JP4158235B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸着式冷凍機と蒸気圧縮式冷凍機とを有する冷凍装置に関するもので、電動モータ及び内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ。)を有して走行するハイブリッド車両、又は車両停止時にはエンジンを停止させることにより排気ガスの排出量及び燃料消費率の低減を図る経済的走行可能車両(いわゆるエコラン車)の空調装置(以下、エアコンと呼ぶ。)に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリッド車両やエコラン車(以下、これらを単に車両と呼ぶ。)では、エアコンの稼働状態に依らず、エンジンが停止する場合がある。このため、蒸気圧縮式冷凍機のみで空調を行うと、エンジンの停止とともにに圧縮機が停止するため、十分な冷房能力(冷却能力)得ることができないという問題がある。
【0003】
一方、吸着式冷凍機は、エンジン等の機械的動力を必要とせずに、冷房能力を得ることができるものの、吸着剤を再生する(吸着した蒸気冷媒を脱離させる)ためにエンジンの廃熱を利用しているので、エンジンが停止すると、吸着剤の再生に必要な熱量を得ることができず、十分な冷房能力得ることができないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題に対して、例えば特開平5−346273号公報に記載のごとく、吸着式冷凍機と蒸気圧縮式冷凍機とを組み合わせて空調(冷房)を図るといった手段が考えられるが、単純に両冷凍機を組み合わせただけでは、十分な冷房能力を得ることが難しい。
【0005】
具体的には、吸着式冷凍機の冷房能力は吸着剤の量に比例し、必要な冷房能力を確保するには、必要な冷房能力に応じて吸着剤の量を増やす必要があるので、吸着器の体格が大きくなってしまうという課題がある。
本発明は、上記点に鑑み、両冷凍機を組み合わせて十分な冷却能力を得るとともに、吸着器の小型化を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。請求項1、2に記載の発明では、内燃機関(31)を有する車両に適用され、内燃機関(31)の停止時においても車室内に吹き出す吹出空気の調和を図ることが可能な車両用空調装置であって、蒸気冷媒を吸着するとともに、加熱されることにより吸着した蒸気冷媒を脱離する吸着剤(Si)、及び液冷媒が封入された第1、2吸着器(51、52)を有し、吹出空気を冷却する吸着器式冷凍機(50)と、圧縮機(21)、凝縮器(22)、減圧器(23)及び蒸発器(24)を有し、蒸発器(24)にて吸着器式冷凍機(50)にて冷却された吹出空気を冷却する蒸気圧縮式冷凍機(100)と、第1吸着器(51)の吸着剤(Si)に蒸気冷媒を吸着させ、第2吸着器(52)の吸着剤(Si)を加熱して蒸気冷媒を脱離させる第1工程と、第2吸着器(52)の吸着剤(Si)に蒸気冷媒を吸着させ、第1吸着器(51)の吸着剤(Si)を加熱して蒸気冷媒を脱離させる第2工程とを所定時間毎に切り換える切換手段(45、46)とを備え、内燃機関(31)の停止時には、両吸着器(51、52)のうち一方の吸着器にて吹出空気を冷却し、他方の吸着器にて一方の吸着器の吸着剤(Si)を冷却することを特徴とする。
【0010】
これにより、吸着器(51、52)の小型化を図ることができるとともに、吹出空気の冷却を行う吸着器の吸着剤(Si)を冷却することができるので、吸着式冷凍機(50)にて十分な冷房能力を発揮することができる。請求項3に記載の発明では、内燃機関(31)を有する車両に適用され、内燃機関(31)の停止時においても車室内に吹き出す吹出空気の調和を図ることが可能な車両用空調装置であって、蒸気冷媒を吸着するとともに、加熱されることにより吸着した蒸気冷媒を脱離する吸着剤(Si)、及び液冷媒が封入された第1、2吸着器(51、52)を有し、吹出空気を冷却する吸着器式冷凍機(50)と、圧縮機(21)、凝縮器(22)、減圧器(23)及び蒸発器(24)を有し、蒸発器(24)にて吸着器式冷凍機(50)にて冷却された吹出空気を冷却する蒸気圧縮式冷凍機(100)と、第1吸着器(51)の吸着剤(Si)に蒸気冷媒を吸着させ、第2吸着器(52)の吸着剤(Si)を加熱して蒸気冷媒を脱離させる第1工程と、第2吸着器(52)の吸着剤(Si)に蒸気冷媒を吸着させ、第1吸着器(51)の吸着剤(Si)を加熱して蒸気冷媒を脱離させる第2工程とを所定時間毎に切り換える切換手段(45、46)とを備え、内燃機関(31)の停止時には、第1、2吸着器(51、52)のうち、最も温度が低い吸着剤(Si)を有する吸着器にて吹出空気を冷却し、その他の吸着器にてその最も温度が低い吸着剤(Si)を冷却することを特徴とする。
【0011】
これにより、吸着器(51、52)の小型化を図ることができるとともに、吸着剤(Si)を冷却する吸着器の吸着剤(Si)が、冷却される側の吸着剤(Si)より先に、蒸気冷媒の吸着能力が飽和することを防止できるので、吸着式冷凍機(50)にて十分な冷房能力を発揮することができる。請求項4に記載の発明では、内燃機関(31)を有する車両に適用され、内燃機関(31)の停止時においても車室内に吹き出す吹出空気の調和を図ることが可能な車両用空調装置であって、蒸気冷媒を吸着するとともに、加熱されることにより吸着した蒸気冷媒を脱離する吸着剤(Si)、及び液冷媒が封入された第1、2吸着器(51、52)を有し、吹出空気を冷却する吸着器式冷凍機(50)と、圧縮機(21)、凝縮器(22)、減圧器(23)及び蒸発器(24)を有し、蒸発器(24)にて吸着器式冷凍機(50)にて冷却された吹出空気を冷却する蒸気圧縮式冷凍機(100)とを備え、内燃機関(31)の停止時には、第1、2吸着器(51、52)のうち、最も蒸気冷媒を吸着した吸着剤(Si)を有する吸着器にて吹出空気を冷却し、その他の吸着器にてその最も蒸気冷媒を吸着した吸着剤(Si)を冷却することを特徴とする。
