JP4157812B2 - ウエハ保持方法及びこの方法に使用する枚葉式熱処理装置 - Google Patents
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このため、面内応力を均一に分散して保持することが難しく、スリップ(転位による結晶欠陥)の発生が問題となっている。スリップが発生すると、デバイス製造の歩留まりが悪くなる。
そこで、ウエハ支持部での応力集中の対策として、ウエハの外周縁を円弧状またはリング状の支持部体に面接触させて、ウエハを支持する熱処理用ボート等が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。また、面内温度差を緩和する対策として、熱処理時に付与される熱を保持体に蓄熱してから、この蓄熱された熱をウエハの周縁部に熱伝導することにより、ウエハ全体を均一に熱処理する熱処理装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
すなわち、本発明は、ウエハを一枚ずつ収容して熱処理する枚葉式熱処理装置の処理室内における当該ウエハの保持方法であって、ウエハの中心部を挟んで互いに対称の位置に対向し、かつウエハの周縁部に対応する位置に、ウエハ移載ロボットの二股のハンドとの干渉を回避しつつウエハ周縁部に沿って周方向に延び、それぞれウエハ周縁部に対する接触面積が同一とされた複数対の支持エリアを当該周縁部に沿って均等間隔で設け、このうち少なくとも1対をウエハの移送方向と直交方向に配置するとともに、その他の対を前記移送方向に対して軸対象の位置に配置した状態で、各支持エリアで、ウエハ周縁部の下面に各ウエハ支持体を面接触させてウエハの下方を支持することを特徴とする。
これにより、ウエハ周縁部の点対称となる位置に設けられた支持エリアで、ウエハがほぼ均一に面接触して支持され、ウエハ面内の応力の偏りや、応力集中が低減しウエハ面内の応力不均一が緩和される。同時に、ウエハ面内の温度差も緩和される。このように、ウエハ面内の応力不均一とウエハ面内の温度差が緩和されるので、スリップ発生を抑制できる。さらに、ウエハ支持体を移載ロボットのハンドと干渉しないように構成することで、ウエハの昇降機構等が不要となり、枚葉式熱処理装置の構造を簡素化できる。
この場合、ウエハ周縁部の点対称となる位置に設けられたウエハ支持体の載置部で、ウエハが面接触によって支持されるので、ウエハ面内の応力の偏りや、応力集中が低減するのでウエハ面内の応力不均一は緩和される。同時に、ウエハ支持体がウエハ周縁上で均等間隔に配置され、ウエハ面内の温度差も緩和される。このように、ウエハ面内の応力不均一とウエハ面内の温度差が緩和されるので、スリップ発生を抑制できる。さらに、ウエハ支持体を移載ロボットのハンドと干渉しないように構成することで、ウエハの昇降機構等が不要となり、枚葉式熱処理装置の構造を簡素化できる。
この場合には、ウエハサイズごとに構成されたウエハトレーを準備しておくことにより、熱処理するウエハサイズに合わせて当該ウエハトレーを適宜選択して使用することができる。また、センタリングピンにより、ウエハトレーが処理室に対して位置決めされるので、ウエハを常に処理室内の定位置に置いた状態で熱処理できる。
また、上記枚葉式熱処理装置において、前記ウエハ支持体は、載置部にウエハを載置した状態で当該ウエハの上面と当該ウエハ支持体の上部端面とが、面一となるように形成されていることが好ましい。これにより、プロセスガスの流れをウエハ周縁部で乱すことなく熱処理できるので、ウエハの品質を安定させることができる。
