JP4161164B2 - ガラス成分を含む有機ポリマー基材表面に無機化合物層を積層させた複合材料及びその製造法 - Google Patents

ガラス成分を含む有機ポリマー基材表面に無機化合物層を積層させた複合材料及びその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工骨や人工歯等に用いる生体適合性に優れた医療材料としてだけでなく、環境適合性を有する軽量高強度材料、光学機能材料、タンパク質や油脂等の吸着分離用素材、更には、液体や気体中のウイルス、細菌、動植物細胞等を捕捉するフィルター又は廃液処理や空気清浄フィルター等の材料として有用な、有機ポリマー基材上に無機化合物層を積層させた複合材料及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記用途に適した材料を形成するために、基材の表面に無機化合物層を形成する方法が各種報告されている。例えば、プラズマ溶射法、スパッタリング法、フレーム溶射法、焼き付け法、電気泳動法等が知られている。しかし、これらの方法において、有機材料を基材とする場合には、高温処理が障害になるなどの、種々の欠点があることが報告されている(特開平6−293504号公報)。
【0003】
有機材料表面に、アパタイト層のようなリン酸カルシウム系化合物層を形成する方法としては、生体における骨形成のメカニズムを模倣して、基材表面に水酸アパタイトの核生成を誘導し、疑似体液に浸漬してアパタイト結晶を成長させる方法が提案されている。そして、核生成を誘導する方法として、生体活性ガラス粉末を含むアパタイト形成成分含有水溶液に基材を浸漬させる方法(特開平6−293506号公報)、基材をリン酸エステル化する方法(特開平8−260348号公報)、有機ポリマー表面をシランカップリング剤処理する方法(特開平6−293504号公報)等も報告されている。しかし、これらの方法では、基材の種類が限定されていたり、基材形状を工夫しないと水酸アパタイト結晶を十分に析出できなかったり、均一なアパタイトコーティング層を形成できなかったりした。
【0004】
また、高分子上に炭酸カルシウム皮膜を形成する方法も報告されており、例として、貝殻真珠層の形成を模倣した貝から抽出したタンパク質を用いる方法(Chemistry A European Journal、4、389(1998))、基板を貝の組織につくらせる方法(Nature、371、 49(1994))等がある。しかし、これらの方法は、生物を利用する方法であって、複雑で高価なものであったり、均一な炭酸カルシウム層を形成できないものであったりした。
【0005】
上述のように、有機基材上に無機化合物層を形成するには、複雑な操作過程を必要とするものが多く、更に、基材の種類の影響も大きく受けるため、より簡便で、しかも基材の種類の影響が少ない、汎用性の高い方法が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の諸問題を解消し、より簡便で、しかも基材の種類の影響が少ない方法で得られる複合材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、有機ポリマー基材の表面に、無機化合物層を形成させてなる複合材料及びその製造方法を、鋭意研究してきた。
【0008】
その結果、組成成分として、SiO2、TiO2、ZrO2、Ta25、Nb25よりなる群から選ばれる1種以上の成分を合計で30モル%以上有するガラスを含有する有機ポリマー基材を、アニオン成分を含む水溶液、又は、アニオン成分及びカチオン成分を含む水溶液に浸漬することで、基材表面に、水に不溶の塩を構成成分とする無機化合物層を、効果的に形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、以下の複合材料及びその製造法に関する。
【0010】
1.組成成分として、SiO2、TiO2、ZrO2、Ta25、Nb25よりなる群から選ばれる1種以上の成分を合計で30モル%以上有するガラスを含有している有機ポリマー基材の表面の一部又は全部に、無機化合物層を形成したことを特徴とする複合材料。
【0011】
2.組成成分として、更に、アルカリ金属酸化物及び/又はアルカリ土類金属酸化物を10〜70モル%有するガラスが使用されていることを特徴とする前記項1記載の複合材料。
【0012】
3.有機ポリマー基材を構成するポリマーが、アニオン性官能基を有することを特徴とする前記項1〜2のいずれかに記載の複合材料。
【0013】
