JP4156790B2 - プレフィルドシリンジ用注射器およびプレフィルドシリンジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、予め薬液が充填されるいわゆるプレフィルドシリンジ用注射器および予め薬液が充填されたプレフィルドシリンジに関する。
【0002】
【従来の技術】
患者に輸液を投与するのに先立って、輸液容器内に充填された輸液にビタミン剤、ミネラル類、抗生物質のような様々な薬剤を必要に応じて配合することが行われている。また、救急医療の現場では注射器によって自律神経作用薬、昇圧薬などの複数併用および大量投与が行われている。このような薬剤の配合や投与は、バイアル瓶から注射器によって薬液を吸引し、次いで輸液容器あるいは直接血管に薬液を注入することによって行われている。しかしながら、このような薬剤の配合および投与は操作が煩雑であり、配合に要する時間、投与に要する時間が長くかかるという欠点がある。そこで、予め薬液が充填されるいわゆるプレフィルドシリンジが提案されている。
プレフィルドシリンジとしては、シリンジ使用前、特に輸送中にシリンジ内部の薬液等がノズル先端開口から漏れないようにすることが必要である。このようなプレフィルドシリンジとしては、特表平11−501597号公報にノズル部とその周りを取り囲むカラー部を備えるノズル部とノズル部およびカラー部を内表面および外表面から被包するシールキャップとからなり、シールキャップを螺合のみによりノズル部に取り付け、ノズル先端開口を液密に密封したものが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、螺合のみで密封したプレフィルドシリンジは、輸送中の振動等により螺合がゆるみ液漏れするおそれがある。外筒とキャップが異材質でかつ適度に相溶性がある場合には、両者を部分的に融着することによりゆるみを防止することも可能であるが、この場合には、融着作業が必要となる。また、両者の材質に相溶性がない場合には、両者が融着しないので、上述のような部分的融着を用いることができない。また、同材質もしく近似の材質を用いる場合には、両者の相溶性が高すぎ、上述のような部分的融着を用いると両者が強固に固着されてしまう。
そこで、本発明は、上記問題点を解決して、シリンジ使用前、特に輸送中の振動によるシールキャップのゆるみを防止するプレフィルドシリンジ用注射器およびそれを用いたプレフィルドシリンジを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 外筒本体部と、該外筒本体部の先端側に設けられ、先端に向かってテーパー状に縮径する注射針を取り付け可能なノズル部と、前記外筒本体部の後端側に設けられたフランジとを備える外筒と、前記外筒本体部の前記ノズル部に液密かつ着脱可能に取り付けられたシールキャップと、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取り付け可能なプランジャーとを備えるプレフィルドシリンジ用注射器であって、前記ノズル部は、ノズル本体部と、該ノズル本体部より基端側に設けられた外筒側螺合部と、該外筒側螺合部より基端側に設けられた外筒側係合部とを備え、前記外筒側係合部は、前記外筒側螺合部より大径に形成された台座部と、該台座部の外側面より前記外筒の半径方向に突出する2つの突起と前記2つの突起間により形成された凹部により構成されており、前記シールキャップは、前記ノズル本体部を収納する一端が閉塞した円筒状のノズル本体部収納部と、該ノズル本体部収納部より他端側に形成された前記外筒側螺合部と螺合するキャップ側螺合部と、該キャップ側螺合部より基端側に設けられ、前記外筒側係合部と係合するシールキャップ側係合部とを備え、さらに、前記シールキャップは、前記キャップ側螺合部より基端側に突出する環状部を備え、前記キャップ側係合部は、前記環状部の内面に形成された内方に突出する突起により構成され、該シールキャップを前記ノズル部に液密に取り付けた時に前記外筒側係合部と係合するものであり、前記外筒側係合部と該シールキャップ側係合部との係合により前記シールキャップの前記ノズル部から離間する方向への回転抵抗が高くなっており、さらに、前記外筒側係合部の前記2つの突起は、前記シールキャップを取り付ける時に、前記キャップ側係合部を構成する前記突起が先に当接し、乗り越える側の突起の方が小さいものとなっているプレフィルドシリンジ用注射器。
