センサ76により、車両の各車輪の中心との距離(図14に示す距離a,b,A,B)を各々測定する。ステップ102では車両の左前輪の中心と距離センサ76との距離aから車両の左後輪の中心と距離センサ76との距離bを減算した値(a−b)と、車両の右前輪の中心と距離センサ76との距離Aから車両の右後輪の中心と距離センサ76との距離Bを減算した値(A−B)と、を比較し、比較結果に基づいて車体が正しい向きとなっているか否か判定する。
【0095】
ステップ102において(a−b)=(A−B)であった場合には、車両20の前輪のトレッドベースと後輪のトレッドベースとが相違していたとしても、車体の中心線がホイールアライメント測定装置の各タイヤ駆動装置18の循環方向と平行になっていると判断できるので、判定が肯定され、何ら処理を行うことなく車体の向き調整処理を終了する。
【0096】
一方、ステップ102において(a−b)≠(A−B)であった場合には、判定が否定されてステップ104へ移行し、(a−b)=(A−B)を成立させるためのタイヤ駆動装置18の移動距離を演算し、演算結果に基づいてモータ60を駆動し、タイヤ駆動装置18を循環軸方向に移動させて位置を調整する。これにより、車体の中心線がホイールアライメント測定装置の各タイヤ駆動装置18の循環方向と平行になるように車体の向きが調整される。上記処理により、載置台12上に移動した車両の車体の中心線が、各タイヤ駆動装置18の循環方向に対して非平行であったとしても、平行となるように車体の向きが修正されることになる。
【0097】
また、後述するホイールアライメント測定処理(図11及び図12)では、タイヤ駆動装置18により車両20の車輪を1輪ずつ転動させる。車両20の車輪を1輪ずつ転動させると、転動している車輪で発生した循環軸方向の力により、転動していないタイヤに歪みが生じて車体が微妙に変位し、タイヤ駆動面36に対し転動している車輪の姿勢角が変化するが、上述した車体の向き調整処理は、車輪を転動させているときにも周期的に実行され、転動していないタイヤの歪みによって、車体の姿勢が変位し、転動している車輪のタイヤ駆動面36に対する姿勢角が車体の姿勢が変位しなかったときと同様の状態を保つようにタイヤ駆動装置18が移動されるので、タイヤ駆動面36に対する転動している車輪の姿勢角が一定となり、ホイールアライメント測定処理による測定の精度が向上する。
【0098】
次に図11にフローチャートを参照し、基準車輪のホイールアライメント測定処理について説明する。なお、本実施形態では車両の後車軸を基準車軸と定めており、基準車輪のホイールアライメント測定処理では、該後車軸に取り付けられた左右の後輪についてホイールアライメントを測定する。
【0099】
すなわち、ステップ120では、測定対象の基準車輪(左又は右の後輪)以外の3つの車輪について、対応する車輪止め板64を油圧シリンダ70によって回動することにより、前記測定対象でない3輪が車両前後方向に移動しないようにロックする。なお、車輪止め板64によるロックに代えて、車両20に設けられているジャッキングポイント等を利用し、車体を固定することにより車両20の車両前後方向への移動を阻止するようにしてもよい。但しこの場合、車体を固定することによって車輪の駆動による力以外の力が車体に作用しないようにする必要がある。
【0100】
次のステップ122では測定対象の基準車輪に対応するタイヤ駆動装置18を循環駆動する。これにより、測定対象の基準車輪がタイヤ駆動面36上を転動し、測定対象の基準車輪が板片32の上面から突起部の上面に乗り上げ、次に突起部の上面から板片32の上面に乗り下げることが繰り返されることになる。
【0101】
この突起部への乗り上げ及び突起部からの乗り下げにより、測定対象の基準車輪のタイヤには前後力Fx(循環方向の力)、横力Fy(循環軸方向の力)及び荷重Fz(タイヤ駆動面に垂直な方向の力)が各々発生するが、本実施形態では、上記3方向の力のうち前後力Fx及び横力Fyが力センサ52によって測定される。このため、ステップ124では力センサ52からの出力(前後力Fx及び横力Fyの測定値)をサンプリングし、サンプリングによって得られた前後力Fx及び横力Fyの測定値をメモリ等の記憶手段に記憶する。
【0102】
次のステップ126では、測定対象の基準車輪に対する測定が終了したか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ122へ戻り、ステップ122〜126を比較的短い周期で繰り返す。これにより、ステップ126の判定が肯定される迄の間は、タイヤ駆動面36上を転動している測定対象の基準車輪によって発生される前後力Fx及び横力Fyが比較的短い周期で繰り返し測定され、測定結果が順次記憶されることになる。
【0103】
所定時間が経過した、又はタイヤが所定回回転した、又はメモリに記憶した測定データのデータ量が所定量に達した等の条件(これらの条件は、突起部への車輪の乗り上げから突起部からの車輪の乗り下げに至る期間、前後力Fx及び横力Fyを連続的に測定することが、少なくとも1回以上行われるように設定されている)を満足すると、ステップ126の判定が肯定されてステップ128へ移行する。ステップ128では車両20の全ての基準車輪に対して上記の測定処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ120に戻り、他の基準車輪を測定対象として上記処理を繰り返す。
【0104】
車両の全ての基準車輪について測定処理を行い各基準車輪のデータを全て収集すると、ステップ128の判定が肯定されてステップ130で車輪止め板64によるロックを解除した後にステップ132へ移行する。ステップ132では、車両の各基準車輪について、トー角の調整方向(トーイン方向及びトーアウト方向の何れに調整すべきか)を各々演算する。単一の基準車輪についての演算は以下のようにして行われる。
【0105】
