JP4167765B2 - 紫外線と近赤外線を使用した分光測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外領域と近赤外領域で特性吸収をするサンプルの特性値(濃度など)を測定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
薬液の濃度の管理は、たとえば半導体製造工程において、半導体ウエハの洗浄,エッチングなどのウエット処理工程において必要である。薬液の濃度測定について、本出願人による特開平3−175341号公報に記載された測定法では、近赤外線を使用してイオン水和による変化の度合いから複数成分の定量を行う。たとえば過酸化水素スペクトルは、近赤外領域では、水スペクトルと良く似ていて、そのわずかな差を高精度に測定して過酸化水素の定量を行っていた。しかし、その領域で明確な特性吸収を持たない成分、例えば、アンモニアと過酸化水素の混合水溶液の場合の過酸化水素定量などに関しては、どうしても測定精度が悪いという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、薬液中の測定対象成分の分子に2重結合(C=C、C=O、N=N)が存在する場合などでは、紫外領域に強い吸収が存在することが知られている。上記の過酸化水素の例でも紫外領域に強い吸収がある。そのため、紫外領域に強い吸収のある成分は、紫外線で測定して、近赤外領域で特性吸収を持っている成分は近赤外線で測定して、両成分を高精度で測定するということが考えられる。ただし、多くの場合、紫外領域に強い吸収のある成分も近赤外領域にいくぶんかスペクトル変化の影響があり、その逆の近赤外領域で特性吸収を持っている成分もいくぶんか紫外領域のスペクトルに影響を持っている。そのため、紫外領域のデータと近赤外領域のデータを組み合わせて、それぞれの干渉を補正して、後の濃度定量に用いなければならない。
【0004】
本発明の目的は、紫外線吸光度データと近赤外線吸光度データから特性値を正確に求める測定方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
近赤外線のデータ測定と紫外線のデータ測定は、同一分光器でできることが望ましい。しかし、両領域にまたがって感度を有する高感度、高安定のセンサが存在しないことと、両領域にまたがって発光強度を有する高強度、高安定の光源が存在しないことなどから、紫外領域と近赤外領域では分光過程が異なることになる。ただし、安定な測定のためには、同一測定対象ポイントに両種の光束を照射することが必要である。もしこの条件が満足しない場合は、測定対象の場所ごとに成分濃度条件が異なったり、とりわけ液体などでは、泡による散乱条件の変化などで、紫外線データを基にした近赤外線データの補正とか、その逆の補正操作がうまくいかなくなる。そこで、本発明に係る分光測定方法では、同一測定対象ポイントに両種の光束を照射することにした。
本発明に係る紫外線と近赤外線を使用した分光測定方法では、サンプルの透過強度または反射強度を同一サンプルに紫外線と近赤外線を照射して紫外線分光過程と近赤外線分光過程により測定する分光測定装置において、既知特性値のサンプルの吸光度データを紫外線と近赤外線の複数波長で測定する。次に、測定により得られた複数波長の紫外線吸光度データを、紫外線分光に関係する装置変動に影響されないように変換し、また、測定により得られた複数波長の近赤外線吸光度データを、近赤外線分光に関係する装置変動に影響されないように変換する。こうして、近赤外線分光過程と紫外線分光過程について、それぞれ独立の変動要因の影響をデータから除去する。変換された紫外線と近赤外線のデータを説明変数として、サンプルの特性値を得るための重回帰式を求める。特性値は、たとえば液体の濃度である。未知サンプルの特性値を求めるときは、測定データから装置変動の影響を除去し、そのデータを重回帰式(検量線)に代入する。
好ましくは、装置変動に影響されないように変換された前記の紫外線のデータと近赤外線のデータについて、さらに、紫外線のデータと近赤外線のデータの分散を一致するように変換する。そして、分散が一致された紫外線と近赤外線のデータを重回帰式の説明変数とする。
好ましくは、装置変動に影響されないように変換された前記の紫外線のデータと近赤外線のデータについて、さらに、紫外線分光過程と近赤外線分光過程の両方に共通の変動要因に影響されないようにデータを変換する。そして、共通の変動要因に影響されないように変換された紫外線と近赤外線のデータを重回帰式の説明変数とする。
好ましくは、データの分散を一致するように変換された前記の紫外線のデータと近赤外線のデータについて、さらに、紫外線分光過程と近赤外線分光過程の両方に共通の変動要因に影響されないようにデータを変換する。そして、共通の変動要因に影響されないように変換された紫外線と近赤外線のデータを重回帰式の説明変数とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態の測定法を説明する。
