JP4178763B2 - キャニスタパージシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料タンクからの蒸発燃料を一旦キャニスタに吸着した後に機関吸気通路に供給するキャニスタパージシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料タンク内の蒸発燃料の大気放出を防止するために、タンク内の蒸発燃料を活性炭などの吸着剤を収納したキャニスタに導いて一旦吸着剤に吸着させるキャニスタパージシステムが一般に知られている。このようなキャニスタパージシステムでは、キャニスタ内の吸着剤が吸着した蒸発燃料で飽和することを防止するために、キャニスタと機関吸気通路とをパージ通路で接続し、機関運転中に大気をキャニスタを通して吸気通路に吸入することにより、吸着剤に吸着された蒸発燃料を吸気とともに機関に吸入させて燃焼するようにしている。すなわち、キャニスタを大気と機関吸気通路とに同時に連通させることにより吸気通路の負圧により大気がキャニスタ内の吸着剤を通過してパージ通路から吸気通路に吸引される。空気がキャニスタ内の吸着剤を通過する際に吸着剤に吸着された蒸発燃料が吸着剤から脱離し、パージ通路からは空気と蒸発燃料との混合気(パージガス)が吸気通路内に流入する。吸気通路に流入した蒸発燃料は機関吸気とともに機関の燃焼室に吸入されるため、キャニスタからの蒸発燃料は燃焼室内で燃焼する。これにより、燃料タンクからの蒸発燃料は大気に放出されることなく機関燃焼室で燃焼する。
【0003】
上記のように、キャニスタパージシステムでは吸着剤は蒸発燃料の吸着と脱離を繰返して蒸発燃料の大気放出を防止している。しかし、蒸発燃料の脱離(パージ)が効率的に行われないと吸着剤には次第に吸着された蒸発燃料が蓄積してしまい吸着できる蒸発燃料の量が低下する問題がある。
この問題を解決するために、例えばキャニスタに吸着剤を加熱するヒータを設け、パージ中に吸着剤温度を上昇させることにより吸着剤からの蒸発燃料の脱離を促進する技術が知られている。
【0004】
この種のキャニスタパージシステムの例としては、例えば特開昭63−150459号公報に記載されたものがある。
同公報のキャニスタパージシステムは、キャニスタ内の吸着剤を加熱する電気ヒータを設けるとともに、キャニスタと機関吸気通路とを接続するパージ通路に、パージガス中の炭化水素濃度(すなわち蒸発燃料濃度)を検出するHC検出計を配置し、HC検出計で検出した蒸発燃料濃度に基づいて電気ヒータの作動を制御している。
【0005】
すなわち、上記公報のキャニスタパージシステムでは、機関燃料タンクへの給油後電気ヒータをオフにしたままキャニスタのパージを行い、HC検出計で検出したパージガス中の蒸発燃料濃度が所定値以下になったときから予め定めた時間だけ電気ヒータをオンにして吸着剤を加熱するようにしている。
機関燃料タンクへの給油時には蒸発燃料が多量に発生してキャニスタの吸着剤には多量の蒸発燃料が吸着される。この状態で吸着剤を加熱すると吸着剤から蒸発燃料が一挙に脱離して機関吸気通路には大量の蒸発燃料が流入するようになり、機関の空燃比に影響が生じる場合がある。
【0006】
上記公報の装置は、これを防止するために、機関給油後の吸着剤の蒸発燃料吸着量が多い状態では吸着剤を加熱せずに低温でパージを行い、HC検出計で検出したパージガスの蒸発燃料濃度が所定値以下になったときに吸着剤に吸着された蒸発燃料量が所定値以下になったと判断して吸着剤の加熱を開始する。これにより、蒸発燃料の吸着量が多い間は比較的低温でパージが行われるため吸着剤からは比較的緩やかに蒸発燃料が脱離し、一挙に多量の蒸発燃料が吸気通路に流入することが防止される。また、蒸発燃料の吸着量が低下した後は吸着剤を加熱しつつパージが行われるが、吸着剤の蒸発燃料吸着量が比較的少ないため一挙に多量の蒸発燃料が吸気通路に流入することはなく、加熱により吸着剤に吸着された蒸発燃料が完全に脱離され、吸着剤の吸着能力が完全に回復するようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開昭63−150459号公報のキャニスタパージシステムでは、単にHC検出計で検出したパージガスの蒸発燃料濃度が所定値以下か否かに応じてヒータのオンオフを行っている。このため、吸着剤からの蒸発燃料の脱離が完全に行われない問題が生じる場合がある。
【0008】
キャニスタの吸着剤の蒸発燃料吸着量は、吸着剤全体に一様に分布しているわけではなく、吸着剤内には蒸発燃料吸着量の偏りが生じている。すなわち、キャニスタには燃料タンク内の蒸発燃料をキャニスタ内に導入するベーパーポートと、パージ中に大気をキャニスタ内に導入する大気ポートとが設けられている。
蒸発燃料吸着時にはベーパーポートから蒸発燃料と空気との混合気がキャニスタ内に供給され、吸着剤で蒸発燃料を吸着された残りの清浄な空気のみがキャニスタから大気に放出される。すなわち、ベーパーポート付近の吸着剤は蒸発燃料濃度の高い混合気が通過するため、比較的多量の蒸発燃料を吸着するが、大気ポート付近の吸着剤には、上流側の吸着剤で蒸発燃料がある程度除去された蒸発燃料濃度の低い混合気しか通過しないため、蒸発燃料の吸着量は比較的少なくなる。このため、吸着剤のベーパーポート付近の部分の蒸発燃料の吸着量は大気ポート付近の部分の蒸発燃料吸着量よりかなり多くなっている。
【0009】