まず、記憶手段に蓄積記憶されている前後力Fx及び横力Fyの測定値から、処理対象の基準車輪の前後力Fx及び横力Fyの多数の測定値を取り込む。次に、前後力Fxの多数の測定値について、時間に関する1次微分値(dFx/dt:前後力Fxの変化率)を各々演算する。なお、演算によって得られた前後力の1次微分値(dFx/dt)のデータを時間軸に沿ってプロットしたとすると、例として図2に細い実線で示すような波形となる。
【0106】
次に、前後力の1次微分値(dFx/dt)の一連のデータから、基準車輪の段差(上り段差及び下り段差)通過時に対応する一連のデータを各々抽出する。図2からも明らかなように、車輪の段差通過時には、タイヤが大きく変形されることにより、前後力の一次微分値(dFx/dt)に、各々所定値以上の振幅で正負の符号が異なる2つの大きな変動が連続する特有の変化パターンが生ずる。また、上り段差通過時には負方向への変動の後に正方向への変動が生じ、下り段差通過時には正方向への変動の後に負方向への変動が生じる。
【0107】
従って、上り段差通過時及び下り段差通過時に対応するデータの抽出は、例えば前後力の1次微分値(dFx/dt)のデータから絶対値が所定値以上のデータを抽出し、抽出したデータを、車輪の段差通過による生ずる変動のピーク又はピーク付近のデータとみなし、該データを含む所定時間内の測定によって得られた一連のデータに、上り段差通過時に特有の変化パターン又は下り段差通過時に特有の変化パターンが生じていれば、該一連のデータを車輪の上り段差通過時のデータ又は下り段差通過時のデータとして抽出することにより実現できる。
【0108】
次に、上記処理によって抽出した車輪の上り段差通過時のデータから、前記特有の変化パターンを形成する2つの大きな変動のうち、1つ目の変動が生じた後に前後力の一次微分値(の絶対値)が最小になったタイミング(すなわち前後力の絶対値が最大となったタイミング:図2のP1点に相当するタイミング)を判断する。具体的には、例えば前記抽出した一連のデータから、前後力の1次微分値の符号の変化の境界となっているデータ(時系列的に前のデータと後のデータの符号が異なっているデータ)を抽出し、該データの測定タイミングを、前後力の一次微分値(の絶対値)が最小になったタイミングと判断する。このタイミングは、請求項に記載の第1のタイミングに対応している。
【0109】
続いて、基準車輪の下り段差通過時のデータから、前記特有の変化パターンを形成する2つの大きな変動のうち、1つ目の変動が生じた後に前後力の一次微分値(の絶対値)が最小になったタイミング(すなわち前後力の絶対値が最大となったタイミング:図2のP2点に相当するタイミング)を、前述の第1のタイミングと同様にして判断する。このタイミングは請求項に記載の第2のタイミングに対応している。
【0110】
次に、記憶手段から取り込んだ横力Fyの測定値から、前述の第1のタイミングから第2のタイミングに至る期間(本発明の所定期間に相当)内に測定された横力Fyの測定値を抽出し、時間に関する1次微分値(dFy/dt:横力Fyの変化率)を各々演算する。なお、演算によって得られた横力の1次微分値(dFy/dt)のデータを時間軸に沿ってプロットしたとすると、例として図2に太い実線で示すような波形となる。
【0111】
続いて、所定期間内の横力Fyの変動のエネルギーを演算する。本実施形態では、横力Fyの変動のエネルギーとして、横力の1次微分値(dFy/dt)の自乗和Eを演算する(次式参照)。
【0112】
E=Σ(dFy/dt)2
そして、演算した横力Fyの変動のエネルギー(横力の1次微分値の自乗和E)に基づいて、トー角の調整方向(トーイン方向及びトーアウト方向の何れに調整すべきか)を演算する。
【0113】
なお、最適なトー角は自乗和E(横力の変動のエネルギー)が最小となる角度であるが、自乗和Eが最小となるトー角を求めるためには、各車輪毎に、トー角を変更しながら前後力Fx(又は荷重Fz)及び横力Fyを繰り返し測定する必要があると共に、1回目の測定で得られた自乗和Eの値からトー角の調整方向を判断することは困難である。このため、横力の1次微分値の総和S(次式参照)も併用して調整方向を演算することが好ましい。
【0114】
S=ΣdFy/dt
上記の総和S=0となるトー角は、自乗和Eが最小となるトー角とは必ずしも一致しないが、自乗和Eが最小となるトー角と近い角度であるので、横力の1次微分値の総和Sを併用してトー角の調整方向を演算する(例えば自乗和Eからは調整方向が判断できない場合は総和Sに基づいて調整方向を判断する)ことにより、前後力Fx(又は荷重Fz)及び横力Fyの測定回数が低減される場合が生ずる。ステップ132では、車両の各基準車輪に対して上述した処理を各々行うことにより、トー角の調整方向を各々演算する。
【0115】
次のステップ134では、表示装置82に、演算した横力Fyの変動のエネルギー(横力の1次微分値の自乗和E)、トー角の調整方向を各基準車輪毎に表示し、ステップ136では各基準車輪毎に、所定期間内の横力Fyの推移を表す一連のデータを記憶手段に各々記憶し、処理を一旦終了する。
【0116】
作業員は、表示装置82に表示された情報に基づいて、各基準車輪のトー角を調整する必要があるか否か、トー角を調整する必要がある場合に何れの調整方向にどの程度調整すれば良いかを容易に判断することができる。また、作業員が車両20の各基準車輪のトー角を調整した後に、再度確認する必要があれば、上述した基準車輪のホイールアライメント測定処理の実行が再度指示され、上記と同様にして、トー角調整後のホイールアライメントが適正か否かが前後力及び横力に基づいて再度判定される。
【0117】
これにより、車両20に装着されているタイヤの種類に拘らず、該タイヤの特性に応じて実路面において高い走行安定性が得られ、かつ耐片磨耗性が向上するように、車両20の各基準車輪の姿勢角が適正に調整される。なお、上記の基準車両のホイールアライメント測定処理及び作業者によるホイールアライメント調整作業は、請求項1,2に記載の基準車輪の姿勢角の調整に対応している。
【0118】
