JP4158276B2 - 漂白パルプの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、リグノセルロース材料、特に木材或いは非木材から漂白パルプを製造する方法に関する。更に詳しく述べれば、本発明は、木材或いは非木材を蒸解した後に洗浄して得られる未晒パルプを酸素漂白した後、塩素を用いないで漂白してECF漂白パルプを製造する方法であって、初段と二段目に二酸化塩素を薬品として用い、該二酸化塩素処理の間に洗浄が有っても無くてもよく、その後、アルカリ条件下での抽出を行い、さらに必要であれば一段または多段の漂白を行う漂白パルプの製造方法に関する。
【0002】
木材パルプや非木材パルプを製紙原料として多くの用途に使用するためには、木材或いは非木材を蒸解液で蒸解し、薬品の化学作用によってパルプ化した後に得られるパルプを漂白薬品で漂白して白色度を高める必要がある。例えば、木材チップをクラフト蒸解液で蒸解して得られるクラフトパルプは包装資材のように強度を必要とする用途に使う場合を除いて、通常、酸素とアルカリにより酸素脱リグニンされた後、或いは酸素とアルカリにより酸素脱リグニンされないまま、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、酸素、オゾン、過酸化水素、苛性ソーダ等の漂白剤及び漂白助剤からなる選ばれた漂白薬品により1段乃至は多段シーケンスで漂白され、パルプに含まれる着色原因物質であるリグニン等が除去され、白色度が70〜90%の範囲の半晒クラフトパルプ乃至完全漂白クラフトパルプとして使用されるのが一般的である。
【0003】
従来から多段漂白法においては、パルプを最初に塩素で処理し、パルプ中に含有されるリグニンを塩素化し、リグニンに可溶性を付加した後、次にアルカリで塩素化リグニンを溶解抽出して、パルプ中からリグニンを分離除去し、更に次亜塩素酸塩、二酸化塩素等を使用し、残留する少量のリグニンを分解除去し、白色度の高いパルプを得る方法が採られてきた。
【0004】
しかしながら、近年、パルプの塩素化段からの漂白排水に含まれる有機塩素化合物の環境への影響が懸念され、パルプ漂白に原子状塩素を用いない漂白シーケンスについて盛んに研究されてきている。又、次亜塩素酸塩を用いた場合もパルプの漂白時にクロロホルムが生成し、環境に悪影響を及ぼす可能性があることから、パルプ漂白に使用しない漂白シーケンス(ECF:エレメンタリークロラインフリーと省略する場合がある)漂白の模索が行われている。
【0005】
現在、塩素や次亜塩素酸塩の代替として、オゾン、酸素、過酢酸および過硫酸等の酸素系の漂白薬品が注目されている。しかしながら、これらの薬品は、酸素と過酸化水素を除いては、薬品コストが高く、又爆発性があるため取り扱いが困難である。一方二酸化塩素はコスト面、ジェネレーター容量の制限等が問題となり、現在のところ、我が国では塩素の代わりに二酸化塩素を用いることは、一般に普及するまでには至っていないが、将来的には有望な漂白方法である。塩素や次亜塩素酸塩と比較して、二酸化塩素は環境への影響が少ないが、高価であるので、なるべく添加率を少なくするための最適な漂白シーケンスや条件の探索がなされている。
【0006】
特開平4−245988号公報では、元素塩素の不在下において化学パルプを漂白する場合の二酸化塩素使用量を低減する方法として、ヘミセルロース分解酵素でパルプを処理した後、二酸化塩素で漂白すると、使用しない場合に比べ、二酸化塩素の添加率を約20%減添できる方法が開示されているが、酵素使用によるパルプ粘度低下、収率低下等の問題や、酵素処理の反応が基質特異性を有するため、顕著に効果がでないパルプなどが出てくる恐れもあり、酵素自身も安価な試薬ではないため、漂白コストは逆に増大する可能性もある。
【0007】
一方特開平4−263687号公報では二酸化塩素添加率を削減する手段として、二酸化塩素にオゾンを組み合わせて漂白することを記載しており、これによりトータルの二酸化塩素添加率は50%削減できると記載されている。しかし、パルプ粘度は27.5mPa・sから16mPa・sに低下しており、またオゾンを発生するための設備が必要となる点から、既存の工場への導入は容易ではない。
【0008】