【0005】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(2)外筒本体部と、該外筒本体部の先端側に設けられ、先端に向かってテーパー状に縮径する注射針を取り付け可能なノズル部と、前記外筒本体部の後端側に設けられたフランジとを備える外筒と、前記外筒本体部の前記ノズル部に液密かつ着脱可能に取り付けられたシールキャップと、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取り付け可能なプランジャーとを備えるプレフィルドシリンジ用注射器であって、前記ノズル部は、ノズル本体部と、該ノズル本体部より基端側に設けられた外筒側螺合部と、該外筒側螺合部より基端側に設けられた外筒側係合部とを備え、前記外筒側係合部は、前記外筒側螺合部より大径に形成された台座部と、該台座部の外側面より前記外筒の半径方向に突出する突起により構成されており、前記シールキャップは、前記ノズル本体部を収納する一端が閉塞した円筒状のノズル本体部収納部と、該ノズル本体部収納部より他端側に形成された前記外筒側螺合部と螺合するキャップ側螺合部と、該キャップ側螺合部より基端側に設けられ、前記外筒側係合部と係合するシールキャップ側係合部とを備え、さらに、前記シールキャップは、前記キャップ側螺合部より基端側に突出する環状部を備え、前記キャップ側係合部は、前記環状部の内面に形成された内方に突出する2つの突起と該2つの突起間により形成された凹部により構成され、該シールキャップを前記ノズル部に液密に取り付けた時に前記外筒側係合部と係合するものであり、前記外筒側係合部と該シールキャップ側係合部との係合により前記シールキャップの前記ノズル部から離間する方向への回転抵抗が高くなっており、さらに、前記キャップ側係合部の2つの突起は、前記シールキャップを取り付ける時に、前記外筒側係合部の突起が先に当接し、乗り越える側の突起の方が小さいものとなっているプレフィルドシリンジ用注射器。
(3) 上記(1)または(2)において、前記外筒側螺合部は、前記ノズル本体部より大径であり、かつ、前記外筒側係合部は、前記外筒側螺合部より大径であることが好ましい。
(4) 上記(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記外筒側係合部および前記キャップ側係合部は、向かい合う位置に2つ設けられていることが好ましい。
【0006】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(5) 上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用注射器と、前記外筒と前記ガスケットと前記シールキャップにより形成される空間内に収納された薬剤とからなるプレフィルドシリンジである。
【0007】
【発明の実施の形態】
そこで、本発明のプレフィルドシリンジ用注射器およびプレフィルドシリンジを図面に示す実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例のプレフィルドシリンジ用注射器を用いたプレフィルドシリンジの外観図であり、図2は、図1に示したプレフィルドシリンジの断面図であり、図3は、図1のプレフィルドシリンジ用注射器の外筒の正面図であり、図4は、図3に示した外筒の平面図であり、図5は、図1に示したプレフィルドシリンジ用注射器のシールキャップ部分の拡大断面図であり、図6は、図5に示したプレフィルドシリンジ用注射器に用いられるシールキャップの拡大底面図であり、図7は、図1のプレフィルドシリンジ用注射器の先端部分の拡大断面図である。
【0008】
そこで、図面を用いて詳細に説明する。
本発明のプレフィルドシリンジ用注射器10は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端側に設けられたノズル部22と、外筒本体部21の後端側に設けられたフランジ23とを備える外筒2と、ノズル部22に液密かつ着脱可能に取り付けられたシールキャップ3と、外筒2内に摺動可能に収納されたガスケット4と、ガスケット4の後端に取り付けられたもしくは取り付け可能なプランジャー5とを備える。ノズル部22は、ノズル本体部24と、ノズル本体部24より基端側に設けられた外筒側螺合部25と、外筒側螺合部25より基端側に設けられた外筒側係合部26とを備える。シールキャップ3は、ノズル本体部24を収納する一端が閉塞した円筒状のノズル本体部収納部31と、ノズル本体部収納部31より他端側に形成された外筒側螺合部25と螺合するキャップ側螺合部32と、キャップ側螺合部32より基端側に設けられ、シールキャップ3をノズル部22に液密に取り付けた時に外筒側係合部26と係合するシールキャップ側係合部33とを備え、外筒側係合部26とシールキャップ側係合部33との係合によりシールキャップ3のノズル部22から離間する方向への回転抵抗が高いものとなっている。
また、本発明のプレフィルドシリンジ1は、プレフィルドシリンジ用注射器10と、この注射器10の外筒2とガスケット4とシールキャップ3により形成される空間内に収納された薬剤8とからなる。
【0009】
実施例のプレフィルドシリンジ用注射器10は、図1および図2に示すように、外筒2と、外筒2のノズル部に取り付けられたシールキャップ3と、外筒内に摺動可能に収納されたガスケット4と、ガスケット4に取り付けられたプランジャー5により構成されている。
外筒2は、透明もしくは半透明材料により、好ましくは、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成された筒状体である。