この測定法では、紫外線と近赤外線を使用して、紫外線と近赤外線の両方で吸収をする液体の特性値(たとえば濃度)を測定する。この方法を用いて測定する薬液の具体例として、アンモニアと過酸化水素の混合液、塩酸と過酸化水素の混合液、硫酸と過酸化水素の混合液、フッ酸と過酸化水素の混合液、フッ酸とオゾンの混合液、フッ酸と硝酸と酢酸の混合液、リン酸と硝酸と酢酸の混合液がある。概して、C=C、C=O、N=Nの2重結合を有している分子を含む混合液である。
【0007】
測定に用いる分光測定装置は、紫外線測定部と近赤外線測定部とからなる。両測定部に共通の分光器のセルに導入した同じ液体サンプルについて紫外線と近赤外線を透過し、透過強度を紫外線測定部と近赤外線測定部により測定する。したがって、セルの中のサンプルの同一測定対象点に紫外線と近赤外線の光束を照射して測定するので、測定における補正が容易になる。
【0008】
セルの同一測定対象点に紫外線と近赤外線の光束を照射して測定するので、測定データに影響する因子は、紫外線分光過程に関するものと、近赤外線分光過程に関するものと、紫外線分光過程と近赤外線分光過程にともに関するものとがある。そこで、紫外線吸光度データと近赤外線吸光度データをそのまま説明変数として用いた換算式を求めるのではなく、紫外線吸光度データは、その紫外線分光手段に特有の変動量を除いたデータに変換して、同じく近赤外線吸光度データも、その近赤外線分光手段に特有の変動量を除いたデータに変換する。こうして、近赤外線分光過程と紫外線分光過程にわたって、それぞれ独立の部分に関しては、その装置から起因する誤差変動量は、近赤外線分光の場合も、紫外線分光の場合もそれぞれ初期段階で除去する。好ましくは、次に、変換された紫外線のデータと近赤外線のデータの分散を一致させる。また、好ましくは、紫外線分光過程と近赤外線分光過程にともに関する変動要因の影響を除く。こうして、共通の変動要因から起因する誤差変動量は、それぞれ独立に変動する部分に関する誤差変動量を除去してから変換されることになる。
【0009】
測定に用いる重回帰式(検量線)は次のように求められる。まず、紫外線と近赤外線の複数波長で既知特性値のサンプルの吸光度データを測定する。そして、測定により得られた複数波長の紫外線吸光度データを、紫外線分光に関係する装置変動に影響されないように変換し、測定により得られた複数波長の近赤外線吸光度データを、近赤外線分光に関係する装置変動に影響されないように変換する。
こうして変換されたデータについて、好ましくは、変換された紫外線のデータと近赤外線のデータの分散を一致させる。また、好ましくは、紫外線分光過程と近赤外線分光過程の両方に共通の変動要因に影響されないように変換する。
最後に、上述の変換され、及び/又は、分散を一致された前記の紫外線と近赤外線のデータを説明変数として、サンプルの特性値(たとえば液体の濃度)を求めるための重回帰式を求める。したがって、重回帰式は、紫外線吸光度データと近赤外線吸光度データをそのまま説明変数として用いたものではない。重回帰式を求める前に、紫外線吸光度データは、その紫外線分光手段に特有の変動量を除いたデータに変換して、同じく近赤外線吸光度データも、その近赤外線分光手段に特有の変動量を除いたデータに変換している。好ましくはさらにデータの分散や共通の変動要因などについても処理したものである。
未知特性値のサンプルの測定においては、測定データから装置変動の影響を除く。次に、得られたデータを重回帰式(検量線)に代入して、未知サンプルの特性値を求める。
【0010】
上述の紫外線吸光度データと近赤外線吸光度データのそれぞれについての誤差変動、または、紫外線吸光度データと近赤外線吸光度データに共通の誤差変動を除く変換方法としては、主成分分析法などの一般的手法を利用できる。主成分分析法では、一番有効なデータが取れる方向に主成分を求めて、第1から第N主成分までを採用して、その方向に線形変換をしてもよい。その場合は、採用しなかった主成分に分光部特有の変動量が大方存在しているという仮定がある。また、本出願人が特開平3−209149号公報に記された方法を使用して線形変換をしてもよい。ここでは特開平3−209149号公報に示した方法を用いる。この方法では、紫外線ランプ変動データと紫外線センサ変動データはベクトルとみなし、あらかじめその方向が判っていることが多いのでその方向と直交する方向に線形変換をする。まず、単位あたりのサンプルの温度変動に対する複数波長での出力変化Δ1、Δ2、・・・を以下のように測定波長数に等しい次元のベクトルTとして表す。
T=(Δ1,Δ2,・・・)
同様に、単位あたりのサンプル散乱変動と機器温度変動に対する出力変化もベクトルS、Mと表す。次に、
P・T=0
P・S=0
P・M=0
の3式が成り立つベクトルPを求める。このPの解として独立なものは、この場合3つ存在する。それらをP1、P2、P3とする。このP1、P2、P3は、いずれもベクトルT、S、Mに直交する部分空間を形成するベクトルである。次に、既知サンプルについて得られた実測データを、測定波長数に等しい次元のベクトルA=(A1,A2,...)とし、次の演算によりこの部分空間に射影して誤差変動の影響を受けないデータX1,X2,X3に変換する。
X1=P1・A
X2=P2・A
X3=P3・A
X1,X2,X3は、それぞれAをP1,P2,P3で表される部分空間に射影したデータであり、上記の誤差変動の影響を全く受けない。
【0011】
以下に3つの測定例について説明する。
(測定例1)