また、特開平9−87985号公報および特開平9−87986号公報では、製紙用化学パルプの製造において、二酸化塩素の使用量を低減させる方法として、漂白前あるいは漂白後のpHを1〜3でおこない、その直後にアルカリ媒体中で過酸化物と酸素による脱リグニンおよび漂白を行うこと、あるいは二酸化塩素段にキレート剤を添加する方法が開示されている。この処理により処理後の白色度は5%程度高くなり、トータル二酸化塩素量添加率は対パルプ0.5重量%まで抑えることができたが、比較例は、塩素を含む漂白シーケンスであり、ECF漂白シーケンスの比較例を最終段まで漂白して比較していないため、ECF漂白での削減効果は定かではない。
【0009】
また、このような二酸化塩素段のpH調整やキレート剤の併用は、その後段での過酸化物と酸素の反応を効率的に行うために、重金属除去効果を主眼としており、本願発明のように、二酸化塩素漂白の効率を上げるためのものではない。また、これらの方法で処理しても、過酸化物をその直後に使用しない場合もあり、この場合には効果が見られなくなる恐れもある。
【0010】
なお、二酸化塩素段が二回続くシーケンスについてはすでに数多く述べられ、特開平4−263687号公報などにも記載されているが、これらは多段漂白の後段に設けたものであり、本発明のような、多段漂白の初段に二回続くものではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、かかる背景に鑑みECFパルプ製造のために漂白性を改善する方法について種々検討を重ねた結果、未晒パルプを酸素漂白した後のパルプ繊維を、ECF漂白の初段と二段目に二酸化塩素を薬品として用い、処理温度の異なる初段と二段目の二酸化塩素処理の間に洗浄が有っても無くてもよく、次いでアルカリ条件下での抽出を行い、パルプ中のリグニン量を減少させ、使用する二酸化塩素量の減少が可能となることを見出した。このことは、有機塩素化合物の排出量をさらに低減できるので、環境負荷が少ない方法である。
本発明は、白色度が高く、安定し、高い品質を保ちつつ、排水への有機塩素化合物の排出量を低減させた経済的で低環境負荷型の漂白方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明はリグノセルロース材料を蒸解して得られた未晒パルプを酸素漂白した後、元素塩素の不在下における多段漂白を行い、漂白パルプを製造する方法において、多段漂白の初段とその直後に連続した二酸化塩素段を設け、次いでアルカリ条件下での抽出処理した後、さらに漂白することを特徴とする漂白パルプの製造方法に存する。
【0013】
(2)本発明は、連続した二酸化塩素段の初段の二酸化塩素段は、処理温度70〜110℃、処理時間10〜120分の範囲で行い、その直後に連続した二段めの二酸化塩素段は処理温度40〜90℃、処理時間30〜120分の範囲で行う(1)項記載の漂白パルプの製造方法に存する。
【0014】
【発明の実施の形態】
木材を蒸解後、酸素漂白して得られるパルプを塩素や次亜塩素酸塩を含まない漂白薬品で漂白する(ECF漂白)際に、初段に二酸化塩素段を用いた直後に、アルカリ処理や酸素および過酸化物を含むアルカリ処理による抽出工程が続く従来法に比べて、二段階で二酸化塩素処理を行った後、アルカリ処理や酸素による脱リグニンを補強したアルカリで抽出する方法は、漂白全行程における二酸化塩素添加率が少なくて済む。したがって従来法より少ない二酸化塩素の使用量で済むため、二酸化塩素のジェネレーターを新規に造る場合にも、増設する場合にも、容量の小さいもので良く、経済的であり、排水中の有機塩素化合物量も少なくなり、環境保護にも役立つ方法である。
【0015】
本発明は、木材をクラフト蒸解液のような化学薬品を用いて蒸解し、得られる未漂白パルプを公知の酸素とアルカリによる酸素漂白法により脱リグニンしたパルプを、二段の二酸化塩素を、その間に洗浄することなく添加し処理する方法(初段をD1段、次段をD2段とすると、D1D2と略)あるいはその間に洗浄を行い処理する方法(D1−D2段と略する)による処理に次いでアルカリおよび/またはアルカリ条件下で酸素および/または過酸化水素で抽出するか/または該抽出後、塩素と次亜塩素酸塩を含まない漂白薬品を用いて漂白し、ハンター白色度が70〜90%の漂白パルプを製造する方法である。
【0016】
