JP4163548B2 - 熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物、熱可塑性エラストマー組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物、柔軟な熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体に関し、特に、室温(23℃)での硬さが40A以下のジェル状(ゼリー状)組成物であって、容易に製造ができ、保湿性に優れ、オイルブリード感が少なく、ゼリー状でありながら独特のこしがあり、衝撃吸収性、制振性に優れ、かつそれらのバランスに優れる熱可塑性エラストマー組成物及びそれからなる制振材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン系樹脂組成物またはエチレン−プロピレン系樹脂組成物に軟化剤としてオイル、樹脂成分としてオレフィン系樹脂等を添加することにより所定の硬度を有する熱可塑性エラストマー樹脂組成物が得られており、オイルとしてパラフィンオイルがよく用いられている。しかし、オイル添加により、低硬度化は可能となるが、他の樹脂成分に比べて分子量の低いものが使用されるため、耐熱性、耐候性、機械強度、耐摩耗性等の低下が発生する。
【0003】
また、非常に軟らかい熱可塑性樹脂組成物、特にエラストマーと油剤成分を含むゲルエラストマーを得る場合には、従来の未架橋のオイルを使用すると、成形品表面にオイルブリードが発生するという問題があり、満足のいく熱可塑性樹脂組成物、特にゲルエラストマーを得ることができない。すなわち、一般に、熱可塑性樹脂組成物が吸収できるオイル量は、オイル量/熱可塑性樹脂組成物量=3倍強という上限があり、それ以上のオイルを添加した場合、オイルのブリードが発生する。さらに、熱可塑性樹脂組成物にオイルを配合する場合は、オイル以外の成分が固体であるのに対して、オイルは液状であるため、取り扱いが面倒となり、オイルを配合するためにポンプ等の専用設備が必要であるという問題があった。
【0004】
さらに、ゲルエラストマーとして、スチレン系熱可塑性エラストマー類、パラフィン類で構成される組成物が開示されているが(例えば、特許文献1参照。)、製造時、加熱溶解の際に高温が必要であるため、茶色に着色して成形する際すぐに固まってしまい、ハンドリング性が不十分で扱いずらく、さらにゲルの構成強度が十分でないためか、パラフィン類が染み出し油っぽく感じるという問題もあった。
【0005】
上記のような問題を解決するため、脂肪酸エステル類のイソプロピルミリスチレート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、イソノニルイソノナノエートを配合し、スチレン系熱可塑性エラストマー類の溶解温度を下げることにより透明性が増し、さっぱりした感触となる発明が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、色相改良の効果は十分に発揮されるものの、依然として、油性感が強く、特にフットケア用途などさらにさっぱりした感触を求められる分野では油っぽさの改良が不十分であった。
【0006】
このような油性感等を改良するため、脂肪酸エステル類の添加効果を検討し、エステル基を挟んで存在するアルキル基の大きさおよび、分枝の割合が、脂肪酸エステルの添加効果を左右するとし、スチレン系熱可塑性エラストマー類、パラフィン類、脂肪酸エステル(2−エチルへキシル酸セチル)で構成されるゲルエラストマー組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。さらに、衝撃吸収性能を付与したゲル状組成物として、トリブロック型スチレン系エラストマーを軟化剤に膨潤させたゲル状組成物(例えば、特許文献4参照。)、トリブロック型スチレン系エラストマーとジブロック型スチレン系エラストマーと軟化剤とからなるゲル状組成物(例えば、特許文献5及び6参照。)が提案されている。しかしながら、これらのゲル状組成物においても、耐オイルブリード性、衝撃吸収性、成形性のバランスが著しく劣っているという問題を有していた。
また、上記の先行技術に記載の組成物は、特に射出成形の際、冷却時間が異常に長く場合によっては25分程度要するものもあるのが現状であり、生産性に著しく劣るものであった。
【0007】
そこで、本発明者らは、柔軟性に富み、耐熱変形特性、機械的強度、耐油性および成形加工性に優れ、ベタツキのない超軟質組成物として、非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤、有機パーオキサイド 、架橋助剤、任意成分として熱可塑性樹脂を含む組成物(例えば、特許文献7参照。)やスチレン系熱可塑性エラストマー類、非芳香族炭化水素ゴム用軟化剤、ビニル芳香族系樹脂、水添石油樹脂、アクリル系加工助剤、有機パーオキサイドを含有する組成物(例えば、特許文献8参照。)を提案し、さらに、取り扱いが容易で、オイルブリードがなく、かつ優れた機械強度および耐摩耗性を有する熱可塑性ゲル状組成物として、非芳香族炭化水素ゴム用軟化剤、水添スチレン系熱可塑性エラストマー類、非晶質性ポリオレフィンを含有する熱可塑性ゲル状組成物(例えば、特許文献9参照。)を提案している。しかしながら、これらの組成物よりもさらに、成形加工性、衝撃吸収性に優れ、かつ、成形加工性と諸物性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物は得られていなかった。
また、ヘルスケア分野の床擦れ防止マットや工業用ダンパーとして使用する場合は、特に、衝撃吸収性や振動吸収性に優れる必要があり、単純に熱可塑性樹脂組成物にオイルを添加しただけでは充分な性能を有せず、さらに、従来のポリウレタン系ゲル、シリコーン系ゲル等では、その製造で複雑な工程を必要とし、さらに高価な材料を必要とするのが現状である。
つまり、従来のポリウレタン系ゲル、シリコーン系ゲル等では、非常にべとべとしたベール状でユーザーに供給され、ユーザーは目的の大きさに切ってポリエチレンやポリウレタンのフィルムに挟み、さらに金属等の枠や治具等にはめ込む非常に繁雑な作業を行う必要があった。また、枠にはめ込んだ場合、上記材料では制振性や衝撃吸収性(鉄球の跳ね返り距離等)の低下現象が問題となっていた。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第4369284号明細書
【特許文献2】
米国特許第5558872号明細書
【特許文献3】
特開2000−281850号公報
【特許文献4】
特開平8−73696号公報
【特許文献5】
特開2001−151979号公報
【特許文献6】
特開2001−151980号公報
【特許文献7】
特開2001−311012号公報
【特許文献8】
特開2000−34389号公報
【特許文献9】