4.有機ポリマー基材が、無機化合物層の構成成分となる塩を形成するカチオン成分を含有していることを特徴とする、前記項1〜3のいずれかに記載の複合材料。
【0014】
5.カチオン成分が、カルシウムイオンであることを特徴とする前記項4に記載の複合材料。
【0015】
6.有機ポリマー基材が、無機及び/又は他の有機材料の表面に積層された構造であることを特徴とする前記項1〜5のいずれかに記載の複合材料。
【0016】
7.無機化合物層の構成成分である塩の全てまたは一部がリン酸カルシウム系化合物であることを特徴とする前記項1〜6のいずれかに記載の複合材料。
【0017】
8.ガラスを含有する有機ポリマー基材を、アニオン成分を含む溶液中に浸漬することにより、該アニオン成分から形成される塩を構成成分として含む無機化合物層を、有機ポリマー基材の表面の一部又は全部に形成することを特徴とする前記項1〜7のいずれかに記載の複合材料を製造する方法。
【0018】
9.ガラスを含有する有機ポリマー基材を、カチオン成分及びアニオン成分を含む溶液中に浸漬することにより、該カチオン成分と該アニオン成分から形成される塩を構成成分として含む無機化合物層を、有機ポリマー基材の表面の一部又は全部に形成することを特徴とする前記項1〜7のいずれかに記載の複合材料を製造する方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0020】
有機ポリマー基材
本発明の有機ポリマー基材に使用する有機ポリマーとして、特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン12等のポリアミド類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルなどのアクリル系樹脂、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステルなどのメタクリル系樹脂、ジエン系ポリマーを含む各種ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、酢酸セルロース、エチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアリレート、アラミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリベンザゾール、ポリアミドイミド等の芳香族系ポリマー、各種ポリマーの2種以上からなる組成物等を使用することができる。
【0021】
中でも、ポリマー分子鎖上にアニオン性官能基を有するポリマーが、無機化合物層と有機ポリマー基材の接着性を向上するという点において、好ましい。ここで言うアニオン性官能基とは、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、スルホン酸基から選ばれるもので、1種のアニオン性基が単独で存在しても、2種以上のアニオン性基が併存していてもかまわない。アニオン性基の存在量は特に限定されることはないが、無機化合物層と有機ポリマー基材層との接着力を向上させるためには、有機ポリマー繰り返し単位の10モル%以上の濃度で存在することが好ましい。さらに、20モル%以上の濃度で存在することが、特に際立った接着力を示すことができる点で好ましい。アニオン性基の含有量が多くなりすぎると、アニオン性基含有ポリマーの親水性が増し、水膨潤性や水溶性を示すようになり、本発明の複合材料用の基材として使用するには不都合になる場合がある。このような場合には、有機ポリマー分子鎖間に架橋構造を導入する等のポリマー変性により、耐水性を高めることで、ポリマー基材としての基本特性を保つことができる。また、各種ポリマーの共重合体、変性ポリマー、組成物とすることもできる。
【0022】
また、本発明の有機ポリマー基材中に、必要に応じて、帯電防止剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、顔料などの着色料、等の各種添加剤が混合されていても問題はない。
【0023】
本発明の複合材料に用いる有機ポリマー基材には、ガラスを含有する有機ポリマーが用いられる。
【0024】
ここでガラスとしては、組成成分として、SiO2、TiO2、ZrO2、Ta25、Nb25よりなる群から選ばれる1種以上の成分を合計で30モル%以上有するものであれば、任意のガラスを使用することができる。
【0025】
上記以外の、ガラスの組成成分としては、CaO、Na2O、P25、B23、K2O、Al23、ZnO、BaO、Li2O、MgO等が挙げられるが、特に制限はない。
【0026】
