JP4177078B2 - 光学部材用合成石英ガラス材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学部材用合成石英ガラス材料に関し、詳しくは、ArFエキシマレーザーを光源とするディープUVリソグラフィーの露光装置に使用される光学系に用いられる、紫外線照射に対して安定な光学部材用の合成石英ガラス材料に関するものであり、特に照射エネルギー密度の少ない領域により好適に使用される合成石英ガラスに関する。したがって、本発明の光学部材用合成石英ガラス材料はエキシマレーザー露光装置の光学系を構成する、例えばレンズ、プリズム、ビームスプリッター等の合成石英ガラス光学部材用として好適に用いられるものである。
【0002】
【関連技術】
半導体素子の高集積化は止まることなく、ウェハー上に描くパターンは微細化の一途をたどり、近年ではクォータミクロン(0.25μm)以下の超微細パターンが描画されたULSIが量産として製造されている。特に最先端では0.2μm以下の微細パターンが描画されたULSIも製造されつつある。このような微細化を達成していくために、パターンを描画する露光装置も年々改良が進められており、特に露光光源の短波長化や超解像技術の駆使などにより超微細パターンの形成が達成されている。露光光源の短波長化は、従来、水銀ランプのi線(365nm)が用いられてきたものが、近年ではKrFエキシマレーザー(248nm)が主流となり、更に波長の短いArFエキシマレーザー(193nm)の量産への導入が進められている。このような厳しい微細化の要求やそれに伴う露光光源の短波長化は、露光装置のレンズやビームスプリッターなどの光学材料に対しても従来とは比較にならないほど高品質であることが要求されている。例えば、クリアーな超微細パターンを形成するために露光装置のレンズ材料はあらゆる光学的な収差を小さくする必要があり、レンズ材料に対しても非常に高い屈折率均質性や低い複屈折特性が要求されている。また、露光装置光源の短波長化により、紫外線領域の高透過性、更には耐紫外線性が求められている。一般的に光は短波長になるほど光子エネルギーが高いため、石英ガラスなどの透過材料に対して光学的なダメージを与えやすくなる。したがって、i線よりもKrF、更にはArFとより短波長になるほど高い紫外線耐性が要求される。
【0003】
エキシマレーザー照射による石英ガラスの光学的ダメージ(以降レーザーダメージ)は当初、エキシマレーザー露光装置における最大の課題とされ、1990年代初めから盛んに研究が行われてきた。
【0004】
レーザーダメージの代表的な現象として、極めてエネルギーの強いレーザー光の吸収により石英ガラスの構造が破壊され、E’センター(イープライムセンター)と呼ばれる波長215nmに吸収ピークを有する常磁性欠陥が生成することにより紫外線透過率が低下する現象、及びレーザー光の透過に伴い、石英ガラス構造の緻密化が生じ(レーザーコンパクション)、屈折率が上昇する現象等が有名であるが、これらはそのまま露光時の結像特性に影響を与えるばかりでなく、光学素子自体の寿命を決定するために、これらダメージの解決に向けて盛んに研究が行われてきた。
【0005】
このような研究の結果、E’センターの抑制とレーザーコンパクションに対して極めて有効な手段が発明され、エキシマレーザー露光の実現に大きく貢献した。即ち、特許文献1(主としてKrFレーザー耐久性を課題としている)、特許文献2及び3(主としてArFレーザー耐久性を課題としている)にそれぞれ示される様に、レーザーの種類に応じてある濃度以上の水素分子を石英ガラス中に存在させることで、石英ガラスのレーザーダメージを大幅に改善するという技術である。
【0006】
この水素分子の石英ガラスに対するレーザーダメージ抑制効果は非常に有効なものであり、水素分子を適当量石英ガラスに含有させることで全てのレーザーダメージが克服されたかのように思われた時期もあった。しかしながら、実際の操業条件を模して、より詳細にレーザーダメージの挙動を評価してみると、事態はそれ程単純ではなく、幾つかの細かな問題が新しく提起されてきている。
【0007】
第1の問題は、照射初期の透過率低下の問題である。水素分子は例えばArFエキシマレーザーを20mJ/cm2程度のエネルギー密度で1,000,000パルス以上照射したような、比較的長期にわたるエキシマレーザーの照射に対しては飛躍的な安定性を石英ガラスに与えるものであるが、レーザー照射初期、例えば同じ照射条件で10,000パルス程度照射するような短時間の照射段階においては一時的に透過率を低下させる場合があることが判った。この現象はその後の研究により水素により石英ガラスの構造が一部還元され還元性欠陥を生じるためであることが判り、これを避けるために石英ガラスを製造する際の成長速度を著しく遅くする(特許文献4)、あるいは石英ガラス中に含まれる水素を完全に除去した後、還元性欠陥を生じないような比較的低温(300℃〜600℃)の温度範囲で水素分子を再ドープする方法(特許文献5)、スート法により作成した多孔質シリカを高真空で透明化した合成石英ガラスを、還元性欠陥を生じないような比較的低温(300℃〜600℃)の温度範囲で水素分子をドープする(特許文献6)等の発明がなされている。
【0008】
しかしながら、これらの技術はいずれも製造に時間がかかったり、あるいは水素ドープの工程に多大な時間がかかったりするために、大きな部材を作ることが困難で、また製造コストが高くなる等の問題があった。
【0009】
例えば、直径300mm、厚み80mm程度の比較的大きなレンズを形成するために必要な合成石英ガラスブランクスの場合、500℃の処理温度では水素を十分に拡散させるためには1500時間以上の拡散時間が必要で、工業的には非常にコストと時間のかかる工程となってしまう。
【0010】
第2の問題は、低エネルギーのレーザー光の長時間照射による屈折率の低下現象(レーザーレアファクション)である。これは石英ガラスに非常に低いエネルギー密度(例えば0.1mJ/cm2)のArFエキシマレーザーを1010パルス以上照射した場合、従来観察されてきたような緻密化(コンパクション)とは逆の疎密化(レアファクション)が生じるというものである(非特許文献1)。
【0011】
このレーザーレアファクション現象は発見されてから今だ数年しか経っていないことと、評価に時間がかかるために、現在、詳細な研究がなされている最中であるが、現象が生じるエネルギー密度が実際に露光装置において石英ガラス光学部材が被曝するエネルギー密度に相当するために深刻な問題として捉えられている。
【0012】
【特許文献1】
特開平3−88742号公報
【特許文献2】
特開平11−292551号公報
【特許文献3】
特開2000−258601号公報
【特許文献4】
特開平7−61823号公報
【特許文献5】
特開平6−166528号公報
【特許文献6】
特開平6−166522号公報
【特許文献7】
特開平11−240728号公報
【特許文献8】
特開平7−267662号公報
【非特許文献1】
Proceedings of SPIE Vol. 4000 (2000) pp496〜510
