JP4174829B2 - スタータ - Google Patents
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Description
この特許文献1のFIG.3に示されるスタータは、モータの駆動力が伝達されて回転する駆動軸と、この駆動軸の外周にヘリカルスプライン結合すると共に、軸受を介してハウジングに支持された略円筒形状の出力軸とを有し、軸受よりハウジングの外側へ突き出る出力軸の端部にピニオンギヤが設けられている。
このスタータでは、チューブを軸方向に長く形成して、そのチューブの一端側外周をセンタハウジングに対し第1の軸受で支持し、チューブの他端側外周をスタータハウジングに対し第2の軸受で支持することにより、両軸受間の距離(軸受スパン)を長く取ることができる。
また、チューブを長く形成したり、係合部材の外径が大きくなること等により、重量が増加する問題もある。
本発明は、モータの回転力が伝達されて回転する略円筒形状のチューブを有し、このチューブの内周に出力軸の一端側がヘリカルスプライン結合され、チューブより突出する出力軸の他端側が、ハウジングに固定される第1の軸受を挿通して回転自在及び摺動自在に支持され、第1の軸受より外側(反チューブ側)へ突き出る出力軸の端部にピニオンギヤが配置されている、いわゆる片持ち支持構造のスタータである。
チューブは、略円筒形状の一端側内周が、モータの回転軸に設けられた軸受部に第2の軸受を介して相対回転可能に支持され、略円筒形状の他端側外周が、ハウジングまたはハウジングに支持された構造体に第3の軸受を介して回転自在に支持されている。
この構成では、係合部材をチューブの外側に配置する必要がなく、且つ出力軸に直接固定できるので、上述した先願のスタータと比較すると、係合部材を小径化でき、それに伴って、係合部材を内部に収容するハウジングの外径を小さくすることが可能である。
更には、係合部材を出力軸に直接固定できるので、チューブに長溝(ヘリカルスプラインの捩じり角に沿った長溝)を形成する必要がなく、且つピンを介して出力軸と係合部材とを連結する必要もない。その結果、先願のスタータと比較した場合に、部品点数を削減でき、且つ構造を簡略化できるので、部品の組み付けも容易であり、コストダウンに寄与できる。
モータとチューブとの間で動力の伝達を断続するクラッチは、モータに直接または間接的に駆動されて回転するクラッチアウタと、このクラッチアウタより動力が伝達されて回転するクラッチインナとを有し、このクラッチインナが、チューブの一部として形成されている。
この構成によれば、チューブの軸方向長さにクラッチインナの分が含まれるので、それに伴い、ヘリカルスプライン結合によってチューブに支持される出力軸の一端側と、第1の軸受を介してハウジングに支持される出力軸の他端側との間(ここでは、軸支持スパンと呼ぶ)を長くすることが可能となり、ピニオンギヤがリングギヤと噛み合うために、出力軸がエンジン側へ飛び出した時のオーバーハング量に対し相対的に軸支持スパンを長くできる。その結果、エンジンのクランキング時に出力軸に生じる応力を低減でき、安定した片持ち支持構造のスタータを提供できる。また、出力軸の応力低減により、出力軸の小径化及び軽量化も可能である。
さらに、クラッチは、クラッチアウタと一体に設けられたアウタプレートを有し、このアウタプレートの径方向中央部に開口する中空穴の内側に従動ギヤまたは直スプラインが形成され、この従動ギヤまたは直スプラインが、モータの回転軸に形成された駆動ギヤまたは直スプラインに噛み合って、クラッチアウタがモータに直接駆動されることを特徴とする。上記の構成によれば、クラッチアウタがモータの回転軸に直接芯出しされ、且つクラッチインナ(チューブ)も第2の軸受を介してモータの回転軸に芯出しされるので、クラッチの偏心を防止でき、安定したクラッチ性能を確保できる。
チューブは、略円筒形状の一端側内周が、モータの回転軸に設けられた軸受部に第2の軸受を介して相対回転可能に支持され、略円筒形状の他端側外周が、ハウジングまたはハウジングに支持された構造体に第3の軸受を介して回転自在に支持されている。
上記の構成によれば、チューブの軸方向両端が、第2の軸受と第3の軸受とを介して、ハウジングに安定した状態で支持される。また、出力軸は、一端側がチューブの内周にヘリカルスプライン結合され、他端側が第1の軸受を介してハウジングに支持されるので、出力軸の両端側が安定した状態で支持されることになる。その結果、ピニオンギヤがリングギヤと噛み合ってエンジンをクランキングしている時でも、出力軸の傾きを抑制できるので、軸受(特に、第1の軸受)に掛かる負荷を軽減でき、軸受の早期摩耗による寿命低下を抑制できる。