中でも、組成成分として、更に、アルカリ金属酸化物及び/又はアルカリ土類金属酸化物を10〜70モル%有するガラスは、無機化合物層の析出を促進させる点で好ましい。特に、CaOを10〜70モル%有するものは、無機化合物層と有機ポリマー基材の接着性を向上するという点において好ましい。
【0027】
ガラスの形状は、粉末状、粒状、棒状、板状、繊維状など特に制限はないが、有機ポリマー基材中に均一に含有させるためには粉末状であることが好ましく、かつガラスのサイズはより小さいことが好ましい。しかしながら、無機化合物層と有機ポリマー基材との接着性を向上させるためには、ガラスは有機ポリマー基材の表面に露出していることが必要である。ガラスのサイズは、好ましくは500μm以下のサイズであり、特に好ましくは100μm以下のサイズである。特に有機ポリマー基材がフィルムや繊維、薄層である場合、有機ポリマー基材の成形を妨げないサイズのガラスを選択する必要がある。有機ポリマー基材を50μmのフィルムに成形する場合、フィルム厚を超えないように、例えばガラスは45μm以下のサイズを選択するのがよい。
【0028】
上記ガラスを含む有機ポリマーを調整する方法に、特に制限はない。 例えば、ガラスを有機ポリマー溶液に分散させて繊維化又はフィルム化する方法、他基材にコーティング等した後、溶媒を除去する方法、メルト状態の有機ポリマーにガラスを混練りして成形を行う方法などが挙げられる。
【0029】
ガラスは、ポリマー基材の5重量%以上であることが好ましく、更に、効果をより顕著にするためには、10重量%以上であることが好ましい。
【0030】
このようにして得られた、ガラスを含む有機ポリマーからなる基材の形状は、板状、棒状、粒状などの成型物、織物、編物、不織布、フェルト、シートなどの繊維状、多孔質構造を含むフィルム、中空糸、プラスチックフォーム等種々の形状で得ることができ、特に限定されることはない。さらに、ガラスを含む有機ポリマー基材は、上で述べた形状を持つものを例とする他の基材の表面に薄層として存在していてもよい。この場合、複合材料表面における性質は、無機化合物層が主として担い、複合材料全体としての力学的、熱的性質等はここで述べる他の基材が主として担うこととなり、ガラスを含む有機ポリマー基材は、両者を接合する役割を果たすことになる。これにより、ガラスを含む有機ポリマーのみを用いる場合に比べて、安価で汎用性の高い材料を選ぶことができるほか、有機材料だけでなく、金属材料、無機材料、セラミック材料、有機−無機ハイブリッド材料など熱的性質や力学的性質において幅広い範囲の材料から選定することができ、本発明の複合材料としての利用範囲を広げることができる。
【0031】
無機化合物層
本発明の無機化合物層は、カチオン成分とアニオン成分から形成される、水に不溶な塩を構成成分とする。
【0032】
カチオン成分としては、水に不溶な塩を形成できるカチオンであれば特に限定されず、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セリウムイオン、ベリリウムイオン、ルビジウムイオンなどのアルカリ性の金属イオン、マンガンイオン、鉛イオン、亜鉛イオン、鉄イオン、銅イオン、銀イオン、クロムイオン、ニッケルイオン、カドミニウムイオンなどの遷移金属イオンや、アルミニウムイオンが例示される。特にカルシウムイオンが好ましい。
【0033】
前記カチオン成分と水に不溶性の塩を形成し得るアニオン成分としては、リン酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、ケイ酸イオン、硝酸イオンなどが例示される。特に、リン酸イオンが好ましい。
【0034】
カチオン成分とアニオン成分とにより形成される無機化合物は、特に限定されることはなく、例として、リン酸カルシウム系化合物、炭酸カルシウム、硫化カドミニウム、硫化亜鉛などを挙げることができる。
【0035】
リン酸カルシウム系化合物としては、アパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸八カルシウム、非晶質リン酸カルシウムなどを挙げることができる。中でも、アパタイトが、生体親和性に優れている点で特に好ましい。
【0036】
ガラスを含有する有機ポリマー基材表面の一部又は全部に、無機化合物層を形成する方法としては、特に制限はないが、例えば、カチオン成分を有する有機ポリマー基材を、アニオン成分を含む溶液中に浸漬することにより、有機ポリマー基材上に該カチオン成分と該アニオン成分からなる塩を構成成分とする無機化合物層を形成する方法、又は、有機ポリマー基材中にカチオン成分を含有させておき、該基材をアニオン及び/又はその誘導体を含有する水溶液に浸漬する事により、該カチオン成分と該アニオン成分からなる塩を構成成分とする無機化合物層を、有機ポリマー基材上に析出させる方法などを用いることができる。