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ArFエキシマレーザー光学部材用合成石英ガラス材料において必要なレーザー照射初期及び長期の透過率低下の問題、及び低いエネルギー密度の照射によって生じるレアファクションの問題の解決を課題とし、ArFエキシマレーザーを光源とする露光装置の光学系を構成するに最適な光学特性を有する合成石英ガラス材料を与えるものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明のArFエキシマレーザーを光源とする露光装置に用いられる光学部材用合成石英ガラス材料は、水素を完全に除去した状態で、ArFエキシマレーザーをパルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2、発振周波数200Hzで5×106パルス照射した際に215nmの吸収曲線が飽和点を有し、かつその波長215nmにおける吸光係数α215の飽和点αSが0.02〜0.06の範囲にある合成石英ガラス材料であって、含有される水素分子濃度CH2(分子/cm3)が下記式(1)によって与えられる範囲にあることを特徴とする。
【0015】
【数2】
αS×3.85×1017≦CH2≦αS×1.16×1018・・・(1)
【0016】
本発明の光学部材用合成石英ガラス材料においては、OH基濃度が0.1ppm以上300ppm以下、塩素濃度が10ppm以下、仮想温度が850℃以上1000℃以下の範囲であることが好適である。
【0017】
本発明の合成石英ガラス材料は、揮発性珪素化合物を原料として、煤状シリカを基体上に堆積させた後ガラス化を行う、スート法により作成された合成石英ガラスであって、かつ含有される水素が、600℃以上1000℃以下の温度で石英ガラス中にドープされたものであることが好ましい。
【0018】
本発明の合成石英ガラス材料は、3方向に脈理を有せず、屈折率の均質性Δnが1×10-6以下で、使用方向における最大複屈折量0.3nm/cm以下、波長193nmの紫外線に対する内部透過率が99.7%以上であることが好適である。
【0019】
本発明の合成石英ガラス材料においては、脈理特性及び屈折率の均質性を、機械的撹拌を伴う均質化操作により達成させることが好ましい。
【0020】
本発明の合成石英ガラス材料において使用されるエネルギー密度が1パルス当たり0.03mJ/cm2以下であることが好適である。
【0021】
本発明の合成石英ガラス材料は、その体積が1500cm3以上であると特に有益である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下、例を挙げて説明するが、本発明は、以下の説明及び例示によって、何等制限されるものではない。
【0023】
長期的なレーザー耐久性を高めるためには合成石英ガラスに必要量以上の水素分子を含有させる必要がある。水素分子濃度の必要量としては、ArFエキシマレーザーの場合には上記特許文献2あるいは特許文献3によると最低でも2×1017分子/cm3の濃度が必要であるとされる。これらの水素分子濃度は実際にはレーザー照射によって生じる欠陥を補修するといった意味合いを含んでいるので、当然、ダメージの入り方によってはその必要量自体が増減するべきものであったが、水素分子が合成石英ガラスのレーザー耐久性に悪い働きを及ぼすという認識があまりなかったため、実際にはより少量の水素分子濃度で十分な場合においても、保険的な意味合いから必要以上の水素分子濃度を含ませるということが行われてきた。
【0024】
しかしながら、関連技術の問題点で指摘したように水素分子が逆にレーザーダメージを促進させる場合があることが判ってきた。
【0025】
前述の還元性欠陥の生成については、水素処理温度が非常に大きな影響を及ぼすものであるが、同時に含有される水素分子も影響が大きいため、水素分子濃度を小さく設定すれば、還元性欠陥の生成を完全になくすことは出来なくとも、使用するArFエキシマレーザーのエネルギー密度によっては、その影響を事実上問題のないレベルまで低減することが可能になることが判り、更にレアファクションにおいては水素分子濃度が少ないほど現象が生じ難いことが判った。
【0026】
本発明者らは合成石英ガラスに含まれる水素分子濃度を長期的な安定性を保証するために必要な最低濃度を確保しつつ、過剰な水素による弊害を最小限に抑制するという観点から、長期的な耐久性と短期的な特性の要求を満たす水素分子濃度の範囲を設定すると同時に、素材物性を最適化することによって、水素分子の必要量を低減し、エキシマレーザー露光装置の光学系を構成する、例えばレンズ、プリズム、ビームスプリッター等の合成石英ガラス光学部材として好適な合成石英ガラス材料を提供するものである。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0028】
(実験例1:必要最低量の水素分子濃度の設定)
まず、長期的なレーザー耐久性を確保するために必要な水素分子濃度をArFエキシマレーザー照射に伴うE’センターの生成量という観点から調査を行った。
【0029】
(実験例1−1:吸光係数の飽和点の設定)
合成石英ガラス中の水素分子はArFエキシマレーザーの照射と共に減少し、消費されていく。この水素分子が消費された分はArFエキシマレーザーの照射によって生じるE’センターの補修に充てられると考えられる。つまり、水素分子の必要量についてはArFエキシマレーザー照射によってどれ程のE’センターが生成するか知ることが重要である。
【0030】
合成石英ガラスにArFエキシマレーザーを照射するとE’センターとよばれる常磁性欠陥が徐々に生じて、波長215nmに吸収ピークを持つ吸収が現れる。この吸収は無限に増加するわけではなくあるレベルで飽和する。
【0031】
この飽和点は照射するArFエキシマレーザーのエネルギー密度、発振周波数に影響される他、素材自体に大きく依存する。
【0032】
これらのファクターの内、素材に関して言うと、レーザーの照射を継続した場合、どの吸光係数レベルで飽和するかは、その素材がもともとどれほどの欠陥の種(プリカーサ)を有していたかによって決まると考えられる。具体的な物性で見るとレーザー照射によって生じる215nmにおける吸光係数の飽和点は、石英ガラスにとっての不純物が少ないほど低くなる傾向を示す。この不純物には一般的に言われるような金属不純物に限らず、OH基や塩素も含む。ただ、OH基に関して言えば、OH基濃度が全く認められないような系では酸素欠損欠陥が生じて飽和点が逆に高くなることがある。
【0033】
ここで、長期的なレーザー耐久性を確保するためには、水素分子濃度は飽和状態に到ったE’センターの濃度以上存在することが必要である。
【0034】
ただし、E’センターが生成された場合、これを補修するためには水素分子が近くに存在することが必要であるのに対し、室温においては水素分子の石英ガラス中の拡散速度はそれ程速くないので、E’センター濃度と同じ濃度レベルの水素分子では十分なE’センター抑制効果は得られないことが判った。このため、実用上はE’センター濃度の5倍から15倍程度の過剰な水素分子濃度が必要である。