次に図12にフローチャートを参照し、基準車輪の姿勢角の調整が完了した後に実行される非基準車輪のホイールアライメント測定処理について説明する。本実施形態に係る非基準車輪のホイールアライメント測定処理は、車両の前車軸に取り付けられた左右の前輪についてホイールアライメントを測定する。
【0119】
非基準車輪のホイールアライメント測定処理では、まずステップ150において、非基準車輪のホイールアライメント測定処理を開始するための処理として、処理対象の非基準車輪の設定やその他の初期設定を行う。次のステップ152では、車両の全ての非基準車輪に対して処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ154へ移行し、ステップ154〜158において、先に説明した基準車輪のホイールアライメント測定処理(図11)のステップ120〜124と同様に、非基準車輪をタイヤ駆動面36上で転動させて前後力及び横力を測定する。
【0120】
すなわち、ステップ154では処理対象の非基準車輪(左又は右の前輪)以外の3つの車輪を車輪止め板64によってロックし、ステップ156では処理対象の非基準車輪に対応するタイヤ駆動装置18を循環駆動する。ステップ158では、処理対象の非基準車輪がタイヤ駆動面36上を転動し、処理対象の非基準車輪が突起部への乗り上げ及び乗り下げを繰り返すことによって処理対象の非基準車輪のタイヤに発生する前後力Fx、横力Fy及び荷重Fzのうち、力センサ52による前後力Fx及び横力Fyの測定値をメモリ等の記憶手段に記憶する。そして、測定対象の非基準車輪に対する測定を終了するとステップ160へ移行する。
【0121】
ステップ160では、処理対象の非基準車輪(左又は右の前輪)についての前後力Fx及び横力Fyの測定値を取り込むと共に、処理対象の非基準車輪に対し車両上で対角位置に取り付けられている基準車輪(例えば非基準車輪が左の前輪であれば右の後輪、非基準車輪が右の前輪であれば左の後輪)のデータ(所定期間内の横力Fyの推移を表すデータ)を取り込む。なお、基準車輪のデータは、基準車輪のホイールアライメント測定処理が実行される毎に繰り返し測定・演算されて記憶手段に記憶されるので、ステップ162では、基準車輪のホイールアライメント測定処理及びホイールアライメント調整作業によって適正な姿勢角に調整された後の最新の基準車輪のデータが取り込まれる。
【0122】
次のステップ162では、処理対象の非基準車輪のデータと基準車輪のデータとを比較し、処理対象の非基準車輪に対するトー角の調整方向を演算する。この演算は以下のようにして行われる。
【0123】
まず、基準車輪に対するトー角の調整方向の演算と同様に、処理対象の非基準車輪の前後力Fxの測定値から時間に関する1次微分値(dFx/dt:前後力Fxの変化率)を各々演算し、前後力の1次微分値(dFx/dt)の一連のデータから、処理対象の非基準車輪の段差(上り段差及び下り段差)通過時に対応する一連のデータを各々抽出し、処理対象の非基準車輪の上り段差通過時のデータから、1つ目の大きな変動が生じた後に前後力の一次微分値(の絶対値)が最小になったタイミング(すなわち前後力の絶対値が最大となったタイミング:請求項に記載の第1のタイミング)を判断すると共に、処理対象の非基準車輪の下り段差通過時のデータから、1つ目の大きな変動が生じた後に前後力の一次微分値(の絶対値)が最小になったタイミング(すなわち前後力の絶対値が最大となったタイミング:請求項に記載の第2のタイミング)を判断する。
【0124】
次に、処理対象の非基準車輪の横力Fyの測定値から、前述の第1のタイミングから第2のタイミングに至る期間(請求項2に記載の所定期間に相当)内に測定された横力Fyの測定値を抽出する。これにより、処理対象の非基準車輪の所定期間内の横力Fyの推移を表す一連のデータが得られる。
【0125】
次に、基準車輪の所定期間内の横力Fyの推移を表すデータ及び処理対象の非基準車輪の所定期間内の横力Fyの推移を表すデータに基づいて、基準車輪に対する非基準車輪の車輪の所定期間内の横力Fyの波形の差を求める。この波形の差は、双方の車輪の所定期間内の横力Fyの推移を表すデータから所定期間内における横力Fyの最大値を各々抽出し、双方の車輪の波形において横力Fyが最大となっている点を基準として双方の波形を重ね合わせ、各タイミング(時間軸上の各位置)における双方の波形の差を積算することにより演算される。そして、基準車輪に対する非基準車輪の横力Fyの波形の差(より詳しくは、波形の差の積算値の大きさ及び符号)に基づいて、トー角の調整方向(トーイン方向及びトーアウト方向の何れに調整すべきか)を演算する。
【0126】
これにより、例えば基準車輪の横力Fyの推移及び非基準車輪の横力Fyの推移が、図15(A)及び(B)に示すような波形であった場合、図15(C)に示すように、所定期間内における双方の波形の横力Fyの最大となっている点が時間軸上の同一の位置に位置するように(図では「ピーク一致」と表記)、双方の波形が重ね合わされ、基準車輪に対する非基準車輪の横力Fyの波形の差が演算されて、トー角の調整方向が演算されることになる。
【0127】
次のステップ164では、表示装置82に、基準車輪に対する処理対象の非基準車輪の横力Fyの波形の差、トー角の調整方向を表示する。これにより、作業員は、表示装置82に表示された情報に基づいて、処理対象の非基準車輪のトー角を調整する必要があるか否か、トー角を調整する必要がある場合に何れの調整方向にどの程度調整すれば良いかを容易に判断することができる。
【0128】
次のステップ166では、処理対象の非基準車輪を未処理の非基準車輪に切り替えてステップ152に戻る。これにより、ステップ152の判定が再度否定されることにより、処理対象として新たに設定された非基準車輪に対してステップ154〜164の処理が繰り返され、基準車輪に対する処理対象の非基準車輪の横力Fyの波形の差、トー角の調整方向が表示装置82に新たに表示されることになる。そして、全ての非基準車輪に対して上記の処理を行うと、ステップ152の判定が肯定されてステップ168へ移行し、車両の全車輪を車輪止め板64によってロックして非基準車輪のホイールアライメント測定処理を終了する。