このため、特開昭63−150459号公報のキャニスタパージシステムのようにパージガスの蒸発燃料濃度がある濃度以下になったときに一律にヒータ加熱を行う場合には、例えばベーパーポート近傍の吸着剤の蒸発燃料吸着量に基づいてヒータ加熱を開始する蒸発燃料濃度を設定すると、実際には大気ポート近傍では吸着剤の吸着量は少ないため、大気ポート近傍では吸着剤から完全に蒸発燃料が脱離した後もヒータ加熱が続けられることとなり無駄な加熱エネルギーが消費されることになる。更に、吸着剤からの蒸発燃料脱離時には燃料の気化熱に相当する熱量が吸着剤から奪われるため加熱時にも吸着剤自体の温度上昇は少ないが、脱離完了後も加熱を続けると吸着剤自体の温度が上昇してしまう。吸着剤の吸着能力は温度が高いほど低下するため、この状態で蒸発燃料の吸着が開始されると大気ポート付近では蒸発燃料の吸着能力が低くなり蒸発燃料が吸着剤に吸着されずに大気に放出されてしまう場合がある。
【0010】
一方、逆に大気ポート近傍の吸着剤の蒸発燃料吸着量を基準にしてヒータ加熱を開始するパージガス中の蒸発燃料濃度を設定すると、ベーパーポート近傍の吸着剤の蒸発燃料吸着量が多い状態でヒータ加熱が開始されることになる。本来蒸発燃料吸着量が多い状態ではヒータ加熱を行わないでも吸着剤からの蒸発燃料の脱離が生じやすいため、この場合も無駄な加熱エネルギーが消費される問題が生じる。
【0011】
本発明は上記に鑑み、吸着剤のヒータ加熱を行う際に、吸着剤の吸着性能の低下や加熱エネルギーの無駄な消費を招くことなく、効率的に吸着剤からの蒸発燃料の脱離を行うことが可能なキャニスタパージシステムを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内部に吸着剤を収容するハウジングと、それぞれ前記ハウジングに設けられ、ハウジング内部を内燃機関の吸気通路に連通するパージポートと、ハウジング内部を内燃機関の燃料タンク内の液面上部空間に連通するベーパーポートと、ハウジング内部を大気に連通する大気ポートとを備え、燃料タンク内の蒸発燃料を前記ベーパーポートを介してハウジング内に導入して前記吸着剤に吸着させ、内燃機関運転中に前記大気ポートからハウジング内に大気を導入して前記吸着剤に吸着された蒸発燃料を吸着剤から脱離させるとともに脱離した蒸発燃料を前記パージポートから内燃機関の吸気通路に供給するキャニスタパージシステムであって、前記吸着剤の前記ベーパーポート近傍の部分を加熱する第1のヒータと、前記吸着剤の前記大気ポート近傍の部分を加熱する、前記第1のヒータとは独立して作動可能な第2のヒータと、前記パージポートから前記吸気通路に供給される蒸発燃料量を検出する蒸発燃料検出手段と、前記蒸発燃料検出手段により検出した蒸発燃料量が所定の上限値以上のとき、及び所定の下限値以下のときにそれぞれ前記第1と第2のヒータによる吸着剤加熱を停止するヒータ制御手段を備え、前記第2のヒータの前記上限値と下限値との少なくとも一方は、前記第1のヒータより大きい値に設定され、前記蒸発燃料吸着時には、前記ベーパーポート近傍の吸着剤の蒸発燃料吸着量は前記大気ポート近傍の吸着剤の蒸発燃料吸着量より多くなる偏りが生じており、前記パージポートから前記吸気通路に供給される蒸発燃料量は、キャニスタ内の吸着剤全体を平均した蒸発燃料吸着量に応じて変化する、キャニスタパージシステムが提供される。
【0013】
すなわち、請求項1の発明ではキャニスタの加熱はキャニスタからパージされる蒸発燃料量が上限値より大きい場合と下限値より小さい場合には行わない。検出した蒸発燃料量が大きい場合は吸着剤の吸着量が多いため加熱を行わなくとも吸着剤からは蒸発燃料が脱離する。また、検出した蒸発燃料量が小さい場合には、吸着剤の吸着量は低下しており、加熱を続けると加熱エネルギーの無駄な消費を招くとともに吸着剤の温度が上昇して吸着能力が低下するおそれがある。このため、検出した蒸発燃料量が上限値より大きい場合と下限値より小さい場合に吸着剤の加熱を停止することにより、加熱エネルギーの無駄な消費と吸着剤の吸着性能の低下が防止される。特に、本発明では吸着剤のベーパーポート近傍と大気ポート近傍とをそれぞれ加熱する第1と第2のヒータが設けられている。更に、上記上限値または下限値の少なくとも一方は第1と第2のヒータとで異なる値に設定されており、第2のヒータの上限値は第1のヒータの上限値より大きく、又は/及び、第2のヒータの下限値は第1のヒータの下限値より大きい値に、それぞれ設定されている。第2のヒータの上限値を第1のヒータの上限値より大きく設定すると、例えば、ベーパーポート近傍の吸着剤では吸着量が多くヒータ加熱を行う必要がないが、大気ポート近傍の吸着剤では吸着量が少なくなってヒータ加熱が必要になっているような場合に、第2のヒータを用いて大気ポート近傍の吸着剤のみを加熱することが可能となる。