本発明で用いられるパルプは、リグノセルロース材料である針葉樹材と広葉樹材からの未漂白パルプを酸素とアルカリにより酸素漂白したパルプである。本発明に使用されるパルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解、サルファイト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法が好適に用いられる。
【0017】
例えば、木材チップをクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75%、好ましくは15〜45%、有効アルカリ添加率は絶乾木材重量当たり5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%、蒸解温度は140〜170℃で、蒸解方式は、連続蒸解法或いはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として、公知の環状ケト化合物を併用してもよい。
【0018】
本発明に使用される酸素漂白による脱リグニン法は、酸素とアルカリを用いる公知の中濃度法或いは高濃度法がそのまま適用できるが、現在汎用的に用いられているパルプ濃度が8〜15重量%で行われる中濃度法が好ましい。
前記中濃度法による酸素漂白による脱リグニン法で使用されるアルカリとしては苛性ソーダ或いは酸化されたクラフト白液であり、酸素ガスとアルカリは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加され混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる脱リグニン反応塔へ送られ、脱リグニンされるというものである。前記中濃度ミキサーは、メーカーにより異なるが500〜1000rpmで高速回転するローターを有し、高剪断力を中濃度パルプスラリーへ付与してあたかもパルプスラリーが水のような流体に変化させ、それによってパルプ、酸素及びアルカリを十分混合できる。
酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ重量当たり0.5〜3重量%、アルカリ添加率は0.5〜4重量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜100分、パルプ濃度は8〜15重量%であり、この他の条件は公知のものが適用できる。
【0019】
本発明における分割添加あるいは連続二酸化塩素処理とは、パルプを酸性領域のpHで二酸化塩素水を添加し、或いは該水溶液を含浸させ、特定時間と温度を維持したのち、パルプの洗浄を行わず(D1D2)、あるいは行って(D1−D2)、再び二酸化塩素水をパルプに含浸させ、特定時間と温度を維持することと定義される。
【0020】
本発明のD1およびD2段におけるパルプ濃度は5〜40重量%、好ましくは8〜35重量%、更に好ましくは10〜25重量%の範囲である。パルプ濃度が5重量%未満では、処理に大容量の設備を要するので適さない。パルプ濃度が40重量%を超えると、パルプと二酸化塩素を均一に混合することが難しくなり、効果が十分得られないので適さない。
【0021】
本発明のD1段およびD2段におけるパルプ濃度は、5〜40重量%、処理温度は50〜150℃、好ましくは、D1段の場合70〜110℃、D2段は40〜90℃の範囲、保持時間は好ましくは、D1段で10〜120分、D2段は30〜120分の条件下で行われる。
処理温度が40℃未満では、二酸化塩素によるリグニンの分解反応が不十分になり、温度が150℃を超えると、多糖類の分解が顕著となり、パルプ繊維の強度低下が大きくなるので適さない。本発明の二酸化塩素処理の処理時間は10分以上であれば十分であるが、120分を超えて長くしても脱リグニンの効果は上限に到達する。
【0022】
本発明の二酸化塩素処理時の使用量は、用いる漂白前のパルプのリグニン量や後段の漂白シーケンスによっても異なるが、D1、D2段ともに絶乾パルプに対し0.1〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%である。
【0023】
