JP4164027B2 - 元素の質量分析のための装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、質量分析の装置および方法に関し、特に、質量分析による元素または同位体の分析のための装置および方法に関する。
質量分析による元素または同位体の分析は、多原子および二重荷電イオンの干渉を受けやすいことが知られている。イオンの質量電荷比が、使用されている質量分析計の分解能の限界内において、分析すべき同位体の質量電荷比と同一である場合に、干渉が起こる。このような干渉は、分析の検知限界およびダイナミックレンジを狭め、分析すべき元素が唯一の同位体を有している場合に特に問題が生じる。誘導結合プラズマ(ICP)イオン供給源が多くの酸化物、水酸化物および二重荷電イオン干渉を生じることは知られている。たとえばマイクロ波誘導プラズマ、レーザー誘導プラズマおよびグロー放電のような、質量分析による元素分析の試料を原子化しイオン化する他のタイプの供給源もまた干渉イオンを生じる。
"Ionized Gases" A. von Engel, 2nd edition, Oxford, 1987, p.163 "Physics of Gas Discharge" Y.P. Raizer, Science, Moscow, 1987, p.139 "Physics of Gas Discharge" Y.P. Raizer, Science, Moscow, 1987, p.141
本発明の目的は、このような多原子および二重荷電イオン干渉を減衰させることのできる、質量分析装置および方法を提供することである。
本発明は、質量分析時に、多原子または二重荷電イオンに優先的にイオン−電子再結合をさせ、それによって遊離電子の存在下で解離させ、その結果多数のそのような干渉イオンを除去するように条件を確立することを含む。多数の干渉イオンとは、同位体の量を追跡する質量分析の検知限界において検知度を高めるような量のことである。通常、これは実質数の干渉イオンの除去を意味する。
したがって、本発明は、第1の局面において、
試料の一部を原子化する供給源手段と、
前記供給源手段から、元素試料イオンと干渉多原子または二重荷電イオンとを含む粒子ビームを取り出す手段と、
粒子ビームが通過する領域でかつ粒子が電子母集団を通過する所定の通路長さを限定する領域に、電子母集団を提供する手段であって、前記領域は質量分析計の減圧可能なチャンバ内に配置されているために前記領域を低圧にすることが可能であり、前記電子母集団が有する電子数密度および遊離電子エネルギーは、前記所定の通路長さおよび低圧とあいまって、干渉多原子または二重荷電イオンに優先的にイオン−電子再結合およびそれによる解離を起こし、その結果、粒子ビームから多数の干渉イオンを除去できるような電子数密度および遊離電子エネルギーである電子母集団を提供する手段と、
質量分析のために、粒子ビームが電子母集団を通過した後、粒子ビームからイオンを受け取って試料中の異なる元素の濃度を決定できる、質量分析部およびイオン検知器とを含む、
試料の元素分析のための質量分析計を提供する。
試料の一部を原子化するために誘導結合プラズマ(ICP)を用いる質量分析計において、前記電子の母集団を提供する手段は、プラズマからの電子を磁界により限定された領域に一時的に閉じ込めるために磁界を提供する手段であってよい。このような磁界は、1個またはそれ以上の電気コイル、磁石または適切な磁界を生じる他の手段により提供されてもよい。実際、「磁気ミラー」装置は、均一でない(電子閉じこめ)同軸磁界を生じる装置であるが、電子およびイオンを磁界軸に沿って閉じこめるために使用できる。このような装置は、電気コイルであろうとなかろうと、サンプラーコーンの後ろまたはスキマーコーンの後ろに配置されてもよく、また、サンプラーコーンとスキマーコーンとの両方の後ろに配置されてもよい。これは、元素分析のためのいかなる公知のプラズマイオン供給源(ICP、マイクロ波誘導プラズマ、レーザー誘導プラズマおよびグロー放電)にも適用可能であり、それらにおいて、元のプラズマ内のイオン電子バランスによって遊離電子がすでに存在している。
別の場合には、前記電子の母集団を提供する手段は粒子ビームが通過する反応セルを含んでおり、前記反応セルは、当該質量分析計の前記減圧可能なチャンバ内に配置されており、かつそれと協働して前記反応セル内にプラズマを供給するプラズマ発生手段を有しており、それによってプラズマ電子が前記電子母集団を構成する。
本発明の第1の局面において、たとえばICP質量分析計におけるプラズマイオン供給源または反応セルに別個に供給されたプラズマである、電子の母集団を提供する手段は、少なくとも遊離電子エネルギーを超えてまたは電子数密度を超えて、すなわちプラズマから引き出されるこれらのパラメータの値を超えて提供しない。別の装置では、電子が別個に生成され、この場合、このような電子の電子数密度と遊離電子エネルギーとは、所望通りに確立され得る。
したがって、第2の局面において、本発明は、
試料の一部を原子化する供給源手段と、
前記供給源手段から、元素試料イオンと干渉多原子または二重荷電イオンとを含む粒子ビームを取り出す手段と、