特願2001−388697号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡単に製造できる柔軟な熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物、室温(23℃)では硬さ40A以下のジェル状(ゼリー状)組成物であって、容易に製造でき、成形も容易で、保湿性に優れ、オイルブリード感が少なく、独特の“こし”があり、衝撃吸収性、制振性(特に組成物(例えば、シート)を枠にはめたときの性能の低下が少なく)に優れ、加工性とのバランスに優れる熱可塑性エラストマー組成物及びそれからなる制振材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤のみの使用では、充分な流動性や成形加工性を発現させるレベルまで添加量を増やすと、軟化剤のブリードが顕著になり、組成物にはこしがなく、衝撃吸収性・制振性が悪く、さらに、スチレン系熱可塑性エラストマーでは流動性を形成するためにポリプロピレン系樹脂の配合が必要であり、それに伴う硬度の上昇を避けることが困難であったが、水添及び/又は部分水添ブロック共重合体や非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤と適度に相溶性がある油脂を適量添加することで柔軟性、衝撃吸収性、制振性、成形加工性、耐ブリードのバランスが改善できることがわかった。それらの結果に基づき、非芳香族系ゴム用軟化剤に特定量の水酸基含有有機カルボン酸を含有する熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物、及び該軟化剤に特定量の水添及び/又は部分水添ブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物は、組成物内でネットワークが形成されたゲル状となり、保湿性に優れ、オイルブリード感が少なく、衝撃吸収性、制振性に優れ、加工性とのバランスに優れる組成物になり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、
(a)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤100重量部、及び
(c)水酸基含有有機カルボン酸1〜50重量部
を含有することを特徴とする、芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体または共役ジエンブロック共重合体の水素添加物用軟化剤組成物が提供される(以下、該軟化剤用組成物を熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物と呼ぶこともある)。
【0012】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、成分(a)が、炭素数4〜155の直鎖状飽和炭化水素及び/又は分岐状飽和炭化水素の混合物であることを特徴とする熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物が提供される。
【0013】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、成分(a)が、室温(23℃)で液状であることを特徴とする熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物が提供される。
【0014】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成分(c)が12−ヒドロキシステアリン酸であることを特徴とする熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物が提供される。
【0015】
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明の熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物に、成分(a)100重量部に対して、
(b)芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体または共役ジエンブロック共重合体の水素添加物3〜110重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0016】
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、さらに、成分(a)100重量部に対して、(d)界面活性剤0.1〜30重量部を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0017】
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、成分(d)が、ノニオン、カチオンまたはアニオン系界面活性剤であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0018】
また、本発明の第8の発明によれば、第5〜7のいずれかの発明において、さらに、成分(a)100重量部に対して、(e)消泡剤0.1〜20重量部を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0019】
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、成分(e)が、脂肪酸エステル系、ウレア樹脂系、パラフィン系、シリコーン系、ポリオキシアルキレングリコール系消泡剤であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0020】
また、本発明の第10の発明によれば、第5〜9のいずれかの発明において、さらに、成分(a)100重量部に対して、(f)オレフィン系樹脂1〜30重量部を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0021】
また、本発明の第11の発明によれば、第5〜10のいずれかの発明において、さらに、成分(a)100重量部に対して、(g)有機過酸化物0.1〜10重量部を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0022】
また、本発明の第12の発明によれば、第5〜11のいずれかの発明において、さらに、成分(a)100重量部に対して、(h)エステル系架橋助剤0.1〜20重量部を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0023】
また、本発明の第13の発明によれば、第5〜12のいずれかの発明において、室温(23℃)での硬さが40A以下のジェル状組成物であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0024】
また、本発明の第14の発明によれば、第5〜13のいずれかの発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いて成形したことを特徴とする制振材が提供される。
【0025】
【発明の実施の形態】
1.熱可塑性エラストマー組成物の構成成分