【0129】
なお、作業員が車両20の各非基準車輪のトー角を調整した後に、再度確認する必要があれば、上述した非基準車輪のホイールアライメント測定処理の実行が再度指示され、上記と同様にして、トー角調整後のホイールアライメントが適正か否かが、基準車輪に対する非基準車輪の横力Fyの波形の差に基づいて再度判定される。これにより、車両20に装着されているタイヤの種類に拘らず、該タイヤの特性に応じて実路面において高い走行安定性が得られ、耐片磨耗性が向上し、かつ車両のステア特性が略ニュートラルステアとなるように、車両20の各基準車輪の姿勢角が適正に調整される。
【0130】
また、上記ではホイールアライメント測定装置として、タイヤ駆動装置18、車両20を水平にリフトアップする主昇降装置10及び車体のみをリフトアップする副昇降装置14を組み合わせた装置を用いたので、タイヤの交換や車両の整備についても簡便に行うことができる。
【0131】
なお、上記では基準車輪と非基準車輪の横力Fyの波形を比較して波形の差を求めていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、横力の変化率(一次微分値(dFy/dt))の波形を比較して波形の差を求め、非基準車輪のトー角の調整方向等を演算するようにしてもよい。
【0132】
また、上記では後車軸を基準車軸とし、後輪を基準車輪、前輪を非基準車輪(本発明の調整対象の車輪)とした場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、前車軸を基準車軸とし、前輪を基準車輪、後輪を非基準車輪としてもよいし、車両の種類等に応じて切り替えるようにしてもよい。
【0133】
また、上記では車両上で対角位置に取り付けられている基準車輪と非基準車輪(例えば左後輪と右前輪、右後輪と左前輪)について横力Fyの波形を比較していたが、これに限定されるものではなく、車両左右方向に沿って同じ側に取り付けられている基準車輪と非基準車輪(例えば左後輪と左前輪、右前輪と右後輪)について、横力Fyの波形を比較するようにしてもよい。
【0134】
更に、上記では前後力Fx及び横力Fyを測定し、前後力Fxの変化率(前後力の一次微分値dFx/dt)の推移に基づいて所定期間を判断していたが、これに限定されるものではない。図2と図3とを比較しても明らかなように、車輪が上り段差及び下り段差を順に通過する際の荷重Fzの変化率(荷重の一次微分値dFz/dt)は、前後力Fxの変化率と同様に変化する(但し、変動の正負の符号は逆になる)ので、例えば力センサとして、無限軌道34の循環軸方向の力(横力Fy)と、循環軸方向及び循環方向に直交する方向の力(荷重Fz)を測定可能な構成の力センサを設け、前後力Fxに代えて荷重Fzを測定し、荷重Fzの変化率の推移に基づいて所定期間を判断するようにしてもよい。
【0135】
また、上記では2方向の力(前後力Fx又は荷重Fzと、横力Fy)を検出する力センサを用いた場合を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば前後力Fx及び荷重Fzに基づいて横力Fyの変動のエネルギーの演算対象期間(所定期間)を判定する等の場合には、3方向の力(前後力Fx、横力Fy及び荷重Fz)を測定可能な構成の力センサを設けて前後力Fx、横力Fy及び荷重Fzを各々測定するようにしてもよい。
【0136】
また、上記では前後力(又は荷重)の変化率の推移に基づき、車輪が突起に乗り上げる過程でのタイヤの変形に伴い前後力又は荷重の変化率が所定値以上変動した後に最小となる第1のタイミング(図2及び図3に示すP1 に相当するタイミング)、及び車輪が突起から下りる過程での前記車輪のタイヤの変形に伴い、前後力又は荷重の変化率が所定値以上変動した後に最小となる第2のタイミング(図2及び図3に示すP2 に相当するタイミング)を判断し、第1のタイミングから第2のタイミングに至る所定期間内の横力の変動のエネルギーを演算していたが、請求項2に記載の所定期間は、タイヤが変形されたときからタイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含んでいればよく、例えばタイヤの接地部分の前側端部が突出面と接触しない状態となったとき(図2及び図3に示すP2 の直前の、前後力又は横力の一次微分値が所定値以上変化している部分のピークに相当するタイミング)を第2のタイミングとして所定期間を判断するようにしてもよい。
【0137】
更に、本発明によれば、少なくとも車輪が段差(好ましくは上り段差)を通過する過程でタイヤが変形されたときからタイヤが転動して略定常状態に戻る迄の期間の横力の変動のエネルギーを求めればよいので、前後力Fx又は荷重Fzを測定することに代えて、例えば鉛直方向に沿ったタイヤの変位を検出することで車輪が段差を通過するタイミングを検知し、該タイミングからの経過時間に基づいてタイヤが転動して略定常状態に戻ったタイミングを判断するようにしてもよい。
【0138】
また、上記ではタイヤ駆動面を形成する板片32上に突起38を設けることでタイヤ駆動面上に上り段差及び下り段差を形成した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例として図16に示すように、一部の板片32の厚みを変更することによってタイヤ駆動面上に段差を形成してもよい。図16に示すタイヤ駆動装置は、タイヤ駆動面上での車輪の転動方向(無限軌道34の循環方向(図16の矢印B方向)と反対の方向)から見て、タイヤ駆動面の高さが急激に高くなった後に徐々に元の高さに戻るように、転動方向に沿って連続する4個の板片32A〜32Dが成形されており、無限軌道34の循環方向に沿って板片32Aの下流側に位置している通常の板片32と、板片32Aとの間に上り段差が形成されている。この場合、タイヤ駆動面上を転動される車輪は上り段差のみを通過することになるが、車輪の姿勢角によって横力の変動のエネルギーが大きく変化するのは段差の乗り上げ時であることが本発明者等が行った実験によって確認されているので、図16の構成のタイヤ駆動装置を用いた場合にも、車輪の姿勢角を適正な姿勢角に精度良く調整可能である。