アンモニアと過酸化水素の混合水溶液における濃度を測定する。この混合液は、半導体製造ラインにおいて、シリコンウエハの洗浄に用いられている。液の特性として、アンモニアはガスとして蒸散し、過酸化水素は分解して水に変わる。両者とも薄くなるように変化する。この混合比は洗浄能力とシリコンウエハへのダメージにかかわっているので、オンラインでその両方の濃度を精度良く測定することが望まれている。
【0012】
図1は、薬液濃度測定装置の構成を示す。洗浄槽2からの液をポンプ4により吸引して、分光器6のセル66に導入する。図2が分光器6の構造を示す。近赤外領域の光源はハロゲンランプ61であり、紫外線領域の光源62はD2(重水素)ランプである。ダイクロイックミラー63は、近赤外線を透過して紫外線を反射する特性を持っている。ダイクロイックミラー63により、2つの光源61,62からの光をひとつの光束にした後、干渉フィルタ64に透過させる。干渉フィルタディスク65は透過波長の異なる複数のフィルタ64を並べたものであり、ディスク65は毎秒20回で回転している。フィルタ64の構成は、近赤外領域では8波長であり、具体的には980, 1040, 1080, 1110, 1150, 1200, 1255, 1300nmを使用している。また、紫外線領域では6波長であり、220, 230, 260, 280, 300, 330nmを使用している。干渉フィルタ64を通過した光は、セル66を通過する。セル長は10mmである。セル66を通過した光はセンサ67で受光する。このセンサ67はシリコンフォトダイオードとゲルマニウムフォトダイオードの複合素子(浜松ホトニクス社製)であり、紫外領域の光は前者で、近赤外領域の光は後者で受光する。センサ67は、光の強度を電流に変えて、その強度をAD変換によりデジタル値に変換する。
【0013】
測定においては、セル66中に基準サンプルとして、水を入れておき、その透過強度をまず測定する。その各波長の強度値Wλとして、上述の14個の波長のデータW220, W230, 〜, W1300をメモリに格納する。次にセル66中に測定すべきサンプルを入れる。その強度値をSλとし、次の演算により吸光度Aλを求める。
得られた強度Aλを紫外領域と近赤外領域に分ける。紫外領域のAλをUλと記し、近赤外領域のAλをNλと記す。
Aλ=−LOG10(Sλ/Wλ)
ここで、紫外領域での重水素ランプ62の強度変動とシリコンフォトダイオードセンサの感度変動を含めた各波長の変動比Cλを、(C220, C230, C260, C280, C300, C330)と記せば、この例では以下のようになった。この変動は外乱要因として装置設置温度が考えられるので、このデータを取得する場合は、装置を恒温槽に入れて、設定温度を変化させれば、その前後での吸光度変化率が以下の値になる。
(1.2, 1.1, 1.05, 1.04, 1.04, 1.00)
アンモニアと過酸化水素の混合液測定の場合、過酸化水素の吸収が、270nmより短い波長では強すぎるので、220, 230, 260nmの3波長は、測定はするが、以下の演算には使用しない。残りの280, 300, 330nmの3波長での変動比Cλだけを次のように書き出す。
(1.04, 1.04, 1.00)
【0014】
次に、複数の紫外線吸光度データを、紫外線分光に関係する装置変動に影響されないように変換する。この変換において、本出願人が特開平3−209149号公報に記載した方法を使用する。紫外領域を測定するのは主に過酸化水素の濃度を測定するためである。それによる吸光度変化を最大限に取得して、なおかつ装置変動を除去できるように、上述の3つの吸光度からひとつのパラメータを求める。過酸化水素の単位濃度あたりの吸光度変化率を上記変動率と同じく括弧形式で表せば、以下のようになる。
(0.30, 0.15, 0.01)
この2つの括弧で表したデータを3次元のベクトルA,Bとみなすことができる。
A=(0.30, 0.15, 0.01)
B=(1.04, 1.04, 1.00)
Bベクトルに直交していて、Aベクトルの方向になるべく近い方向へ射影する変換で得られるデータが求めるパラメータである。それを
X=(x1, x2, x3)
とすれば、次式より求めることができる。図3から、X=A−qBと表して、X・B=0 になるようなqを求めれば良い。まとめれば、
X=A−((A・B)/(B・B))B
である。具体的な値を代入すれば、
X=(0.1428, -0.007, -0.1411)
すなわち
K=0.1428U280−0.007U300−0.1411U330
と変換すれば、Bベクトルの変化に影響されないように変換できる。
【0015】
近赤外線領域のデータに関して、近赤外領域のハロゲン・タングステンランプ強度変動とゲルマニウムフォトダイオードセンサの感度変動を含めた各波長の変動比Cλを、(C980, C1040, C1080, C1110, C1150, C1200, C1255, C1300) と記せば、この例では以下のようになった。この変動は外乱要因として装置設置温度が考えられるので、このデータを取得する場合は、装置を恒温槽に入れて、設定温度を変化させれば、その前後での吸光度変化率が以下の値になる。
(1.00, 1.04, 1.01, 1.03, 1.01, 1.02, 1.04, 1.03)
また、近赤外領域のスペクトルは水溶液の温度変動の影響が大きく、水が10℃変化すれば、吸光度変化率は以下の値になる。