(a)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤(a)は、非芳香族系の鉱物油又は液状、若しくは、低分子量の合成軟化剤が挙げられる。一般にゴム用鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖を組み合わせた混合物であって、飽和炭化水素鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%を占めるものをナフテン系、芳香族炭素数が30%以上を占めるものを芳香族系と呼び区別されている。本発明で用いられるゴム用鉱物油軟化剤は、上記のパラフィン系及びナフテン系が好ましい。芳香族系の軟化剤は、分散性が悪く好ましくない。
非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤として、パラフィン系の鉱物油軟化剤が特に好ましく、パラフィン系のなかでも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
【0026】
パラフィン系軟化剤を構成している化合物としては、例えば、炭素数4〜155のパラフィン系化合物、好ましくは炭素数4〜50のパラフィン系化合物が挙げられ、具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサコンタン、ヘプタコンタン等のn−パラフィン(直鎖状飽和炭化水素)、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、ネオヘキサン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、イソノナン、2−メチルノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、イソエイコサン、4−エチル−5−メチルオクタン等のイソパラフィン(分岐状飽和炭化水素)及び、これらの飽和炭化水素の誘導体等を挙げることができる。これらのパラフィンは、混合物で用いられ、室温(23℃)で液状であるものが好ましい。
【0027】
室温(23℃)で液状であるパラフィン系軟化剤の市販品としては、日本油脂株式会社製のNAソルベント(イソパラフィン系炭化水素油)、出光興産株式会社製のPW−90(n−パラフィン系プロセスオイル)、出光石油化学株式会社製のIP−ソルベント2835(合成イソパラフィン系炭化水素、99.8wt%以上のイソパラフィン)、三光化学工業株式会社製のネオチオゾール(n−パラフィン系プロセスオイル)等が挙げられる。
【0028】
また、非芳香族系炭化水素軟化剤には、少量の不飽和炭化水素及びこれらの誘導体が共存していても良い。不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のエチレン系炭化水素、アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン等のアセチレン系炭化水素を挙げることができる。
【0029】
また、本発明で用いる成分(a)の比重は、0.72〜0.87が好ましく、より好ましくは0.80〜0.84である。比重が0.72未満であると揮発成分が多くなり、さらに機械特性が低下する。また、0.87を超えると成分(b)との相溶性が低下し、さらに成形性が悪化する。
【0030】
(b)水添及び/又は部分水添ブロック共重合体
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる水添及び/又は部分水添ブロック共重合体(b)は、柔軟性を調整するために用いられる。
水添ブロック共重合体としては、芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体または共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を挙げることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いることのできる芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体成分は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる重合体である。例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体を水素添加して得られるものである。
【0031】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、芳香族ビニル化合物のみからなる重合体か、芳香族ビニル化合物と50重量%未満の共役ジエン化合物との共重合体であってもよい。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のみからなる重合体か、共役ジエン化合物と50重量%未満の芳香族ビニル化合物の共重合体であってもよい。
【0032】
水添ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
【0033】
芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック重合体成分は、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、その水素添加率は任意であるが、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。また、そのミクロ構造は、任意であり、例えば、ブロックBがブタジエン単独で構成される場合、ポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。また、1,2−結合を選択的に水素添加した物であっても良い。ブロックBがイソプレンとブタジエンの混合物から構成される場合、1,2−ミクロ構造が好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満、より更に好ましくは15%未満である。
【0034】
ブロックBがイソプレン単独で構成される場合、ポリイソプレンブロックにおいてはイソプレンの好ましくは70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する脂肪族二重結合の好ましくは少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0035】
用途により水素添加したブロック共重合体を使用する場合には、好ましくは上記水添物を用途に合わせて適宜使用することが出来る。
【0036】
また、重合体ブロックAは、成分全体の5〜70重量%の割合で存在するのが好ましい。さらに、成分全体の重量平均分子量は、500,000以下が好ましく、さらに好ましくは180,000〜350,000である。重量平均分子量が500,000を超えると、成形加工性と機械特性が悪化する。