【0012】
これにより、請求項3に記載の発明と同様に、吸着器(51、52)の小型化を図ることができるとともに、吸着式冷凍機(50)にて十分な冷房能力を発揮することができる。因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段のと対応関係を示す一例である。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、発明に係る冷凍装置を上記車両の空調装置に適用したものであって、図1は空調装置の模式図である。
図1中、1は空調装置の空調ユニットであり、2は車室内に吹き出す吹出空気(空調空気)の通路を構成する空調ケーシングである。この空調ケーシング2の最上流側には、車室内の空気を吸入する内気吸入口3及び車室外空気を吸入する外気吸入口4が形成されているとともに、両吸入口3、4を切換開閉する内外切換ドア5が設けられている。
【0014】
6は空気を送風する送風機であり、この送風機6の空気流れ下流には、後述する吸着式冷凍機50によって冷却された熱交換媒体と吹出空気(被冷却体)とを熱交換し、吹出空気を冷却する室内熱交換器41が配設され、この室内熱交換器41の空気流れ下流側には、後述する蒸気圧縮式冷凍機100の蒸発器24が配設されている。
【0015】
36はエンジン31の冷却水を熱源として吹出空気を加熱するヒータコア(加熱手段)であり、13は室内熱交換器41及び蒸発器24を通過した吹出空気のうち、ヒータコア36を通過する風量とヒータコア36を迂回する風量とを調節することにより、吹出空気の温度を調節するエアミックスドア(温度調節手段)である。
【0016】
7はフロントガラス(図示せず)に向けて開口するデフロスタ吹出口(図示せず)に連通するデフ開口部であり、8は乗員の上半身に向けて開口するフェイス吹出口(図示せず)に連通するフェイス開口部であり、9乗員の足下に向けて開口するフット吹出口(図示せず)に連通するフット開口部である。
そして、10、11、12は各開口部7、8、9を開閉する吹出モード切替ドアであり、これら吹出モード切替ドア10、11、12、エアミックスドア13、内外気切換ドア5及び送風機6の作動は、電子制御装置(ECU)60により制御されている。
【0017】
ところで、21は電磁クラッチ21aを介してエンジン31から駆動力を得て冷媒(フロン)を吸入圧縮する圧縮機であり、22は大気(外気)と熱交換して冷媒を凝縮させる凝縮器である。23は凝縮器22から流出する冷媒を減圧する減圧器であり、24は減圧された液相冷媒を蒸発させて吹出空気(被冷却体)を冷却する蒸発器である。なお、25は、蒸発器24から流出する冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離し、気相冷媒を圧縮機21の吸入側に流出するアキュームレータである。
【0018】
そして、本実施形態では、圧縮機21、凝縮器22、減圧器23、蒸発器24及びアキュームレータ25により、冷房能力(冷凍能力)を発揮する蒸気圧縮式冷凍機100を構成している。
また、吸着式冷凍機50は、図2に示すように、蒸気(気相)冷媒を吸着するとともに、加熱されることにより吸着した蒸気冷媒を脱離する吸着材Si、及び略真空状態で液相冷媒が封入された第1、2吸着器51、52と、各吸着器51、52で冷却又は加熱された熱交換媒体の通路を切り換える第1〜4切換弁53〜56等から構成されている。
【0019】
因みに、本実施形態では、冷媒として水が両吸着器51、52内に封入されており、吸着剤Siとしては、水を吸着するシリカゲルを採用している。
また、第1、2吸着器51、52は、吸着剤Siが表面に接着された熱交換器(以下、これら熱交換器を第1、2吸着コア51a、52aと呼ぶ。)と、吸着剤Siが接着されていない熱交換器(以下、これら熱交換器を第1、2凝縮コア51b、52bと呼ぶ。)と、これらコア51a、52a、51b、52b及び冷媒を収納するケーシング51c、52cとから構成されている。
【0020】
そして、これらコア51a、52a、51b、52b内には、第1、2吸着コア51、52内の雰囲気と熱交換をする熱交換媒体が流通しており、この熱交換媒体は、第1、2電動ポンプ42、43により循環させられている。なお、44は熱交換媒体と大気(外気)とを熱交換し、熱交換媒体を冷却する室外熱交換器(冷却器)である。
【0021】
ところで、32はエンジン冷却水と大気(外気)とを熱交換して冷却水を冷却するラジエータであり、34はエンジン冷却水を循環させる第3電動ポンプである。33はエンジン冷却水の温度が所定温度となるように、ラジエータ32を流通して循環する水量と、ラジエータ32を迂回して循環する水量とを調節するサーモスタットである。
【0022】
また、第3電動ポンプ34から流出したエンジン冷却水の一部は、熱交換媒体としてAポートから吸着式冷凍機50に流入し、Bポートからエンジン31に還流し、その他の一部は、電磁弁35を経由してヒータコア36に供給されている。