粒子ビームが通過する領域でかつ粒子が電子母集団を通過する所定の通路長さを限定する領域に、電子母集団を提供する手段であって、前記領域は質量分析計の減圧可能なチャンバ内に配置されているために前記領域を低圧にすることが可能であり、前記電子母集団を提供する手段は、電子母集団の電子数密度および遊離電子エネルギーを、前記所定の通路長さおよび低圧とあいまって、干渉多原子および二重荷電イオンに優先的にイオン−電子再結合およびそれによる解離を起こして粒子ビームから多数の干渉イオンを除去できるような電子数密度および遊離電子エネルギーとして確立することも可能である電子母集団を提供する手段と、
質量分析のために粒子ビームが電子母集団を通過した後、粒子ビームからイオンを受け取って試料中の異なる元素の濃度を決定できる、質量分析部およびイオン検知器とを含む、
試料の元素分析のための質量分析計を提供する。
本発明のこの第2の局面において、前記電子母集団を提供する手段は、電子母集団の所望の電子数密度と遊離電子エネルギーとを確立できる電子発生装置であることが好ましい。この電子発生装置は、発生した電子を閉じ込めて、粒子ビームが通過する電子母集団を形成するように設計され作動されるのが好ましい。
前記電子発生装置は、内部に電子吸引陽極として作用する管状メッシュ電極が配置された管状電子発生陰極を含んでいてもよく、それによって必要な電子数密度が得られる。前記電子発生装置はさらに、前記管状メッシュ電極である第1の管状メッシュ電極(すなわち陽極)内に配置された第2の管状メッシュ電極を含んでもよく、これは適切な電位を印加することにより作動されて装置内の電子母集団のための適切な遊離電子エネルギーを生ずる。
生成電子を閉じ込める電子発生装置の別の形態として、生成電子が磁力で閉じ込められて母集団を形成するような構成にしてもよい。
本発明の第2局面の実施形態における電子発生装置は、ICP質量分析計、マイクロ波誘導プラズマ質量分析計、レーザー誘導プラズマ質量分析計およびグロー放電質量分析計のような元素分析用プラズマ供給源質量分析計とともに使用してもよい。
第3の局面によれば、本発明は、多原子または二重荷電イオン干渉を除去することを含む試料の元素質量分析方法を提供し、この方法は、
試料の一部を原子化し、そこから粒子ビームを形成する工程であって、前記ビームが、元素試料イオンと干渉多原子または二重荷電イオンを含む工程と、
所定の低圧領域にある電子数密度と遊離電子エネルギーとを有する電子母集団を形成する工程と、
前記電子母集団に粒子ビームを通過させる工程であって、当該粒子ビームが、電子母集団を通過する所定の通路長さを有し、
前記電子数密度、遊離電子エネルギー、低圧および通路長さが、ビーム中に含まれる干渉多原子または二重荷電イオンが優先的にイオン−電子再結合とそれによる解離とを生じ、その結果ビームから多量のそのようなイオンを除去できるような値である工程と、
得られたビーム中のイオンの質量を質量分析により分析して試料の元素成分を決定する工程と
を含む。
前記電子母集団を形成する工程は、試料の一部を原子化することによりプラズマを発生させ、磁界を付与して電子母集団を形成することを含んでもよい。この場合、前記磁界は、プラズマからの電子を領域内に閉じ込めるように配置および形成されている。
これとは別の場合には、電子母集団の形成は、他のプラズマを発生させ、当該他のプラズマをたとえば粒子ビームを通す反応セルのような領域に供給し、それによってプラズマ電子が電子母集団を形成するようにしてもよい。
さらに別の場合には、電子発生装置を用いて生成した電子を閉じ込めて電子母集団を形成してもよい。
電子数密度(ne)、遊離電子エネルギー(Ee)、圧力(P)および通路長さの値は、次の通りである。
電子数密度(ne)>1011cm-3 〜1014cm-3(1011cm-3より大きい)、好ましくは1012cm-3 〜1014cm-3、 さらに好ましくは1013cm-3 〜1014cm-3
遊離電子エネルギー(Ee)>0.01eV〜 < 5eV(0.01eVより大きく、5eV未満)、好ましくは約1eV
圧力(P)<10Torr、 好ましくは<10-3 Torr
通路長さ1〜4cm、好ましくは2〜4cm、さらに好ましくは3〜4cm。
本発明は、電子発生装置を用いて、プラズマからの電子を磁気により閉じ込めることを含む。電子発生装置により生成した電子を磁気により閉じ込めて電子母集団を形成してもよく、または、電子発生装置の構造および作動を生成電子を閉じ込めるように構成して電子母集団を形成してもよく、その両方であってもよい。本発明は、複数個の電子発生装置の使用を含む。
発明の理論的基礎
本発明を支える理論的考察を下記に詳述する。
本発明の基礎となる考えは、干渉多原子および二重荷電イオンは遊離電子存在下での優先的イオン−電子再結合により除去できるということである。
本発明の理解の基礎を与えるために、このイオン−電子再結合理論を次に説明する。
イオン−電子再結合
イオン−電子再結合は、プラズマにおける公知の電子ロスメカニズムの1つである。
特徴的なプラズマ減衰時間trは、次の式で表される。
r = 1/(βne 0
但し、ne 0は初期電子密度(単位体積あたりの電子数)であり、βはイオン−電子再結合係数(単位時間あたりのイオン−電子再結合数の単位体積倍)を示す。いくつかの気体イオンのβ値は、表1に示されている。