また、請求項2に係るスタータは、ピニオンギヤをリングギヤに噛み合わせるために、出力軸をエンジン側へ移動させる出力軸移動手段を有し、この出力軸移動手段は、チューブより反モータ方向へ突出する出力軸に固定された係合部材と、この係合部材を介して出力軸に軸方向へ押し出す力を付与する駆動手段とを備えている。
この構成では、係合部材をチューブの外側に配置する必要がなく、且つ出力軸に直接固定できるので、上述した先願のスタータと比較すると、係合部材を小径化でき、それに伴って、係合部材を内部に収容するハウジングの外径を小さくすることが可能である。
また、チューブの軸方向長さを短くでき、且つ係合部材の外径を小さくすること等により、スタータの軽量化を実現できる。
更には、係合部材を出力軸に直接固定できるので、チューブに長溝(ヘリカルスプラインの捩じり角に沿った長溝)を形成する必要がなく、且つピンを介して出力軸と係合部材とを連結する必要もない。その結果、先願のスタータと比較した場合に、部品点数を削減でき、且つ構造を簡略化できるので、部品の組み付けも容易であり、コストダウンに寄与できる。
また、第2の軸受は、チューブの内周に圧入固定されていることを特徴とする。
この構成によれば、スタータの各構成部品を組み立てる際に、出力軸をチューブの内周に挿通した後、チューブの一端側内周に第2の軸受を組み付けることで、その第2の軸受が出力軸の抜け止めとして機能するので、組付け性が向上する。なお、第2の軸受は、ボールベアリングやローラベアリング等の転がり軸受、あるいはプレーンベアリングと呼ばれる様な滑り軸受等を用いることができる。
モータとチューブとの間で動力の伝達を断続するクラッチは、モータに直接または間接的に駆動されて回転するクラッチアウタと、このクラッチアウタより動力が伝達されて回転するクラッチインナとを有し、このクラッチインナが、チューブの一部として形成されている。
この構成によれば、チューブの軸方向長さにクラッチインナの分が含まれるので、それに伴い、ヘリカルスプライン結合によってチューブに支持される出力軸の一端側と、第1の軸受を介してハウジングに支持される出力軸の他端側との間(ここでは、軸支持スパンと呼ぶ)を長くすることが可能となり、ピニオンギヤがリングギヤと噛み合うために、出力軸がエンジン側へ飛び出した時のオーバーハング量に対し相対的に軸支持スパンを長くできる。その結果、エンジンのクランキング時に出力軸に生じる応力を低減でき、安定した片持ち支持構造のスタータを提供できる。また、出力軸の応力低減により、出力軸の小径化及び軽量化も可能である。
さらに、クラッチは、クラッチアウタと一体に設けられたアウタプレートを有し、このアウタプレートの径方向中央部に開口する中空穴の内側に従動ギヤまたは直スプラインが形成され、この従動ギヤまたは直スプラインが、モータの回転軸に形成された駆動ギヤまたは直スプラインに噛み合って、クラッチアウタがモータに直接駆動されることを特徴とする。上記の構成によれば、クラッチアウタがモータの回転軸に直接芯出しされ、且つクラッチインナ(チューブ)も第2の軸受を介してモータの回転軸に芯出しされるので、クラッチの偏心を防止でき、安定したクラッチ性能を確保できる。
本実施例のスタータ1は、回転力を発生するモータ2と、このモータ2の回転力が、減速装置とクラッチ(共に後述する)を介して伝達される略円筒形状のチューブ3と、このチューブ3の内周を軸方向に移動可能に設けられた出力軸4と、この出力軸4の端部に組み付けられるピニオンギヤ5と、このピニオンギヤ5をエンジンのリングギヤ6に噛み合わせるために、出力軸4をエンジン側(図1の左側)へ移動させる出力軸移動手段(後述する)等より構成されている。
クラッチは、遊星歯車15を回転自在に支持するギヤ軸16を介して、遊星歯車15の公転運動(減速後のモータ回転)が伝達されるクラッチアウタ17と、チューブ3の一部として形成されるクラッチインナ18と、クラッチアウタ17とクラッチインナ18との間に配置されるクラッチローラ19等より構成され、このクラッチローラ19を介してクラッチアウタ17からクラッチインナ18(チューブ3)へトルク伝達を行い、クラッチインナ18からクラッチアウタ17へのトルク伝達を遮断する一方向クラッチである。
リターンスプリング27の一端は、出力軸4の外周に設けられる大径部と小径部との段差部4b(本発明のスプリング受け部)に支持され、リターンスプリング27の他端は、チューブ3の他端側端部の内側に設けられるスプリング受け部3cに支持されている。