そして、電磁弁35、各電動ポンプ42、43、34、第1〜4切換弁53〜56、並びにラジエータ32、室外熱交換器44及び凝縮器22へ空気を送風するファン32a、44a、22aは、エアミックスドア13等と同様にECU60によって制御されている。
【0023】
ところで、ECU60には、車室内温度を検出する内気温度センサ61、外気温度を検出する外気温度センサ62、日射量を検出する日射センサ63、エンジン冷却水の温度を検出するエンジン水温センサ64等の空調センサからの信号、及び蒸発器24を通過した直後の吹出空気の温度を検出するエバ後温度センサ65からの信号、並びに空調コントロールパネル70からの信号が入力されている。
【0024】
なお、空調コントロールパネル70は、乗員により手動操作されるもので、図3に示すように、吹出モードを切り換える吹出モード切換レバー71、内気吸入状態と外気吸入状態とを切り換える内外気切換レバー72、乗員が希望する吹出空気の温度を設定する温度コントロールレバー73、吹出空気量を切り換える風量切換レバー74、圧縮機21の稼働率を低下させるエコノミーS/W75、及び空調装置の始動・停止を行うエアコンS/W76より構成されている。
【0025】
次に、空調装置の作動について述べる。
エアコンS/W76が投入(ON)されると、電磁クラッチ21aが接続されるとともに、第1〜3電動ポンプ42、43、34及び送風機6が稼働する。なお、第3ポンプ34は、エアコンS/W76が投入されていないとき(OFF)でも、エンジン31が稼働しているときは、稼働する。
【0026】
これにより、熱交換媒体が循環するため、吸着式冷凍機50が稼働して室内熱交換器41にて冷房能力(冷却能力)が発生する。一方、エンジン31が稼働している場合には、圧縮機21が稼働するため、蒸発器24にても冷房能力(冷却能力)が発生する。
このとき、ECU60は、空調センサからの検出信号及び空調コントロールパネル70からの設定信号に基づいて目標エバ後吹出温度TAEOを演算し、エバ後温度センサ65の検出温度TAEが目標エバ後吹出温度TAEOとなるように電磁クラッチ21aのON−OFFを制御する。
【0027】
一方、吸着式冷凍機50では、第1吸着コア51aで冷媒を吸着させ、第2吸着コア52aで冷媒の脱離を行う第1工程と、第1吸着コア51aで冷媒を脱離させ、第2吸着コア52aで冷媒を吸着させる第2工程とを、所定時間t1(本実施形態では60秒)毎に交互に行う。
具体的には、第1工程では、第1〜4切換弁53〜56を図2の実線で示すように作動させる。これにより、エンジン31で加熱されたエンジン冷却水が、第2吸着コア52aに流入し、第2吸着コア52aの吸着剤Siを加熱して第2吸着コア52aの吸着材Siに吸着された蒸気冷媒を脱離する。
【0028】
一方、第1吸着器51内の液冷媒の蒸発が進行するため、第1凝縮コア51b内の熱交換媒体が冷却されるとともに、その蒸発した蒸気冷媒が、第1吸着コア51aの吸着剤Siに吸着される。
このとき、第1電動ポンプ42により第1凝縮コア51bと室内熱交換器41との間を熱交換媒体が循環するので、吹出空気(被冷却体)が冷却される。一方、第2電動ポンプ44により第2凝縮コア52b及び第1吸着コア51aと室外熱交換器44との間を熱交換媒体が循環するので、第2吸着器52内で脱離した蒸気冷媒が凝縮するとともに、第1吸着コア51aの吸着剤Siで発生する吸着熱を吸熱され、吸着能力が低下することが防止される。
【0029】
なお、第2工程は、第1〜4切換弁53〜56を図2の破線に示すように作動させることにより、上記した第1工程における第1吸着器51の作動が第2吸着器52の作動となり、第2吸着器52の作動が第1吸着器51の作動となる。
以上のようにして、吸着冷凍機50は、第1工程と第2工程とを所定時間t1毎に交互に行うことにより、連続的に冷房能力(冷却能力)を発揮する。
【0030】
因みに、エンジン31が停止している時は、圧縮機21が稼働しないため、冷房能力は、吸着式冷凍機50のみから供給される。
次に、本実施形態の特徴を述べる。
吸着剤Siの種類によらず、一般的に、吸着器51、52内の関係湿度が大きくなるほど、吸着剤Siに吸着される蒸気冷媒の質量が増大するので、吸着器冷凍機の冷房能力は、吸着器51、52内の関係湿度が大きくなるほど、冷房能力(冷凍能力)が増大する。
【0031】
ここで、関係湿度とは、吸着剤Siが存在する雰囲気(吸着器51、52内)の蒸気冷媒の有する蒸気圧力P1と、吸着剤Siの温度における飽和蒸気圧P2との比(P1/P2)を示すものである。そして、本実施形態のごとく、吸着式冷凍機50にて冷却した後に蒸気圧縮式冷凍機100で冷却すれば、蒸気圧縮式冷凍機100にて冷却した後に吸着式冷凍機50で冷却する場合に比べて、吸着式冷凍機50の蒸発温度を高くすることができるので、吸着器51、52内の圧力を高くすることができる。
【0032】
このとき、吸着器51、52内は、蒸気冷媒が飽和した状態であるので、吸着器51、52内の圧力とは、吸着剤Siが存在する雰囲気(吸着器51、52内)の蒸気冷媒の有する蒸気圧力P1 である。したがって、吸着器51、52内の関係湿度が大きくなるので、冷房能力を増大させることができる。
延いては、吸着式冷凍機50にて必要とされる冷凍能力を一定とすれば、吸着器51、52内の吸着剤Siの量を減らすことができるので、吸着器51、52の小型化を図ることができる。
【0033】