この場合、ウエハに加えられる熱は、ウエハ支持体と蓄熱部材によりほぼ均等に蓄熱されるので、ウエハ全体が均等に熱処理される。また、ウエハの急速な昇温や冷却を抑制できる。なお、蓄熱部材は、水平面上への影射がウエハ支持体と重ならず、かつウエハ支持体と同じか乃至はこれに近い熱容量を有する素材で構成するのが好ましい。
図1に示すように、この枚葉式熱処理装置1は、ウエハWが1枚ずつ収容される処理室2と、この処理室2の外壁面側に離隔して外装された加熱手段3と、処理室2の外壁面と加熱手段3の内壁面との間に設けられた冷却媒体用流通路4とを備え、さらにウエハWを処理室2内に搬送、搬出する移載ロボットを備えている。なお、この移載ロボットにはロボットのハンド7が備えられている。処理室2内には、ウエハトレー5が設置され、図2に示すように、当該ウエハトレー5上の4箇所にウエハ支持体6が構成され、このウエハ支持体6でウエハWが保持されている。
加熱手段3は、加熱体の熱源として例えば、抵抗加熱タイプのものが採用されており、抵抗発熱体と、その外周を取り巻く断熱材と、図示しない電気を供給する電気供給部とを有しており、発熱体に電気が供給され、その抵抗によりジュール熱が発生する仕組みになっている。ただし、この加熱手段3に限られるものではなく、誘導加熱方式などその他の加熱手段3を採用することも可能である
処理室2の底面上には、6本のセンタリングピン8が立設されており、そのうち各枠体5a、5cの外側に各2本と、枠体5bの外側に2本が配設されている。そして、この各センタリングピン8にウエハトレー5が当接され、当該ウエハトレー5の位置が決められている。なお、センタリングピン8は、円柱状でウエハトレー5より上部に突出可能な長さに形成されている。
ウエハ支持体6は、両端下部に設けられた2本の脚部6bで、ウエハトレー5に固定されている。図1の要部拡大図に示すように、支持体本体部6aの径方向内側の上側角部には、段差部が周方向に沿って形成されている。この段差部には、ウエハW下面周縁を受ける所要幅と、前記段差部周方向にわたる長さを有する載置部9が形成されている。また、一対のウエハ支持体6に形成されている各載置部9のウエハW周縁部の下面への接触面積は、同一となっている。さらに、一対のウエハ支持体6は、それぞれ同じ熱容量を有している。
また、図2に示すように、移送方向20に臨む1対のウエハ支持体6の周方向長さは、ハンド7の二股に分かれた両先端部間に収まる寸法とされている。他の1対のウエハ支持体6の周方向長さは、当該ウエハ支持体6とハンド7との間に余裕ができる寸法とされている。これにより、ハンド7とウエハ支持体6が干渉することがない。
この支持エリアによるウエハWの保持は、つぎのようにして行われる。移載ロボットのハンド7により処理前のウエハWを、ウエハ支持体6の真上まで進入させ、次いで前記ハンド7をわずかに下降させることにより、ウエハWが2対の各ウエハ支持体6の載置部9に受け渡される。これにより、ウエハWの周縁部が、前記載置部9により形成された各支持エリアで均一に面接触されて、当該ウエハWが保持される。次に移載ロボットは、処理室2の外に待避する。
例えば、枠体5d上のウエハ支持体6を除く3つで、300mmウエハを保持した場合、その周縁部の特定の2箇所に集中する最大応力は、4.37×106N/m2であった。これに対し、本実施形態のように、4つのウエハ支持体6で300mmウエハを保持した場合は、応力は周縁部の特定の8箇所に均等に分散され、その最大応力は1.79×106N/m2という低い値を示した。
一方、支持エリアを形成する各ウエハ支持体6は同じ熱容量を有するが、本実施形態ではウエハ支持体6をウエハWの周縁上で偏った部分に配置せず、点対称となる部分で均等に配置しているので、熱処理時のウエハW面内の温度差も緩和される。