【0035】
従って、実際の光学部材用合成石英ガラス材料において、長期的なレーザー耐久性を保証するためには、石英ガラスにレーザーを照射した際生じる215nmの吸収の飽和時におけるE’センター濃度の5倍以上15倍以下の水素濃度が必要であるといえる。
【0036】
一方で、水素分子は生成するE’センターを補修しつつ消費されるので、このE’センター濃度を決定する作業においてははなはだ邪魔な存在である。この作業を迅速に行うためには、合成石英ガラス体から水素分子を完全に除去して、レーザー照射を行うことが実用上必要である。水素分子が存在すると、たとえ微量であってもそれが消費し尽くされるまでは飽和現象を生じないために、その分レーザーを無駄打ちすることになり、労力的にもコスト的にも時間的にも損失が大きい。そのため、エキシマレーザーによる215nm吸光係数の飽和点を決定するためには、予め合成石英ガラスから水素分子を除くべきである。水素分子を除くためには石英ガラス体を高温で適当な時間保持すれば良い。温度と時間はサンプルの大きさによるが、水素の石英ガラスにおける拡散係数は公知であるので、これらから適切に設定すればよい。
【0037】
具体的に例示すると、例えば25mm×25mm×50mm程度の石英ガラスサンプルから水素分子を完全に除去するには800℃で24時間程度保持すれば十分である。当然サンプルがこれより小さければ保持時間は短くなるし、大きければ長くなる。
【0038】
215nm吸光係数の飽和点に影響を及ぼすファクターとしてレーザーの照射条件も重要である。特にArFエキシマレーザーのパルス当たりエネルギー密度と発振周波数は215nm吸光係数の飽和レベルに大きな影響を及ぼす。このため、素材の優劣を判断するためには常に同じレーザー照射条件で比較を行う必要が生じる。本発明においては、ArFエキシマレーザーの照射条件を便宜的に発振周波数200Hz、パルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2として飽和点の特定を行っている。
【0039】
ArFエキシマレーザーの照射条件によって215nm吸光係数の飽和レベルは上下するが、エネルギー密度及び発振周波数の関数となっているので、215nm吸光係数の飽和点の値は本発明の条件を基に換算することが可能である。
【0040】
このように、エキシマレーザー照射に対する長期的安定性を確保するための水素分子濃度をなるべく小さく設定するためには、波長215nmにおける吸収(E’センター)の吸光係数の飽和点を適切に設定し、かつそれを補修するための水素分子濃度を最適値に設定することが必要である。
【0041】
本発明者らが検討を重ねた結果、発振周波数200Hz、パルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2の照射条件を選択した場合、波長215nmにおける吸光係数の飽和点(E’センターの吸光係数の飽和点)は0.02〜0.06の範囲にあることが必要であることが判った。吸光係数の飽和点が0.06を超える合成石英ガラスでは、長期レーザー耐性を保証するために必要になる水素分子濃度が高くなってしまい、高濃度の水素による障害、例えば還元性欠陥が生じやすくなり、レーザー初期の吸収増加現象が生じたり、またレアファクションが問題となったりすると考えられる。一方、215nmにおける吸光係数の飽和点の下限値を0.02に設定した理由は、この値未満になるまで徹底的に不純物を除去することは非常に大変であることに加え、飽和値0.02未満のE’センターを補修するために必要なレべルの水素分子濃度であれば、水素分子によって生じる弊害が軽微なので実質的に無視することができるからである。
【0042】
(実験例1−2:215nmの吸光係数の飽和点に対応する水素分子濃度の決定)
E’センターは常磁性欠陥であるためにESR(電子スピン共鳴:Electron Spin Resonance)により絶対定量が可能である。215nmの吸光係数が0.05で飽和している状態の合成石英ガラス(後述する実施例1で得られる合成石英ガラス)をESR測定し、g値2.000〜2.001におけるスピン強度を測定した結果、2.35×1017spins/cm3を示したので、これを利用して、E’センターのモル吸光係数を算出したところ、7.81×106mol-1を得た。
【0043】
このことから、215nmの吸光係数がα215である合成石英ガラスに存在するE’センターの濃度は下記式(2)によって計算することができる。
【0044】
【数3】
【0045】
但し、CE'はE’センターの濃度、α215は215nmの吸光係数を示す。215nmの吸光係数α215は、215nmにおける実際の透過率をT、215nmの理論透過率をTTHとして下記式(3)より求まる数値である。吸光係数には透過率の自然対数を用いる場合があるが、本発明で言う吸光係数は全て下記式(3)で与えられる式を用いる。
【0046】
【数4】
【0047】
上記式(2)及び式(3)を用いると、215nmにおける吸光係数α215の飽和点0.06(本発明における吸光係数の飽和点の上限)に相当するE’センターの濃度は、4.62×1015/cm3となり、その意味ではこの値が必要な水素分子の最低濃度となる。しかしながら、実際に水素分子がE’センターの補修剤として効果的に機能するためには、欠陥中心の十分近傍に水素分子が存在している必要があって、そのことを考慮すると水素分子の必要濃度としては、前述の数値の10倍程度であると考えられる。水素分子濃度は石英ガラス体の内部で若干の分布を有することを考慮すると、更にその±50%程度の範囲を見込んだ方が好ましく、その結果、水素分子濃度CH2の好ましい範囲としては215nmの吸光係数α215の飽和点をαSとして、αS×5×7.71×1016≦CH2≦αS×15×7.71×1016、即ち、αS×3.85×1017≦CH2≦αS×1.16×1018(単位:分子/cm3)と見積もられる。
【0048】
この濃度はαSを0.06とした場合であっても6.96×1016(分子/cm3)であって、上記した如く、従来技術(例えば、上記特許文献2、3参照)でArF用途として必要とされていた2×1017(分子/cm3)と比較しても約1/3の濃度である。
【0049】
尚、水素分子がE’センターの補修剤としてどのように機能するかについては明確な実態は不明である。エキシマレーザーの照射に伴って、水素分子が消費される結果、石英ガラス中のOH基濃度が上昇することが観察されるため、SI−O−Si構造の開裂に伴うSi・及びSi−O・に付加してSiH及びSiOHを生成し安定化すると想像されるが、明白に解明された訳ではない。
【0050】
(実験例2:215nmにおける吸光係数の飽和点を低減するための物性の最適化)
215nmにおける吸光係数の飽和点を低減する目的で、これに影響を与える因子としてOH基濃度および塩素濃度に着目して幾つかの実験を行った。
【0051】
(実験例2−1)