【0037】
表面の一部とは有機ポリマー基材表面の40%以上であり、リン酸カルシウム化合物の生体活性な特性を高めるためには、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上である。また、有機ポリマー基材の表面の一部より全部の方が好ましい。
【0038】
アニオン成分の濃度は0.0001mM(=ミリモル/リットル)以上で、過飽和状態を含む溶解可能な濃度以下で任意濃度範囲が選定できる。リン酸イオン及び/又はその誘導体を含む水溶液に浸漬する場合には、リン酸イオン濃度は0.001mM以上の任意濃度範囲が選定できる。アニオン及び/又はその誘導体とともにカチオンを含む水溶液に浸漬する場合は、アニオン濃度、カチオン濃度ともに0.0001mM以上かつアニオンとカチオンが塩等の沈殿物を形成する濃度以下で任意の濃度範囲が選定できる。過飽和状態であってもよい。リン酸イオン及び/又はその誘導体とともにカルシウムイオンを含む水溶液に浸漬する場合は、リン酸イオン濃度としては0.001mM〜50mMの範囲が、カルシウムイオン濃度としては0.002〜50mMの範囲が好ましい。この濃度以下であれば、結晶核が十分に生成せず、基材表面を十分に覆う被膜の形成が困難になる。また、この濃度以上であれば無機化合物の沈殿が無秩序に析出してしまうため、好ましくない。
【0039】
また、これらの水溶液中には、上記のカチオン成分及び/又はアニオン成分の他に、各種イオンを含むこともできる。特に生体内の体液や血液に含まれるH+、Na+、K+、Mg2+、OH-、Cl-などを適量含んでいる場合が好ましい。このような各種イオンを含む水溶液として、疑似体液を使用することもできる。さらにこれらの水溶液中に、ポリカルボン酸を適量含んでいる場合が好ましい。
【0040】
水溶液の温度条件は、存在するイオン種の組み合わせにより適宜設定することができるが、通常、10〜70℃の間で設定することが好ましい。
【0041】
カチオン成分を含まず、アニオン成分及び/又はその誘導体を含有する場合は、水溶液のpHは、3付近から12付近までの幅広い範囲を選ぶことができる。カチオン成分とアニオン成分を同時に含有する場合には、pH5〜9付近が好ましい。
【0042】
いずれの場合においても、無機化合物層の構成成分となる塩の析出物が生成後、pHを変化させて析出物の構造を変化させることも可能である。
【0043】
複合材料
本発明の複合材料とは、ガラス成分を含む有機ポリマー基材上に無機化合物層を形成させた複合材料である。又、本発明の複合材料には、有機ポリマー基材が無機及び/又は他の有機材料の表面に積層された構造であり、かつ有機ポリマー基材上に無機化合物層を形成させた、少なくとも3層からなる複合材料も含まれる。
【0044】
本発明の複合材料の形状は、積層構造を有するものであれば、特に限定されることはない。板状、棒状、粒状などの成型物、織物、編物、不織布、フェルト、シートなどの繊維状、多孔質構造を含むフィルム、中空糸、プラスチックフォーム等、種々の形状で得ることができる。
【0045】
本発明の複合材料は、人工骨や人工歯等の生体適合性に優れた医療材料だけでなく、タンパク質や油脂等の吸着分離用素材、更には、液体や気体中のウイルス、細菌、動植物細胞、悪臭成分等を捕捉するフィルター又は廃液処理、浄水や空気清浄フィルターの材料、機能性不織布、機能性不織布、吸着性・消臭性・耐火性をもつ壁紙、機能性マスクなどに用いる材料として利用できる。
【0046】
また、本発明の複合材料に、例えば、硫化カドミニウム層を被覆した場合には、発光素子や光触媒としての機能を持つ複合材料としても利用できる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を、実施例及び比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。
【0048】
なお、実施例及び比較例において、ポリマーの表面にアパタイト層が形成されていることは、日立製電子顕微鏡S−3500(SEM写真)で表面観察を行い、処理前後の変化を確認した。また、リン酸カルシウム系化合物結晶の構造は、マックサイエンス社製M18XHFVAの薄膜X線回折で測定される結晶回折ピークおよびパーキンエルマー社製SpectrumGXのFT−IRに現れるリン酸結合に由来する吸収ピークから確認した。
【0049】
実施例1