以上説明したように、ウエハ面内の応力不均一とウエハ面内の温度差が緩和されるので、スリップ発生を抑制できる。その結果、小口径のウエハWは勿論、大口径の300mmウエハWを熱処理する場合であっても、その品質を向上するとともにスリップ発生を抑制して、歩留まりの低下を防ぐ効果が発揮される。
また、ウエハサイズに合わせたウエハ支持体6が構成されたウエハトレー5を別に製作しておくことで、熱処理するウエハサイズに合わせて当該ウエハトレーを適宜選択して、枚葉式熱処理装置1にセットすることができる。このため、異なるサイズのウエハWを同じ枚葉式熱処理装置1で熱処理することが可能となるので利便性が高い。また、センタリングピン8により、ウエハトレー5が処理室に対して位置決めされるので、ウエハWを常に処理室内の定位置に置いた状態にできる。したがって、プロセスガスの流れをウエハ周縁部で乱すこともなく熱処理できるので、ウエハの品質を安定させることができる。
なお、本発明は、前記した各実施例の形態に限定されるものではない。
例えば、第一、第二実施形態に係るウエハ支持体6を別形状としたり、蓄熱部材10の材質を熱処理条件等に合わせて変更してもよい。また、ウエハトレー5の形状やセンタリングピン8の位置も適宜変更することも可能である。
2 処理室
3 加熱手段
5 ウエハトレー
6 ウエハ支持体
7 ハンド
8 センタリングピン
9 載置部
10 蓄熱部材
W ウエハ
L 段差部の高さ
Claims (5)
- ウエハを一枚ずつ収容して熱処理する枚葉式熱処理装置の処理室内における当該ウエハの保持方法であって、
ウエハの中心部を挟んで互いに対称の位置に対向し、かつウエハの周縁部に対応する位置に、ウエハ移載ロボットの二股のハンドとの干渉を回避しつつウエハ周縁部に沿って周方向に延び、それぞれウエハ周縁部に対する接触面積が同一とされた複数対の支持エリアを当該周縁部に沿って均等間隔で設け、このうち少なくとも1対をウエハの移送方向と直交方向に配置するとともに、その他の対を前記移送方向に対して軸対象の位置に配置した状態で、各支持エリアで、ウエハ周縁部の下面に各ウエハ支持体を面接触させてウエハの下方を支持することを特徴とするウエハの保持方法。 - ウエハが一枚ずつ収容される処理室と、当該処理室に配置されたウエハを加熱する加熱手段と、処理室内でウエハを保持するウエハ支持体とを備えた枚葉式熱処理装置であって、
前記ウエハ支持体は、ウエハの中心部を挟んで互いに対称の位置に対向した状態でウエハの周縁部に対応する位置に当該周縁部に沿って均等間隔で複数対設けられ、このうち少なくとも1対がウエハの移送方向と直交方向に配置されてウエハ周縁部に沿って周方向に延び、かつその周方向長さがウエハ移載ロボットのハンドの二股に分かれた両先端部間に収まる寸法とされ、その他の対が前記移送方向に対して軸対象の位置に配置されてウエハ周縁部に沿って周方向に延び、かつその周方向の長さが前記ハンドとの間隔に余裕ができる寸法とされており、
複数対のウエハ支持体には、それぞれ等しい接触面積でウエハ周縁部の下面に面接触させてウエハの下方を支持する載置部が設けられていることを特徴とする枚葉式熱処理装置。 - 互いに隣接する前記ウエハ支持体の相互間であって、前記載置部の載置面と並列に、前記加熱手段による熱を一旦蓄熱してウエハを加熱する蓄熱部材が設けられている請求項2に記載の枚葉式熱処理装置。
- 前記ウエハ支持体は、載置部にウエハを載置した状態で当該ウエハの上面と当該ウエハ支持体の上部端面とが、面一となるように形成されている請求項2または3に記載の枚葉式熱処理装置。
- 前記ウエハ支持体はウエハトレー上に設けられ、当該ウエハトレーは、処理室に着脱自在とされ、かつ別に設けられたセンタリングピンにより位置決めされている請求項2〜4のいずれかに記載の枚葉式熱処理装置。
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