JP4163437B2 - プラズマ処理装置用誘電体窓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体等の薄膜回路や電子部品の製造に利用されるドライエッチング装置やプラズマCVD装置などのプラズマ処理装置用誘電体窓及びプラズマ処理装置用誘電体窓の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体等の薄膜回路や電子部品の製造に利用されるプラズマ処理装置の1つとして、真空容器の外部に位置するコイル又は電極又は導波管に高周波電力を印加することによって真空容器の隔壁の一部をなす誘電体窓を介して真空容器内にプラズマを発生させる高周波誘導方式のプラズマ処理装置がある。
【0003】
高周波誘導方式のプラズマ処理装置の一例としてプラズマ処理装置200を図11に示す。
【0004】
図11に示すように、プラズマ処理装置200は、略中空円柱形状の真空容器201と、真空容器201の上部における開口部を塞ぐように備えられた円盤状の石英ガラス製の誘電体窓205とを備えており、真空容器201と誘電体窓205とで密閉された空間でありかつプラズマ処理が行われる処理室240が形成されている。また、真空容器201の外側側面には、真空容器201内に所定の反応ガスの供給を行う反応ガス供給装置202と、真空容器201内(処理室240内)の空気若しくは反応ガスの排気を行う排気装置の一例である真空ポンプ203が備えられている。また、誘電体窓205の上方近傍にはコイル206が配置されており、コイル206に高周波電力を印加するコイル用高周波電源204と整合器210とが真空容器201の外側に備えられている。また、真空容器201内における底面中央付近には、基板電極207が備えられており、この基板電極207に高周波電力を印加する基板電極用高周波電源209と整合回路230とが真空容器201の外側に備えられている。また、プラズマ処理装置200によりプラズマ処理が施される基板208が、真空容器201内の基板電極207の上に載置されている。
【0005】
また、真空容器201の側壁内部には、冷温媒流路215が形成されており、サーキュレータ216により温度制御された水が冷温媒流路215内に流される。また、基板電極207にも冷温媒流路218が形成されており、別のサーキュレータ217により温度制御された水が冷温媒流路218内に流される。
【0006】
このような構成のプラズマ処理装置200により基板208に対してドライエッチングやプラズマCVD等のプラズマ処理を行う方法について説明する。
【0007】
まず、図11において、真空容器201内に反応ガス供給装置202より所定の反応ガスを導入しつつ、真空ポンプ203で真空容器201内の空気の排気を行い、真空容器201内を所定の反応ガスで満たすとともに所定の圧力に保つ。その後、コイル用高周波電源204により13.56MHzの高周波電力をコイル206に印加する。これにより、真空容器201内、すなわち処理室240内にプラズマを発生させることができ、上記プラズマにより基板電極207上に載置された基板208に対してエッチング、堆積、又は表面改質等のプラズマ処理を行うことができる。このとき、基板電極207にも基板電極用高周波電源209により高周波電力を印加することで、基板208に到達するイオンエネルギーを制御することができる。また、真空容器201の側壁内部における冷温媒流路215に温度制御された水が流されることにより、プラズマ処理装置200におけるプラズマ処理中及びプラズマ処理待機中(すなわち、プラズマ非処理時)において、基板電極207の内部の冷温媒流路に別のサーキュレータ217により温度制御された水が流されることにより、基板電極207の温度が一定に保たれている。基板電極207の温度の一定保持は、処理室240内のプラズマの熱照射や反応ガスからの伝熱や基板208に入射するイオンエネルギーによって基板208の温度の上昇を抑制することができる。
【0008】
また、真空容器201内の冷温媒流路215にサーキュレータ216により、温度制御された水が流されることにより、プラズマ処理中における処理室240内のプラズマの熱放射、反応ガスからの伝熱、及びアース電位とされている真空容器201の壁面に入射されるイオンエネルギーによる上記壁面の温度の上昇を抑制することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示した方式では、誘電体窓205の下面(すなわち真空側の面)に反応生成物が多量に堆積するために、真空容器201内におけるダストの発生や、プラズマ処理装置200のメンテナンス間隔が短くなるという問題点がある。また、上記誘電体窓205への反応生成物の堆積により、真空容器201内の雰囲気が安定せず、プラズマ処理の再現性に乏しいという問題点がある。このような問題点について以下に詳述する。
【0010】
プラズマ処理を重ねていくにつれて上記の堆積膜は膜厚を増していくが、堆積膜がある膜厚を越えると膜応力によりはがれが生じ、真空容器201内においてダストとなって基板208上に降ってくる。図11のプラズマ処理装置200における方式では、少数の基板208をプラズマ処理しただけでダストが発生する場合があるため、処理室240を大気開放して誘電体窓205を純水あるいはエタノール等で洗浄(メンテナンス)する頻度が高くなるという問題点がある。
【0011】
また、プラズマ処理を重ねていくと、上述した堆積膜の膜厚が変化するため、反応ガスの吸着率が変化し、真空容器201内の雰囲気、すなわち反応ガスの分圧が変化し、プラズマ処理の再現性が悪化する。また、プラズマ処理中に誘電体窓205に衝突する高エネルギーイオンによる加熱で誘電体窓205の温度が変動することも反応ガスの吸着率の変化を引き起こす原因となっている。
【0012】
上記の問題は、連続処理時間が著しく長い場合や、コイル206に印加する高周波電力が大きい場合に、著しく生じる。誘電体窓205の過昇温が起き、この誘電体窓205と堆積物との熱膨張率の差によって、誘電体窓205に堆積された薄膜の膜応力が高まって上記薄膜の剥がれが発生し、処理室240内においてダストが発生するという問題がある。
【0013】
上記の夫々の問題を解決するためには、誘電体窓205中にも冷温媒の流路を設けて、温度制御された上記冷温媒を上記流路内に流して、誘電体窓205の温度制御を行うことが考えられる。しかしながら、このような方法により誘電体窓205の温度制御を行うことは以下に説明する問題があり、従来困難と考えられ実現していなかった。
【0014】
すなわち、真空容器201の上面の略全体に形成された開口部を塞いで真空容器201を密閉する略円板形状の誘電体窓205は、処理室240の真空引き時に繰り返し大気圧力を受けて、大きな曲げ応力を受けることとなる。このような誘電体窓205の内部に上記流路を形成した場合にあっては、上記流路に流す冷温媒の圧力による力をさらに誘電体窓205は受けることとなるとともに、さらに加えて処理室240内外の温度差による温度歪みが発生し、誘電体窓205は上記温度歪みによる熱応力を受けることとなり、このような夫々の力(若しくは応力)に耐え得てかつその内部に上記流路を有する略円盤形状の誘電体窓205の構造及びその製造方法が無いという問題点がある。
【0015】
また、誘電体窓205は、処理室240外部で励起された電磁界を処理室240内部に伝達する必要があるが、誘電体窓205の内部に流路を設けた場合にあっては、上記流路内に流される冷温媒が上記電磁界の伝達を著しく阻害するものと考えられているという問題点がある。