Figure 0004164027
表1において、Pは気体圧力を水銀柱mm(mmHg)で表したものである。Teは、プラズマ電子の温度であり、測定単位は電子ボルト(eV)である。
多原子イオンの解離再結合
多原子イオンA2 +の解離再結合は、下記の式で表される。
2 ++e=A+A+E
但し、eは電子、Aは中性原子で、Eはエネルギーバランスである。
たとえば、アルゴン二量体イオンの場合、
Ar2 ++1.4eV=Ar++Ar
Ar+15.8eV=Ar++e
Ar2 ++e=Ar+Ar+14.4eV
1個のアルゴン二量体イオンの解離再結合からの2個の中性アルゴン原子の生成エネルギー(14.4eV)は、準安定性アルゴン原子の生成エネルギー(Ar*:11.55eV、11.61eV、11.72eV)を十分に上回る。なぜならば、Ar2 + の解離再結合は、通常準安定性原子(Ar*)と安定中性原子(Ar)とを生成するからである。
電子および気体二原子アルゴンイオン(Ar2 +)の解離再結合係数は、10-7cm3/sのオーダである(“Physics of Gas Discharge” Y.P. Raizer, Science, Moscow, 1987, p.139参照)。
変換反応によるA2 +の発生
反応 A+A+(運動または励起エネルギー)=A2 ++e
は多原子イオンを生じる。それは、第3の粒子、すなわち通常は他の原子を含む。変換率は、次の式で表される。
d(nA2 +)/dt=knA
但し、kは変換率定数(単位時間あたりの6乗に対する体積単位で表す)で、nは単位体積あたりの種の数を示す。kの測定値のいくつかを表2に示す。
Figure 0004164027
電子−イオン再結合の、元素の質量分析における干渉除去への応用
まず、多原子イオンの解離が逆反応しないように条件を選択する。次に、検体イオンのロスのあり得るメカニズムについて考察されねばならない。
会合性変換反応による多原子イオンの生成
会合性変換反応
++A=AB+
は、比較的高圧で電子密度の小さい領域において起こりうる。
一原子イオンの寿命τconvは、次の式で得られる。
τconv=1/(k.(nA2
たとえば、このプロセスによる二原子アルゴンイオンAr2 +の形成を考察する。もしArガスの圧力が10torr(nAr=3.3×1017cm-3)であれば、Ar+イオンが会合性変換によりAr2 +イオンに変換されるまでの寿命は次の式で表される。
1/(k・nAr 2)=1/(10-31cm6/s・1035cm-6)=10-4
これを、同一圧力、電子密度ne=1011cm-3およびβ=10-7cm3/s(典型的な値)での解離再結合の速度と比較する。
再結合時間trは次の式で得られる。
r=1/(βne 0)=1/(10-7cm3/s.1011cm-3)=10-4
この場合、τconv=trec=10-4sである。したがって、会合性変換プロセスとバランスのとれた分子解離再結合を行うには、10Torrの圧力と電子密度ne=1011cm-3とで十分である。このことは、10Torrよりも低い圧力と1011cm-3よりも高いneとでは、解離再結合が会合性変換を上回るに違いないということを意味する。
放射再結合
このプロセスは次の式で表される。
++e=A+hν
但し、hνは、再結合により解放されたエネルギーを除去する電磁放射(光)を表す。放射再結合メカニズムは、検体イオンの重大なロスの危険を(少なくとも理論的には)示さない。
三体衝突における放射再結合
このプロセスは、次の式で表される。
++e+e=A+e+hν
この場合、再結合で解放されたエネルギーは、電磁放射(hν)と第2電子の増加運動エネルギーとに分配される。これは理論的には検体イオンのロスに関する他のメカニズムを表すかもしれないが、それは無視できるものと考えられる。
分子多原子イオンへの解離的電子結合
この反応において、一個の電子は多原子イオンに結合し、衝突のエネルギーは、イオンを形成する原子間の繋がりを破壊する。
AB++e=A+B
このメカニズムは多原子イオンのロスを支持する。反応は結合係数βda=3.4・10-8cm3/sを有しており、これは多原子イオンの解離を助けることができる。
解離イオン−電子再結合に有利な電子特性
遊離電子エネルギーEeは、〜1eVであるべきである。一方で、解離再結合に対して3体の放射再結合の速度が増大することを避けるために、Eeは非常に小さくてはならず、すなわち0.01eVより小さくすべきでない。他方で、Eeは、5eVより小さくあるべきで、これによって、中性および準安定性電子のさらなる電子衝撃イオン化を避けられるからである。
遊離電子の数密度neは、〜1013〜1014cm-3である。
遊離電子の発生する体積Vは1〜4cm3である。
典型的なICP−MS装置におけるイオン電流I+は、0.1〜1μAである。
イオン速度は〜2mm/μsである。これはイオンエネルギー〜10eVにおけるAr2 +の速度である。
多原子イオン減衰の理論的評価
このセクションにおいて、電子母集団は、エレクトロンリアクションセル(ERC)と呼ばれる下記に詳述する本発明の電子発生装置により発生されたものとする。プラズマイオンビームはERCに充満している電子母集団を通過するものとする。
