JP4166325B2 - 抗菌消臭性フィルターおよびその製造法 - Google Patents

抗菌消臭性フィルターおよびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルターを構成する繊維に特定の抗菌消臭性成分を染色的手段により染着担持させた抗菌消臭性フィルターおよびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気清浄機やエアコンディショナーの前面に組み込むフィルターとして、ポリプロピレン繊維(線条)でできたフィルターが汎用されている。
【0003】
特開平7−148407号公報(特許第2719088号)には、茶の抽出成分を有効成分とするウィルス不活性化剤をフィルタに含浸またはフィルター素材に練り込んだ抗ウィルスフィルタが示されている。茶の抽出成分とはカテキン類などの茶ポリフェノールである。実施例には、(イ)茶の抽出成分を水に溶解して水溶液としてからエレクトレットフィルタに含浸付着させた例、(ロ)茶の抽出成分をポリプロピレンに混合して溶融してフィルム状に成形し、カッティングし、不織布化を行った例、があげられている。
【0004】
特開平8−266828号公報には、集塵フィルターと茶の抽出成分を添着したフィルターとからなる抗ウィルスフィルターが示されている。茶の抽出成分とはカテキン類などの茶ポリフェノールである。茶の抽出成分を添着したフィルターとは、エレクトレットフィルター、HEPAフィルター、高性能フィルター、中性能フィルター、バグフィルターなどである。
【0005】
本出願人の出願にかかる特開平6−56656号公報には、天然繊維からなる布状物を、タンニン酸を含む反応液と接触させることによりタンニン酸と反応させた後、さらに吐酒石を含む反応液と接触させて吐酒石と反応させることを特徴とする外用殺菌消毒布の製造法が示されている。ただし、フイルターの用途については意図されていない。
【0006】
本出願人の出願にかかる特開平6−173176号公報には、繊維製品を、タンニン酸処理→[吐酒石による固着処理]→[媒染剤を含む媒染液による媒染反応]→茶の抽出液を含む染液による染色反応、の諸工程を経て染色する茶染め繊維製品の製造法が示されている。[ ]内は任意工程である。また上記工程において、媒染反応と染色反応とを媒染−染色液により同時に行う方法も示されている。繊維製品の材質については、木綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維、あるいはそれらの天然繊維と化学繊維との混紡品、交織品、交編品など任意であると記載してある。用途については、肌と接触する用途やファッション性を有する用途があげられている。
【0007】
同じく本出願人の出願にかかる特開平9−316786号公報には、(a) 繊維製品を、カテキン類またはその属性体を含む染液と接触させた後、媒染剤を含む媒染液と接触させる染色繊維製品の製造法、(b) 繊維製品を、カテキン類またはその属性体と媒染剤との双方を含む染液兼用媒染液と接触させることにより、染色反応および媒染反応を同時に行う染色繊維製品の製造法、につき開示がある。繊維製品の材質については、木綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維、ポリアミド系繊維等の化学繊維、あるいはそれらの天然繊維と化学繊維との混紡品・交織品・交編品など任意であり、これらの中では木綿、麻、絹が特に重要であると記載してある。用途については、肌と接触する用途、ファッション性を有する用途のほか、空気清浄機やエアコンディショナーのフィルターなとどしても用いることができるとしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、茶の抽出成分をフィルター素材としてのポリプロピレンに混合して溶融して不織布化した場合、つまり練り込みによる担持方法にあっては、円滑な繊維化自体が容易ではなく、また繊維表面に露われる抽出成分が少ないので効果が不足するという問題点がある。
【0009】
茶の抽出成分を水に溶解して水溶液としてからフィルターに含浸付着させた場合、つまり含浸による担持方法にあっては、固着性も耐水性も不足するため、水分と接触する使い方をしたり、時々水洗を行うような使い方をするときには、付着成分が容易に失われてしまうという問題点がある。
【0010】