【0016】
また、誘電体窓205はその処理室240側の表面が、処理室240内において発生される反応ガスのプラズマによりスパッタリングを受けることとなるため、誘電体窓205にはコンタミネーションを生じない純粋な材料として、例えば、石英ガラスやセラミックスが用いられているが、これらの材料は融点が高く、しかも脆性が強いという特性があり、誘電体窓205中に上記流路等を鋳造や溶接等というような方法で形成することが困難であるという問題点がある。
【0017】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、処理室内でのダスト発生や雰囲気の変動の原因となる誘電体窓そのものの温度変化を抑制できる冷却又は加温が可能なプラズマ処理装置用誘電体窓及びプラズマ処理装置用誘電体窓の製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0019】
本発明の第1態様によれば、真空容器の内部の処理室に被加工物を保持し、上記処理室を真空排気しつつ、上記処理室内に反応ガスを導入し、上記真空容器の外部に位置するコイル又は電極又は導波管より高周波電力を印加し、上記真空容器の隔壁の一部をなす誘電体窓を介して上記処理室内部にプラズマを発生させ、上記被加工物に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置用誘電体窓であって、
第1誘電板と第2誘電板とが接合されてなり、かつ上記第1誘電板と上記第2誘電板との間に冷温媒流路を有することを特徴とするプラズマ処理装置用誘電体窓を提供する。
【0020】
本発明の第2態様によれば、上記第1誘電板は、概略平板形状を有し、かつ互いに連通した凹部が形成されかつ上記第2誘電板と接合される第1接合表面と、プラズマ処理装置における上記処理室の外側に面する処理室外側表面とを備え、上記第2誘電板は、概略平板形状を有し、かつ上記第1誘電板の上記第1接合表面と接合される第2接合表面と、上記処理室の内側に面する処理室内側表面とを備え、
上記冷温媒流路は、上記第1誘電板の上記凹部と上記第2誘電板の上記第2接合表面とで囲まれて形成されている第1態様に記載のプラズマ処理装置用誘電体窓を提供する。
【0021】
本発明の第3態様によれば、上記冷温媒流路の冷温媒の流出口及び流入口が共に、上記第1誘電板の上記処理室外側表面、又は上記第2誘電板の上記処理室内側表面に形成されている第2態様に記載のプラズマ処理装置用誘電体窓を提供する。
【0022】
本発明の第4態様によれば、上記第1誘電板と上記第2誘電板との上記接合は、接着剤による接着により行われている第1態様から第3態様のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用誘電体窓を提供する。
【0023】
本発明の第5態様によれば、上記接着剤が硬化後も弾性を保つゴム系接着剤であり、上記第1接合表面と第2接合表面との間に上記接着剤により接着剤層が厚さ10μm以上で形成されている第4態様に記載のプラズマ処理装置用誘電体窓を提供する。
【0024】
本発明の第6態様によれば、上記接着剤がシリコンゴム系接着剤である第5態様に記載のプラズマ処理装置用誘電体窓を提供する。
【0025】
本発明の第7態様によれば、上記接着剤が上記冷温媒流路の内側にはみ出している第4態様から第6態様のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用誘電体窓を提供する。
【0026】
本発明の第8態様によれば、上記第1誘電板及び上記第2誘電板の材質が、共に石英ガラス、シリコン、窒化シリコン、ジルコニア、アルミナ、サファイア、若しくは窒化アルミニウムのいずれかである、又はそれらの組み合わせである第1態様から第7態様のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用誘電体窓を提供する。
【0027】
本発明の第9態様によれば、上記第1誘電板と上記第2誘電板との材質が共に石英ガラスであり、上記第1誘電板と上記第2誘電板との上記接合は、高温原子間接合により行われている第1態様から第3態様のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用誘電窓を提供する。
【0028】
本発明の第10態様によれば、互いに連通した凹部が形成された第1誘電板の第1接合表面と、第2誘電板の第2接合表面とを接合させて、上記凹部と上記第2接合表面とで囲まれた冷温媒流路を有するプラズマ処理装置用誘電体窓の製造方法であって、
上記第1接合表面又は上記第2接合表面に接着剤を塗布する工程と、
上記冷温媒流路の内側に上記接着剤をはみ出させるように上記接着剤を介して、上記第1接合表面と上記第2接合表面とを密着させる工程と、
上記密着させた上記接着剤を硬化させることにより上記第1接合表面と上記第2接合表面とを接合する工程とを備えることを特徴とするプラズマ処理装置用誘電体窓の製造方法を提供する。
【0029】
本発明の第11態様によれば、上記接着剤は、熱硬化性のシリコン系接着剤である第10態様に記載のプラズマ処理装置用誘電体窓の製造方法を提供する。
【0030】
本発明の第12態様によれば,上記第1誘電板及び上記第2誘電板の材質が、共に石英ガラス、シリコン、窒化シリコン、ジルコニア、アルミナ、サファイア、若しくは窒化アルミニウムのいずれかである、又はそれらの組み合わせである第10態様又は第11態様に記載のプラズマ処理装置用の誘電体窓製造方法を提供する。
【0031】
本発明の第13態様によれば、材質が石英ガラスである第1誘電板における互いに連通した凹部が形成された第1接合表面と、材質が石英ガラスである第2誘電板の第2接合表面とを接合させて、上記凹部と上記第2接合表面とで囲まれた冷温媒流路を有するプラズマ処理装置用誘電体窓の製造方法であって、
上記第1接合表面及び上記第2接合表面を研磨する工程と、
上記第1接合表面と上記第2接合表面とを密着させながら、上記冷温媒流路内を真空排気する工程と、
上記冷温媒流路内を真空排気しながら上記密着させた上記第1誘電板と上記第2誘電板とを摂氏900度以上かつ摂氏1700度以下で加熱して保持することにより、上記第1接合表面と上記第2接合表面とを原子間接合する工程とを備えることを特徴とするプラズマ処理装置用誘電体窓の製造方法を提供する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
まず、本発明の第1実施形態にかかるプラズマ処理装置用誘電体窓及びプラズマ処理装置用誘電体窓製造方法について、図1、図2、図3及び図10を参照して説明する。
【0034】
図1は、本第1実施形態にかかるプラズマ処理装置用誘電体窓の一例である誘電体窓5を用いたプラズマ処理装置の一例であるプラズマ処理装置100の構造を示す模式断面図である。
【0035】