外筒2は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端側に設けられたノズル部22と、外筒本体部21の後端側に設けられたフランジ23を備える。
外筒本体部は、ガスケット4を液密かつ摺動に収納するほぼ筒状の部分であり、ノズル部は、外筒本体部より小径の筒状部となっている。また、外筒本体部の先端部はノズル部に向かって縮径するテーパー部となっている。
【0010】
フランジ23は、図1および図3に示すように外筒本体部21の後端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ23は、図1、図4に示すように向かい合う幅広となった2つの把持部23a、23bを備え、さらに、把持部23a、23bの先端面側には、複数のリブが形成されている。また、図2に示すようにフランジ23の後端面は、周縁および外筒後端部がリブ部分以外となる部分は凹部となっている。
ノズル部22は、図3および図4に示すように、ノズル本体部24と、ノズル本体部24より基端側に設けられた外筒側螺合部25と、外筒側螺合部25より基端側に設けられた外筒側係合部26とを備える。
ノズル本体部24は、外筒2の先端に位置し、先端に外筒内の薬液等を排出するための開口を備えるとともに先端に向かってテーパー状に縮径するように形成されている。また、注射針を取り付け可能な形状となっている。ノズル本体部の軸方向の長さとしては、7〜9mm程度が好適である。
【0011】
外筒側螺合部は、ノズル本体部より若干大径に形成された短い筒状部であり、外面に螺合部を構成するねじ山25aを備えている。外筒側螺合部の軸方向の長さとしては、3〜5mm程度が好適である。また、この実施例では、ねじ山25aは、2本の螺旋状のものとなっている。
【0012】
外筒側係合部は、外筒側螺合部より若干大径に形成された短い筒状部であり、外面に係合部を構成する凹部26a,26bを備えている。外筒側係合部は、外筒本体部21の先端の傾斜部の先端に連続するように外筒側螺合部より大径に形成された台座部と、この台座部より外筒の半径方向に突出する突起27a,28aおよび27b、28bを備える。突起27aと突起28a間により係合部を構成する凹部26aが形成されている。同様に、突起27bと突起28b間により係合部を構成する凹部26bが形成されている。言い換えれば、外筒側螺合部は、外筒本体部21の先端の傾斜部の先端部に設けられた外筒の軸方向に延びるくぼみである。凹部は、複数設けることが好ましい。図示する実施例のように、2つの凹部を設ける場合には、向かい合うように配置することが好ましい。また、3つ以上の凹部を設ける場合には、外筒の中心軸に対してほぼ等角度配置となるように設けることが好ましい。凹部の数としては、2〜6であることが好ましい。凹部の縦断面形状は、略矩形状とすることが好ましく、凹部の軸方向の長さは、0.3〜1.0mmであることが好ましく、凹部の幅は、1〜2mmであることが好ましい。さらに、凹部をこの実施例のように、2つの突起間により形成する場合には、キャップを取り付ける時に、キャップ側係合部の突起が先に当接し、乗り越える側の突起27a,27bを小さいものとすることが好ましい。さらに、キャップ側係合部の突起が先に当接し、乗り越える側の突起27a,27bの係合部当接面をキャップの螺合進行回転方向に向かって高くなってゆく傾斜面とすることが好ましい。このようにすることにより、後述するキャップ側係合部との係合が容易なものとなる。突起27a,27bの傾斜は、台座部円周が作る接線上もしくはその付近とすることが好ましい。さらに、キャップ側係合部の突起が先に当接し、乗り越える側の突起27a,27bの傾斜面の反対側の面は、外筒の中心軸方向に向いた起立面となっていることが好ましい。このようにすることにより、後述するキャップ側係合部との係合後、不用意な係合解除を防止できる。また、突起28aおよび28bを備えることにより、製造時(キャップ装着時)にキャップが回りすぎて緩んだ位置に戻ることを防止する。
【0013】
外筒2の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
【0014】
シールキャップ3は、図2、図5および図6に示すようにキャップ状に作製され、ノズル本体部収納部31と、キャップ側螺合部32と、シールキャップ側係合部33とを備える。
シールキャップ3は、この実施例では、シールキャップ本体とシール部材とからなる。シールキャップ本体は、一端および他端が開口した筒状部材であり、先端側に通液針(図示せず)装着用のテーパー状に拡径する開口部35を備えている。そして、この開口部35とシール部材保持部36間にシール部材34が収納されている。シール部材によりシールキャップの一端は閉塞している。シール部材34は、ノズル部先端開口を液密に密封するためのものである。ノズル部先端開口がシール部材34に当接することによりノズル部22は液密に密封される。また、シール部材34は、通液針により刺通可能な弾性材料により形成されている。シール部材の形成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、SBSエラストマー、SEBSエラストマーなどのスチレン系エラストマー、エチレン−αオレフィン共重合体等のポリオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を使用することが好ましい。そして、この実施例では、シール部材保持部36は、複数の爪状突起により構成されている。なお、シールキャップとしては、このような通液針による刺通が可能なものに限定されるものではなく、図13に示すシールキャップ40のように、開口部35を持たない閉塞端となっているものであってもよい。