D2段後のパルプは、アルカリ条件下でアルカリ単独および/または酸素の併用によるリグニンの抽出・漂白工程が続く(E段またはE/O段と称する)。この時アルカリ条件下にするアルカリ薬品は、苛性ソーダ、水酸化カリウム、酸化白液などが使用できるが、苛性ソーダが一般的に使用される。また過酸化物、特に過酸化水素を併用してもよい。
白色度が80%以上のパルプを得るには、アルカリ抽出段後のパルプは、さらに一段あるいは多段の漂白段を行う必要がある。薬品としては、苛性ソーダ(E)、二酸化塩素(D)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、有機過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤からなる漂白薬品を挙げることができ、これらの中から適宜選択されて漂白薬品として用いられる。
漂白シーケンスとして、例えばD1D2−E/O−D、D1−D2−E/O−D、D1D2−E−D、D1−D2−E−D、D1D2−E/O−D−P、D1−D2−E/O−D−P、D1D2−E/OP−D、D1−D2−E/OP−D、D1−D2−E−P、D1D2−E−P、D1D2−E/O−Z−D、D1−D2−E/O−Z−Dのような塩素を含まない漂白シーケンスを用いることができる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に示す実施例1〜4は、木材チップを蒸解して得られる未漂白パルプを酸素脱リグニンして得られたパルプを用いて、分割添加あるいは連続二酸化塩素処理した後、E/O−DまたはE/O−D−Pシーケンスで漂白を行ったものであり、比較例1、2は、一段の二酸化塩素処理したパルプをE/O−DまたはE/O−D−Pシーケンスで漂白を行ったものである。
又、特に示さない限り、D1とD2段における薬品の削減率は以下のように算出した。
【0025】
D1とD2段における合計薬品の削減率(対D段添加率)
薬品の削減率は、二段処理あるいは分割添加ありとなしにおける漂白に使用したD1とD2段の二酸化塩素の合計の薬品率から下記式(1)により算出した。D1とD2段における合計薬品の削減率、%={(D段における合計薬品添加率−本法の場合のD1とD2段における合計薬品添加率)/D段における合計薬品添加率}×100…(1)
【0026】
パルプ粘度に関してはJ.TappiNO.44に、AOX(活性炭吸着性有機ハロゲン)については米国環境庁EPA法(三菱化成製TOX−10使用)にしたがって行い、PC価については、105℃のオーブンで4時間加速度的に退色させた前後の白色度を用いて、以下の式(2)に従い評価した。
PC価=(1−退色後の白色度)2/(2×退色後の白色度))−(1−退色前の白色度)2/(2×退色前の白色度))…(2)
【0027】
実施例1
工場にてクラフト蒸解を行い酸素脱リグニンを行った広葉樹パルプ(ハンター白色度43.8%、カッパー価10.8)を用いて、以下の条件にて二段二酸化塩素処理を行った。
すなわち、この未漂白パルプをイオン交換水に濃硫酸を添加してpHを4とし、希釈して処理時のパルプ濃度が8%になるように調整した後、絶乾パルプ重量当たり二酸化塩素を0.45%添加し、ステンレス製2リットル容の間接加熱式オートクレーブに入れ、温度105℃で60分間圧力を維持しながら加熱し、パルプのD1段処理を行った。オートクレーブを冷却後、D1処理して得られたパルプを洗浄することなくプラスチック袋に移した。
【0028】
プラスチック袋中のD1処理後のパルプにD2処理時のパルプ濃度が10%になるようイオン交換水および絶乾パルプ重量当たり二酸化塩素を0.30%添加し、温度が70℃の恒温水槽に60分間浸漬してD2段の漂白を行った。得られたパルプをイオン交換水で洗浄、脱水した。
D2段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した後、苛性ソーダ゛を絶乾パルプ重量当たり1.0%添加し、D1段と同様にしてオートクレーブに入れ、酸素による1.5kg/m2の加圧を行い、温度60℃で15分処理した後、オートクレーブよりパルプを取り出しプラスチック袋に移し替え、60℃の恒温水槽にて45分間の処理を行ってE/O段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、脱水した。
【0029】