【0139】
また、上記ではタイヤ駆動装置の外側にモータを取り付けた例について説明したが、駆動ローラーの内部にモータを組み込んだビルトインタイプのローラーを使用してもよい。
【0140】
更に、上記では板片32を連結した無限軌道34によりタイヤ駆動面を形成した例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図17(A)に示すように大径のローラ86の外周面をタイヤ駆動面とし、このローラ86の外周面上に平板状の突起88を取付けて段差を形成してもよいし、図17(B)に示すように無端ベルト90の外周面をタイヤ駆動面とし、無端ベルト90の外周面に平板状の突起92を取付けて段差を形成してもよい。また、図17(C)に示すように、周方向に沿って肉厚が略一定の変化率で増加又は減少され周方向に沿った所定箇所の外周面に肉厚が急激に変化している部分が生ずるように無端ベルト94を形成することにより、図16に示したタイヤ駆動装置と同様に、タイヤ駆動面と段差96(肉厚が急激に変化している部分)を一体的に形成するようにしてもよい。なお、突起或いは段差の数や形状等については、上記で説明した例に限定されるものではなく、本発明に支障の無い範囲内で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0141】
また、上記ではタイヤ駆動面(被転動面)を循環駆動することによって車両とタイヤ駆動面とを相対移動させ、タイヤ駆動面上で車輪を転動させるようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、路面に突起を載置して被転動面を形成すると共に、タイヤに発生する前後力又は荷重と横力を検出するセンサを車両に取付け、車輪が前記載置した突起を通過するように車両を走行させ、車両に取り付けたセンサによる前後力又は荷重と横力の測定結果に基づいて車輪の姿勢角を調整するようにしてもよい。また、路面に突起を載置することに代えて、矩形状で平底の溝を路面に設けることで被転動面を形成するようにしてもよい。この場合、溝の開口寸法を、底部を車輪が転動するに十分な大きさとすれば、溝のエッジが段差となるので、路面に突起を載置した場合と同様にして車輪の姿勢角の調整を行うことができる。請求項1及び請求項2の発明は上記態様も権利範囲に含むものである。
【0142】
また、上記では段差が形成された被転動面上で車輪を転動させることによってタイヤを変形させ、タイヤに発生する横力を測定するようにしていたが、これに限定されるものではない。4輪以上の車輪を有する車両において、例えば何れか1つの車輪の略鉛直方向に沿った位置を他の車輪と相対的に変化させると、車両の各車輪に加わる荷重が変化し、タイヤに変形が生ずるので、例えば測定対象の車輪を略鉛直方向に変位させて、測定対象の車輪に加わる荷重を変化させることにより、段差を用いることなく測定対象の車輪のタイヤを変形させ、該タイヤに発生する横力及び荷重を測定するようにしてもよい。
【0143】
車輪を略鉛直方向に変位させることは、例えば図18に示すように、タイヤ駆動装置18(但し、突起が形成されておらずタイヤ駆動面が略平面のタイヤ駆動装置)の下面に接触するように、タイヤ駆動装置18の下部にカム78を配置することで、カム78によってタイヤ駆動装置18を支持させ、カム78を回動させることでタイヤ駆動装置18を上下動させる機構を設けることで実現できる。上記機構では、カム78を図18に破線で示す位置へ回動させると、タイヤ駆動装置18を介して車輪が略鉛直方向に沿って上方へ変位し、タイヤが変形する。但し、タイヤに発生する横力(及び荷重)の変動を精度良く測定するためには、比較的短い時間内でカムを回動させ、車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させる必要がある。またこの場合、前後力は殆ど変動しないので、タイヤに発生する荷重を、カムを回動させたタイミング及びその前後の期間を含む或る期間に亘って測定すると共に、荷重の測定結果をタイヤが略定常状態のときにタイヤに発生する荷重(荷重の基準値)と比較し、基準値に対して差異が生じている期間を請求項2に記載の所定期間と判定するようにしてもよい。請求項1及び請求項2の発明は上記態様も権利範囲に含むものである。
【0144】
更に、上記では基準車輪の姿勢角の調整にあたり、所定期間内の横力の変動のエネルギーとして、所定期間内の横力Fyの変化率(一次微分値dFy/dt)の自乗和Eを求めていたが、これに限定されるものではなく、例えば、横力の変動のエネルギーとして、所定期間内の横力Fyの一次微分値の絶対値の総和(=Σ|dFy/dt|)、所定期間内の横力Fyの二次微分値の総和(=Σ2 Fy/dt2 )、所定期間内の横力Fyの二次微分値の自乗の総和(=Σ(d2 Fy/dt2)2 )、所定期間内の横力Fyの二次微分値の絶対値の総和(=Σ|d2 Fy/dt2 |)、所定期間内の横力Fyの三次微分値の総和(= Σ3 Fy/dt3 )、所定期間内の横力Fyの三次微分値の自乗の総和(=Σ(d3 Fy/dt3)2 )等を求めるようにしてもよく、横力の変動のエネルギーに対応する任意の物理量を用いることができる。
【0145】
また、上記では表示装置82に表示されたトー角の調整方向に基づいて、作業員が各車輪毎にトー角を調整する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。一般に、車両の操舵輪はトー角が調整できる構造となっているが、非操舵輪については車輪毎のトー角が調整できない構造の車両や、車軸単位であってもトー角が調整ができない構造の車両もある。このような場合には、当該車軸に取り付けられた一対の車輪について、本発明に係る所定期間内にタイヤに発生する横力の変動のエネルギーが略等しくなるように、表示装置82に表示された情報に基づいて車軸と車体との角度を調整するようにしてもよい。