気体、好ましくは水素を、別個の注入ポートを用いてERCに注入してもよい。好ましくは10-3〜10-1Torrの圧力を有するこのガスを、起こりうる電子空間荷電現象を補償するのに充分なイオン密度rを生成するのに用いてもよい。このイオン密度を、電子中性衝撃メカニズムまたは他の公知の現象を用いて生成してもよい。いくつかの特定の場合には、圧力はもっと高くたとえば1Torrでもよく、そのときはERCの大きさは長さL=0.5〜1cmに大いに縮小してもよい。
電子イオン再結合係数は、ICP−MSにおけるたいていの多原子イオンの場合、β=10-7cm3のオーダである。この値は次の計算において用いられる。ERC長さが1cm、2cmおよび4cmで電子密度neが1013cm-3、2・1011cm-3 、1014cm-3の場合について考察する。電子エネルギーは1eVで、ERC容積内の気体圧力は10-2〜10-4Torrとする。ERCに供給された好ましくは水素である気体の圧力は、起こりうる電子空間荷電現象を防ぐために、電子中性衝撃メカニズムを介して充分な電子密度を生成するように調整され得る。
1)ne 〜1013cm-3
r=1/(βne)であるから、50%レベルまでの多原子再結合の速度は、1μsである。
ERC長さ1cm
アルゴン二量体イオンAr2 +が速度2mm/μsで長さ1cmのERC内で費やす時間は、t=5μsまたは5τrである。多原子減衰αAr2 +=25=32である。
ERC長さ2cm
Ar2 +イオンが長さ2cmのERC内で費やす時間は、t=20μsまたは10τrである。上記の条件を用いた2cmのERC内の多原子減衰αAr2 +=210=1024である。
ERC長さ4cm
Ar2 +イオンが長さ4cmのERC内で費やす時間は、t=20μsまたは20τrである。多原子減衰αAr2 +=220=1048576すなわち〜100万である。
ERC内での再結合による検体イオンロス
計算のためにCsを検体に選んだ。
βCs 〜10-10cm3/sec
そして式(1) tr = 1/(βne 0)を適用した。
上記セクションに説明した計算の結果を、表4にまとめた。
Figure 0004164027
理論的背景より引き出された結論
・10%のみの検体イオン強度ロスで1×1060の多原子イオン減衰は少なくとも理論的に可能である(すなわち、ne=1014cm-3、Ee〜1eV、ERCは4cm長さ、圧力P=10-4〜10-2Torr)。
・4cm長さのERCが、ふつうICP―MSに用いられるアルゴンプラズマ内の遊離電子密度とほぼ同じ電子密度(〜1013cm-3)で干渉を大いに減衰できることは注目に値する。したがって、単にプラズマ電子を保つことにより、わずか1%以下の検体イオンロスで約100万の多原子イオン減衰係数が理論的に達成できる。
本発明をより理解しやすくし、その実施方法を示すために、添付図面を参照して実施形態を説明する。これらの実施形態は単に説明のためのものであり、本発明を限定しない。
図1を参照すると、本発明の実施形態による質量分析計に用いられる電子発生装置10(ここでは「電子反応セル」すなわちERC)が断面図で示されている。この装置10は、好ましくはタングステンからなりかつ好ましくは直径約14mm、壁厚約0.1mmの円筒状陰極12(その軸には番号13が付されている)を含む。このような陰極は、必要とされる約2500〜3000Kの電子放出表面温度に達するために、約3アンペアの電流と0.5〜1ボルトの電圧低下を必要とする。陰極12の電位はグランドに対して約−10Vである。第1円筒状メッシュグリッド14(直径約12mm)が円筒状陰極10の内部に配置されていて、電子吸引電極として使用される。メッシュグリッド14の電位は、グランドに対し約+90Vから+約200Vに至るいかなる正電圧であってもよい。これによって、電子の空間荷電が無視し得るいわゆるショットキー放出飽和領域が使用できる。この場合、第1メッシュグリッド14の電圧が一定だとすると、陰極12の温度によって電子密度を調節できる。放出電子の衝撃によって電極が溶融する危険性があるため、この電圧には約+300V の限界がある。第2メッシュグリッド16(直径約10mm、陰極12の表面から約1mm)が、第1の円筒状メッシュグリッド14の内部に配置されていて、電子反応セル10内に電子エネルギーを確立するために用いられる。図においてメッシュグリッド16はラジアル方向に伸びる端部17を有しているが、これらは設けなくてもよい。電子エネルギーは、陰極12の電位と第2メッシュグリッド16の電位との差で決定される。5eVの電子エネルギーを得るには、陰極12の電位が−10Vの場合、第2メッシュグリッド16の電位は−5Vでなければならない。メッシュグリッド16の光透明度は約70%である。ERC10は、入口および出口開口部20を限定する端部プレート18を含む。電子母集団をセル10内に捕捉するために、これらの端部プレート18は負電圧に設定されねばならない。端部プレート18を離間配置することにより、粒子ビームが電子母集団を通過する場合の所定の通路長さが提供される。