OH基濃度を変化させた実験を行うために、スート法および直接法により合成石英ガラスを試作した。スート法による場合、スート密度、脱水条件、ガラス化条件を変化させてOH基濃度0ppmから350ppmまでの合成石英ガラスを作成した。即ち、OH基濃度0ppmのものはスートを800℃にて5時間、塩素雰囲気で熱処理を行ういわゆる脱水処理を施したもの、OH基濃度5〜200ppmのものは真空で熱処理を行い、脱水を行ういわゆる真空脱水により作成したもので、処理中の真空度、処理時間および温度を変えることによりOH基濃度を制御する。真空度が高くなるとOH基濃度は低下し、また処理時間が長くてもOH基濃度は低下することを利用している。
【0052】
OH基濃度が200ppm〜350ppmの合成石英ガラスはスート体を特に処理せず1500℃以上の高温で、He雰囲気中で透明ガラス化することにより得られる。
【0053】
さらにOH基濃度が600ppm以上の高濃度合成石英ガラスは直接法にて得られる。直接法で石英ガラスを成長する際、水素ガスと酸素ガス比を制御することによりOH基濃度を制御できる。即ち、水素ガスの割合を高くすれば高濃度のOH基が、酸素ガスの割合を高くすれば低い濃度のOH基を導入することができる。
【0054】
表1に上記のようにして作成した、各種のOH基濃度と合成石英ガラスにArFエキシマレーザーをパルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2、発振周波数200Hzで5×106パルス照射した際の(以下、この条件を所定の条件とする)、215nmにおける吸光係数の飽和点αSの比較を示す(図1は表1を図示したもの)。
【0055】
【表1】
【0056】
表1及び図1から明らかな様にOH基濃度に応じて215nmにおける吸光係数の飽和点は低減している。特にOH基濃度が300ppm以下になると吸光係数の飽和点が本発明の要求値である0.06以下になることが判る。
【0057】
このことから、OH基濃度としては300ppm以下が好ましいことが判るが、一方でOH基濃度が0ppmの場合は逆に吸光係数の飽和点が非常に高くなっているので、OH基濃度の好ましい範囲として0.1ppm〜300ppmと設定できる。
【0058】
(実験例2−2)
塩素濃度を変化させた実験を行うために、スート法より合成石英ガラスを試作した。石英ガラス中の塩素濃度を変化させる場合、OH基濃度と密接な関係があるため、OH基濃度を固定して(本実験例2−2ではOH基濃度はおよそ170ppmに固定、実験例2−1と同様に作成)、真空脱水のみ(塩素濃度が5ppm〜20ppmのものが得られる。スート密度が高いと塩素濃度は高くなる)、又は塩素脱水によるもの(塩素処理における塩素濃度により塩素濃度を変化させる。この場合、塩素濃度が高すぎるとOH基が脱水されてしまうので、塩素と酸素の混合雰囲気で脱水処理を行うことによりOH基濃度と塩素濃度の制御が可能である。)で実験を行った。
【0059】
表2は、上記のようにして作成した合成石英ガラスにおける、ArFエキシマレーザーを所定の条件で照射した際の215nmの吸光係数の飽和点αSと塩素濃度の関係を示したものである(図2は表2を図示したもの)。これらのサンプルのOH基濃度はおよそ170ppmである。塩素濃度の場合、OH基濃度よりは影響は少ないものの、好ましい濃度は10ppm以下であることが判る。
【0060】
【表2】
【0061】
(実験例3:レーザー照射初期の耐久性を向上させるための物性の最適化)
一方で、レーザー照射初期におけるレーザー耐久性についても詳細な検討を行ったところ、次のような条件が重要であることを見出した。
▲1▼水素分子濃度がある程度低いこと
▲2▼石英ガラスの構造中に還元性欠陥が生じていないこと
▲3▼石英ガラスの物性及び構造が適切に設定されていること
【0062】
水素分子濃度はレーザー照射初期の急激な透過率低下に密接な関係がある。例えば水素分子を全く含有しない合成石英ガラスにおいてはこのようなレーザー照射初期に見られる透過率の急激な変化は観察されない。レーザー照射初期の急激な透過率低下はOH基濃度、塩素濃度、仮想温度等石英ガラスの物性に大きく依存するものであるが、これら物性が一定であるとすると水素分子濃度が低いほど初期の急激な透過率変化は小さくなる。
【0063】
また、水素分子濃度と同様に非常に重要なパラメーターとして、石英ガラス中に還元性欠陥が生じていないことが挙げられる。このような還元性欠陥の構造は厳密には同定されていない。一般的にはSiHであると言われているが、現実にSiH濃度を測定する手段があまりない上、測定する有力な方法であるラマンスペクトルにおいてはその検出感度が低い上、キャリブレーションが出来ないためにレーザー照射初期に生じる吸収を抑制するための最低濃度を決定することがなかなか出来ない。特許文献7では還元性欠陥として酸素欠損(Si−Si)及びSiH基を挙げているが、特にSiH基の濃度を特定するために、SiH基のレーザーラマンスペクトルの2250cm-1における散乱強度I2250に対するシリカのSi−O−Si結合の800cm-1における散乱強度I800の比で特定している。しかし、この比の数値は、実際にはI2250の強度としてSiHの検出下限値である1×10-4以下として設定されていているものの、SiHのレーザーラマンにおける検出感度がかなり悪いため、実用上問題となる程度のレーザー照射における初期吸収が観察される場合であっても、レーザーラマンスペクトル測定ではSiHの散乱ピークとして検出されないことがままあって、実際に許容されるSiH基の濃度の下限値はおそらくもっと低い数値であると考えられる。
【0064】
これら水素に伴う還元性欠陥の生成を避けるために石英ガラスを製造する際の成長速度を著しく遅くする(特許文献4)、あるいは石英ガラス中に含まれる水素を完全に除去した後、還元性欠陥を生じないような比較的低温(300℃〜600℃)の温度範囲で水素分子を再ドープする方法(特許文献5)、スート法により作成した多孔質シリカを高真空で透明化した合成石英ガラスを還元性欠陥が生じないような比較的低温(300℃〜600℃)の温度範囲で水素分子をドープする(特許文献6)等の発明がなされている。
【0065】
しかしながら、これらの技術はいずれも製造に時間がかかったり、あるいは水素ドープの工程に多大な時間がかかったりするために、大きな部材を作ることが困難で、また製造コストが高くなる等の問題があった。
【0066】
本発明では水素分子濃度自体をより少なく設定することによって、レーザー照射初期の透過率低下を抑制しているために、より高い温度での水素分子の導入を許容している。具体的には水素による還元性欠陥の生成が顕著になる1000℃を超える温度でなければ可としていて、本発明では、600℃〜100℃というかなりの高温域での水素分子のドーピングが可能である。このために従来製造に多大な時間が掛った大きなガラス体を生成することが出来る。
【0067】
実際、φ300×80mmの石英ガラス円盤を500℃と1000℃で水素ドープを行った場合の処理時間を比較すると前者は1500時間以上かかるのに対し、後者は僅か100時間前後で処理が可能となり、経済的な効果を含め多大な有利性を見出すことが出来る。
