JP4159204B2 - バッター液及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バッター液及びその製造方法に関する。詳しくは、食品素材を油脂で揚げるフライ食品を製造する際に使用されるバッター液及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
魚介類、畜肉類、野菜類、コロッケ種等の各種食品素材をコロモで包み、フライ油で揚げることによって得られるフライ食品は、家庭やレストランにてポピュラーな料理の一つであり、食品素材、形状、大きさ等、極めて多種多様なフライ食品が提案されている。
【0003】
このようなフライ食品を作るための原料の一つにバッター液がある。バッター液とは、小麦粉、卵、乳製品等の熱凝固性の食品素材や、油脂、水等を混合して得られる流動状のものであり、フライ食品を製造する際に、食品素材にパン粉を均等に付着させることを目的として用いられるもので、使用方法は、食品素材に小麦粉をまぶし、次いでバッター液を付着させ、更にパン粉を付け成型するというものである。これを直ちに、又は冷蔵や冷凍等の方法にて保管後、フライ油で揚げることによってフライ食品が得られる。なお、ここでいうフライ食品とは、予めフライ油で揚げたものを冷凍保管し、これを食する時に電子レンジ、オーブン、オーブントースター等で加熱することによって得られるものを含むものである。
【0004】
家庭で作られるフライ食品では、小麦粉をまぶした食品素材に全卵液を付着させ、次いでパン粉を付けることが行われており,バッター液が使用されることは殆どないが、業務用の冷凍フライ食品を含むフライ食品の製造の際には、広くバッター液が使用されている。
【0005】
フライ食品を食する時には、味付けのため、ただ単に食品素材だけをコロモで包みフライ油で揚げたものにあっては、その上にマヨネーズ、タルタルソース、乳化型ドレッシング等のソース類やケチャップ、醤油、たれ等の調味液がかけられる。
【0006】
また、最近ではこのようにソース類をかける手間を省くため、予め食品素材の上に調味液、とりわけマヨネーズやタルタルソースや乳化型ドレッシングを絞り、2層構造とし、このものをコロモで包んだ複合型フライ食品が、特に冷凍食品として提案されており、マヨネーズ風味との相性も良く、種々の製品が販売されている。この様に食品素材と調味液を複合させたフライ食品を、工業的に作る一般的なプロセスは、適当な大きさに成型又はカットした食品素材の上に、デポジッターにてマヨネーズ、タルタルソース、乳化型ドレッシング等の調味液をデポジッターで絞り、次いでこのものを冷凍後、小麦粉等の打ち粉をまぶし、バッターリング機にてバッター液と呼ばれる、小麦粉、卵、乳製品等の熱凝固性の食品素材や、油脂、水等を混合して得られる流動状の液体に浸漬し、最後にパン粉付け機(ブレッダー)にてパン粉を付着させ2層型の食品を得る、というものであり、製造設備としてデポジッターが必須となり、また手間と時間がかかるものである。
【0007】
別に、予め食品素材と調味液を複合させたフライ食品を作る方法として、食品素材の表面にゲル化剤を含む調味液を付着せしめて調味液層を形成し、得られた調味液層の表面もしくは全体をゲル化し、更にこれに衣液(バッター液)又は衣液とパン粉を付着せしめた後、加熱調理する方法(特開平6−153823号公報)、具材・具材を覆うクリーム層・ころも層からなる三層構造のフライ用冷凍食品(特開平8−19375号公報)、具入り又は具を含まない固形ソースと食肉をコロモでくるむ方法(特開平11−75719号公報)等が提案されている。しかしながら、これらの方法も、製造プロセスは複雑で、手間と時間がかかっていた。
【0008】
更に、約20〜50重量%の液状油脂、及び加熱セット性の原料を含み水中油型に乳化してなるバッター液を用いる方法(特開平1−144939号公報)も提案されているが、加熱セット性の原料が配合されるため、食した時に、バッター液部分の食感が硬く、食品素材との食感のバランスが悪い、という問題点があった。
【0009】
従って、本発明の目的は、製造プロセスが簡単で、食感と卵風味が良好な、食品素材と調味液を複合させた味付けフライ食品が得られるバッター液及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、メチルセルロース及び酵素処理卵黄を含有するバッター液が、上記目的を達成することを知見した。