たとえば第1メッシュグリッド14が+90V、第2メッシュグリッド16が−5V、陰極12が−10Vのセル10の作動を考察する。チャイルド−ラングミュア則を用いると、陰極12から引き出される最大電流le=〜250mA/cm2である。陰極12の電子放出面は体積1cm3当たり約4cm2であり、メッシュグリッドの透明度が0.7であることを考慮すると、セル10の中央部への電子流は、1A/cm3・0.72=0.5A/cm3までとなる。このことは、毎秒3×1019の電子がセルの中央部に入ることを意味する。電子の中央部滞在時間が1msであれば、1cm3当たり少なくとも3×1013個の電子を与えることになる。ERC10が同軸磁界に囲まれていれば、ERCはかなり長時間、電子を内部に保持することになる。
ERC10は、スキマーコーンの背後のいずれかの場所、すなわち従来のICP−MS装置の第2または第3チャンバ内に配置することができる。しかしながら、「低インターナルバックグラウンド質量分析計」の使用が必要であろう。なぜならば、そうでなければ、ERCにより生成された準安定性原子が過度の連続バックグラウンドをもたらすからである。もしERC10が第3チャンバ内にあれば、それは入口からわずかに離れて位置し、その結果残留気体圧力を10-4Torrよりも低下させるであろう。
図2を参照すると、本発明の実施形態によるICP−MS22の1実施形態が示されており、これは磁界を用いてプラズマイオンおよび電子を閉じ込め、ERC10を使用せずに電子母集団を形成する。このような実施形態は、マグネトハイドロダイナミック磁気ミラーシステムと呼ばれる。それはイオン−電子解離再結合のための元のプラズマ電子を保って多原子および二重荷電イオン干渉を減衰させる。このICP−MS22は、誘導結合プラズマである供給源手段24を有しており、これはこのプラズマ24に取り込まれた試料の一部を原子化するための手段である。プラズマおよび原子化試料24は、サンプラーコーン26に衝突し、サンプラーコーン26はスキマーコーン28とともに大気圧プラズマ24と質量分析計との間のインタフェースを形成する。このようなインタフェースは、本技術において公知である。閉じ込められた電子母集団を形成する手段は、コイル30および32の形状を有しており、それぞれサンプラーコーン26とスキマーコーン28との背後に配置されている。これらのコイルは軸方向の磁界を形成するためのものであり、この磁界はプラズマ24からのイオンと電子とを少なくとも一時的に領域34および36内に閉じ込め、その結果本発明による多原子イオンおよび二重荷電イオンと電子との解離再結合を有利にする。領域34は質量分析計22の減圧可能なチャンバ35(すなわち第1チャンバ)内に含まれており、領域36は質量分析計22の第2の減圧可能なチャンバ37内に含まれている。領域36から出ると、電子と再結合しなかったすべてのイオンは、チャンバ37内のイオンオプティックスシステム38により集中されてイオンビーム40を形成する。イオンビーム40は次に質量分析計22の第3の減圧可能なチャンバ41内に含まれる質量分析部42に入り、イオンは、それらの質量対電荷比に応じて分離された後、イオン検知器44により検知される。イオン検知器44の出力45は次に加工されて、本技術の熟練者には公知の質量スペクトルを形成する。
本発明によれば、ICP−MS22に、コイル30または32の一方だけを設けてもよい。
下記の種々の実施形態において、図1および図2においてと同じ番号は、対応する部品を示すものとして用いられている。また、チャンバ35,37および41についての記述は、簡明にするために省略した。
図3は、他のICP−MS46の概略図であり、図2の実施形態22におけるコイル32の代わりに取り出し電極48が設けられ、その背後に図1と同様にERC10が設けられている。取り出し電極48は0〜−1000Vの範囲の適切な電位で作動されて正イオンをセル10内に導く。他の部分は、図2の実施形態と同様である。
図4は、図3に示した実施形態の変形例の概略図である。この実施形態において、ICP−MS50は、図3の実施形態46の部品に加えてERC10内に軸方向の磁界を形成するためのコイル52を含んでいる。これは、原子およびイオンのERC10内の滞在時間を延長する効果を発揮する。
図5に示したICP−MSの実施形態54は、図3の実施形態に似ているが、ERC10がイオンオプティクシステム38の後ろでかつ質量分析部42の前に配置されている点で異なる。ERC10は、サンプラーコーン26と質量分析部42との間のいずれかの便利な位置に配置されているものとすることができる。さらに、30、32および/または52(図2および図4)のような軸方向磁界形成コイルを、ICP−MS54に用いてもよい。
図6は、ICP−MSの実施形態56を示しており、これはイオン通路において2個のERC10a、10bを用いている。ERC10aは、取り出し電極48のすぐ後ろに配置されており、ERC10bは質量分析部42のすぐ前に配置されている。30、32および/または52(図2および図4)のような軸方向磁界形成のためのコイルを、ICP−MS56に用いてもよい。
図7に示したICP−MSの実施形態58は、図6の実施形態56に似ているが、第3ERC10cがサンプラーコーン26すぐ後ろに配置されている点で異なる。上記の実施形態と同様に、30、32および/または52(図2および図4)のような軸方向磁界形成のためのコイルを、ICP−MS58に用いてもよい。