また、第2のヒータの下限値を第1のヒータの下限値より大きく設定すると蒸発燃料の吸着量が少ない大気ポート近傍の吸着剤ではベーパーポート近傍の吸着剤より早く加熱が停止されるようになり、大気ポート近傍の吸着剤から蒸発燃料が脱離した後も加熱が継続されることによる大気ポート近傍の吸着剤の吸着性能の低下と無駄な加熱エネルギーの消費とが防止されるようになる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、内部に吸着剤を収容するハウジングと、それぞれ前記ハウジングに設けられ、ハウジング内部を内燃機関の吸気通路に連通するパージポートと、ハウジング内部を内燃機関の燃料タンク内の液面上部空間に連通するベーパーポートと、ハウジング内部を大気に連通する大気ポートとを備え、燃料タンク内の蒸発燃料を前記ベーパーポートを介してハウジング内に導入して前記吸着剤に吸着させ、内燃機関運転中に前記大気ポートからハウジング内に大気を導入して前記吸着剤に吸着された蒸発燃料を吸着剤から脱離させるとともに脱離した蒸発燃料を前記パージポートから内燃機関の吸気通路に供給するキャニスタパージシステムであって、前記吸着剤の前記ベーパーポート近傍の部分を加熱する第1のヒータと、前記吸着剤の前記大気ポート近傍の部分を加熱する、第2のヒータとを備え、前記吸着剤の前記第1のヒータと第2のヒータとにより加熱される部分のうち少なくとも一方の部分の単位体積あたりの蒸発燃料吸着容量を、前記ヒータにより加熱される部分以外の吸着剤部分の蒸発燃料吸着容量より高く設定した、キャニスタパージシステムが提供される。
【0015】
すなわち、請求項2の発明ではベーパーポート近傍と大気ポート近傍との吸着剤をそれぞれ加熱するヒータが設けられるとともに、このヒータにより加熱される吸着剤部分の少なくとも一方は単位体積あたりの蒸発燃料吸着容量(以下、「吸着能力」という)を吸着剤の他の部分より大きくしている。ベーパーポート近傍の吸着剤部分にはタンクからの蒸発燃料が供給されるため、この部分の蒸発燃料吸着量は最も多くなる。このため、ベーパーポート近傍の吸着剤部分の吸着能力を他の部分より大きく設定するとともに、この部分を加熱するヒータを設けることにより、蒸発燃料の吸着、脱離が効率的に行われる。
【0016】
また、タンクからの蒸発燃料を吸着中に大気ポート近傍の吸着剤が蒸発燃料で飽和すると、蒸発燃料が大気に直接放出されてしまうおそれがある。このため、大気ポート近傍の吸着剤の吸着能力を大きく設定することにより、蒸発燃料吸着中に大気ポート近傍の吸着剤が蒸発燃料で飽和することが防止され、大気への蒸発燃料放出が防止される。また、この部分を加熱するヒータを設けることにより、パージ実行中に大気ポート近傍の吸着剤から蒸発燃料を完全に脱離させることができるため、この部分の吸着剤の吸着能力を常に高く維持することが可能となる。
【0017】
上記のように、ベーパーポート近傍と大気ポート近傍の吸着剤部分はキャニスタの性能上最も重要な部分であるが、これらの重要な部分の少なくとも一方を吸着能力の高い吸着剤で構成し、これらの部分のみを加熱するヒータを設けたことにより、全体としての吸着剤の体積を低減することが可能になるとともに、ヒータにより加熱する吸着剤部分の熱容量を低下させることができる。このため、ヒータによる加熱エネルギーが減少するとともに、効率的に吸着剤からの蒸発燃料の脱離を行うことが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明を自動車用エバポパージシステムに適用した実施例の概略構成を示す図である。図1において、100は内燃機関本体、1は内燃機関100の吸気通路、3は吸気通路1に配置されたエアクリーナを示す。吸気通路1には運転者のアクセルペダル(図示せず)の操作に応じた開度をとるスロットル弁6が設けられている。
【0019】
図1に11で示すのは機関の燃料タンクである。タンク11内の燃料油はフュエルポンプ70により昇圧され、フィード配管71を介して機関100の各気筒の燃料噴射弁101に圧送される。
燃料タンク11には、タンク内への給油のための給油管111が設けられている。また、タンク11の上部には、後述するキャニスタ10にタンク11内の燃料油液面上部空間を接続するブリーザー配管13が接続されている。
【0020】
ブリーザー配管13とタンク11との接続部にはベントバルブ131とそれぞれフロート弁からなるCOV(CUT OFF VALVE)132とROV(ROLL OVER VALVE)133とが設けられている。ベントバルブ131は、燃料タンク11内圧力がブリーザー配管13内圧力よりわずかに高くなると開弁し、ブリーザー配管13を通してタンク11内の蒸発燃料を含む空気をキャニスタに流すようにされている。
【0021】
また、ROV133は、給油時の液面上昇により閉弁し、ベントバルブ131と燃料タンク11との接続を遮断する。また、ROV133は、車両転倒時等にベントバルブ131とタンク11との接続部を閉鎖し、ブリーザー配管13を介して大量の燃料油が外部に洩れることを防止する機能を有している。
【0022】
COV132はROV133と並列に配置されており、ROV133より更に液面が上昇したときにベントバルブ131とタンク11との連通を遮断する。COV132は、給油時の液面上昇時にはROV133閉弁後も開弁してタンク11とベントバルブ131とを連通するが、車両旋回による液面の動揺によりCOV132位置まで液面が到達したような場合、及び車両転倒時等には閉弁し、ベントバルブ131を通って燃料油がブリーザー配管13に侵入することを防止する機能を有する。
【0023】
図1に30で示すのは、機関の電子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、CPU(マイクロプロセッサ)及び入出力ポートを互いに双方向性バスで接続した公知の構成のマイクロコンピュータからなり、機関の燃料噴射制御等の基本制御を行う他、本実施例では後述する吸着剤加熱のためのヒータ制御を行う。
【0024】