【0015】
ノズル本体部収納部31は、ほぼ筒状に形成された部分であり、先端部に上述した開口部35およびシール部材保持部36を備えている。また、ノズル本体部収納部31の外面形状は、図1に示すように多角形状に形成されており、キャップの回転を容易なものとしている。ノズル本体部収納部の軸方向の長さとしては、14〜18mm程度が好適である。
キャップ側螺合部32は、ノズル本体部収納部31より他端側に形成された内径が若干拡径した部分であり、かつ、内面に外筒側螺合部25のねじ山25aと螺合可能なねじ溝32aを備えている。この実施例では、ねじ溝となる部分はノズル本体部収納部より小径となっている。キャップ側螺合部の軸方向の長さとしては、3〜5mm程度が好適である。また、この実施例では、ねじ溝32aは、外筒側螺合部のねじ山形態に対応して、2本の螺旋状のものとなっている。
【0016】
シールキャップ3は、他端側に、キャップ側螺合部の基端部分を取り囲み、かつ若干、キャップ側螺合部より基端側に突出する環状部37を備えている。そして、この環状部37の内面に、シールキャップ3をノズル部22に液密に取り付けた時に外筒側係合部26と係合するシールキャップ側係合部33を構成する突起33a,33bを備えている。この突起は、上述した凹部26a,26bに進入可能な形状、大きさとなっている。
【0017】
キャップ側係合部は、シールキャップの基端内面に形成された内方に突出する突起である。突起は、複数設けることが好ましい。図示する実施例のように、2つの突起を設ける場合には、向かい合うように配置することが好ましい。また、3つ以上の突起を設ける場合には、シールキャップの中心軸に対してほぼ等角度配置となるように設けることが好ましい。突起の数としては、2〜6であることが好ましい。突起の縦断面形状は、半楕円形状、半円形状、三角形状に作製するのが好ましく、突起の軸方向の長さは、0.3〜1.0mmであることが好ましく、突起の幅は、0.5〜2.0mmであることが好ましい。
【0018】
シールキャップの形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
そして、シールキャップ側係合部33は、シールキャップ3を外筒2のノズル部22に液密に取り付けた時に外筒側係合部26と係合する。具体的に、図7に示すように、シールキャップ3の螺合部と外筒の螺合部の螺合が進行し、ノズル部先端開口がシール部材に当接した状態において、外筒側係合部はシールキャップ側係合部と係合し、外筒側係合部とシールキャップ側係合部との係合によりシールキャップ3のノズル部22から離間する方向(言い換えれば、離脱する方向)への回転抵抗が高くなり、輸送中の振動によるシールキャップのゆるみが防止される。
【0019】
また、この実施例のプレフィルドシリンジ用注射器10では、外筒側係合部は、外筒の外側面に形成されており、キャップ側螺合部は、キャップの内側面に形成されている。このため、両者が係合する際に、キャップのキャップ側係合部形成部位が若干押し広げられるように変形することが考えられるが、キャップはノズルの先端方向に押されることはないので、外筒側係合部とキャップ側螺合部との係合時に外筒とキャップ間のシール性の低下が生じない。
【0020】
また、この実施例のプレフィルドシリンジ用注射器10では、外筒側螺合部は、ノズル本体部より大径であり、かつ、外筒側係合部は、外筒側螺合部より大径となっている。このため、外筒とキャップを同程度の硬度の樹脂により形成しても確実にゆるみを防止することができる。
ガスケット4は、図1、図2に示すようにほぼ同一外径にて延びる本体部と、この本体部に設けられた複数の環状リブ(この実施例では2つ、2つ以上であれば、液密性と摺動性を満足できれば適宜数としてもよい)を備え、これらリブが、外筒2の内面に液密に接触する。また、ガスケット4の先端面は、外筒2の先端内面に当接した時に、両者間に極力隙間を形成しないように、外筒2の先端内面形状に対応した形状となっている。
【0021】
ガスケット4の形成材料としては、弾性を有するゴム(例えば、ブチルゴム、ラテックスゴム、シリコーンゴムなど)、合成樹脂(例えば、SBSエラストマー、SEBSエラストマー等のスチレン系エラストマー、エチレン−αオレフィン共重合体エラストマー等のオレフィン系エラストマーなど)等を使用することが好ましい。
【0022】