(0.0053, -0.0020, -0.0009, 0.0007, 0.0171, -0.0030, -0.0090, -0.0010)
【0016】
次に、複数の近赤外線吸光度データを、近赤外線分光に関係する装置変動に影響されないように変換する。この変換において、紫外線分光の場合と同じく、本出願人が特開平3−209149号公報に記載した方法を使用する。近赤外領域を測定するのは主にアンモニアの濃度を測定するためである。それによる吸光度変化を最大限に取得して、なおかつ装置変動とサンプルの温度変動を除去できるように、8つの吸光度からひとつのパラメータを求める。アンモニアの濃度1wt%あたりの吸光度変化率を上記変動率と同じく括弧形式で表せば、以下のようになる。
(-0.0037, 0.0088, 0.0010, -0.0003, -0.0065, -0.0018, 0.0003, 0.0047)
以上の3つの括弧で表したデータを8次元のベクトルと見なすことができる。
【0017】
D=(-0.0037, 0.0088, 0.0010, -0.0003, -0.0065, -0.0018, 0.0003,
0.0047)
E=(1.00, 1.04, 1.01, 1.03, 1.01, 1.02, 1.04, 1.03)
F=(0.0053, -0.0020, -0.0009, 0.0007, 0.0171, -0.0030, -0.0090,
-0.0010)
とすれば、EベクトルとFベクトルに直交していて、Dベクトルの方向になるべく近い方向へ射影する変換で得られるデータが求めるパラメータである。それを
Y=(y1, y2, y3, y4, y5, y6, y7, y8)
と表せば、以下のように求めることができる。
【0018】
図4から、EベクトルとFベクトルの線形結合で得られるベクトルをGベクトルとする。Gベクトルは次式で表される。
G=sE+tF
Y=D−Gと表して、Y・G=0 になるようなsとtを求めれば良い。このパラメータs、tは、Y・G=0の時、ベクトルYの長さが最小になるという条件から簡単に求められる。Yの長さの2乗値Lは、次式で表される。D, E, Fベクトルの成分をdI, eI, fIとすれば、
L=Σ(dI−seI−tfI)2
このL値は、
∂L/∂s=0
∂L/∂t=0
の2式を満足する。展開すると次式になる。
sΣeI 2+tΣeIfI = ΣeIdI
sΣeIfI+tΣfI 2 = ΣfIdI
よって、
s=ΣeIdI/(ΣeI 2ΣfI 2−(ΣeIfI)2)
t=ΣfIdI/(ΣeI 2ΣfI 2−(ΣeIfI)2)
と表される。このs、tを使い
Y=D−G=D−(sE+tF)
よりYベクトルを求める。
実際の値に適用すると、s=0.000654, t=−0.37416であり、
Y=(-0.00237, 0.00737, 0.00000, -0.00071, -0.00076, -0.00359,
-0.00375, O.00365)
である。すなわち
J=−0.00237N980+0.00737N1040−0.00000N1080−0.00071N1110
−0.00076N1150−0.00359N1200−0.00375N1255+0.00365N1300
と変換すれば、Eベクトル、Fベクトルの変化に影響されないように変換できる。
【0019】
次に、以上のように装置変動が影響されないように変換された紫外線のデータKと近赤外線のデータJを分散を一致させて、アンモニアと過酸化水素の両方の濃度を精度良く求める。ここで、JとKのデータのS/Nを一致させておく。すなわち、必要ならば、S/Nが近くなるように、重み係数をかける。
M=K/SU
N=J/SN
ここに、SUは、あらかじめ実験で求めておいた紫外線分光部の誤差の標準偏差量であり、SNは、あらかじめ実験で求めておいた近赤外線分光部の誤差の標準偏差量である。
図5は、NをX軸に、MをY軸にとり、アンモニアと過酸化水素の各種混合液のデータをプロットしたグラフであり、同一アンモニア濃度に関して、線を引いている。また、図7は、NをX軸に、MをY軸にとり、アンモニアと過酸化水素の各種混合液のデータをプロットしたグラフであり、同一過酸化水素濃度に関して、線を引いている。
【0020】
なお、好ましくは、データKとJを、たとえば特開平3−209149号公報に記載した方法を使用して、紫外線分光過程と近赤外線分光過程の両方に共通の変動要因に影響されないように変換する。近赤外線分光過程と紫外線分光過程の両方にまたがっている部分は、それぞれ独立の部分に関する誤差変動量を除去してから処理することになる。両方にまたがっている部分の典型的な例は、測定対象まわりであり、サンプルが液体の場合はセルになる。紫外線分光過程と近赤外線分光過程の両方に共通の変動要因には、同一セルを透過している場合、サンプルの温度変動、セルの窓板汚れ、セル長変動、サンプルの散乱変動などがある。液体でない場合は、測定ポイントの表面状態による光散乱条件などがそれになる。
これらは、近赤外データと紫外データの両方を効率良く使用する必要があるため、それぞれのS/Nを一致させることが好ましい。このようにして近赤外データと紫外データから、両方にまたがった変動量を除去する。このようにして除去された後のデータは、成分の濃度など定量演算に使いたい情報が十分存在して、かつ定量演算への妨害情報は効率良く除去されている。