また、成形性を重視する場合は上記成分に加え、重量平均分子量は、50,000〜150,000のものを併用することができる。重量平均分子量が50,000以下では機械特性が悪化し、オイルブリードが顕著になる。
【0037】
水添ブロック重合体成分の具体例としては、スチレン−エチレン・ブタジエン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)等を挙げることができる。
【0038】
これらの芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られるブロック共重合体の製造方法としては、数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。こうしたブロック共重合体の水素添加処理は、公知の方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に行うことができる。
【0039】
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いることのできる共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としては、例えば、ブタジエンのブロック共重合体を水素添加して得られる結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)等が挙げられる。本発明においては、共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、共役ジエンブロック共重合体の水素添加物の重量平均分子量は、150,000以下であり、好ましくは30,000〜120,000である。重量平均分子量が150,000を超えると、成形性が悪化する。
【0040】
成分(b)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、3〜110重量部であり、好ましくは5〜70重量部である。成分(b)の量が3重量部未満であると熱可塑性エラストマー組成物からオイルブリードが顕著になり、成形加工性が悪化し、110重量部を超えると、熱可塑性エラストマー組成物の硬さが硬くなり、また、衝撃吸収性が悪化する。
【0041】
(c)水酸基含有有機カルボン酸
本発明の熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物、熱可塑性エラストマー組成物で用いる水酸基含有有機カルボン酸(c)は、成分(a)中に分散し軽いネットワーク構造を形成し、さらに、成分(a)と成分(b)とをより強固に結びつけるようにネットワーク構造を形成し組成物の粘性を改良すると共に、硬度の調整に効果を有する機能を果たすものである、
すなわち、従来スチレン系熱可塑性エラストマーでは流動層を形成するためにポリプロピレン等の結晶性樹脂を配合する必要があり、添加による硬度の上昇はさけることができなかった。しかし、本発明の成分(c)は、成分(a)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤と混合し加熱、冷却すると成分(a)中に成分(c)がネットワークを形成し、組成物の硬度を上げることなく、ゲル状(ゼリー状)となる。したがって、成分(c)は、スチレン系熱可塑性エラストマーの流動性改良効果と柔軟性付与効果、組成物に独特のこしを持たせることによる制振機能発現効果、衝撃吸収性を併せ持ち、さらには従来技術でエラストマーの軟化の手段における多量の非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤のブリード問題を解決するという重要な特徴を有する。
【0042】
成分(c)は、カルボキシル基と水酸基とを有する化合物であれば特に限定されるものではなく、飽和脂肪族、不飽和脂肪族または芳香族の水酸基含有有機カルボン酸があるが、炭素数10〜30の水酸基含有脂肪酸が好ましく、特に非極性溶剤の温溶液を冷却した際に弱いゲルを形成する点で炭素数10〜30の水酸基含有飽和脂肪酸が好ましい。
【0043】
炭素数10〜30の脂肪族水酸基含有カルボン酸としては、α−ヒドロキシミリスチン酸、α−ヒドロキシパルミチン酸、α−ヒドロキシステアリン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキシテトラエイコサン酸、α−ヒドロキシヘキサエイコサン酸、α−ヒドロキシオクタエイコサン酸、α−ヒドロキシトリアコンタン酸、β−ヒドロキシミリスチン酸、10−ヒドロキシデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等が挙げられる。
【0044】
また、他の脂肪族水酸基含有カルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、δ−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシドトリアコンタン酸、α−ヒドロキシテトラトリアコンタン酸、α−ヒドロキシヘキサトリアコンタン酸、α−ヒドロキシオクタトリアコンタン酸、α−ヒドロキシテトラコンタン酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。また、芳香族オキシカルボン酸としては、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸、トロバ酸、サビニン酸、イプロール酸、ヤラピノール酸、ユニペリン酸、アンブレットール酸、アリューリット酸、カムロレン酸、フェロン酸、セレブロン酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸、2−ヒドロキシミリスチン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、2−ヒドロキシステアリン酸、18−ヒドロキシステアリン酸、9,10−ジヒドロキシステアリン酸、リカン酸が挙げられる。これらの中では、12−ヒドロキシステアリン酸が特に好ましい。
【0045】
上記水酸基含有有機カルボン酸の中でも水酸基含有脂肪酸は、油脂を加水分解して得られるが、加水分解率を高めるため工業的には様々な方法が開発されている。例えば、ツイッチェル法、中圧触媒加水分解法、連続高圧加水分解法、酵素加水分解法、ケン化加水分解法等が挙げられる。中でもひまし油から脂肪酸を得る際には、ケン化加水分解法が水酸基と高温下で遊離したカルボキシル基とが反応して分子間で再エステル化するのを防止できる意味合いがあり好ましい。
また不飽和水酸基含有脂肪酸の水素添加は、主にニッケル触媒を使用し行われるがその行程は油脂を加水分解して得た脂肪酸に行う他、加水分解する前の油脂そのものに対して行われることもある。
油脂から得られる脂肪酸は各種脂肪酸の混合物であるため利用に際して、混合脂肪酸の中から高純度の単一組成の脂肪酸を分離することが多い。この分別の代表低方法は、分別蒸留、分別結晶(無溶剤法、溶剤法、乳化分別法)、液−液抽出が挙げられる。
【0046】