【0011】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、メチルセルロース及びホスホリパーゼAとプロテアーゼとを併用して処理した酵素処理卵黄を含有することを特徴とするバッター液を提供するものである。
【0012】
また、本発明のバッター液の好ましい製造方法として、本発明は、メチルセルロースを総量に対して0.1〜3重量%となるように水相又は油相に添加し、酵素処理卵黄を総量に対して1〜15重量%となるように水相に添加し、油相と水相を乳化することを特徴とするバッター液の製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のバッター液について詳述する。
【0014】
本発明で使用するメチルセルロースとは、日本食品添加物公定書に記載されているように、パルプをアルカリで処理してアルカリセルロースとした後、これを塩化メチルにてメチル化し、セルロースの水酸基の一部をメチル基でエーテル置換したもので、分子内に親油基であるメトキシ基と親水基である水酸基を有し、水溶性としたものである。食品添加物として市販されているものは、一般に2%水溶液の粘度により、各種のグレードが規格化されている。本発明で使用可能なものとしては、2%水溶液をJISウベローデ粘度計で20℃にて測定した時の粘度が5mPa・s以上のもの、好ましくは10〜30000mPaのもの、更に好ましくは10〜10000mPaのものである。
【0015】
メチルセルロースは水に溶解した状態で、加熱されたときにゲル状に凝固し、次いでこのものが冷却された時にゾル状に変化する。このため、バッター液の原料として添加することにより、フライ油で揚げた時にその熱によりバッター液部分は水を保持し、食品素材を包んだ状態で瞬間的にゲル状に凝固するため、食品素材に元々含まれる好ましいフレーバー成分や、食品素材が加熱されることにより生ずるフレーバー成分や、本発明のバッター液に含んでもよい食酢、オレオレジン等の揮発性原料が揮散するのが抑えられ、風味良好なフライ食品が得られる。
【0016】
また、食品素材とバッター液部分から、水分が過度に蒸発するのも抑えられるため、食品素材とバッター液部分はみずみずしい状態が保たれる。更に、フライ食品を食する温度(通常60℃以下)に放冷された時、バッター液部分は水を含んだままゲル状態からゾル状態に変化するため、フライ食品を食した時に食品素材はみずみずしい食感で、またバッター液部分もソフトで、更に最も外側のパン粉の部分はサクサクした、食感の良好なフライ食品を得ることができる。
【0017】
メチルセルロースの含有量は、フライ油で揚げられた時にゲル化が十分に起こるような割合とするのが良く、バッター液中で0.1〜3重量%とするのが良く、好ましくは0.2〜2.5重量%、更に好ましくは0.4〜2重量%である。メチルセルロースの含有量が3重量%よりも多いと、バッター液の粘度が高いものとなり、食品素材にバッター液を付着させる時にバッター液のキレが悪く、作業性が低下しやすい。また、メチルセルロースの含有量が0.1重量%よりも少ないとフライ油で揚げた時のゲル化が不十分となり、フライ食品のフレーバー成分、揮発性原料、水分の保持が不十分となり易い。
【0018】
次に、本発明のバッター液は、酵素で処理した卵黄を含有する。酵素で処理しない卵黄を用いると、得られるバッター液は、加熱によって卵黄が熱凝固するため、バッター液部分が硬くなり、フライ食品は食感が悪く、品質が劣ったものとなる。酵素処理卵黄は、基質としては生卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄のいずれをも使用することができるが、バッター液の風味や、酵素反応時の微生物の増殖を抑えることを考慮すると加塩卵黄が適しており、例えば食塩が3〜20重量%添加された加塩卵黄を用いるのが良く、更に好ましくは食塩が5〜8重量%添加された加塩卵黄を用いるのが良い。
【0019】
上記酵素処理卵黄において、基質の卵黄の酵素処理の際に用いる酵素としては、ホスホリパーゼAとプロテアーゼとを併用する。
【0020】
上記ホスホリパーゼAは、リン脂質加水分解酵素とも呼ばれ、リン脂質をリゾリン脂質に分解する反応を触媒する酵素であり、作用するエステル結合の位置の違いにより、ホスホリパーゼA1(EC3.1.1.32)とホスホリパーゼA2(EC3.1.1.4)の2種類を使用することができ、豚等の哺乳類の膵液や、微生物を起源とした市販のホスホリパーゼAを使用することができる。ホスホリパーゼA2を用いるのが好ましい。
【0021】