これに対し、本出願人が提案している上記各公報の染色法によれば、染色反応および媒染反応により、有効成分(タンニン酸、茶の抽出成分、カテキン類)を繊維製品に化学的に担持できるという利点がある。ところが、これら染色的手段による染着担持方法は、繊維製品が天然繊維や極性のある合成繊維で作られているときには一応有効であるものの、さらに抗菌または消臭性を高めたいという要求が強い上、特に、極性を有しないポリプロピレン繊維などでできた汎用のフィルターに適用したときには、染着担持量が極めて少なく、期待するほどの抗菌または消臭性能が得られないことが判明した。
【0011】
本発明は、このような背景下において、フィルターを構成する繊維の種類の如何にかかわらず(たとえば難染色性繊維を含む繊維であっても)、必要量の有効成分を染色的手段により染着担持させた抗菌消臭性およびその持久力のすぐれたフィルターを提供すること、およびそのような抗菌消臭性フィルターの製造法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の抗菌消臭性フィルターは、フィルターを構成する繊維としてコロナ放電処理された繊維を用い、そのコロナ放電処理された繊維に、植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分が、媒染剤の助けを借りた染色的手段により染着担持されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の抗菌消臭性フィルターの製造法は、フィルターを構成するための繊維をコロナ放電処理した後、そのコロナ放電処理された繊維を、(a) 植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分を含む染液と接触させた後、媒染剤を含む媒染液と接触させるか、(b) 植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分と媒染剤との双方を含む染液兼用媒染液と接触させることにより、染色反応と媒染反応とを逐次的または同時的に行うことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。なお本発明においては、「抗菌消臭性」を「抗菌性または/および消臭性」の意味で用いている。ここで「抗菌性」は、殺菌性、静菌性、さらには抗カビ性や抗ウィルス性を含む意味で用いており、「消臭性」は、脱臭性、悪臭消去性または有害ガス成分除去性の意味で用いている。
【0015】
本発明においては、有効成分を担持させる材料として、フィルターを構成するための繊維を用いる。繊維としては、たとえば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ビニルアルコール系重合体繊維、ポリウレタン繊維などがあげられる。鞘−芯型やバイメタル型の複合繊維であってもよい。繊維は、抗菌消臭性成分を内添してある繊維であってもよく、この場合にも本発明の染色的手段による染着担持により、格段に好ましい抗菌消臭性を有するフィルターを得ることができる。
【0016】
繊維は、モノフィラメント、マルチフィラメント、紡績糸、カバリング糸など任意であり、フィルターにするときは織布または網(ネット)、不織布、編布などとする。繊維は、種類や融点などが相違する異なる繊維の混合物または交織体、混織体などであってもよい。
【0017】
フィルターを構成する繊維は、その少なくとも一部(たとえば、2割以上、3割以上、約半量以上、あるいは全量というように)が難染色性繊維であっても差し支えない。フィルターが難染色性繊維で構成されていた場合でも、好ましい染着担持が可能となる点が、本発明の特長の一つでもある。ここで難染色性繊維の代表例は、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系繊維、殊にポリプロピレン繊維である。難染色性繊維の他の一例はアクリル繊維である。
【0018】
本発明においては、フィルターを構成する繊維がコロナ放電処理されていることが要求される。コロナ放電処理は、繊維をフィルターとするまでの任意の段階でまたはフィルターとした後に行うことができる。
【0019】
コロナ放電処理とは、高電圧発生機に接続した電極と、金属ロールとの間にたとえば 0.5〜 0.6mm程度の間隔を設け、数100KC/Sの高周波で数千〜数万Vの高電圧をかけ、間隙に高圧コロナを発生させると共に、その間隙に薄層のシートを走らせて処理する方法であり、これによりシートの表面が活性化される。
【0020】
コロナ放電処理による繊維表面の活性化の度合は電圧や間隙により異なるので、予備的実験により最適な条件を見つけておけばよい。1回の処理で不足するときは、2回またはそれ以上の処理を行えばよい。
【0021】