図8は、ICP−MSの概略図であり、これは(上記実施形態の伝送システム38の代わりに)反射イオンオプティクスシステム62を用いてイオンビーム40を90度曲げる。第1ERC10aはサンプラーコーン26のすぐ後ろに配置されており、第2ERC10bはスキマーコーン28の後ろにある取り出し電極48のすぐ後ろに配置されており、また第3ERC10cは、質量分析部42のすぐ前に配置されている。
図9は他の反応セル64の概略図であり、これは図2に示すような質量分析計22にコイル30,32の代わりに含まれてよい。反応セル64は、元素試料イオンと干渉多原子または二重荷電イオンとを含む粒子ビーム66が反応セル64を通過するように、たとえばスキマーコーン28の後ろのチャンバ37内に配置してもよい。また、図8のセル10a、10b、10cの代わりにそれぞれ反応セル64を配置してもよい。反応セル64に関連してプラズマを反応セル64内に供給するプラズマ発生手段68が設けられており、それによってプラズマ電子が必要な電子母集団を提供し、多原子または二重荷電イオンが優先的にイオン−電子再結合とそれによる解離とを行い、多数の干渉イオンをビームから除去する。
図10は、図1のERC10の変形例を概略的に示しており、これは図3〜8の実施形態におけるERCの代わりに用いられる。図1で用いた参照番号と同じ番号が対応部分を示している。この変形例では、イオン化できる気体72、好ましくは水素をERC10内に供給するための入口70が設けられている。気体72は、電極12から発生した電子により、電極14と16との間の領域において電子衝撃イオン化を行う。このようにして生成されたイオンは起こりうる電子空間荷電現象を低減させる。この電子空間荷電現象は過大な電子密度によりERC10の中央部において起こることがある。イオン化できる気体として水素を用いることが好ましい。第1に、水素は低質量であり、したがって検体イオンの分散ロスが低いためである。第2に、中性水素はアルゴンに対する反応性が高い。その結果、アルゴンと水素との反応により水素アルゴンイオンが生成する。生成した水素アルゴンイオンは、後に、ERC10における電子−分子イオン反応により効果的に除去できる。
上記の説明から、イオン−電子再結合およびそれによる解離プロセスが、逆の会合性変換プロセスを上回るためには、電子数密度(ne)が1011cm-3より大きくかつ10Torrより低い低圧が必要である。同様に、遊離電子エネルギー(Ee)は、所望の解離再結合プロセスに関して3体放射再結合の増大を避けるためには0.01eVより大きくなければならず、中性および準安定性粒子のさらなる電子衝撃イオン化を避けるためには5eVよりも小さくなければならない。理想的には、電子母集団のために約1eVの遊離電子エネルギー(Ee)が確立される。電子母集団を提供する手段(たとえば30もしくは32のようなコイル、または10のようなERC)が質量分析計の減圧可能なチャンバ35または37内に設けられていると、電子母集団を含む領域に確立され得る低圧はそのチャンバが維持される典型的な圧力、たとえばICP−MS22の第1チャンバ35は1〜10Torrであり、第2チャンバ37は10-3〜10-4Torrであり、第3チャンバ41は10-5〜10-6Torrである。(図10のように)気体が供給されるERC10の場合、圧力は開口部20の大きさに応じてより高くされるが、10Torrよりも低くなければならず、理想的には約10-2Torrである。同様に反応セル64(図9)内の圧力は、セル64を包含するポンプ付きチャンバの圧力と、供給されるプラズマの圧力と、セル64の入口および出口の大きさとによって、10Torrよりも低く確立できる。
さらに、上記には、電子数密度(ne)が約1013cm-3の電子母集団で、遊離電子エネルギーが約1eVの場合、電子母集団を通過する1cmの通路長さにより、0.5%の信号減衰に対する係数32で干渉を減衰することができ(αAr2/αCs+=32/1.005)、一方、電子数密度が1014cm-3の場合には、2.5%の信号減衰に対して干渉の減衰は多分1015である(αAr2/αCs+=1015/1.025)ことが示されている。電子数密度が1013cm-3、通路長さが4cm、遊離電子エネルギーが約1eVの場合、干渉減衰は1%の信号減衰に対して106となりうる(αAr2/αCs+=106/1.01)。電子数密度が1014cm-3、通路長さが4cmの場合、干渉減衰は10%の信号減衰に対して1060となりうる。
上記および特に表4の数字に基づけば、前記4個のパラメータの実行可能な外側限界は、次の通りであると考えられる。
I. 電子数密度(ne)>1011cm-3〜1014cm-3(1011cm-3より大き
い)
II. 遊離電子エネルギー(Ee)>0.01eV〜<5eV(0.01eVより大き
く、5eV未満)
III. 圧力(P)<10Torr(10Torr未満)
IV. 通路長さ 1〜4cm
好ましくは、遊離電子エネルギー(Ee)は約1eVであり、圧力(P)は10-3Torr未満である。
好ましくは、電子数密度(ne)は1012〜1014cm-3であり、さらに好ましくは1013〜1014cm-3である。
好ましくは、通路長さは2〜4cmであり、さらに好ましくは3〜4cmである。