また、上記プロテアーゼは、蛋白質を加水分解する反応を触媒する酵素であり、植物、動物又は微生物を起源とした、例えばパイナップルを起源としたブロメライン、パパイヤを起源としたパパイン、哺乳類の膵液を起源としたトリプシン、哺乳類の胃液を起源としたペプシン、カビ由来のプロテアーゼ等、市販のプロテアーゼを使用することができ、特にブロメラインが最適である。
【0023】
ホスホリパーゼAとプロテアーゼとを併用する場合には、これらの酵素による処理は、任意の順序で、又は同時に行うことができるが、プロテアーゼによるホスホリパーゼAの加水分解を避けるためには、ホスホリパーゼAによる酵素処理後、プロテアーゼにより酵素処理するのが好ましい。
【0024】
ホスホリパーゼAの添加量は、卵黄1gに対し、好ましくは0.2〜100ホスホリパーゼユニット、更に好ましくは0.5〜20ホスホリパーゼユニットの活性量に相当する量を作用させるのが良い。ホスホリパーゼユニットとは、ホスホリパーゼの活性量を表す単位であり、1ホスホリパーゼユニットとは、pH8.0、40℃で卵黄にホスホリパーゼAを作用させた時に、卵黄中のリン脂質から、1分間に1マイクロモルの脂肪酸を遊離する活性量である。
【0025】
プロテアーゼの添加量は、卵黄1gに対し、好ましくは0.01〜10プロテアーゼユニット、更に好ましくは0.1〜5プロテアーゼユニットの活性量に相当する量を作用させるのが良い。プロテアーゼユニットとは、プロテアーゼの活性量を表す単位であり、1プロテアーゼユニットとは、pH7.0、37℃でミルクカゼインにプロテアーゼを作用させた時に、1分間に1マイクロモルのチロシンに相当する呈色度を示す活性量である。
【0026】
また、ホスホリパーゼA及びプロテアーゼの併用からなる上記酵素は、次のような基準で添加しても良い。即ち、上記酵素の添加量(合計量)は、卵黄100重量部に対し、好ましくは0.001〜0.8重量部であり、更に好ましくは0.01〜0.3重量部である。このとき、ホスホリパーゼAとプロテアーゼとの重量比は、好ましくは20/80〜90/10であり、更に好ましくは40/60〜85/15である。
【0027】
卵黄の酵素処理は、卵黄の蛋白質や、酵素が熱により変性せず、また酵素の最適温度で行うのが良く、通常20〜60℃、好ましくは40〜55℃の温度範囲で行うのが良い。また、酵素処理中に撹拌機等で撹拌を行うのが有利である。
【0028】
卵黄の酵素処理の際に、至適pHとするのがよく、通常pH5〜9の範囲に調整するのが良い。この目的のpH調整剤としては、食品用であれば特に限定されず、例えば乳酸、クエン酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、アスコルビン酸、酢酸等の酸味料や、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、食酢、果汁、発酵乳等の酸性物質や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等を用いることができる。また、卵黄の酵素処理の際に、酵素の安定剤として食品用の塩化カルシウム、リン酸二水素カルシウム、乳酸カルシウム等のカルシウム塩を添加しても良い。
【0029】
卵黄の酵素処理の際の反応時間に特に制約はないが、0.5〜30時間の範囲内で行うのが良い。
【0030】
ホスホリパーゼAによる卵黄のリン脂質のリゾリン脂質への分解の程度と、プロテアーゼによる卵黄の蛋白質の加水分解の程度は、酵素の添加量、反応温度、反応開始時のpH、酵素の安定剤の有無、反応時間の影響を受けるが、特に限定されない。例えば、ホスホリパーゼAによる卵黄のリン脂質のリゾリン脂質への分解の程度は、卵黄に含まれる全リン脂質の30〜100重量%がリゾリン脂質に分解される程度までに分解するのが良く、また、プロテアーゼによる卵黄の蛋白質の加水分解の程度は、卵黄に含まれる蛋白質の加熱凝固性が完全に失われる程度までに分解するのが良い。
【0031】
このようにして得られた酵素処理卵黄に食塩や糖類を添加して、酵素処理加塩卵黄や酵素処理加糖卵黄としてもよい。
【0032】
上記酵素処理卵黄の含有量は、バッター液の安定化と、フライ食品の加熱後の食感や風味を良くするために、卵黄換算で1〜15重量%とするのが好ましく、更に好ましくは2〜13重量%、最も好ましくは4〜12重量%である。酵素処理卵黄中の含有量が卵黄換算で15重量%より多いと、得られるバッター液の粘度が上昇しやすく、食品素材にバッター液を付着させる時にバッター液のキレが悪く、作業性が低下しやすい。また酵素処理卵黄の含有量が卵黄換算で1重量%より小さいと卵風味が乏しいものとなる。
【0033】