図1に示すように、プラズマ処理装置100は、上面に開口部を有する略中空円柱形状の真空容器1と、真空容器1の上記開口部を塞ぐように備えられた円盤状の石英ガラス製の誘電体窓5とを備えており、真空容器1と誘電体窓5とにより密閉された空間でありかつプラズマ処理が行われる処理室40が形成されている。言いかえれば、誘電体窓5は真空容器1の隔壁の一部をなし、これにより、処理室40が形成されている。また、真空容器1の外側には、真空容器1内に所定の反応ガスの供給を行う反応ガス供給装置2と、真空容器1内の空気若しくは反応ガスの排気(真空排気)を行う排気装置である真空ポンプ3が備えられている。また、誘電体窓5の上方近傍にはコイル6が配置されており、コイル6に高周波電力を印加するコイル用高周波電源4と整合器10とが真空容器1の外側に備えられている。ここで、このコイル6の平面形状(図1におけるB−B矢視図)を図10に示す。図10に示すように、コイル6はその中央部分にて接続され、かつ上記中央部分から放射状かつ上記中央部分に対して時計方向に伸びるように配置された複数の筋状の電極により形成されている。なお、プラズマ処理装置100がコイル6を備える場合に代えて、例えば、板状に形成された電極、又は、導波管等が備えられているような場合であってもよい。また、処理室40内における底面中央付近には、基板電極7が備えられており、この基板電極7に高周波電力を印加する基板電極用高周波電源9と整合器30とが真空容器1の外側に備えられている。また、プラズマ処理装置101によりプラズマ処理が施される被加工物の一例である基板8が、処理室40内の基板電極7の上に載置される。
【0036】
また、誘電体窓5は、概略平板形状を有する第1誘電板51の第1接合表面51aと第2誘電板52の第2接合表面52aとが接合されることにより形成されており、第1誘電板51における第1接合表面51aとは反対側の表面は、プラズマ処理装置100の処理室40の外側に(プラズマ処理装置100の外側が大気に面する場合にあっては大気側に)面する処理室外側表面51bであり、第2誘電板52における第2接合表面52aとは反対側の表面は、処理室40の内側に(すなわち、処理室40の真空側に)面する処理室内側表面52bとなっている。また、図1、及び図2の誘電体窓5の模式断面図(図1におけるA−A断面)に示すように、第1誘電板51の第1接合表面51a側には、凹部が一筆書き状に連通して形成された溝部が形成されており、この溝部と第2接合表面52aとで囲まれた冷温媒流路の一例である第1冷温媒流路11が、誘電体窓5の内部にその全面に渡って略均一に配置されるように形成されている。言いかえれば、誘電体窓5における第1誘電板51と第2誘電板52との間に、第1冷温媒流路11が上記全面に渡って略均一に配置されるように形成されている。また、第1誘電板51の処理室外側表面51bには、第1冷温媒流路11への冷温媒となる流体の流入口18及び流出口19が形成されている。さらに、プラズマ処理装置100においては、第1冷温媒流路11への流入口18及び流出口19に接続された配管若しくはチューブ等により形成された管路である循環通路12a及び12bを通して、上記冷温媒となる流体の一例である純水を流して循環させる循環機構の一例である第1サーキュレータ12が、真空容器1の外側に備えられている。図10に示すように、循環通路12a及び12bは、コイル6に干渉しない位置に配置され、循環通路12a及び12bを形成している上記管路の材質には誘電体(例えば、テフロン(登録商標)等)が用いられ、コイル6から発生される電磁波を上記管路が吸収しない構造としている。なお、第1サーキュレータ12内には温度制御装置(図示しない)が備えられており、循環される純水の温度が一定となるように制御可能となっている。
【0037】
また、コイル6と誘電体窓5との間、すなわち、第1誘電板51の処理室外側表面51b全体を覆うように、電気絶縁板兼断熱板である断熱板13(例えば、マイカ製の板)が設けられており、コイル6が断熱板13を介して誘電体窓5に押し付けられている。また、真空容器1の側壁内部には、第2冷温媒流路15が設けられており、第2サーキュレータ16により温度制御された冷温媒、例えば水を流すことができ、真空容器1の温度を制御することが可能となっている。また、基板電極7には第3サーキュレータ17が接続され、第3サーキュレータ17により温度制御された冷温媒、例えば水を流して、基板電極7の温度を一定に保つことが可能となっている。
【0038】
次に、上記第1実施形態のプラズマ処理装置100において用いた誘電体窓5の製造方法について説明する。また、図3は、誘電体窓5の第1誘電板51及び第2誘電板52の模式的な断面図を用いた誘電体窓5の製造工程の概略説明図である。
【0039】
まず、図3(A)に示すように、共に円盤形状の第1誘電板51及び第2誘電板52を用意する。本第1実施形態においては、第1誘電板51及び第2誘電板52の材質は共に石英ガラスであって、各々直径340mm、厚さ15mmである。なお、図3(A)から(E)において、第1誘電板51における図示上面が処理室外側表面51b、図示下面が第1接合表面51aとなっており、第2誘電板52における図示上面が第2接合表面52a、図示下面が処理室内側表面52bとなっている。次に、図3(B)に示すように、第1誘電板51における第1接合表面51aに、第1冷温媒流路11(以降単に、冷温媒流路11という)となる凹部の一例である凹状の溝部51cを形成する。本第1実施形態においては、溝部51cの形成幅と、隣接する溝部51c間の幅(すなわち、第1接合表面51aにおける隣接する溝部51c間における溝部51cが形成されていない部分の幅)とが共に17mmとしており、また、溝部51cの形成深さを3mmとしている。従って、処理室40内側に面する誘電体窓5の面積の約50%が溝部51cの面積、すなわち、冷温媒流路11の面積となっている。さらに、図3(C)に示すように、第1誘電板51の処理室外側表面51bに流体の流入口18および流出口19を形成する。
【0040】
次いで、図3(D)に示すように、第1誘電板51の第1接合表面51aに接着剤の一例であるシリコン系接着剤20を筋状に塗布する。上記接着剤としては、好ましくは、硬化後も弾性を保つゴム系接着剤、例えば、熱硬化性のシリコン系接着剤が用いられる。
【0041】
そして、図3(E)に示すように、第1誘電板51の第1接合表面51a及び第2誘電板52の第2接合表面52aをシリコン系接着剤20を介して押圧して、シリコン系接着剤20を冷温媒流路11の内側に若干はみ出るように互いを密着させる。この状態における冷温媒流路11の拡大図を図3(F)に示す。図3(F)に示すように、シリコン系接着剤20は、冷温媒流路11の内側にはみ出されて、はみ出されたシリコン系接着剤21は、冷温媒流路11における第1接合表面51aと第2接合表面52aとの接合部分を有する隅部及び上記隅部近傍全体を覆っている。また、上記においてシリコン系接着剤20を塗布する量は、第1接合表面51aに所望の厚さ、好ましくは10μm以上の厚さの接着剤層22(例えば、厚さ50μmの上記接着剤層22)を与えると共に、第1接合表面51aと第2接合表面52aとが密着された際に、溝部51cの両端部内側に、直径にして1mm前後かつ溝部51cの端部沿いにひも状にシリコン系接着剤20がはみ出す程度とするのが好適である。また、上記密着後の接着剤層22の厚さの確保のために、第1接合表面51a若しくは第2接合表面52aに予め接着剤層22の厚さに等しいスペーサを多数貼っておくか、又は、シリコン系接着剤20にフィラーを入れておき、第1接合表面51a若しくは第2接合表面52aにシリコン系接着剤20とともに上記フィラーを供給するような場合であってもよい。
【0042】
その後、第1接合表面51aと第2接合表面52aとを密着させた状態の第1誘電板51及び第2誘電板52を、加熱装置、例えば電気炉内に入れて加熱し、シリコン系接着剤20を所定の温度にて所定の時間をかけて熱硬化させ、誘電体窓5を完成させる。なお、上記のようにシリコン系接着剤20を積極的に熱硬化させることが好ましいが、このような場合に代えて、例えば、自然にシリコン系接着剤20を硬化させるような場合であってもよい。