そして、ガスケット4には、その後端部より内部に延びる凹部が設けられ、この凹部は、雌ねじ状となっており、プランジャー5の先端部に形成された突出部の外面に形成された雄ねじ部と螺合可能となっている。両者が螺合することにより、プランジャー5は、ガスケット4より離脱しない。なお、プランジャー5は、取り外しておき、使用時に取り付けるようにしてもよい。
プランジャー5は、上述したように、先端部に筒状に突出する突出部を備え、突出部の外面には雄ねじが形成されている。また、プランジャー5は、断面十字状の軸方向に延びる本体部と、後端部に設けられた押圧用の円盤部と、本体部の途中に設けられたリブを備えている。
【0023】
次に、本発明の他の実施例のプレフィルドシリンジ用注射器について説明する。
このプレフィルドシリンジ用注射器15の基本構成は、プレフィルドシリンジ用注射器10と同一であり、ノズル部およびシールキャップの構成のみ異なる。以下、相違点を中心に説明する。
図8は、他の実施例のプレフィルドシリンジ用注射器の先端部分の拡大断面図であり、図9は、他の実施例のプレフィルドシリンジ用注射器の外筒の正面図であり、図10は、図9に示した外筒の平面図であり、図11は、図8に示したプレフィルドシリンジ用注射器のシールキャップ部分の拡大断面図であり、図12は、図11に示したシールキャップの拡大底面図である。
【0024】
この実施例のプレフィルドシリンジ用注射器15は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端側に設けられたノズル部22と、外筒本体部21の後端側に設けられたフランジ23とを備える外筒20と、ノズル部22に液密かつ着脱可能に取り付けられたシールキャップ30と、外筒20内に摺動可能に収納されたガスケット4と、ガスケット4の後端に取り付けられたもしくは取り付け可能なプランジャー5とを備える。ノズル部22は、ノズル本体部24と、ノズル本体部24より基端側に設けられた外筒側螺合部25と、外筒側螺合部25より基端側に設けられた外筒側係合部66とを備える。シールキャップ30は、ノズル本体部24を収納する一端が閉塞した円筒状のノズル本体部収納部31と、ノズル本体部収納部31より他端側に形成された外筒側螺合部25と螺合するキャップ側螺合部32と、キャップ側螺合部32より他端側に設けられ、シールキャップ30をノズル部22に液密に取り付けた時に外筒側係合部66と係合するシールキャップ側係合部76とを備え、外筒側係合部66とシールキャップ側係合部76との係合によりシールキャップ30のノズル部22から離間する方向への回転抵抗が高いものとなっている。
【0025】
また、本発明のプレフィルドシリンジは、プレフィルドシリンジ用注射器と、この注射器の外筒20とガスケット4とシールキャップ30により形成される空間内に収納された薬剤8とからなる。
実施例のプレフィルドシリンジ用注射器は、図1および図2に示した実施例と同様に、外筒20と、外筒20のノズル部に取り付けられたシールキャップ30と、外筒内に摺動可能に収納されたガスケット4と、ガスケット4に取り付けられたプランジャー5により構成されている。
【0026】
外筒20は、透明もしくは半透明材料により、好ましくは、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成された筒状体である。
外筒20は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端側に設けられたノズル部22と、外筒本体部21の後端側に設けられたフランジ23を備える。
外筒本体部は、ガスケット4を液密かつ摺動に収納するほぼ筒状の部分であり、ノズル部は、外筒本体部より小径の筒状部となっている。また、外筒本体部の先端部はノズル部に向かって縮径するテーパー部となっている。
【0027】
フランジ23は、図1および図3に示した実施例と同様に、外筒本体部21の後端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ23は、図1、図4に示した実施例と同様に、向かい合う幅広となった2つの把持部23a、23bを備え、さらに、把持部23a、23bの先端面側には、複数のリブが形成されている。また、図2に示した実施例と同様に、フランジ23の後端面は、周縁およびリブ部分以外となる部分は凹部となっている。
ノズル部22は、図9および図10に示すように、ノズル本体部24と、ノズル本体部24より基端側に設けられた外筒側螺合部25と、外筒側螺合部25より基端側に設けられた外筒側係合部66とを備える。
ノズル本体部24は、外筒20の先端に位置し、先端に外筒内の薬液等を排出するための開口を備えるとともに先端に向かってテーパー状に縮径するように形成されている。また、注射針を取り付け可能な形状となっている。ノズル本体部の軸方向の長さとしては、7〜9mm程度が好適である。
【0028】
外筒側螺合部は、ノズル本体部より若干大径に形成された短い筒状部であり、外面に螺合部を構成するねじ山25aを備えている。外筒側螺合部の軸方向の長さとしては、3〜5mm程度が好適である。また、この実施例では、ねじ山25aは、2本の螺旋状のものとなっている。