ところで、吸着器51、52内の蒸気圧力及びその温度は、吸着器51、52内の関係湿度に対応するものであり、吸着剤Siの(水分)吸着率は、図4の(a)に示すように、吸着器51、52内の関係湿度が大きくなるほど大きくなる。ここで、吸着剤Siの吸着率とは、単位質量の吸着剤Siに吸着される水分(冷媒)質量を示すものである。
【0034】
そして、周知のごとく、 吸着器冷凍機50は、吸着工程にある吸着剤Siと脱離(脱着)工程にある吸着剤Siの吸着率の差を利用して冷房を行うため、吸着率の差と冷房能力とは比例する。つまり、吸着率の差が大きいほど冷房能力が大きくなり、吸着率の差が大きいほど同じ冷房能力を発揮するに必要な吸着剤Siの量を少なくすることができる。
【0035】
ここで、脱離工程では、エンジン冷却水により加熱されて脱離が行われるとともに、脱離した蒸気冷媒が室外熱交換器44を介して外気により冷却されて凝縮するため、エンジン冷却水を例えば90℃とすると、図4の(b)に示すように、外気温度が低いほど関係湿度は小さくなる。
一方、吸着工程では、吹出空気(熱交換媒体)から吸熱して冷媒が蒸発するとともに、吸着工程にある吸着剤Siが室外熱交換器44を介して外気により冷却されるため、図4の(c)に示すように、吸着器51、52の蒸発温度が同じ場合には外気の温度が低いほど関係湿度が大きくなり、外気の温度が同じ場合には蒸発温度が高いほど関係湿度が大きくなる。
【0036】
このため、例えば吸着式冷凍器50のみで冷房を行うには、車室内に実際に吹き出す空気の温度より蒸発温度を低くする(例えば10℃)必要があるため、外気の温度が高くなるほど、吸着率の差が小さくなる。つまり、図4の(a)に示すように、外気温度30℃のときの吸着率の差がA−D幅であるのに対して、外気温度40℃のときの吸着率の差がB−C幅となる。
【0037】
これに対して、本実施形態では、前述のごとく、吸着式冷凍機50にて吹出空気(熱交換媒体)を冷却した後に、蒸気圧縮式冷凍機100にて再冷却するので、吸着式冷凍機50の蒸発温度を高くする(例えば20℃)ことができる。
これにより、図4の(a)に示すように、吸着式冷凍機50の蒸発温度10℃のときの吸着率の差がB−C幅であるのに対して、蒸発温度20℃のときの吸着率の差がB−E幅となるので、吸着器51、52の小型化を図ることができる。
【0038】
また、外気の温度が低いときは、圧縮機等の動力源を必要としない吸着式冷凍機50のみで必要な冷房能力を得ることができ、蒸気圧縮冷凍機100を稼働させる必要はないので、空調装置(冷凍装置)の消費動力を大幅に低減することができる。
また、外気の温度が高いときには、圧縮機等の動力源を必要としない吸着式冷凍機50及び蒸発圧縮冷凍機100にて冷房を行えばよいので、蒸発圧縮式冷凍機100のみで冷房を行う場合に比べ消費動力を大幅に低減することができる。
【0039】
また、吸着式冷凍機50は、圧縮機等の動力源を必要とせず、エンジン31の排熱で稼働させることができるので、エンジン31が停止して蒸気圧縮式冷凍機100が停止した場合であっても、冷房を行うことができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図5に示すように、室外熱交換器44で凝縮器26で発生する凝縮熱を放熱するように構成したものである。このため、本実施形態に係る凝縮器26は、室外熱交換器44を循環する熱交換媒体との間で熱交換を行う水冷媒熱交換器を兼ねている。
【0040】
これにより、大気(外気)と熱交換を行う熱交換器を2つ(凝縮器22及び室外熱交換器44)も車両に搭載する必要がないので、空調装置の車両搭載性を向上させることができる。
(第3実施形態)
上述の実施形態では、エンジン冷却水(エンジン31の廃熱)により吸着剤Siの再生(加熱)を行ったが、本実施形態では、エンジン冷却水(熱交換媒体)の流通状態を、図6に示すように、エンジン冷却水により吸着剤Siを加熱する場合と、凝縮器26の凝縮熱により吸着剤Siを加熱する場合とに切り換える第5、6切換弁45、46(切換手段)を設けたものである。
【0041】
これにより、下り坂でエンジン発熱量が少ない場合やエンジン始動直後等のエンジン31の排熱が不足する場合であっても、蒸気圧縮冷凍器100の排熱(凝縮熱)にて吸着剤Siの再生(加熱)をすることができるので、吸着式冷凍器50をより有効に利用することができる。
(第4実施形態)
本実施形態は、図7に示すように、吸着式冷凍機50にて発生する冷却能力(冷房能力)により、蒸気圧縮式冷凍機100の減圧器23に流入する前の冷媒を冷却するように構成したものである。
【0042】
なお、本実施形態では、凝縮器27が、吸着式冷凍機50にて冷却された熱交換媒体と減圧器23に流入する前の冷媒とを熱交換する水冷媒熱交換器を兼ねている。
これにより、吸着式冷凍機50による冷房能力が少し低下し、かつ、蒸気圧縮冷凍機100の冷房割合が増加するものの、蒸気圧縮冷凍機100の高圧側圧力を低くすることができるので、圧縮機21の消費動力を下げることができる。したがって、蒸気圧縮式冷凍機100の成績係数を向上させることができるので、空調装置(冷凍装置)全体の効率を向上させることができる。
【0043】
因みに、本実施形態では、凝縮器27にて減圧器23に流入する前の冷媒と熱交換媒体とを熱交換させたが、冷媒の凝縮を行う凝縮器と水冷媒熱交換器とを各々設け、水冷媒熱交換器にて冷媒の過冷却度を増大させるようにしてもよい。
この場合は、蒸発器24の入口側のエンタルピが低下するので、蒸気圧縮式冷凍機100の冷凍能力(冷房能力)が向上し、蒸気圧縮式冷凍機100の成績係数が向上する。