【0146】
また、ホイールアライメント測定装置の主昇降装置10及び副昇降装置14は一体に構成してもよい。またタイヤ駆動装置18を、鉛直軸回りに旋回可能でかつ旋回角度を表示又は信号として出力可能な旋回装置上に載置して、ホイールアライメント測定装置を構成してもよい。この場合、タイヤ駆動装置18によって車輪を転動させてデータを収集することと、前記旋回装置を旋回させる(車輪のトー角を変化させたことに相当する)ことを交互に繰り返し行えば、収集したデータに基づいて、トー角の調整方向のみならず最適なトー角の値を導出することが可能となる。
【0147】
更に、調整対象車両がキャンバー角の調整が可能な車両である場合には、キャンバー角についても設計値の許容範囲内で調整するようにしてもよい。キャンバー角を調整する場合には、上記で説明したホイールアライメント測定装置に、従来から存在しているアライメント測定装置又は角度計等の角度測定装置を併用して行えば、作業効率が向上するので好ましい。
【0148】
また、上記では2対のタイヤ駆動面を用いた例について説明したが、1対のタイヤ駆動面を用いて操舵輪のアライメントのみを調整したり、前軸、後軸毎に調整してもよい。
【0149】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は特許請求の範囲に記載した事項の実施態様以外に、以下に記載する事項の実施態様を含んでいる。
【0150】
(1)前記被転動面は、循環駆動される無限軌道の外周面であり、前記調整対象の車両の車輪を前記被転動面上に載置し、調整対象の車両の車輪が転動するように前記無限軌道を循環駆動することで、前記車両と前記被転動面とを相対移動させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両のホイールアライメント調整方法。
【0151】
(2)前記被転動面は略平面であり、前記車輪を前記被転動面上で転動させると共に、前記被転動面を介して前記車輪を略鉛直方向に変位させることで前記車輪に加わる荷重を変化させ、かつ前記車輪のタイヤに発生する荷重及び横力を各々測定し、前記荷重の測定結果を、前記車輪のタイヤが略定常状態のときにタイヤに発生する荷重と比較して前記所定期間を判断することを特徴とする請求項2記載の車両のホイールアライメント調整方法。
【0152】
(3)横力の測定期間内に横力を多数回測定し、前記所定期間内に相当する各回で測定された横力に基づいて、前記各回における横力の一次微分値の自乗、又は横力の一次微分値の絶対値、又は横力の二次微分値、又は横力の二次微分値の自乗、又は横力の二次微分値の絶対値、又は横力の三次微分値、又は横力の三次微分値の自乗を演算し積算することにより、前記所定期間内に前記基準車輪のタイヤに発生する横力の変動のエネルギーを求めることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両のホイールアライメント調整方法。
【0153】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明は、基準車輪を被転動面上で転動させると共に、被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は基準車輪に加わる荷重を変化させて、基準車輪のタイヤに発生する横力を測定し、基準車輪の段差の通過又は基準車輪に加わる荷重の変化に伴って基準車輪のタイヤが変形されたときから、タイヤが略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内にタイヤに発生する横力の変動のエネルギーが最小値を含む所定範囲内となるように基準車輪の姿勢角を調整した後に、タイヤ付き車輪を被転動面上で転動させると共に、被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は車輪に加わる荷重を変化させて、タイヤに発生する横力を測定することを、基準車輪及び調整対象の車輪について各々行い、基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移とを比較した結果に基づいて、基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率と、調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の変化の仕方が類似し差が小さくなるように、調整対象の車輪の姿勢角を調整するので、車両のステア特性が略ニュートラルステアとなるように、車輪の姿勢角をタイヤの特性に応じた姿勢角に調整できる、という優れた効果を有する。
【0154】
請求項2記載の発明は、基準車輪を被転動面上で転動させると共に、被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は基準車輪に加わる荷重を変化させて、基準車輪のタイヤに発生する横力を測定し、基準車輪の段差の通過又は基準車輪に加わる荷重の変化に伴って基準車輪のタイヤが変形されたときから、タイヤが略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内にタイヤに発生する横力の変動のエネルギーが最小値を含む所定範囲内となるように基準車輪の姿勢角を調整した後に、タイヤ付き車輪を被転動面上で転動させると共に、被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は車輪に加わる荷重を変化させて、車輪のタイヤに発生する前後力又は荷重と横力を各々測定することを、基準車輪及び調整対