外筒側係合部は、ノズル本体部より若干大径に形成された短い筒状部であり、外面に係合部を構成する突起66a,66bを備えている。外筒側係合部は、外筒本体部21の先端の傾斜部の先端に連続するように外筒側螺合部より大径に形成された台座部と、この台座部より外筒の半径方向に突出する突起66a,66bにより構成されている。言い換えれば、外筒側螺合部は、外筒本体部21の先端の傾斜部の先端部に設けられた外筒の先端方向に突出する突起でもある。突起は、複数設けることが好ましい。図示する実施例のように、2つの突起を設ける場合には、向かい合うように配置することが好ましい。また、3つ以上の突起を設ける場合には、外筒の中心軸に対してほぼ等角度配置となるように設けることが好ましい。突起の数としては、2〜6であることが好ましい。突起の縦断面形状は、半楕円形状、半円形状、三角形状に作製するのが好ましく、突起の軸方向の長さは、0.3〜1.0mmであることが好ましく、突起の幅は、0.5〜2.0mmであることが好ましい。
外筒の形成材料としては、上述した実施例において説明したものが好適に使用できる。
【0029】
シールキャップ30は、図8、図11および図12に示すようにキャップ状に作製され、ノズル本体部収納部31と、キャップ側螺合部32と、シールキャップ側係合部76とを備える。
シールキャップ30は、この実施例では、シールキャップ本体とシール部材とからなる。シールキャップ本体は、一端および他端が開口した筒状部材であり、先端側に通液針(図示せず)装着用のテーパー状に拡径する開口部35を備えている。そして、この開口部35とシール部材保持部36間にシール部材34が収納されている。シール部材によりシールキャップの一端は閉塞している。シール部材34は、ノズル部先端開口を液密に密封するためのものである。ノズル部先端開口がシール部材34に当接することによりノズル部22は液密に密封される。また、シール部材34は、通液針により刺通可能な弾性材料により形成されている。シール部材の形成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、SBSエラストマー、SEBSエラストマーなどのスチレン系エラストマー、エチレン−αオレフィン共重合体等のポリオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を使用することが好ましい。そして、この実施例では、シール部材保持部36は、複数の爪状突起により構成されている。なお、シールキャップとしては、このような通液針による刺通が可能なものに限定されるものではなく、開口部35を持たない閉塞端となっているものであってもよい。
【0030】
ノズル本体部収納部31は、ほぼ筒状に形成された部分であり、先端部に上述した開口部35およびシール部材保持部36を備えている。また、ノズル本体部収納部31の外面形状は、図1に示すように多角形状に形成されており、キャップの回転を容易なものとしている。ノズル本体部収納部の軸方向の長さとしては、14〜18mm程度が好適である。
キャップ側螺合部32は、ノズル本体部収納部31より他端側に形成された内径が若干拡径した部分であり、かつ、内面に外筒側螺合部25のねじ山25aと螺合可能なねじ溝32aを備えている。この実施例では、ねじ溝となる部分のみノズル本体部収納部より小径となっている。キャップ側螺合部の軸方向の長さとしては、3〜5mm程度が好適である。また、この実施例では、ねじ溝32aは、外筒側螺合部のねじ山形態に対応して、2本の螺旋状のものとなっている。
【0031】
シールキャップ30は、基端側に、キャップ側螺合部の基端部分を取り囲み、かつ若干、キャップ側螺合部より基端側に突出する環状部37を備えている。そして、この環状部37の内面に、シールキャップ30をノズル部22に液密に取り付けた時に外筒側係合部66と係合するシールキャップ側係合部76を構成する凹部を備える。
シールキャップは、基端内面に内方に突出する突起77a,78aおよび77b、78bを備える。突起77aと突起78a間により係合部を構成する凹部76aが形成されている。同様に、突起77bと突起78b間により係合部を構成する凹部76bが形成されている。言い換えれば、キャップ側螺合部は、2つの突起間により形成されたくぼみである。凹部は、複数設けることが好ましい。図示する実施例のように、2つの凹部を設ける場合には、向かい合うように配置することが好ましい。また、3つ以上の凹部を設ける場合には、外筒の中心軸に対してほぼ等角度配置となるように設けることが好ましい。凹部の数としては、2〜6であることが好ましい。凹部の縦断面形状は、略矩形状とすることが好ましく、凹部の軸方向の長さは、0.3〜1.0mmであることが好ましく、凹部の幅は、1〜2mmであることが好ましい。さらに、凹部をこの実施例のように、2つの突起間により形成する場合には、キャップを取り付ける時に、外筒側係合部の突起が先に当接し、乗り越える側の突起77a,77bを小さいものとすることが好ましい。さらに、外筒側係合部の突起が先に当接し、乗り越える側の突起77a,77bの係合部当接面をキャップの螺合進行回転方向に向かって高くなっていく傾斜面とすることが好ましい。このようにすることにより、外筒側係合部との係合が容易なものとなる。さらに、外筒側係合部の突起が先に当接し、乗り越える側の突起77a,77bの傾斜面の反対側の面は、外筒の中心軸方向に向いた起立面となっていることが好ましい。このようにすることにより、外筒側係合部との係合後、不用意な係合解除を防止できる。