【0068】
このことから本発明は水素ドープ時間が工業的に問題となるφ200mm×厚さ50mm以上のサイズの大きな合成石英ガラス体について特に有益であり、更にこれら大きな合成石英ガラス体が頻繁に使用される、パルス当たりエネルギー密度が0.03mJ/cm2以下の低エネルギー密度領域で特に有益である。
【0069】
(実験例4:適切な水素分子濃度の決定)
以上のことを踏まえて、レーザー照射初期の耐久性を向上させるために、水素分子濃度の異なる合成石英ガラスを作成して、ArFエキシマレーザーを照射して、最適な水素分子濃度の範囲を求めた。
【0070】
本実験例4において使用した各種サンプルは、後述する実施例1の成型体から切り出したサンプルに対して、800℃にて圧力の異なる水素雰囲気で水素をドープして作成した。
【0071】
通常800℃、101.3KPaの水素雰囲気で熱処理することにより4×1017分子/cm3の水素分子を合成石英ガラス中に導入することができる。この程度の温度、圧力範囲においては水素圧力と水素分子濃度には比例関係が成立するので、圧力を1/10にすれば水素分子濃度が1/10になる。
【0072】
このようにして作成した種々の水素分子濃度を有する合成石英ガラスについてArFエキシマレーザーをパルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2、発振周波数200Hzで10,000パルス照射した際のレーザー光に対する透過率変化及び透過率変化から求めた吸光係数の変化量と水素分子濃度との関係を表3および図3に示す。
【0073】
なお、エキシマレーザー光に対する透過率の測定図を図4に示す。図4に示した如く、レーザービームを矢印の向きで照射するエキシマレーザー光照射の際、合成石英ガラスサンプル10の前後にそれぞれ1枚のビームスプリッター(ビームスプリッター12a,ビームスプリッター−12b)を配置し、これにより切り出された光をセンサー(センサー14a,センサー14b)によって検知し、下記式(4)で示すように、入射側の強度Iinで出射側の強度Ioutを除すことにより合成石英ガラスサンプルの透過率を連続的に測定するものである。
【0074】
【数5】
【0075】
上記式(4)において、Tはサンプルのレーザー透過率、Iinはセンサー14aで検出される入射側の光エネルギー、Ioutはセンサー14bで検出される出射側の光エネルギーをそれぞれ示す。
【0076】
更に、10,000パルス照射した際の透過率変化(表3及び下記式(5)におけるT%実測値)とは、このように測定したエキシマレーザー透過率について、照射開始直後の透過率で10,000パルス照射時の透過率を割った値である。言い換えると照射開始直後の透過率を100%としたときの、10,000パルス照射時の透過率の相対値を示したものである。これは厳密には透過率の定義とは異なるが、透過率変化に着目した場合には結果は正しく、簡便法としてよく利用される方法である。以下、透過率は、照射前もしくは照射開始直後の透過率を100%として換算した透過率を意味するものとする。
【0077】
一方で、10,000パルス照射した際の透過率変化(T%実測値)から10,000パルス照射した際の吸光係数の変化量(表3及び下記式(5)におけるα193実測値)を、下記式(5)を用いて求めた。
【0078】
【数6】
【0079】
更に、照射初期における193nm吸光係数の変化量はパルス当たりエネルギー密度及び発振周波数に比例するので、後述する式(9)に示す計算式を用いてエネルギー密度0.03mJ/cm2、発振周波数2000Hzの照射に対する吸光係数の変化量に換算することが出来る。この換算値をα193予測値として表3に示す。更に、α193予測値を用いて実使用(エネルギー密度0.03mJ/cm2、発振周波数2000Hz)におけるレーザー照射初期の透過率変化を計算したものを透過率予測値として表3に示す。
【0080】
レーザー照射初期における透過率変化は長期照射における透過率変化より厳しい数値が要求される。実際の露光装置の運転において、レーザーは連続的に照射されるわけではなく、ウェハーの交換や露光部分の位置合わせ等断続的な照射を行う。露光における照射エネルギーの設定(露光の設定)は、照射の最初に行うが、照射中の光学部材における透過率変化が大きすぎると照射エネルギー測定時とウェハー露光時の透過率が変化して、露出が合わなくなってしまい露光不良を生じる。このため、レーザー照射初期における透過率変化の許容値としては99.97%以上を判断基準とした。
【0081】
【表3】
【0082】
・αSとの関係:石英ガラスから水素分子を除去し、パルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2で5×106パルス照射した場合の215nmにおける吸光係数α215の飽和点αS(=0.05)により水素分子濃度を表したもの。
・T%実測値:実際の実験例4で示した条件(20mJ/cm2×200Hz)でサンプルを照射(10,000パルス)した時のレーザーの透過率変化を示す。通常の透過率の定義ではなく、照射開始直後のレーザー透過率を100%とした時の、10,000パルス照射後の透過率の相対値を示したものである。
・α193実測値:波長193nmにおける吸光係数α193の変化量。
・α193予測値:α193実測値を元に予測した0.03mJ/cm2、2000Hz照射の際の吸光係数α193の変化量の予測値である。
・透過率予測値:α193予測値から求めた0.03mJ/cm2、2000Hz照射の際の透過率変化の予測値である。
・可否:透過率予測値99.97%以上;○、99.97%未満;×。
【0083】
表3の結果により、実際の使用条件としてパルス当たりエネルギー密度0.03mJ/cm2、周波数2KHzを想定し、初期吸収の許容値を99.97%以上とすると、レーザー照射初期の耐久性から求まる水素分子濃度の最大値は5.80×1016分子/cm3であった。尚、この値を、石英ガラスから水素分子を除去し、パルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2で5×106パルス照射した場合の215nmにおける吸光係数α215の飽和点αS(=0.05)との関係で表わすと、CH2≦αS×1.16×1018であることが判る。
【0084】
(実験例5)
また、本発明者らが研究を行った結果、石英ガラスを物理的に撹拌することにより、このレーザー照射初期の透過率低下をかなり改善出来ることを見出した。この石英ガラスの物理的撹拌とは実施例において後述するように石英ガラスを局部的に軟化点温度以上に加熱して、その部分を機械的に撹拌する方法で、一般的には帯域溶融法と呼ばれ、石英ガラス中のOH基濃度、不純物を均質化し屈折率の均質性を向上させたり、脈理を除去するための操作であるが、この操作を行うことにより、測定上得られる物性は全く同一であっても、レーザー照射初期の透過率低下を低減できることが判明した。
【0085】
(実験例6:レアファクション特性を向上させるための合成石英ガラス物性の特定)