本発明で好ましく用いる12−ヒドロキシステアリン酸は、リシノール酸を水素添加したものであって、12位の炭素に不斉水酸基を有する飽和脂肪酸であり、ヒマシ油を水素添加して得られる水添ヒマシ油を加水分解することにより製造され、また、ヒマシ油を加水分解することにより得られるヒマシ油脂肪酸に水素添加することによっても得られる。これらは、市販品を利用出来る。
【0047】
成分(c)の配合量は、成分(b)100重量部に対して、1〜50重量部であり、好ましくは3〜20重量部である。配合量が1重量部未満では、衝撃吸収性が悪化し、配合量が50重量部を超えると、成形加工性が悪化すると同時にオイルブリードが顕著になる。また、衝撃吸収性が悪化する。
【0048】
(d)界面活性剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、(d)界面活性剤を含有することができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、任意成分である成分(d)界面活性剤は得られる組成物において表面の感触のベトツキを抑えて、すべすべとしたものとできる。成分(d)としては、ノニオン系、カチオン系またはアニオン系界面活性剤のいずれの界面活性剤であってもよい。中でも、ノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型のノニオン系界面活性剤が挙げられる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリオキシエチレングリコールモノステアレート等のポリオキシエチレンアシルエステル類;ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル類;アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル類;セルロースエーテル類等が使用される。
その中でも、アルキルおよびアルキルアリルポリオキシエチレンエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシプロピレンを親基油とするブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル等のエーテル型ノニオン系界面活性剤が好ましく、これらは、単独でも、2種以上を併用して用いても良い。
【0049】
本発明の組成物に用いる界面活性剤のHLB(親水基と親油基とのバランス)は、7〜13であることが好ましく、より好ましくは8〜11である。HLBが13を超えると、親油性が低下し、タック性やベタツキ性が発現し、一方、3未満であると添加効果がなく、やはりタック性やベタツキ性が発現する。
【0050】
なお、HLB価を化学構造から算出する方法には種々のものがあるが、それらのうち、本発明に用いるHLB価の計算式と、その計算式に用いる代表的な親水基と親油基の基数を下記式(1)及び下記表1に示す。
HLB=7+S(親水基の基数)+S(親油基の基数)・・・(1)
【0051】
【表1】
【0052】
成分(d)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、0.1〜30重量部であり、好ましくは1〜20重量部である。配合量が30重量部を超えるとブリードアウトが顕著になりベタツキが発生する。
【0053】
(e)消泡剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、(e)消泡剤を配合することができる。成分(e)は、熱可塑性エラストマー組成物に添加することにより、熱可塑性エラストマー組成物の混和性向上と消泡機能を有する。そのため、当該成分を含むことにより、成形性が極めて良好となる。
【0054】
成分(e)としては、シリコーン系化合物、非シリコーン系化合物の何れでも良く、以下の化合物が挙げられる。
シリコーン系化合物としては、HLBが1以上、4未満のポリシロキサン共重合物等が挙げられる。
非シリコーン系化合物化合物としては、脂肪酸エステル系化合物、ウレア樹脂系化合物、HLBが1以上、4未満のパラフィン系化合物、ポリオキシアルキレングリコール系化合物、アクリルエステル共重合物、エステル系重合物、エーテル系重合物、ミネラルオイルの乳化タイプ、ポリシロキサンアダクト、フッ素系化合物、ビニル系重合物、アセチレンアルコール、アクリル系ポリマー、特殊ビニル系ポリマー、エチレングリコール、高級アルコール(オクチルアルコール、シクロヘキサノール等)、HLB値は1以上、4未満、好ましくは2以上、4未満の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
これらの中では、脂肪酸エステル系化合物、ウレア樹脂系化合物、HLBが1以上、4未満のパラフィン系化合物、ポリオキシアルキレングリコール系化合物、HLBが1以上、4未満のシリコーン系化合物等が好ましく、これらは、単独でも、2種以上を併用して用いても良い。
【0055】
成分(e)の配合量は、添加する場合は、成分(a)100重量部に対して、0.1〜20重量部であり、好ましくは1〜10重量部である。配合量が20重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物からの成形品表面外観が悪化する。
【0056】
なお、上記成分(d)及び(e)で重複する化合物名のものは、以下の基準でHLBにより区別することが可能である。
重複成分の内、成分(d)に属するものは、HLBが7〜13であり、成分(e)に属するものは、HLBが1以上、4未満である。
【0057】
(f)オレフィン系樹脂
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、(f)オレフィン系樹脂を配合することができる。
成分(f)としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体、その2種以上の共重合体、あるいはα−オレフィンと他の重合性単量体との共重合体、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体(エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等)等が挙げられ、単独でも、2種類以上を併用して用いることができる。その他、オレフィン系樹脂として共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(例えば、CEBC:オレフィン結晶ブロック−エチレン・ブテンランダムのブロック−オレフィン結晶ブロック)が挙げられる。これらの中では、エチレンの単独重合体、エチレンと他のα−オレフィンの共重合体が好ましく、特に、シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体を主成分とする低温下での耐衝撃性等が改良されたエラストマータイプのエチレン系共重合体が好ましい。
【0058】
