JP4163182B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塩化ビニル系重合体の製造方法に関し、特に、空孔率(ポロシティ)が高く、可塑剤吸収性が良好で、フィッシュアイが非常に少なく嵩比重が高い塩化ビニル系重合体の製造方法に関する。
塩化ビニル系重合体は優れた物理的性質を有する有用な樹脂であり、硬質から軟質のものが幅広い用途に用いられている。このうち軟質のものを用いる用途の分野では、種々の可塑剤が使用されるため、塩化ビニル系重合体に要求される重要な特性の一つとして可塑剤吸収性が優れていることが挙げられる。可塑剤吸収性を向上させるためには、塩化ビニル系重合体の粒子をより多孔質のものにしなければならない。
従来から、可塑剤吸収性が優れた塩化ビニル系重合体の製造方法は多数提案されている。例えば、ケン化度37〜70モル%、重合度160〜500の部分ケン化ポリビニルアルコールの存在下に塩化ビニルの懸濁重合を行い、多孔性塩化ビニル系重合体を製造することが提案されている(特許文献1)。
また、分散安定剤として(A)平均重合度1500〜2700、ケン化度75〜85モル%の部分ケン化ポリビニルアルコールおよび(B)メトキシ置換度26〜30質量%、ヒドロキシプロポキシ置換度4〜15質量%、かつ、その2質量%水溶液の20℃における粘度が5〜4000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用するとともに、重合転化率5〜50%の時点で(C)平均重合度150〜600、ケン化度20〜55モル%の部分ケン化ポリビニルアルコールを重合反応系に添加することにより、可塑剤吸収性が優れた塩化ビニル系重合体を製造することが提案されている(特許文献2)。
近年、塩化ビニル系重合体の用途が更に多様化しており、使用される可塑剤の種類も多様化している。特に、ポリエステル等の高分子系可塑剤が採用される用途の場合においては、従来よりも更に可塑剤吸収性に優れた塩化ビニル系重合体が要求されてきている。
一般的に、可塑剤吸収性を向上させると、それに伴って嵩比重が低下する傾向がみられる。しかし、嵩比重が顕著に低下してしまうことは好ましくない。
前述のような従来技術の方法によれば、ある程度多孔性で可塑剤吸収性の良好な塩化ビニル系重合体が得られる。しかしながら、更に可塑剤吸収性の良好な塩化ビニル系重合体を得ることを意図して、低ケン化度のポリビニルアルコールを重合の初期の段階で多量に使用すると、重合開始直後の単量体液滴表面の保護コロイド性が急激に低下し、得られる重合体が粗粒や塊状となってしまう。また、未反応単量体の回収時に発泡が激しくなり、未反応単量体の回収に要する時間が長くなり、生産性が著しく低下したりするという問題が生じる。
一方、前記特許文献2で提案されている方法に準じて、重合の途中の段階で低ケン化度ポリビニルアルコールを多量に添加すると、得られる重合体が粗粒や塊状となるという問題は生じないが、重合終了後の重合体スラリーの液相中に残存する低ケン化度ポリビニルアルコール量が増加するため、未反応モノマーの回収時の発泡が激しくなり生産性が急激に低下してしまう。また、この方法で得られた塩化ビニル系重合体は、可塑剤吸収性は向上するものの嵩比重の低下が大きいという問題もある。
特開昭52−115890号公報 特開平3−64302号公報
本発明の目的は、空孔率(ポロシティ)が高く、可塑剤吸収性に優れ、フィッシュアイが非常に少なく、嵩比重の高い塩化ビニル系重合体を高生産性で提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
塩化ビニルまたは塩化ビニルと共重合性単量体との単量体混合物を、分散安定剤の存在下に水性媒体中で懸濁重合させることを含む塩化ビニル系重合体の製造方法であって、
前記分散安定剤が、(A)メトキシ基置換度26〜30質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度4〜15質量%、かつ、その2質量%水溶液の20℃における粘度が5〜4000mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、(B)ケン化度75〜85モル%、平均重合度1000〜3000の部分ケン化ポリビニルアルコール、および(C)ケン化度20〜57モル%、平均重合度150〜600の部分ケン化ポリビニルアルコールを含み、
前記の懸濁重合を、(A)、(B)および(C)の存在下で開始し、このとき(A)、(B)および(C)の量が下記式(1)および式(2):
(A)の質量/(B)の質量 =2以上 (1)
0.2≦ (C)の質量/{(A)の質量+(B)の質量} ≦1 (2)
で規定される条件を満たすこと、および
重合転化率が15〜50%の範囲内にある間に、重合反応系に、更に前記(C)を添加することを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法を提供するものである。
本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法によれば、空孔率(ポロシティ)が高く、可塑剤吸収性に優れ、フィッシュアイが少なく、嵩比重が高い塩化ビニル系重合体を、高生産性で製造することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[分散剤安定剤]
本発明の方法では、上述のとおり、上記(A)、(B)および(C)を必須成分とする分散安定剤を使用する。
<(A)成分>
(A)成分は、メトキシ基置換度26〜30質量%、好ましくは27〜30質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度4〜15質量%、好ましくは4〜12質量%、かつ、その2質量%水溶液の20℃における粘度が5〜4000mPa・s、好ましくは13〜1800mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