植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分としては、カテキン類(その属性体も含まれる)が特に重要である。カテキン類としては、モノマー状のものやオリゴマー状のものが用いられる(テフラビンも含まれる)。本発明において用いるカテキン類として特に重要性の高いものは、カテキン類の濃度を高めた茶由来のカテキン製剤である。茶カテキンの主たる成分は、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレートなどであるが、個々の成分に単離する必要はないので、これらの混合物からなる茶カテキンを濃厚に含む製剤(殊に20%以上、好ましくは25%以上含むもの)をそのまま好適に用いることができる。市販の茶由来のカテキン製剤には30%品、50%品、60%品、70%品、80%品、90%品などがあるので、その入手は容易である。なおカテキン類は、阿仙薬をはじめ茶以外の多種の植物にも含まれているので、それらの植物由来のカテキン類を用いることもできる。
【0022】
植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分としては、そのほか、茶の抽出物、タンニン(酸)、サポニンなども用いることができる。茶の抽出物としては、一番茶・二番茶・三番茶の粉茶、深むし、かぶせなどの茶の抽出物、紅茶やウーロン茶の抽出物を用いることができる。タンニン(酸)としては、市販の精製されたタンニン酸を用いることができ、また五倍子、没食子などタンニン酸を多量に含む高タンニン酸含有天然植物の抽出物またはその半精製物をそのまま用いることもできる。サポニンのうち茶サポニンは、有機溶剤や水を用いて茶葉や茶の種子からサポニンを含む成分を抽出し、ついでカラムクロマトなどの手段を用いて繰り返し精製を行うことにより取得できる。茶サポニンには、ステロイド系サポニン、トリテルペノイド系サポニンなどがあるが、本発明の目的にはこれらをいずれも使用することができる。サポニンは、茶以外の多種の植物、たとえば、ニンジン、チクセツニンジン、ダイズ、サイコ、アマチャヅル、ヘチマ、オンジ、キキョウ、セネガ、バクモンドウ、モクツウ、チモ、ゴシツ、カンゾウ、サンキライなどにも含まれているので、そのような植物からのサポニンを用いることもできる。
【0023】
そして本発明においては、上記のコロナ放電処理された繊維(その加工品、すなわち、織布または網(ネット)、不織布、編布などを含む)に、植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分を、媒染剤の助けを借りた染色的手段により染着担持させる。この方法としては、次の2つの方法が好適に採用される。
【0024】
第1の方法は、コロナ放電処理した繊維を、上記の抗菌消臭性成分を含む染液と接触させた後、媒染剤を含む媒染液と接触させることにより、染色反応と媒染反応とを逐次的に行う方法である。
【0025】
第2の方法は、コロナ放電処理した繊維を、上記の抗菌消臭性成分と媒染剤との双方を含む染液兼用媒染液と接触させることにより、染色反応と媒染反応とを同時的に行う方法である。
【0026】
第1の方法においては、必要に応じ糊抜き、精練、漂白などを行ってから、まず繊維を上記の抗菌消臭性成分を含む染液と接触させる。
【0027】
コロナ放電処理した繊維を上記の抗菌消臭性成分を含む染液と接触させるときの条件については、浴比は繊維の重量に対し7〜100倍程度、浴温は40℃〜沸騰温度、処理時間は10分〜3時間程度、抗菌消臭性成分の濃度は繊維の重量に対し 0.2重量%程度以上、通常は1〜20重量%程度とすることが多いが、これらの範囲に限定されない。
【0028】
繊維を抗菌消臭性成分を含む染液と接触させた後は、通常は吐酒石(酒石酸アンチモンカリ)による固着を行うことなく、その繊維を媒染剤を含む媒染液と接触させる。媒染剤の種類を選ぶことにより、種々の色調の染色製品を得ることができる。なお吐酒石の使用は、粘膜刺激作用による肌への影響が無視しえないこと、染色コストが高くなることなどの問題点があるので避ける方が好ましく(使用しても差し支えはないが)、また本発明のようにコロナ放電処理した繊維に上記の抗菌消臭性成分を染着担持させようとするときは、吐酒石による固着工程を行うまでもない。
【0029】
ここで媒染剤としては、銅媒染剤(銅塩)、鉄媒染剤(木酢酸鉄、硫酸第一鉄、硝酸鉄、酢酸第一鉄、木酢酸鉄等の鉄塩)、カルシウム媒染剤(酢酸カルシウム、水酸化カルシウム等)、チタン媒染剤(有機酸のチタン塩)、アルミ媒染剤(酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ミョウバン、焼ミョウバン、カリミョウバン、市販のアルミ液等のアルミニウム塩)、銀媒染剤(酢酸銀、硝酸銀等の銀塩)、スズ媒染剤(スズ塩)、亜鉛媒染剤(亜鉛塩)、クロム媒染剤(クロム塩)、コバルト媒染剤(コバルト塩)などがあげられる。ツバキ灰、サワフタギ灰、ヒサカキ灰、クヌギ灰、アカザ灰、早稲藁灰などの草木灰(木灰や藁灰)を用いることもできる。これらの草木灰は、アルミニウムイオンのほか、染色に有用な他の金属イオンやアルカリ物質を含んでいる。