【0044】
(第5実施形態)
本実施形態は、図8に示すように、第3実施形態と第4実施形態とを合わせたものである。これにより、空調装置の車両への搭載性を向上させつつ、空調装置の効率を向上させることができる。
(第6実施形態)
上述の実施形態では、空調ケーシング2内に室内熱交換器41及び蒸発器24を配設して吹出空気の冷却を行ったが、本実施形態は、図9に示すように、吸着式冷凍機50にて熱交換媒体を冷却した後、その冷却された熱交換媒体を蒸発器28にて再冷却し、室内熱交換器41にて吹出空気を冷却するように構成したものである。
【0045】
つまり、上述の実施形態では、吹出空気を被冷却体として吸着式冷凍機50及び蒸気圧縮式冷凍機100にて直接的に吹出空気を冷却したのに対して、本実施形態は、熱交換媒体を被冷却体として吸着式冷凍機50及び蒸気圧縮式冷凍機100にて間接的に吹出空気を冷却するように構成したものである。
なお、本実施形態では、蒸発器28は、熱交換媒体から吸熱して蒸気圧縮式冷凍機100の冷媒を蒸発させる水冷媒熱交換器を兼ねるものである。
【0046】
これにより、空調ケーシング2内の熱交換器を減らすことができるので、空調装置(空調ケーシング2)の小型化を図ることができる。延いては、空調装置の車両搭載性を向上させることができる。
(第7実施形態)
上述の実施形態では、空調装置の稼働時には、常に第1工程と第2工程とを所定時間ごとに切り換えていたが、本実施形態は、エンジン31の停止時には、第1、2吸着器51、52のうち、蒸気冷媒の吸着が進行して最も多量の蒸気冷媒を吸着した状態の吸着剤Siを有する吸着器にて熱交換媒体(被冷却体)を冷却し、他方の吸着器にて一方側の吸着器の吸着剤Siを冷却するように構成したものである。
【0047】
具体的には、図10に示すように、吸着式冷凍機50に切換弁57、58を追加するとともに、吸着式冷凍機50を後述するように制御するものである。以下、吸着式冷凍機50の作動を図11に示すフローチャートに基づいて述べる。
エアコンS/W76が投入されると、エンジン31が稼働しているか否かを判定し(S101)、両吸着器51、52が第1工程又は第2工程であるかを判定する(S102)。
【0048】
そして、現在の工程が第1、2工程のいずれでもないと判定されたときには、エンジン31が再始動したものとみなされ、吸着式冷凍機50を第1工程とするとともに(S103)、ECU60に設けられたタイマ手段を初期化(t=0)する(S104)。
一方、現在の工程が第1工程又は第2工程であると判定されたときには、タイマ手段の計数値(カウント値)から両工程が切り替わった時(以下、この時を切換時と呼ぶ。)から所定時間t1が経過したか否かを判定し(S105)、切換時から所定時間t1が経過していないときには、現在の工程を維持する。
【0049】
一方、切換時から所定時間t1が経過したものと判定されたときには、現在の工程を変更する(例えば現在の工程が第1工程であるときは、第2工程に変更する)とともに(S106)、タイマ手段を初期化する(S107)。
一方、S101にてエンジン31が停止中と判定されたときには、第1、2吸着コア51a、52aの温度T1、T2を検出し(S108)、第1吸着コア51aの温度T1と第2吸着コア52aの温度T2とを比較する(S109)。
【0050】
なお、本実施形態では、吸着コア51a、52aのうち熱交換媒体の出口側での熱交換媒体の温度を第1、2吸着コア51a、52aの温度、すなわち吸着剤Siの温度T1、T2としている。
そして、温度T1が温度T2よりも低いときには、第1吸着器51の吸着剤Siが第2吸着器52の吸着剤Siに比べて多量の蒸気冷媒を吸着しているものとみなして、第1吸着器51にて室内熱交換器41を循環する熱交換媒体を冷却し、第2吸着器52にて第1吸着器51の吸着剤Siを冷却する第3工程を行う(S110)。
【0051】
一方、温度T1が温度T2以上であったときには、第2吸着器52の吸着剤Siが第1吸着器51の吸着剤Siに比べて多量の蒸気冷媒を吸着しているものとみなして、第2吸着器52にて室内熱交換器41を循環する熱交換媒体を冷却し、第1吸着器51にて第2吸着器52の吸着剤Siを冷却する第4工程を行う(S111)。
【0052】
ところで、第3工程又は第4工程を行っている間は、S109にて温度が高いと判定された吸着コア(吸着剤Si)が、他方の吸着コア(吸着剤Si)より高い温度に維持され続けるため、エンジン31が再始動するまでの間に第3工程と第4工程とがが切り替わることはない。
つまり、第3工程では第1吸着器51が冷房用、第2吸着器52が第1吸着器51の吸着剤Siの冷却用として作動するため、温度T2が温度T1より必ず高いので、エンジン31が再始動するまでの間に第3工程と第4工程とが切り替わることはない。
【0053】
なお、エンジン31の再始動時には、第1、2吸着器51、52のいずれも蒸気冷媒を脱離させる必要がある状態となっているので、いずれかの吸着器の脱離が完了するまでは、吸着式冷凍機50による冷房運転はできないため、第1工程、第2工程のいずれから吸着式冷凍機50の運転を始めても特に問題はない。また、エンジン31の廃熱で蒸気冷媒の脱離を行うので、第1工程、第2工程のいずれから吸着式冷凍機50の運転を始めても、エンジン排熱で脱離を行うためどちらの工程を選択しても大きく変わらない。
【0054】
次に、本実施形態の特徴を述べる。
吸着剤Siの吸着能力は、周知のごとく、吸着剤Siの温度が低いほど、高くなるので、吸着剤Siを冷却すれば、吸着式冷凍機50の冷房能力(冷凍能力)を高めることができる。