【0043】
以上のように構成されて製造される誘電体窓5を用いたプラズマ処理装置100の動作について説明する。
【0044】
図1において、まず、真空容器1内の基板電極7の上にプラズマ処理を行う基板8を載置する。次に、真空容器1内の処理室40に反応ガス供給装置2より所定の反応ガスを導入しつつ、真空ポンプ3で処理室40内の空気の排気を行い、処理室40内を反応ガスで満たすとともに、所定の圧力に保つ。その後、コイル用高周波電源4により13.56MHzの高周波電力を、コイル6に印加する。これにより、断熱板13と誘電体窓5を介して、処理室40内の反応ガスに高周波の電磁界を伝播させてプラズマを発生させて、上記発生されたプラズマにより基板電極7上に載置された基板8に対してエッチング、堆積、又は表面改質等のプラズマ処理を行う。このとき、基板電極7にも基板電極用高周波電源9により高周波電力を印加することで、基板8に到達するイオンエネルギーを制御することができる。
【0045】
プラズマ処理装置100におけるプラズマ処理中及びプラズマ処理待機中(すなわち、プラズマ非処理時)において、基板電極7の内部の冷温媒流路に第3サーキュレータ17により温度制御された水が流されることにより、基板電極7の温度が一定に保たれている。基板電極7の温度の一定保持は、処理室40内のプラズマの熱照射や反応ガスからの伝熱や基板8に入射するイオンエネルギーによって基板8の温度の上昇を抑制する。
【0046】
また、真空容器1内の第2冷温媒流路15に第2サーキュレータ16により、温度制御された水が流されることにより、プラズマ処理中における処理室40内のプラズマの熱放射、反応ガスからの伝熱、及びアース電位とされている真空容器1の壁面に入射されるイオンエネルギーによる上記壁面の温度の上昇を抑制する。
【0047】
さらに、誘電体窓5においても、その内部の冷温媒流路11に第1サーキュレータ12により一定の温度に保たれた純水が循環通路12a及び12bと、流入口18と流出口19を経て循環される。プラズマ処理中における処理室40内のプラズマの熱放射、反応ガスからの伝熱、又は第2誘電板51の処理室内側表面52bに入射するイオンエネルギーにより、誘電体窓5は加熱されるが、上記純水の循環により誘電体窓5の温度上昇が抑えられる。また、プラズマ処理を行わないプラズマ処理待機中にも誘電体窓5の温度は、温度制御された純水の温度近くに保たれる。また、純水の制御温度を上げて誘電体窓5の温度を高い温度に保つことにより、反応生成物は誘電体窓5の表面にて昇華して堆積し難くなる。
【0048】
上記第1実施形態によれば、以下のような種々の効果を得ることができる。
【0049】
まず、その内部に冷温媒流路11が形成された誘電体窓5を用いたプラズマ処理装置100においてプラズマ処理を行う際に、冷温媒流路11内に純水を流すような場合であっても、誘電体窓5の電磁波の透過率の低下は実用上問題とならない程僅かであり、プラズマ処理中における冷温媒流路11への純水の循環がプラズマ処理に影響を与えることはなく、誘電体窓5の温度制御を行うことができる。
【0050】
例えば、誘電体窓5の全面に対し冷温媒流路11の占める面積が約50%であり、冷温媒流路11の形成高さが3mmの場合であって、13.56MHzの高周波を発生させるような場合において、冷温媒流路11内に純水がない場合に対して、純水がある場合は、プラズマの発光強度に対して電磁波の透過率は数%の低下に留まり、プラズマ処理としての実用上の問題はない。さらに、上記よりも周波数の高いマイクロ波を用いる場合には、冷温媒として上記純水の代わりに、フッ素系オイルを用いるような場合であってもよい。
【0051】
また、直径約350mm、厚さ15mmの石英ガラス板2枚を、厚さ50μmのシリコン系接着剤20で接合した誘電体窓5は、接合面が誘電体窓5の厚さ方向における略中央に位置することとなるため、構造的に接合面の応力が小さく、常用0.1MPa、最大0.2MPaの冷温媒流路11の内部圧力に耐えることができるとともに、内径320mmの真空容器1の1000回以上の大気圧/真空の繰り返し動作に耐えることができる。
【0052】
また、冷温媒流路11内にはみ出されたシリコン系接着剤21は、冷温媒流路11における第1接合表面51aと第2接合表面52aとの接合部分を有する隅部及び上記隅部近傍全体を覆っており、これにより、第1接合表面51aと第2接合表面52aとのシリコン系接着剤21による接合を補強された状態とすることができ、第1誘電板51と第2誘電板52の上記接合をより強固なものとすることができる。
【0053】
また、シリコン系接着剤は耐水・耐熱性に富み、例えば、冷温媒として80℃の温水を用いての長期間の循環にも耐えることができる。冷温媒流路11にはみ出したシリコン系接着剤21は、循環される水により多少膨潤するが、このはみ出したシリコン系接着剤21が防壁となって、第1接合表面51aと第2接合表面52aとの間に位置されていてかつ夫々を接着しているシリコン系接着剤20への水の浸透が防止され、このようなシリコン系接着剤のはみ出し部分がない場合に比べて、第1誘電板51と第2誘電板52との接合強度の寿命を長期化することができる。また、シリコン系接着剤は、冷温媒流路11内に冷温媒がない状態で、例えば、コイル6への900Wの高周波電力印加による約30分間の連続放電にも耐えることができ、さらに、誘電体窓5の温度が150℃にまで上昇されるような場合であっても処理室40を真空状態に維持しながら上記接合を保持することができる。
【0054】
また、第1接合表面51aと第2接合表面52aとの間にシリコン系接着剤により所望の厚さの接着剤層22(例えば、厚さ50μmの接着剤層22)が形成されるように第1誘電板51と第2誘電板52との接合が行われるような場合にあっては、シリコン系接着剤の特性により硬化後も接着剤層22は柔軟性を有するため、誘電体窓5が大気圧/真空の繰り返し圧力を受けて、第1誘電板51と第2誘電板52において変形が生じさせられるような場合、又は、冷温媒流路11内への温度制御された冷温媒の循環/停止に伴い第1誘電板51と第2誘電板52の夫々の急激な伸縮が発生するような場合においては、上記接着剤層22の柔軟性により上記接着剤層22内に発生する応力を和らげることができ、誘電体窓の耐久性を向上させることができる。また、プラズマ処理の際には処理室40内のプラズマにより紫外線が発生されて、上記発生された紫外線が誘電体窓5にも照射されることとなるが、シリコン系接着剤20により形成された接着剤層22は上記紫外線の照射にも十分に耐え得る。
【0055】
また、第1誘電板51に冷温媒流路11と冷温媒の流入口18及び流出口19を形成して、第2誘電板52は凹凸のない略平板状に形成するような(特に、処理室内側表面52bには凹凸の形成等の加工を極力避けるような)誘電体窓5の構造は、処理室40の真空化の際に第1誘電板51に加わる大気圧による圧縮応力、及び第2誘電板52に加わる引張り応力に対して耐え得ることができ、脆性材料により形成されている誘電体窓の耐久性を高めて、誘電体窓の破損を防止することができるという効果がある。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2実施形態にかかるプラズマ処理装置用の誘電体窓の一例である誘電体窓60と誘電体窓60の製造方法について説明する。
【0057】