上記制御のため、ECU30の出力ポートは図示しない駆動回路を介して機関100の燃料噴射弁101に接続され、燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御している他、後述するパージ制御弁15のアクチュエータ、CCV(CANISTER CLOSURE VALVE)17のアクチュエータにそれぞれ接続され、これらの弁の作動を制御している。
また、ECU30の入力ポートには、機関の回転数、吸入空気量、機関冷却水温度等を表す信号が、それぞれ図示しないセンサから入力されている他、機関吸気通路1に設けられた吸気酸素濃度センサ33から吸気中の酸素濃度に対応する信号が入力されている。ECU30は、吸気酸素濃度センサ33出力に基づいて、吸気中に含まれる蒸発燃料量(蒸発燃料濃度)を算出する。
【0025】
図1に10で示すのは燃料タンク内の蒸発燃料を吸着するキャニスタである。キャニスタ10はブリーザー配管13により燃料タンク11の燃料液面上部空間と、また、パージ配管14により吸気通路1の吸気酸素濃度センサ33上流側部分と、それぞれ接続されている。図1に15で示すのは、パージ通路14を開閉するパージ制御弁15である。パージ制御弁15はソレノイドアクチュエータなどの適宜な形式のアクチュエータを備え、ECU30からの信号により開弁し、キャニスタ10と吸気通路1とを連通してキャニスタ10のパージを行う。
【0026】
次に、本実施形態のキャニスタ10の構造について説明する。
図2は本実施形態のキャニスタ10の構造を模式的に示す断面図である。キャニスタ10はハウジング10aと、該ハウジング内に充填された活性炭などの蒸発燃料吸着剤50(以下の説明では、吸着剤50a、50bを総称して吸着剤50と称する場合がある)とを備えている。ハウジング10a内には、ハウジング上部から延びる隔壁10bが設けられており、ハウジング10a内を主室10cと副室10dとに分割している。吸着剤50はそれぞれ主室10cと副室10d内に設けられたフィルタ材料、多孔板等の通気性材料からなる2枚の保持板51a、51bの間に充填されている。隔壁10bの下端、及び主室10c、副室10d内の下側の保持板51b下部には空間10eが形成されている。
【0027】
主室10c内の吸着剤50a、及び副室10d内の吸着剤50bにはそれぞれヒータ20a(第1のヒータ)、20b(第2のヒータ)が埋込まれている。ヒータ20a、20bについては後述する。
ハウジング10aの主室10c部分には、ベーパーポート13aとパージポート14aとが設けられており、主室10c内の上側保持板51a上部空間10fは、ベーパーポート13aを介してブリーザー配管13に、またパージポート14aを介してパージ配管14に、それぞれ接続されている。また、ハウジング10aの副室10d部分には、大気ポート18aが設けられており、副室10d内の上側保持板51aの上部空間10gは、大気ポート18aを介して大気連通管18に接続されている。大気連通管18の他端は、タンク11の給油口近傍に開口している。
【0028】
また、大気連通管18にはエアフィルター19と前述したCCV17とが設けられている。エアフィルタ19は後述するパージ実行時に大気連通管18からキャニスタ10内に流入する空気中の異物を除去するものである。CCV17は、ソレノイドアクチュエータなどの適宜な形式のアクチュエータを備え、ECU30からの制御信号に応じて大気連通管18とキャニスタ11との連通を遮断するものである。
【0029】
次に、本実施例におけるキャニスタ10の機能について説明する。
キャニスタ10と吸気通路1とを接続するパージ通路14上のパージ制御弁15の閉弁中に燃料タンク11内圧力が上昇してベントバルブ131の開弁圧力に到達すると、ベントバルブ131が開弁する。これにより、燃料タンク11の液面上部空間からブリーザー配管13を介して燃料蒸気と空気との混合気がキャニスタ10の主室10c内に流入し、主室内の吸着剤50aを通過して下部空間10eから更に副室10d内の吸着剤50bを通過した後に大気連通管18から大気に放出されるようになる。これにより、大気連通管18からは主室10c内と副室10d内の吸着剤50a、50bで燃料蒸気を除去された後の空気のみが放出されるようになる。これにより、蒸発燃料の大気放出が防止される。
【0030】
また、機関運転中にパージ制御弁15が開弁されると、キャニスタ10内にはパージ通路14を介して吸気通路1のスロットル弁6下流側の負圧が作用し、キャニスタ内圧力は大気圧より低くなる。このため、パージ制御弁15が開弁すると、大気連通管18からフィルタ19により異物を除去された清浄な空気がキャニスタ10内に流入する。この空気は副室10dと主室10cの吸着剤50b、50aから吸着した蒸発燃料を離脱させ、蒸発燃料と空気との混合ガス(パージガス)となってパージ通路14から機関吸気通路1に流入し、機関燃焼室で燃焼する。これにより、吸着剤50が蒸発燃料で飽和することが防止される。
【0031】
なお、ある種の希薄燃焼機関のようにスロットル弁6をほぼ全開状態にして運転する機関では、吸気通路1のスロットル弁6下流側の負圧は極めて小さくなるため吸気通路の負圧でパージガスを吸気通路内に吸入することが困難な場合がある。このような機関の場合には、例えばパージ配管14にエアポンプを設け、キャニスタ内のパージガスを吸気通路1に圧送することによりパージを行う。また、パージ配管14にエアポンプを設ける代りに大気連通管18にエアポンプを設け、空気をキャニスタ内に圧送して吸着剤50のパージを行い、パージガスを吸気通路1に排出するようにしてもよい。
【0032】