この(A)成分は、セルロース分子中のグルコース環が有する水酸基が、メトキシ基およびヒドロキシプロポキシ基で置換された水溶性のセルロースエーテルである。本明細書において、例えば、「メトキシ基置換度」とは、前記セルロースエーテルに含まれるメトキシ基(CH3O-)の質量%を意味する。
前記メトキシ基置換度が26%よりも低い場合、または、ヒドロキシプロポキシ基置換度が4%よりも低い場合には、得られる重合体の可塑剤吸収性が低下する。逆に、メトキシ基置換度が30%よりも高い場合、または、ヒドロキシプロポキシ基置換度が15%よりも高い場合には、得られる重合体粒子の粒度分布がブロードとなるという不都合を生じる。
この(A)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。また、その量は、上記塩化ビニルまたは塩化ビニルと共重合性単量体との単量体混合物(以下、「仕込み単量体」という)100質量部に対して、通常、0.02〜0.2質量部、好ましくは0.02〜0.08質量部である。
<(B)成分>
(B)成分は、ケン化度75〜85モル%、好ましくは77〜82%、平均重合度1000〜3000、好ましくは1200〜2500の部分ケン化ポリビニルアルコールである。
前記ケン化度が75モル%よりも低い場合、または、平均重合度が1000よりも低い場合には、得られる重合体が祖粒化したり、重合器内にスケールが付着したりする。逆に、ケン化度が85モル%よりも高い場合、または、平均重合度が3000よりも高い場合には、得られる重合体の可塑剤吸収性が劣り、フィッシュアイが多く生じる。
この(B)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。また、その量は、仕込み単量体100質量部に対して、通常、0.001〜0.1質量部、好ましくは0.005〜0.05質量部である。
<(C)成分>
(C)成分は、ケン化度20〜57モル%、好ましくは30〜57%、平均重合度150〜600、好ましくは150〜400の部分ケン化ポリビニルアルコールである。
前記ケン化度が20モル%よりも低い場合、または、平均重合度が150よりも低い場合には、得られる重合体が祖粒化したり、重合器内にスケールが付着したりする。逆に、ケン化度が57モル%よりも高い場合、または、平均重合度が600よりも高い場合には、得られる重合体の可塑剤吸収性が不十分なものとなる。この(C)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明の製造方法において、この(C)成分は、重合開始前に、上記(A)および(B)成分とともに重合器内に仕込まれる。また、更に、(C)成分は、後記のとおりにして、重合開始後に重合反応系に添加される。
重合開始前の(C)成分の量は、仕込み単量体100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.05質量部、特に好ましくは0.015〜0.04質量部である。この量が少なすぎると得られる重合体の可塑剤吸収性が劣り、多すぎると得られる重合体が粗粒化してしまう。
<(A)、(B)および(C)成分の量>
本発明の方法では、懸濁重合を、上記(A)、(B)および(C)の存在下で開始する。
このとき(A)、(B)および(C)の量が下記式(1)および式(2):
(A)の質量/(B)の質量 =2以上 (1)
0.2≦ (C)の質量/{(A)の質量+(B)の質量} ≦1 (2)
で規定される条件を満たすことが必須の要件である。
前記式(1)に関し、「(A)の質量/(B)の質量」が2未満であると、得られる重合体の嵩比重が大きく低下してしまう。高い可塑剤吸収性、高い嵩比重を有する塩化ビニル系重合体を得るためには、「(A)の質量/(B)の質量」が2以上であることが必須であり、好ましくは、2.3〜9である。
前記式(2)に関し、「(C)の質量/{(A)の質量+(B)の質量}」が0.2未満であると得られる重合体の可塑剤吸収性が劣り、1を越えると得られる重合体が粗粒化してしまう。好ましい「(C)の質量/{(A)の質量+(B)の質量}」は、0.5〜0.9の範囲である。
[重合反応系への(C)成分の添加]
本発明の方法では、重合反応が開始された後、重合添加率が15〜50%の範囲内にある間に、重合反応系に上記(C)成分の部分ケン化ポリビニルアルコールを添加することが必須の要件である。特に、重合添加率が25〜50%の範囲内にある間に、(C)成分を添加することが好ましい。
(C)成分を、重合添加率が15%未満の段階で添加すると得られる重合体が粗粒化してしまい、また、重合添加率が50%を超える段階で添加すると得られる重合体の可塑剤吸収性が劣るとともに、未反応単量体の回収時に発泡が激しく、未反応単量体の回収に要する時間が長くなるため、生産性が大きく低下してしまう。
重合反応系に添加される(C)成分の量は、仕込み単量体100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.07質量部、特に好ましくは0.02〜0.06質量部である。前記量が少なすぎると可塑剤吸収性が劣り、逆に多すぎると未反応単量体の回収時に発泡が激しく、生産性が大きく低下してしまう。なお、(C)成分の重合反応系への添加操作は、特に制限されず、例えば、一度に所定量の全量を添加してもいいし、二度に分けて添加してもよい。
<重合転化率>
本発明における重合転化率は、5L重合器での重合を行い、重合時間と重合転化率の関係を求めた結果を基準にして算出した。