ここに詳述した本発明は、変更、変形および/または特記した以外に付加することが可能であり、したがって本発明は、添付の特許請求の範囲内の変更、変形および/または付加を含むものとして理解されるべきである。
本発明の実施形態による質量分析計に用いられる電子発生装置の1実施形態を示す概略図である。 第1実施形態すなわち磁界を用いて電子母集団を形成するICP−MSの概略図である。 第2実施形態すなわち磁界と電子発生装置の両方が用いられている質量分析計の概略図である。 干渉イオン減衰のための電子母集団を形成するのに磁界と電子発生装置との種々の組み合わせを用いた、他の実施形態の概略図である。 干渉イオン減衰のための電子母集団を形成するのに磁界と電子発生装置との種々の組み合わせを用いた、他の実施形態の概略図である。 干渉イオン減衰のための電子母集団を形成するのに磁界と電子発生装置との種々の組み合わせを用いた、他の実施形態の概略図である。 干渉イオン減衰のための電子母集団を形成するのに磁界と電子発生装置との種々の組み合わせを用いた、他の実施形態の概略図である。 干渉イオン減衰のための電子母集団を形成するのに磁界と電子発生装置との種々の組み合わせを用いた、他の実施形態の概略図である。 電子母集団を形成するために使用し得る反応セルの概略図である。 図1の電子発生装置の変形例の概略図である。

Claims (34)

  1. 試料の一部を原子化する供給源手段と、
    前記供給源手段から、元素試料イオンと干渉多原子または二重荷電イオンとを含む粒子ビームを取り出す手段と、
    粒子ビームが通過する領域でかつ粒子が電子母集団を通過する所定の通路長さを限定する領域に、電子母集団を提供する手段であって、前記領域は質量分析計の減圧可能なチャンバ内に配置されているために前記領域を低圧にすることが可能であり、前記電子母集団が有する電子数密度および遊離電子エネルギーは、前記所定の通路長さおよび低圧とあいまって、干渉多原子または二重荷電イオンに優先的にイオン−電子再結合およびそれによる解離を起こし、その結果、粒子ビームから多数の干渉イオンを除去できるような電子数密度および遊離電子エネルギーである電子母集団を提供する手段と、
    質量分析のために、粒子ビームが電子母集団を通過した後、粒子ビームからイオンを受け取って試料中の異なる元素の濃度を決定できる、質量分析部およびイオン検知器と
    を含む、試料の元素分析のための質量分析計。
  2. 前記供給源手段がプラズマイオン源であり、前記電子母集団を提供する手段は、プラズマからの電子を磁界によって限定された領域に一時的に閉じ込めるために、粒子ビームの軸方向の磁界を提供する装置を備えた、請求項1に記載の質量分析計。
  3. 前記界を提供する手段が電気コイルである、請求項2に記載の質量分析計。
  4. 前記質量分析計は前記プラズマイオン源と前記質量分析部との間にインタフェースを含んでおり、前記インタフェースはスキマーコーンを背後に有するサンプリングコーンを備えており、前記コイルは前記サンプリングコーンの後ろに配置されている、請求項3に記載の質量分析計。
  5. 前記コイルが前記サンプリングコーンと前記スキマーコーンとの間に配置されている、請求項4に記載の質量分析計。
  6. 前記コイルが前記スキマーコーンと前記質量分析部との間に配置されている、請求項4に記載の質量分析計。
  7. プラズマからの電子を一時的に閉じ込めるために粒子ビームの軸方向の磁界を提供し、それによって粒子ビームが通過する電子母集団を追加提供する追加コイルを含んでおり、前記追加コイルは、前記スキマーコーンの後ろでかつ最初に定義された前記コイルの後ろに配置されている、請求項4に記載の質量分析計。
  8. 前記電子母集団を提供する手段は、粒子ビームが通過する反応セルを含んでおり、前記反応セルは当該質量分析計の前記減圧可能なチャンバ内に配置されている、請求項1に記載の質量分析計。
  9. 試料の一部を原子化する供給源手段と、
    前記供給源手段から、元素試料イオンと干渉多原子または二重荷電イオンとを含む粒子ビームを取り出す手段と、
    粒子ビームが通過する領域でかつ粒子が電子母集団を通過する所定の通路長さを限定する領域に、電子母集団を提供する手段であって、前記領域は質量分析計の減圧可能なチャンバ内に配置されているために前記領域を低圧にすることが可能であり、前記電子母集団を提供する手段は、電子母集団の電子数密度および遊離電子エネルギーを、前記所定の通路長さおよび低圧とあいまって、干渉多原子および二重荷電イオンに優先的にイオン−電子再結合およびそれによる解離を起こして粒子ビームから多数の干渉イオンを除去できるような電子数密度および遊離電子エネルギーとして確立することも可能である電子母集団を提供する手段と、
    質量分析のために、粒子ビームが電子母集団を通過した後、粒子ビームからイオンを受け取って試料中の異なる元素の濃度を決定できる、質量分析部およびイオン検知器と
    を含む試料の元素分析のための質量分析計。
  10. 電子母集団を提供する手段が電子発生装置である、請求項9に記載の質量分析計。
  11. 前記電子発生装置は、発生した電子を閉じ込めて電子母集団を形成するように設計され作動される、請求項10に記載の質量分析計。