上述のように、キャニスタ10内の吸着剤50は蒸発燃料の吸着とパージによる脱離とを繰返すことにより、蒸発燃料の大気放出を防止している。しかし、パージによる蒸発燃料の脱離が不十分になると吸着剤50には次第に吸着された蒸発燃料が蓄積し、吸着剤50の吸着能力が低下する。特に、蒸発燃料の高沸点成分は吸着剤50から脱離しにくいため吸着剤50に蓄積されやすい。
【0033】
本実施形態では、パージ実行時に吸着剤50に吸着された蒸発燃料を完全に脱離させて吸着剤50の吸着能力を回復させるためにヒータ20a、20bが設けられている。
本実施形態では、ヒータ20a、20bは板状の電気ヒータとされ、図2(A)、(B)に示すように、それぞれキャニスタ主室10c内の吸着剤50aと副室10d内の吸着剤50bのほぼ長さ方向全体にわたって埋込まれている。ヒータ20a、20bはそれぞれECU30からの制御信号により作動する図示しないリレーを介して車両の電源に接続され、互いに独立して作動可能とされている。すなわち、本実施形態ではベーパーポート13a近傍に位置するキャニスタ10の主室10c内の吸着剤50aと、大気ポート18a近傍に位置するキャニスタ10の副室10d内の吸着剤50bとは、互いに独立して加熱することが可能となっている。
【0034】
次に、本実施形態のキャニスタのヒータ20a、20bの制御について説明する。
本実施形態では、パージ実行中に機関100の吸気通路1に設けた吸気酸素濃度センサ33出力に基づいて吸着剤50の蒸発燃料吸着量を推定し、この蒸発燃料吸着量に応じて第1と第2のヒータ20a、20bのオン、オフを行う。
具体的には、本実施形態では、吸気酸素濃度センサ33として、センサ電極上で吸気中の蒸発燃料などの可燃物を酸化(燃焼)し、燃焼後の吸気中の酸素濃度を検出する形式のものが用いられている。このため、吸気酸素濃度センサ33で検出した酸素濃度は吸気中の蒸発燃料量(濃度)が大きいほど低下する。すなわち、吸気酸素濃度センサ33で検出した酸素濃度は吸気中の蒸発燃料濃度を表すことになる。
【0035】
一方、機関100の燃料噴射制御では通常吸気通路1に設けたエアフローメータ(図示せず)または吸気圧力センサ(図示せず)と機関回転数とに基づいて機関の吸気流量が算出される。このため、吸気酸素濃度センサ33で検出した酸素濃度と吸気流量とから、パージ中に吸気通路に流入する蒸発燃料量(流量)を算出することが可能となる。
【0036】
一方、パージ配管14から吸気通路1に供給されるパージガスの流量は機関運転状態(吸気通路負圧)とパージ制御弁15開度により定まる。このため、蒸発燃料流量とパージガス流量とに基づいてパージガス中の蒸発燃料濃度を算出することができる。
例えばECU30は一定時間毎に吸気酸素濃度センサ33で検出した吸気酸素濃度と機関吸気流量とに基づいて吸気中の蒸発燃料量(流量)を算出し、更に機関運転状態とパージ制御弁15開度とに基づいてパージガス流量を算出する。そして、ECU30は更に、算出した蒸発燃料量とパージガス流量とに基づいてパージガス中の蒸発燃料濃度を算出し、この蒸発燃料濃度に基づいてヒータ20a、20bのオン、オフ制御を行う。
【0037】
本実施形態では、基本的にはパージガス中の蒸発燃料濃度が所定の上限値以上である場合、及び所定の下限値以下である場合にはヒータでの吸着剤加熱は行わない。
パージガス中の蒸発燃料濃度は吸着剤の吸着した蒸発燃料量と相関があり、吸着剤の蒸発燃料吸着量が大きいほどパージガス中の蒸発燃料濃度は高くなる。このため、蒸発燃料濃度が高い場合は吸着剤の蒸発燃料吸着量が大きいことを意味している。吸着剤の蒸発燃料吸着量が多い場合には、吸着剤からの蒸発燃料脱離速度も大きく、吸着剤を加熱して蒸発の脱離を促進する必要はない。
【0038】
一方、蒸発燃料濃度が低い場合には吸着剤から蒸発燃料の大部分が脱離しており、吸着剤の蒸発燃料吸着量は低くなっている。このため、吸着剤の吸着能力は既に回復しており、これ以上吸着剤を加熱して蒸発燃料の脱離を促進する必要はない。また、吸着量が小さい状態で吸着剤を加熱すると吸着剤自体の温度が上昇し、蒸発燃料の吸着を再開したときの吸着能力が低下してしまう。
そこで、本実施形態では吸着剤の蒸発燃料吸着量が所定の上限値より小さく、かつ所定の下限値より大きい場合にのみヒータに通電して吸着剤の加熱を行うようにしている。
【0039】
ところが、上述のように蒸発燃料濃度に基づいてヒータの作動を制御する場合には問題が生じる。すなわち、蒸発燃料濃度に基づいて推定される吸着剤の蒸発燃料吸着量は吸着剤全体を平均した場合の吸着量である。これに対して、吸着剤内の蒸発燃料吸着は一様ではなく、吸着剤内では吸着量の偏りが生じている。例えば、蒸発燃料吸着時には、図2の例ではキャニスタ10の主室10cにはブリーザー配管13が接続されており、タンク11からの蒸発燃料は主室10cに流入する。このため、蒸発燃料吸着時には蒸発燃料はまず主室10c内の吸着剤50aに吸着され、吸着剤50aに吸着されなかった蒸発燃料のみが副室10dに流入して副室10d内の吸着剤50bに吸着される。すなわち、蒸発燃料吸着量はベーパーが流入する主室側の吸着剤50aが大きく副室側の吸着剤50bの吸着量は小さくなっている。
【0040】
また、パージ実行時には空気は大気ポート13aからまず副室10d内に流入し、副室10d内の吸着剤50bから蒸発燃料を脱離させた後主室10cの吸着剤50aに流入する。すなわち、主室10cに流入する空気は蒸発燃料を含んでおり、この蒸発燃料の一部は主室内の吸着剤50aの吸着能力に余裕がある場合には再度吸着剤50aに吸着される。従って、パージ実行時には吸着剤からの脱離はまず大気ポート18a側の吸着剤50bから始り、その後パージポート14a側の吸着剤50bで開始されるようになる。