すなわち、内容量5Lのステンレス製重合器に脱イオン水 2600g、ケン化度80.5モル%の部分ケン化ポリビニルアルコールの2質量%水溶液 13g、およびメトキシ基置換度28.5質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度8.9質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースの2質量%水溶液 52gを仕込んだ。重合器内を内圧が絶対圧8kPa.absとなるまで脱気した後、塩化ビニル単量体 1300gを仕込んだ。撹拌しながら所定の重合開始剤を所定量仕込み、同時に昇温を開始し重合器内が所定の重合温度に達した段階で、その温度を保ち重合を続けた。昇温開始1時間後に亜硝酸ナトリウムの10質量%水溶液 26gを添加し重合を完全に停止させ、未反応単量体を回収した。重合体スラリーを脱水、乾燥して得られた塩化ビニル重合体の全量を秤量し、昇温開始1時間後における重合転化率を求めた。
同様にして、1.5時間後、2時間後、2.5時間後、3時間後、3.5時間後、4時間後、4.5時間後、および5時間後の30分毎の重合転化率を算出し、重合時間と重合転化率の関係を求めた。
この重合時間と重合転化率の関係は、所要の重合開始剤の種類および添加量、並びに重合温度ごとに作成した。なお、重合時間と重合転化率との関係は使用する分散剤にはほとんど依存しないので、上記の重合では一般的な組成の分散剤を使用した。
[その他の重合条件]
本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法は、前述のように特定の分散安定剤を使用し、その割合・添加段階を限定すること以外は、通常行われている塩化ビニル系重合体の製造方法と同様の条件で行うことができる。
<単量体>
本発明で用いられる単量体原料は、塩化ビニルまたは塩化ビニルを主成分とする単量体混合物である。塩化ビニルを主成分とする単量体混合物は、少なくとも50質量%以上の塩化ビニルと、塩化ビニルと共重合可能な他の単量体とからなる混合物である。前記共重合可能な他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、またはメタクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレン;塩化ビニリデン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
<重合開始剤>
本発明方法で使用される重合開始剤も特に限定されず、従来の塩化ビニル系重合体の製造に用いられているものでよい。例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート化合物;t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-アミルパーオキシネオデカノエート等のパーオキシエステル化合物;ジイソブチリルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、2,4,4-トリメチルペンチル-2-パーオキシフェノキシアセテート、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の過酸化物;アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。その使用量は、仕込み単量体100質量部に対し、通常、0.01〜1質量部の範囲である。
<酸化防止剤>
本発明に用いられる酸化防止剤は特に制限はなく、塩化ビニル系重合体の製造において一般に用いられるものでよい。例えば、2,2-ジ(4'-ヒドロキシフェニル)プロパン、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルヒドロキシアニソール、n-オクタデシル・3-(4-ヒドロキシ3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、4.4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール・ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6-ジ-t-ブチル-4-sec-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、t-ブチルカテコール、4,4'-チオビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、トコフェロール、ノルジヒドログアイアレチン酸等のフェノール化合物;セミカルバジド、1-アセチルセミカルバジド、1-クロルアセチルセミカルバジド、1-ジクロルアセチルセミカルバジド、1-ベンゾイルセミカルバジド、セミカルバゾン等のセミカルバジド誘導体;カルボヒドラジド、チオセミカルバジド、チオセミカルバゾン等のチオカルバジドの誘導体;フェニルナフチルアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、4,4'-ビス(ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のアミン化合物;ニトロアニソール、N-ニトロソジフェニルアミン、ニトロアニリン、N-ニトロソフェニルヒドロキシリルアミンアルミニウム塩等のニトロまたはニトロソ化合物;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4'-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシルホスファイト)、ジオクタデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト等のリン化合物;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ドデシルメルカプタン、1,3-ジフェニル-2-チオ尿素等の硫黄化合物等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