そこで、本実施形態では、エンジン31が停止し、蒸気圧縮式冷凍機100にて冷房を
行うことができないときには、第1、2吸着器51、52のいずれか一方の吸着器にて冷房を行い、他方の吸着器にてその一方の吸着器の吸着剤Siを冷却するので、吸着式冷凍機50の冷房能力を高めることができ、エンジン31が停止したときでも、低い温度の吹出空気を車室内に吹き出すことができる。
【0055】
延いては、エンジン31の停止時に、吹出空気の温度が高いことに起因して乗員が感ずる高湿度感を防止できるので、エンジン31の停止時においても空調フィーリングが悪化することを防止できる。ところで、温度が高い方の吸着剤Si(以下、この吸着剤Siを高温側吸着剤Siと呼ぶ。)は、温度が低い方の吸着剤Si(低温側吸着剤Siと呼ぶ。)に比べて蒸気冷媒の脱離が進んでいる(吸着されている蒸気冷媒量少ない)ので、高温側吸着剤Siは、低温側吸着剤Siに比べて大きい吸着能力を有している。
【0056】
このため、仮にエンジン31の停止時に、高温側吸着剤Siの吸着器にて冷房を行い、低温側吸着剤Siの吸着器で高温側吸着剤Siを冷却すると、高温側吸着剤Siの吸着能力が飽和する前に、低温側吸着剤Siの吸着能力が飽和してしまい、高温側吸着剤Siを十分に冷却することができない。
これに対して、本実施形態では、エンジン31の停止時には、低温側吸着剤Siの吸着器にて冷房を行い、吸着能力が大きい高温側吸着剤Siの吸着器で低温側吸着剤Siを冷却するので、低温側吸着剤Siを十分に冷却することができる。したがって、吸着式冷凍機50にて十分な冷房能力を発揮することができる。
【0057】
ところで、本実施形態では、吸着式冷凍機50の構成を簡単にするために、エンジン31の停止時には、吸着剤Si(低温側吸着剤Si)を冷却する側の吸着器(高温側吸着剤Siの吸着器)のみを室外熱交換器44にて冷却しているので、仮に高温側吸着剤Siを低温側吸着剤Siの吸着器にて冷却するように構成すると、高温側吸着剤Siを低温側吸着剤Siの吸着器のみで冷却する必要がある。
【0058】
このため、低温側吸着剤Siの吸着器の有する冷凍能力が、冷房能力(吸着剤Siの吸着能力)を高めるために有効に利用されないという問題が発生してしまう。
これに対して、本実施形態では、低温側吸着剤Siを高温側吸着剤Siの吸着器で冷却し、高温側吸着剤Siが室外熱交換器44にて冷却されるので、高温側吸着剤Siの吸着器の冷凍能力を有効に利用して低温側吸着剤Siを冷却することができる。したがって、吸着式冷凍機50にて十分な冷房能力を発揮することができる。
【0059】
なお、図12は、エンジン31の稼働時の脱離温度(エンジン冷却水の温度)を90℃とし、外気の温度を40℃として、所定時間t1を60秒とした場合の各吸着コアの温度T1、T2の変化を示すグラフである。
ここで、第1工程(第1吸着器51が吸着工程、第2吸着器52が脱離工程)が始まる時に、すなわち、第1吸着コア51aの温度は90℃であり、第1凝縮コア51bの温度は40℃であり、第2吸着器52内の温度は20℃(蒸発温度)であるときにエンジン31が停止した場合を考える。
【0060】
エンジン31が停止した後、第1吸着器51で冷房を行い第2吸着器52で第1吸着器51の吸着剤Siを冷却する第3工程に切り替えたときには、第1吸着コア51aは、第2吸着器52の吸着剤Siが吸着する蒸気冷媒の蒸発潜熱により、90℃から約25℃まで冷却される。
一方、第1吸着器51内の冷媒が蒸発して室内熱交換器41を循環する熱交換媒体を冷却するとともに、第1凝縮コア51bの温度は、外気の温度(凝縮温度)である40℃から蒸発温度である約10℃へと変化する。
【0061】
これに対して、エンジン31の停止した後、第2吸着器52で冷房を行い第1吸着器51で第2吸着器52の吸着剤Siを冷却する第4工程に切り替えたときには、第1吸着コア51aの温度は、外気温度(凝縮温度)である40℃から約25℃まで低下し、第1凝縮コア51bの温度は蒸発温度である20℃から蒸発温度である約10℃へと変化する。
【0062】
この例からも明らかなように、低温側吸着剤Siの吸着器にて冷房を行い、高温側吸着剤Siの吸着器にて低温側吸着剤Siを冷却した方が、吸着式冷凍機51の冷凍能力(冷房能力)が向上することが判る。
(第8実施形態)
第7実施形態では、吸着剤Siの温度に基づいて、いずれの吸着器にて暖房を行うかを決定したが、本実施形態は、エンジン31の稼働時には、吸着剤Siの温度(吸着コア51a、52aの温度)の変化は、図12に示すように、第1工程と第2工程とが切り替わる時を基準として計測した時間の関数になることに着目してなされたものである。
【0063】
以下、本実施形態の作動を図13に示すフローチャートに基づいて説明する。
エアコンS/W76が投入されると、エンジン31が稼働しているか否かを判定し(S201)、両吸着器51、52が第1工程又は第2工程であるかを判定する(S202)。
そして、現在の工程が第1、2工程のいずれでもないと判定されたときには、エンジン31が再始動したものとみなされ、吸着式冷凍機50を第1工程とするとともに(S203)、ECU60に設けられたタイマ手段を初期化(t=0)する(S204)。
【0064】
一方、現在の工程が第1工程又は第2工程であると判定されたときには、タイマ手段の計数値(カウント値)から両工程が切り替わった時(以下、この時を切換時と呼ぶ。)から所定時間t1が経過したか否かを判定し(S205)、切換時から所定時間t1が経過していないときには、現在の工程を維持する。