【0041】
すなわち、大気ポート18a側(副室10d)の吸着剤50bでは、ベーパーポート13a側(主室10c)の吸着剤50aに較べてもともと吸着量が少ない状態で、しかも主室10cの吸着剤50aより早く蒸発燃料の脱離が開始されるため、蒸発燃料の脱離が完了するのも主室10cの吸着剤50aより早くなる。従って、吸着剤の加熱の停止を同一のタイミングで行うと問題が生じることになる。すなわち、副室側の蒸発燃料脱離完了にあわせて吸着剤の加熱を停止すると主室側では未だ蒸発燃料の脱離が完了していない状態で加熱が停止されてしまい、例えば蒸発燃料の高沸点成分が吸着剤に蓄積される問題が生じ、一方、主室側の蒸発燃料脱離完了にあわせて吸着剤の加熱を停止すると副室側では蒸発燃料の脱離が完了した後も吸着剤の加熱が継続されることになり、無駄に加熱エネルギーが消費されるのみならず、吸着剤の温度が上昇して吸着再開時の吸着性能が低下する問題が生じるのである。
【0042】
本実施形態では、この問題を解決するために主室10c側の吸着剤50a加熱する第1のヒータ20aと副室10d側の吸着剤50bを加熱する第2のヒータ20bとを設け、これらのヒータのオン、オフを個別に制御するとともに、ヒータの加熱を停止する蒸発燃料濃度の下限値を第1のヒータと第2のヒータとで異なる値に設定し、第2のヒータにおける下限値を第1のヒータにおける下限値より大きく(高く)設定している。両方の吸着剤を加熱してパージを行うと、パージガス中の蒸発燃料濃度は、吸着剤全体の蒸発燃料吸着量の減少に応じて低下するが、副室10d側の吸着剤50bの蒸発燃料の脱離が完了した状態でも、主室10c側の吸着剤50aにはまだ多量の蒸発燃料が吸着されているため、パージガス中の蒸発燃料濃度は比較的高い値になる。
【0043】
本実施形態では、副室10d側の吸着剤50bでの蒸発燃料の脱離が完了したときに対応する比較的高い蒸発燃料濃度を第2のヒータの通電下限値としている。第2のヒータの通電を停止後、第1のヒータの通電を継続すると、パージガス中の蒸発燃料濃度は、主室10c側の吸着剤50aからの蒸発燃料の脱離に応じて低下し、吸着剤50aからの蒸発燃料脱離が完了した状態では比較的低い値になる。本実施形態では、この、吸着剤50aからの蒸発燃料の脱離が完了した状態に対応する比較的低い蒸発燃料濃度を第1のヒータの通電下限値としている。
【0044】
これにより、それぞれの吸着剤で適切な加熱が行われるため、無駄な加熱エネルギーの消費と吸着剤の吸着性能の低下とを防止しつつ、効率的に吸着剤からの蒸発燃料の脱離(パージ)が行われるようになる。
【0045】
図3は、上述した本実施形態のヒータ制御操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図3の操作では、まずステップ301で現在の吸気酸素濃度センサ33から吸気酸素濃度を読込み、ステップ303では、読込んだ吸気酸素濃度と現在の機関吸入空気量、吸気通路負圧及びパージ制御弁開度とに基づいてパージガスの蒸発燃料濃度FGPGが算出される。
【0046】
そして、ステップ305では蒸発燃料濃度が所定の上限値GPGH以上か否かを判断し、FGPG≧GPGHである場合にはステップ307、309でそれぞれ第1のヒータ20aと第2のヒータ20bとをオフにして今回の本操作の実行を終了する。
ステップ305における上限値GPGHは、吸着剤全体としてある程度吸着量が減少して加熱しない状態での吸着剤からの蒸発燃料の脱離速度が低下を始めた状態に対応する蒸発燃料濃度である。すなわち、蒸発燃料濃度がGPG以上である場合には吸着剤を加熱しなくとも充分に蒸発燃料の脱離速度が大きいため、第1と第2のヒータによる加熱は行わない。GPGHの値はキャニスタのサイズ、吸着剤の種類などにより異なるため、詳細には実際のキャニスタを用いた実験により設定することが好ましい。
【0047】
ステップ305でFGPG<GPGHであった場合、には次にステップ311に進み、蒸発燃料濃度FGPGが第1の下限値GPGL1以下か否かを判定する。ここで、GPGL1は主室10c側の吸着剤50aと副室10d側の吸着剤50bとの両方からの蒸発燃料脱離が完了した状態に対応する蒸発燃料濃度であり、詳細には実験により設定される。
ステップ311でFGPG≦GPGL1であった場合には両方の吸着剤とも蒸発燃料の脱離は完了しており、ヒータ加熱の必要はないため、この場合もステップ307、309で第1と第2のヒータの通電を停止して今回の操作の実行を終了する。
【0048】
ステップ311で、FGPG>GPGL1であった場合には、次にステップ313で第1のヒータ20aをオン(通電)して、次にステップ315で蒸発燃料濃度FGPGが第2の下限値GPGL2以下か否かを判定する。GPGL2は副室10d側の吸着剤50bでは蒸発燃料の脱離が完了しているが、主室10c側の吸着剤50aではまだ蒸発燃料の脱離が完了していない状態での最も高い蒸発燃料濃度である。
ステップ315でFGPG≦GPGL2であった場合にはステップ309が実行され、第2のヒータ20bのみがオフ(通電停止)され、FGPG>GPGL2であった場合にはステップ317で第2のヒータ20bがオン(通電)される。
【0049】