【0021】
次に、変動要因を除くように変換されたデータを説明変数として、サンプルの知りたい特性値(例えば濃度データ)を求める重回帰式を求める。
図6は、Z軸にアンモニア濃度にして、図5のデータを3次元の曲面で最小2乗法で適合した結果を示す。曲面式は、次式で表された。
【0022】
図8は、Z軸に過酸化水素濃度にして、図7のデータを3次元の曲面で最小2乗法で適合した結果である。データの曲面式は、次式で表された。
この2つの曲面が、検量線式であり、未知の濃度のアンモニアと過酸化水素の混合液を測定して、N値とM値を求めて、この式に代入すれば、アンモニアの濃度と過酸化水素の濃度を精度よく求めることができる。
以上に説明したように、測定例1では、複数の紫外線データからひとつの変換データKを求めて、複数の近赤外線データからひとつの変換データJを求める。KとJの2つのデータを説明変数として、それぞれアンモニア濃度と過酸化水素濃度の換算式を最小2乗法回帰演算で求めた。
【0023】
(測定例2)
紫外線吸光度と近赤外線吸光度は測定例1と同様に測定される。次に、複数の紫外線吸光度データを、紫外線分光に関係する装置変動に影響されないように、たとえば特開平3−209149号公報に記載した方法を使用して、変換する。すなわち、紫外領域の3つの波長での吸光度を、紫外分光器の変動比(1.04, 1.04, 1.00)の方向に直交する空間に射影変換する。この場合は、この空間は2次元平面になる。測定例1では、3つの吸光度から1つの軸へ射影変換した。その場合、過酸化水素の変化量が最大限にするという条件が余分に入れたためである。現実には、過酸化水素の変化量は、その濃度毎にその方向が少しずつ変化するので、1つのベクトルの方向で代表するのは、濃度変化量が少ない場合はよいが、大きい場合は情報の多少の欠落が発生する。そこで、測定例2では、3つの吸光度から、すぐに1つのデータに変換するのではなく、2つのデータに変換する。
【0024】
B=(1.04, 1.04, 1.00) に直交する2次元空間の基底ベクトルをX1, X2とすれば、
B・X1=0
B・X2=0
X1・X2=0
が成り立つX1、X2 を求めればよい。変数が6個で式が3個であるから、一義的に決定しないが、ひとつのX1またはX2 が求まれば、後の解はこれの線形結合式で表される。以下が求めた値である。
X1= (-0.3976,-0.3976, 0.8270)
X2= (-0.3976, 0.3976, 0.0000)
K1=−0.3976U280−0.3976U300+0.8270U330
K2=−0.3976U280+0.3976U300
と変換すれば、Bベクトルの変化に影響されないデータに変換できる。
【0025】
同様に、複数の近赤外線吸光度データを、近赤外線分光に関係する装置変動に影響されないように、変換する。すなわち、近赤外線領域のデータに関して、8波長の吸光度からサンプルの温度変動と近赤外分光器の装置温度変動の2つの変動を取り除いた6個のデータYi(i=1〜6)に変換する。装置温度変化率は、
E=(1.00, 1.04, 1.01, 1.03, 1.01, 1.02, 1.04, 1.03)
と表し、サンプルの温度変化率は、
F=(0.0053, -0.0020, -0.0009, 0.0007, 0.0171, -0.0030, -0.0090,
-0.0010)
と表し、以下の式を満足するYi(i=1〜6)を求める。これも一義的に決定しないが、ひとつのYiが求まれば、後の解はこれの線形結合式で表される。
E・Yi=0
F・Yi=0
Yi・Yj=0
Yi・Yi=1 (ここに、i=1〜6、j=1〜6、i≠j)
【0026】
実際の値より求めたYi(i=1〜6)を以下に記す。
Y1=(-0.1022,-0.6481, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.7546)
Y2=(-0.0737,-0.3986, 0.8435, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.0000,-0.3524)
Y3=(-0.2710,-0.2053,-0.2097, 0.8917, 0.0000, 0.0000, 0.0000,-0.2130)
Y4=( 0.8544,-0.3235,-0.1460, 0.1122,-0.3244, 0.0000, 0.0000,-0.1621)
Y5=(-0.0999,-0.2529,-0.2247,-0.1965, 0.1375, 0.8745, 0.0000,-0.2308)
Y6=(-0.0228,-0.2479,-0.2093,-0.1648, 0.3323,-0.2743, 0.7967,-0.2160)
したがって、
J1=−0.1022N980−0.6481N1040−0.0000N1080−0.0000N1110
−0.0000N1150−0.0000N1200−0.0000N1255+0.7546N1300
J2=−0.0737N980−0.3986N1040+0.8435N1080−0.0000N1110
−0.0000N1150−0.0000N1200−0.0000Nl255−0.3524N1300