誘電体窓60は、その適用用途と全体形状においては図1において説明した第1実施形態の誘電体窓5と基本的に異なるところがない。すなわち、本第2実施形態において、誘電体窓60を形成している第1誘電板61と第2誘電板62は、第1実施形態における第1誘電板51と第2誘電板52とにその基本的な形状においては変わるところはない。第1実施形態と第2実施形態との異なる点は、第1誘電板61と第2誘電板62の材質を石英ガラスに限定したこと、及び第1誘電板61と第2誘電板62との接合方法にある。以下に上記異なる点について説明する。また、図4は、誘電体窓60の第1誘電板61及び第2誘電板62の模式的な断面図を用いた誘電体窓60の製造工程の概略説明図である。
【0058】
図4(A)に示すように、共に円盤形状に石英ガラスにより形成された第1誘電板61及び第2誘電板62を用意する。なお、図4(A)から(F)において、第1誘電板61における図示上面が処理室外側表面61b、図示下面が第1接合表面61aとなっており、第2誘電板62における図示上面が第2接合表面62a、図示下面が処理室内側表面62bとなっている。次に、図4(B)に示すように、第1誘電板61における第1接合表面61aに、冷温媒流路11となる凹状の溝部61c(凹部の一例である)を形成する。さらに、図4(C)に示すように、第1誘電板61の処理室外側表面61bに流体の流出口69となる下穴69aを形成する。次いで、図4(D)に示すように、第1誘電板61の第1接合表面61a及び第2誘電板62の第2接合表面62aを研磨して、表面の微細な凹凸を除去し、高精度の平面とする。そして、図4(E)に示すように、上記研磨が行われた第1誘電板61の第1接合表面61aと第2誘電板62の第2接合表面62aとを密着させた後、流出口69の下穴69aに排気装置の一例である真空ポンプ65を耐熱口金63と耐熱フレキシブルチューブ64とを介して接続して、冷温媒流路11内の空気を真空ポンプ65で排気し、冷温媒流路11内を真空化する。これにより、第1誘電板61と第2誘電板62とを互いに夫々の略全面において均一に加圧することができる。その後、真空ポンプ65で排気を続けながら第1誘電板61及び第2誘電板62を高温炉中で900℃以上1700℃以下の範囲の加熱温度にて加熱することにより、第1接合表面61aと第2接合表面62aとを原子間接合する(すなわち、高温原子間接合を行う)。その後、第1誘電板61及び第2誘電板62を上記高温炉から取り出して冷却した後、図4(F)に示すように、第1誘電板61の処理室外側表面61bに流体の流入口68を形成するとともに、流出口69の下穴69aを仕上げ加工して流出口69を形成し、誘電体窓60を完成させる。
【0059】
上記第2実施形態における誘電体窓60の製造方法によれば、上記第1実施形態の誘電体窓5のように第1誘電板51と第2誘電板52とをシリコン系接着剤による厚みのある接着剤層22を介して接合するのではなく、このような接着剤を用いずに、共に石英ガラスにより形成されている第1誘電板61と第2誘電板62とを原子間接合により石英ガラス自身を接合しているため、第1実施形態の誘電体窓5と比べて、誘電体窓60は、より接合強度が高く、より高温度での使用に耐え、プラズマにより発生して照射される紫外線に対してもより耐性が高く、あらゆる種類の冷温媒にも侵されることが無く、また、プラズマ処理装置より誘電体窓を取り外して誘電体窓の内外周の洗浄のためのフッ酸洗浄等にも耐えることができるという利点がある。なお、誘電体窓60はその製造方法が上記の通り上記第1実施形態の誘電体窓5とは異なるが、誘電体窓60をプラズマ処理装置に取り付けてプラズマ処理を行う際における誘電体窓60の動作については、第1実施形態の誘電体窓5と同様である。
【0060】
以上述べた本発明の第1実施形態及び第2実施形態においては、本発明の適用範囲のうち、様々なバリエーションのうちの一部を例示したに過ぎない。本発明の適用にあたり、ここで例示した以外にも様々なバリエーションが考えられることは、言うまでもない。
【0061】
例えば、上記第1実施形態において、前記シリコン系接着剤20の塗布を第1接合表面51aのみに行うような場合に代えて、第1接合表面51aと共に第2接合表面52aにも上記塗布を行うような場合であってもよく、また、第2接合表面52aのみに上記塗布を行うような場合であってもよい。
【0062】
また、上記シリコン系接着剤20が押し出されて、はみ出されたシリコン系接着剤21が、冷温媒流路11の上記隅部に位置するような場合に代えて、第1誘電板51と第2誘電板52との接合強度が十分に維持できるような場合にあっては、上記シリコン系接着剤20がはみ出されないような場合であってもよい。
【0063】
また、溝部51cが第1誘電板51の第1接合表面51aにのみ形成されるような場合に代えて、図5(A)及び(B)に示すように、第1誘電板161の第1接合表面161aと第2誘電板162の第2接合表面162aの夫々に、相対するように溝部161c及び162cが形成されて、冷温媒流路11が形成されるような場合であってもよい。
【0064】
さらに、図5(C)に示すように、第1誘電板171を冷温媒の流入口18及び流出口19のみを形成させた平板形状とし、第2誘電板172に溝部172cを形成させて、図5(D)に示すように、第1誘電板171と第2誘電板172とを接合して冷温媒流路11が形成されるような場合であってもよい。このとき、例えば、溝部172cが形成される第2誘電板172を第1誘電板171よりも厚くすることで、第2誘電板172の強度を確保することもできる。
【0065】
さらに、図5(E)及び(F)に示すように、第1誘電板181と第2誘電板182とを夫々セラミック素材のグリーンシートを多層重ねて形成して、図5(F)に示すように互いに接合させながら上記多層のグリーンシートを焼成させることにより一体化させて、誘電体窓を形成するような場合であってもよい。
【0066】
さらに加えて、図5(G)及び(H)に示すように、誘電体窓を三層の誘電板を接合して形成するような場合であってもよい。すなわち、第1誘電板191は冷温媒の流入口18及び流出口19のみを形成させた平板形状とし、第2誘電板192は平板形状とし、冷温媒流路11となるその上下面に貫通された溝部193cが形成された第3誘電板193を、第1誘電板191と第2誘電板192との間に挟むようにして、上記接着剤による接合又は上記高温原子間接合により接合して誘電体窓を形成することが可能である。
【0067】
また、冷温媒流路の形成パターンの変形例として、図6にプラズマ処理装置用の誘電体窓の一例である誘電体窓80の模式断面図(上記第1実施形態における図2に相当する図)を示す。図6に示すように、冷温媒流路87が、誘電体窓80と一体の多数の円柱状の支柱86の間の空間からなり、誘電体窓80のほぼ全面にわたって均等に配置されているような場合であっても、上記第1実施形態における誘電体窓5と同様な効果を得ることができる。なお、この誘電体窓80は第1実施形態の誘電体窓5と同様に、第1誘電板と第2誘電板とが接合されることにより形成されており、誘電体窓80への流体の流入口88及び流出口89は第1誘電板に形成されて、それぞれ2箇所ずつ計4箇所設けられている。
【0068】
また、さらに別の冷温媒流路の形成パターンの変形例として、図7にプラズマ処理装置用の誘電体窓の一例である誘電体窓90の模式断面図(上記第1実施形態における図2に相当する図)を示す。この誘電他窓90も第1誘電板と第2誘電板とが接合されることにより形成されており、図7に示すように、冷温媒流路97が、第1誘電板と一体の多数の半円弧状の支柱96の間の空間からなり、第1誘電板、すなわち、誘電体窓90のほぼ全面にわたって冷温媒流路97が均等に配置されているような場合であっても、上記第1実施形態における誘電体窓5と同様な効果を得ることができる。