象の車輪について各々行い、前後力又は荷重の測定結果に基づいて、車輪の段差の通過又は車輪に加わる荷重の変化に伴って車輪のタイヤが変形されたときからタイヤが略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間を基準車輪及び調整対象の車輪について各々判断し、所定期間内に基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、所定期間内に調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、を比較した結果に基づいて、基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率と、調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の変化の仕方が類似し差が小さくなるように、調整対象の車輪の姿勢角を調整するので、車両のステア特性が略ニュートラルステアとなるように、車輪の姿勢角をタイヤの特性に応じた姿勢角に調整できる、という優れた効果を有する。
【0156】
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、車両の対角位置に取り付けられた車輪を、横力又は該横力の変化率の推移を比較する基準車輪及び調整対象の車輪としたので、上記効果に加え、一般走行条件下で優れた直進性並びにコーナリングの安定性が得られる、という効果を有する。
【0157】
請求項記載の発明は、請求項2の発明において、車輪が突起に乗り上げる過程での車輪のタイヤの変形に伴い前後力又は荷重の変化率が所定値以上変動した後に最小となる第1のタイミングから、タイヤが突出面上を転動し、車輪が突起から下りる過程でのタイヤの変形に伴い、前後力又は荷重の変化率が所定値以上変動した後に最小となるか、又はタイヤの接地部分の前側端部が突出面と接触しない状態となる第2のタイミングに至る期間を所定期間と判断するようにしたので、上記効果に加え、前後力又は荷重の測定結果から所定期間を精度良く判断することができる、という効果を有する。
【0158】
請求項記載の発明は、請求項6の発明において、基準車輪及び調整対象の車輪の横力又は該横力の変化率の推移を表す波形から特徴点を各々抽出し、抽出した特徴点を基準にして双方の波形を重ね合わせるようにしたので、上記効果に加え、タイヤに発生する前後力や荷重が所定値以上変化するタイミングが車両の前輪と後輪とで相違している等の場合にも、車両のステア特性を略ニュートラルステアに高精度に調整することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】車輪の姿勢角(トー角)と、車輪が段差を通過する過程でタイヤが変形されたときからタイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内にタイヤに発生する横力の変動のエネルギーと、の関係の一例を示す線図である。
【図2】車輪が上り段差及び下り段差を順に通過した際の、タイヤに発生する前後力の一次微分値及び横力の一次微分値の推移の一例を各々示す線図である。
【図3】車輪が上り段差及び下り段差を順に通過した際の、タイヤに発生する荷重の一次微分値及び横力の一次微分値の推移の一例を各々示す線図である。
【図4】本実施形態に係るホイールアライメント測定装置の側面図である。
【図5】ホイールアライメント測定装置の概略平面図である。
【図6】タイヤ駆動装置の平面図である。
【図7】(A)は図6の7A線に沿った断面図、(B)は図6の7B線に沿った断面図である。
【図8】(A)は力センサの正面図、(B)は力センサの側面図である。
【図9】車輪止め板駆動機構の概略構成図である。
【図10】距離センサ及びタイヤ駆動装置の位置調整機構を示す概略図である。
【図11】基準車輪のホイールアライメント測定処理を示すフローチャートである。
【図12】非基準車輪のホイールアライメント測定処理を示すフローチャートである。
【図13】車体の向き調整処理を示すフローチャートである。
【図14】車体の向きをどのように調整するかを示す説明図である。
【図15】(A)は基準車輪、(B)は非基準車輪の前後力の変化率及び横力の推移の一例を示す線図、(C)は非基準車輪と基準車輪の横力の波形の比較を説明するための線図である。
【図16】タイヤ駆動装置の他の例を示す概略断面図である。
【図17】(A)乃至(C)は、タイヤ駆動装置の他の例を示す概略図である。
【図18】タイヤ駆動装置を上下動させる機構の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
18 タイヤ駆動装置
34 無限軌道
36 タイヤ駆動面
38 突起
52 力センサ
80 制御装置
82 表示装置

Claims (6)

  1. 調整対象の車両の基準車軸に取り付けられたタイヤ付きの基準車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、前記被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は前記基準車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ前記基準車輪のタイヤに発生する横力を測定し、
    前記基準車輪の段差の通過又は前記基準車輪に加わる荷重の変化に伴って前記基準車輪のタイヤが変形されたときから、前記タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内に前記タイヤに発生する横力の変動のエネルギーが最小値を含む所定範囲内となるように、前記基準車輪の姿勢角を調整した後に、