一方、切換時から所定時間t1が経過したものと判定されたときには、現在の工程を変更する(例えば現在の工程が第1工程であるときは、第2工程に変更する)とともに(S206)、タイマ手段を初期化する(S207)。
【0065】
一方、S201にてエンジン31が停止中と判定されたときには、既に第3工程又は第4工程が行われているか否かが判定され(S208)、第2工程又は第4工程のいずれかが行われているときには、現在の工程(第3工程又は第4工程)が維持される(S209)。
一方、第2工程又は第4工程のいずれかが行われていないときには、第1工程又は第2工程が行われているものとみなされるので、第1工程と第2工程とを切り換えた時(切換時)から所定時間t2が経過しているか否かを判定し(S210)、切換時から所定時間t2が経過している場合に、現在の工程が第1工程のときには、第1工程を第3工程に切り換え、現在の工程が第2工程のときには、第2工程を第4工程に切り換える(S211)。
【0066】
一方、切換時から所定時間t2が経過していない場合に、現在の工程が第1工程のときには、第4工程に切り換え、現在の工程が第2工程のときには、第3工程に切り替える(S212)。
ここで、所定時間t2とは、切換時から温度T1、T2の上下関係が反転するまでの時間をいうものである。
【0067】
以上に述べたように、本実施形態では、タイマ手段にて第3工程又は第4工程の選択を行うので、第7実施形態のごとく、吸着剤Siの温度を検出する温度検出手段を必要としないので、簡素な構成で吸着式冷凍機50を構成することができる。
(第9実施形態)
第7、8実施形態では、エンジン31が停止したときに、冷房を行う吸着器(低温側吸着剤Siの吸着器)に、エンジン31を通過した熱交換媒体(エンジン冷却水)も流通するため、吸着式冷凍機50の冷房能力(冷凍能力)が低下するおそれがある。
【0068】
そこで、本実施形態では、図14、15に示すように、エンジン31を流通した熱交換媒体(エンジン冷却水)が、エンジン31の停止時に、冷房を行う吸着器(低温側吸着剤Siの吸着器)に流通しないような構成としたものである。以下、本実施形態の概略作動を述べる。
エンジン31の稼働時における第1工程では、切換弁53〜58を図14の実線で示すように作動させる。これにより、エンジン31で加熱されたエンジン冷却水は、切換弁53、54を通り第2吸着コア52aに流入して第2吸着コア52aを加熱する。その後、エンジン冷却水は切換弁57、58を通りエンジン31に還流する。
【0069】
一方、ポンプ43により循環される熱交換媒体は切換弁55を通り、第2凝縮コア52bで吸着器52内の冷媒を凝縮させるとともに、切換弁54を通り第1吸着コア51aに流入して吸着剤Siを冷却する。その後、熱交換媒体は切換弁56、58を通り室外熱交換器44に流入して外気にて冷却される。
また、第1吸着器51にて発生した冷凍能力は、ポンプ42により熱交換媒体を循環させることにより、第1凝縮コア51bから室内熱交換器41に伝達されて吹出空気を冷却する。
【0070】
なお、第2工程は、切換弁54、55、56、57を図14中の破線で示す状態に作動させ、切換弁53、58は実線で示す状態に作動させることにより行われる。これにより、上記した第1工程における第1吸着器51の作動が第2吸着器52の作動となり、第2吸着器52の作動が第1吸着器51の作動となる。
また、エンジン31の停止状態における第3工程では、切換弁53、58を図14の破線で示す状態とし、切換弁54、55、56、57を実線で示す状態とする。これにより、エンジン冷却水を循環させるポンプ34により送られた冷却水は、切換弁53、58を経由して室外熱交換器42を通り、その後、切換弁53、54を流通して第2吸着コア52bを冷却する。
【0071】
そして、第2吸着器52で発生した冷凍能力により、第2凝縮コア52bを流通する熱交換媒体が冷却されるとともに、その冷却された熱交換媒体により第1吸着コア51a(第1吸着器51の吸着剤Si)が冷却される。一方、第1吸着器51で発生した冷凍能力は、熱交換媒体を介して室内熱交換器41に伝達されて吹出空気を冷却する。
【0072】
また、第4工程は、切換弁53〜58を図14の破線に示す状態とすることにより行われる。これにより、第1吸着器51により第2吸着器52の吸着剤Siが冷却され、第2吸着器51により吹出空気の冷房が行われる。
したがって、本実施形態では、エンジン31の停止時に、冷房を行う吸着器(低温側吸着剤Siの吸着器)に流通しないので、吸着式冷凍機50の冷房能力(吸着能力)が低下することを防止できる。
【0073】
ところで、第7〜9実施形態では、吸着剤Siの温度(吸着コア51a、52aの温度)に基づいて、いずれの吸着器51、52にて吹出空気の冷房を行うかを決定したが、これは、図12に示すように、吸着コア51a、52aの方が凝縮コア51b,52bより切換時の温度差が大きいからである。
しかし、図12から明らかなように、第1凝縮コア51aの温度と第2凝縮コア52bの温度との上下関係は、吸着剤Siの温度(吸着コア51a、52aの温度)と同じであるので、両凝縮コア51a、52bの温度に基づいて、いずれの吸着器51、52にて吹出空気の冷房を行うかを決定してもよい。
【0074】
また、第7〜9実施形態では、吹出空気の冷却を行う吸着器の吸着剤Siは、他方側の吸着器のみによって冷却されたが、外気温度程度までは、室外熱交換器44にて冷却するように構成してもよい。