【0069】
また、以上述べた本発明の実施形態においては、第1誘電板及び第2誘電板が石英ガラスにより形成されている場合について説明したが、このような材料に代えて、第1誘電板及び第2誘電板が、共に、シリコン、又は窒化シリコン、又はジルコニア、又はアルミナ、又はサファイア、又は窒化アルミニウムにより形成されている場合であってもよい。また、第1誘電板と第2誘電板が共にこれら複数の材料のうちの2以上の材料の組み合わせであってもよい。特に、第2誘電板は、真空処理装置の内壁面の一部を構成する部材であるため、コンタミネーションや脱ガス特性に優れている必要があり、用途に応じて適切な材料を選択、さらに、適切な純度を選択することが望ましい。高純度の石英ガラスはシリコン系半導体を用いたデバイスの製造工程において、優れた低コンタミネーション性と耐久性を有する。窒化シリコンは機械的強度に優れ、また、それ自身がエッチングされても酸素原子放出量が極めて小さいという特徴がある。アルミナやサファイアは、熱伝導性が良く(すなわち熱伝導率がよい)、耐スパッタリング性に優れる。窒化アルミニウムは特に熱伝導性に優れ、石英ガラスの約100倍の熱伝導率をもっているので、誘電体窓における第2誘電板の処理室内側表面において温度変化を特に小さくすることができるという特徴がある。
【0070】
以上の夫々の実施形態に加えて、本発明の変形応用例として、図8、図9、及び図10を用いて、本発明の第3実施形態にかかるプラズマ処理装置用の誘電体窓の一例である誘電体窓105及び誘電体窓105を用いたプラズマ処理装置199について説明する。
【0071】
図8に示すように、プラズマ処理装置199は、平面的に略正方形状の断面を有する略角柱形状の外形を有し、かつその内部に略円柱形状の空間である処理室140を有し、かつ上面に開口部を有する真空容器101と、真空容器101の上面の開口部を塞ぐように備えられかつ略正方形状の平面を有する板状の石英ガラス製の誘電体窓105とを備えている。誘電体窓105は、処理室140の外側の第1誘電板151と、処理室140の内側の第2誘電板152とが接合(上記第1実施形態又は上記第2実施形態の接合方法によって接合)されて形成されており、図8及び図9に示すように、誘電体窓105の第1誘電板151に溝部が形成されて冷温媒流路111が形成されている。また、冷温媒流路111への冷温媒の流入口118と流出口119が第2誘電板152に形成されおり、流入口118と流出口119の夫々は、真空容器101の側壁上部において側壁上面と側壁外側とを貫通するように側壁に穿孔された管路112aと112bに接続されて、さらに夫々の管路112aと112bは第1サーキュレータ112に接続されている。
【0072】
また、図8に示すように、第2誘電板152の板厚の中央付近には反応ガス供給通路121が第2誘電板152のその板状の面に沿って第2誘電板152の一端(図8における左側端部)からそれ以外の端部方向への放射状の複数の通路となるように形成されている。また、真空容器101の側壁を上下方向に貫通するように穿孔されて形成された反応ガス供給通路123の上側の貫通部分には、上記一端の近傍における反応ガス供給通路121に接続されるように第2誘電板152の処理室内側表面152bに形成された反応ガス流入口122が接続されて、さらに、反応ガス供給通路123は、真空容器101の外部に備えられている反応ガス供給装置102に接続されている。
【0073】
また、第2誘電板152内に形成されている反ガス供給通路121の上記一端は、止め栓125にて閉じられており、また、第2誘電板152の処理室内側表面152bにおける中央近傍には、反応ガス供給通路121に接続されるように多数の反応ガス吹出し口124が形成されており、反応ガス吹出し口124より処理室140内に反応ガスの供給が可能となっている。
【0074】
また、処理室140は、真空容器101の側壁下部(図8における右側下部)に形成された排気口126を通じて処理室140外の真空ポンプ103に接続されている。また、誘電体窓105の上方には、図10に示すような上記第1実施形態のコイル6と同様なコイル106が配置されており、コイル106に高周波電力を印加するコイル用高周波電源104と整合器110が接続されている。コイル106の下と誘電体窓105の上面とに挟まれるように絶縁板でありかつ断熱板である断熱板113が備えられている。処理室140の底面中央付近には、基板電極107が備えられており、この基板電極107に高周波電力を印加する基板電極用高周波電源109と整合器130が基板電極107に接続されている。また、プラズマ処理装置199にてプラズマ処理が施される基板8が基板電極107の上に載置可能となっている。さらに基板電極107の内部には冷温媒流路127が設けられており、真空容器101の外部に設けられた第3サーキュレータ117により、冷温媒流路127に温度制御された冷温媒を流すことが可能となっている。また、真空容器101の側壁内にも冷温媒流路115が設けられており、真空容器101の外部に設けられた第2のサーキュレータ116により冷温媒流路115内に温度制御された冷温媒を流すことが可能となっている。
【0075】
このような構成のプラズマ処理装置199の動作に関しては上記第1実施形態のプラズマ処理装置100と基本的に同じである。
【0076】
上記第3実施形態によれば、プラズマ処理装置199において、誘電体窓105の第2誘電板152の処理室内側表面152bに反応ガスを吹き出すことができる多数の反応ガス吹出し口124が設けられていることにより、基板電極107上に載置された基板8に向かうように上記多数の反応ガス吹出し口124から反応ガスを吹き出すことができ、処理室140内における基板8の周囲の反応ガスの雰囲気をより均一なものとすることができる。これにより、基板8に対してより均一にかつ効率良くプラズマ処理を行うことができるとともに、第2誘電板152の処理室内側表面152bより上記反応ガスが吹き出されるため、処理室140内において発生する反応生成物が第2誘電板152の表面に堆積し難くさせることができるという効果がある。
【0077】
さらに、第2誘電板152に冷温媒の流入口118及び流出口119を設けて、流入口118及び流出口119を真空容器101の側壁上面と側壁外部とを貫通するように形成された管路112a及び112bを介して第1のサーキュレータ112に接続していることにより、上記第1実施形態のプラズマ処理装置100よりも、メンテナンスの際のコイル106の着脱や誘電体窓105の真空容器101よりの着脱が容易となるとともに、誘電体窓105の流入口118及び流出口119に第1のサーキュレータ112よりの管路を取り付ける際の設計上の困難さを無くすことができるという利点がある。
【0078】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0079】
【発明の効果】