【0032】
そして、シールキャップ側係合部76は、シールキャップ30を外筒20のノズル部22に液密に取り付けた時に外筒側係合部66と係合する。具体的に、図8に示すように、シールキャップ30の螺合部と外筒の螺合部の螺合が進行し、ノズル部先端開口がシール部材に当接した状態において、外筒側係合部はシールキャップ側係合部と係合し、外筒側係合部とシールキャップ側係合部との係合によりシールキャップ30のノズル部22から離間する方向(言い換えれば、離脱する方向)への回転抵抗が高くなり、輸送中の振動によるシールキャップのゆるみが防止される。
【0033】
また、この実施例のプレフィルドシリンジ用注射器15では、外筒側係合部は、外筒の外側面に形成されており、キャップ側螺合部は、キャップの内側面に形成されている。このため、両者が係合する際に、キャップのキャップ側係合部形成部位が若干押し広げられるように変形することが考えられるが、キャップはノズルの先端方向に押されることはないので、外筒側係合部とキャップ側螺合部との係合時に外筒とキャップ間のシール性の低下が生じない。
シールキャップの形成材料、ガスケット、およびプランジャーについては、上述した実施例のシリンジと同じである。
【0034】
次に、本発明のプレフィルドシリンジ用注射器を用いたプレフィルドシリンジについて説明する。
プレフィルドシリンジは、図1に示し、上述したプレフィルドシリンジ用注射器10もしくは上述したプレフィルドシリンジ用注射器15と、その外筒20とガスケットとシールキャップにより形成される空間内に収納された薬剤とからなる。薬剤としては、生理食塩水、高濃度塩化ナトリウム注射液、ビタミン剤、ミネラル類、抗生物質などの薬液、さらには、粉末状もしくは凍結乾燥薬剤が使用される。
なお、本発明のシリンジは、プレフィルドシリンジ用に限らず一般の注射器にも応用できる。
【0035】
【発明の効果】
本発明のプレフィルドシリンジ用注射器は、外筒本体部と、該外筒本体部の先端側に設けられたノズル部と、前記外筒本体部の後端側に設けられたフランジとを備える外筒と、前記ノズル部に液密かつ着脱可能に取り付けられたシールキャップと、外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取り付け可能なプランジャーとを備えるプレフィルドシリンジ用注射器であって、前記ノズル部は、ノズル本体部と、該ノズル本体部より基端側に設けられた外筒側螺合部と、該外筒側螺合部より基端側に設けられた外筒側係合部とを備え、前記シールキャップは、前記ノズル本体部を収納する一端が閉塞した円筒状のノズル本体部収納部と、該ノズル本体部収納部より他端側に形成された前記外筒側螺合部と螺合するキャップ側螺合部と、該キャップ側螺合部より基端側に設けられ、該シールキャップを前記ノズル部に液密に取り付けた時に前記外筒側係合部と係合するシールキャップ側係合部とを備え、前記外筒側係合部と該シールキャップ側係合部との係合により前記シールキャップの前記ノズル部から離間する方向への回転抵抗が高くなっているものである。
このため、使用前、特に輸送中の振動によるシールキャップのゆるみがなく、プレフィルド用シリンジとして用いても、内部の薬液の流出を確実に防止できる。
【0036】
また、本発明のプレフィルドシリンジは、プレフィルドシリンジ用注射器と、前記外筒と前記ガスケットと前記シールキャップにより形成される空間内に収納された薬剤とからなるプレフィルドシリンジである。
このため、使用前、特に輸送中の振動によるシールキャップのゆるみがなく、内部の薬液の流出を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例のプレフィルドシリンジ用注射器を用いたプレフィルドシリンジの外観図である。
【図2】図2は、図1に示したプレフィルドシリンジの断面図である。
【図3】図3は、図1のプレフィルドシリンジ用注射器の外筒の正面図である。
【図4】図4は、図3に示した外筒の平面図である。
【図5】図5は、図1に示したプレフィルドシリンジ用注射器のシールキャップ部分の拡大断面図である。
【図6】図6は、図5に示したプレフィルドシリンジ用注射器に用いられるシールキャップの拡大底面図である。
【図7】図7は、図1のプレフィルドシリンジ用注射器の先端部分の拡大断面図である。
【図8】図8は、他の実施例のプレフィルドシリンジ用注射器の先端部分の拡大断面図である。
【図9】図9は、他の実施例のプレフィルドシリンジ用注射器の外筒の正面図である。
【図10】図10は、図9に示した外筒の平面図である。