【0030】
媒染剤の種類によって染着性が異なるので、予備的実験によりどの媒染剤が適当かを見つけておくことが好ましい。好適な媒染剤の一例は銅媒染剤(銅塩)である。
【0031】
媒染時の浴比は繊維の重量に対し7〜100倍程度(殊に8〜60倍程度)、浴温は常温ないし沸騰温度、処理時間は10分〜1時間程度とすることが多いが、この範囲に限定されない。
【0032】
以上の工程終了後は、必要に応じソーピングや水洗などの後処理を行ってから、自然乾燥または熱風乾燥する。
【0033】
次に第2の方法においては、繊維を、上記の抗菌消臭性成分と媒染剤との双方を含む染液兼用媒染液と接触させることにより、染色反応および媒染反応を同時に行う。
【0034】
第2の方法を実施するにあたっては、予め抗菌消臭性成分の一部を染液として用いて繊維と接触させておいてから、上記の抗菌消臭性成分と媒染剤との双方を含む染液兼用媒染液と接触させる方法を採用することもできる。つまり第1の方法と第2の方法とを組み合わせることもできる。
【0035】
また、第1の方法または第2の方法を実施するにあたり、繊維をカチオン化剤を含む前処理液と接触させてカチオン化処理しておくこともできる。カチオン化剤としては、市販の種々のカチオン化剤を用いることができ、カチオン化処理は通常はアルカリの存在下で行う。
【0036】
上記第1または第2の方法あるいはこれらを組み合わせた方法を実施して繊維に抗菌消臭性成分を染着担持させることにより、目的とする抗菌消臭性フィルターが得られる。得られた抗菌消臭性フィルターは、空気清浄機やエアコンディショナーのフィルター、真空掃除機のフィルターのフィルターなどとして用いることができる。
【0037】
〈作用〉
フィルターを構成する繊維にあっては、染色的手段による染着法によっては、抗菌消臭性成分の染着担持量にはおのずから限界がある。特にフィルターがポリオレフィン系繊維などの難染色性繊維を含む繊維から作製されている場合には、染色的手段による染着法によっては、媒染剤を併用しても抗菌消臭性成分をごくわずかしか染着担持させることができず、抗菌消臭能力が劣る。
【0038】
しかるに本発明においては、フィルターを構成する繊維としてコロナ放電処理された繊維を用い、そのコロナ放電処理された繊維に、植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分を媒染剤の助けを借りた染色的手段により染着担持させているので、抗菌消臭性成分の担持量が多く、しかも担持された抗菌消臭性成分はフィルターを水分と接触する使い方をしたり水洗を行ったりしても徐々にしか失われず、長期にわたって抗菌消臭力を発揮する。なお抗菌消臭性成分の担持の程度は、媒染剤の種類によって色調は異なるが、染着時の色の濃さによって判定できるので、作業工程管理の点でも便利である。
【0039】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。以下「部」、「%」とあるのは重量基準で表わしたものである。なお「% owf」とは繊維に対する重量%を意味する。
【0040】
実施例A
従来より空気清浄機やエアコンディショナー用の前面フィルターとして用いられているポリプロピレンモノフィラメントを撚り合わせた経糸および緯糸を用いて作製したネットを準備した。
【0041】
このネットに、次の条件でコロナ放電処理を表裏につき1回、10回、15回、20回、25回宛行った。
・発振器:春日電機株式会社製、型式CF−0212(2KW)
・電極:ワイヤー電極(1mmφ)
・エアギャップ:基材表面より2mm
・電力量:400W
・手動式、両面処理
・速度:30cm/3sec(往復3秒)
【0042】
なおコロナ放電を多数回行うことは非実用的であるように見えるが、これは傾向を把握するためにエアギャップを2mmと広くとったときの試験データであり、最適条件をつかんだ後は、実際のコロナ放電処理において出力や距離を選択することにより、1回ないし数回のコロナ放電処理で足りる。
【0043】
抗菌消臭性成分の一例として、エピガロカテキン約10%、エピガロカテキンガレート約15%、エピカテキン約2%、エピカテキンガレート約3%を含むカテキン類含量約30%の市販の茶由来のカテキン製剤(以下、単にカテキンという)を準備した。