  12. 前記電子発生装置が内部に電子吸引陽極として作用する管状メッシュ電極が配置された管状電子放出陰極を備えた、請求項11に記載の質量分析計。
  13. 前記電子発生装置は、前記管状陰極の両端に配置されたプレートを備えており、電子を装置内に閉じ込めるために前記プレートに負電位を印加することが可能であり、前記プレートは粒子ビームの出入口用の開口部を有しており、両プレート間の間隔が前記所定の通路長さを決定する、請求項12に記載の質量分析計。
  14. 前記電子発生装置はさらに、最初に定義された前記管状メッシュ電極内に配置された第2の管状メッシュ電極を備えており、前記第2の管状メッシュ電極は前記遊離電子エネルギーを確立する、請求項12または13に記載の質量分析計。
  15. 前記供給源手段がプラズマイオン源であり、前記質量分析計は前記プラズマイオン源と前記質量分析部との間にインタフェースを含んでおり、前記インタフェースはスキマーコーンを背後に有するサンプリングコーンを含んでおり、前記電子発生装置は前記インタフェースのサンプリングコーンと前記質量分析部との間に配置されている、請求項10〜14のいずれかに記載の質量分析計。
  16. 前記電子発生装置が、前記サンプリングコーンと前記スキマーコーンとの間に配置されている、請求項15に記載の質量分析計。
  17. 前記電子発生装置が、前記スキマーコーンの後ろに配置されている、請求項15に記載の質量分析計。
  18. 前記電子発生装置が、前記質量分析部の前に配置されている、請求項15に記載の質量分析計。
  19. 少なくとも1個の別の電子発生装置をさらに含んでおり、この別の電子発生装置は粒子ビームが通過する少なくとも1個のさらに別の電子母集団を提供し、前記少なくとも2個の電子発生装置は前記インタフェースの前記サンプラーコーンと前記質量分析部との間に配置されている、請求項15に記載の質量分析計。
  20. プラズマからの電子を磁界によって限定された領域に一時的に閉じ込めるために粒子ビームの軸方向の磁界を提供し、それによって粒子ビームが通過する電子母集団を追加提供する装置をさらに含んでいる、請求項15に記載の質量分析計。
  21. 前記磁界を提供する装置が電気コイルである、請求項20に記載の質量分析計。
  22. 前記電気コイルは、前記サンプリングコーンの後ろでかつ前記電子発生装置の前に配置されている、請求項21に記載の質量分析計。
  23. 前記電子発生装置または各電子発生装置は、前記電子発生装置にイオン化可能な気体を供給する手段を含んでいる、請求項10〜19のいずれかに記載の質量分析計。
  24. 前記電子発生装置に供給される気体が水素である、請求項23に記載の質量分析計。
  25. 試料の一部を原子化し、そこから粒子ビームを形成する工程であって、前記ビームが、元素試料イオンと干渉多原子または二重荷電イオンとを含む工程と、
    所定の低圧領域にある電子数密度と遊離電子エネルギーとを有する電子母集団を形成する工程と、
    前記電子母集団に粒子ビームを通過させる工程であって、当該粒子ビームが、電子母集団を通過する所定の通路長さを有し、
    前記電子数密度、遊離電子エネルギー、低圧および通路長さが、ビーム中に含まれる干渉多原子または二重荷電イオンが優先的にイオン−電子再結合とそれによる解離とを生じ、その結果ビームから多量のそのようなイオンを除去できるような値である工程と、
    得られたビーム中のイオンの質量を質量分析により分析して試料の元素成分を決定する工程と
    を有する多原子または二重荷電イオン干渉を除去することを含む試料の元素質量分析方法。
  26. 試料の一部を原子化するプラズマを発生させ磁界を付与して電子母集団を形成することを含み、当該磁界は、プラズマからの電子を粒子ビームが通過する領域内に閉じ込めるように配置されておりかつそのような形状を有している、請求項25に記載の方法。
  27. 他のプラズマを発生させ、当該他のプラズマを前記領域に供給し、それによってプラズマ電子が電子母集団を形成する工程を含む、請求項26に記載の方法
  28. 電子発生装置で電子を生成し、生成電子を閉じ込めて電子母集団を形成する、請求項25に記載の方法。
  29. 生成電子を閉じ込めるように配置および形成される磁界を提供することを含む、請求項28に記載の方法。
  30. 電子数密度(ne)の範囲が>1011cm-3〜1014cm-3(1011cm-3より大きい)であり、遊離電子エネルギー(Ee)の範囲が>0.01eV〜<5eV(0.01eVより大きく、5eV未満)であり、圧力(P)<10Torr(10Torr未満)であり、前記通路長さの範囲が1〜4cmである、請求項25〜29にいずれかに記載の方法。
  31. 電子数密度が1012〜1014cm-3であり、遊離電子エネルギーが約1eVであり、圧力は10-3Torr未満である、請求項30に記載の方法。
  32. 電子数密度が1013〜1014cm-3である、請求項31に記載の方法。
  33. 前記通路長さが2〜4cmである、請求項30,31または32に記載の方法。
  34. 通路長さが3〜4cmである請求項33に記載の方法。
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