ここでいう卵黄換算とは、例えば食塩を10重量%含有する卵黄を酵素処理した酵素処理卵黄を10重量%バッター液に使用した場合、バッター液中の酵素処理卵黄は卵黄換算で0.9×10=9重量%となる。
【0034】
本発明のバッター液には、マヨネーズ、タルタルソース、乳化型ドレッシング等の酸性水中油型乳化物に通常使用されている水溶性、油溶性、分散性の副原料を使用することができる。このような原料として、例えば、小麦粉、穀物粉、化工澱粉、糖類、デキストリン、油脂、粉末油脂、マーガリン、ショートニング、バター・クリーム・牛乳・脱脂粉乳・ホエー蛋白質等の乳蛋白質・乳糖等の乳製品、卵黄・全卵・卵白・卵黄粉末・卵白粉末等の卵製品、酸味料、増粘安定剤、乳化剤、酸化防止剤、膨張剤(ベーキングパウダー)、保存料、苦味料、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、ステビア抽出物等の甘味料、香辛料、香辛料抽出物、香料、食塩等の無機塩類、着色料等の副原料、及び水を、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができる。上記化工澱粉としてはコーン、ワキシーコーン、タピオカ、馬鈴薯、甘薯、小麦、米等の澱粉を起源とし、この澱粉をアミラーゼ等の酵素で処理したものや、酸やアルカリ、エステル化、リン酸架橋化、加熱、湿熱処理等の物理的、化学的処理を行ったもの、更にこれら化工澱粉を、水に溶解し易い様に予め加熱処理により糊化させたものが挙げられる。上記酸味料としては乳酸、クエン酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、醸造酢、果汁、発酵乳等が挙げられる。上記増粘安定剤としてはキサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、タラガントガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ペクチン、ゼラチン、微小繊維状セルロース、大豆多糖類等が挙げられる。
【0035】
本発明のバッター液の粘度は、食品素材に小麦粉をまぶした後、バッター液を均一に付着させる作業が行い易いような粘度に調整することが必須であり、B型回転式粘度計で5℃で測定した粘度が、好ましくは30000mPa・s以下、さらに好ましくは20000mPa・s以下、最も好ましくは10000mPa・s以下となるように調製するのが良い。粘度が30000mPa・sを超えると、小麦粉をまぶした食品素材にバッター液を付着させる時にバッター液のキレが悪く、作業性が低下しやすい。
【0036】
次に、本発明のバッター液の製造方法について説明する。本発明のバッター液は、メチルセルロースを水相又は油相に添加し、酵素処理卵黄を水相に添加し混合することにより得ることができる。そのほかの材料を使用する場合は水相に例えば、水に酵素処理卵黄、醸造酢、小麦粉、食塩、水飴等の糖類、コショウ等の香辛料を添加し、油相にワキシーコーンのアルファ化化工澱粉、キサンタンガムを添加する。次いで、水相を撹拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得る。これをコロイドミル等の乳化機、ホモゲナイザー等の均質化機で処理し、本発明のバッター液が得られる。
【0037】
このようにして得られたバッター液はフライ食品に使用する。使用方法は、食品素材に小麦粉等の打ち粉をまぶし、次いでバッター液を付着させ、更にパン粉を付け成型するというものである。これを直ちに、又は冷蔵や冷凍等の方法にて保管後、フライ油で揚げることによってフライ食品が得られる。なお、ここでいうフライ食品とは、予めフライ油で揚げたものを冷凍保管し、これを食する時に電子レンジ、オーブン、オーブントースター等で加熱することによって得られるものを含むものである。
【0038】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
【0039】
〔実施例1〕
加塩卵黄(食塩含量7.5重量%)を水酸化ナトリウムにてpH8.2に調整し、このもの100重量部に対して豚の膵液由来のホスホリパーゼAを0.015重量部を加え、40℃にて7時間処理し、次いでブロメライン0.001重量部を加え、45℃にて3時間反応させ、5℃まで冷却し、水分46.4重量%の酵素処理卵黄を得た。
【0040】