J3=−0.2710N980−0.2053N1040−0.2097N1080+0.8917N1110
−0.0000N1150−0.0000N1200−0.0000N1255−0.2130N1300
J4= 0.8544N980−0.3235N1040−0.1460N1080+0.1122N1110
−0.3244N1150−0.0000N1200−0.0000N1255−0.1621N1300
J5=−0.0999N980−0.2529N1040−0.2247N1080−0.1965N1110
+0.1375N1150+0.8745N1200−0.0000N1255−0.2308N1300
J6=−0.0228N980−0.2479N1040−0.2093N1080−0.1648N1110
+0.3323N1150−0.2743N1200+0.7967N1255−0.2160N1300
【0027】
以上で得られたK1、K2とJ1〜J6について、KとJのデータのS/Nを一致させておく。
Mi=Ki/SU (ここに、i=1〜2)
Ni=Ji/SN (ここに、i=1〜6)
ここに、SUは、あらかじめ実験で求めておいた紫外線分光部の誤差の標準偏差量であり、SNは、あらかじめ実験で求めておいた近赤外線分光部の誤差の標準偏差量である。
【0028】
以上で得られたMi,Niを用いて、次のアンモニアと過酸化水素の濃度換算式を最小2乗法回帰演算で求める。
アンモニア濃度=ΣpiMi+ΣqjNj
過酸化水素濃度=ΣriMi+ΣsjNj
(ここにi=1〜2, j=1〜6)
pi, qj, ri, sj は、濃度換算式のパラメータであり、最小2乗法回帰演算で求められる。こうして、MiとNiを用いて、アンモニア濃度と過酸化水素濃度が求められた。
【0029】
ここでは、MiとNiの8個のデータをそのまま、濃度換算式で使用したが、これらのデータ間に誤差の相関がある場合は、この段階でもう一度変換する。紫外分光部と近赤外線分光部との共通の光学素子の変動などは、この段階でその誤差を取り除く。具体的には、図2の紫外線の光源である重水素ランプ62の光束と、近赤外線の光源であるハロゲンタングステンランプ61の光束を、同一光束にするダイクロイックミラー63の光学特性変動とか、紫外線と近赤外線が同一光束として通過するセル66に関する特性変化(セル長、セルの窓板の汚れ)などである。ここでは、セル66の窓板の汚れに関して、除去した例を示す。
(M1, M2, N1, N2, N3, N4, N5, N6)で表すと、
V=(1.22, 1.31, 1.01, 1.00, 1.15, 1.01, 1.00, 1.01) で表されたならば、この方向に直交する空間の基底ベクトルZを求める。
V・Zi=0
Zi・Zj=0
Zi・Zi=1 (ここに、i=1〜7、j=1〜7、i≠j)
【0030】
実際の値より求めたZi(i=1〜7)を以下に記す。
Z1=(-0.6377, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.7703)
Z2=( 0.4909,-0.7706, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.4064)
Z3=(-0.2618,-0.2811, 0.8975, 0.0000, 0.0000, 0.0000, 0.0000,-0.2167)
Z4=(-0.2132,-0.2289,-0.1765, 0.9164, 0.0000, 0.0000, 0.0000,-0.1765)
Z5=(-0.2041,-0.2192,-0.1690,-0.1673, 0.9084, 0.0000, 0.0000,-0.1690)
Z6=(-0.1529,-0.1641,-0.1266,-0.1253,-0.1441, 0.9387, 0.0000,-0.1266)
Z7=(-0.1345,-0.1444,-0.1113,-0.1102,-0.1267,-0.1113, 0.9464,-0.1113)
したがって、
U1=−0.6377M1−0.0000M2−0.0000N1−0.0000N2−0.0000N3
−0.0000N4−0.0000N5+0.7703N6
U2=+0.4909M1−0.7706M2−0.0000N1−0.0000N2−0.0000N3
−0.0000N4−0.0000N5+0.4064N6
U3=−0.2618M1−0.2811M2 + 0.8975N1+0.0000N2−0.0000N3
−0.0000N4−0.0000N5−0.2167N6
U4=−0.2132M1−0.2289M2−0.1765N1+0.9164N2−0.0000N3
−0.0000N4−0.0000N5−0.1765N6
U5=−0.2041M1−0.2192M2−0.1690N1−0.1673N2+0.9084N3
−0.0000N4−0.0000N5−0.1690N6
U6=−0.1529M1−0.1641M2−0.1266N1−0.1253N2−0.1441N3
+0.9387N4−0.0000N5−0.1266N6
U7=−0.1345M1−0.1444M2−0.1113N1−0.1102N2−0.1267N3
−0.1113N4+0.9464N5−0.1113N6