本発明の上記第1態様によれば、真空容器の内部の処理室に被加工物を保持し、上記処理室を真空排気しつつ上記処理室外部より上記処理室内部に反応ガスを導入し、上記真空容器の外部に位置するコイル又は電極又は導波管より高周波電力を印加して、上記真空容器の隔壁の一部をなす誘電体窓を介して上記処理室内部にプラズマを発生させ、上記被加工物に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置において、第1誘電板と第2誘電板とが接合されてなるプラズマ処理装置用誘電体窓が、上記第1誘電板と上記第2誘電板との間に冷温媒流路が形成されていることにより、上記プラズマ処理装置用誘電体窓(以降、誘電体窓という)を用いてプラズマ処理を行う場合に、上記冷温媒流路に温度制御された冷温媒を流して、上記誘電体窓の温度変化を制御することができ、上記誘電体窓へ堆積する薄膜の膜厚を薄くするとともに、その膜質をより緻密なものとすることができ、上記堆積された薄膜の剥がれによるダストの発生を抑制することができるプラズマ処理装置用誘電体窓を提供することが可能となる。また、上記誘電体窓を用いたプラズマ処理装置において、上記誘電体窓の上記冷温媒流路に温度制御された冷温媒として、例えば純水を流して循環させるような場合であっても、プラズマ処理における上記誘電体窓の電磁波の透過率の低下は実用上問題とならない程僅かであり、プラズマ処理中における上記純水の循環がプラズマ処理に影響を与えることなく、上記誘電体窓の温度制御を行うことができるプラズマ処理装置用誘電体窓を提供することが可能となる。
【0080】
本発明の上記第2態様によれば、上記第1態様による効果を得ることができるとともに、さらに加えて、上記冷温媒流路が上記第1誘電板の第1接合表面に形成された互いに連通された凹部と略平板形状の上記第2誘電板の第2接合表面で囲まれることにより形成され、また、上記誘電体窓が上記プラズマ処理装置に用いられた場合において、上記凹部のような凹凸部を有さない上記第2誘電板が処理室の内側、すなわち真空側に位置されるように上記誘電体窓が形成されていることにより、上記第2誘電板は上記真空による引っ張り応力に十分に耐え得る強度を有することとなり、耐久性に優れたプラズマ処理装置用誘電体窓を提供することが可能となる。特に、上記誘電体窓の材料として用いられる脆性材料により第2誘電板が形成されていることにより上記効果は有効なものとなる。
【0081】
本発明の上記第3態様によれば、上記誘電体窓の上記第1誘電板の処理室外側表面において、上記冷温媒流路への冷温媒の流出口及び流入口が設けられていることにより、上記処理室の外側、すなわち大気側より上記冷温媒流路へ温度制御された上記冷温媒を流すことができ、上記誘電体窓の温度制御を行うことができ、上記第1態様又は第2態様による効果を得ることができるプラズマ処理装置用誘電体窓を提供することが可能となる。加えて、上記誘電体窓において上記処理室外側に位置される上記第1誘電板、すなわち、大気側に面し大気圧による圧縮応力を受ける部材に上き流出口及び上記流入口が形成されているため、構造的にも破損し難く、上記誘電体窓をプラズマ処理装置に設置した場合に、上記プラズマ処理装置のコイル又は電極の間に上記流出口及び上記流入口への冷温媒の管路を配置することができ、このように配置することにより、上記管路が高周波電力によるプラズマの励起効率を下げることなくすことができる。
【0082】
また、上記誘電体窓の上記第2誘電板の処理室内側表面に、上記冷温媒流路への冷温媒の流出口及び流入口が設けられているような場合にあっては、上記誘電体窓をプラズマ処理装置に設置した場合に、上記流出口及び上記流入口への冷温媒の管路を上記プラズマ処理装置のコイル又は電極の間に配置することなく、上記第2誘電板の上記処理室内側表面より、上記処理室を構成している真空容器の側壁を貫通するように上記管路を配置することができる。これにより、上記管路の配置によるプラズマ励起効率への影響を無くすことができ、さらにプラズマ処理装置への上記誘電体窓の着脱を容易にすることができ、プラズマ処理装置のメンテナンス性を向上させることができる。
【0083】
本発明の上記第4態様から第7態様によれば、上記第1誘電板と上記第2誘電板との上記接合が、接着剤、例えば、ゴム系接着剤やシリコンゴム系接着剤により行われていることにより、種々の材質の誘電板に対し、自由な上記冷温媒流路の配置を行いながら容易に誘電体窓を製作して、上記第1態様から第3態様による効果を得ることができるプラズマ処理装置用誘電体窓を提供することが可能となる。
【0084】
特に本発明の上記第7態様によれば、上記冷温媒流路の内側に、上記第1接合表面と上記第2接合表面との接合のために用いられた上記接着剤が押し出されて、はみ出されていることにより、はみ出し部分が接着剤層に対する防壁となり、上記冷温媒流路に流される例えば、高温循環水等が上記接着剤層を変質させることを防ぎ、上記第1接合表面と上記第2接合表面との上記接着剤による上記接合力を長期間保つことができるプラズマ処理装置用誘電体窓を提供することが可能となる。
【0085】
本発明の上記第8態様によれば、上記第1誘電板及び上記第2誘電板の夫々が、共に、石英ガラス、シリコン、窒化シリコン、ジルコニア、アルミナ、サファイア、若しくは窒化アルミニウムのいずれかである、又はそれらの組み合わせであることにより、プラズマ被処理物(例えば基板)の材質とプラズマ処理装置に供給される反応ガス種に応じて、低コンタミネーションと脱ガス性に優れ、耐久力の高い材料を選択して、上記第1態様から第7態様による効果を得ることができるプラズマ処理装置用誘電体窓を提供することが可能となる。
【0086】
本発明の上記第9態様によれば、上記第1態様から第3態様の効果にさらに加えて、上記第1誘電板と上記第2誘電板との上記接合が、上記接着剤によるのではなく、石英ガラスにより形成されている上記第1誘電板と上記第2誘電板とを上記石英ガラスの高温原子間接合により行われることにより、上記冷温媒流路内に流れる流体の種類や温度に対する制約を少なくすることができ、より多様な条件で使用することができるプラズマ処理装置用誘電体窓を提供することが可能となる。
【0087】
本発明の上記第10態様又は第11態様によれば、溝部が形成された第1誘電板の第1接合表面と、上記第2誘電板の第2接合表面とを接合させて、上記凹部と上記第2接合表面とで囲まれた冷温媒流路を有する真空処理装置用誘電体窓(以降、誘電体窓という)の製造方法において、上記第1接合表面又は上記第2接合表面に接着剤を塗布し(例えば、所定の厚さの接着剤層を形成することができるように上記接着剤を塗布し)、上記冷温媒流路の内側に上記接着剤をはみ出させるように上記第1接合表面と上記第2接合表面とを上記接着剤を介して密着させて、上記密着させた上記接着剤を硬化させることにより上記第1接合表面と上記第2接合表面とを接合して、耐久性に優れた誘電体窓を製造することができるプラズマ処理装置用誘電体窓の製造方法を提供することが可能となる。
【0088】
本発明の上記第12態様によれば、上記第1誘電板及び上記第2誘電板の夫々の材質が、共に、石英ガラス、シリコン、窒化シリコン、ジルコニア、アルミナ、サファイア、若しくは窒化アルミニウムである、又はそれらの組み合わせであることにより、上記第10態様又は第11態様による効果を得ることができるプラズマ処理装置用誘電体窓の製造方法を提供することが可能となる。
【0089】