第1の下限値GPGL1と第2の下限値GPGL2はそれぞれ、第1のヒータ20aの通電下限値と第2のヒータ20bの通電下限値とに相当し、GPGH>GPGL2>GPGL1の関係にある。すなわち、第2のヒータにより吸着剤50bの加熱を行う蒸発燃料濃度下限値GPGL2は、第1のヒータにより吸着剤50aの加熱を行う蒸発燃料濃度下限値GPGL1より大きな値に設定されている。
なお、GPGH、GPGL1、GPGL2の値は、詳細には実際のキャニスタを用いた実験により設定することが好ましい。
【0050】
上述のように、本実施形態では吸気通路1の負圧をキャニスタ内に導入することにより吸着剤のパージを行う場合を例にとって説明したが、前述したようにパージ配管14にエアポンプを配置してキャニスタ10内のパージガスを吸気通路1に供給する場合、或は大気連通路18にエアポンプを配置して空気をキャニスタ10内に供給してパージを行う場合も同様な制御が可能であることは言うまでもない。
なお、本実施形態ではヒータ通電を行う蒸発燃料濃度上限値GPGHは第1と第2のヒータとで同じ値を使用しているが、上限値についても第1と第2のヒータで異なる値に設定するようにしても良い。
【0051】
また、本実施形態では、第1のヒータと第2のヒータとで下限値を変えた場合を説明しているが、下限値は第1と第2のヒータとで共通の値に設定し、上限値のみを第2のヒータが第1のヒータより大きくなるように設定してもよい。このように、第2のヒータの上限値を第1のヒータの上限値より大きくすることにより、第2のヒータでは第1のヒータより早く加熱が開始されるようになり、ベーパーポート近傍部分の吸着量が多くヒータ加熱の必要がない場合でも、第2のヒータにより大気ポート部分の加熱を行うことができ、大気ポート部分の蒸発燃料の脱離を効率的に行うことができる。
【0052】
次に、図4を用いてキャニスタ10の図2とは異なる構成の実施形態について説明する。
図4は、本実施形態のキャニスタ10の、図2と同様な断面模式図である。
図2のキャニスタでは、ヒータ20a、20bは主室10cの吸着剤50aと副室10dの吸着剤50bとのほぼ全長にわたって設けられており、吸着剤50a、50bの全体を加熱するようにされていた。これに対して、図4のキャニスタ10では、ヒータ20a、20bはそれぞれ吸着剤50aのベーパーポート13a近傍部分のみと吸着剤50bの大気ポート18a近傍部分のみを加熱する小型のものが使用されている。また、これらのヒータにより加熱される吸着剤50c、50dは、他の部分の吸着剤50a、50bとは異なるものが使用されている。
【0053】
すなわち、実際には、本実施形態では、主室10cと副室10d内はそれぞれ保持板51a、51bの間にそれぞれ多孔板などからなるもう一つの保持板51c、51dが設けられており、主室10cと副室10dをそれぞれ2つの区画に分割している。そして、主室10cのベーパーポート13a側の区画(すなわち、保持板51aと51cとにより形成される区画)と、副室10dの大気ポート18a側区画(すなわち保持板51aと51dとにより形成される区画)には、他の区画(保持板51cと51b、及び51dと51bとにより形成される区画)に収納された吸着剤50a、50bより単位体積当りの蒸発燃料吸着容量(吸着能力)が大きい吸着剤50c、50dが収納されている。図4に示すように、吸着剤50cは50aより容積が小さく、また吸着剤50dは50bより容積が小さい。また、大気ポート18aに最も近い吸着剤50dはベーパーポート13aに最も近い吸着剤50cより容積が小さく設定されている。
【0054】
本実施形態では、ヒータ20aは吸着剤50cの長さのほぼ全体にわたって埋込まれており、吸着剤50cのみを加熱する。また、ヒータ20bは吸着剤50dの長さのほぼ全体にわたって埋込まれており、吸着剤50dのみを加熱する。
吸着能力が比較的低い吸着剤50a、50bは容積が比較的大きいが、吸着剤50c、50dとは保持板51c、51dで分離されているため、ヒータ20a、20bの熱は吸着剤50a、50bに直接にはほとんど伝達しない。このため、ヒータ20a、20bが加熱すべき部分の熱容量は(ヒータ自身の熱容量も含めて)図2のものより小さくなっており、比較的小さいヒータ電力で吸着剤50c、50dをより高温に昇温することが可能となっている。
【0055】
本実施形態でベーパーポート13aと大気ポート18aとに近い部分の吸着剤50c、50dに他の部分の吸着剤50a、50bに較べて吸着能力の高い吸着剤を使用しているのは以下の理由による。
すなわち、吸着剤50cはベーパーポート13aに最も近いため、ブリーザー配管13から供給される蒸発燃料を最も多く吸着する部分である。このため、この部分の吸着剤の吸着能力を大きくして、この部分に集中して蒸発燃料を吸着させることにより、キャニスタ全体を小型化することが可能となる。また、吸着能力の高い吸着剤は蒸発燃料を吸着する細孔の径が小さく、特に高沸点成分が脱離しにくい問題があるが、吸着剤50cのみを加熱するヒータ20aを設けることにより、小型のヒータで吸着剤50cの温度を高温にすることができる。このため、吸着能力の高い吸着剤50cと小型のヒータ20aとを用いることにより、キャニスタの小型化とヒータ消費電力の低減とをはかることができる。
【0056】
一方、副室10dの吸着剤50dは、大気ポート13aに最も近いため、この部分で吸着剤の飽和が生じると蒸発燃料が直接大気に放出される可能性がある。このため、吸着剤50dの吸着能力を大きく設定することにより蒸発燃料の大気放出を完全に防止することが可能となる。