これらのうちで、得られる重合体の抗初期着色性が良好で、重合器へのスケール付着が少ない点で、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、トリエチレングリコール・ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、t-ブチルヒドロキシアニソール、t-ブチルハイドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-4-sec-ブチルフェノール、オクタデシル・3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
酸化防止剤の添加時期は特に限定はなく、得られる重合体のフィッシュアイを低減させる目的で重合開始前に添加したり、異常反応制御や重合速度制御等の目的で重合途中に添加したり、得られる重合体の可塑剤吸収性等の品質を一定に制御する等の目的で重合終了後に添加する等種々の目的で使用される。酸化防止剤の添加方法は特に限定はなく、通常行われているように、メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒に溶解して添加しても、水性エマルジョンとして添加しても、加熱溶融状態で添加してもよい。
これらの酸化防止剤は、仕込み単量体100質量部に対し、0.0001〜0.1質量部を使用すると好適である。
[その他]
重合における他の条件、例えば、重合器への水性媒体、塩化ビニルまたは塩化ビニルを含む単量体混合物、分散助剤、重合開始剤等の仕込み方法、仕込み割合、あるいは重合温度なども従来と同様でよい。また、必要に応じて塩化ビニル系重合体の製造に一般的に使用されている重合度調整剤、連鎖移動剤、耐電防止剤などを適宜使用することもできる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下、重合開始前に重合器に仕込む上記(C)成分を「(C-1)」と記載し、重合開始後に重合反応系に添加する上記(C)成分を「(C-2)」と記載する。
[実施例1]
内容量2m3のステンレス製重合器に脱イオン水 980kg、(A)メトキシ基置換度28.5質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度8.9質量%、そして2質量%水溶液の20℃における粘度が49mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース 166.4g、(B)ケン化度80.5モル%、平均重合度2500の部分ケン化ポリビニルアルコール 41.6g、および(C-1)ケン化度48モル%、重合度230の部分ケン化ポリビニルアルコール 162.5gを仕込んだ。重合器内を内圧が絶対圧8kPa.absとなるまで脱気した後、塩化ビニル単量体 650kgを仕込んだ。撹拌しながら、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシネオデカノエート 780gを仕込み、同時にジャケットに温水を通して昇温を開始し、重合器内が51.0℃に達した段階で、その温度を保ち重合を続けた。
重合転化率が30%となった時点で、(C-2)ケン化度48モル%、重合度230の部分ケン化ポリビニルアルコール 195gを水/メタノール混合液に溶解して重合器内に圧入した。
重合器内の圧力が0.62MPa.Gに低下した時点で、重合器内にトリエチレングリコール・ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]の35質量%水性分散液を600g添加し、次いで未反応単量体を回収した。
未反応単量体の回収の際には、重合器に設置されたレベル計の指示により、重合器内最上部から液面(発泡状態である泡の最上部)までの距離が20cm以上となるように未反応単量体回収速度を調整した。未反応単量体回収に要した時間を表1に示す。重合体スラリーを脱水、乾燥して塩化ビニル重合体を得た。
得られた重合体の嵩比重、平均粒子径、可塑剤吸収量、可塑剤吸収性およびフィッシュアイ個数を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
<嵩比重>
JIS K6720-2に準拠して測定した。
<平均粒径>
JIS Z8801規定の試験用ふるいのうち、呼び寸法が300μm、250μm、180μm、150μm、106μmおよび75μmのふるいをロータップ型ふるい分け装置に取り付け、最上段に試料重合体 100gを静かに入れて、10分間しんとう後、各ふるい上に残った試料の質量を測定し、下記に示す総質量(100g)に対する百分率(A〜F)を求めた。求めた各ふるいの篩上率および篩下率を下記式に代入して平均粒径を求めた。
A:呼び寸法250μmのふるいでの篩上率(%)
B:呼び寸法180μmのふるいでの篩上率(%)
C:呼び寸法150μmのふるいでの篩上率(%)
D:呼び寸法106μmのふるいでの篩上率(%)
E:呼び寸法75μmのふるいでの篩上率(%)
F:呼び寸法75μmのふるいでの篩下率(%)
平均粒径(μm)={(A×300)+(B×215)+(C×165)+(D×128)+(E×90)+(F×60)}×1/100
<可塑剤吸収量>
内径25mm、深さ85mmのアルミニウム合金製容器の底にグラスファイバーを詰め、試料重合体 10gを採取して投入する。これにジオクチルフタレート(DOP)15mLを加え、30分放置してDOPを重合体に充分浸透させる。しかるのちに、1500Gの加速度で過剰のDOPを遠心分離して除去する。重合体に吸収されたDOPの量を、未吸収の重合体に対する質量%として算出して求めた。