成分(f)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは3〜15重量部である。配合量が30重量部を超えると、室温(23℃)でのゲル状態(ゼリー状態)、成形性が悪化する。
【0059】
(g)有機過酸化物
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、(g)有機過酸化物を用いることができる。成分(g)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成分(b)を架橋することにより耐油性を向上することができ、室温では塑性変形しにくくなり、高温でのオイルブリードを改善する効果を有する。
【0060】
成分(g)としては、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、m−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、琥珀酸パーオキサイド、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイル及びベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイドなどを挙げることができる。
【0061】
これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1分半減期温度147℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン(1分半減期温度179℃)および2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(1分半減期温度194℃)等が好ましい。本発明の組成物の場合は、1分半減期温度が165℃以下の低温分解型の有機過酸化物を使用しても良い。
【0062】
成分(g)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは0.2〜5重量部である。配合量が10重量部を超えると有機過酸化物による分解反応が優先され、臭気も激しくなり、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形型加工性に劣る。
【0063】
(h)エステル系架橋助剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、(h)エステル系架橋助剤を配合することができる。成分(h)は、上記の有機過酸化物成分(g)による架橋処理に際して、均一かつ効率的な架橋反応を行わせる効果を有する。成分(h)としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールの繰り返し単位数が9〜14のポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートのような多官能性メタクリレート化合物、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレートのような多官能性アクリレート化合物、ビニルブチラート、ビニルステアレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレートのような多官能性ビニル化合物を挙げることができる。これらは、単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いても良い。このような化合物により、均一かつ効率的な架橋反応が期待できる。
【0064】
上記の架橋助剤のうち、多官能性メタクリレート化合物および多官能性アクリレート化合物が好ましく、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートが特に好ましく、特に、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレートを用いると透明性が低下しにくい。
【0065】
成分(h)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、0.1〜20重量部であり、好ましくは0.5〜10重量部である。配合量が20重量部を超えると組成物の架橋が進みすぎて架橋助剤が部分的に分散せず、製造出来るものの外観が悪くなる。
【0066】
(i)その他の成分
なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、本発明の目的を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、アルミナ等の無機充填剤、発泡剤(有機系、無機系、マイクロカプセル系)難燃剤(水和金属化合物、赤燐、ポリりん酸アンモニウム、アンチモン、シリコーン)などを配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。
また、発泡剤(化学発泡、マイクロカプセル)としては、(a)100重量部に対して、0.01〜3重量部の範囲で添加し、成形品を軽量化することも可能であり、発泡剤としては、塩化ビニリデン・アクリロニトリルコポリマーを外殻とし、低沸点炭化水素(例えば、イソブタン)を内包した熱膨張性マイクロカプセルであるエクスパンセル(エクスパンセル社製)、あるいはマツモトマイクロスフィアー(松本油脂製薬社製)が好ましい。
【0067】
2.熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物、熱可塑性エラストマー組成物の製造
本発明の熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物は、成分(a)、(c)、および、必要に応じてその他の成分を配合し、室温で、混合装置にて混合して簡単に得ることができる。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(a)〜(c)、および、必要に応じてその他の成分を配合し、150〜180℃の混練温度で、混練装置にて溶融混練または溶融混合して得ることができる。
さらにまた、簡易的には本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(a)〜(c)、および、必要に応じてその他の成分を配合し、100〜180℃で、混合装置または混練装置にて混合し、スープ状またはシャーベット状になった組成物を目的の型に流し込み冷却するか、もしくは冷却で得られたブロックを100〜180℃でプレス成形を行うこと等により直接目的の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体を得ることもできる。
【0068】
本発明で使用する混練装置としては、オートクレーブ、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機、多軸押出機等を使用することが出来る。好ましくは、加圧ニーダー、バンバリー等のバッチ式混練装置で混練する方法が良い。連続的に行う場合には、バッチ式混練装置と押出機とが組み合わされた、例えば、加圧ニーダーと押出機が組合わさった装置(バッチ供給型連続押出装置)で混練する方法が良い。