また、第7〜9実施形態では、蒸気圧縮式冷凍機100は吹出空気を直接に冷却していたが、第6実施形態のごとく、熱交換媒体を介して冷却するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る空調装置の模式図である。
【図2】第1実施形態に係る吸着式冷凍機の模式図である。
【図3】空調コントロールパネルの正面図である。
【図4】(a)は関係湿度と水分吸着率との関係を示すグラフであり、(b)は脱離工程における外気温度と関係湿度との関係を示す図表であり、(c)は吸着工程における外気温度、蒸発温度及び関係湿度との関係を示す図表である。
【図5】第2実施形態に係る空調装置の模式図である。
【図6】第3実施形態に係る空調装置の模式図である。
【図7】第4実施形態に係る空調装置の模式図である。
【図8】第5実施形態に係る空調装置の模式図である。
【図9】第6実施形態に係る空調装置の模式図である。
【図10】第7実施形態に係る吸着式冷凍機の模式図である。
【図11】第7実施形態に係る吸着式冷凍機の作動を示すフローチャートである。
【図12】時間と各コアの温度との関係を示すグラフである。
【図13】第8実施形態に係る吸着式冷凍機の作動を示すフローチャートである。
【図14】第9実施形態に係る吸着式冷凍機の模式図である。
【図15】第9実施形態に係る空調装置の模式図である。
【符号の説明】
24…蒸発器、41…室内熱交換器、50…吸着式冷凍機、
100…蒸気圧縮式冷凍機。
Claims (4)
- 内燃機関(31)を有する車両に適用され、
前記内燃機関(31)の停止時においても車室内に吹き出す吹出空気の調和を図ることが可能な車両用空調装置であって、
蒸気冷媒を吸着するとともに、加熱されることにより吸着した蒸気冷媒を脱離する吸着剤(Si)、及び液冷媒が封入された第1、2吸着器(51、52)を有し、前記吹出空気を冷却する吸着器式冷凍機(50)と、
圧縮機(21)、凝縮器(22)、減圧器(23)及び蒸発器(24)を有し、前記蒸発器(24)にて前記吸着器式冷凍機(50)にて冷却された前記吹出空気を冷却する蒸気圧縮式冷凍機(100)と、
前記第1吸着器(51)の前記吸着剤(Si)に蒸気冷媒を吸着させ、前記第2吸着器(52)の前記吸着剤(Si)を加熱して蒸気冷媒を脱離させる第1工程と、前記第2吸着器(52)の前記吸着剤(Si)に蒸気冷媒を吸着させ、前記第1吸着器(51)の前記吸着剤(Si)を加熱して蒸気冷媒を脱離させる第2工程とを所定時間毎に切り換える切換手段(45、46)とを備え、
前記内燃機関(31)の停止時には、前記両吸着器(51、52)のうち一方の吸着器にて前記吹出空気を冷却し、他方の吸着器にて前記一方の吸着器の前記吸着剤(Si)を冷却することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記2つの工程が切り替わる時を基準として計測した時間に基づいて、前記第1、2吸着器(51、52)のうちいずれの吸着器にて前記吹出空気を冷却するかを決定することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 内燃機関(31)を有する車両に適用され、
前記内燃機関(31)の停止時においても車室内に吹き出す吹出空気の調和を図ることが可能な車両用空調装置であって、
蒸気冷媒を吸着するとともに、加熱されることにより吸着した蒸気冷媒を脱離する吸着剤(Si)、及び液冷媒が封入された第1、2吸着器(51、52)を有し、前記吹出空気を冷却する吸着器式冷凍機(50)と、
圧縮機(21)、凝縮器(22)、減圧器(23)及び蒸発器(24)を有し、前記蒸発器(24)にて前記吸着器式冷凍機(50)にて冷却された前記吹出空気を冷却する蒸気圧縮式冷凍機(100)と、
前記第1吸着器(51)の前記吸着剤(Si)に蒸気冷媒を吸着させ、前記第2吸着器(52)の前記吸着剤(Si)を加熱して蒸気冷媒を脱離させる第1工程と、前記第2吸着器(52)の前記吸着剤(Si)に蒸気冷媒を吸着させ、前記第1吸着器(51)の前記吸着剤(Si)を加熱して蒸気冷媒を脱離させる第2工程とを所定時間毎に切り換える切換手段(45、46)とを備え、
前記内燃機関(31)の停止時には、前記第1、2吸着器(51、52)のうち、最も温度が低い前記吸着剤(Si)を有する吸着器にて前記吹出空気を冷却し、その他の吸着器にてその最も温度が低い前記吸着剤(Si)を冷却することを特徴とする車両用空調装置。 - 内燃機関(31)を有する車両に適用され、
前記内燃機関(31)の停止時においても車室内に吹き出す吹出空気の調和を図ることが可能な車両用空調装置であって、
蒸気冷媒を吸着するとともに、加熱されることにより吸着した蒸気冷媒を脱離する吸着剤(Si)、及び液冷媒が封入された第1、2吸着器(51、52)を有し、前記吹出空気を冷却する吸着器式冷凍機(50)と、
圧縮機(21)、凝縮器(22)、減圧器(23)及び蒸発器(24)を有し、前記蒸発器(24)にて前記吸着器式冷凍機(50)にて冷却された前記吹出空気を冷却する蒸気圧縮式冷凍機(100)とを備え、
前記内燃機関(31)の停止時には、前記第1、2吸着器(51、52)のうち、最も蒸気冷媒を吸着した前記吸着剤(Si)を有する吸着器にて前記吹出空気を冷却し、その他の吸着器にてその最も蒸気冷媒を吸着した前記吸着剤(Si)を冷却することを特徴とする車両用空調装置。
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