続いて、E/O段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ重量当たり二酸化塩素を0.2%添加し、温度70℃で180分間の条件で二酸化塩素処理を行った(D3段)。得られたパルプはイオン交換水を用いて洗浄、脱水し、漂白パルプを得た。
D3段後のパルプを離解した後、Tappi試験法T205os−71(JISP 8209)に従って坪量60g/m2のシートを作製し、JIS P 8123に従ってパルプのハンター白色度を測定した結果85.0%であった。
【0030】
実施例2
実施例1と同様に添加率0.45%のD1段処理をした後、洗浄・脱水を行い、さらに二酸化塩素添加率0.25%のD2段処理を行い、以降の処理は実施例1と全く同様の処理を引き続いて行い、ハンター白色度85.0%の漂白パルプを得た。
【0031】
実施例3
実施例1と同様に添加率0.20%のD1段処理をした後、洗浄を行なわず、二酸化塩素添加率0.24%のD2段処理を行い、処理パルプをイオン交換水で洗浄後、実施例1と全く同様な条件でE/O段処理とD3段処理を行った後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ重量当たり過酸化水素を0.35%および苛性ソーダを0.5%添加し、温度70℃で120分間処理し、P段の漂白を行った。得られたパルプはイオン交換水を用いて洗浄、脱水し、ハンター白色度85.0%の漂白パルプを得た。
【0032】
実施例4
実施例3と同様に、D1−D2−E/O−D3−Pのシーケンスで漂白し、D1とD2の間に洗浄・脱水を行った。各段の薬品添加率は、D1が0.2%、D2が0.20%で、以降は実施例3と同一の添加率で行い、ハンター白色度85.0%の漂白パルプを得た。
【0033】
比較例1
実施例1と同様の未晒パルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いて処理時のパルプ濃度が10%になるよう調整した後、絶乾パルプ重量当たり二酸化塩素を0.80%添加し、温度が70℃の恒温水槽に120分間浸漬して二酸化塩素段の漂白を行った。得られたパルプはイオン交換水で洗浄、脱水した。その後のE/O−D段処理に関しては、実施例1と全く同様に行い、ハンター白色度85.0%の漂白パルプを得た。
【0034】
比較例2
比較例1と同様のD段処理を、二酸化塩素添加率のみ0.45%に変えて行い、その後のE/O−D−P段処理は実施例2と全く同様に行い、ハンター白色度85.0%の漂白パルプを得た。
【0035】
表1に、実施例1〜4と比較例1、2の結果を示した。
【0036】
【表1】
【0037】
表1から示されるように、シーケンスによって異なるが、二段二酸化塩素処理(D1−D2)によって通常の一段処理の場合に比べて、10%〜14%の薬品が低減できることにより、有機塩素化合物は37%程度低減することができ、D1D2処理によっては5〜9%の薬品低減が可能となり、これにより有機塩素化合物は35%程度低減できた。実施例3、4では、比較例2と比べ、パルプ粘度は向上する。パルプの退色性も改善が認められた。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、ECF漂白において、初段で二段の二酸化塩素処理することにより、パルプ粘度を低下させることなく、二酸化塩素使用量を低減でき、このために有機塩素化合物量の排出も低減できる漂白パルプの製造方法を提供するという効果を奏する。
Claims (1)
- リグノセルロース材料を蒸解して得られた未晒パルプを酸素漂白した後、原子状塩素の不在下における多段漂白を行い、漂白パルプを製造する方法において、多段漂白の初段とその直後に連続した二酸化塩素段を設け、該連続した二酸化塩素段の初段の二酸化塩素段は、酸性pH領域で二酸化塩素水を添加し、処理温度70〜110℃、処理時間10〜20分の範囲で行い、その直後に連続した二段目の二酸化塩素段は処理温度40〜90℃、処理時間30〜120分の範囲で行い、次いで酸素による脱リグニンを補強したアルカリで抽出処理した後、さらに漂白することを特徴とする漂白パルプの製造方法。
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