出力軸移動手段は、出力軸4に固定されたリング形状の係合部材28と、この係合部材28の回転方向(出力軸4の回転方向)に交差して係合部材28と係合可能な回転規制ロッド29と、連結バー30を介して回転規制ロッド29を駆動する電磁スイッチ31等より構成される。
電磁スイッチ31は、上記の出力軸移動手段として使用されると共に、図4に示すモータ2の通電回路に設けられる接点手段(メイン接点Aとサブ接点B)の開閉操作を行うもので、励磁コイル35(図4参照)と上記プランジャ33、及びリターンスプリング(図示せず)等より構成され、図1に示す様に、スタータ1の後部(モータ2の反エンジン側)に配置されて、外側をエンドフレーム12が覆っている。
プランジャ33は、励磁コイル35の内側に挿入され、励磁コイル35が通電されて磁力が発生すると、磁化された固定鉄心(図示せず)に吸引されて、図1の上方へ移動することにより、サブ接点B及びメイン接点Aを閉操作する。
リターンスプリングは、励磁コイル35への通電が停止して磁力が消滅した時に、プランジャ33を押し戻すことで、メイン接点A及びサブ接点Bを開操作する。
端子ボルト38は、図1に示す様に、エンドフレーム12を貫通して取り付けられ、エンドフレーム12の内側に第1の固定接点39が一体的に設けられて、エンドフレーム12の外側に取り出された雄ねじ部にバッテリケーブル42(図4参照)が接続される。
第2の固定接点43は、第1の固定接点39より電気抵抗の大きい材料(例えばカーボン材)を使用して形成され、例えば、金属プレート(図示せず)を介して端子ボルト38に固定されている。
第2の可動接点44は、例えば、U字状に折り曲げて弾力を持たせた金属板によって形成されている。
始動スイッチ36を閉操作すると、電磁スイッチ31の励磁コイル35が通電されて磁力が発生し、その磁力によりプランジャ33が吸引されて、図1の上方へ移動する。このプランジャ33の移動が連結バー30を介してアーム部32に伝達されると、アーム部32と一体に回転規制ロッド29が図1の下方へ移動して、係合部材28の凹凸部28aに係合することにより、係合部材28と共に出力軸4の回転を規制する。
ここで、チューブ3が回転しても、出力軸4が回転規制されているので、チューブ3の回転力がヘリカルスプラインの作用でスラスト力(前進力)に変換されて出力軸4に付与され、その結果、出力軸4がエンジン側へ移動する。
上記のスタータ1によれば、チューブ3の軸方向一端側の内周(雌ヘリカルスプライン3aの内周)が、モータ2の電機子軸8aに設けられた軸受部8bに対し、軸受21を介して相対回転可能に支持され、軸方向他端側の外周が、センタケース22に対し、軸受23を介して回転自在に支持されている。また、出力軸4は、一端側がチューブ3の内周にヘリカルスプライン結合され、他端側が軸受25を介してフロントハウジング11の端部に支持されているので、出力軸4の両端側が安定した状態で支持されることになる。その結果、ピニオンギヤ5がリングギヤ6と噛み合ってエンジンをクランキングしている時でも、出力軸4の傾きを抑制できるので、軸受(特に、軸受25)に掛かる負荷を軽減でき、軸受25の早期摩耗による寿命低下を抑制できる。
この構成によれば、クラッチアウタ17が遊星歯車減速装置を介して電機子軸8aに芯出しされ、且つクラッチインナ18(チューブ3)も軸受21を介して電機子軸8aに芯出しされるので、クラッチの偏心を防止でき、安定したクラッチ性能を確保できる。
この実施例2に係るスタータ1は、電機子8の回転速度が減速されることなく、クラッチを介してチューブ3に伝達されるタイプであり、実施例1に記載したスタータ1との大きな違いは、モータ2とクラッチとの間に減速装置を持たないことである。その他の構造は、基本的に実施例1に記載したスタータ1と同じである。
ここでは、実施例1に記載したスタータ1との違い、つまり、モータ2とクラッチとの連結構造について説明する。
実施例1及び実施例2では、出力軸4をエンジン側へ移動させる手段として、出力軸4に固定された係合部材28に回転規制ロッド29を係合させ、出力軸4の回転を規制した状態で、モータ2の回転力とヘリカルスプラインの作用とで、出力軸4をエンジン側へ移動させる方式を採用しているが、一般的なスタータに採用されるシフトレバーを使用して出力軸4を押し出す方式でも良い。つまり、電磁スイッチ31の電磁力でシフトレバーを駆動し、そのシフトレバーを介して、出力軸4に固定された係合部材28に軸方向へ押し出す力を付与することで、出力軸4をエンジン側へ移動させる方式である。
2 モータ
3 チューブ
3c チューブの内周に設けられるスプリング受け部
4 出力軸
4b 段差部(出力軸の外周に設けられるスプリング受け部)
5 ピニオンギヤ