薄力粉5重量%、醸造酢(酢酸酸度10重量%)14重量%、水飴(水分25重量%)7重量%、食塩2重量%、グルタミン酸ナトリウム0.1重量%、動物性蛋白質加水分解物(HAP)0.05重量%、からし粉0.5重量%、上記酵素処理卵黄8重量%(卵黄換算で0.925×8=7.4重量%)、水40.3重量%を混合して水相を調製した。別に、大豆サラダ油20重量%、ワキシーコーンをリン酸架橋後に糊化した化工澱粉1重量%、キサンタンガム0.05重量%、メチルセルロース(2%水溶液の粘度がJISウベローデ粘度計で20℃で測定した時に100mPa・sのもの)2重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を撹拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化後、5℃に冷却し、B型回転式粘度計で5℃で測定した粘度が13000mPa・sのバッター液を得た。
【0041】
得られたバッター液に白身魚(ホキ)10gを浸漬し、パン粉を着け、180℃のフライ油で4分間加熱処理し、フライ食品を得、バッター液部分の食感と風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0042】
〔比較例1〕
酵素処理卵黄8重量%(卵黄換算で0.925×8=7.4重量%)の代わりに、加塩卵黄(食塩含量7.5重量%)8重量%を用いた以外は、実施例1と同様の配合、同様の手順により、B型回転式粘度計で5℃で測定した粘度が13000mPa・sのバッター液を得た。
【0043】
得られたバッター液に白身魚(ホキ)10gを浸漬し、パン粉を着け、180℃のフライ油で4分間加熱処理し、フライ食品を得、バッター液部分の食感と風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0044】
〔比較例2〕
メチルセルロース2重量%の代わりに、薄力粉2重量%を用いた以外は、実施例1と同様の配合、同様の手順により、B型回転式粘度計で5℃で測定した粘度が13000mPa・sのバッター液を得た。
【0045】
得られたバッター液に白身魚(ホキ)10gを浸漬し、パン粉を着け、180℃のフライ油で4分間加熱処理し、フライ食品を得、バッター液部分の食感と風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0046】
〔比較例3〕
酵素処理卵黄8重量%の代わりに、加塩卵黄(食塩含量7.5重量%)8重量%(卵黄換算で0.925×8=7.4重量%)を用い、更にメチルセルロース2重量%の代わりに、薄力粉2重量%を用い以外は、実施例1と同様の配合、同様の手順により、B型回転式粘度計で5℃で測定した粘度が13000mPa・sのバッター液を得た。
【0047】
得られたバッター液に白身魚(ホキ)10gを浸漬し、パン粉を着け、180℃のフライ油で4分間加熱処理し、フライ食品を得、バッター液部分の食感と風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0048】
〔実施例2〕
薄力粉6重量%、醸造酢(酢酸酸度10重量%)15重量%、水飴(水分25重量%)10重量%、結晶クエン酸0.5重量%、食塩2重量%、グルタミン酸ナトリウム0.2重量%、からし粉0.4重量%、実施例1で使用したものと同様の酵素処理卵黄6重量%(卵黄換算で0.925×6=5.55重量%)、水43.85重量%を混合して水相を調製した。別に、ヨウ素価66のパーム分別油15重量%、キサンタンガム0.05重量%、メチルセルロース(2%水溶液の粘度がJISウベローデ粘度計で20℃で測定した時に4000mPa・sのもの)1重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を撹拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをホモゲナイザーにて150kg/cm2 の均質化圧力で均質化後、5℃に冷却し、B型回転式粘度計で5℃で測定した粘度が9000mPa・sのバッター液を得た。
【0049】
得られたバッター液に白身魚(ホキ)10gを浸漬し、パン粉を着け、180℃のフライ油で4分間加熱処理し、フライ食品を得、バッター液部分の食感と風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0050】
〔実施例3〕
8%加塩卵黄を水酸化ナトリウムにてpH8.0に調整し、このもの100重量部に対して豚の膵液由来のホスホリパーゼAを0.01重量部を加え、50℃にて3時間処理し、次いでAspergillus oryzae起源のプロテアーゼ0.01重量部を加え、50℃にて3時間反応させ、5℃まで冷却し、水分46.2重量%の酵素処理卵黄を得た。