【図11】図11は、図8に示したプレフィルドシリンジ用注射器のシールキャップの拡大断面図である。
【図12】図12は、図11に示したシールキャップの拡大底面図である。
【図13】図13は、他の実施例のプレフィルドシリンジ用注射器に用いられるシールキャップの拡大断面図である。
【符号の説明】
1 プレフィルドシリンジ
2 外筒
3 シールキャップ
4 ガスケット
5 プランジャー
Claims (5)
- 外筒本体部と、該外筒本体部の先端側に設けられ、先端に向かってテーパー状に縮径する注射針を取り付け可能なノズル部と、前記外筒本体部の後端側に設けられたフランジとを備える外筒と、前記外筒本体部の前記ノズル部に液密かつ着脱可能に取り付けられたシールキャップと、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取り付け可能なプランジャーとを備えるプレフィルドシリンジ用注射器であって、
前記ノズル部は、ノズル本体部と、該ノズル本体部より基端側に設けられた外筒側螺合部と、該外筒側螺合部より基端側に設けられた外筒側係合部とを備え、
前記外筒側係合部は、前記外筒側螺合部より大径に形成された台座部と、該台座部の外側面より前記外筒の半径方向に突出する2つの突起と前記2つの突起間により形成された凹部により構成されており、
前記シールキャップは、前記ノズル本体部を収納する一端が閉塞した円筒状のノズル本体部収納部と、該ノズル本体部収納部より他端側に形成された前記外筒側螺合部と螺合するキャップ側螺合部と、該キャップ側螺合部より基端側に設けられ、前記外筒側係合部と係合するシールキャップ側係合部とを備え、さらに、前記シールキャップは、前記キャップ側螺合部より基端側に突出する環状部を備え、前記キャップ側係合部は、前記環状部の内面に形成された内方に突出する突起により構成され、該シールキャップを前記ノズル部に液密に取り付けた時に前記外筒側係合部と係合するものであり、前記外筒側係合部と該シールキャップ側係合部との係合により前記シールキャップの前記ノズル部から離間する方向への回転抵抗が高くなっており、さらに、前記外筒側係合部の前記2つの突起は、前記シールキャップを取り付ける時に、前記キャップ側係合部を構成する前記突起が先に当接し、乗り越える側の突起の方が小さいものとなっていることを特徴とするプレフィルドシリンジ用注射器。 - 外筒本体部と、該外筒本体部の先端側に設けられ、先端に向かってテーパー状に縮径する注射針を取り付け可能なノズル部と、前記外筒本体部の後端側に設けられたフランジとを備える外筒と、前記外筒本体部の前記ノズル部に液密かつ着脱可能に取り付けられたシールキャップと、前記外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、該ガスケットの後端に取り付けられたもしくは取り付け可能なプランジャーとを備えるプレフィルドシリンジ用注射器であって、
前記ノズル部は、ノズル本体部と、該ノズル本体部より基端側に設けられた外筒側螺合部と、該外筒側螺合部より基端側に設けられた外筒側係合部とを備え、
前記外筒側係合部は、前記外筒側螺合部より大径に形成された台座部と、該台座部の外側面より前記外筒の半径方向に突出する突起により構成されており、
前記シールキャップは、前記ノズル本体部を収納する一端が閉塞した円筒状のノズル本体部収納部と、該ノズル本体部収納部より他端側に形成された前記外筒側螺合部と螺合するキャップ側螺合部と、該キャップ側螺合部より基端側に設けられ、前記外筒側係合部と係合するシールキャップ側係合部とを備え、さらに、前記シールキャップは、前記キャップ側螺合部より基端側に突出する環状部を備え、前記キャップ側係合部は、前記環状部の内面に形成された内方に突出する2つの突起と該2つの突起間により形成された凹部により構成され、該シールキャップを前記ノズル部に液密に取り付けた時に前記外筒側係合部と係合するものであり、前記外筒側係合部と該シールキャップ側係合部との係合により前記シールキャップの前記ノズル部から離間する方向への回転抵抗が高くなっており、さらに、前記キャップ側係合部の2つの突起は、前記シールキャップを取り付ける時に、前記外筒側係合部の突起が先に当接し、乗り越える側の突起の方が小さいものとなっていることを特徴とするプレフィルドシリンジ用注射器。 - 前記外筒側螺合部は、前記ノズル本体部より大径であり、かつ、前記外筒側係合部は、前記外筒側螺合部より大径である請求項1または2に記載のプレフィルドシリンジ用注射器。
- 前記外筒側係合部および前記キャップ側係合部は、向かい合う位置に2つ設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用注射器。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ用注射器と、前記外筒と前記ガスケットと前記シールキャップにより形成される空間内に収納された薬剤とからなることを特徴とするプレフィルドシリンジ。
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