    前記車両のタイヤ付き車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、前記被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は前記車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ前記車輪のタイヤに発生する横力を測定することを、前記車両の前記基準車輪及び前記車両の非基準車軸に取り付けられた調整対象のタイヤ付きの車輪について各々行い、
    前記基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、前記調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移とを比較し、
    比較結果に基づいて、前記基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率と、前記調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の変化の仕方が類似し差が小さくなるように、前記調整対象の車輪の姿勢角を調整する
    車両のホイールアライメント調整方法。
  2. 調整対象の車両の基準車軸に取り付けられたタイヤ付きの基準車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、前記被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は前記基準車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ前記基準車輪のタイヤに発生する横力を測定し、
    前記基準車輪の段差の通過又は前記基準車輪に加わる荷重の変化に伴って前記基準車輪のタイヤが変形されたときから、前記タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間内に前記タイヤに発生する横力の変動のエネルギーが最小値を含む所定範囲内となるように、前記基準車輪の姿勢角を調整した後に、
    前記車両のタイヤ付き車輪を被転動面上で車両の進行方向に向かって転動させると共に、前記被転動面上に形成した所定高さの段差を通過させるか又は前記車輪に加わる荷重を所定時間内に所定量以上変化させ、かつ前記車輪のタイヤに発生する前後力又は荷重と、前記車輪のタイヤに発生する横力と、を各々測定することを、前記車両の前記基準車輪及び前記車両の非基準車軸に取り付けられた調整対象のタイヤ付きの車輪について各々行い、
    前記前後力又は荷重の測定結果に基づいて、前記車輪の段差の通過又は前記車輪に加わる荷重の変化に伴って前記車輪のタイヤが変形されたときから、前記タイヤが転動して略定常状態に戻る迄の間を含む所定期間を判断することを、前記基準車輪及び前記調整対象の車輪について各々行い、
    前記所定期間内に前記基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、前記所定期間内に調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の推移と、を比較し、
    比較結果に基づいて、前記基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率と、前記調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の変化の仕方が類似し差が小さくなるように、前記調整対象の車輪の姿勢角を調整する
    車両のホイールアライメント調整方法。
  3. 横力又は該横力の変化率の推移を比較する前記基準車輪及び前記調整対象の車輪は、前記調整対象の車両の対角位置に取り付けられた車輪であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両のホイールアライメント調整方法。
  4. 前記被転動面の基準面よりも所定高さ高くされた平板状の突起を前記被転動面に設けることにより、前記被転動面上に前記段差を形成すると共に、
    前記突起を、前記車輪が前記突起を通過する際に、タイヤの接地部分の前記車輪転動方向に沿った両端部が突起の上面と各々接する状態となるに十分な長さだけ前記上面が前記車輪転動方向に沿って連続するように形成し、
    前記車輪が前記突起に乗り上げる過程での前記車輪のタイヤの変形に伴い前後力又は荷重の変化率が所定値以上変動した後に最小となる第1のタイミングから、前記タイヤが前記突出面上を転動し、前記車輪が突起から下りる過程での前記車輪のタイヤの変形に伴い、前後力又は荷重の変化率が所定値以上変動した後に最小となるか、又は前記タイヤの接地部分の前記車輪転動方向に沿った前側端部が前記突出面と接触しない状態となる第2のタイミングに至る期間を前記所定期間と判断する
    ことを特徴とする請求項2記載の車両のホイールアライメント調整方法。
  5. 前記所定期間内に前記基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の波形と、前記所定期間内に調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の波形と、を比較して波形の差を求め、
    該波形の差が小さくなるように前記調整対象の車輪の姿勢角を調整する
    ことを特徴とする請求項2記載の車両のホイールアライメント調整方法。
  6. 前記所定期間内に前記基準車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の波形及び前記所定期間内に前記調整対象の車輪のタイヤに発生する横力又は該横力の変化率の波形から特徴点を各々抽出し、抽出した特徴点を基準にして双方の波形を重ね合わせた後に前記波形の差を求めることを特徴とする請求項5記載の車両のホイールアライメント調整方法。
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