【0069】
本発明の熱可塑性エラストマー用軟化剤組成物及び熱可塑性エラストマー組成物は、上記の様に特定量を混合するだけで得られ、ウレタン系ゲルやシリコーン系ゲル、スチレン系エラストマーのみのゲルの製造におけるある種の反応を伴う必要のない簡単な方法で得ることができる。
【0070】
3.熱可塑性エラストマー組成物
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、室温(23℃)での硬さは、好ましくは40A以下、より好ましくは10A以下であって、ジェル状(ゼリー状)で存在する。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、保湿性に優れ、オイルブリード感が少なく、衝撃吸収性、制振性に優れる組成物であるので、様々な用途において使用可能である。
したがって、このようなゲル状の組成物を用いて下記に述べるような具体的な成形体の製造に当たっては、より簡単に、例えば、従来公知の成形方法の中でも設備をそれほど必要としない、特に注型成形、プレス成形等で容易に成形できるところに特徴がある。
【0071】
具体的な用途としては、例えば、防振用(ボルト付き)インシュレーター、ボルト貫通ブッシュ、(凹凸)防振シート、テープ、シール、チップ状等の防振部材、鞄の緩衝材(例えばランドセルの肩掛け部、手提げ部等)、パソコン用アームレストやリストレスト(マウスパットにも応用)、紙送りローラ、オーディオ関係部材(ターンテーブル、インシュレーター、スぺーサー等)、ケース用防振ゴム足、靴エステ用人形の顔(皮膚等)、テニスラケット、断熱用シート、電柱保護用等の防水シート、床ずれ防止マット等、フィルムシーリング品(例えば老人大腿部骨折防止ヒッププロテクター、術後の身体形状補助材、ライダー用スーツ、グローブ(サッカーのキーパー、ゴルフ、スキー、ライダー用)、ライフルジャケット(例えば肩パット)、スポーツシューズ、ベッド、高温高圧成形機クッション(セラミック成形等)、熱伝導ゲルシート(例えば、放熱用CPUコア外周用等)、ゲーム機の制振パット、ヘルスケア関係、自動車部材(ウインドーパッキンの緩衝材等)、自動車ドアの衝撃吸収材(側面等)、靴の中敷き、靴にあたると痛い外反母趾や巻き爪等による痛みを緩和するためのフットケア用衝撃吸収剤、バンパーやヘルメットの衝撃吸収剤、ベット、マットレス、枕、クッション、座布団などの雑貨、寝具類としての衝撃吸収剤、肘あて、膝あて、鞍による馬の背中の鞍ずれ防止、スキー靴、トゥ・シューズ、バレエシューズ、グローブのようなスポーツ関係の衝撃吸収剤、荷物の輸送での衝撃吸収剤、骨折、怪我や傷を守り、義足と皮膚がこすれないための医療用衝撃吸収剤、乳がん等で***を切り取った人、水着や豊胸用の胸パット、魚つり用等の疑似餌、また、机や椅子、パソコン、本棚、床等の生活用品の埃やゴミを吸着する掃除用品、さらに油剤の徐放性を利用してパック等の化粧品や湿布、芳香剤等に応用が可能である。中でも、型にはめ込んだときに、特に振動吸収特性の低下が少ないため、制振を必要とする用途、特に、防振シート、テープ、シール、チップ状等の防振部材、ゲーム機の制振パット、床ずれ防止マット、スポーツシューズ、ベッド等の制振材への応用が好ましい。
【0072】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例における評価方法及び使用した材料を以下に示す。
【0073】
1.熱可塑性エラストマー組成物の評価方法
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、180℃、予熱2分/加圧2分、圧力50kg/cm2の熱プレスで得られた130×160×2mm厚のシートを用いて測定を行なった。
(2)硬さ:JIS K 6253に準拠して測定した。180℃、予熱2分/加圧2分、圧力50kg/cm2の熱プレスで得られた130×160×2mm厚のシートを重ね合わせて4mm厚以上にして測定を行った。
なお、A硬度測定範囲外の柔らかいサンプルの測定値は0で表した。
(3)オイルブリード:180℃、予熱2分/加圧2分、圧力50kg/cm2の熱プレスで得られた130×160×2mm厚のシートをクラフト紙に挟んで、直径70mm円盤状の500gの重りをのせ、室温(23℃)で168時間放置後のクラフト紙の状態を目視で観察し、次の基準で評価した。
◎:クラフト紙にオイルブリードの痕跡が認められない
○:クラフト紙にかすかにオイルブリードの痕跡が認められる
×:クラフト紙にオイルブリードの痕跡が認められる
(4)プレス成形性:180℃、予熱2分/加圧2分、圧力50kg/cm2の熱プレスで得られた130×160×5mm厚のシートを作成し、表面外観や形状を観察し、次の基準で評価した。
◎:表面は平滑で、気泡もない
○:表面の平滑でも、気泡の存在が認められる
△:表面の平滑でないが、気泡はない
×:表面は平滑でなく、気泡も存在する
(5)衝撃吸収性:上記(4)で得られたシートに30cmの高さからパチンコ玉を自然落下させ、撥ね具合を目視で観察し、次の基準で評価した。
○:全く跳ねない
△:シート上で1回だけ跳ねる
×:2回以上跳ねるか、シート外に飛び出す
(6)衝撃吸収性:上記(4)で得られたシートを200×200×5mmに切ったうえ、金属の枠にはめ込んだ部品を作成し、30cmの高さからパチンコ玉を自然落下させ、撥ね具合を目視で観察し、次の基準で評価した。
なお、αゲルシートは、2mm厚と3mm厚を重ねて使用した。
○:全く跳ねない
△:シート上で1回だけ跳ねる
×:2回以上跳ねるか、シート外に飛び出す
(7)体積膨潤率(%):JIS K 6258に準拠し、上記(1)で取り出した製品を使用し、70℃×72時間、IRM#902浸漬後の膨潤率を測定した。
【0074】
2.材料
(a)非芳香族系ゴム用軟化剤成分:NAソルベント NAS−5H (日本油脂(株)製)比重:0.823、種類:イソパラフィン系炭化水素油、粘度(40℃):11.0cSt、引火点:146℃
(b−1)水添ブロック共重合体成分: セプトン4077(SEPS−1)(商標;クラレ株式会社製)、スチレン含有量30重量%、数平均分子量260,000、重量平均分子量320,000、分子量分布1.23、水素添加率90%以上
(b−2)水添ブロック共重合体成分: セプトン4033(SEPS−2)(商標;クラレ株式会社製)、スチレン含有量30重量%、数平均分子量130,000、重量平均分子量100,000、分子量分布1.30、水素添加率90%以上
(c−1)水添ヒマシ油変性物成分:12−ヒドロキシステアリン酸(ヒマシ硬化油のケン化分解物:伊藤製油(株)製)融点:75〜78℃、中和価:175〜185mgKOH/g、けん化価:180〜190mgKOH/g、ヨウ素価:3以下gI2/100g、水酸基価:153〜163mgKOH/g
(c−2)ブチルステアレート:日本油脂製、プラスチック用滑剤、HLB=5.5(比較成分)
(c−3)2−エチルヘキサン酸セチル:エキセパールHO(花王製)ヨウ素価1以下、水酸基価3以下、HLB=6(比較成分)