6 リングギヤ
8a 電機子軸(モータの回転軸)
8b 軸受部
8c 駆動ギヤ
11 フロントハウジング(ハウジング)
15 遊星歯車
16 ギヤ軸
17 クラッチアウタ
17a アウタプレート
17b 従動ギヤ
18 クラッチインナ
20 キャリア部
21 軸受(第2の軸受)
22 センタケース(構造体)
23 軸受(第3の軸受)
25 軸受(第1の軸受)
27 リターンスプリング
28 係合部材
29 回転規制ロッド(回転規制部材/駆動手段)
31 電磁スイッチ(駆動手段)
A メイン接点(接点手段)
B サブ接点(接点手段)
Claims (2)
- 回転力を発生するモータと、
このモータの回転力が伝達されて回転する略円筒形状を有するチューブと、
前記モータと前記チューブとの間で動力の伝達を断続するクラッチと、
軸方向の一端側が前記チューブの内周にヘリカルスプライン結合され、軸方向の他端側が、前記チューブより突出して設けられると共に、ハウジングに固定される第1の軸受を挿通して回転自在及び摺動自在に支持される出力軸と、
前記第1の軸受より外側(反チューブ側)へ突き出る前記出力軸の端部に一体または別体に配置され、前記チューブから前記出力軸に伝達される回転力をエンジンのリングギヤに伝達するためのピニオンギヤと、
前記ピニオンギヤを前記リングギヤに噛み合わせるために、前記出力軸をエンジン側へ移動させる出力軸移動手段とを備えたスタータであって、
前記チューブは、前記略円筒形状の一端側内周が、前記モータの回転軸に設けられた軸受部に第2の軸受を介して相対回転可能に支持され、前記略円筒形状の他端側外周が、前記ハウジングまたは前記ハウジングに支持された構造体に第3の軸受を介して回転自在に支持されており、
前記出力軸移動手段は、前記チューブより反モータ方向へ突出する前記出力軸に固定された係合部材と、この係合部材を介して前記出力軸に軸方向へ押し出す力を付与する駆動手段とを備え、
前記クラッチは、前記モータに直接または間接的に駆動されて回転するクラッチアウタと、このクラッチアウタと一体に設けられたアウタプレートと、前記クラッチアウタより動力が伝達されて回転するクラッチインナとを有し、このクラッチインナが、前記チューブの一部として形成され、且つ、前記アウタプレートの径方向中央部に開口する中空穴の内側に従動ギヤまたは直スプラインが形成され、この従動ギヤまたは直スプラインが、前記モータの回転軸に形成された駆動ギヤまたは直スプラインに噛み合って、前記クラッチアウタが前記モータに直接駆動されることを特徴とするスタータ。 - 回転力を発生するモータと、
このモータの回転力が伝達されて回転する略円筒形状を有するチューブと、
前記モータと前記チューブとの間で動力の伝達を断続するクラッチと、
軸方向の一端側が前記チューブの内周にヘリカルスプライン結合され、軸方向の他端側が、前記チューブより突出して設けられると共に、ハウジングに固定される第1の軸受を挿通して回転自在及び摺動自在に支持される出力軸と、
前記第1の軸受より外側(反チューブ側)へ突き出る前記出力軸の端部に一体または別体に配置され、前記チューブから前記出力軸に伝達される回転力をエンジンのリングギヤに伝達するためのピニオンギヤと、
前記ピニオンギヤを前記リングギヤに噛み合わせるために、前記出力軸をエンジン側へ移動させる出力軸移動手段とを備えたスタータであって、
前記チューブは、前記略円筒形状の一端側内周が、前記モータの回転軸に設けられた軸受部に、前記チューブの内周に圧入固定された第2の軸受を介して相対回転可能に支持され、前記略円筒形状の他端側外周が、前記ハウジングまたは前記ハウジングに支持された構造体に第3の軸受を介して回転自在に支持されており、
前記出力軸移動手段は、前記チューブより反モータ方向へ突出する前記出力軸に固定された係合部材と、この係合部材を介して前記出力軸に軸方向へ押し出す力を付与する駆動手段とを備え、
前記クラッチは、前記モータに直接または間接的に駆動されて回転するクラッチアウタと、このクラッチアウタと一体に設けられたアウタプレートと、前記クラッチアウタより動力が伝達されて回転するクラッチインナとを有し、このクラッチインナが、前記チューブの一部として形成され、且つ、前記アウタプレートの径方向中央部に開口する中空穴の内側に従動ギヤまたは直スプラインが形成され、この従動ギヤまたは直スプラインが、前記モータの回転軸に形成された駆動ギヤまたは直スプラインに噛み合って、前記クラッチアウタが前記モータに直接駆動されることを特徴とするスタータ。
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