従来、石英ガラスのエキシマレーザーに対する耐久試験は5mJ/cm2以上のエネルギー密度で行うのが一般的であった。これは加速試験的な意味合いが強く、生じる光学的変化を迅速にかつ正確に測定するためである。しかしながら、エキシマレーザー露光装置の光学部品として使用される場合、石英ガラス光学部品として実際に照射されるエネルギー密度はこれら評価のためのエネルギー密度の数分の一で、一般的には0.1mJ/cm2以下である。
【0086】
このような実際の使用条件を想定した低いエネルギー密度で石英ガラスにArFエキシマレーザーを照射してみると、それまで知られていた現象と全く逆の挙動を示すことが判ってきた。即ち、従来石英ガラスはArFエキシマレーザーの照射により緻密化するレーザーコンパクションを起こすのに対し、0.5mJ/cm2以下という低いエネルギー密度のレーザー照射では逆に疎密化し、レーザーレアファクションという現象を生じることが判った。
【0087】
この現象は発見され、正式に報告されたのが2000年のことであり(非特許文献1)、また、現象が観察されるまでに1×109パルスという膨大な照射数を必要とするために詳細には調べられていない。しかしながら、本発明者らが実験を行った結果、このレーザーレアファクションは水素分子濃度と密接な関係があって、その濃度が2×1018分子/cm2を超えると急激に大きくなることが判った。このようなことから、レアファクションの観点からは石英ガラスに含まれる水素分子濃度は2×1018分子/cm2以下であることが必要である。本発明においては2×1018分子/cm2より少ない水素分子濃度を設定しているのでレアファクション的に問題を生じないと考える。
【0088】
(実験例7:長期レーザー照射耐久性を確保するために必要な水素分子濃度の決定)
次いで、合成石英ガラスの長期ArFエキシマレーザー耐久性を確保するために、215nmにおける吸光係数の飽和点と水素分子濃度の関係について実験を行った。
【0089】
水素を熱処理によって完全に除去し、ArFエキシマレーザーをパルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2、発振周波数200Hzで5×106パルス照射した際の215nmにおける吸光係数α215が0.05で飽和する合成石英ガラスサンプル(後述する実施例1で得られる合成石英ガラス)に対して、合成石英ガラスインゴットに対する水素処理における水素圧力を調整することにより、含有する水素分子濃度を適宜変化させた各種サンプルを作製した。得られた各種サンプルに対し、ArFエキシマレーザーをパルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2、発振周波数200Hzで2×106パルス照射して透過率変化を観察した。
【0090】
表4にそのときの水素分子濃度と長期レーザーを照射後の193nmの透過率変化及び吸光係数の変化量を示す。図5に長期レーザーを照射後の193nmの吸光係数の変化量と水素分子濃度との関係を示した。
【0091】
【表4】
【0092】
・αSとの関係:表3と同様である。
・透過率低下量:照射前の透過率を100%としたときの、レーザー照射前後の透過率の変化の相対値{(照射前の見掛け透過率−照射後の見掛け透過率)/照射前の見掛け透過率×100%}。
・α193実測値:下記式(6)を用いて透過率低下量から求めた193nm吸光係数の変化量(照射前の見掛け透過率を100%として計算)。
・C:α193実測値を元に下記式(7)から計算した比例定数。
・α193予測値:Cを元に予測した実際の使用条件である0.03mJ/cm2、1011パルス照射時の193nmにおける吸光係数の変化量の予測値。
・透過率予測値:α193予測値から求めた0.03mJ/cm2、1011パルス照射時の193nmにおける透過率の予測値。
・可否:透過率予測値99.90%以上;○、99.90%未満;×。
【0093】
(実使用における透過率変化の予測)
石英ガラスのレーザー照射に伴う一般的なダメージの挙動はユニバーサルドーズ量により把握できることが知られている。即ち、レーザー照射にコンパクションや誘起されるE’センター濃度はユニバーサルドーズを用いてエネルギー密度や照射数の換算が可能である。
【0094】
E’センター濃度は波長215nmの吸光係数に比例するが、波長193nmの吸光係数も波長215nmの吸光係数に比例するため、結果的には波長193nmの吸光係数はユニバーサルドーズ量を用いて照射数、エネルギー密度の換算ができる。
【0095】
即ち、長期照射の場合、波長193nmにおける吸光係数の変化量をΔα193として下記式(6)及び(7)が成立する。
【0096】
【数7】
【0097】
ここにTは測定時の193nmにおける見掛け透過率、T0は照射前の193nmにおける見掛け透過率を表わす。但し、T0が理論透過率に近い値である場合、便宜的にT0を100%として計算しても問題ないものである。
【0098】
【数8】
Δα193=C×I2×n ・・・(7)
【0099】
ここにCは比例定数、Iはエネルギー密度(mJ/cm2)、nは照射パルス数である。
【0100】
上記式(7)に本実験例7の結果を当てはめてCを求めると、例えば表4における水素分子濃度が3.90×1016分子/cm3のサンプルの場合、C値が3.81×10-12となるので、本実験例7の合成石英ガラスの吸光係数の変化量は下記式(8)で示される。
【0101】
【数9】
Δα193=3.81×10-12×I2×n ・・・(8)
【0102】
ここにエネルギー密度を0.03mJ/cm2として、照射パルス数を1011パルスと想定した場合、I2×nの値としては9×107mJ2/cm4となり、この場合の波長193nmにおける吸光係数の変化量は上記式(8)にこの数値を代入して、3.43×10-4となる。これは透過率に換算すると99.92%であり、問題のない値であることが判った。
【0103】
尚、照射数想定した1011パルスとは1KHzのレーザーを24時間休みなく稼動させた場合の3年強に相当する量であり、照射数としては十分な想定である。
【0104】
同様にして、合成石英ガラスについて実際の使用における透過率変化を予測した結果を合わせて表4に示す。
【0105】
上記結果を踏まえて、この石英ガラス材料が実際に使用された場合の透過率変化を予測した結果、215nmの吸光係数の飽和点αSが0.05の合成石英ガラスに関して、水素分子濃度の最適範囲をαSで表わすと、3.85×1017×αS≦CH2であることが判る。
【0106】
(総合的な水素分子濃度の最適範囲)
レーザー照射初期および長期的な耐久性を鑑み、総合的に最適な水素分子濃度を、水素分子を除去して、ArFエキシマレーザーをパルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2、発振周波数200Hzで5×106照射した際の215nmにおける吸光係数の飽和点との関係で求めた。即ち、吸光係数の飽和点をαSとして、水素分子濃度CH2の最適範囲は、αS×3.85×1017≦CH2≦αS×1.16×1018(分子/cm3)であることが判る。