また、同様に吸着剤50dは小型のヒータ20bにより加熱されるため、少ない電力で吸着剤50dから完全に蒸発燃料を脱離させることが可能となる。
【0057】
本実施形態では、ヒータ20a、20bで発生する熱は大部分が吸着剤50cと50dとの加熱に消費され、吸着剤50a、50bにはほとんど伝わらない。このため、吸着剤50a、50bからの蒸発燃料の脱離が不十分になる可能性があるが、実際にはベーパーポート13a近傍の吸着剤50cの吸着能力を大きく設定したことにより、吸着剤50a、50bの蒸発燃料吸着量は図2の場合に比してかなり少なくなる。このため、吸着剤50a、50bが蒸発燃料で飽和することはない。
【0058】
また、ヒータ20aと20bとが独立して作動できる場合には、例えばパージ実行中に大気ポート18a側のヒータ20bをオンにして吸着剤50dを高温に加熱する事により、吸着剤50dにより加熱された高温の空気を吸着剤50bと50aに供給することができ、吸着剤50a、50bからの蒸発燃料の脱離を促進することができる。
【0059】
なお、図4ではベーパーポート近傍と大気ポート近傍の吸着剤の両方の吸着能力を他の部分より大きく設定しているが、ベーパーポート近傍部分のみ、あるいは大気ポート近傍部分のみの吸着剤の吸着能力を他の部分より大きく設定するようにすることも可能である。
また、図4の吸着剤とヒータの構成においても、図3に示したと同じヒータ制御を行えば、少ない加熱エネルギーで効率的に吸着剤から蒸発燃料を脱離させることが可能となる。
【0060】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、吸着剤のヒータ加熱により吸着剤から蒸発燃料を脱離させる際に、吸着剤の吸着性能の低下を招くことなく、ヒータの加熱エネルギーを低減し効率的に吸着剤からの蒸発燃料の脱離を行うことが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】図1のキャニスタの構成の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】図2のキャニスタのヒータ制御操作の一実施形態を説明するフローチャートである。
【図4】図2のキャニスタのヒータ制御操作の別の実施形態を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…吸気通路
10…キャニスタ
11…燃料タンク
15…パージ制御弁
17…CCV
20a、20b…ヒータ
30…電子制御ユニット(ECU)
100…内燃機関本体

Claims (2)

  1. 内部に吸着剤を収容するハウジングと、それぞれ前記ハウジングに設けられ、ハウジング内部を内燃機関の吸気通路に連通するパージポートと、ハウジング内部を内燃機関の燃料タンク内の液面上部空間に連通するベーパーポートと、ハウジング内部を大気に連通する大気ポートとを備え、燃料タンク内の蒸発燃料を前記ベーパーポートを介してハウジング内に導入して前記吸着剤に吸着させ、内燃機関運転中に前記大気ポートからハウジング内に大気を導入して前記吸着剤に吸着された蒸発燃料を吸着剤から脱離させるとともに脱離した蒸発燃料を前記パージポートから内燃機関の吸気通路に供給するキャニスタパージシステムであって、前記吸着剤の前記ベーパーポート近傍の部分を加熱する第1のヒータと、前記吸着剤の前記大気ポート近傍の部分を加熱する、前記第1のヒータとは独立して作動可能な第2のヒータと、前記パージポートから前記吸気通路に供給される蒸発燃料量を検出する蒸発燃料検出手段と、前記蒸発燃料検出手段により検出した蒸発燃料量が所定の上限値以上のとき、及び所定の下限値以下のときにそれぞれ前記第1と第2のヒータによる吸着剤加熱を停止するヒータ制御手段を備え、前記第2のヒータの前記上限値と下限値との少なくとも一方は、前記第1のヒータより大きい値に設定され、
    前記蒸発燃料吸着時には、前記ベーパーポート近傍の吸着剤の蒸発燃料吸着量は前記大気ポート近傍の吸着剤の蒸発燃料吸着量より多くなる偏りが生じており、前記パージポートから前記吸気通路に供給される蒸発燃料量は、キャニスタ内の吸着剤全体を平均した蒸発燃料吸着量に応じて変化する
    キャニスタパージシステム。
  2. 内部に吸着剤を収容するハウジングと、それぞれ前記ハウジングに設けられ、ハウジング内部を内燃機関の吸気通路に連通するパージポートと、ハウジング内部を内燃機関の燃料タンク内の液面上部空間に連通するベーパーポートと、ハウジング内部を大気に連通する大気ポートとを備え、燃料タンク内の蒸発燃料を前記ベーパーポートを介してハウジング内に導入して前記吸着剤に吸着させ、内燃機関運転中に前記大気ポートからハウジング内に大気を導入して前記吸着剤に吸着された蒸発燃料を吸着剤から脱離させるとともに脱離した蒸発燃料を前記パージポートから内燃機関の吸気通路に供給するキャニスタパージシステムであって、前記吸着剤の前記ベーパーポート近傍の部分を加熱する第1のヒータと、前記吸着剤の前記大気ポート近傍の部分を加熱する、第2のヒータとを備え、前記吸着剤の前記第1のヒータと第2のヒータとにより加熱される部分のうち少なくとも一方の部分の単位体積あたりの蒸発燃料吸着容量を、前記ヒータにより加熱される部分以外の吸着剤部分の蒸発燃料吸着容量より高く設定した、キャニスタパージシステム。
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