上式によりUi が求まり、濃度換算式が次式になる。ここで、パラメータpi,
riは最小2乗演算式より求める。
アンモニア濃度=ΣpiUi
過酸化水素濃度=ΣriUi (ここにi=1〜7)
【0031】
(測定例3)
フッ酸とオゾンの混合水溶液を、この方法で測定した測定例を示す。この混合液は、半導体製造ラインにおいて、シリコンウエハの洗浄、エッチングに用いている。液の特性として、フッ酸はシリコンを溶かし込むため、その濃度が徐徐に減少して、オゾンは不安定で数十分で分解していく。この混合比はシリコンウエハへの処理能力と密接に関係していて、オンラインでその両方の濃度を精度良く測定することが望まれている。
装置の構成は図1とほぼ同じである。洗浄槽2からの液をポンプ4により吸引して、分光器のセル66に導入する。セル66の材質はサファイアであり、15℃に温度を調整している。結露しないように、セル66の周りは乾燥材で除湿している。分光器の構造は、図2と同じである。使用する波長も測定例1と同じである。
【0032】
図9と図10は、それぞれ、オゾンとフッ酸の紫外線スペクトルを記す。また、図11は、純水の紫外線スペクトルを示す。オゾンは、260nm付近をピークとする吸収がある。フッ酸は230nm以下で水と比較して吸収量が幾分減少する。また、図12は、フッ酸の近赤外線スペクトルを示す。水を基準にしているので、水との差スペクトルである。オゾンは近赤外線スペクトルでは目立った変化はない。
【0033】
セル中に基準サンプルとして、水を入れておき、その透過強度をまず測定する。その各波長での強度値Wλとして、14個のデータW220, W230, W260〜W1300をメモリに格納する。次にセル中に測定すべきサンプルを入れ測定し、その強度値をSλとする。
次に、吸光度Aλを求める。
Aλ=−LOG10(Sλ/Wλ)
得られたAλを紫外領域と近赤外領域に分ける。紫外領域のAλをUλと表し、近赤外領域のAλをNλと表す。
【0034】
次に、複数の紫外線吸光度データを、紫外線分光に関係する装置変動に影響されないように変換する。紫外領域の重水素ランプ強度変動とシリコンフォトダイオードセンサの感度変動を含めた各波長の変動比Cλを、(C220, C230, C260,C280, C300, C330)と記せば、この例では以下のようになった。この変動は外乱要因として装置設置温度が考えられるので、このデータを取得する場合は、装置を恒温槽に入れて、設定温度を変化させれば、その前後での吸光度変化率が以下の値になる。
(1.2, 1.1, 1.05, 1.04, 1.04, 1.00)
紫外領域を測定するのは主にオゾンの濃度を測定するためである。オゾンの吸収ピークと、その両端の波長として、230nm, 260nm, 300nmを採用する。220, 280, 330nmの3波長は、測定はするが、以下の演算には使用しない。残りの変動比CIだけを次のように書き出す。
(1.1, 1.05, 1.04)
オゾンによる吸光度変化を最大限に取得して、なおかつ装置変動を除去できるように、3つの吸光度からひとつのパラメータを求める。オゾンの単位濃度あたりの吸光度変化率を上記変動率と同じく括弧形式で表せば、以下のようになる。
(0.12, 0.30, 0.01)
この2つの括弧で表したデータを3次元のベクトルと見なすことができる。
A=(0.12, 0.30, 0.01)
B=(1.1, 1.05, 1.04)
とすれば、Bベクトルに直交していて、Aベクトルの方向になるべく近い方向へ射影する変換で得られるデータが求めるパラメータである。
それをX=(x1, x2, x3)とすれば、次式より求めることができる。図3から、X=A−qBと表して、X・B=0になるようなqを求めれば良い。まとめれば、
X=A−((A・B)/(B・B))B
である。具体的な値を代入すれば、
X=(-0.02824, 0.15850, -0.1302)
すなわち
K=−0.02824U220+0.15850U280−0.1302U330
と変換すれば、Bベクトルの変化に影響されないように変換できる。
【0035】
次に、複数の近赤外線吸光度データを、近赤外線分光に関係する装置変動に影響されないように変換する。
近赤外線領域のデータに関して、近赤外領域のスペクトルは主にフッ酸の濃度を測定するためである。それによる吸光度変化を最大限に取得して、なおかつ装置変動とサンプルの温度変動を除去できるように、8つの吸光度からひとつのパラメータを求める。フッ酸の濃度1wt%あたりの吸光度変化率を測定例1と同じく括弧形式で表せば、以下のようになる。
(-0.00065, 0.00055, -0.00175, -0.00027, 0.00175, 0.00114, 0.00062,
0.00033)
後の計算は、測定例1と同じである。
と変換すれば、装置変動とサンプルの温度変動に影響されないように変換できる。
【0036】
次に、JとKの2つの値を用いて、オゾンとフッ酸の両方の濃度を精度良く測定する。JとKのデータのS/Nを回帰演算する前に一致させておく。
M=K/SU
N=J/SN
ここに、SUは、あらかじめ実験で求めておいた紫外線分光部の誤差の標準偏差量であり、SNは、あらかじめ実験で求めておいた近赤外線分光部の誤差の標準偏差量である。
【0037】