【0107】
(実施例1)
四塩化珪素を酸水素火炎中に導入し、回転する基体上に堆積し多孔質石英ガラス体(スート体)を得た。これを1.33×10-3KPaの真空下1100℃で20時間加熱後、徐々に温度を上げ、最終的に1500℃で10時間保持して直径100mm長さ1000mmの透明合成石英ガラスインゴットを作成した。得られた合成石英ガラスインゴットからサンプルを切り出してOH基濃度を測定したところ、最大値が180ppm、最小値が150ppmであった。また、水素分子濃度をラマン分光光度法にて測定したところ、水素分子は検出されず、検出下限値である1×1015分子/cm3以下であることが判った。
【0108】
この合成石英ガラスインゴットを水素2気圧の加圧下、800℃で130時間保持して水素分子を含侵させた。得られたインゴットの水素分子濃度は外周部で8×1017分子/cm3、中央部で8×1016分子/cm3、平均値で4×1017分子/cm3であった。
【0109】
得られた合成石英ガラスインゴットについて機械的撹拌を伴う、脈理除去、均質化処理を行った。この処理は、特許文献8に示される帯域溶融法と呼ばれる方法で、合成石英ガラスインゴットの長手方向の両端を支持部材で支持し、その支持端を結ぶ軸を中心に回転させながら、合成石英ガラスインゴットの一部をバーナーで加熱して溶融帯域を形成した後、両支持軸を逆方向に回転させ、溶融帯域内を機械的に撹拌しつつ、バーナーを移動させることにより溶融帯域をインゴット全体に移動させてインゴット内を均質化する方法である。
【0110】
スート体の場合、インゴットの軸方向のみの均質化で3方向に脈理が認められない、所謂脈理フリーの石英ガラス隗が得られることもあるが、より好ましくは上記均質化処理をインゴットの軸と垂直な方向に対しても行い、完全に脈理を除去し、完全な脈理フリーな石英ガラス塊とする。
【0111】
インゴットの軸と垂直な方向に均質化処理を行うためには1方向に均質化処理の終わったインゴットを旋盤上で押し潰し、球状に成型した後、これを支持部材から切り離し、元の軸と垂直な方向に支持部材を付け直して、引き出して棒状に成型して、1方向目と同様の溶融帯域法による均質化処理を施せば良い。
【0112】
このように3方向に均質化処理を行うことによって、目視では認められないような微細な欠陥を除去することが出来るので、レーザー照射初期における透過率の急速な低下の度合いを低減することが出来ると考える。
【0113】
また、均質化処理を施す場合、石英ガラス体が高温に保持される時間が非常に長いため、外部からの汚染には特に注意を払わなければならない。本実施例ではこれらの旋盤作業をクラス1000のクリーンルーム内で行い、インゴットの有する高純度性を維持している。この時クリーンルームに使用されるヘパフィルターに一般的なガラスフィルターを用いると雰囲気中にホウ素やNaが混入することがあり、処理された合成石英ガラスにこれらの元素が混入し、合成石英ガラスの透過率が低下してしまうことがあるので、やや高価ではあるが、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)のへパフィルターを用いることが肝要である。
【0114】
次いで、3方向に均質化した石英ガラス体を高純度グラファイト型内に設置して、型ごと窒素雰囲気炉に入れ、全体を1800℃に加熱して石英ガラス体を自重変形せしめて直径320mm厚さ100mmの合成石英ガラス成型体を得た。
【0115】
得られた合成石英ガラス成型体の外周及び上下面をグラファイトとの汚染を除去するためにそれぞれ10mmカットして外径300mm厚さ80mmの石英ガラス成型体を得た。
【0116】
合成石英ガラス成型体を合成石英ガラスで出来た容器内に収容して、全体を電気炉内で1150℃に50時間保持後、毎時2℃の徐冷速度でゆっくりと900℃まで徐冷後、炉の通電を停止し、室温まで冷却した。
【0117】
このようにして作成した合成石英ガラス成型体の屈折率の均質性、複屈折をそれぞれ干渉計及び複屈折計にて測定したが、屈折率の均質性Δnが1×10-6、複屈折は最大値0.3nm/cmであった。更に合成石英ガラス成型体から直径60mm、厚さ10mmのサンプルを切り出し高精度に研磨を行い波長193nmの紫外線に対する透過率を紫外分光光度法にて測定を行った結果、見掛け透過率が90.66%であり、内部透過率は99.78%と極めて良好な数字を示した。内部透過率とは、分光光度計で測定した見掛け透過率をサンプルの反射損失を除いた理論透過率で除した数字である。本実施例では理論透過率として90.858%を用いた。
【0118】
また、OH基濃度は170ppm±5ppmで均質化処理により非常に均質化されていることが判った。一方、水素分子濃度は成型体中心で5×1016分子/cm3、外周部より10mm内側で3×1016分子/cm3であった。また、塩素濃度は5ppmで成型体全面に均一であった。更に成型体の仮想温度をラマン分光光度法にて測定したところ、中心部分で920℃、外周部分で900℃であった。
【0119】
更に得られた合成石英ガラス成型体について金属不純物濃度をICP−AES法(inductively coupled plasma atomic emission spectrometry)にて純度分析を行った。表5に純度分析表を示す。
【0120】
【表5】
【0121】
得られた合成石英ガラス成型体から20mm×20mm×60mmのサンプルを切り出し、合成石英ガラス容器内に入れて、容器ごと800℃で20時間加熱して脱水素処理を行った。
【0122】
脱水素処理後のサンプルについてレーザー照射試験を行った。
【0123】
照射試験を行ったサンプルのOH基濃度、水素分子濃度、仮想温度はそれぞれ170ppm、1×1015分子/cm3以下、910℃であった。ここに水素分子濃度1×1015分子/cm3以下という数値はレーザーラマン分光機の測定下限値以下であり、実質的に水素分子を含まないと考えられる。
【0124】
この脱水素を施した合成石英ガラスサンプルに対し、ArFエキシマレーザー光をパルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2、発振周波数200Hzにて5,000,000パルス照射しつつ、紫外分光光度計にて1,000,000パルス毎に215nmにおける透過率変化を観察したところ、約4,000,000パルス前後で215nmの吸収が飽和する飽和現象が観察され、飽和における吸光係数は0.05であった。この215nmの吸光係数変化を表6及び図6に示した。
【0125】
【表6】
【0126】
この215nmの吸光係数が飽和に達したサンプルについてESR測定を行ったところ、g値2.000〜2.001におけるスピン強度を測定した結果、2.35×1017spins/cm3を得た。
【0127】