(d)界面活性剤成分:ノニオン E−205S(日本油脂社製)、ポリエチレングリコール オレイルエーテル、HLB:9.0、pH:5〜8、比重:0.93、引火点:228℃
(e)消泡剤成分:ディスホームBF−75(ポリアルキレングリコール(商標;日本油脂(株)製)、動粘度(40℃):40mm2/s、pH:7.0〜10.0、比重:0.91、引火点:186℃、HLB=3
(f)オレフィン系樹脂成分::PE、Engage EG8401(Dupont Dow Elastomer社製)比重:0.885、硬さ:85(ShoreA)、ムーニー粘度ML1+4(121℃):5以下、重量平均分子量:100,000
(g)有機過酸化物成分:パーヘキサTMH(1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン)(商標;日本油脂株式会社製)、活性酸素量:7.52%、分子量:358.57、1分間半減期を得るための分解温度:147.1℃
(h)エステル系架橋助剤成分:CHD−4E(エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート;新中村化学株式会社製)粘度:50mPa・s、比重:1.062、分子量:636
(i)ヒンダードフェノール/フォスファイト/ラクトン系複合酸化防止剤(Antioxidant):HP2215(商標;チバスペシャリティケミカルズ社製)
【0075】
実施例1〜4、比較例1〜9
表2に示す成分比で、成分(a)〜(i)を加えて、ミキサーまたはオートクレーブにて、混練温度180℃で混錬を行い熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた組成物の物性を測定した。その結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
表2から明らかなように、本発明の熱可塑性エラストマー組成物である実施例1〜4の組成物は、いずれも良好な結果を示した。
一方、比較例1と2は、成分(b)を範囲外にしたものである。成分(b)が少ないと、ベタツキが顕著になり、プレス成形性が悪化する。成分(b)が多いと、硬さが硬くなりすぎてジェル状(ゼリー状)でなくなり衝撃吸収性が悪化する。
比較例3と4は、成分(c)を範囲外にしたものである。成分(c)が少ないと衝撃吸収性が悪化し、成分(c)が多いと、オイルブリード性、プレス成形性、衝撃吸収性が悪化する。
比較例5〜8は、成分(c)水酸基含有有機カルボン酸の代わりに一般にプラスチック用滑剤として使われるブチルステアレート、2−エチルヘキサン酸セチルを用いたものである。ブチルステアレート、2−エチルヘキサン酸セチルを用いると、ベタツキが顕著になり、オイルブリードが悪化し、衝撃吸収性が悪化する。
比較例9は、株式会社ジェルテックのαゲルシートの衝撃吸収試験であるが、金属の枠にシートをはめ込むと衝撃吸収効果が低下した。
【0078】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、室温(23℃)での硬さは、好ましくは40A以下でジェル状(ゼリー状)で存在し、保湿性に優れ、オイルブリード感が少なく、制振性に優れる組成物であるので、制振を必要とする用途、特に、防振シート、テープ、シール、チップ状等の防振部材、ゲーム機の制振パット等の制振材として好適に用いることができる。
Claims (14)
- (a)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤100重量部、及び
(c)水酸基含有有機カルボン酸1〜50重量部
を含有することを特徴とする、芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体または共役ジエンブロック共重合体の水素添加物用軟化剤組成物。 - 成分(a)が、炭素数4〜155の直鎖状飽和炭化水素及び/又は分岐状飽和炭化水素の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の軟化剤組成物。
- 成分(a)が、室温で液状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟化剤組成物。
- 成分(c)が12−ヒドロキシステアリン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軟化剤組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の軟化剤組成物に、成分(a)100重量部に対して、
(b)芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体または共役ジエンブロック共重合体の水素添加物3〜110重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。 - さらに、成分(a)100重量部に対して、(d)界面活性剤0.1〜30重量部を含有することを特徴とする請求項5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 成分(d)が、ノニオン、カチオンまたはアニオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- さらに、成分(a)100重量部に対して、(e)消泡剤0.1〜20重量部を含有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 成分(e)が、脂肪酸エステル系、ウレア樹脂系、パラフィン系、シリコーン系、ポリオキシアルキレングリコール系消泡剤であることを特徴とする請求項8に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- さらに、成分(a)100重量部に対して、(f)オレフィン系樹脂1〜30重量部を含有することを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- さらに、成分(a)100重量部に対して、(g)有機過酸化物0.1〜10重量部を含有することを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- さらに、成分(a)100重量部に対して、(h)エステル系架橋助剤0.1〜20重量部を含有することを特徴とする請求項5〜11のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 室温(23℃)での硬さが40A以下のジェル状(ゼリー状)組成物であることを特徴とする請求項5〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項5〜13のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を用いて成形したことを特徴とする制振材。
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