本発明の上記第13態様によれば、凹部が形成された第1誘電板の第1接合表面と、上記第2誘電板の第2接合表面とを接合させて、上記凹部と上記第2接合表面とで囲まれた冷温媒流路を有する真空処理装置用誘電体窓の製造方法において、上記第1接合表面及び上記第2接合表面を精密な平面に研磨して、上記第1接合表面と上記第2接合表面とを密着させて、上記冷温媒流路内を真空排気しながら、上記密着させた上記第1誘電板と上記第2誘電板とを摂氏900度以上かつ摂氏1700℃以下で加熱することにより、高温雰囲気中で上記第1誘電板と上記第2誘電板とを互いに全面で強い力でもって均一に加圧することができ、上記第1接合表面と上記第2接合表面とを強固に原子間接合することができる。さらに、上記第1誘電板と上記第2誘電板との接合が、上記接着剤によるのではなく、高温原子間接合により行われることにより、上記冷温媒流路内に流れる流体の種類や温度に対する制約を少なくすることができ、より多様な条件で使用することができるプラズマ処理装置用誘電体窓の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態にかかる誘電体窓を用いたプラズマ処理装置の構成を示す模式断面図である。
【図2】 上記図1の誘電体窓のA−A断面における模式断面図である。
【図3】 上記第1実施形態における誘電体窓の製造工程の概略説明図であり、(A)は第1誘電板及び第2誘電板の断面図、(B)は第1誘電板に溝部が形成された状態、(C)は第1誘電板に流出口及び流入口が形成された状態、(D)は第1誘電板に接着剤が塗布された状態、(E)は第1誘電板と第2誘電板とが接合されて誘電体窓が完成した状態を示し、(F)は冷温媒流路の拡大断面図である。
【図4】 本発明の第2実施形態にかかる誘電体窓の製造工程の概略説明図であり、(A)は第1誘電板及び第2誘電板の断面図、(B)は第1誘電板に溝部が形成された状態、(C)は第1誘電板に流出口の下穴が形成された状態、(D)は第1誘電板の第1接合表面と第2誘電板の第2接合表面とが研磨された状態、(E)は第1誘電板と第2誘電板とが密着されて冷温媒流路内の真空化が行われている状態、(F)は高温炉中での加熱が行われ第1誘電板と第2誘電板とが接合されて誘電体窓が完成した状態を示す。
【図5】 上記第1実施形態又は上記第2実施形態にかかる誘電体窓の変形例の説明図であり、(A)及び(B)は第1誘電板及び第2誘電板に共に溝部を形成する場合の誘電体窓の断面図であり、(C)及び(D)は第1誘電板に流出口及び流入口のみが形成され、かつ第2誘電板に溝部が形成される場合の誘電体窓の断面図であり、(E)及び(F)は平板形状の第1誘電板と溝部が形成された第2誘電板とが共にセラミック素材のグリーンシートを積層して形成されている場合の誘電体窓の断面図であり、(G)及び(H)は3枚の部材により構成される場合の誘電体窓の断面図である。
【図6】 上記第1実施形態又は上記第2実施形態にかかる誘電体窓の冷温媒流路形成パターンの変形例を示す誘電体窓の模式断面図である。
【図7】 上記第1実施形態又は上記第2実施形態にかかる誘電体窓の冷温媒流路形成パターンの別の変形例を示す誘電体窓の模式断面図である。
【図8】 本発明の第3実施形態にかかる誘電体窓を用いたプラズマ処理装置の構成を示す模式断面図である。(図9のD−D矢視断面図でもある。)
【図9】 上記図8の誘電体窓のC−C断面における模式断面図である。
【図10】 上記図1のコイルのB−B矢視図である。
【図11】 従来例で用いたプラズマ処理装置の構成を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…真空容器、2…反応ガス供給装置、3…真空ポンプ、4…コイル用高周波電源、5…誘電体窓、6…コイル、7…基板電極、8…基板、9…基板電極用高周波電源、10…整合回路、11…第1冷温媒流路、12…第1サーキュレータ、12a及び12b…循環通路、13…断熱板、15…第2冷温媒流路、16…第2サーキュレータ、17…第3サーキュレータ、18…流体の流入口、19…流体の流出口、20…シリコン系接着剤、21…はみ出された接着剤、22…接着剤層、25…真空ポンプ、26…支柱、27…支柱、30…整合器、51…第1誘電板、51a…第1接合表面、51b…処理室外側表面、51c…溝部、52…第2誘電板、52a…第2接合表面、52b…処理室内側表面、60…誘電体窓、61…第1誘電板、61a…第1接合表面、61b…処理室外側表面、61c…溝部、62…第2誘電板、62a…第2接合表面、62b…処理室内側表面、80…誘電体窓、86…支柱、87…冷温媒流路、88…流入口、89…流出口、90…誘電体窓、96…支柱、97…冷温媒流路、98…流入口、99…流出口、100…プラズマ処理装置、101…真空容器、102…反応ガス供給装置、103…真空ポンプ、104…コイル用高周波電源、105…誘電体窓、106…コイル、107…基板電極、109…基板電極用高周波電源、110…整合回路、111…冷温媒流路、112…第1サーキュレータ、112a及び112b…管路、113…断熱板、115…冷温媒流路、116…第2サーキュレータ、117…第3サーキュレータ、118…流体の流入口、119…流体の流出口、121…反応ガス供給通路、122…反応ガス流入口、123…反応ガス流入通路、124…反応ガス吹出し口、125…止め栓、126…排気口、127…冷温媒流路、130…整合器、140…処理室、151…第1誘電板、152…第2誘電板、161…第1誘電板、161c…溝部、162…第2誘電板、162c…溝部、171…第1誘電板、172…第2誘電板、172c…溝部、181…第1誘電板、182…第2誘電板、191…第1誘電板、192…第2誘電板、193…第3誘電板、193c…溝部、199…プラズマ処理装置。
Claims (4)
- 真空容器の内部の処理室に被加工物を保持し、上記処理室を真空排気しつつ、上記処理室内に反応ガスを導入し、上記真空容器の外部に位置し、その中央部分から放射状かつ上記中央部分に対して時計方向に伸びるように配置された複数の筋状の電極により形成されたコイルより高周波電力を印加し、上記真空容器の隔壁の一部をなす誘電体窓を介して上記処理室内部にプラズマを発生させ、上記被加工物に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置用誘電体窓であって、
上記処理室の内側に面して配置された円盤形状を有する第2誘電板と、
上記処理室の外側に面して配置されかつ上記第2誘電板と接合されて上記誘電体窓を形成する円盤形状を有する第1誘電板と、
上記第1誘電板における上記第2誘電板との接合側表面の全面に一筆書き状に連通して形成された凹部が、上記第2誘電板の表面により囲まれて形成され、冷温媒を流通可能な冷温媒流路と、
上記コイルとの干渉が防止された状態で上記コイルの間を通して配置された冷温媒の循環通路である管路が接続されるとともに、上記第1誘電板の処理室外側表面において最外周の上記冷温媒流路よりも内側の領域に形成された上記冷温媒流路の冷温媒の流出口及び流入口とを備え、
上記第1誘電板及び上記第2誘電板は同じ厚さを有し、互いの接合面が上記誘電体窓の厚さ方向の中央に位置することを特徴とするプラズマ処理装置用誘電体窓。 - 上記第1誘電板と上記第2誘電板との上記接合は、接着剤による接着により行われている請求項1に記載のプラズマ処理装置用誘電体窓。
- 上記第1誘電板及び上記第2誘電板の材質が、共に石英ガラス、シリコン、窒化シリコン、ジルコニア、アルミナ、サファイア、若しくは窒化アルミニウムのいずれかである、又はそれらの組み合わせである請求項1または2に記載のプラズマ処理装置用誘電体窓。
- 上記第1誘電板と上記第2誘電板との材質が共に石英ガラスであり、上記第1誘電板と上記第2誘電板との上記接合は、高温原子間接合により行われている請求項1に記載のプラズマ処理装置用誘電窓。
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