【0051】
醸造酢(酢酸酸度10重量%)14重量%、水飴(水分25重量%)7重量%、食塩2重量%、グルタミン酸ナトリウム0.1重量%、動物性蛋白質加水分解物(HAP)0.05重量%、からし粉0.5重量%、上記酵素処理卵黄8重量%(卵黄換算で0.92×8=7.36重量%)、水45.3重量%を混合して水相を調製した。別に、大豆サラダ油20重量%、ワキシーコーンをリン酸架橋後に糊化した化工澱粉1重量%、キサンタンガム0.05重量%、メチルセルロース(2%水溶液の粘度がJISウベローデ粘度計で20℃で測定した時に100mPa・sのもの)2重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を撹拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化後、5℃に冷却し、B型回転式粘度計で5℃で測定した粘度が6000mPa・sのバッター液を得た。
【0052】
得られたバッター液に白身魚(ホキ)10gを浸漬し、パン粉を着け、180℃のフライ油で4分間加熱処理し、フライ食品を得、バッター液部分の食感と風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0053】
〔実施例4〕
醸造酢(酢酸酸度10重量%)13重量%、水飴(水分25重量%)10重量%、食塩2.5重量%、グルタミン酸ナトリウム0.4重量%、動物性蛋白質加水分解物(HAP)0.1重量%、からし粉0.4重量%、実施例3で使用したものと同様の酵素処理卵黄10重量%(卵黄換算で0.92×10=9.2重量%)、水42.1重量%を混合して水相を調製した。別に、大豆サラダ油10重量%、ヨウ素価66のパーム分別油10重量%、メチルセルロース(2%水溶液の粘度がJISウベローデ粘度計で20℃で測定した時に15mPa・sのもの)1.5重量%を混合して油相を調製した。次いで、水相を撹拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをコロイドミルにて乳化後、5℃に冷却し、B型回転式粘度計で5℃で測定した粘度が2500mPa・sのバッター液を得た。
【0054】
得られたバッター液に白身魚(ホキ)10gを浸漬し、パン粉を着け、180℃のフライ油で4分間加熱処理し、フライ食品を得、バッター液部分の食感と風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0055】
〔実施例5〕
実施例4と同様の方法にて得られたバッター液に白身魚(ホキ)10gを浸漬し、パン粉を着け、−20℃の冷凍庫にて6カ月保管した。このものを凍ったまま、180℃のフライ油で4分間加熱処理し、フライ食品を得、バッター液部分の食感と風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0056】
〔実施例6〕
実施例4と同様の方法にて得られたバッター液に白身魚(ホキ)10gを浸漬し、パン粉を着け、180℃のフライ油で4分間加熱処理後、−20℃の冷凍庫にて6カ月保管した。このものを凍ったまま、電子レンジにて加熱処理し、フライ食品を得、バッター液部分の食感と風味を調べた。その結果を下記表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
本発明のバッター液をフライ食品に使用すれば、複雑な製造プロセスを経ることなく、簡単に、食感と卵風味が良好な、食品素材と調味液を複合させたフライ食品が得られる。また、本発明の製造方法によって、上記バッター液が簡便に得られる。
Claims (4)
- メチルセルロース及びホスホリパーゼAとプロテアーゼとを併用して処理した酵素処理卵黄を含有することを特徴とするバッター液。
- 上記メチルセルロースを0.1〜3重量%含有する請求項1記載のバッター液。
- 上記酵素処理卵黄を卵黄換算で1〜15重量%含有する請求項1記載のバッター液。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のバッター液を製造する方法であって、メチルセルロースを総量に対して0.1〜3重量%となるように水相又は油相に添加し、酵素処理卵黄を総量に対して1〜15重量%となるように水相に添加し、油相と水相を乳化することを特徴とするバッター液の製造方法。
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