次に、変換されたデータを説明変数として、サンプルの知りたい特性値、例えば濃度データを求める重回帰式を求める。図6と図8に相当する局面式は、次式で表された。
オゾン濃度=0.2651N+3.6389M−34.3107N2+0.1011M2−1.5671MN
フッ酸濃度=99.101N+0.2341M+12.4511N2−2.7895M2−1.3474MN
この2つの曲面が、検量線式であり、未知の濃度のオゾンとフッ酸の混合液を測定して、N値とM値を求めて、この式に代入すれば、オゾンの濃度とフッ酸の濃度を精度よく求めることができる。
【0038】
上述の実施形態では、透過強度の測定について説明した。しかし、反射強度の測定についても同様に測定とデータ処理を行えばよい。
なお、特開平4−249748号公報に記載された濃度測定法も、過酸化水素とアンモニアの混合液の濃度を測定する点では、以上に説明した測定法と同じである。しかし、紫外線測定部と赤外線測定部がそれぞれ独立であり、測定セルはそれぞれに設けられる。この測定法では、以下の問題がある。
(1)得られる濃度換算式が、パラメータとしてのアンモニア濃度値αと紫外吸光度値βで区切られているため、その境界で求める値に段差が生じたり、滑らかに変化しなかったりする。
(2)パラメータα,βに従い、濃度換算式が変わるため、データ処理のアルゴリズムが複雑になる。
(3)近赤外線分光部と紫外線分光部では、光源、センサなど、装置を構成している部品が異なるため、近赤外吸光度と紫外吸光度を同列のデ-タ(説明変数)と扱うには無理がある。具体的には、データのS/N、強度、装置から起因する変動量、サンプルから起因する変動量が異なる。
これに対し、本発明では、紫外線と近赤外線について共通のセルを用いて測定をする。また、上述の問題は生じない。
【0039】
【発明の効果】
セルの同一測定対象点にてサンプルの透過強度を紫外線分光過程と近赤外線分光過程により測定し、近赤外線分光過程と紫外線分光過程について、それぞれ独立の変動要因の影響をデータから除去し、好ましくはさらに紫外線分光過程と近赤外線分光過程の両方に共通の変動要因の影響をデータから除去する。これにより、紫外線吸光度データと近赤外線吸光度データからサンプルの特性値(たとえば液体の濃度)を正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 薬液濃度測定装置の構成を示す図
【図2】 薬液濃度測定装置における分光器の構造を図式的に示す図
【図3】 A,B,Xの関係を示す図
【図4】 D,E,F,Gの関係を示す図
【図5】 アンモニアと過酸化水素の各種混合液のデータをNをX軸に、MをY軸にとりプロットした散布図
【図6】 アンモニアのデータの曲面図
【図7】 アンモニアと過酸化水素の各種混合液のデータをNをX軸に、MをY軸にとりプロットした散布図
【図8】 過酸化水素のデータの曲面図
【図9】 オゾンの紫外線スペクトル
【図10】 フッ酸(HF30%)の紫外線スペクトル
【図11】 純水の紫外線スペクトル
【図12】 フッ酸の近赤外線スペクトル
【符号の説明】
2 分光器 61 ハロゲンランプ、 62 重水素ランプ、 63ダイクロイックミラー、 66 セル、 67 センサ。
Claims (5)
- サンプルの透過強度または反射強度を同一サンプルに紫外線と近赤外線を照射して紫外線分光過程と近赤外線分光過程により測定する分光測定装置において、
既知特性値のサンプルの吸光度データを紫外線と近赤外線の複数波長で測定し、
測定により得られた複数波長の紫外線吸光度データを、紫外線分光に関係する装置変動に影響されないように変換し、
測定により得られた複数波長の近赤外線吸光度データを、近赤外線分光に関係する装置変動に影響されないように変換し、
変換された紫外線と近赤外線のデータを説明変数として、サンプルの特性値を得るための重回帰式を求める
ことを特徴とする紫外線と近赤外線を使用した分光測定方法。 - 装置変動に影響されないように変換された前記の紫外線のデータと近赤外線のデータについて、さらに、紫外線のデータと近赤外線のデータの分散を一致するように変換し、分散が一致された紫外線と近赤外線のデータを重回帰式の説明変数とすることを特徴とする請求項1に記載された分光測定方法。
- 装置変動に影響されないように変換された前記の紫外線のデータと近赤外線のデータについて、さらに、紫外線分光過程と近赤外線分光過程の両方に共通の変動要因に影響されないようにデータを変換し、共通の変動要因に影響されないように変換された紫外線と近赤外線のデータを重回帰式の説明変数とすることを特徴とする請求項1に記載された分光測定方法。
- データの分散を一致するように変換された前記の紫外線のデータと近赤外線のデータについて、さらに、紫外線分光過程と近赤外線分光過程の両方に共通の変動要因に影響されないようにデータを変換し、共通の変動要因に影響されないように変換された紫外線と近赤外線のデータを重回帰式の説明変数とすることを特徴とする請求項2に記載された分光測定方法。
- 前記の特性値が液体の濃度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの請求項に記載された分光測定方法。
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