【0044】
上記のコロナ放電処理を行う前または後のネットを水中に投入し、撹拌しながら80℃まで加温し、この温度で約10分間撹拌処理した後、水洗、脱水を行った。
【0045】
水中に上記のカテキン10部(10% owf)を加え、さらに若干の水を加えて全体を1200部(浴比1:12)にして処理液を調製し、この処理液に上記の水洗を行ったネットを投入し、約80℃まで加温してから約30分間撹拌処理し、ついで温調を切ってから60分間撹拌処理を続けた後、水洗、脱水を行った。
【0046】
媒染剤としての硫酸銅または木酢酸鉄を水に添加して3%水溶液とした後、この水溶液に上記処理後のネット100部を投入し(浴比1:12)、約10分間なじませてから約90℃まで昇温し、この温度で約30分撹拌処理した後、水洗、脱水、乾燥を行った。
【0047】
これにより、比較的濃い色のカテキン染色ネットが得られたので、これをフィルターとして用い、以下の試験に供した。
【0048】
〈カテキン染着担持量〉
コロナ放電処理回数とカテキンの染着担持量との関係を調べた。結果を表1に示す。No. 0 はカテキンを担持させていない(コロナ放電処理も行っていない)ポリプロピレン製のネット、No. 1 はコロナ放電処理を行っていないポリプロピレン製のネットのカテキン染着担持品である。
【0049】
カテキン量は、熱分析装置を用いて行った。すなわち、ネットから約10mgを採取して熱分析装置にかけ、温度を上げていくと380℃前後でカテキンが燃焼しはじめるので、その温度近傍での重量変化を測定すれば、カテキン量を求めることができる。この温度付近ではポリプロピレン繊維も燃焼するので、カテキン付着量は燃焼で発生する示差熱量と減少割合で比較評価すればよい。
【0050】
【表1】
Figure 0004166325
【0051】
表1から、コロナ放電処理回数が多くなるほどカテキン染着担持量が増すこと、媒染剤については銅媒染剤の方が鉄媒染剤よりも染着担持量が大となることがわかる。
【0052】
〈消臭試験〉
上記の表1のカテキン染着担持ネットからなる抗菌性フィルターをタバコの煙のフィルターとして用いたときの消臭性能を次のようにして評価した。
【0053】
・測定対象物:タバコ(マイルドセブン)の煙 5本/サイクル。
・測定装置:においセンサー(新コスモス電機株式会社製の「XP−329」)およびガス検知管(株式会社ガステック製の「アンモニア− No.3L」)を使用。
・試験装置:図1に示した閉鎖環境を保持できる消臭試験用装置を用い、1m×1m×1mのアクリル板製容器内に、吸煙機、撹拌ファン、およびフィルターを装着した吸引ヘッドをセットした。
【0054】
・測定内容:タバコを1回の試験に5本ずつ用意し、吸煙機に装着してから、着火する。すみやかに容器を閉鎖し、蓋をしてからちょうど6分経過したところで、スタート時間0分として初期濃度を測定する。5本のタバコのうち、最初の1本がフィルターに達した時点で吸煙機は停止させる。残りのタバコは自然発煙させる。また撹拌ファンは連続運転させる。このような環境下で、スタート時間より30分後および60分後のにおい濃度およびアンモニア濃度をそれぞれにおいセンサー、ガス検知管を使って計測する。
【0055】
・測定結果の評価:喫煙により生ずるガスの濃度を、においセンサーとガス検知管の両方を使って所定の時間に測定する。それらの測定値が各初期値と比べて60分後にそれぞれどの程度におうかまたはアンモニア濃度がどの程度であるかにつき、初期値との変化率を求める(30分後変化率 C30/C0 =30分後測定値/初期測定値、60分後変化率 C60/C0 =60分後測定値/初期測定値)。この測定サイクルを1サイクルとして、繰り返し測定する。
【0056】
結果を表2に示す。No. 10はカテキンを担持させていないポリプロピレン製のネットを用いた場合、No. 11はコロナ放電処理を行っていないポリプロピレン製のネットのカテキン染色品を用いた場合である。表2においてNo. 10の欄は、C30/C0=0.68 、C60/C0=0.49 という意味であり、銅媒染品、鉄媒染品の意味ではない。
【0057】
【表2】
Figure 0004166325
【0058】
表2から、ネットとしてコロナ放電処理回数が多いものを用いた場合ほど消臭効果が大きくなる傾向があること、媒染剤については銅媒染剤の方が鉄媒染剤よりも消臭効果が大きいことがわかる。
【0059】
〈洗浄による染着担持カテキンの減少の程度〉
表1のフィルターのうち銅媒染剤によりカテキンを染着担持させたネットからなるフィルターにつき、繰り返し洗浄後の担持カテキン量を測定した。結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