1、1、1、3、3、3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール7mlに、東洋紡製ナイロン樹脂(T810)1gを混合し、約12時間撹拌して、均一溶液を得た。これに粉末状ガラス(10MgO−45CaO−45SiO2(モル%比))を加えて、約12時間撹拌して、分散した。これを水平に保ったガラス板上にアプリケーターを用いて薄く延ばした後、1Torr、60℃に保った真空乾燥機内に12時間保持してフィルムを得た。大きさ1cm×1cmに切り出した同フィルムを、ヒトの血しょうとほぼ等しい無機イオン濃度を持つ疑似体液(SBF;Na+142.0,K+5.0,Mg2+1.5,Ca2+2.5,Cl-147.8,HCO3 -4.2、HPO4 2-1.0、SO4 2-0.5mM)の1.5倍のイオン濃度を有するpH7.40の1.5SBF30ml中に浸漬した。浸漬フィルムの表面のSEM写真を図1に示す。浸漬3日後にはフィルムの半分以上が、浸漬7日後にはフィルムの大半が析出物で覆われているのが観察された。薄膜X線回折で26ならびに32°付近にブロードなピークが観察されたこと、FT−IRにより600および1000cm-1付近にP−O結合に帰属されるピークが観察されたことより、ポリマーフィルム上にアパタイト層が形成された複合材料が形成されたことが確認できた。
【0050】
比較例1
粉末状ガラスを用いない以外は、実施例1と同様にして浸漬実験を行った。フィルム表面には積層物は観察されず、FT−IR測定においてもアパタイトに帰属されるピークは認められなかった。
【0051】
比較例2
粉末状ガラスを10MgO−45CaO−45Al23(モル%比)に変更した以外は実施例1と同様にして浸漬実験を行った。フィルム表面には積層物は観察されず、FT−IR測定においてもアパタイトに帰属されるピークは認められなかった。
【0052】
比較例3
粉末状ガラスを15MgO−70CaO−15SiO2(モル%比)に変更した以外は実施例1と同様にして浸漬実験を行った。7日間浸漬後フィルム表面に白い析出物を肉眼で確認できたがフィルム乾燥時に脱落してしまった。SEM観察ではフィルム上に析出物は観察されず、FT−IR測定においてもアパタイトに帰属されるピークは認められなかった。
【0053】
実施例2
1、1、1、3、3、3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール6mlに、東洋紡製ポリエチレンテレフタレート樹脂1gを混合し、約12時間撹拌して、均一溶液を得た。これに粉末状ガラス(10MgO−45CaO−45SiO2(モル%比))を加えて約12時間撹拌させて、分散した。これを水平に保ったガラス板上にアプリケーターを用いて薄く延ばした後、1Torr、60℃に保った真空乾燥機内に12時間保持してフィルムを得た。大きさ1cm×1cmに切り出した同フィルムを、pH7.40の1.5SBF30ml中に浸漬した。浸漬フィルムの表面をSEMで観察すると浸漬3日後にはフィルムの半分以上が浸漬7日後にはフィルムの大半が析出物で覆われていた。また薄膜X線回折で26ならびに32°付近のピークが、FT−IRにより600及び1000cm-1付近にP−O結合に帰属されるピークが観察されたことより、ポリマーフィルム上にアパタイト層が形成された複合材料が形成されたことが確認できた。
【0054】
比較例4
粉末状ガラスを用いない以外は実施例2と同様にして浸漬実験を行った。フィルム表面に積層物は観察されず、FT−IR測定においてもアパタイトに帰属されるピークは認められなかった。
【0055】
比較例5
粉末状ガラスを10MgO−45CaO−45Al23(モル%比)に変更した以外は、実施例2と同様にして浸漬実験を行った。フィルム表面に積層物は観察されず、FT−IR測定においてもアパタイトに帰属されるピークは認められなかった。
【0056】
実施例3
メタフェニレンジアミン6.66g(0.0616mol)、5−カルボキシ−1、3−フェニレンジアミン9.37g(0.0616mol)を窒素気流下でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)150mlに溶解し、氷冷の後イソフタル酸クロリド25.00g(0.1231mol)を加えて撹拌を続けた。氷冷下で1時間反応させた後、室温でさらに2時間反応してから重合液を過剰のメタノール中に注いで、50モル%カルボン酸モノマー共重合ポリアミドを得た。家庭用ミキサーで水洗を繰り返した後、乾燥した。収量は31.7gであった。0.5g/dlのNMP溶液を30℃で測定した対数粘度は1.54を示した。