<可塑剤吸収性>
試料重合体 400gを、ジャケット温度を80℃に調節した撹拌機付きのブラベンダープラストグラフに投入して、4分間撹拌し、重合体温度を80℃とした後、DOP200gを添加し、前記添加時点からドライアップする(回転トルクが下降する)までの時間を測定した。
<フィッシュアイ>
試料重合体 100質量部、三塩基性硫酸鉛1質量部、ステアリン酸鉛 1.5質量部、二酸化チタン 0.2質量部、カーボンブラック 0.1質量部およびDOP 50質量部を混合したコンパウンド 25gを145℃のロールで5分間混練して0.2mm厚のシートとして分取し、このシート100cm2中の透明粒子の個数を測定した。
[実施例2]
実施例1に記載の(C-2)成分を、重合転化率が20%となった時点で添加することに変更したこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得て、実施例1と同じに測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1に記載の(C-2)成分の量 195gを 325gに変更したこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得て、実施例1と同じに測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1に記載の(A)成分の量 166.4gを 41.6gに、(B)成分の量 41.6gを 166.4gに、および(C-2)成分の量 195gを 325gに、それぞれ変更したこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得て、実施例1と同じに測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1に記載の(C-1)成分の量 162.5gを 357.5gに変更したこと、および(C-2)成分を添加しなかったこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得た。得られた重合体は、ブロック状の塊および粒径1〜2mmの粗大粒子を多く含む、いわゆる粗粒化の状態であった。
[比較例3]
実施例1に記載の(C-1)成分を使用しなかったこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得た。結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1に記載の(C-1)成分を使用しなかったこと、および(C-2)成分の量 195gを 357.5gに変更したこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得て、実施例1と同じに測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例1に記載の(C-1)成分を使用しなかったこと、および(C-2)成分の量 195gを 520gに変更したこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得て、実施例1と同じに測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004163182

Claims (3)

  1. 塩化ビニルまたは塩化ビニルと共重合性単量体との単量体混合物を、分散安定剤の存在下に水性媒体中で懸濁重合させることを含む塩化ビニル系重合体の製造方法であって、
    前記分散安定剤が、(A)メトキシ基置換度26〜30質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度4〜15質量%、かつ、その2質量%水溶液の20℃における粘度が5〜4000mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、(B)ケン化度75〜85モル%、平均重合度1000〜3000の部分ケン化ポリビニルアルコール、および(C)ケン化度20〜57モル%、平均重合度150〜600の部分ケン化ポリビニルアルコールを含み、
    前記の懸濁重合を、(A)、(B)および(C)の存在下で開始し、このとき(A)、(B)および(C)の量が下記式(1)および式(2):
    (A)の質量/(B)の質量 =2以上 (1)
    0.2≦ (C)の質量/{(A)の質量+(B)の質量} ≦1 (2)
    で規定される条件を満たすこと、および
    重合転化率が15〜50%の範囲内にある間に、重合反応系に、更に前記(C)を添加することを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
  2. 前記の仕込んだ塩化ビニルまたは単量体混合物100質量部に対し、前記重合を開始するときの(C)の量が0.01〜0.05質量部であり、かつ、前記重合転化率が15〜50%の範囲内にある間に添加する(C)の量が0.01〜0.07質量部である請求項1に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
  3. 仕込んだ塩化ビニルまたは単量体混合物100質量部に対し、重合開始時に、(A)の量が0.02〜0.2質量部であり、(B)の量が0.001〜0.1質量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
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