Figure 0004166325
【0061】
表3から、繰り返しの洗浄によりカテキン担持量は減少していくものの、コロナ放電処理ネットにカテキンを付着させた場合には、多数回の洗浄後も、なお必要量のカテキンが担持されていることがわかる。フィルターの洗浄頻度を考慮すると、カテキン担持量の減少の度合は、充分に許容範囲にある。
【0062】
実施例B
フィルターを構成するネットの繊維材質を下記のように種々変更し、実施例Aに準じてコロナ放電処理、ついで銅媒染剤によるカテキンの染着担持を行い、30分後および60分後のタバコ消臭率を調べた。PPはポリプロピレン繊維、Nyはナイロン繊維である。ただし、No. 30はカキンの染着担持を行っていない。結果を表4に示す。
【0063】
・No. 30 (経糸)PP、(緯糸)PP
・No. 31 (経糸)Ny、(緯糸)Ny
・No. 32 (経糸)PP、(緯糸)Ny
・No. 33 (経糸)PP、(緯糸)Ny:PP=2:1
・No. 34 (経糸)PP、(緯糸)Ny:PP=1:1
【0064】
【表4】
Figure 0004166325
【0065】
実施例C
実施例Aに準じて、ポリプロピレン(PP)繊維製の不織布またはアクリル(Ac)繊維製の不織布をまずコロナ放電処理し、ついでカテキン(Cate)を含む処理液で処理し、続いて銅媒染剤または鉄媒染剤の水溶液で処理して、フィルター用の染色不織布を得た。
【0066】
これらの染色不織布につき、菌数減少率試験により黄色葡萄状球菌Staphylococcus aureus ATCC 6538Pに対する抗細菌活性を調べた。すなわち、滅菌試料不織布に試験菌のブイヨン懸濁液を注加し、密閉容器中で37℃で18時間培養後の生菌数を計測し、植菌数に対する増減値を求めた。結果を下記および表5に示す。なお無加工布は標準綿布を使用した。
【0067】
・植菌数(A) は 2.6×104 、log A は 4.4
・無加工布菌数(B) は 1.3×107 、log B は 7.1
・log B - log A = 2.7 > 1.5 (試験は有効)
・増減値 = log C - log A
・増減値差 = (log B - log A) - (log C - log A)
【0068】
【表5】
Figure 0004166325
【0069】
【発明の効果】
作用の項でも述べたように、本発明においては、フィルターを構成する繊維としてコロナ放電処理された繊維を用いているので、そのコロナ放電処理された繊維に植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分を媒染剤の助けを借りた染色的手段により染着担持させたときは、たとえ繊維が難染色性繊維を主体とするような場合であっても、抗菌消臭性成分の担持量が多く、しかも担持された抗菌消臭性成分はフィルターを水分と接触する使い方をしたり水洗を行ったりしても徐々にしか失われず、長期にわたって抗菌消臭力を発揮する。なお抗菌消臭性成分の担持の程度は、媒染剤の種類によって色調は異なるが、染着時の色の濃さによって判定できるので、作業工程管理の点でも便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】消臭試験用装置の説明図である。

Claims (4)

  1. フィルターを構成する繊維としてコロナ放電処理された繊維を用い、そのコロナ放電処理された繊維に、植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分が、媒染剤の助けを借りた染色的手段により染着担持されていることを特徴とする抗菌消臭性フイルター。
  2. フィルターを構成する繊維の少なくとも一部が難染色性繊維である請求項1記載の抗菌消臭性フイルター。
  3. 植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分がカテキン類である請求項1記載の抗菌消臭性フイルター。
  4. フィルターを構成するための繊維をコロナ放電処理した後、そのコロナ放電処理された繊維を、(a) 植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分を含む染液と接触させた後、媒染剤を含む媒染液と接触させるか、(b) 植物由来のポリフェノール化合物系抗菌消臭性成分と媒染剤との双方を含む染液兼用媒染液と接触させることにより、染色反応と媒染反応とを逐次的または同時的に行うことを特徴とする抗菌消臭性フィルターの製造法。
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