このポリマー1gに粉末状ガラス(10MgO−45CaO−45SiO2(モル%比))およびジメチルアセトアミド10mlを加えて約12時間撹拌し、分散した。これを水平に保ったガラス板上にバーコーターを用いて薄く延ばした後、1Torr、60℃に保った真空乾燥機内に8時間保持して膜厚22μmのフィルムを得た。大きさ1cm×1cmに切り出した同フィルムを、ヒトの血しょうとほぼ等しい無機イオン濃度を持つ疑似体液(SBF;Na+142.0,K+5.0,Mg2+1.5,Ca2+2.5,Cl-147.8,HCO3 -4.2、HPO4 2-1.0、SO4 2-0.5mM)の1.5倍のイオン濃度を有するpH7.40の1.5SBF30ml中に4日間浸漬した。薄膜X線回折で26ならびに32°付近にピークを示すとともに、FT−IRにより600及び1000cm-1付近にP−O結合に帰属されるピークが観察され、ポリマーフィルム上にアパタイト層が形成された複合材料が形成されたことが確認できた。
【0057】
比較例6
粉末ガラスを用いない以外は実施例3と同様にして浸漬実験を行った。フィルム(膜厚20μm)表面に、積層物は観察されず、FT−IR測定においてもアパタイトに帰属されるピークは認められなかった。
【0058】
【発明の効果】
組成成分として、SiO2、TiO2、ZrO2、Ta25、Nb25よりなる群から選ばれる1種以上の成分を合計で30モル%以上有するガラスを含有する有機ポリマー基材を、アニオン成分を含む溶液、又は、アニオン成分及びカチオン成分を含む溶液に浸漬することによって、有機ポリマー基材表面に、無機化合物層が形成された複合材料を、効率的に製造することができた。
【0059】
この複合材料は、人工骨や人工歯をはじめとする生体適合性に優れた医療材料だけでなく、タンパク質や油脂等の吸着分離用素材、更には、液体や気体中のウイルス、細菌、動植物細胞、悪臭成分等を捕捉するフィルター、又は、廃液処理、浄水や空気清浄フィルターの材料として、有用に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1におけるガラス含有ナイロンフィルムを疑似体液に浸漬した後の表面を、日立製電子顕微鏡S−3500(SEM写真)で観察した図である。

Claims (3)

  1. ガラスを含有する有機ポリマー基材を、カチオン成分及びアニオン成分を含む溶液中に浸漬することにより、該カチオン成分と該アニオン成分から形成される塩を構成成分として含む無機化合物層を、有機ポリマー基材の表面の一部又は全部に形成して得られる複合材料であって、
    前記ガラスが、組成成分としてSiO2を30モル%以上、かつ、CaOを10〜70モル%有するガラスであり、
    前記有機ポリマー基材がポリアミド類であり、
    前記カチオン成分及びアニオン成分を含む溶液が、リン酸イオン及び/又はその誘導体とともにカルシウムイオンを含む水溶液であって、リン酸イオン濃度が0.001mM〜50mMであり、カルシウムイオン濃度が0.002〜50mMである溶液であり、
    該カチオン成分と該アニオン成分から形成される塩がリン酸カルシウム系化合物であって、
    無機化合物層がアパタイト層である
    複合材料。
  2. 有機ポリマー基材を構成するポリマーが、アニオン性官能基を有することを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  3. ガラスを含有する有機ポリマー基材を、カチオン成分及びアニオン成分を含む溶液中に浸漬することにより、該カチオン成分と該アニオン成分から形成される塩を構成成分として含む無機化合物層を、有機ポリマー基材の表面の一部又は全部に形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料を製造する方法であって、
    前記ガラスが、組成成分としてSiO2を30モル%以上、かつ、CaOを10〜70モル%有するガラスであり、
    前記有機ポリマー基材がポリアミド類であり、
    前記カチオン成分及びアニオン成分を含む溶液が、リン酸イオン及び/又はその誘導体とともにカルシウムイオンを含む水溶液であって、リン酸イオン濃度が0.001mM〜50mMであり、カルシウムイオン濃度が0.002〜50mMである溶液であり、
    該カチオン成分と該アニオン成分から形成される塩がリン酸カルシウム系化合物であって、
    無機化合物層がアパタイト層である
    製造方法。
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