一方、合成石英ガラス成型体の中心部と外周部から水素分子濃度が5×1016分子/cm3、及び3×1016分子/cm3のサンプルをそれぞれ切り出して、ArFエキシマレーザー光をパルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2、発振周波数200Hzにて10,000パルス照射した。この際、実験例4と同様、合成石英ガラスの前後にビームスプリッターを配置し、これにより切り出された光をセンサーにて検知して比較することにより、合成石英ガラスの透過率を算出しこの変化をモニターした。
【0128】
その結果、レーザー照射初期段階(10,000パルス照射後)の透過率は光路長1cm当たりに換算して中心部サンプルに関しては98.4%、外周部サンプルに関しては98.5%であることが判った。
【0129】
更に、同様の条件にて照射を継続し、2,000,000パルスまで連続照射を行った。この結果、合成石英ガラスサンプルのレーザー光に対する透過率は、10,000パルス照射後は徐々に回復して約50,000パルス照射程度で殆ど照射前の透過率まで回復した後漸増して、最終的には両サンプルとも光路長1cm当たり99.3%であった。
【0130】
更に照射後のサンプルの水素分子濃度を測定したところ、中心部から切り出したサンプルについては2×1016分子/cm3、外周部から切り出したサンプルについては2×1015分子/cm3と若干であるが、水素分子が残っていることを確認した。
【0131】
これらの照射結果から、実際にエネルギー密度0.03mJ/cm2での透過率変化を予測した。
【0132】
(照射初期の透過率変化)
実施例1の中央部から切り出した石英ガラスサンプルを用いて、照射初期の透過率変化に関して、ArFエキシマレーザー光をパルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2にて発振周波数を変化させて照射した場合、並びに発振周波数200Hzにてエネルギー密度を変化させて照射した場合について照射初期の透過率変化を調査したところ、照射前後の吸光係数の変化量がエネルギー密度及び発振周波数に比例して変化することが判った。照射時の吸光係数の変化量とエネルギー密度との関係を表7及び図7に、照射時の吸光係数の変化量と発振周波数との関係を表8及び図8にそれぞれ示す。
【0133】
【表7】
【0134】
【表8】
【0135】
この結果から、初期吸収のエネルギー密度及び発振周波数に関して下記式(9)を得る。
【0136】
【数10】
α(ε,r)=α(20,200)×ε/20×r/200 ・・・(9)
【0137】
ここにα(ε,r)はエネルギー密度εmJ/cm2、発振周波数rHzの時の193nmにおける吸光係数の変化量、α(20,200)はエネルギー密度20mJ/cm2、発振周波数200Hzの時の193nmにおける吸光係数の変化量をそれぞれ示す。
【0138】
上記式(9)を利用して照射実験の結果を換算すると、本実施例のサンプルに関してはエネルギー密度0.03mJ/cm2、発振周波数2KHzでの使用において生じる吸光係数の変化量は9.84×10-5及び6.54×10-5で、これを透過率に換算すると共に99.98%と、問題のないレベルであることが判る。
【0139】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、ArFエキシマレーザー光学部材用合成石英ガラス材料において必要なレーザー照射初期及び長期の透過率低下の問題、及び低いエネルギー密度の照射によって生じるレアファクションの問題を解決した、ArFエキシマレーザーを光源とする露光装置の光学系を構成するに最適な光学特性を有する合成石英ガラス材料を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実験例2−1の結果を示すグラフである。
【図2】 実験例2−2の結果を示すグラフである。
【図3】 実験例4の結果を示すグラフである。
【図4】 実験例4で用いた装置を示す概略模式図である。
【図5】 実験例7の結果を示すグラフである。
【図6】 実施例1におけるレーザー照射による照射パルス数における215nmの吸光係数の変化を示すグラフである。
【図7】 実施例1におけるレーザー照射初期の吸光係数の変化量とエネルギー密度の関係を示すグラフである。
【図8】 実施例1におけるレーザー照射初期の吸光係数の変化量と発振周波数の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10:合成石英ガラスサンプル、12a:ビームスプリッター−1、12b:ビームスプリッター−2、14a:センサー−1、14b:センサー−2。
Claims (7)
- 水素を完全に除去した状態で、ArFエキシマレーザーをパルス当たりエネルギー密度20mJ/cm2、発振周波数200Hzで5×106パルス照射した際に215nmの吸収曲線が飽和点を有し、かつその波長215nmにおける吸光係数α215の飽和点αSが0.02〜0.06の範囲にある合成石英ガラス材料であって、含有される水素分子濃度CH2(分子/cm3)が下記式(1)によって与えられる範囲にあることを特徴とするArFエキシマレーザーを光源とする露光装置に用いられる光学部材用合成石英ガラス材料。
【数1】
αS×3.85×1017≦CH2≦αS×1.16×1018・・・(1) - OH基濃度が0.1ppm以上300ppm以下、塩素濃度が10ppm以下、仮想温度が850℃以上1000℃以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の光学部材用合成石英ガラス材料。
- 前記合成石英ガラス材料が、揮発性珪素化合物を原料として、煤状シリカを基体上に堆積させた後ガラス化を行う、スート法により作成された合成石英ガラスであって、かつ含有される水素が、600℃以上1000℃以下の温度で石英ガラス中にドープされたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の光学部材用合成石英ガラス材料。
- 前記合成石英ガラス材料が、3方向に脈理を有せず、屈折率の均質性Δnが1×10-6以下で、使用方向における最大複屈折量0.3nm/cm以下、波長193nmの紫外線に対する内部透過率が99.7%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光学部材用合成石英ガラス材料。
- 脈理特性及び屈折率の均質性が、機械的撹拌を伴う均質化操作により達成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の光学部材用合成石英ガラス材料。
- 使用されるエネルギー密度が1パルス当たり0.03mJ/cm2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の光学部材用合成石英ガラス材料。
- 体積が1500cm3以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の光学部材用合成石英ガラス材料。
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